JP2001059147A - 耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材 - Google Patents

耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材

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JP2001059147A
JP2001059147A JP2000174355A JP2000174355A JP2001059147A JP 2001059147 A JP2001059147 A JP 2001059147A JP 2000174355 A JP2000174355 A JP 2000174355A JP 2000174355 A JP2000174355 A JP 2000174355A JP 2001059147 A JP2001059147 A JP 2001059147A
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steel
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carbides
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Hide Uchida
秀 内田
Shuichi Hamauzu
修一 濱渦
Kanji Takagi
寛司 高木
Sumihiko Kurita
澄彦 栗田
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Koransha Co Ltd
Nippon Steel Corp
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Koransha Co Ltd
Nippon Steel Corp
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  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間圧延、冷間圧延に使用される耐磨耗性、
耐クラック性に優れた鋼製複合部材、特に複合ロールを
提供する。 【解決手段】 外層の少なくとも表層部の材料が鉄基合
金の基地に炭化物と酸化物系セラミック繊維が分散した
焼結材料からなり、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf
の少くとも1種の炭化物と、Cr、Mo、Wの少くとも
1種の炭化物を含む炭化物の大きさが10μm以下で、
焼結材料中の繊維は、アスペクト比が20〜200、体
積率が5〜50Vol%、平均繊維間距離が5〜200
μmで分散する。鉄基合金の成分組成が、C:0.8〜
3.5%、Cr:2〜7%、Mo:10%以下、W:2
0%以下、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hfの少くと
も1種以上1〜15%、Ni:5%以下、Co:10%
以下、残部実質的にFeからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐磨耗性、耐クラ
ック性に優れた焼結外層を有する鋼製複合部材、特に複
合ロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属材料、非金属材料の圧延や成形加工
には耐磨耗性に優れた複合ロールが使用されている。複
合ロールは外層部が耐磨耗性に優れた材料、軸部が靭性
に優れた材料からできており、外層が軸部に焼嵌された
りあるいは接合されて使用されている。昨今、鉄鋼圧延
の分野ではハイスロールと称される複合ロールの使用が
盛んである。ハイスロールは、耐磨耗性に優れた高炭
素、高V鋳鉄が外層を形成し、この外層が鋼製の軸に溶
着した構造を有しているが、このハイスロールは耐磨耗
性には極めて優れている反面、耐クラック性に問題があ
り、ロール寿命は、このクラックの進行によってほぼ決
定付けられている。ロール寿命を延ばすためには、耐磨
耗性を犠牲にすることなく、クラックの進行をいかに抑
制するかが、問題となっている。また、最近処理量が増
加しているステンレス鋼等の圧延では、ロール材の焼付
き性も重要な問題であり、その向上が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題に
鑑みてなされたもので、耐磨耗性を犠牲にすることな
く、クラックの進行の抑制および焼付き性を向上できる
新しい構造の耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材、
特に複合ロールを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に関し
て鋭意研究を行った結果、以下に記述する構成によって
課題を解決できることを見出した。
【0005】(1)鋼製基台に耐磨耗性材料からなる外
層を設けた複合材において、該外層の少なくとも表層部
の材料が鉄基合金の基地に炭化物と酸化物系セラミック
繊維が分散した焼結材料からなり、該炭化物の大きさが
10μm以下で、かつ該炭化物の中に(V、Nb、T
a、Ti、Zr、Hf)の中から選ばれた1種あるいは
2種以上の炭化物と、(Cr、Mo、W)の中から選ば
れた1種あるいは2種以上の炭化物が存在し、該焼結材
料の中の繊維は、アスペクト比が20〜200、体積率
が5〜60vol%、繊維と繊維の間の平均繊維間距離
が5〜200μmで分散し、かつ該鉄基合金の成分組成
が、質量%で、0.8〜3.5%の炭素、2〜7%のC
r、10%以下のMo、20%以下のW、1〜15%の
(V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf)の中から選ばれ
た1種あるいは2種以上の元素、5%以下のNi、10
%以下のCo、残部実質的にFeからなることを特徴と
する耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材。
【0006】(2)上記焼結材料の焼結密度が理論密度
に対して98.5%以上の密度を有する上記(1)記載
の耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材。 (3)上記鉄基合金に質量%でAlが0.03〜0.6
%添加されてなる上記(1)または(2)記載の耐磨耗
性焼結外層を有する鋼製複合部材。 (4)上記酸化物系セラミック繊維がアルミナ繊維であ
る上記(1)〜(3)のいずれかの項に記載の耐磨耗性
焼結外層を有する鋼製複合部材。 (5)上記鋼製複合部材が複合ロールであることを特徴
とする耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材。 (6)上記外層が鋼製の軸に焼嵌された構造である上記
(5)記載の複合ロール。 (7)上記外層が鋼製の軸にキー止めされた構造である
上記(5)または(6)記載の複合ロール。 (8)上記外層が鋼製の軸の周りに冶金的に接合された
構造である上記(5)〜(7)のいずれかの項に記載の
複合ロール。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明による複合ロールに代表さ
れる耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材の外層部表
層の少なくともロール使用限界寸法内の材料は下記
(a)〜(e)の条件を満足する材料からなることが好
ましい。 (a)鉄基合金の基地に炭化物と酸化物系セラミック繊
維が分散した焼結材料からなること。 (b)該炭化物の大きさが10μm以下であること。 (c)該炭化物の中に(V、Nb、Ta、Ti、Zr、
Hf)の中から選ばれた1種あるいは2種以上の炭化物
と、(Cr、Mo、W)の中から選ばれた1種あるいは
2種以上の炭化物が存在すること。 (d)該焼結材料の中の繊維は、アスペクト比が20〜
200、体積率が5〜60Vol%、繊維と繊維の間の
平均繊維間距離が5〜200μmで分散し、かつ (e)該鉄基合金の成分組成が、質量%で0.8〜3.
5%の炭素、2〜7%のCr、10%以下のMo、20
%以下のW、1〜15%の(V、Nb、Ta、Ti、Z
r、Hf)の中から選ばれた1種あるいは2種以上の元
素、5%以下のNi、10%以下のCo、残部実質的に
Feからなること。更に、本発明による複合ロールの特
性(耐磨耗性と耐クラック性の改善)は上記(a)〜
(e)の条件を組み合わせることによって発揮されるも
のである。
【0008】本発明による焼結材料中の繊維の繊維体積
率は5〜60vol%の範囲が好ましい。5vol%未
満では耐磨耗性、耐クラック性ともに従来の鋳造ハイス
ロールと同等程度で、改善効果が発揮されない。また上
限の60vol%を越えると繊維の分散性が不十分とな
り、密度の確保が困難となり、耐摩耗性および耐クラッ
ク性の点で好ましくない。また、焼結材料中の繊維と繊
維の平均繊維間距離は5〜200μmの範囲が好まし
い。なお、本発明において規定する平均繊維間距離と
は、ミクロ組織を線分析した時の繊維と繊維の距離の平
均値(mean free path)を意味する。こ
の平均繊維間距離が5μm未満では分散性不十分で耐ク
ラック性に問題が起こり、上限の200μmを越えると
ロール材として必要な特性である鋼材に対する耐焼付性
で問題が起こるので好ましくない。
【0009】更に、焼結材料中のセラミック繊維のアス
ペクト比(繊維長さ/繊維径)は、20〜200の範囲
が好ましい。このアスペクト比が20未満では、耐クラ
ック性で改善効果は見られず、一方、200を越えると
分散性が悪くなり耐クラック性に問題が起こる。
【0010】上述した繊維の体積率、平均繊維間距離お
よびアスペクト比、この三者の相互関係は、繊維の体積
率5〜60vol%の条件下で繊維の直径、長さ、総
数、および単位体積に分散する密度(繊維の密集度合
い)等を調整することによってアスペクト比20〜20
0、平均繊維間距離5〜200μmにするということで
ある。
【0011】鉄基合金は基地に炭化物が分散したミクロ
組織を有し、炭化物は析出炭化物、晶出炭化物の二種の
炭化物からなる。本発明では晶出、析出、つまり基地に
分散する炭化物の粒径は10μm以下が良く、望ましく
は5μm以下にすることが好ましい。炭化物の粒径が1
0μmを越えると耐クラック性で問題が起こるので好ま
しくない。炭化物の中で晶出炭化物は、出発原料がたと
え同じでも焼結温度、時間が変わると大きさが大きく変
化する。従って、本発明では、炭化物の粒径が10μm
以下になるように、温度、時間等の製造因子を適正に調
節して製造する必要がある。
【0012】本発明においては、焼結密度が理論密度に
対して98.5%以上の密度であることが好ましい。焼
結密度が理論密度に対して98.5%未満では、耐磨耗
性、耐クラック性ともに従来の鋳造法で溶造したハイス
材と同等以下であり、改善効果が現れない。
【0013】セラミック繊維は、酸化物系を好適に使用
できるが、とりわけアルミナ繊維が好ましい。同じアル
ミナ系繊維であるムライト繊維も同様に使用できる。セ
ラミック繊維は少なくとも使用限界寸法内に混合分散さ
せれば良いが、必要に応じて外層全体つまり表層から軸
材との境界部まで全体にわたって分散させても良い。セ
ラミック繊維を分散させるときの繊維の方向性は、ロー
ル表面と平行方向、垂直方向、あるいはランダム、いず
れの方向性でもかまわない。
【0014】次に、本発明で規定する鉄基合金の成分組
成は下記組成が好ましい(成分組成はいずれも質量%で
ある。)。C:0.8〜3.5%、Cr:2〜7%、M
o:10%以下、W:20%以下、V、Nb、Ta、T
i、Zr、Hfの中から選ばれた1種あるいは2種以
上:1〜15%、Ni:5%以下、Co:10%以下、
残部実質的にFeからなる組成が好ましい。V、Nb、
Ta、Ti、Zr、Hfの中の元素は、1種あるいは2
種以上適宜選択しても良いが、最も好ましいのはVであ
る。
【0015】Cは、炭化物形成のために必要で、下限値
未満では晶出炭化物の量が少なく耐磨耗性の点で十分で
ない。上限を越えると炭化物の分散が均一でなくなり、
靭性、耐肌荒れ性で問題が起こる。Crは下限値未満で
は焼入性に劣り、上限を越えるとCr炭化物が過多とな
り靭性が低下する。
【0016】V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hfは、硬
度が高く、粒状、分散性の良いMC系炭化物を晶出する
ほか、他の晶出炭化物の分散性も改善し、また同時に、
これらの炭化物が存在する鉄基合金の基地組織はセラミ
ック繊維に結合性を有するので、本発明では耐磨耗性と
セラミック繊維に対する結合性の点で必須の元素であ
る。これらの元素量の総和は1〜15%の範囲が好まし
い。これらの総和が1%未満では、Cとのバランスで炭
化物が十分に晶出せず、耐肌荒れ性の点で本発明の目的
が達成できない。また15%を越えると、炭化物が粗大
化しやすく、肌荒れの問題が発生する。
【0017】Mo,Wは、焼入性と高温硬さを得るため
に必要であり、また、CrやFeとともに複合炭化物を
形成し耐磨耗に寄与する。Moは、10%以下、Wは、
20%以下が好ましい。それぞれ上限を越えると靭性、
耐肌荒れ性の点で好ましくない。上記元素のほか、Ni
は5%以下、Coは10%以下、単独、又は複合して添
加して良い。Niは焼入性を向上させる元素であるが、
上限を越えると、残留オーステナイトが多くなり我や圧
延中の肌荒れを起こし好ましくない。Coは焼き戻し軟
化抵抗と二次硬化の点で有利であるが、上限を越える
と、焼入性が悪くなるので好ましくない。
【0018】本発明による複合ロールは粉末焼結法で製
造されるので、鋳造鉄基合金に通常添加されるSi、M
nは必ずしも添加しなくても良いが、Alは、セラミッ
ク繊維に対する濡れ性、接合性の改善と、ロールの耐酸
化性の改善に効果があるので必要に応じて添加して良
い。添加量は、0.03〜0.6%の範囲が好ましく、
下限値未満では効果が現れず、上限を超えるとロールの
熱処理特性で問題が起こる。
【0019】本発明の複合ロールは、基本的には外層が
鋼製の軸に嵌合された構造、キー止めされた構造、外層
が鋼製の軸の周りに冶金的に接合された構造、この三つ
のうちいずれかの構造からなる。嵌合やキー止めされた
構造では、まず外層のスリーブを単独で成型、焼結した
後、ロール使用条件で要求される硬度、表面粗さを得る
ために所定の熱処理、研磨加工を行い、ロール軸に焼嵌
等によって嵌合、あるいはキー止めする。
【0020】スリーブは、鉄製の筒状のカプセル内に前
記した鉄基合金粉末と繊維の混合体を充填し、カプセル
に鉄の蓋をして溶接して真空脱気、真空封着したのち、
熱間静水圧成形により焼結成形して製造できる。また、
前記鉄基合金粉末と繊維の混合体をホットプレスで成形
焼結することによっても製造できるし、あるいは前記鉄
基合金粉末と繊維の混合体を冷間静水圧成形(CIP)
で成形後、焼結することによっても製造できる。更に、
前記鉄基合金粉末と繊維の混合体を金型で成形後、焼結
することによっても製造できる。スリーブが軸に接合さ
れた接合構造のロールは、熱間静水圧成形を使った一体
焼結法、あるいは一旦スリーブを作った後、軸に溶接、
ロー付け、焼結等の方法で接合する方法で製造できる。
【0021】図1および図2は熱間静水圧成形を使用し
た一体焼結法を説明した図である。まず軸材1の周りに
筒状の鉄製カプセル2を溶接し、軸とカプセルで構成さ
れたキャビティーに前記した鉄基合金粉末とセラミック
繊維の混合体を充填し、カプセル2に蓋3をして周囲を
溶接して真空脱気し、真空封着した後、熱間静水圧成形
する。カプセル内の粉末混合体は熱間静水圧成形で焼結
され、同時にロール軸と冶金的に接合される。ロール軸
は鋳鋼、鍛鋼、強靱鋳鉄等が使用でき、熱処理後、研磨
加工されて実使用に供されることとなる。ロール軸の外
層との接合部には、外層との接合性、熱応力の緩衝、等
を目的として必要に応じて第2、第3の中間層を設けて
も良い。中間層は、予め肉盛りによって設けても良い
が、上記熱間静水圧成形時に同時に設けても良い。本発
明の複合部材は、熱間圧延ロール材のみならず、シーム
レス、線材圧延、熱押し、鍛造等の熱間加工用工具、及
び冷間圧延ロール、冷間加工工具としても好適に使用で
きる。また、高耐摩耗性材料として、圧延機周辺のロー
ラー、およびガイド類にも適用できる。
【0022】
【実施例】〈実施例1〉(一体ロール) ロール径:100mm、ロール胴部長さ:100mm ロール軸の長さ:200mm ロール軸材:Ni−Cr−Mo鋼 外層部の鉄基合金粉末の成分組成(粒度:45μmアン
ダー) C:0.88%、Si:0.28%、Cr:4.0%、
V:2.0%、Mo:5.0%、W:6.0%。 セラミック繊維には、直径とアスペクト比の異なる2種
類のアルミナ繊維および一部ムライト繊維を使用した。
繊維の体積率、平均繊維間距離、アスペクト比を変える
ために、配合する繊維の直径、長さ、本数を変えて上記
鉄基合金粉末と無作為に混合した。混合試料は表1に示
す10種類(材質番号1〜10、粉末番号(1)〜
(9))作製した。
【0023】[粉末の成形]図1に示すロール軸1の周
りに、筒状の鉄製カプセル2を溶接し、軸とカプセルで
画成されたキャビティー内に上記した鉄基合金粉末とア
ルミナ繊維あるいはムライト繊維の混合体を充填した。
次に粉末のバインダーを加熱除去した後、カプセルに図
2に示す蓋3をし、蓋とカプセルの周囲を溶接して脱気
口から真空脱気した後、脱気口を真空封着し、1100
℃で熱間静水圧成形した。尚、番号5の粉末は、焼結密
度を変えて2種類焼結した。冷却後、カプセル材を除去
し、硬度がショアー硬度で80〜85になるように熱処
理(焼き入れ、焼き戻し)した。
【0024】[ロールのミクロ組織]カプセル内の粉末
混合体は熱間静水圧成形で焼結され、同時にロール軸と
冶金的に接合していた。ミクロ組織は、鉄基合金の焼結
組織の中にアルミナ繊維あるいはムライト繊維がランダ
ムに分散した組織からなり、鉄基合金の組織はマトリッ
クス+炭化物組織、炭化物は、VC炭化物、Mo、W、
Cr、Feの複炭化物から構成されていた。炭化物の大
きさはいずれの試料も3〜10μmの範囲であった。上
記10種類の混合粉末の焼結後のミクロ組織は、下記の
表1の通りである。
【0025】
【表1】 表1において、繊維1は、直径13μm、アスペクト比
100のアルミナ繊維で、繊維2は、直径25μm、ア
スペクト比40のアルミナ繊維で、繊維3は、直径10
μm、アスペクト比50のムライト繊維である。材質番
号は5、6は同じ粉末を使用し、焼結密度が異なる。繊
維の分散性は、材質1〜7、9、10は良好、材質8は
若干凝集があったが、密度は99%以上を示した。
【0026】上記10種類の焼結ロール材料、及び比較
材として従来の鋳造ハイスロール材料1種類、計11種
類の材料について下記の評価テストを行った。 [評価テスト1:耐クラック性テスト]実ロールと同じ
熱サイクルを与えて耐クラック性を評価した。熱サイク
ルは高周波で600℃に加熱し、直後に水冷することに
より行い、加熱−冷却を105 回繰返し、クラック深さ
をクラックメーターで測定した。結果は下記の表2の通
りである。
【0027】
【表2】 なお比較材の鋳造ハイス材を100として比較した。
【0028】[評価テスト2:耐磨耗性テスト]表2の
材質番号1〜10の材料、及び比較材(鋳造ハイス)に
ついて実ロールとほぼ同じ使用条件で熱間転動磨耗試験
をした。 試験片サイズ:直径80mm、厚さ10mm 加熱片サイズ:直径165mm、厚さ15mm、7.5
mmRクラウン付材質S45C 試験速度 :試験片700rpm 加熱片とのすべり
率11% 荷重 :20kgf 温度 :加熱片850℃ 試験片 約500℃ 転動数 :5000回 磨耗試験結果を表3に示す。
【0029】
【表3】 なお比較材の鋳造ハイス材を100として比較した。
【0030】[評価テスト3:耐焼付き性テスト]上記
材質番号3、6の材料、及び比較材(鋳造ハイス)につ
いて加熱片材質をステンレス鋼に変えて、実ロールとほ
ぼ同じ使用条件(他は評価テスト2と同じ)で熱間転動
焼付き試験をした。その結果、比較材では若干焼付きが
発生したが、本発明ロール組成では焼付きの発生はみら
れなかった。以上評価テスト1〜3より、本発明ロール
は、耐クラック性、耐磨耗性、耐焼付き性に著効がある
ことが確認できた。
【0031】〈実施例2〉(スリーブロール) スリーブ外径 :100mm、スリーブ内径:60mm スリーブ長さ :100mm ロール軸の長さ:200mm ロール軸材:Ni−Cr−Mo鋼 スリーブの鉄基合金粉末の成分組成(粒度:45μmア
ンダー) C:1.35%、Si:0.40%、Cr:4.0%、
V:2.2%、Nb:0.9%、Mo:4.0%、W:
8.0%、Al:0.5%。 セラミック繊維には実施例1の繊維2を使用し、繊維と
鉄基合金粉末の配合割合は、実施例1の粉末番号(6)
と同じ割合とした。
【0032】[粉末の混合、成形]上記鉄基粉末に、セ
ラミック繊維を無作為に混合し、図3に示す、筒状の鉄
製カプセル2のキャビティー内に充填し、粉末のバイン
ダーを加熱除去した後、実施例1と同じくカプセルに蓋
3をし、蓋とカプセルの周囲を溶接して脱気口から真空
脱気した後、脱気口を真空封着し、熱間静水圧成形し
た。ミクロ組織の炭化物の大きさを変えるために成形温
度は1050℃、1250℃の2水準を採用した。冷却
後、カプセル材を除去し、硬度がショアー硬度で80〜
85になるように熱処理(焼き入れ、焼き戻し)した。
相対焼結密度は、成形温度1050℃で99%以上、1
250℃で99.7%であった。
【0033】[スリーブのミクロ組織]ミクロ組織は、
鉄基合金の焼結組織の中にアルミナ繊維がランダムに分
散した組織からなり、鉄基合金の組織はマトリックス+
炭化物組織、炭化物はVC炭化物、Nb炭化物、Mo、
W、Cr、Feの複合炭化物から構成されていた。炭化
物の大きさは、成形温度1050℃では5μm以下、1
250℃では、10〜30μmの大きさの炭化物が存在
していた。
【0034】[評価テスト]実施例1と同じ方法で耐ク
ラック性テスト、耐磨耗性テストを行った。いずれも比
較材(鋳造ハイス)を100として比較した。結果を下
記の表4に示す。
【0035】
【表4】 成形温度1050℃の本発明ロールは従来ロールに比較
して耐クラック性、耐磨耗性で著効があることを確認で
きた。また、成形温度が高く(1250℃)、10μm
を越える大きさの炭化物が存在する試料では耐クラック
性の改善が十分でないことが判明した。
【0036】[耐酸化性の評価]焼入れ時の酸化膜の厚
さを比較したところ、いずれの試料も実施例1の場合に
比較して酸化膜が20〜25%程度薄くなっていた。A
lの添加は酸化防止に効果があることを確認した。
【0037】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明ロールは耐
磨耗性、耐クラック性および耐焼き付き性の改善に著効
があり、ロール寿命の改善に多大の貢献をなすものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間静水圧を使用した一体焼結法の説明図であ
る。
【図2】図1に蓋をして真空脱気する説明図である。
【図3】熱間静水圧を使用してスリーブを焼結するとき
の説明図である。
【符号の説明】
1…ロール軸材 2…カプセル 3…蓋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/56 C22C 38/56 49/14 49/14 // B22F 5/00 B22F 5/00 E (C22C 49/14 101:02) (C22C 49/14 101:12) (72)発明者 濱渦 修一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 高木 寛司 佐賀県西松浦郡有田町幸平一丁目3番8号 株式会社香蘭社内 (72)発明者 栗田 澄彦 佐賀県杵島郡山内町大字宮野91の114

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製基台に耐磨耗性材料からなる外層を
    設けた複合部材において、該外層の少なくとも表層部の
    材料が鉄基合金の基地に炭化物と酸化物系セラミック繊
    維が分散した焼結材料からなり、該炭化物の大きさが1
    0μm以下で、かつ該炭化物の中に(V、Nb、Ta、
    Ti、Zr、Hf)の中から選ばれた1種あるいは2種
    以上の炭化物と、(Cr、Mo、W)の中から選ばれた
    1種あるいは2種以上の炭化物が存在し、該焼結材料の
    中の繊維は、アスペクト比が20〜200、体積率が5
    〜60vol%、繊維と繊維の間の平均繊維間距離が5
    〜200μmで分散し、かつ該鉄基合金の成分組成が、
    質量%で、0.8〜3.5%の炭素、2〜7%のCr、
    10%以下のMo、20%以下のW、1〜15%の
    (V、Nb、Ta、Ti、Zr、Hf)の中から選ばれ
    た1種あるいは2種以上の元素、5%以下のNi、10
    %以下のCo、残部実質的にFeからなることを特徴と
    する耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部材。
  2. 【請求項2】 前記焼結材料の焼結密度が理論密度に対
    して98.5%以上の密度を有する請求項1記載の耐磨
    耗性焼結外層を有する鋼製複合部材。
  3. 【請求項3】 前記鉄基合金に質量%でAlが0.03
    〜0.6%添加されてなる請求項1または2記載の耐磨
    耗性焼結外層を有する鋼製複合部材。
  4. 【請求項4】 上記酸化物系セラミック繊維がアルミナ
    繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の耐磨耗性焼
    結外層を有する鋼製複合部材。
  5. 【請求項5】 前記鋼製複合部材が複合ロールであるこ
    とを特徴とする耐磨耗性焼結外層を有する鋼製複合部
    材。
  6. 【請求項6】 前記外層が鋼製の軸に焼嵌された構造を
    有することを特徴とする請求項5記載の複合ロール。
  7. 【請求項7】 前記外層が鋼製の軸にキー止めされた構
    造である請求項5または6記載の複合ロール。
  8. 【請求項8】 前記外層が鋼製の軸の周りに冶金的に接
    合された構造である請求項5〜7のいずれかの項に記載
    の複合ロール。
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