以下に、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置、車載ユニットの反応時間適正化方法、反応時間適正化プログラムおよびプログラム記録媒体の最良の実施形態について、車載ユニットの反応時間適正化装置を例にとってその一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、車載ユニットの反応時間適正化装置とは、車両に搭載されている1乃至複数の各車載ユニットの反応時間すなわち動作時間を、ユーザが要求する動作要求時間の許容範囲内に常時収めるように制御するための装置である。なお、本反応時間適正化装置の実施形態に関する詳細な説明により、本発明の反応時間適正化方法、反応時間適正化プログラム、および、プログラム記録媒体の実施形態についても容易に想到することができるので、これらに関する実施形態の説明は省略する。
(第1の実施形態)
本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の第1の実施形態について説明する。
まず、図1を用いて、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の一実施例を説明する。図1は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100は、無線信号を用いた無線通信ネットワークからなる車両ネットワークで構成されており、1乃至複数の車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nと、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nと、ゲートウェイ3と、通信間隔変更処理ユニット4とを有している。
1乃至複数の車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれは、当該車載ユニットの名称や種類を識別し、機能内容を少なくとも識別可能な固有の車載ユニットIDを有し、車両の一部として動作する。また、1乃至複数の通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nは、該車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに接続され、それぞれに固有の通信IDを有して、ゲートウェイ3を介して、通信間隔変更処理ユニット4または他の通信手段と互いに通信を行う。ゲートウェイ3は、車両内の無線ネットワークの通信ノードを構成し、各通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nの無線通信を統括する。通信間隔変更処理ユニット4は、各通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nにおける信号の通信間隔の変更処理を司る。
また、通信間隔変更処理ユニット4は、現在状況把握手段41と、通信間隔変更判断手段42と、通信間隔変更手段43と、通信間隔格納データベース44と、を少なくとも有している。
現在状況把握手段41は、通信手段2−i(i=1,2,・・・,N)における現在の信号の通信間隔をゲートウェイ3を介して把握する。通信間隔変更判断手段42は、車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の反応時間の適正化を図るために、現在状況把握手段41により把握された通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔に基づいて、当該通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更するか否かを判断する。
通信間隔変更手段43は、通信間隔変更判断手段42により通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更する必要があると判断した場合に、変更後の通信間隔を決定し、ゲートウェイ3を介して、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更させる指令を通信手段2−iに出力し、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更する。通信間隔格納データベース44は、通信間隔変更手段43により通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔が変更された場合に、変更後の信号の通信間隔を格納する。
このような構成により、たとえば車両の工場出荷時などにおいて、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nのいずれかたとえば通信手段2−iにおける信号の通信間隔の設定が新たに必要になった場合に、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を設定する処理を行ったり、もしくは、たとえば部品の追加やその他の原因によって、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nのいずれかたとえば車載ユニット1−iに動作遅延が生じるようになった場合に、当該車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更する処理を行うことを可能にしている。
なお、通信間隔変更処理ユニット4は、具体的な実現手段としては、それぞれの手段に専用の回路ブロックを備えたハードウェア論理として構成してもよいが、CPUとROMとRAMとにより構成し、プログラム論理により実現するようにしても良い。
このようなプログラム論理により実現する場合、ROMには、少なくとも、車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の名称や種類や機能内容を特定するために用いられる車載ユニットIDを検出し、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更するか否かを判断した結果に基づいて、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔の変更処理を行う各種処理プログラムを格納し、RAMは、各種処理プログラムが作業用領域や一時的なデータの格納領域として、あるいは、書き替え可能なデータを格納するデータベース領域として、ランダムにアクセスすることが可能な記憶装置を構成している。
ここで、CPUにより、このROMに格納された各種処理プログラムをRAMの領域をアクセスしながら適宜実行することにより、現在状況把握手段41、通信間隔変更判断手段42、通信間隔変更手段43として機能するようにし、各種処理プログラムの実行結果として信号の通信間隔が変更された場合に、RAM上に設けられた通信間隔格納データベース44に、当該通信手段2−iにおける変更後の信号の通信間隔を格納する。
ところで、各車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれには、前述のように、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nが接続されており、かつ、これらの通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nは、ゲートウェイ3を介して無線通信が可能な状態になっている。
ここで、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nのいずれかたとえば車載ユニット1−iが他の車載ユニット1−j(i,j=1,2,・・・,N)に対して通信を開始しようとする場合、通信を統括するゲートウェイ3において発生する処理としては、
(1)車載ユニット1−iから通信手段2−iを介して無線信号として送信された入力信号を検出する処理と、
(2)検出した通信手段2−iからの無線信号により、指定された他の車載ユニット1−jに接続された通信手段2−jに対して、検出した通信手段2−iからの無線信号により指定された内容を反映する処理と、
がある。
ここで、(1)、(2)に記載の処理に関しては、ゲートウェイ3によって、あらかじめ定めた或る時間間隔(すなわち通信間隔)ごとに、間欠動作として行われる処理である。このような通信間隔の設定変更作業は、通常、車両の工場出荷時や部品交換時などにおいて行われるものであるが、設計工数や製造工数や調整工数の削減の観点から、このような設定変更作業をできるだけ簡素化したいというニーズがある。さらに、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nは、電力容量が有限のバッテリーにより稼動しているため、できるだけ低電力で、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nを稼動させることにより、車両の耐久年数(10年以上)に対して、遜色のない程度のバッテリー稼動年数を実現しなければならない。
本実施形態では、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nのプラグアンドプレイを意識し、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nにおける消費電力を最小にしつつ、設計時に車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nの機能内容を考慮してあらかじめ決められた通信間隔に基づいて、通信間隔を自動設定するとともに、現在設定されている通信間隔が、この自動設定値や、あるいは、ユーザが要求する車両ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nの各動作要求時間から算出された信号の通信要求間隔の許容範囲から外れた場合に、再び自動設定値に近づけたり、通信要求間隔の許容範囲内に変更する動作を行っている。以下では、通信要求間隔の許容範囲から外れた場合に、再度、現在の信号の通信間隔を通信要求間隔の許容範囲を満たすような時間間隔に設定し直す動作について説明する。
まず、図1に示した本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100の構成例の各構成部位について更に詳細に説明する。
通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nは、少なくとも車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nの機能内容を少なくとも識別可能な車載ユニットIDを送受信することが可能な通信機能も有している。ここで、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nとは、無線ネットワークからなる車内ネットワークを介して無線信号を送受信可能なたとえば無線通信端末装置である。また、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nが利用する無線信号の伝送方式としては、特に限定されるものではなく、電波方式、赤外線方式、あるいは、それ以外の伝送方式であっても良い。また、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nが利用する無線信号の通信帯域も、特に限定されるものではなく、800MHz帯、1.5GHz帯、2GHz帯、あるいは、それ以外の帯域であっても良い。
無線通信端末装置として構成される通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nの具体的な構成としては、無線LAN(802.11a、802.11b、802.11g)、BluetoothTM、ZigBeeTM、UWB、ミリ波、赤外線等が考えられる。ただし、車両ネットワークの無線化を前提とし、かつ、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nの電源用バッテリーが、車両とほぼ同じ耐久年数(約10年)持続できなければならないことを考えると、理想的には、消費電力が限りなく小さく、指向性を持たないBluetoothTM、ZigBeeTM、UWBを採用することが望ましい。
なお、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nは、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの回路内に組み込まれるか、あるいは、RS−232C(シリアル・インターフェース)やUSB(Universal Serial Bus)等の有線により、もしくは、BluetoothTMやZigBeeTM、UWB、赤外線等の無線により、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに付加される形式で接続される。
次に、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれは、少なくとも、当該車載ユニットの名称や種類や機能内容を特定するために用いられる車載ユニットIDを持ち、対応する通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれに対して、車載ユニットIDを受け渡す機能を有する。
通信間隔変更処理ユニット4の現在状況把握手段41は、ゲートウェイ3を介して接続された車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの車載ユニットIDを検出するとともに、その車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに接続された通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の信号の通信間隔を検出して、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの車載ユニットIDとともに把握する機能を有している。
また、現在状況把握手段41は、車両内に存在する通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれが接続された車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nの数量を把握する機能も有している。これらの機能は、通信手段の数量の変化を考慮した通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信状態を把握するために用いられる。
このため、本実施形態の現在状況把握手段41は、図1に示すように、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの車載ユニットIDを検出する車載ユニットID検出部41a、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の信号の通信間隔を検出する信号入出力間隔検出部41bを有している。
次に、通信間隔変更判断手段42は、ユーザが要求する車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの動作要求時間から算出された通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれの通信要求間隔の許容範囲と、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の信号の通信間隔とを比較し、現在の車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの動作が適正か否かを判断する機能を有しており、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに接続された通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける入出力信号の通信間隔を変更するか否かを判断するために用いられる。
このため、本実施形態の通信間隔変更判断手段42は、図1に示すように、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の信号の通信間隔を判断する現状通信間隔判断部42aと、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれの通信要求間隔の許容範囲をあらかじめ格納している通信要求間隔格納データベース42bとを有しており、さらに、現状通信間隔判断部42aは、現在の信号の通信間隔と通信要求間隔の許容範囲とを比較する通信間隔比較部42a1と、あらかじめ定めた期間内で、現在の信号の通信間隔が通信要求間隔を超えた回数をカウントする通信間隔超回数カウント部42a2とを有している。
ここで、通信間隔超回数カウント部42a2は、本発明においては、必ずしも必須とするものではないが、通信間隔超回数カウント部42a2を有している構成とすることにより、通信間隔比較部42a1における1回のみの比較結果ではなく、複数回の比較結果に応じて、現在の信号の通信間隔を変更するか否かを判断することができ、瞬間的な通信間隔の変動を吸収することができる。
例えば、現在の信号の通信間隔が、通信要求間隔の許容範囲を、あらかじめ設定された規定回数分連続して超えた場合、現在の信号の通信間隔を変更する必要があるものと判断する。なお、この規定回数は、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nごとに、あるいは、車載ユニットの種類や機能内容に応じて、任意の値に設定することができる。
また、通信間隔変更手段43は、通信間隔変更判断手段42において通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の通信間隔の変更が必要であると判断された場合に、変更後の通信間隔を決定し、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の通信間隔を変更するものであるが、さらに、車両内の車載ユニット数に応じて、消費電力の総合計が最小になるような通信間隔を決定する機能を有しており、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の通信間隔が、消費電力の総合計が最小になるように決定された通信間隔に変更される。
このため、本実施形態の通信間隔変更手段43は、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける通信間隔を決定する通信間隔決定部43aを有しており、さらに、通信間隔決定部43aは、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれの消費電力を合計した値の最小値を算出し、該最小値が得られる通信間隔を取得する消費電力最小値算出部43a1と、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれが接続された車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nの車載搭載総数を把握するユニット数把握部43a2とを有している。
なお、通信間隔変更手段43においては、あらかじめ定めた期間内に、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nにおける信号の通信間隔の変更が、あらかじめ設定された回数以上繰り返された場合に、前記車両搭載総数よりもあらかじめ定めた個数分例えば5個分増加させた個数の通信手段の消費電力の総合計が、通信要求間隔の許容範囲を満たす範囲で最小となる値を算出し、この消費電力が最小の値を満たすような、前記車両搭載総数に該当する個数の通信手段における通信間隔を取得する機能を合わせて有するようにしても良い。
また、通信間隔格納データベース44は、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信間隔を変更した場合に、変更後の通信間隔を格納し、次回以降、車両エンジンを始動したり、部品を追加したりする場合に、格納されている通信間隔を反映する機能を有している。ここで、通信間隔格納データベース44は、本発明においては、必ずしも必須のものではなく、たとえば、場合によっては、車両エンジンを始動する際に、毎回、通信間隔の変更処理を自動的に行うようにして、通信間隔格納データベース44に変更後の通信間隔を格納する処理を省略するような構成も可能である。
次に、本実施形態に関する車載ユニットの反応時間適正化装置100の動作例として、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに接続された通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の信号の通信間隔を把握し、ユーザの要求する車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの動作要求時間から算出される通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信要求間隔の許容範囲から外れた場合に、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける現在の信号の通信間隔を変更する制御手順について、図2のフローチャートに基づいて説明する。
図2は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。ここで、通信手段における信号の通信間隔を変更する制御手順は、通信間隔変更処理ユニット4、ゲートウェイ3、通信手段2−i、車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の4つに分けられるため、通信手段における信号の通信間隔を変更する動作の一例を、通信間隔変更処理ユニット4、ゲートウェイ3、通信手段2−i、車載ユニット1−iのそれぞれについて示している。
なお、図2においてステップS101からS105に示す動作は、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の状況を把握する動作(現在状況把握ステップ)に対応する。また、ステップS106からS107に示す動作は、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更するか否かを判断する動作(通信間隔変更判断ステップ)に対応する。最後のステップS108からS113に示す動作は、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更する動作(通信間隔変更ステップ)に対応する。
通信間隔変更処理ユニット4は、ゲートウェイ3および通信手段2−iを介して、車載ユニット1−iの車載ユニットIDを検出すると同時に、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を検出することにより、各車載ユニット1−iにおける現在の信号の通信間隔を把握し、ユーザの要求する車載ユニット1−iの動作要求時間から算出された通信手段2−iにおける通信要求間隔の許容範囲外にある場合に、現在の通信間隔を変更する処理を行う。
通常、車両の出荷時や部品の交換/追加を行った時には、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける信号の通信間隔を個別に設定する必要があるが、このような作業を人手でいちいち行うことは莫大な工数を要するため、これらの作業は人手作業では行わずに、通信間隔を自動的に設定(通信間隔を自動調整)できることが望ましいと考えている。したがって、本実施形態においても、通信間隔を自動的に設定することを想定している。
以下に、図2のフローチャートに沿って、図1に示す反応時間適正化装置100の動作を順次説明する。まず、現在状況把握手段41では、以下の2つの処理要求(ステップS101、S104)を行う。1つ目は、車載ユニットID検出部41aにより車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の車載ユニットIDの検出要求をゲートウェイ3に対して行うことである(ステップS101)。
この検出要求が行われると、ゲートウェイ3では、車載ユニット1−iが接続されている通信手段2−iに対して、車載ユニット1−iの車載ユニットIDの送信要求が行われ、通信手段2−iから車載ユニット1−iの車載ユニットIDが返送される(ステップS103)。これにより、車載ユニットID検出部41aにて、車載ユニット1−iの車載ユニットIDが検出される(ステップS102)。
通常、ゲートウェイ3で検出できるIDは、通信手段2−iを識別する通信IDであるが、この通信IDでは、車載ユニット1−iの種類や名称や機能内容を知ることができないため、ゲートウェイ3と通信手段2−iとの間でやり取り可能な情報には、通信手段2−iに接続されている車載ユニット1−iの車載ユニットIDを含むことにしている。
通信手段2−iから要求を受け取った車載ユニット1−iは、ステップS103に示すように、自己の車載ユニットIDを通信手段2−iに対して受け渡す動作を行う。このステップS103で行われる車載ユニットIDの受け渡しに関しては、車載ユニット1−iが自己の車載ユニットIDを出力できるような構成になっている場合には、前述したように、通信手段2−iからの要求に応じて、出力された車載ユニットIDを通信手段2−iに対して出力しても良い。
一方、車載ユニット1−iが自己の車載ユニットIDを出力できるような構成になっていない場合には、あらかじめ、通信手段2−i内に用意されたROMに、接続されている車載ユニット1−iの車載ユニットIDを登録しておき、通信手段2−i単独で車載ユニットIDをゲートウェイ3に対して返送するようにしても良い。
現在状況把握手段41における2つ目の処理要求は、信号入出力間隔検出部41bにより車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける信号の通信間隔を検出することである(ステップS104)。
車載ユニットIDの検出が行われた車載ユニット1−iに関して、このステップS104の動作が行われると、ゲートウェイ3では、通信手段2−iの通信を監視し、通信手段2−iにおける信号の通信間隔の検出動作が実行される(ステップS105)。ゲートウェイ3で検出された通信手段2−iにおける信号の通信間隔を受け取ることにより、信号入出力間隔検出部41bは、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を検出することができる。
信号の通信間隔の検出方法としては、以下の方法が考えられる。ここで、説明を分かりやすくするため、車載ユニット1−iの一例として図3に示すドアユニット内のパワーウィンドウ動作用の車載ユニットを例にとって説明する。図3は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100のドアユニット内の車載ユニットとその通信手段における信号の通信間隔を変更する動作の一例を説明するための構成図であり、パワーウィンドウ、ドアミラー、ドアロック/アンロックの動作に関連するスイッチ、モーターを中心に模式的に記載している。
図3の構成図においては、パワーウィンドウメインスイッチ11、ロック/アンロックブザー12、リクエストスイッチ13、ドアロックアクチュエータ14、パワーウィンドウモーター15、ドアミラーモーター16、インテリジェントキーユニット17、ミラーコントロールスイッチ18、ボディコントロールモジュールBCM19の各車載ユニットを示している。
ここで、パワーウィンドウメインスイッチ11には、パワーウィンドウをアップ/ダウンさせるメインスイッチと、ドアをロック/アンロックさせるメインスイッチとの2つの車載ユニットが含まれ、ボディコントロールモジュールBCM19にも、メインスイッチからのドアロック/アンロック信号を受け取る部位と、ドアロックアクチュエータ14にドアロック/アンロック信号を送出する部位との2つの車載ユニットが含まれており、ドアユニット内の車載ユニットの総数すなわち車載搭載総数としては11個の車載ユニットが存在している例を示している。
また、図3には、各車載ユニットの動作要求時間すなわち反応要求時間も合わせて例示しており、たとえば、ウィンドウのアップ/ダウンスイッチを操作してからパワーウィンドウメインスイッチ11がパワーウィンドウモーター15へその指示信号を送信するまでの時間が0.1秒、パワーウィンドウモーター15がウィンドウのアップ/ダウンの指示信号を受け取ってからモーターを駆動するまでの時間が0.2秒であり、また、ドアのロック/アンロックスイッチを操作してからパワーウィンドウメインスイッチ11がボディコントロールモジュールBCM19へその指示信号を送信するまでの時間が0.1秒、ボディコントロールモジュールBCM19がドアのロック/アンロックの指示信号を受け取ってからドアのロック/アンロック信号を処理するまでの時間が0.1秒である。
ここで、図3における説明をさらに簡明にするために、特に、ユーザからの信号の入力系を構成するパワーウィンドウメインスイッチ11と、ユーザへの信号の出力系を構成するパワーウィンドウモーター15との2つの車載ユニットのみに着目し、さらに、パワーウィンドウメインスイッチ11のうち、ウィンドウのアップ/ダウンに関するスイッチのみの部位を、図4に示すように、車載ユニットAとし、パワーウィンドウモーター15の対応する部位を、車載ユニットBとして、この二つの車載ユニットA,Bのみで構成されている場合について説明する。
図4は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置のドアユニット内の一部の車載ユニットの通信手段における信号を検出する通信間隔の一例を説明するための模式図であり、前述した車載ユニットA(パワーウィンドウメインスイッチ11の一部)11Aとその通信手段A 21Aと車載ユニットB(パワーウィンドウモーター15の一部)15Bとその通信手段B 25Bとを示している。なお、車載ユニットA 11Aの車載ユニットIDが「25750」であり、一方の車載ユニットB 25Bの車載ユニットIDが「80730」であるものとする。
車載ユニットA 11Aのパワーウィンドウ用のメインスイッチを操作してから車載ユニットB 25Bのパワーウィンドウ用のモーターに信号が伝わるまでの時間として最も長い時間は、ゲートウェイ3が車載ユニットA 11Aのスイッチ操作に関する信号を通信手段A 21Aから検出するための通信間隔(T1:設定値0.25秒)と、ゲートウェイ3がパワーウィンドウ用のスイッチ操作に関する信号を車載ユニットB 25Bのパワーウィンドウ用のモーターに反映するために、車載ユニットB 25Bへ送信する通信間隔(T2:設定値0.25秒)とを足し合わせた合計時間である。
つまり、車載ユニットの動作時間を決定する通信手段における通信間隔を把握するためには、図2のステップS105において、ゲートウェイ3で、これらの二つの通信間隔を検出できれば良いことになる。この図4に示す例では、通信手段A 21Aからの信号に変化があったとしても、ゲートウェイ3でその信号を検出できるタイミングは最大0.25秒(車載ユニットA 11Aの通信手段A 21Aに関する設定値T1)後であり、その信号が通信手段B 25Bに対して送信して反映されるまでのタイミングは、さらに最大0.25秒(車載ユニットB 15Bの通信手段B 25Bに関する設定値T2)後になる。そのため、車載ユニットA 11Aと通信手段A 21Aとの間、および、通信手段B 25Aと車載ユニットB 15Bとの間の信号の伝達時間を無視すれば、車載ユニットA 11Aから車載ユニットB 25Bに信号が伝わるまで、つまり、車載ユニットA 11Aでスイッチを操作した後、車載ユニットB 25Bが動作するまでに要する時間は、最大、
0.25秒(T1)+0.25秒(T2)=0.5秒(最大の場合)
になる。
図2のフローチャートに戻って、次に、ステップS101からS105までの動作により、ゲートウェイ3から通信手段2−iに関する車載ユニットIDと通信間隔とを返送を受け取った通信間隔変更処理ユニット4は、車載ユニットIDと通信間隔とが検出された通信手段2−iに関して、図1の通信間隔変更判断手段42の通信要求間隔格納データベース42bを参照し、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける信号の通信要求間隔を探索する(ステップS106)。
通信要求間隔格納データベース42bには、車載ユニット1−iにおける動作要求時間から算出された通信手段2−iにおける信号の通信要求間隔の最小値および最大値からなる通信要求間隔の許容範囲が格納されている。通信要求間隔の最小値は、通常、通信手段2−iにおける最小通信間隔であり、これ以上短い通信間隔を選択することはできないものとする。また、通信要求間隔の最大値は、車載ユニット1−iの設計時において動作保障時間として設定された値に対して、その動作保障時間を満たす最大の通信間隔である。
通信要求間隔格納データベース42bの内容について、その一例を図5に記載している。図5は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100の通信要求間隔格納データベース42bの内容の一例を示すテーブル図であり、車載ユニットの名称、機能内容、該車載ユニットの車載ユニットIDおよび通信要求間隔の許容範囲を少なくとも含んで構成されている。
図5に示す例は、図3に例示したパワーウィンドウメインスイッチ11(名称は「スイッチ」と略記、通信要求間隔の許容範囲は図3と同じ0.1秒の1点のみ、車載ユニットIDは図4と同じ「25750」)とパワーウィンドウモーター15(名称は「アクチュエーター」と表記、通信要求間隔の許容範囲は図3と同じ0.2秒の1点のみ、車載ユニットIDは図4と同じ「80730」)とに関する通信要求間隔格納データベース42bの内容を示している。
図2のフローチャートに戻って、次に、現状通信間隔判断部42aでは、通信間隔比較部42a1にて、ステップS106において通信要求間隔格納データベース42bから探索された通信手段2−iにおける通信要求間隔の許容範囲(通信要求間隔の最小値および最大値に挟まれた範囲。以下、「β」と表記)と、ステップS105において検出された通信手段2−iにおける現在の通信間隔(以下、「α」と表記)との関係を把握するとともに、通信間隔超回数カウント部42a2にて、αがβの許容範囲外となっている回数があらかじめ設定された規定回数に達しているか否かを把握する(ステップS107)。
ここで、規定回数を「1」に設定しておくと、1回でもαがβの範囲外になった場合に(ステップS107のYES)、現在の通信間隔αの変更動作が必要になる。また、規定回数を「2」以上に設定しておくと、その規定回数だけ、連続してαがβの範囲外になった場合に(ステップS107のYES)、はじめて、現在の通信間隔αの変更動作が必要となる。このように、2回以上に規定回数を設定することにより、通信間隔の多少の変化を吸収することができる。
この規定回数を決める要素は、車載ユニット1−iの機能内容や種別であり、車載ユニットごとに任意の値に設定することができる。たとえば、図2のステップS105において検出された現在の通信間隔で、図6のような車載ユニットの動作時間分布を示している場合、
(1)図6(A)の車両の操舵や駆動に関係するエンジン関係の車載ユニットでは、規定回数を1回
(2)図6(B)の車両の操舵や駆動に関係のない車載ユニットでは、規定回数を3回
と決めることができ、車載ユニットの機能内容や種別に対応した動作の重要性に応じて、規定回数を変化させて設定する必要がある。
図6は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100の通信手段2−iにおける通信間隔の変更が必要な場合と不必要な場合の例を説明するための車載ユニット1−iの動作時間分布を示す分布図であり、図6(A)は、車両の操舵や駆動に直接関係するエンジン関係の車載ユニットの場合を例示し、図6(B)は、車両の操舵や駆動に直接関係しない車載ユニットの場合を例示している。すなわち、図6(A)のように、車両の操舵や駆動に直接関係するエンジン関係の車載ユニットの場合には、緊急性を要し、ユーザから要求される動作要求間隔を1回でも超えるような事態が発生した場合、直ちに、現在の通信間隔を変更する必要性があるものと判断している。
これに対して、図6(B)のように、車両の操舵や駆動に直接関係しないような車載ユニットの場合には、緊急性は少なく、たとえ1回程度、ユーザから要求される動作要求間隔を超えたとしても、後続する動作間隔が動作要求間隔以下に収まっている限り、現在の通信間隔を変更する必要はなく、連続して3回に亘って動作要求間隔を超えてしまうような事態が発生した場合に、はじめて、現在の通信間隔を変更する必要性があるものと判断しても十分である。
図2のフローチャートに戻って、ステップS107の条件を満たさない場合、つまり、あらかじめ定めた期間内で、あらかじめ設定した規定回数の回数内のいずれかで、αがβの範囲内であり、ユーザの要求する動作要求間隔の許容範囲内で車載ユニット1−iが動作することができた場合には(ステップS107のNO)、ステップS107に再び戻って、ステップS107で待機し、現在の通信間隔αの変化に応じて、直ちに、現在の通信間隔αを変更できるようにしておく。
逆に、ステップS107の条件を満たす場合、つまり、規定回数に達するまで連続して、αがβの範囲外であり、ユーザの要求する動作要求間隔の許容範囲内では車載ユニット1−iが動作することができなかった場合には(ステップS107のYES)、次に、通信間隔変更手段43の通信間隔決定部43a内のユニット数把握部43a2にて、車両内における車載ユニットの全数量N(車載ユニット1−iのi=1,2,・・・,N)を把握する(ステップS108)。
図7は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100の車載ユニット1−iの数量即ち通信手段2−iの数量Nと通信間隔と消費電力との推移に関するイメージを例示するグラフである。図7において、まず、車両内に車載ユニットが1個しかない場合、つまり、車載ユニットに接続されている通信手段の数量が1個の場合を考える。
このような環境では、ユーザが要求する通信要求間隔の許容範囲(車載ユニットの機能内容や種別により当然異なる)を満たすように、現在の通信間隔を設定して、車載ユニットを動作させることになるが、図7の曲線1に示すように、車載ユニットの動作時間すなわち通信手段の通信間隔が大きい(すなわち通信速度が遅い)場合には、消費電力が小さく、逆に、通信間隔が小さい(すなわち通信速度が速い)場合には、消費電力が大きいといったおおよそ反比例の関係になる。
次に、車両内に、1個の場合の通信手段と同じ通信間隔を持った通信手段をいくつか設置した場合、たとえば、通信手段を10個あるいは30個設置した場合、図7の曲線10あるいは曲線30となり、通信間隔が大きい領域に関しては、図7の矢印aに示すように、1個の通信手段の場合と消費電力に大差がないが、通信間隔が小さい領域に関しては、図7の矢印bに示すように、1個の通信手段の場合と消費電力が大きく異なる。
この現象は、通信間隔の小さい通信手段の数量が増加することによって、車両内の通信手段2−iとゲートウェイ3との間の無線通信ネットワークにおける通信負荷や処理すべきスタックが増加することによって生じる現象である。すなわち、車両内で扱うべき通信手段の総数量に密接に関連して生じる現象である。
ここで、図2のステップS108において車両内の車載ユニットの数量Nが把握できれば、図7で示したグラフにおけるどの曲線を参考にすれば良いのかが決定される。さらに、消費電力最小値算出部43a1にて、図2のステップS107乃至S113までのループ処理において、現在の処理が何回目のループ処理かを判定して、第1回目のループ処理であった場合には(ステップS109のYES)、車載ユニットの車両搭載総数Nから決定した図7の曲線N上において、ユーザが要求する通信手段2−iにおける通信要求間隔の範囲内で、消費電力が最小になる通信間隔を決定する動作を行う(ステップS111)。
図7において、ユーザが要求する車載ユニットの動作要求時間から算出された通信要求間隔の許容範囲がT0以下であった場合、たとえば、通信手段が1個のみの場合、通信要求間隔がT0以下の範囲内では消費電力がP1で最小となり、通信手段が10個の場合、通信要求間隔がT0以下の範囲内では、曲線1から曲線10上に矢印bで示すように移動した位置にある消費電力がP10で最小となる。
或る通信手段2−iにおける図2のステップS111の動作イメージについて、図8、図9を用いてさらに詳細に説明する。図8は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100において、消費電力が最小になる通信間隔を決定するイメージの一例を説明するためのグラフであり、図7の場合と同様に、通信手段の個数をパラメータにして、着目した通信手段2−iにおける信号の通信間隔と消費電力との関係を示している。
図8の場合、ユーザが要求する車載ユニットの動作要求時間から算出された通信要求間隔がTmin以下の範囲であり、デフォルト値として通信間隔Td_1(この時の消費電力はPd)が設定された通信手段2−iが存在する車両内の部位に、10個の個数の通信手段が存在するようになったものと仮定している。10個の通信手段に増加する場合でも、従来通り、1個のみの通信手段における消費電力Pdを維持するためには、図8に示すように、曲線1上の点Od_1から垂直に上に移動して曲線10に交わる交点Od_10で動作することが必要であり、通信間隔としては、Td_1からTd_10に変更することになる。
しかしながら、図8の場合、変更後の通信間隔Td_10は、ユーザが要求する通信要求間隔Tmin以下の範囲としては、まだ余裕がある状態になっている。そのような場合には、10個の通信手段を示す曲線10上を消費電力の小さい方向に移動していって、ユーザが要求する通信要求間隔の上限値Tminと交わった点Ominが最適解の交点であり、消費電力が最小(Pmin)となる通信間隔Tminとして決定することができる。
しかし、通信手段の数量によっては、図8にて説明した方法が利用できない場合も存在する。その例について、図9を用いて説明する。図9は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100において、消費電力が最小になる通信間隔を決定するイメージの他の例を説明するためのグラフであり、この図9でも、図7の場合と同様に、通信手段の個数をパラメータにして、着目した通信手段2−iにおける信号の通信間隔と消費電力との関係を示している。
ただし、図9の場合、図8とは異なり、着目した或る通信手段2−iが存在する車両内の部位には、10個(曲線10)の通信手段に増加する場合ではなく、20個(曲線20)に増加している場合を示している。
図9の場合、図8の場合と同様、ユーザが要求する通信要求間隔がTmin以下の範囲であり、通信手段2−iには、デフォルト値として通信間隔Td_1(この時の消費電力はPd)が設定されているものと仮定する。しかし、図9の場合は、前述のように、この通信手段2−iが存在する車両内の部位には、10個ではなく、20個の個数の通信手段が存在するようになったものと仮定している。
20個の通信手段に増加する場合でも、従来通り、1個のみの通信手段における消費電力Pdを維持するためには、図9に示すように、曲線1上の点Od_1から垂直に上に移動して曲線20に交わる交点Od_20で動作することが必要であり、通信間隔としては、Td_1からTd_20に変更することになる。
しかしながら、図9の場合、変更後の通信間隔Td_20は、ユーザが要求する通信要求間隔Tmin以下の範囲を超えており、通信間隔を通信要求間隔Tmin以下に短くしなければならない。そのような場合には、図8の場合とは逆方向に、すなわち、20個の通信手段を示す曲線20上を消費電力の大きい方向に移動していって、ユーザが要求する通信要求間隔の上限値Tminと交わった点Ominが最適解の交点であり、消費電力が最小(Pmin)となる通信間隔Tminとして決定することが必要である。
ここで、具体的な例として、図4に示したように、車両内のドアユニットに着目し、パワーウィンドウメインスイッチ11の車載ユニットA 11Aとパワーウィンドウモーター15の車載ユニットB 15Bとにそれぞれ接続された通信手段A 21Aと通信手段B 25Bとの消費電力を最小にしながら、それぞれの通信手段における通信間隔を決定する方法について説明する。
図3の車両内のドアユニットの構成図で説明したように、ドアユニット内の通信手段の全数量は11個であり、通信手段における消費電力と通信間隔との関係は、図10に示すグラフのようになる。図10は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100において、ドアユニット内の消費電力が最小になる通信間隔を決定するイメージの具体例を説明するためのグラフであり、この図10でも、図7の場合と同様に、通信手段の個数をパラメータにして、着目した通信手段A 21A、通信手段B 25Bにおける信号の通信間隔と消費電力との関係を示している。
図10の場合、図8の場合の通信間隔Tminとしては、図3に示したように、ユーザが要求するパワーウィンドウメインスイッチに関する通信要求間隔が0.1秒以下の範囲であり、一方、ユーザが要求するパワーウィンドウモーターに関する通信要求間隔が0.2秒以下の範囲であり、また、通信手段A 21A、通信手段B 25Bには、図8の場合と同様、デフォルト値として通信間隔Td_1(この時の消費電力はPd)が設定されているものと仮定する。なお、図10の場合は、前述のように、この通信手段A 21Aが存在する車両内のドアユニットの部位には、図8のような10個ではなく、11個の個数の通信手段が存在するようになっている。
11個の通信手段に増加する場合でも、従来通り、1個のみの通信手段における消費電力Pdを維持するためには、図10に示すように、曲線1上の点Od_1から垂直に上に移動して曲線11に交わる交点Od_11で動作することが必要であり、通信間隔としては、Td_1からTd_11に変更することになる。
しかしながら、図10の場合も、図8の場合と同様に、変更後の通信間隔Td_11は、ユーザが要求するパワーウィンドウメインスイッチまたはパワーウィンドウモーターに関する通信要求間隔0.1秒以下または0.2秒以下の範囲としては、まだ余裕がある状態になっている。そのような場合には、図8の場合と同様、11個の通信手段を示す曲線11上を消費電力の小さい方向に移動していって、ユーザが要求する通信要求間隔の上限値と交わった点が最適解の交点であり、消費電力が最小(Pmin)となる通信間隔Tminとして決定することができる。
図10の場合、パワーウィンドウメインスイッチにおける通信要求間隔の上限値が0.1秒であり、パワーウィンドウモーターにおける通信要求間隔の上限値が0.2秒であるので、着目した通信手段が通信手段A 21Aの場合は、パワーウィンドウメインスイッチにおける通信要求間隔の上限値0.1秒と交わった点OAminが最適解の交点であり、消費電力が最小(PAmin)となる通信間隔として0.1秒を決定することができる。
一方、着目した通信手段が通信手段B 25Bの場合は、パワーウィンドウモーターにおける通信要求間隔の上限値0.2秒と交わった点OBminが最適解の交点であり、消費電力が最小(PBmin)となる通信間隔として0.2秒を決定することができる。
ここで、図2のフローチャートに戻って、前述した場合とは異なり、消費電力最小値算出部43a1にて、図2のステップS107乃至S113までのループ処理において、あらかじめ定めた期間内で、現在の処理が何回目のループ処理かを判定して、あらかじめ設定された回数以降たとえば第2回目以降のループ処理であった場合には(ステップS109のNO)、通信間隔の設定値に対して、実際の通信間隔との間の誤差が大きくなっていることが考えられるため、ステップS108にて把握した車両内の車載ユニット数そのものではなく、通信手段の個数をさらにあらかじめ定めた個数分たとえば5個分増加した個数を適用した場合における曲線を代用して用いる処理を施す(ステップS110)。
すなわち、ドアユニット内の車載ユニット数11個そのものにより見積った図10の曲線11ではなく、通信手段の個数をさらに増加した個数を適用した曲線、たとえば、通信手段の個数をさらに5個増加して車載ユニット数16個とした場合の曲線16を代用する処理を施す。なお、ステップS109において、あらかじめ定めた期間内での通信間隔の変更のループ処理回数を判定する場合、前述したように、第2回目以降のループ処理と限定せずに、あらかじめ設定した第M回目以降のループ処理と判定するようにしてもよい。
このように、実際の個数よりもあらかじめ定めた個数分さらに増加した通信手段の個数を適用することにより、通信間隔の設定値と実際の通信間隔との間の誤差を小さくし、ユーザが要求する通信要求間隔通りに動作させることができる。このような通信間隔の設定イメージを図11に示している。図11は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100において、ドアユニット内の消費電力が最小になると見積られた通信間隔の設定動作が、あらかじめ定めた期間内で複数回に及ぶ場合の対処方法のイメージの具体例を説明するためのグラフである。
この場合、図2に示すステップS111においては、図11に示すように、ドアユニット内の車載ユニットの実際の車両搭載総数11から決定した図11の曲線11上ではなく、さらに5個分増加した車載ユニットの個数16から決定した図11の曲線16において、ユーザが要求する通信手段における通信要求間隔の範囲内で、消費電力が最小になる通信間隔を決定する動作を行うことになる。
この結果、図11に示すように、曲線1上の点Od_1から垂直に上に移動して曲線11に交わる交点Od_11ではなく、さらに上に移動して曲線16に交わる交点Od_16で動作することが必要であり、通信間隔としては、Td_1からTd_16に変更することになる。
しかしながら、図11の場合も、図10の場合と同様に、変更後の通信間隔Td_16は、ユーザが要求するパワーウィンドウメインスイッチまたはパワーウィンドウモーターに関する通信要求間隔0.1秒以下または0.2秒以下の範囲としては、まだ余裕がある状態になっている。そのような場合には、図8の場合と同様、11個を5個分増加させた16個の通信手段を示す曲線16上を消費電力の小さい方向に移動していって、ユーザが要求する通信要求間隔の上限値と交わった点が最適解の交点であり、消費電力が最小(Pmin)となる通信間隔Tminとして決定することができる。
図11の場合も、パワーウィンドウメインスイッチにおける通信要求間隔の上限値が0.1秒であり、パワーウィンドウモーターにおける通信要求間隔の上限値が0.2秒であるので、着目した通信手段が通信手段A 21Aの場合は、パワーウィンドウメインスイッチにおける通信要求間隔の上限値0.1秒と交わった点OA+minが最適解の交点であり、消費電力が最小(PA+min)となる通信間隔として0.1秒を決定することができる。一方、着目した通信手段が通信手段B 25Bの場合は、パワーウィンドウモーターにおける通信要求間隔の上限値0.2秒と交わった点OB+minが最適解の交点であり、消費電力が最小(PB+min)となる通信間隔として0.2秒を決定することができる。
この曲線16を用いて決定した最小の消費電力PA+min、PB+minは、いずれも、図10における曲線11を用いて決定した最小の消費電力PAmin、PBminよりも若干大きくなっている。次に、この消費電力PA+min、PB+minをそれぞれ維持しつつ、交点OA+min、OB+minから下方向にそれぞれ垂直に移動して、車載ユニットの実際の個数が11個の場合の曲線11とそれぞれ交わった交点OAd_11、OBd_11を、最適解の交点として決定し、それぞれの最適の通信間隔として、TAd_11、TBd_11が決定する。
ただし、消費電力最小値算出部43a1にて、最適の通信間隔を得るために、このような煩雑な処理を行う必要は必ずしもなく、たとえば、ユーザが要求する通信要求間隔の上限値に対して、通信間隔を若干狭めるようにマイナスアルファした通信間隔の位置における図11の曲線11との交点を最適解の交点とみなすことによって対応することも可能である。この方法は、簡単な処理により行うことが可能なため、システムも簡易なものになるが、一方、消費電力と通信間隔との反比例関係を正確に再現することができないといったデメリットも生じる。
前述のようなステップS110、S111の処理により、通信手段2−iで変更すべき通信間隔を求めた後、通信間隔決定部43aは、ゲートウェイ3に対して、通信手段2−iにおける通信間隔の変更を要求する(ステップS112)。通信間隔の変更指示を受け取ったゲートウェイ3により、通信手段2−iに対して、通信間隔の変更の指示が送信され、通信手段2−iにおける通信間隔が変更される(ステップS113)。しかる後、通信間隔変更手段43は、通信間隔格納データベース44に通信手段2−iにおける変更後の通信間隔を格納する。
以上に述べた図2のフローチャートに示す動作は、常時行われているものであり、現在の通信間隔がユーザの要求する通信要求間隔の範囲外になった場合には、直ちに、通信間隔の変更動作が行われる。
以上、説明したように、本実施形態における車載ユニットの反応時間適正化装置100の発明は、車載ユニットのプラグアンドプレイを意識し、設計時や車両の組み立て時や部品の交換時に、通信手段における消費電力を最小にしつつ、ユーザの要求する通信要求間隔に沿うように通信間隔を自動設定するとともに、設定された通信間隔が、あらかじめ自動設定しておいた通信要求間隔の許容範囲内から外れた場合にも、自動的に、かつ、車載ユニットの種別に応じて迅速に所望の通信間隔に近づけて設定し直すことができる。
さらに説明すれば、本実施形態によれば、たとえば車載ユニット数の増加や車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の機能変更などにより、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の無線信号の通信間隔が、所望の間隔として設定していた通信間隔よりも長くなり、車載ユニットの動作がユーザの要求する動作レスポンス(反応時間)を満足しなくなった場合に、通信手段2−iを統括するゲートウェイ3に接続された通信間隔変更処理ユニット4が、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける信号の通信間隔を所望の時間間隔に変更することができるので、通信手段2−iにおける信号の通信間隔が改善された結果として、ユーザから見た車載ユニット1−iの動作要求時間すなわち反応要求時間に適正化された動作レスポンスで車両ユニットを動作させることができる。すなわち、ユーザから見た車載ユニット1−iの動作レスポンス(反応時間)を向上すべく、通信手段2−iにおける現在の通信間隔をその時点での最も適切な値に変更することができる。
また、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を、現在状況把握手段41により、車載ユニット1−iの車載ユニットIDと同時に把握するとともに、通信手段2−iが接続されている車載ユニットの総数も、ユニット数把握部43a2によって把握するので、車載ユニット1−iにおける動作遅延の発生箇所を把握し、通信手段2−iの総数によって信号の通信間隔の変化が生じていることを直ちに認識することができる。
また、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔と、ユーザが要求する車載ユニット1−iの動作要求時間すなわち反応要求時間から算出された当該通信手段2−iにおける信号の通信要求間隔の許容範囲とを比較し、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更するか否かを判断するので、ユーザが要求する車載ユニット1−iの動作要求時間よりも現在の動作時間(反応時間)が明らかに長い、もしくは、明らかに短い場合において、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更する処理を正確に行うことができる。
また、現在の信号の通信間隔と前記通信要求間隔の許容範囲とを比較して求められた車載ユニット1−iの動作時間(反応時間)が所望の動作要求時間の許容範囲から外れ、あらかじめ決められた許容範囲を超えて異常になった回数をカウントすることにより、車載ユニット1−iがユーザの要求する動作要求時間で動作しなかった回数を把握し、この回数に基づいて、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更するか否かを判断するので、偶然起こった車載ユニット1−iの動作時間の遅延や短縮を無視し、定常的に動作時間の遅延や短縮が起きた場合にのみ、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更する処理を行うことができる。
さらに、各通信手段2−iにおける消費電力の合計値を最小にしつつ、ユーザが許容する動作レスポンス内で車載ユニット2−iが動作するように、車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更するので、無線信号を送受信する通信手段2−iにおける電池の交換を極力少なくしながら、車載ユニット1−iが車両として適正に動作することができるような適正化された動作時間(反応時間)で動作させることができる。
さらに、通信手段2−iにおける通信要求間隔の許容範囲を超えた場合に、把握された車載ユニット1−iの総数よりもあらかじめ定めた数量だけ増加させた状態において、車両内に存在する各通信手段2−iにおける消費電力の合計値を最小にするように、通信間隔を変更するので、実際の通信間隔は、設定された通信要求間隔よりも小さく、ユーザの要求する通信要求間隔よりも小さくなり、通信間隔の許容範囲を確実に満たすことができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の第2の実施形態について説明する。
まず、図12を用いて、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の図1とは異なる実施例について説明する。図12は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の図1とは異なる例を示すブロック図であり、図1の反応時間適正化装置100とは、通信間隔変更手段43の構成のみが異なる通信間隔変更手段43Aにて構成されている場合を示している。
図12に示すように、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100Aも、図1の場合と同様、無線信号を用いた無線通信ネットワークからなる車両ネットワークで構成されており、1乃至複数の車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nと、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nと、ゲートウェイ3と、通信間隔変更処理ユニット4Aとを有している。なお、図12に示す車載ユニットの反応時間適正化装置100Aにおいて、図1の反応時間適正化装置100と同じブロックについては、同じ符号を付しており、ここでの更なる説明は省略し、第1の実施形態の図1とは異なる点を中心に説明する。
1乃至複数の各通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nにおける信号の通信間隔の変更処理を司る通信間隔変更処理ユニット4Aは、図1の通信間隔変更処理ユニット4と同様、現在状況把握手段41、通信間隔変更判断手段42、通信間隔格納データベース44を有するとともに、図1の通信間隔変更手段43とは異なる通信間隔変更手段43Aを少なくとも有している。通信間隔変更手段43Aは、消費電力最小値算出部43a1、ユニット数把握部43a2の他に、伝達遅延検出部43Aa1をさらに追加して有する通信間隔決定部43Aaを少なくとも含んで構成されている。
図12の伝達遅延検出部43Aa1を追加した本実施形態では、通信手段2−i(i=1,2,・・・,N)における無線信号の伝達遅延分(たとえば負荷による伝達遅延、無線通信による伝達遅延等)を考慮して、ユーザが要求する車載ユニット1−iの動作要求時間から算出された通信手段2−iにおける信号の通信要求間隔の許容範囲内に、信号の通信間隔を変更することを可能とする構成を採用している。
すなわち、図12の通信間隔変更手段43Aは、ゲートウェイ3や通信手段2−iにおける通信負荷や無線通信による影響によって信号の伝達遅延が生じることを想定して、前以て、信号の伝達遅延を考慮した通信間隔の設定を行う機能を有している。このため、図12に示す通信間隔変更手段43Aの実施形態では、通信間隔決定部43Aa内に、図1の場合とは異なり、前述したように、さらに、信号の伝達遅延を検出する伝達遅延検出部43Aa1を有している。
次に、本実施形態に関する車載ユニットの反応時間適正化装置100Aの動作例として、図13のフローチャートに基づいて説明する。図13には、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに接続された通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信間隔を把握し、ユーザの要求する車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの動作要求間隔から算出される通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信要求間隔の許容範囲内に収まっていなく、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信間隔を変更して設定する必要が生じた場合に、第1の実施形態とは異なり、信号の伝達遅延が発生することを想定し、かかる伝達遅延を考慮した通信間隔の設定を行う制御手順を示している。
すなわち、図13は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の動作の図2と異なる例を説明するためのフローチャートである。図13には、通信手段における信号の通信間隔を変更する制御手順が、図2の場合と同様に、通信間隔変更処理ユニット4A、ゲートウェイ3、通信手段2−i、車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の4つに分けられるため、通信手段における信号の通信間隔を変更する動作の一例を、通信間隔変更処理ユニット4A、ゲートウェイ3、通信手段2−i、車載ユニット1−iのそれぞれについて示している。
図13において、通信間隔変更処理ユニット4Aでは、前述のように、信号の伝達遅延が発生することを想定し、かかる伝達遅延を考慮した通信間隔の設定を行う処理ステップが設けられているが、その他の処理ステップについては、図2に示す第1の実施形態における処理ステップと全く同様である。
すなわち、図2のステップS109、S110の代わりに、図13ではステップS201が用いられる。図2に示す第1の実施形態のフローチャートにおいては、車両内の車載ユニットの車両搭載総数を把握して、ステップS109、S110において、処理ループの回数を参考にしながら、車載ユニットの車両搭載総数をさらに加算した消費電力と通信間隔との関係の曲線を代用することにより、車両内の全車載ユニットにおける消費電力の合計値を最小にするような通信間隔を決定して(ステップS111)、設定するようにしていた(ステップS112,113)。
しかし、図13に示す第2の実施形態のフローチャートにおいては、把握された車両内の車載ユニットの車両搭載総数に対して、信号の伝達遅延が生じることを想定し、伝達遅延検出部43Aa1により、信号伝達遅延量(信号伝達遅延時間)を検出して、該伝達遅延量を考慮して補正した消費電力と通信間隔との曲線を代用することにより(ステップS201)、車両内の全車載ユニットの消費電力の合計の最小値を求める際に、伝達遅延量に基づいて補正した消費電力の最小値を求め、この補正した最小値が得られる信号の通信間隔を、ユーザが要求する通信要求間隔の許容範囲を確実に満たす通信間隔として決定して(ステップS111)、設定するようにしている(ステップS112,S113)。
なお、伝達遅延量を考慮した消費電力と通信間隔との曲線を代用する際に、図13の例では、図2におけるステップS109、S110の処理を用いないようにしているが、場合によっては、このステップS109、S110の処理も併用するようにしても良い。
或る通信手段2−iにおける図13のステップS201の動作イメージについて、図14を用いてさらに詳細に説明する。図14は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100Aにおいて、信号の伝達遅延を考慮した上で消費電力が最小になる通信間隔を決定するイメージの一例を説明するためのグラフであり、第1の実施形態における図8の場合と同様に、通信手段の個数をパラメータにして、着目した通信手段2−iにおける信号の通信間隔と消費電力との関係を示している。
図14の場合、図8の場合と同様、ユーザが要求する通信要求間隔がTmin以下の範囲であり、デフォルト値として通信間隔Td_1(この時の消費電力はPd)が設定された通信手段2−iが存在する車両内の部位に、10個の個数の通信手段が存在するようになったものと仮定している。
ここで、無線信号の伝達遅延量を全く考慮しない場合は、通信手段の個数が1個、10個、30個のそれぞれにおける消費電力と通信間隔との関係は、図8の場合と同様に、曲線1、曲線10、曲線30で表現することができるが、無線通信区間での伝達遅延量を考慮に入れると、通信手段の個数が1個、10個、30個のそれぞれにおける消費電力と通信間隔との関係は、同じ通信間隔であっても、図8の場合よりも、伝達遅延時間(伝達遅延量)に応じて消費電力が増加するように補正した、曲線1’、曲線10’、曲線30’で表現されることになる。したがって、消費電力がPdとなる曲線1上のデフォルト値として設定された前記の通信間隔Td_1は、補正後の曲線1’上のデフォルト値となり、T’ d_1として表現されることになる。
このように、無線通信区間での伝達遅延量を考慮に入れると、10個の通信手段に増加する場合で、従来通り、1個のみの通信手段における消費電力Pdを維持するためには、図14に示すように、曲線1’上の点O’d_1から垂直に上に移動して曲線10’に交わる交点O’d_10で動作することが必要であり、通信間隔としては、T’d_1からT’d_10に変更することになる。
しかしながら、図14の場合も、図8の場合と同様、変更後の通信間隔T’d_10は、ユーザが要求する通信要求間隔Tmin以下の範囲としては、まだ余裕がある状態になっている。そのような場合には、伝達遅延量を考慮に入れた10個の通信手段の曲線10’上を、図8の場合と同様に、消費電力の小さい方向に移動していって、ユーザが要求する通信要求間隔の上限値Tminと交わった交点O’minが最適解の交点であり、消費電力が最小(P’min)となる通信間隔Tminとして決定することができる。
このような処理を行うことによって、通信間隔Tminを満たす消費電力P’minは、伝達遅延量を考慮しない場合の消費電力Pminよりも若干大きくなり、かつ、車載ユニットの実際の動作時間よりも若干大きい値の通信間隔が設定されるものの、無線通信区間での伝達遅延量を考慮しても、ユーザが要求する車載ユニットの動作要求時間内で確実に動作させることが可能である。
以上、説明したように、本実施形態における車載ユニットの反応時間適正化装置100Aの発明は、通信手段の負荷や無線通信区間による伝達遅延量を考慮しているので、あらかじめ、ユーザが要求する通信手段における信号の通信要求間隔の許容範囲内に確実に収まるように、通信手段における信号の通信間隔をより厳密に変更することができる。
さらに説明すれば、本実施形態によれば、通信手段2−iの増加に伴う通信負荷の増大による伝達遅延や、無線通信に起因する伝達遅延を伝達遅延検出部43Aa1にて検出して、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を、伝達遅延量を考慮に入れて、所望の通信要求間隔に近づけることができるので、時々刻々変化する伝達遅延に応じて通信手段2−iにおける信号の通信間隔を適切に変更し、車載ユニット1−iの動作レスポンスを常にユーザにとって適した反応時間にすることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の第3の実施形態について説明する。
まず、図15を用いて、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の図1とはさらに異なる実施例について説明する。図15は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の図1とはさらに異なる例を示すブロック図であり、図1の反応時間適正化装置100や図12の反応時間適正化装置100Aとは、通信間隔変更手段43や通信間隔変更手段43Aの構成のみが異なる通信間隔変更手段43Bにて構成されている場合を示している。
図15に示すように、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置100Bも、図1および図12の場合と同様、無線信号を用いた無線通信ネットワークからなる車両ネットワークで構成されており、1乃至複数の車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nと、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nと、ゲートウェイ3と、通信間隔変更処理ユニット4Bとを有している。なお、図15に示す車載ユニットの反応時間適正化装置100Bにおいて、図1、図12の反応時間適正化装置100,100Aと同じブロックについては、同じ符号を付しており、ここでの更なる説明は省略し、第1の実施形態の図1、第2の実施形態の図12とは異なる点を中心に説明する。
1乃至複数の各通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nにおける信号の通信間隔の変更処理を司る通信間隔変更処理ユニット4Bは、図1の通信間隔変更処理ユニット4、図12の通信間隔変更処理ユニット4Aと同様、現在状況把握手段41、通信間隔変更判断手段42、通信間隔格納データベース44を有するとともに、図1の通信間隔変更手段43、図12の通信間隔変更手段43Aとは異なる通信間隔変更手段43Bを少なくとも有している。
通信間隔変更手段43Bは、図12の通信間隔変更手段43Aと同様、消費電力最小値算出部43a1、ユニット数把握部43a2の他に、伝達遅延検出部43Aa1をさらに追加して有する通信間隔決定部43Aaを含むとともに、さらに、図12の通信間隔変更手段43Aとは異なり、優先車載ユニットリスト43Ba1と走行状態検出部43Ba2とを少なくとも含む変更順序決定部43Baを少なくとも含んで構成されている。
すなわち、本実施形態における通信間隔変更手段43Bは、通信間隔を変更する車載ユニット(すなわち通信手段)に関する優先順序をあらかじめ登録した優先車載ユニットリスト43Ba1や走行状態検出部43Ba2で検出された現在の車両の走行状態を参照することにより、信号の通信間隔を変更する通信手段の順序を決定する機能を有している。
さらに説明すれば、図15の変更順序決定部43Baに示すように、本実施形態では、あらかじめ登録した優先車載ユニットリスト43Ba1により、各車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)に優先順序を設け、この車載ユニットの優先順序を参照するとともに、車両の現在の走行状態に基づいて、該車載ユニット1−iが接続された通信手段2−iの通信間隔を変更する順番を決定し、ユーザが要求する車載ユニット1−iの動作要求時間から算出される通信手段2−iにおける信号の通信要求間隔の許容範囲内に、信号の通信間隔を変更することを可能とする構成を採用している。
次に、本実施形態に関する車載ユニットの反応時間適正化装置100Bの動作例として、図16のフローチャートに基づいて説明する。図16には、車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれに接続された通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信間隔を把握し、ユーザの要求する車載ユニット1−1,1−2,・・・,1−Nそれぞれの動作要求間隔から算出される通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信要求間隔の許容範囲内に収まっていなく、通信手段2−1,2−2,・・・,2−Nそれぞれにおける信号の通信間隔を変更して設定する必要が生じた場合に、第1および第2の実施形態とは異なり、さらに、車載ユニットの優先順位や現在の走行状態に基づいて、通信間隔を変更する手順を決定し、信号の通信間隔の設定を行う制御手順を示している。
すなわち、図16は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の動作の図2や図13とさらに異なる例を説明するためのフローチャートである。図16には、通信手段における信号の通信間隔を変更する制御手順が、図2や図13の場合と同様に、通信間隔変更処理ユニット4B、ゲートウェイ3、通信手段2−i、車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)の4つに分けられるため、通信手段における信号の通信間隔を変更する動作の一例を、通信間隔変更処理ユニット4B、ゲートウェイ3、通信手段2−i、車載ユニット1−iのそれぞれについて示している。
図16において、通信間隔変更処理ユニット4Bでは、前述のように、図13に示す第2の実施形態における通信間隔変更処理ユニット4Aに比し、車載ユニットの優先順位や現在の走行状態に基づいて、通信間隔を変更する手順を決定するための処理ステップがさらに設けられているが、その他の処理ステップについては、図13に示す第2の実施形態における処理ステップと全く同様である。すなわち、図13のステップS104(すなわちゲートウェイ3のステップS105)とステップS106との間に、ステップS301、S302が追加して挿入されている。
図13に示す第2の実施形態のフローチャートにおいては、通信間隔変更処理ユニット4Aは、図2に示す第1の実施形態の場合と同様に、或る通信手段2−iにおける通信間隔が、ユーザが要求する通信要求間隔の許容範囲内に収まっているか否かを判断する際に、ステップS101、S104において、当該通信手段2−iが接続されている車載ユニット1−iの機能内容や種別を識別する車載ユニットIDと現在の信号の通信間隔とを把握することにより、ステップS106にて、直ちに、現在の通信間隔が、ユーザが要求する通信要求間隔の許容範囲内に収まっているか否か判断する処理に移行している。
しかし、図16に示す第3の実施形態のフローチャートにおいては、複数の車載ユニットの通信手段に通信間隔の変更が発生することを想定して、あらかじめ決められた通信間隔を変更する通信手段(すなわち車載ユニット)の優先順序にしたがって、通信間隔を変更する順番を決定する。
すなわち、図16においては、ステップS101、S104によって、通信手段2−i(i=1,2,・・・,N)が接続されている車載ユニット1−iの車載ユニットIDと現在の信号の通信間隔とを把握した後、さらに、車両の現在の走行状態を検出し(ステップS301)、検出された車両の走行状態に応じて、優先的に通信間隔の変更を行う車載ユニットすなわち通信手段を決定して(ステップS302)、決定した通信手段に関して、ステップS106にて、現在の通信間隔が、ユーザが要求する通信要求間隔の許容範囲内に収まっているか否か判断する処理に移行するようにしている。
ここで、車両の走行状態は、車速センサーやGセンサー(加速度センサー)などによって取得されるものであり、車両が走行しているか、あるいは、停止しているかを識別するものである。この車両の走行状態すなわち走行の有無により、通信間隔を変更する際の車載ユニットすなわち通信手段の優先順序が異なる順序とされて、優先車載ユニットリスト43Ba1にあらかじめ登録されている。
すなわち、優先車載ユニットリスト43Ba1にあらかじめ登録される車載ユニットすなわち通信手段の優先順序は、通信間隔を変更する通信手段の順序として、車両本来の動作を考慮し、車両としての必須機能ほど重視することが必要であり、その一例を図17に示している。図17は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置に適用される優先車載ユニットリストの一例を示すテーブルであり、車載ユニットIDの具体的なコードや車載ユニットの機能内容や名称などの記述は省略して、車載ユニットのグループ名称のみを記載している。
図17に示すように、通信間隔を変更する優先順序は、車両が停止中か走行中かにより異なり、車両が停止中であれば、図17の例では、ブレーキ関連の車載ユニット、ドアロック関連の車載ユニット、シフト関連の車載ユニット、・・・の順番であり、特に、車両が「停止を確実に継続する」機能や「セキュリティを保護する」機能に関して、すなわち、制動系、セキュリティ系に関連する車載ユニットに関して、優先順序を高くしている。
一方、車両が走行中であれば、図17の例では、ブレーキ関連の車載ユニット、ステアリング関連の車載ユニット、アクセル関連の車載ユニット、・・・の順番となっており、特に、「止まる」機能、「曲がる」機能、「走る」機能に関して、すなわち、操舵系、駆動系に関連する車載ユニットに関して、優先順序を高くしている。
以上、説明したように、本実施形態における車載ユニットの反応時間適正化装置100Bの発明は、現在の車両の走行状態における各車載ユニットすなわち各通信手段の優先順序を決定し、その優先順序の順番に車載ユニットすなわち通信手段の通信間隔の変更を行うことにより、複数の車載ユニットの動作時間を変更する場合でも、車両本来の機能を実行する車載ユニットほど優先順序が高いので、ユーザの意のままに、その走行シーンに適した車載ユニットの動作を行うことができる。
さらに説明すれば、本実施形態によれば、優先車載ユニットリスト43Ba1に記載された優先順序にしたがって、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更するので、すぐにでも通信手段2−iにおける現在の通信間隔を変更して、動作遅延をなくさなければならない車載ユニット1−iに関して、優先的に、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を変更することができる。
また、走行状態検出部43Ba2にて検出された現在の走行状態に応じて、やり取りが発生する通信手段2−iの増減を認識するとともに、優先車載ユニットリスト43Ba1に記載された走行状態に応じた優先順序にしたがって、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更するので、現在の走行状態の下では、すぐにでも通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更して、動作遅延をなくさなければならない車載ユニット1−iに関して、優先的に、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を変更することができる。
また、車両が走行状態にある場合には、操舵系と駆動系とに関する車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を優先的に変更するので、車載ユニット1−iの総数が多く存在する車両内においても、走行状態に応じて、ドライバーの意のままに、車両を操舵および駆動することができ、一方、車両が停止状態にある場合には、制動系とセキュリティ系とに関する車載ユニット1−iに接続された通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔を優先的に変更するので、車載ユニットが多く存在する車両内においても、ドライバーの意のままに、車両を確実に停止した状態を維持し、かつ、セキュリティの確保を図ることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を任意に組み合わせて実施するようにしても良い。また、前述の各実施形態においては、ゲートウェイ3と通信間隔変更処理ユニット4,4A,4Bとを分離した構成としたが、図18に示すように、ゲートウェイ内に通信間隔変更処理ユニットを有する構成としても、全く同様に、本発明を実施することができる。さらには、図19に示すように、ゲートウェイを有さないP2P(Peat to Pear)によるアドホック通信の場合であっても、それぞれの通信手段の少なくとも一つの通信手段内に通信間隔変更処理ユニットを有する構成とすることにより、同様に、本発明を実施することができる。
ここに、図18は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の図1、図12、図15とは異なる例を示すブロック図であり、図18に示す反応時間適正化装置100Cにおいては、ゲートウェイ3A内に、第3の実施形態として図15に示した通信間隔変更処理ユニット4Bを内蔵して構成している例を示している。
図18に示す実施形態によれば、通信手段を統括するゲートウェイ3A自身が、車載ユニットに接続された通信手段における信号の通信間隔を変更するので、該ゲートウェイ3Aが、通信手段2−iにおける現在の信号の通信間隔が、所望の通信要求間隔の許容範囲よりも長くなったことを検出した場合、車載ユニット1−iの動作がユーザの要求する動作レスポンス(反応時間)を満たさなくなったものとして、通信手段2−iにおける信号の通信間隔を直ちに改善して、ユーザから見た車載ユニット1−iの動作レスポンスを迅速に向上させることができる。
また、図19は、本発明による車載ユニットの反応時間適正化装置の構成の図1、図12、図15とはさらに異なる例を示すブロック図であり、図19に示す反応時間適正化装置100Dにおいては、通信手段2A−1,2A−2,・・・、2A−Nのうち、少なくとも一つ通信手段2A−iたとえば通信手段2A−1内に、第3の実施形態として図15に示した通信間隔変更処理ユニット4Bを内蔵して、各通信手段2A−i(i=1,2,・・・,N)間でP2P通信を行うように構成している例を示している。
図19に示す実施形態によれば、各車載ユニットに接続された通信手段2A−1,2A−2,・・・、2A−Nのうち、少なくとも一つの通信手段2A−iたとえば通信手段2A−1が、各車載ユニット1−i(i=1,2,・・・,N)に接続された各通信手段2A−iにおける信号の通信間隔を変更するので、通信手段2A−iにおける現在の信号の通信間隔が、所望の通信要求間隔よりも長くなったことを通信手段2A−1にて検出した場合に、車載ユニット1−iの動作がユーザの要求する動作レスポンスと満足しなくなったものとして、通信手段2A−1にて通信手段2A−iにおける信号の通信間隔を改善するように動作し、より少ないハードウェア構成で、経済的に、車載ユニット1−iの動作レスポンスを向上させることができる。
また、本発明の反応時間適正化装置は、前述した反応時間適正化装置100、100A、100B、100C、100Dのごとき機能を実現するための手段として、ハードウェア論理やファームウェアやプログラム論理のいずれで構成するようにしても良いし、あるいは、これらハードウェア論理やファームウェアやプログラム論理を一部ずつ用いて実現するように構成しても良い。
なお、前述した各実施形態においては、通信間隔変更処理ユニット4,4A,4B内に、変更後の通信間隔を格納する通信間隔格納データベース44を備えている構成を示しているが、前述したように、場合によっては、通信間隔格納データベース44を必ずしも備えていなくてもかまわない。
また、本発明の反応時間適正化方法は、前述した反応時間適正化装置100、100A、100B、100C、100Dのごとき車載ユニットの反応時間を適正化する機能として、如何なる実現手段を用いるかを問わず、車載ユニットIDの検出や現在の通信間隔の検出を行う現在状況把握ステップ、現在の信号の通信間隔が、車載ユニットの機能内容や種別ごとに設定されている動作要求時間(反応要求時間)を実現するための通信要求間隔の許容範囲内に収まっているか否かを判断する通信間隔判断ステップ、現在の信号の通信間隔の変更を行う通信間隔変更ステップを少なくとも有する方法であれば、如何なる方法であってもかまわない。
さらには、前述のような反応時間適正化方法をコンピュータにより実行可能なプログラム(反応時間適正化プログラム)として実現しても良いし、かかる反応時間適正化プログラムをコンピュータにより読み取り可能なプログラム記録媒体として実現するようにしても良い。
1−1,1−2,・・・,1−N・・・車載ユニット、2−1,2−2,・・・,2−N,2A−1,2A−2,・・・,2A−N,・・・通信手段、3,3A・・・ゲートウェイ、4,4A,4B・・・通信間隔変更処理ユニット、11・・・パワーウィンドウメインスイッチ、11A・・・車載ユニットA、12・・・ロック/アンロックブザー、13・・・リクエストスイッチ、14・・・ドアロックアクチュエータ、15・・・パワーウィンドウモーター、15B・・・車載ユニットB、16・・・ドアミラーモーター、17・・・インテリジェントキーユニット、18・・・ミラーコントロールスイッチ、19・・・ボディコントロールモジュールBCM、21A・・・通信手段A、25B・・・通信手段B、41・・・現在状況把握手段、41a・・・車載ユニットID検出部、41b・・・信号入出力間隔検出部、42・・・通信間隔変更判断手段、42a・・・現状通信間隔判断部、42a1・・・通信間隔比較部、42a2・・・通信間隔超回数カウント部、42b・・・通信要求間隔格納データベース、43,43A,43B・・・通信間隔変更手段、43Aa,43a・・・通信間隔決定部、43Aa1・・・伝達遅延検出部、43Ba・・・変更順序決定部、43Ba1・・・優先車載ユニットリスト、43Ba2・・・走行状態検出部、43a1・・・消費電力最小値算出部、43a2・・・ユニット数把握部、44・・・通信間隔格納データベース、100,100A,100B,100C,100D・・・反応時間適正化装置。