JP4737489B2 - 防腐防カビ防藻剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プール、防火設備、噴水、レジャーランド等の水処理用の防腐防カビ防藻剤、工業製品の製造過程で使用する水処理用の防腐防カビ防藻剤、工業用原料及び製品の保管場所、製品の製造場所の床、壁、天井等で使用する防腐防カビ防藻剤並びに工業用原料及び工業製品の防腐防カビ防藻剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
防腐防カビ剤及び防藻剤は、細菌、酵母、糸状菌及び藻類の生育及び増殖による様々な弊害(微生物による環境汚染及び劣化)を防止するために用いられる。本発明の防腐防カビ防藻剤の有効成分であるポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド](以下「化合物(1)」という)及びN,N-ジデシル-N,N-ジメチルアンモニウムクロライド(以下「化合物(2)」という)は、いずれも防腐防カビ剤或いは防藻剤として知られている。
【0003】
【化3】
【0004】
【化4】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
微生物による環境汚染及び劣化を防止するためには、細菌、酵母、糸状菌及び藻類等各種の微生物の発生を非選択的にかつ撲滅的に防止しなければならない。ところが、従来の防腐防カビ剤及び防藻剤は、人畜に対する毒性を考慮し使用量を減らした場合、効果が著しく弱くなったり、或いは長期間にわたる効果の持続が難しいものが多い。また、これまでの薬剤は、防腐防カビ効果と防藻効果の両方の効果を充分に発揮するものが少ない。本発明において使用する化合物(1)及び化合物(2)はいずれもこのような欠点を有し、単独での使用は必ずしも満足のいくものではない。従って、従来の薬剤に代えて、防腐防カビ効果と防藻効果の両方の効果を兼ね備えた、少ない薬量で各種微生物の発生を長期にわたり防止しうる新規な防腐防カビ防藻剤の開発が要望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、化合物(1)と化合物(2)を併用することにより、細菌、酵母、糸状菌及び藻類等各種の微生物による環境汚染及び劣化を防止する防腐防カビ防藻剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、一般式(1)
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、nは5〜77までの数を表し、化合物の平均分子量は1250〜20000の範囲である。)で表されるポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]と、一般式(2)
【0009】
【化6】
【0010】
で表されるN,N-ジデシル-N,N-ジメチルアンモニウムクロライドとの2種成分を含有することを特徴とする防腐防カビ防藻剤に関するものである。
【0011】
本発明の防腐防カビ防藻剤は、化合物(1)或いは化合物(2)を単独で用いた場合に比較し、防腐防カビ効果及び防藻効果の双方において相乗的効果を発現する。
【0012】
その結果、特に貯水施設等において、低薬量で強力な清浄維持効果を示すため、防腐防カビ防藻剤として有用である。
【0013】
防腐防カビ防藻剤とは、貯水施設等において、細菌、カビ及び藻の発生を抑え、結果的に長期にわたって水を清浄に維持しうる薬剤を意味する。
【0014】
この場合、防腐防カビ作用を有する薬剤だけでは、藻の発生を抑えることができず、又防藻作用を有する薬剤だけでは、細菌及びカビの発生を抑えることができないため、防腐防カビ防藻剤とはなり得ない。
【0015】
防腐防カビ防藻剤は、基本的には、防腐防カビ作用と防藻作用を併せ持つことが必要と考えられるが、たとえ両作用が強力でなくても結果的に長期にわたって貯水施設を清浄に維持しうる薬剤であればよい。
【0016】
防腐防カビ防藻剤は、貯水施設に限らず、工業施設又は製品で、水が存在し、その結果、細菌、カビ及び藻が発生しうるところであれば、どこにでも使用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の防腐防カビ防藻剤は、化合物(1)及び化合物(2)を有効成分として含んでいればよい。
【0018】
又、本発明の防腐防カビ防藻剤は、防腐防カビ剤又は防藻剤として用いることもできる。
【0019】
本発明の防腐防カビ防藻剤の製剤は、本発明で使用する化合物(1)及び化合物(2)を含む有効成分に、適当な担体及び補助剤、例えば界面活性剤、結合剤、安定剤などを配合して混合し、常法によって水和剤、乳剤、液剤、ゾル剤(フロアブル剤)及びその他の適当な剤形に製剤化して使用される。
【0020】
これらの製剤を調製する場合、化合物(1)及び化合物(2)を含む有効成分の配合量は、水和剤、乳剤、液剤、ゾル剤及びその他の適当な製剤が調製できる限りにおいて特に制限はないが、これら製剤の重量に対し、1−90重量%、好ましくは10−80重量%の範囲である。
【0021】
使用できる担体としては、防腐防カビ剤及び防藻剤に常用されるものであれば固体又は液体のいずれも使用でき、特定のものに限定されるものではない。
【0022】
固体担体の例としては、鉱物質粉末、例えばカオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、珪藻土、雲母、バーミキュライト、石膏、炭酸カルシウム、燐石灰、ホワイトカーボン、消石灰、珪砂、硫安、尿素等、又は植物性粉末、例えば大豆粉、澱粉、結晶セルロース等、アルミナ、珪酸塩、糖重合体、高分散性珪酸、ワックス類、等が挙げられる。
【0023】
液体担体の例としては、水、アルコール類、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール等、芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クメン、メチルナフタレン等、又はハロゲン化炭化水素類、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、エチレンジクロリド等、エーテル類、例えばエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセテート、酢酸アミル等、ニトリル類、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等、スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド等、アルコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等、アミン類、例えばトリエチルアミン等、並びに脂肪族及び脂環式炭化水素類、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン等、さらに工業用ガソリン(石油エーテル、ソルベントナフサ等)及び石油留分(パラフィン類、灯油、軽油等)、等が挙げられる。
【0024】
乳剤、水和剤、ゾル剤(フロアブル剤)、液剤等の製剤の場合には、乳化、分散、可溶化、湿潤、拡展等の目的で界面活性剤が配合されてもよい。
【0025】
このような界面活性剤としては、次に示されるものが挙げられるが、これらのもののみに限定されるものではない。
【0026】
非イオン型界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル及びソルビタンアルキルエステル、等が挙げられる。
【0027】
陰イオン型界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネート及びラウリルサルフェート、等が挙げられる。
【0028】
陽イオン型界面活性剤の例としては、アルキルアミン類(ラウリルアミン、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド及びアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド等)、等が挙げられる。
【0029】
両性型界面活性剤の例としては、カルボン酸(ベタイン型)硫酸エステル、等が挙げられる。
【0030】
また、これらの他に、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アラビアゴム、ポリビニルアセテート、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、トラガカントゴム、グアガム、ザンサンガム及びヒドロキシプロピルセルロース等の増粘剤及び各種補助剤を配合することができる。
【0031】
さらに必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤等のような安定化剤を適量加えることができる。
【0032】
本発明の防腐防カビ防藻剤は、必要により、他の公知の防腐防カビ剤又は防藻剤をさらに含有させ、用いることができる。
【0033】
以下に代表例を列記するが、これらに限定されるものではない。
【0034】
N-デシル-N-イソノニル-N,N-ジメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどの4級アンモニウム化合物;
グルタルアルデヒドなどのアルデヒド系化合物;
1、2−ジブロモ−2、4−ジシアノブタン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサンなどのハロゲン化化合物;
ブロモクロロジメチルヒダントイン、トリクロロイソシアヌル酸などの N-ハロゲン系化合物;
ポリ(ヘキサメチレン ビグアナイド)塩酸塩などのグアナイド系化合物;
ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、プロピレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛、エチレンビスジチオカルバミン酸マンガン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバメート鉄などのジチオカルバメート系金属化合物;
銅粉、銅−ニッケル合金粉などの銅系金属粉;
酸化第一銅、チオシアン酸第一銅(ロダン銅)、塩基性炭酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、アビエチン酸銅、銅オキシキノリンなどの銅系化合物;
2-ピリジンチオール-1-オキシド亜鉛塩、2-ピリジンチオール-1-オキシド銅塩などのピリチオン系金属化合物;
テトラメチルチウラムジサルファイド、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラ−n−プロピルチウラムジサルファイド、テトライソプロピルチウラムジサルファイド、テトラ−n−ブチルチウラムジサルファイド、テトライソブチルチウラムジサルファイド、N,N'−エチレンビスチオカルバモイルサルファイド、N,N'−プロピレンビスチオカルバモイルサルファイド、N,N'−ブチレンビスチオカルバモイルサルファイドなどのチウラム系化合物;
2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンツイミダゾール、メチル−1−(ω−シアノペンチルカルバモイル)−2−ベンツイミダゾール、2−メルカプトベンツイミダゾール亜鉛、2−チオシアノメチルチオベンツイミダゾールなどのベンツイミダゾール系化合物;
2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2−(チオシアノメチルスルホニル)ベンゾチアゾール、2−チオシアノエチルチオ−4−クロロベンゾチアゾール、2−チオシアノプロピルチオ−5,7−ジクロロベンゾチアゾール、2−チオシアノメチルチオ−4,5,6,7−テトラクロロベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物;
テトラフルオロイソフタロニトリル、テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4−ジフルオロ−6−メトキシイソフタロニトリル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物;
5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、5−クロロ−2−n−デシル−3−イソチアゾロン、4,5−ジクロロ−2−(4−クロロベンジル)−3−イソチアゾロン、4,5−ジクロロ−2−(4−クロロフェニル)−3−イソチアゾロン、4,5−ジクロロ−2−n−ヘキシル−3−イソチアゾロン、4,5−トリメチレン−2−メチル−3−イソチアゾロン、4−メチル−5−クロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−3−イソチアゾロン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系化合物;
1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラニル−2−メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、4,4−ジメチル−2(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−1−(4−トリフルオロメチル−2−クロロフェニル)−1−ペンテン−2−オールなどのトリアゾール系化合物;
2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2,3,6−トリクロロ−4−プロピルスルホニルピリジン、2,6−ジクロロ−3,5−ジシアノ−4−フェニルピリジンなどのピリジン化合物;
2,4−ジクロロ−6−(o−クロロアニリノ)−s−トリアジン、2−クロロ−4−メチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン、2−クロロ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン、2−クロロ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどのトリアジン系化合物;
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−メチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1−メトキシ−1−メチル尿素、1−(α,α’−ジメチルベンジル)−3−メチル−3−フェニル尿素、1−(2−メチルシクロヘキシル)−3−フェニル尿素、3−(4−イソプロピルフェニル)−1,1−ジメチル尿素などの尿素系化合物;
2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノン、2,3−ジシアノ−1,4−ジチアアントラキノンなどのキノン系化合物;
N−トリクロロメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−トリクロロメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロロメチルチオフタルイミド、N,N−ジメチル−N'−フェニル−N'−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、トリクロロメチルチオメタンスルホン−p−クロロアニリド、N−(1,1,2,2,−テトラクロロ−2−フルオロエチルチオ)メタンスルホンアニリド、N−フルオロジクロロメチルチオ−N−3−クロロフェニル−N'−ジメチル尿素、N−フルオロジクロロメチルチオ−N−3,4−ジクロロフェニル−N'−メチル尿素、N−フルオロジクロロメチルチオ−N−トリススルホニル−N−メチルアミンなどのN−ハロアルキルチオ系化合物;
N−フェネチルジクロロマレイミド、N−ベンジルジクロロマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−フルオロフェニル)マレイミド、N−(3,5−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−4−トリルマレイミド、N−2,4−キシリルマレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2',6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2'−メチル−6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2',6'−ジメチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2',4',6'−トリメチルフェニル)マレイミドなどのマレイミド系化合物;
3,5−ジメチル−テトラヒドロ−1,3,5,2(H)−チアジアジン−2−オン、3,3'−エチレンビス(テトラヒドロ−4,6−ジメチル−2H−1,3,5−チアジアジン−2−オン、3,5−ジメチル−2−チオテトラヒドロ−1,3,5−チアジアジン、3,5−ジベンジルテトラヒドロ−1,3,5−チアジアジン−2−チオンなどのチアジアジン系化合物;
チオシアン化メチル、チオシアン化クロロメチル、チオシアン化エチル、メチレンビスチオシアネート、クロロメチレンビスチオシアネート、エチレンビスチオシアネート、クロロエチレンビスチオシアネート、イソボルニルチオシアナセテ−ト、メチルイソチオシアネート、アリルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートなどのチオシアン化合物;
カプリルフェノ−ル、ノニルフェノ−ルなどのアルキルフェノ−ル化合物;
トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイトなどのアルキルフェニルホスファイト化合物;
トリス(オクチルフェニル)ホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス(ジノニルフェニル)ホスフェート、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスフェートなどのアルキルフェニルホスフェート化合物;
O−3−ヨ−ド−2−プロピニル−N−ブチルカーバメート、N−3−ヨ−ド−2−プロピニル−O−ブチルカーバメート、2,3,3−トリヨードアリルアルコール、ジヨードメチルパラトリルスルホンなどのヨウ素化合物;
n−オクチルクロロメチルジスルフィドなどのポリスルフィド化合物;
ピリジントリフェニルボランなどのホウ素化合物;
フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライドなどのビスマス化合物。
【0035】
本発明の、化合物(1)及び化合物(2)を有効成分として含む、防腐防カビ防藻剤としては、以下の用途に用いることができる。
1)プール、防火設備、噴水、レジャーランド等の水処理用の防腐防カビ防藻。
2)ビル空調及び工業製品の製造過程で使用する水処理用の防腐防カビ防藻、例えば、切削油の防腐;工場の製造設備及びビル空調等における冷却塔;パルプ及び製紙工場等の殺菌及びスライム生成防止;サトウキビ及びテンサイ糖の製造装置へのスライム堆積の防護;エアーウオッシャー、スクラッバーシステム及び工業用淡水供給システムにおける微生物蓄積及び堆積の防止;油田切削油、泥水中及び二次石油回収プロセスにおける微生物汚染及び堆積の防止;写真処理における微生物蓄積の防止。
3)工業用原料及び製品の保管場所、製品の製造場所等の床、壁、天井等で使用する防腐防カビ防藻、例えば、塗料皮膜、特に外装塗料の塗料皮膜が風雨に曝されている間に発生する細菌・真菌及び藻類による攻撃からの防御;食品工場等の衛生環境保持;製造設備の洗浄時、下水処理場、し尿処理場等の消臭殺菌。
4)工業用原料及び工業製品の防腐防カビ防藻、例えば、水性の塗料、接着材、ラテックス、アクリル等のエマルジョン製品、デンプン、顔料、炭酸カルシウム等のスラリー製品及びジョイントセメントの中の細菌、真菌及び藻類の生長抑制;建材(建築建材、土木建材等)の木材の防腐;界面活性剤の防カビ;繊維、織物及び皮革への噴霧または浸漬処理による抗菌・抗カビ処理;塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、変性シリコン、ナイロン、エポキシ等の樹脂から成る内装・外装材(住宅用、医療施設用)、建材(建築建材、土木建材等)、家電製品、家庭用雑貨、スポーツ用品等の抗菌・抗カビ及び防藻;紙被覆材及び被覆加工における細菌及び真菌の生育防止;化粧品及びトイレタリー製品の微生物汚染の防止;農業用配合物、電着システム、診断及び薬剤製品、医療機器等の微生物汚染の防止。
【0036】
化合物(1)は、米国特許3,771,989号及び米国特許4,250,269号記載の方法により合成することができ、又、市販品をそのまま用いることもできる。
【0037】
化合物(1)の構造式中、nの数値は、5〜77の範囲であり、化合物(1)の平均分子量は1250〜20000の範囲である。
【0038】
化合物(2)は、米国特許4,450,174号記載の方法により合成することができ、又、市販品をそのまま用いることもできる。
【0039】
化合物(1)と化合物(2)の配合割合(重量比)は、0.1〜10(化合物(1)/化合物(2))、好ましくは0.5〜6(化合物(1)/化合物(2))、より好ましくは1〜3(化合物(1)/化合物(2))の範囲を用いることができる。
【0040】
化合物(1)及び化合物(2)を含む有効成分を、防腐防カビ防藻剤として用いる場合の処方例を以下に示すが、各成分の配合割合、担体及び補助剤の種類また添加量等はこれらに限定されるものではない。
【0041】
【表1】
上記を混合溶解して有効成分60%を含む液剤を得た。
【0042】
【表2】
上記を混合溶解して有効成分55%を含む液剤を得た。
【0043】
【表3】
上記を混合溶解して有効成分30%を含む乳剤を得た。
【0044】
【表4】
上記を均一に混合粉砕して有効成分20%を含む水和剤を得た。
【0045】
【表5】
上記をボールミルに入れ12時間粉砕混合して有効成分30%を含むフロアブル剤を得た。
【0046】
製剤化された本発明の防腐防カビ防藻剤は、各種の製剤をそのまま、又は水若しくは適当な有機溶媒で希釈して適用することができる。
【0047】
工業用原料及び工業製品の防腐防カビ防藻剤として用いる場合には、各種の工業用原材料中にまたは製品中に添加混合する方法、各種の工業用原材料や製品の表面に塗布または噴霧する方法または各種の工業用原材料や製品を本発明の防腐防カビ剤防藻剤の希釈液中に浸漬する方法、等を含め、これまでに一般的に行われてきた工業用防腐防カビ剤及び防藻剤の使用方法に従って各種の方法により使用できるが、いずれの特定の方法のみに限定されるものではない。
【0048】
【実施例】
以下、本発明について、更に具体的かつ詳細に本発明化合物を用い実施例で説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
実施例1 (抗菌・抗カビ活性評価)
溶液1:化合物1の溶液(60%化合物1、40%水)
溶液2:化合物2の溶液(50%化合物2、20%イソプロパノール、30%水)
溶液3 溶液1と溶液2の混合溶液(溶液1:溶液2=1:1)
【0050】
上記の溶液をそれぞれジメチルスルホキシドで希釈し、各種濃度の溶液を調製した。これを細菌については感受性用培地−N(日水製薬)を用い、真菌についてはポテトデキストロース寒天培地(日水製薬)を用い、各9.5mlに上記溶液0.5mlを添加混合し、シャーレに流して固化平板とした。接種細菌は感受性測定用ブイヨン(日水製薬)で37℃、20時間培養し、また、真菌はポテトデキストロース寒天培地(日水製薬)で10日間培養し、それぞれ106CFU/mlの懸濁液を調製した。試験菌懸濁液を白金耳を用いて薬剤混合寒天平板に画線塗布し、細菌については37±1℃で18〜20時間、真菌については27℃で7日間培養し、それぞれ発育の見られない濃度をもって最小発育阻止濃度(MIC)とした。但し、表記の濃度(ppm)は、化合物の濃度ではなく、溶液自体の濃度(水、イソプロパノール等の溶媒を含める。)を表す。
【0051】
結果を第1表に示した。但し、表中の記号は以下を意味する。
A: バチルス サブチルス (Bacillus subtilis)
B: エシェリッチア コリ(Escherichia coli)
C: ロドトルラ ムシラギノーサ (Rhodotorula mucilaginosa)
D: トリコフィトン メンタグロフィテス (Trichophyton mentagrophytes)
【0052】
【表6】
【0053】
溶液1は、抗菌・抗カビ活性を示さず、溶液2は、強力な抗菌・抗カビ活性を示した。
溶液3は、溶液1:溶液2=1:1の混合溶液であるので、溶液2の1/2の活性を示す事が予想される。
しかしながら、実際には、抗菌・抗カビ活性を示さない溶液1により希釈されたにも係わらず、溶液2と同等以上の活性を示した。
従って、化合物1と化合物2を混合することにより、抗菌・抗カビ活性が強力になる(相乗効果)ことが明らかとなった。
【0054】
実施例2 (淡水緑藻類に対する増殖阻害活性評価)
実施例1で調製した溶液1〜3に加えて、以下の溶液を調製した。
【0055】
溶液4 溶液1と溶液2の混合溶液(溶液1:溶液2=3:1)
【0056】
溶液1〜4をそれぞれジメチルスルホキシドで希釈し、各種濃度の溶液を調製した。
対数増殖期にある淡水緑藻類 (セレナストルム カプリコルヌタム,Selenastrum capricornutum) 104/mlを含む培地に,各々上記溶液を加え、各種濃度の試料を調製し,23±1℃,24時間連続照明条件で静置培養した。
72時間後に血球計数装置を用いて細胞数を測定することにより増殖阻害活性を、EC50(増殖を50%抑制する濃度)及びEC90(増殖を90%抑制する濃度)で示した。
但し、表記の濃度(ppb)は、化合物の濃度ではなく、溶液自体の濃度(水、イソプロパノール等の溶媒を含める。)を表す。
結果を第2表に示した。
【0057】
【表7】
第2表 淡水緑藻類に対する活性
────────────────
溶液 増殖阻害濃度 (ppb)
No. EC50 EC90
────────────────
1 8.2 137
2 627 1600
3 6.8 52
4 7.4 70
────────────────
【0058】
溶液1は、淡水緑藻類に対して、高い増殖阻害活性を示したが、溶液2の増殖阻害活性は低いものであった。
溶液3及び溶液4は、溶液1:溶液2=1:1〜3:1の混合溶液であるので、溶液1よりも増殖阻害活性が低下することが予測される。
しかしながら、実際の活性は、溶液1と同等或いはそれ以上の活性を示した。
従って、化合物1及び化合物2を混合することにより、増殖阻害活性が増強(相乗効果)されることが明らかとなった。
【0059】
【発明の効果】
化合物1及び化合物2を含有する組成物は、安全性が高く、低薬量で幅広いスペクトラムを発現し、防腐防カビ防藻剤として有用である。
Claims (3)
- 一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物との重量比(一般式(1)/一般式(2))が0.1〜10の範囲である請求項1記載の防腐防カビ防藻剤。
- 一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物との重量比(一般式(1)/一般式(2))が0.5〜6の範囲である請求項2記載の防腐防カビ防藻剤。
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