JP4737807B2 - タングステン含有シリコン薄膜の製造方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン薄膜の製造方法に関する。特に、多結晶シリコン(poly-Si) 薄膜の製造方法に関する。より詳しくは、液晶ディスプレイに用いる薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)に応用可能なpoly-Si 薄膜の製造方法に関する。また、光電変換装置に応用可能なpoly-Si 薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)に変わって、poly-Si を利用しようという試みが、TFT液晶ディスプレイや光電変換装置の分野で盛んに行われている。中でも、大型の液晶ディスプレイでは、a-Si:Hの移動度が画像情報の書き込みに不十分となるため、poly-Si 膜を利用するのが必要となっている。また、光電変換装置においてはa-Si:Hの光劣化が高効率化、高信頼性化の妨げとなっており、活性層にpoly-Si 膜を用いることによって、上記問題の解決を図ろうとしている。
【0003】
ここで、上記poly-Si 薄膜の製造としては、上記a-Si:H薄膜をプラズマ支援化学的気相堆積法(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により作製し、固相成長法、あるいはエキシマ・レーザ・アニール法(ELA: Excimer Laser Anneal)により再結晶化させる方法が一般的に用いられている。この内、固相成長法では、600℃以上の高温で20時間程度の長時間熱処理が必要であるため、高温に耐える基板上にしかpoly-Si 薄膜を作製できないという欠点がある。一方、上記ELA法では、基板には直接熱が加わることが無い。従って、ELA法が、例えば、大型液晶ディスプレイに使用される安価なガラス基板上にpoly-Si 薄膜を作製する方法として、広く利用されつつある。
【0004】
上記ELA法で作製した場合には、非常に高品質のpoly-Si 薄膜が得られ、それを使用したTFTの電界効果移動度は比較的容易に100cm2 /Vs以上となり、画素TFTとして利用でき、さらに、多数の駆動回路のガラス基板上への内蔵が実現されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画素TFTの移動度向上を主眼に考えた場合、それ程高い移動度は必要ない。
【0006】
また、内蔵される駆動回路を適宜選択すれば、多少駆動能力の低いTFTであっても十分に動作するため、実用に供する回路とすることが可能である。この観点から実用化を考えた場合には、ELA法を利用したpoly-Si 膜の作製は、必ずしも最善の製造方法とは言えない。また、スループットの点からもコスト高に繋がる。従って、ELA法を用いず、気相反応によりpoly-Si 薄膜を基板上に直接堆積する手法が望ましい。
【0007】
ここで、現在、poly-Si 薄膜を基板上に直接堆積する方法として、多くの気相堆積法が提案されている。ところが、現在提案されている気相堆積法では、多くの場合、膜中に引っ張り応力が発生するため、膜剥れを生じたり、特性劣化が発生するという課題を有している。また、poly-Si 膜の結晶粒が概ね0.1μm以下と小さいため、TFTの作製工程において用いられる弗化水素酸水溶液等の薬液が結晶粒界から浸透し易くなって、膜剥れが生じ易くなる。その結果、気相堆積法で作製したTFTでは、作製プロセスにより膜質が劣化し、所望の特性が安定して得られないという課題もある。加えて、光電変換装置の分野に応用した場合には、上記薬液耐性の不安定さから、非受光面側電極材料の選択及び形成プロセスの選択における自由度が制限され、製造コストが高くなるという課題も生じる。
【0008】
本発明は、上記の従来の課題を考慮してなされたものであって、膜中の引っ張り応力を低減することにより、膜剥れや特性劣化を抑制すると共に、弗化水素酸水溶液等の薬液が結晶粒界から浸透するのを抑えて、膜剥れの更なる抑制を図って、特性の向上を図り、且つ非受光面側電極材料の選択及び形成プロセスの選択における自由度を大きくすることにより、製造コストを飛躍的に低減することができるタングステン含有シリコン薄膜の製造方法及びそれを用いた半導体装置の製造方法の提供を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のタングステン含有シリコン薄膜の製造方法は、上記の目的を達成するために、成膜装置のチャンバ内に少なくともシリコン化合物ガスを導入し、1900℃以上2200℃以下の温度に抵抗加熱されたタングステンと前記シリコン化合物ガスを接触させ、前記シリコン化合物ガスを分解し、100℃以上、600℃以下に加熱された絶縁性基板上に薄膜の形態で付着させることを特徴とする。
【0016】
このような製造方法により、上記タングステン含有シリコン薄膜を作製することができる。なお、このようにして製造するに際し、タングステンの温度、雰囲気ガスの圧力、流量、及び加熱されたタングステンから基板までの距離などを調整することで、所望の濃度でタングステンをシリコン薄膜中に含有させることができる。但し、上記のパラメータの中では、タングステン温度が最も重要な因子であることを本発明者らは見出した。
【0019】
なお、タングステンの温度は、得られるシリコン薄膜の結晶性にも影響を与えるので、上記の各種パラメータを調整し所望の膜とするのが望ましい。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シリコン化合物ガスがモノシラン、ジシラン、及びモノシランとジシランとの混合ガスから成る群から選択されることを特徴とする。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記タングステンと前記水素ガスを接触させ、前記水素ガスを分解し、絶縁性基板に照射する工程を付加したことを特徴とする。
【0022】
上記のようにチャンバ内に水素ガスを導入し、1600℃以上2200℃以下に抵抗加熱されたタングステンと前記水素ガスを接触させれば、前記水素ガスを分解し、絶縁性基板に照射する工程を付加することができるので、シリコン薄膜中のタングステン濃度を容易に調整することが可能となる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記成膜装置のチャンバ内の真空状態を維持しつつ、照射工程の直前に水素をチャンバ内に導入することを特徴とする。
【0024】
このようにしてタングステン含有シリコン薄膜を作製した場合には、理由は定かではないが、弗化水素酸などに対する耐性がより向上することを確認した。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、前記シリコン化合物ガスを水素ガスで稀釈して用いることを特徴とする。
【0026】
シリコン化合物ガスを水素ガスで稀釈していない場合にはシリコン薄膜がa-Si:Hとなり易いが、上記のようにして作製した場合には、シリコン薄膜がpoly-Si 薄膜となるので、シリコン化合物ガスを水素ガスで稀釈して用いることが望ましい。
【0027】
尚、上述の製造方法は、実質的に、例えば、Japanese Journal of Applied Physics (ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス)第37巻、3175頁から3187頁に記載されているcatalytic CVD 法(触媒化学的気相堆積法:cat-CVD 法)を利用している。ところが、従来は、poly-Si 膜中のタングステンは極力排除するべきと考えられ、タングステンを含有することによる応力低減効果や、弗化水素酸水溶液等の薬液に対する耐性向上効果は、全く認識されていなかった。本発明者らは、膜中に微量含まれるタングステンによるこれらの効果が、例えばpoly-Si 膜のTFT及び光電変換装置応用において非常に重要であることを見出し、本願発明に至ったものである。したがって、上記Japanese Journal of Applied Physics に記載の技術とは技術的思想が全く異なるものであることを付言しておく。
【0030】
本発明の薄膜トランジスタは、請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法によって形成されたタングステン含有シリコン薄膜をチャンネル層とすることを特徴とする。
【0031】
上述の如く、タングステンを微量含有したシリコン薄膜は、膜応力が低く、弗化水素酸などの薬液に対する耐性も高いので、薄膜トランジスタ(TFT)の製造に困難を生じなく、しかも、得られた薄膜トランジスタのトランジスタ特性や信頼性の低下を抑制することができる。
【0035】
本発明の光電変換装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法によって形成されたタングステン含有シリコン薄膜を光活性層として用いるか、或いは前記タングステン含有シリコン薄膜層の他に光活性層を設ける場合には、光活性層と裏取出電極との間にタングステン含有シリコン薄膜層を介在させることを特徴とする光電変換装置である。
【0036】
前述の如く、タングステン含有シリコン薄膜は、弗化水素酸などの薬液に対する耐性が高い。したがって、光電変換装置作製時における非受光面側電極及び活性層形成後に薬液処理を施した際に、シリコン膜が電極面から剥離する等の問題が解消される。これにより、素子デザイン及び作製プロセス選択の自由度が大幅に広がり、製造コストの削減につながる。
【0038】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
(タングステン含有シリコン薄膜の製造方法)
以下、本願発明のタングステン含有シリコン薄膜の製造法に関し、図1を参照しながらその実施の形態を詳細に説明する。
【0039】
なお、本実施の形態では、本願発明がpoly-Si 膜に対してより有効であるので、poly-Si 膜を作製する場合に関して記述する。
【0040】
図1は、本願発明のタングステン含有シリコン薄膜の製造方法を示す概略図である。まず、成膜装置のチャンバ1を1E-3Pa以下に真空引きし、続いて、チャンバ1内に水素ガスを導入し、圧力を例えば0.1Paに調整する。次に、チャンバ1内に固定されたタングステン線2にチャンバ1の外部から電圧を印加し抵抗加熱することにより、例えば、タングステン線2の温度を1800℃とする。この時、タングステン線2の温度は、図示しない放射温度計などによりモニタできる構成としておく。次いで、導入ガスを、シリコン化合物としてのシラン(モノシラン、ジシラン、或いはそれらの混合物等)と水素との混合ガス(例えば、シランと水素との混合比が1:100)に切り替え、圧力を同じく0.1Paに調整する。
【0041】
そうすると、加熱されたタングステン線2の表面での接触反応でシランと水素が分解し、同じチャンバ1内に固定された基板3上にシリコン薄膜4を堆積することができる。同時に、加熱されたタングステン線2より極微量のタングステンが蒸発し、シリコン薄膜4中に取り込まれることになる。そして、所定の時間経過後、シランの導入を停止し、それと同時あるいはその後に水素の導入を停止する。以上により得られるシリコン薄膜4はpoly-Si 膜であり、タングステンを1E17cm-3程度含有していた。
【0042】
(実験1)
ここで、上記のようにして作製したシリコン薄膜4の膜応力を測定したところ、100MPa以下と低くなることが認められた。従って、それを利用したTFT作製などにおいて、膜応力による障害が生じないという優れた効果が発揮されることが確認された。
【0043】
(実験2)
また、弗化水素酸水溶液(具体的には、水により20倍に稀釈された弗化水素酸水溶液)に対する耐性を測定した。図6に、弗化水素酸による剥離時間とタングステン含有量との関係の一例を示した。
【0044】
その結果、ほう珪酸ガラス基板上にタングステンを含有しないpoly-Si 膜を形成した場合には、通常、概ね1分程度で剥離してしまうのに対して、上記で説明した本願発明の製造法で得られるpoly-Si 膜は、弗化水素酸水溶液に対する耐性が飛躍的に向上していることが認められた。これは、本願発明の製造法で得られるpoly-Si 膜では、poly-Si の結晶粒の周囲をタングステンが覆うため、弗化水素酸水溶液が浸透し難くなるためであると考えられる。
【0045】
(その他の事項)
(1)基板3はそれに密着したヒータ(図1においては図示せず)により、100℃以上600℃以下に、より好ましくは、300℃程度に加熱しておくと好ましい。
【0046】
(2)本実施の形態では、タングステン線2の温度を1800℃として成膜したが、当該温度に限定するものではない。具体的には、他の成膜パラメータを勘案し、膜の結晶性、デポレートなどにより最適温度を選択すれば良い。但し、タングステン線2の温度が2200℃を超えるとタングステンの蒸発量が急激に増加して、好ましくなく、一方、タングステン線2の温度が1600℃未満では、タングステンの蒸発が非常に微量となり本願発明の効果が十分に得られない。従って、タングステン線2の温度は、1600℃以上2200℃以下に規制するのが望ましい。
【0047】
なお、膜応力は、膜の結晶性が高い場合に高くなり、このように膜の結晶性が高い場合にはタングステンをより多く含有させるのが好ましいことを見出した。また、タングステン線の温度を上昇させれば、結晶性が高い膜が得られ易くなる。尚、本発明者らが実験したところ、タングステン線の温度を1800〜1900℃程度に上昇させるのが望ましいことが認められた。
【0048】
(3)本実施の形態では、シランと水素との混合比が1:100でガス圧が0.1Paの場合に関して記述したが、本願発明はこれに限定されるものではない。即ち、上記の成膜パラメータを変化させた場合、得られるシリコン膜の結晶性が変化するが、本質的に同様に適用できる。但し、poly-Si 膜作製時には上記に近い条件が好ましい。
【0049】
(4)本実施の形態では、cat-CVD 法によるpoly-Si 作製時にタングステンを含有させる方法に関して記述したが、本願発明は、これに限定されるものではなく。他に、例えば、イオン注入法により所定濃度のタングステンをpoly-Si 膜中に注入する方法などが考えられる。
【0050】
(5)本実施の形態では、poly-Si 膜を作製する場合について記述したが、本願発明はこれに限定するものではなく、a-Si:H膜に関しても適用可能である。
【0051】
〔実施の形態2〕
(TFTの製造法)
以下、本願発明のタングステン含有シリコン薄膜を用いたTFTの製造法に関し、図2及び図3(a)〜(d)を参照しながらその実施の形態を詳細に説明する。
【0052】
図2に示すように、絶縁性基板21上には、絶縁性基板21からの不純物拡散防止のための絶縁膜(図示せず)と、島状に加工されると共に、ソース・ドレイン領域25を有するタングステン含有poly-Si 薄膜22(厚さ100nm)と、このタングステン含有poly-Si 薄膜22を覆うゲート絶縁膜23と、アルミニウムなどの金属から成るゲート電極24と、層間絶縁膜26とが順に形成されている。上記ゲート絶縁膜23と層間絶縁膜26とには、ソース・ドレイン領域25まで達するコンタクトホール28が形成されており、このコンタクトホール28にはアルミニウムなどの金属から成るソース・ドレイン電極27が形成されている。
【0053】
このような構造のTFTの製造にあたっては、まず、絶縁性基板21上に、絶縁性基板21からの不純物拡散防止のための絶縁膜(図示せず)を作製した後、その上に実施の形態1に記載した方法により、タングステン含有poly-Si 薄膜22(厚さ100nm)を作製する。次に、フォトリソと微細加工とにより、タングステン含有poly-Si 薄膜22を島状に加工する〔以上が、図3(a)に示す工程〕。
【0054】
次に、タングステン含有poly-Si 薄膜22を覆うように厚さ120nm程度のゲート絶縁膜23を成膜する。このゲート絶縁膜23の材料としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜が使用でき、また、成膜方法としてはPECVD法や、APCVD(Atomospheric Chemical Vapor Deposition:常圧化学的気相堆積法)法が利用できる。続いて、アルミニウムなどの金属をゲート電極24とすべく、スパッタ法によって、厚さ250nmとなるように成膜する〔以上が、図3(b)に示す工程〕。
【0055】
次いで、フォトリソと微細加工により、ゲート電極24を加工し、イオンドーピング法により、N型の場合ホスフィン、P型の場合ジボランをプラズマ分解し70kV程度で加速し、poly-Si 薄膜22中に注入し、ソース・ドレイン領域25を形成する。注入量はタングステン含有poly-Si 薄膜22の結晶性により調整する必要があるが、概ね、1E15cm-2程度とする。この後、ドーパント活性化のため、400℃から600℃程度に加熱する〔以上が、図3(c)に示す工程〕。
【0056】
しかる後、厚さ300nmの層間絶縁膜26を作製する〔以上が、図2(d)に示す工程〕。次いで、フォトリソと微細加工により、ソース・ドレイン領域25に至るコンタクトホール28を形成し、最後にアルミニウムなどの金属をスパッタ法により厚さ400nm製膜し、更にフォトリソと微細加工により、ソース・ドレイン電極27を作製する。これにより、図2に示すTFTが完成する。
【0057】
以上により、タングステン含有poly-Si 薄膜22をチャンネル層としたTFTを作製することが出来る。ところで、上記TFT作製工程において、ゲート絶縁膜23や、層間絶縁膜26をウェットエッチングする場合に、タングステン含有poly-Si 薄膜22の弗化水素酸水溶液などに対する耐性が重要であるが、前記実施の形態1で述べたように、本願発明のタングステン含有poly-Si 薄膜は上記の耐性が高い。したがって、TFTの製造プロセスが容易となる。また、タングステン含有poly-Si 薄膜22の膜応力が低いということによっても、TFTの製造プロセスが容易となる。
【0058】
(その他の事項)
(1)実施の形態2では、トップゲート型TFTに関して記述した。本願発明は、これに限定されるものではなく、ボトムゲート型TFTに関しても応用できることは勿論である。
【0059】
(2)液晶ディスプレイに応用する場合には、上記のTFT製造工程が終了した後に、透明電極の形成工程、フォトリソ工程及び微細加工工程を経ることにより容易に作製することができる。
【0060】
〔実施の形態3〕
(光電変換装置の製造法)
以下、本願発明のタングステン含有シリコン薄膜を用いた光電変換装置の製造法に関し、図4及び図5に基づき詳細に説明する。なお、本実施の形態では、基板としてガラスを用いた例について説明する。
【0061】
図4に示す光電変換装置S1は、基板31上に、タングステン含有シリコン薄膜層32、シリコン光活性層33、これと異種導電型を有する半導体層34、及び受光面電極層を兼ねた導電性反射防止膜である反射防止層36を順次積層して成る。図中、37は反射防止膜36の上面に接続された表取り出し電極、38はタングステン含有シリコン薄膜層32の上面に接続された裏取り出し電極であり、半導体層33に生じた起電力を表取り出し電極37、裏取り出し電極38からそれぞれ取り出すようにしている。
【0062】
このような光電変換装置の製造にあたっては、まず、ガラス基板である基板31上に、アルミニウムなどを含んだ金属薄膜層(図示せず)を電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等の真空製膜法により成膜する。
【0063】
次に、実施の形態1に記載した方法により、タングステン含有シリコン薄膜層32を形成した後、タングステン含有シリコン薄膜層32上に光活性層33を厚さ数μm〜数十μm程度に形成する。このとき、タングステン含有シリコン薄膜層32と光活性層33との製膜手段及び製膜装置が異なり、やむを得ず大気接触させる様な場合には、光活性層33の製膜前に弗化水素酸処理等の薬液処理を施せば、タングステン含有シリコン薄膜層32の表面に形成された自然酸化膜の除去が可能である。
【0064】
次いで、上記光活性層33上に同層と異種導電型の非晶質、多結晶もしくは微結晶を含む非単結晶シリコンから成る半導体層34をPECVD法やスパッタ法等の真空製膜法により厚さ数100nm以下に形成する。
【0065】
しかる後、上記半導体層34上に、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等の反射防止膜となる絶縁性反射防止膜、あるいは、ITOやSnO2 等の導電性反射防止膜36を、PECVD法やスパッタ法等の真空製膜法を用いて数十nm程度の膜厚で製膜する。
【0066】
最後に、上記反射防止膜36上に表取り出し電極37を、更にタングステン含有シリコン薄膜層32上に裏取り出し電極38を、それぞれ真空製膜技術、プリント及び焼成技術、さらにメッキ技術等の技術で形成することにより、光電変換装置を作製した。
【0067】
尚、タングステン含有シリコン薄膜層32上に裏取り出し電極38を形成する場合には、タングステン含有シリコン薄膜層32は素子の裏電極として機能する。
【0068】
(その他の事項)
(1)絶縁性の反射防止膜36を半導体層34上にコートする場合は、表取り出し電極37を形成させる領域をバッファードフッ酸等の適当な薬液によるエッチング技術等により除去して半導体層34のシリコン層を露出させ、ここに表取り出し電極37を接続することも可能である。
【0069】
(2)光活性層33半導体層34とで形成されるpn接合の品質によっては、図5に示すように、光活性層33と半導体層34の間に、真性型(i型)の非単結晶シリコン層35を介在させてもよい。特に半導体層35をa-Si:Hで形成する場合は、その膜厚を1〜50nm程度にするのが望ましく、また、半導体層35を結晶質シリコンで形成する場合には1μm以下とするのが望ましい。さらに、半導体層34及び半導体層35を特に水素を含んだ雰囲気下で形成すると、各層の界面及びその近傍の欠陥準位を水素で終端、不活性化することができ、より品質の高いpn接合またはpin接合を得ることができる。
【0070】
(3)RIE法を用いて、素子表面に結晶シリコンの結晶方位に依存しないランダム且つ微細な凹凸形状を形成し、光利用効率を高めて素子変換効率を向上させる場合は、pn接合を形成する前に、光活性層33に対してRIE法を適用し、その後半導体層34を形成するのが望ましい。
【0071】
(4)本実施の形態では、基板としてガラスを用いたが、これに限定するものではなく、SUS基板、あるいはカーボン基板等に置き換えてもよい。また、上記基板上にチタン、ニッケル等の金属層またはその窒化膜層またはそのシリサイド層を予め形成したものを基板として用いてもよい。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように、本願発明のタングステン含有シリコン薄膜は、膜応力が小さく、薬液耐性が高いので、TFT、光電変換装置などの作製プロセスに困難が生じない。これにより、poly-Si 膜TFTの作製が容易に可能となり、大画面・高精細液晶ディスプレイの画素TFTに応用可能である。また、ELA法を用いること無く、一部の駆動回路をガラス基板に内蔵可能となる。また、光電変換装置については、特に非受光面側電極からの形成を行うサブストレート型素子の作製が容易となり、製造コストの削減が可能となる。
以上により、本願発明の産業に与える意義は非常に大きいと言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施の形態1に関わるタングステン含有シリコン薄膜の製造方法の概略を示す説明図である。
【図2】本願発明の実施の形態2に関わるタングステン含有シリコン薄膜をチャンネル層とする薄膜トランジスタの断面図である。
【図3】本願発明の実施の形態2に関わるタングステン含有シリコン薄膜をチャンネル層とする薄膜トランジスタの製造工程を示す、工程別概略断面図である。
【図4】本願発明の実施の形態3に関わるタングステン含有シリコン薄膜を用いた光電変換装置の概略図である。
【図5】本願発明の実施の形態3に関わるタングステン含有シリコン薄膜を用いた他の光電変換装置の概略図である。
【図6】本願発明のタングステン含有シリコン薄膜中のタングステン含有量と弗化水素酸による剥離時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 :チャンバ
2 :タングステン線
3 :基板
4 :タングステン含有シリコン薄膜
21:絶縁性基板
22:タングステン含有ポリシリコン薄膜
23:ゲート絶縁膜
24:ゲート電極
25:ソース・ドレイン領域
26:層間絶縁膜
27:ソース・ドレイン電極
31:素子基板
32:タングステン含有シリコン薄膜層
33:光活性層
34:半導体層
35:バッファー層
36:反射防止層
37:表取り出し電極
38:裏取り出し電極
Claims (7)
- 成膜装置のチャンバ内に少なくともシリコン化合物ガスを導入し、1900℃以上2200℃以下の温度に抵抗加熱されたタングステンと前記シリコン化合物ガスを接触させ、前記シリコン化合物ガスを分解し、100℃以上、600℃以下に加熱された絶縁性基板上に薄膜の形態で付着させることを特徴とするタングステン含有シリコン薄膜の製造方法。
- 前記シリコン化合物ガスがモノシラン、ジシラン、及びモノシランとジシランとの混合ガスから成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のタングステン含有シリコン薄膜の製造方法。
- 成膜装置のチャンバ内に水素ガスを導入し、前記タングステンと前記水素ガスを接触させ、前記水素ガスを分解し、絶縁性基板に照射する工程を付加したことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタングステン含有シリコン薄膜の製造方法。
- 前記成膜装置のチャンバ内の真空状態を維持しつつ、照射工程の直前に水素をチャンバ内に導入することを特徴とする、請求項3に記載のタングステン含有シリコン薄膜の製造方法。
- 前記シリコン化合物ガスを水素ガスで稀釈して用いることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のタングステン含有シリコン薄膜の製造方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法によって形成されたタングステン含有シリコン薄膜をチャンネル層とすることを特徴とする、薄膜トランジスタの製造方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法によって形成されたタングステン含有シリコン薄膜を光活性層として用いるか、或いは前記タングステン含有シリコン薄膜層の他に光活性層を設ける場合には、光活性層と裏取出電極との間にタングステン含有シリコン薄膜の層を介在させることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
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