JP4736972B2 - 多方向操作スイッチ - Google Patents

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本発明は、主に自動車のフロントパネルやステアリングに装着され、音響や空調機器等の操作に用いられる多方向操作スイッチに関するものである。
近年、車室内のフロントパネルやステアリングに様々な操作方式のスイッチを配置し、これによって車室内のオーディオやエアコン等の各種電子機器の操作を行うものが増えている。
このような従来の多方向操作スイッチについて、図6〜図8を用いて説明する。
図6は従来の多方向操作スイッチの断面図、図7は同分解斜視図であり、同図において、1は略箱型で絶縁樹脂製のケース、2は同じく絶縁樹脂製の操作体で、ケース1上面には上方へ突出する角筒状の保持部1Aが形成されると共に、この保持部1Aに中央の軸部2Aを軸支されて、操作体2がケース1に揺動可能に装着されている。
そして、3は略円柱状で絶縁樹脂製の押圧体で、ケース1の保持部1Aに形成された挿通孔1B内に、複数の押圧体3が上下動可能に装着されると共に、この押圧体3上端が操作体2下面の左右端近傍に当接している。
また、4は上下面に複数の導電パターン(図示せず)が形成された配線基板で、配線基板4上面左右には複数のプッシュスイッチ5が実装されて、スイッチ接点が形成されると共に、このプッシュスイッチ5の上方に付勢された操作軸5Aが、押圧体3下端に各々弾接している。
さらに、ケース1上面の保持部1Cには、絶縁樹脂製の複数の押釦6が上下動可能に装着されると共に、この押釦6下面から突出した突起部6A下端が、下方のプッシュスイッチ5の操作軸5Aに各々弾接している。
そして、配線基板4上面には発光ダイオード等の発光素子7やコネクタ8が実装されると共に、ケース1下面には絶縁樹脂製のカバー9がネジ10によって取り付けられ、このカバー9が配線基板4下面を覆って多方向操作スイッチが構成されている。
また、このような多方向操作スイッチが車室内のフロントパネルやステアリングに装着され、プッシュスイッチ5や発光素子7が配線基板3やコネクタ8を介して、オーディオやエアコン等の各種電子機器や、自動車の電子機器(図示せず)に電気的に接続される。
以上の構成において、図6に示す中立位置の状態から、図8の断面図に示すように、例えば操作体2上面の左端を指で下方へ押圧操作すると、操作体2が軸部2Aを支点として左方向に揺動し、操作体2の左端下面が押圧体3上端を押圧して、押圧体3がケース1の挿通孔1B内を下方へ移動する。
そして、押圧体3下端が左方のプッシュスイッチ5の操作軸5Aを付勢力に逆らって押圧し、プッシュスイッチ5内の略ドーム状の可動接点(図示せず)が反転して、プッシュスイッチ5の電気的接離が行われ、この電気信号がコネクタ8等から出力されて、例えば、オーディオの音量やエアコンの温度等が増加する。
また、操作体2左端から指を離すと、プッシュスイッチ5内の可動接点の復帰力によって、操作軸5Aが上方へ付勢されるため、操作軸5Aに下端が当接した押圧体3が上方へ移動し、操作体2も操作軸5Aの復帰力によって図6の中立状態に戻る。
さらに、上記とは逆に、操作体2の右端を指で下方へ押圧操作した場合には、操作体2が右方向に揺動して右方の押圧体3が下方へ移動し、右方のプッシュスイッチ5の電気的接離が行われ、例えば、オーディオの音量やエアコンの温度等が減少する。
そして、押釦6を押圧操作した場合には、この下方のプッシュスイッチ5が突起部6Aに操作軸5Aを押圧されて、電気的接離が行われると共に、夜間等の周囲が暗い場合には、発光素子7が発光して操作体2や押釦6を下方から照光し、操作体2や押釦6の識別や操作を容易に行えるように、構成されているものであった。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2005−302353号公報
しかしながら、上記従来の多方向操作スイッチにおいては、操作体2を押圧操作した後、例えば図8に示したように、操作体2左端を下方へ押圧操作した後、操作体2から指を離すと、プッシュスイッチ5の復帰力によって左方の押圧体3が上方へ移動し、この上端に下面を押圧されて操作体2が図6の中立状態に戻るが、この時、操作体2が右方向へ揺動子、操作体2の右端下面が右方の押圧体3上端に弾接して、衝撃音が発生する。
つまり、操作体2の左端または右端を押圧操作した後、特に、急に指を離した場合、プッシュスイッチ5の復帰力に付勢された操作体2が中立位置に戻る際、操作した方向と逆側の操作体2下面が押圧体3上端に弾接して衝撃音が生じ、この音がケース1内で反響して、異音が発生し易くなるという課題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡易な構成で操作時の異音を防ぎ、良好な操作感触の多方向操作スイッチを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、略箱型のケースと、このケースに揺動可能に装着された操作体と、上記ケースに上下動可能に装着され、上記操作体下面の両端近傍に上端が当接した押圧体と、この押圧体の上下動によって電気的接離を行うスイッチ接点からなり、上記押圧体上端にT字状の段差部を設け、このT字状の段差部に圧入装着又は二色成形による一体形成によって弾性部を設けて多方向操作スイッチを構成したものであり、押圧操作後に操作体が中立位置に戻る際、押圧体上端の弾性部によって、操作体下面との衝撃が緩和され、異音の発生を少なくできるため、簡易な構成で操作時の小音化が図れ、良好な操作感触の多方向操作スイッチを得ることができるという作用を有する。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、押圧体下端のケースとの当接部に、弾性部を形成したものであり、操作体との衝撃緩和に加え、押圧体が上下動する際のケースとの衝撃も緩和できるため、さらに衝撃音を少なくし小音化を図ることができるという作用を有する。
以上のように本発明によれば、簡易な構成で操作時の異音を防ぎ、良好な操作感触の多方向操作スイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による多方向操作スイッチの断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1はポリオキシメチレンやポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製で略箱型のケース、2はポリカーボネイトやABS等の絶縁樹脂製の操作体で、ケース1上面には上方へ突出する角筒状の保持部1Aが形成されると共に、この保持部1Aに中央の軸部2Aを軸支されて、操作体2がケース1に揺動可能に装着されている。
そして、13はポリオキシメチレン等の絶縁樹脂製で略円柱状の押圧体で、ケース1の保持部1Aに形成された挿通孔1B内に、複数の押圧体13が上下動可能に装着されると共に、押圧体13上端の略T字状の段差にはゴムやエラストマー等の弾性部13Aが圧入装着され、この弾性部13A上面が操作体2下面の左右端近傍に当接している。
また、4は上下面に銅等の複数の導電パターン(図示せず)が形成されたエポキシや紙フェノール等の配線基板で、配線基板4上面左右には複数のプッシュスイッチ5が実装されて、スイッチ接点が形成されると共に、このプッシュスイッチ5の上方に付勢された操作軸5Aが、押圧体13下端のやや径の大きな鍔部13B下面に各々弾接している。
さらに、ケース1上面の保持部1Cには、絶縁樹脂製の複数の押釦6が上下動可能に装着されると共に、この押釦6下面から突出した突起部6A下端が、下方のプッシュスイッチ5の操作軸5Aに各々弾接している。
そして、配線基板4上面には発光ダイオード等の発光素子7やコネクタ8が実装されると共に、ケース1下面にはポリオキシメチレンやポリブチレンテレフタレート等の絶縁樹脂製のカバー9が、ネジ10によって取付けられ、このカバー9が配線基板4下面を覆って多方向操作スイッチが構成されている。
また、このような多方向操作スイッチが車室内のフロントパネルやステアリングに装着され、プッシュスイッチ5や発光素子7が配線基板3やコネクタ8を介して、オーディオやエアコン等の各種電子機器や、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
以上の構成において、図1に示す中立位置の状態から、図3の断面図に示すように、例えば操作体2上面の左端を指で下方へ押圧操作すると、操作体2が軸部2Aを支点として左方向に揺動し、操作体2の左端下面が押圧体13上端の弾性部13A上面を押圧して、押圧体13がケース1の挿通孔1B内を下方へ移動する。
そして、押圧体13下端の鍔部13B下面が、左方のプッシュスイッチ5の操作軸5Aを付勢力に逆らって押圧し、プッシュスイッチ5内の略ドーム状の可動接点(図示せず)が反転して、プッシュスイッチ5の電気的接離が行われ、この電気信号がコネクタ8等から出力されて、例えば、オーディオの音量やエアコンの温度等が増加する。
また、操作体2左端から指を離すと、プッシュスイッチ5内の可動接点の復帰力によって、操作軸5Aが上方へ付勢されるため、操作軸5Aに下端が当接した押圧体13が上方へ移動し、操作体2も操作軸5Aの復帰力によって図1の中立状態に戻る。
さらに、上記とは逆に、操作体2の右端を指で下方へ押圧操作した場合には、操作体2が右方向に揺動して右方の押圧体13が下方へ移動し、右方のプッシュスイッチ5の電気的接離が行われ、例えば、オーディオの音量やエアコンの温度等が減少する。
そして、押釦6を押圧操作した場合には、この下方のプッシュスイッチ5が突起部6Aに操作軸5Aを押圧されて、電気的接離が行われると共に、夜間等の周囲が暗い場合には、発光素子7が発光して操作体2や押釦6を下方から照光し、操作体2や押釦6の識別や操作を容易に行えるように、構成されている。
なお、例えば図3に示したように、操作体2左端を下方へ押圧操作した後、操作体2から指を離すと、プッシュスイッチ5の復帰力によって左方の押圧体13が上方へ移動し、この上端に下面を押圧されて操作体2が右方向へ揺動し、操作体2の右端下面が右方の押圧体13上端に弾接して、図1の中立状態に戻るが、この時、操作体2の右端下面は、右方の押圧体13上端の弾性部13A上面に弾接する。
つまり、操作体2の左端または右端を押圧操作した後、例えば急に指を離したとしても、プッシュスイッチ5の復帰力に付勢された操作体2が中立位置に戻る際、操作した方向と逆側の操作体2下面が弾接するのは、押圧体13上端に形成された弾性部13Aであるため、硬質な絶縁樹脂どうしが弾接するような衝撃音は発生しないようになっている。
すなわち、押圧操作後に操作体2が中立位置に戻る際、押圧体13上端の弾性部13Aによって、操作体2下面との衝撃を緩和して、衝撃音の発生を防ぎ、この音がケース1内で反響する異音を抑え、操作時の小音化が図れるように構成されている。
さらに、図4の斜視図に示すように、押圧体13下端の鍔部13B上面に、リング状でゴムやエラストマー等の弾性部材を挿入装着する等によって、ケース1の挿通孔1B下面との当接部に、弾性部13Cを形成すれば、上端の弾性部13Aによる操作体2との衝撃緩和に加え、押圧体13が上下動する際のケース1との衝撃も緩和でき、より小音化を図ることも可能となる。
このように本実施の形態によれば、ケース1に上下動可能に装着され、操作体2下面の両端近傍に上端が当接した押圧体13上端に、弾性部13Aを設けることによって、押圧操作後に操作体2が中立位置に戻る際、押圧体13上端の弾性部13Aによって、操作体2下面との衝撃が緩和され、異音の発生を少なくできるため、簡易な構成で操作時の小音化が図れ、良好な操作感触の多方向操作スイッチを得ることができるものである。
また、押圧体13下端のケース1との当接部に、弾性部13Cを形成することによって、操作体2との衝撃緩和に加え、押圧体13が上下動する際のケース1との衝撃も緩和できるため、さらに衝撃音を少なくし、小音化を図ることができる。
なお、以上の説明では、押圧体13上端に弾性部13Aを圧入装着すると共に、押圧体13下端に弾性部13Cを挿入装着して、押圧体13とは別体に弾性部13Aや13Cを形成した構成について説明したが、金型内でゴムやエラストマー等と絶縁樹脂を順次成形する、所謂二色成型によって、押圧体13に弾性部13Aや13Cを一体に形成すれば、さらに製作が容易で、スイッチの組立ても短時間で行うことができる。
また、以上の説明では、ケース1上面に揺動操作用の操作体2と、押圧操作用の押釦6を装着した多方向操作スイッチについて説明したが、例えば、図5の平面図に示すように、ケース1上面に上下左右に揺動可能な操作体12を装着し、この操作体12の揺動操作によって、下方に装着された押圧体13を上下動させて、四方向のプッシュスイッチ5の電気的接離を行う構成としても、本発明の実施は可能である。
さらに、スイッチ接点として、略ドーム状の可動接点が内蔵された複数のプッシュスイッチ5を、配線基板4上面に実装した構成について説明したが、フィルム状のシート下面に形成された複数の可動接点を、配線基板4上面に形成された複数の固定接点に所定間隙で対向させた、所謂メンブレンスイッチや、略ドーム状のゴムシート下面に可動接点を形成したもの等、様々な構成のスイッチ接点においても、本発明の実施は可能である。
本発明による多方向操作スイッチは、簡易な構成で操作時の異音を防ぎ、良好な操作感触のものを実現することができ、主に自動車のフロントパネルやステアリングに装着される操作用スイッチとして有用である。
本発明の一実施の形態による多方向操作スイッチの断面図 同分解斜視図 同操作時の断面図 同他の実施の形態による斜視図 同平面図 従来の多方向操作スイッチの断面図 同分解斜視図 同操作時の断面図
符号の説明
1 ケース
1A 保持部
1B 挿通孔
2、12 操作体
2A 軸部
4 配線基板
5 プッシュスイッチ
5A 操作軸
6 押釦
6A 突起部
7 発光素子
8 コネクタ
9 カバー
10 ネジ
13 押圧体
13A、13C 弾性部
13B 鍔部

Claims (2)

  1. 略箱型のケースと、このケースに揺動可能に装着された操作体と、上記ケースに上下動可能に装着され、上記操作体下面の両端近傍に上端が当接した押圧体と、この押圧体の上下動によって電気的接離を行うスイッチ接点からなり、上記押圧体上端にT字状の段差部を設け、このT字状の段差部に圧入装着又は二色成形による一体形成によって弾性部を設けた多方向操作スイッチ。
  2. 押圧体下端のケースとの当接部に、弾性部を形成した請求項1記載の多方向操作スイッチ。
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