JP4735950B2 - 超硬合金製圧延用複合ロール - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼等の金属圧延に用いられる圧延用ロールに関し、外層材となる耐摩耗性に優れたWC(タングステンカーバイド)系超硬合金と、内層材となる靭性に優れた鋼が金属的に接合した複合ロールに関するものである。
WC系超硬合金単体からなる圧延用スリーブロールは、例えばブロックミルのような特殊な圧延機による線材、棒材、管材圧延等の分野で、古くから用いられている。WC系超硬合金は、WCをCo、Ni、Feなどの金属元素で結合した焼結合金であり、WCの他にTi、Ta、Nbなどの炭化物を含有することもある。近年は、焼結技術の進歩に伴い、超硬合金を一般的な線材、棒材、板材等の圧延機に適用する様々な試みがなされ、一部の用途では実用化され、優れた耐摩耗性能を発揮している。例えば、耐摩耗性に優れたWC系超硬合金を外層とし、靱性に優れた鋼材を内層として、両者を熱間等方圧加圧(以下「HIP」と略記する)処理により、焼結と同時に拡散接合した複合構造の超硬合金製圧延用複合ロールがある。
特許文献1には、溶製の鋼系材からなる内層を形成するスリーブの外周に、周期律表のIVa〜VIa族の元素の炭化物、窒化物及び炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結すると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層を有し、前記外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力を付与した複合スリーブを、軸材に嵌合固定した超硬合金製複合ロールが記載されている。また、内層を形成するスリーブが200〜600℃でベーナイト変態、もしくは200〜850℃でパーライト及びベーナイト変態を起こした鋳鋼、鍛鋼、黒鉛鋳鋼、炭素鋼及び合金炭素鋼のいずれかからなることが記載されている。
特許文献2には、WC系超硬合金からなる外層を、HIP処理により、金属組織が実質的にパーライト単独又は実質的にパーライトと面積率で30%以下のフェライトにより構成された鋼材からなる内層の外周に形成した超硬合金製複合スリーブが記載されている。また、複合スリーブの回転軸方向に直角の断面において、外層の断面積/内層の断面積の比が1.2以上であることが記載されている。また、WC系超硬合金からなる外層のスリーブの回転軸方向中央部における円周方向の圧縮残留応力が常温において15〜60kg/mm2であることが記載されている。
特許文献3には、鉄系材料からなる内層材の外周に、炭化タングステン粒子を含む超硬合金からなる外層材が金属接合された超硬合金製複合ロールであって、前記内層材と前記外層材との間に1層以上の炭化タングステン粒子を含む超硬合金からなる中間層を有し、前記中間層の炭化タングステン粒子の含有量を前記外層材より少なくした超硬合金製複合ロールが記載されている。
特開平10−5823号公報 特開2001−87805号公報 特開2002−301506号公報
圧延ロールには、耐摩耗性、耐肌あれ性が要求されると共に、圧延に伴う発熱がロールへおよぼす熱サイクル、咬み止めのような圧延不具合等に起因する熱き裂に対する耐クラック性が求められる。WC系超硬合金は、耐摩耗性、耐肌あれ性に優れておりさらに弱点である耐クラック性を向上させた特性が望まれる。従来、WC系超硬合金の耐熱き裂性を向上させるため、一般的にWCの含有比率を低減する方法が採られるが、この方法は耐摩耗性や耐肌あれ性が犠牲になるため好ましくない。
そこで、前記従来技術のように、耐摩耗性等のロール性能を維持しつつ、耐クラック性を向上させる方法として、内層の鋼系材と接合することにより複合化して超硬合金製の外層に圧縮残留応力を付与する方法がある。これは、外層の超硬合金と内層の鋼系材を高温で接合した後の常温への冷却過程での両者の収縮差を用いるもので、外層の超硬合金に対して、内層の鋼系材に適度に大きな収縮量を与えることにより実現される。しかしながら、超硬合金の熱膨張係数が6〜7×10-6/℃、鋼系材の熱膨張係数が約12×10-6/℃であり、両者の差が約2倍と非常に大きく、接合冷却後、過大な内部応力によりロールが剥離、割れ等の破壊を起こしやすい。また、破壊に至らなくても過大な残留応力が発生し、圧延使用中での破壊、強度不足等で耐用できないことがある。
特許文献1は、内層の金属組織をベーナイト組織、もしくはパーライトおよびベーナイト組織にすることにより、適正な応力を付与しようとするものである。ベーナイト変態は、300℃付近の比較的低温において変態膨張を伴うものであるため、鋼の収縮より大きな収縮を補償し、収縮の少ない超硬合金との歪を緩和する作用を有する。しかし、ベーナイト変態が大きすぎると、逆に鋼の収縮が足りず、ロール表面の圧縮応力が不足したり、過度の場合には、ロール表面に引張応力が残存することもあり得る。このようにベーナイト変態量による応力の変化は、ロールの寸法や、外層と内層の断面積比率、内層の鋼の化学組成、ロール製造時の冷却速度に依存するため、変態量のコントロールによる残留応力の調整は難しいという問題がある。
特許文献2は、内層の金属組織をパーライトとし、外層と内層の断面積比を特定することにより残留応力の調整を行なうものである。外層と内層の収縮差に起因する歪みは、600℃以上の高温では、材料が低応力で塑性変形し、歪みを緩和するため内部応力は殆ど発生しない。従って、残留応力が発生するのは、600℃程度以下の低温で生じる歪みによるものである。内層の鋼がパーライト変態する場合には、700℃以上での比較的高温で変態が完了し、その後の冷却過程ではもはや変態は起こらず、従って変態膨張はなく、超硬合金の約2倍の収縮率で熱収縮する。この場合、超硬合金との熱収縮差は大きく、ロールの寸法によっては応力が過大になる。ロール表面に発生する応力を低減させるためには、外層厚みを内層厚みに対して比較的大きくすればよく、特許文献2では、外層と内層の断面積比を特定している。これによれば、内層材質の組織制御は、パーライト変態が起こるよう十分緩やかに冷却すれば良く、ロールの寸法など無関係に容易であるが、外層と内層の断面積比率の制限があるため、ロールの用途・種類によっては適用できない例がある点が短所である。
すなわち、従来の超硬合金製圧延用複合ロールの圧縮残留応力の制御において、内層の金属組織をベーナイト組織にする方法では、適度な変態量を確保するため、内層の化学成分と冷却速度の微妙な相関をコントロールする必要があった。また、内層の金属組織をパーライト組織にする方法では、外層と内層の断面積比率の制限があるため、全てのロールに適用することができなかった。
そこで、本発明の目的は、内層の材質とロール製造過程での冷却速度の精緻なコントロールを不要とし、また外層と内層の断面積比率の制約を受けることなく、ロール寸法に関係なく各種ロールに適正な残留応力を安定して付与できる超硬合金製圧延用複合ロールを提供することである。
すなわち、本発明の超硬合金製圧延用複合ロールは、鋼系材料からなる内層の外周に、WC系超硬合金からなる外層を金属接合した超硬合金製圧延用複合ロールであって、該内層が材種の異なる複数個の内層部分材を互いに略同心円状に金属接合して構成され、前記内層部分材のうち少なくとも1個は、その金属組織中にパーライト組織およびフェライト組織の合計で100面積%を有し、かつ前記内層部分材のうち少なくとも他の1個は、その金属組織中に80面積%以上のベーナイト組織を有することを特徴とする。
また、前記内層部分材は、外周側に配置されるにつれて、内周側の内層部分材より金属組織中のベーナイト組織の面積%が大きくなることを特徴とする。
また、前記内層部分材のうち少なくとも1個(これを内層部分材Aとする)は、その化学成分のCr、Ni、Moの合計含有量が2.5質量%以下であり、前記内層部分材のうち少なくとも他の1個は、その化学成分のCr、Ni、Moの合計含有量が前記内層部分材AのCr、Ni、Moの合計含有量より0.5質量%以上多いことを特徴とする。
また、前記内層部分材は、外周側に配置されるにつれて、内周側の内層部分材より硬さが硬くなることを特徴とする。
また、前記外層で形成されたロール胴部の回転軸方向中央部におけるロール胴部表面の円周方向の残留応力が150MPa以上の圧縮応力であることを特徴とする。
また、前記外層と内層との間に、少なくとも1層以上の中間層を有し、該中間層はWC粒子の含有量を前記外層より少なくしたWC系超硬合金からなることを特徴とする。
前述したように、ロール表面の圧縮残留応力は、内層材質の変態特性によって大きく変化する。つまり、内層の金属組織が実質的に全てパーライトの場合、パーライト変態後の冷却過程において、変態による膨張がないため外層の超硬合金との熱収縮差が大きく、ロール表面に高い圧縮残留応力が発生する。これに対し、内層がベーナイト変態あるいはマルテンサイト変態をする場合には、低温での変態膨張により、外層の超硬合金との熱収縮差を補償するため、ロール表面の圧縮残留応力はつきにくく、場合によっては引張応力が発生するケースもある。また、この残留応力の値も内層の変態量に依存するため、各種冷却条件によって変化し、その制御は極めて困難である。
本発明は、このような変態特性の異なる2種類の内層を複合構造的に利用することにより、容易に精度良くロール表面の残留応力を制御できる。つまり、ロール冷却時にパーライトおよび/またはフェライト変態する内層(内層部分材)と、ベーナイト変態する別の内層(内層部分材)を用意し、それぞれの内層部分材をお互いに略同心円状に金属接合して一つの内層を構成することにより、ロール表面に発生する残留応力は、内層部分材それぞれ単独で内層を構成した場合における残留応力の中間的な値が得られる。この残留応力の値を制御するには、これら内層部分材の鋼種の構成割合を適宜変化させればよい。この方法によれば、内層の変態量を精緻に制御することなく、各々の内層部分材が占有する断面積比を変えることにより必要な残留応力を付与できる。
内層を熱収縮量の異なる2層以上の構成として残留応力を制御する場合、最も容易なものは、一方を金属組織中にパーライト組織およびフェライト組織の合計で100面積%を有するパーライトおよび/またはフェライト主体の高温で変態を完了する材質とし、他方を金属組織中に80面積%以上のベーナイト組織を有するベーナイト主体の低温で変態する金属組織とするのが望ましい。
また、内層部分材は、略同心円上において外周側に配置される内層部分材ほど、それより内周側に配置される内層部分材に比べて、金属組織中のベーナイト組織および/またはマルテンサイト組織の面積%が大きくなるのが、適切な圧縮残留応力を付与しやすいので好ましい。
さらに、このように異なった金属組織を実現するためには、それぞれの内層部分材中の合金元素、特に焼入れ性に対する作用が大きいCr、Ni、Moの合計含有量を特定するのが望ましい。超硬合金製圧延用複合ロール製造時の冷却は、炉中で行うことが一般的であり、割れ防止のため徐冷される。このような条件でパーライト組織および/またはフェライト組織とするには、内層部分材のうち少なくとも1個(これを内層部分材Aとする)はその化学成分のCr、Ni、Moの合計含有量が2.5質量%以下とするのが相当である。また、このような条件でベーナイト組織および/またはマルテンサイト組織とするには、内層部分材のうち少なくとも他の1個はその化学成分のCr、Ni、Moの合計含有量が前記内層部分材Aのそれより0.5質量%以上多いのが相当である。
また、本発明のWC系超硬合金からなる外層で形成されたロール胴部の回転軸方向中央部におけるロール胴部表面の円周方向の残留応力は、圧縮応力が不十分であると、圧延不具合等に起因してロール表面にクラックが発生するため、150MPa以上の圧縮応力が望ましい。
また、超硬合金からなる外層と最外周側に配置された内層との間に、WC粒子の含有量を外層より少なくしたWC系超硬合金からなる中間層を少なくとも1層以上介在させることにより、外層と内層との接合強度を高められるので好ましい。
本発明の超硬合金製圧延用複合ロールの製造方法として、真空焼結、加圧焼結ないしはHIP法により超硬合金からなる外層を内層に接合させる。また同時にそれらの製造方法によって、内層部分材同士を接合させる。
図1は本発明例の超硬合金製圧延用複合ロールの概略断面図を示す。図1において、超硬合金製圧延用複合ロールは、スリーブロール7を別個に用意した鋼等の軸材5に焼嵌めて組立てられる。スリーブロール7は、鋼系材料からなる円筒状の内層部分材1と、内層部分材1とは材種の異なる鋼系材料からなる円筒状の内層部分材2を金属接合して構成された内層3の外周に、WC系超硬合金からなる外層4を金属接合してなる。
図2(a)は、図1のスリーブロール7のロール回転軸方向に対して直角をなす概略断面図を示す。図2(a)において、スリーブロール7は内層部分材1と内層部分材2とからなる内層3の外周に、WC系超硬合金からなる外層4を金属接合してなり、符号6は軸材5への嵌合のために必要な中空部を示す。
図2(b)は本発明の他実施例の超硬合金製圧延用複合ロールのロール回転軸方向に対して直角をなす概略断面図を示す。この超硬合金製圧延用複合ロールは、中実の内層(軸材、芯材ともいう)の外周に外層を接合した中実構造の複合ロールである。図2(b)において、軸材となる鋼系材料からなる中実状の内層部分材2と、内層部分材2とは材種の異なる鋼系材料からなる円筒状の内層部分材1を金属接合して構成される内層3の外周に、WC系超硬合金からなる外層4を金属接合してなる。
図1および図2において、最外周側に配置される内層部分材1と外層4との間に、WC粒子の含有量を外層4より少なくしたWC系超硬合金からなる中間層(図示せず)を1層以上介在させてもよい。
中間層の施工方法としては、中間層形成用の超硬合金の混合粉末を、外層と内層の間に形成した空隙に充填した後、焼結する方法がある。また、中間層形成用の超硬合金の混合粉末をプレスやCIPで成形した成形体を、外層と内層の間に配置した後、焼結する方法がある。さらに、中間層形成用の超硬合金の混合粉末をプレスやCIPで成形した成形体を仮焼結または焼結した仮焼結体または焼結体を、外層と内層の間に配置した後、焼結する方法がある。
(実施例1)
本発明の実施例を以下に説明する。まず、内層部分材2として、外径210mm、内径160mm、長さ1000mmの中空円筒状のSCM440を用意した。このSCM440の化学成分(質量%)は、C:0.40%、Si:0.25%、Mn:0.65%、Ni:0.05%、Cr:0.95%、Mo:0.18%、Fe:残部であり、Cr、NiおよびMoの合計含有量は1.18%である。また、内層部分材2の外周側に配置される内層部分材1として、外径235mm、内径210mm、長さ1000mmの中空円筒状のSNCM439を用意した。このSNCM439の化学成分(質量%)は、C:0.38%、Si:0.18%、Mn:0.62%、Ni:1.65%、Cr:0.63%、Mo:0.16%、Fe:残部であり、Cr、NiおよびMoの合計含有量は2.44%である。
また、外層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径5μmのWC原料粉末、平均粒径1μmのCo原料粉末を用意し、それぞれを質量%でWC原料粉末80%、Co原料粉末20%の割合で配合し、ボールミルで20時間湿式混合した後、乾燥し、外層形成用の超硬合金原料粉末とした。
この外層形成用の超硬合金原料粉末を用いて、外径300mm、内径240mm、長さ200mmの超硬合金製の仮焼結体からなる中空スリーブを5個作製した。
さらに、外層と内層の間に配置する中間層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が5μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo原料粉末を用意し、質量%でWC原料粉末50%、Co原料粉末50%の割合で配合した。
このように準備した後、内径310mm、長さ550mmのHIP缶の中央に、最内側に内層部分材2を配置し、次いで内層部分材2の外周側に内層部分材1を配置し、すなわち内層部分材2の外径面と内層部分材1の内径面が接するように配置した。その後、内層部分材1の外周に、前記外層形成用の超硬合金製の中空スリーブ5個を、隣接する中空スリーブの側面同士が接するように、同軸上に積み重ねる形で挿入した。
次いで、内層部分材1の外径面と中空スリーブの内径面との間に形成された空隙に、前記の中間層形成用の超硬合金原料粉末を充填した。その後、HIP缶を鋼の蓋で溶接密封した後、700℃にて真空ポンプで脱気処理を行なった。HIP缶にリークが生じていないことを確認した後、1250℃、1000気圧にてHIP処理を行なった。冷却後、HIP缶を加工除去した。このHIP処理によって、内層部分材2と内層部分材1が接合され、同時に内層部分材1と中間層と外層が接合される。
このようにして図2(a)に示すようなスリーブロールを得た。このロールを超音波探傷検査して、内層部分材2と内層部分材1の接合状況、内層部分材1と中間層と外層の接合状況が健全であることを確認した。SCM440からなる内層部分材2の金属組織(面積%)は、パーライト:83%、フェライト17%で構成されていた。また、SNCM439からなる内層部分材1の金属組織(面積%)は、ベーナイト:80%、パーライト:10%、フェライト10%で構成されていた。
得られたスリーブロールをクロムモリブデン鋼の軸材に焼嵌めて、薄板圧延用の超硬合金製複合ロールを作製した。
また、本発明のWC系超硬合金からなる外層で形成されたロール胴部の回転軸方向中央部に歪ゲージを貼り、破壊法によりロール胴部表面におけるロール円周方向の残留応力(MPa)を測定した。その結果、320(MPa)の圧縮残留応力であり耐クラック性に十分な値を得ることができた。
(実施例2)
まず、内層部分材2として、外径210mm、内径160mm、長さ1000mmの中空円筒状の鋳造法で製造した鋼系材を用意した。この鋼系材の化学成分(質量%)は、C:0.41%、Si:0.20%、Mn:0.65%、Ni:0.04%、Cr:0.92%、Mo:0.18%、Fe:残部であり、Cr、NiおよびMoの合計含有量は1.14%である。また、内層部分材2の外周側に配置される内層部分材1として、外径235mm、内径210mm、長さ1000mmの中空円筒状の実施例1と同じSNCM439を用意した。
また、外層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径5μmのWC原料粉末、平均粒径1μmのCo原料粉末、平均粒径1μmのNi原料粉末、平均粒径1μmのCr原料粉末を用意し、それぞれを質量%でWC原料粉末75%、Co原料粉末16%、Ni原料粉末8%、Cr原料粉末1%の割合で配合し、ボールミルで20時間湿式混合した後、乾燥し、外層形成用の超硬合金原料粉末とした。
また、外層と内層の間に配置する中間層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が8μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo原料粉末を用意し、質量%でWC原料粉末50%、Co原料粉末50%の割合で配合した。
この中間層形成用の超硬合金混合粉末をCIPにて成形を行った後、真空焼結炉を用いて1000℃にて仮焼結を行ない、厚み3mmで相対密度63%のスリーブ状の中間層形成用素材を複数個作製した。
このように準備した後、内径310mm、長さ550mmのHIP缶の中央に、最内側に内層部分材2を配置し、次いで内層部分材2の外周側に内層部分材1を配置し、すなわち内層部分材2の外径面と内層部分材1の内径面が接するように配置した。その後、内層部分材1の外周に、前記のスリーブ状の中間層形成用素材を、隣接する中間層形成用素材の側面同士が接するように、同軸上に積み重ねる形で配置した。
次いで、中間層形成用素材の外面とHIP缶の内面との間に形成された空隙に、前記の外層形成用の超硬合金原料粉末を充填した。その後、HIP缶を鋼の蓋で溶接密封した後、700℃にて真空ポンプで脱気処理を行なった。HIP缶にリークが生じていないことを確認した後、1300℃、1000気圧にてHIP処理を行なった。冷却後、HIP缶を加工除去した。このHIP処理によって、内層部分材2と内層部分材1が接合され、同時に内層部分材1と中間層と外層が接合される。
このようにして図2(a)に示すようなスリーブロールを得た。このロールを超音波探傷検査して、内層部分材2と内層部分材1の接合状況、内層部分材1と中間層と外層の接合状況が健全であることを確認した。内層部分材2の金属組織(面積%)は、パーライト:85%、フェライト15%で構成されていた。また、内層部分材1の金属組織(面積%)は、ベーナイト:80%、パーライト:10%、フェライト10%で構成されていた。
実施例1同様に、ロール胴部表面におけるロール円周方向の残留応力(MPa)を測定した結果、260(MPa)の圧縮残留応力であり耐クラック性に十分な値を得ることができた。
本発明の超硬合金製圧延用複合ロールによれば、内層の材質とロール製造過程での冷却速度の精緻なコントロールを不要とし、また外層と内層の断面積比率の制約を受けることなく、ロール寸法に関係なく各種ロールに適正な残留応力を安定して付与できる。
本発明例の超硬合金製圧延用複合ロールの概略断面図を示す。 本発明例のロールの回転軸方向に対して直角をなす概略断面図を示す。
符号の説明
1 内層部分材、 2 内層部分材、 3 内層、 4 外層、 5 軸材、
6 中空部、 7 スリーブロール

Claims (6)

  1. 鋼系材料からなる内層の外周に、WC系超硬合金からなる外層を金属接合した超硬合金製圧延用複合ロールであって、該内層が材種の異なる複数個の内層部分材を互いに略同心円状に金属接合して構成され、前記内層部分材のうち少なくとも1個は、その金属組織中にパーライト組織およびフェライト組織の合計で100面積%を有し、かつ前記内層部分材のうち少なくとも他の1個は、その金属組織中に80面積%以上のベーナイト組織を有することを特徴とする超硬合金製圧延用複合ロール。
  2. 前記内層部分材は、外周側に配置されるにつれて、内周側の内層部分材より金属組織中のベーナイト組織の面積%が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
  3. 前記内層部分材のうち少なくとも1個(内層部分材A)は、その化学成分のCr、Ni、Moの合計含有量が2.5質量%以下であり、前記内層部分材のうち少なくとも他の1個は、その化学成分のCr、Ni、Moの合計含有量が前記内層部分材Aのそれより0.5質量%以上多いことを特徴とする請求項1または2に記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
  4. 前記内層部分材は、外周側に配置されるにつれて、内周側の内層部分材より硬さが硬くなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
  5. 前記外層で形成されたロール胴部の回転軸方向中央部におけるロール胴部表面の円周方向の残留応力が150MPa以上の圧縮応力であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
  6. 前記外層と内層との間に、少なくとも1層以上の中間層を有し、該中間層はWC粒子の含有量を前記外層より少なくしたWC系超硬合金からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
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