JP4427786B2 - 板圧延用超硬合金製複合ロール - Google Patents

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本発明は、靭性に優れる鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外周に、高硬度の超硬合金からなる外層を形成した圧延用複合ロールに関する。本発明は、特に板圧延用ロールに用いられるのに好適なものである。
板圧延においては、圧延肌品質の向上、耐摩耗性の向上の要求から、従来は熱間圧延ではグレン系鋳鉄ロールやハイス系ロール、冷間圧延ではクロム系やセミハイス系鍛鋼ロールが広く用いられてきた。
さらに最近では、ハイス系ロールなどに比べて耐摩耗性が格段に優れる超硬合金を用いたロールがある。超硬合金は公知のごとく、炭化タングステン(WC)をCo、Ni、Feなどの金属元素で結合した焼結合金であり、WCの他にTi、Ta、Nbなどの炭化物を含有することもしばしばある。
例えば、特許文献1には、WC−Co−Ni−CrのWC系超硬合金で構成した線材圧延用ロールが記載されている。この線材圧延用ロールは、超硬合金単体を焼結した小型のスリーブロールであり、靭性に優れた鋼製のロール軸材に0.1/1000程度の焼嵌め率で嵌合し、そのスリーブロールの側面を固定リング、スペーサーリングなどにより押圧固定して機械的に組立てたものである。この種の超硬合金製スリーブロールの寸法は、外径が100〜500mm、回転軸方向の長さが10〜300mm程度の比較的短尺なものである。
特許文献2には、超硬合金と鋼系材を金属的に接合した複合ロールが記載されている。これは溶製の鋼系材からなる内層を形成するスリーブの外周に、周期律表のIVa〜VIa族元素の炭化物、窒化物および炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結すると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層を有し、外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力を付与した複合スリーブを、ロール軸材に嵌合固定したものである。
特許文献3には、溶製の鋼系材からなる軸材の外周に、周期律表のIVa〜VIa族元素の炭化物、窒化物および炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結すると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層の表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力を付与した超硬合金製複合ロールが記載されている。
特許文献4には、鉄系材料からなる内層の外周に、炭化タングステン粒子を含む超硬合金からなる外層が金属接合された超硬合金製複合ロールであって、内層と外層との間に1層以上の炭化タングステン粒子を含む超硬合金からなる中間層を有し、中間層の炭化タングステン粒子の含有量を外層より少なくした超硬合金製複合ロールが記載されている。
この種の超硬合金製ロールは、従来の鋳造ロールや鍛造ロールに比べ格段に優れた耐摩耗性および耐肌荒れ性を発揮する。なかでも、特許文献2〜4のような超硬合金製複合ロールは、特許文献1のような組立て式超硬ロールにおける固定リング、皿バネ、ナットなどの部品が不要であるという利点を有する。また、ロール胴部長さの全表面を外層で構成するため圧延に使用できる部分を拡大でき、板圧延用ロールのような広幅の圧延材の圧延にも適用できるという利点を有する。
特公昭58−39906号公報 特開平10−5823号公報 特開平10−5824号公報 特開2002−301506号公報
板圧延の用途では、圧延中にミルが圧延材を噛みこんだまま停止する、いわゆる噛み止め事故や圧延材が折れ曲がり2重以上に重なった状態でロール間に噛みこまれる、いわゆる絞り込み事故に不可避的に遭遇するおそれがある。
このような圧延事故が発生すると、ロール表面に大きな機械的・熱的負荷がかかり、ロール外層の表面に深いクラックが発生しやすい。そして、その後の圧延による熱的、機械的な繰り返し負荷により、ロール外層の内部に進展していき、ロールが割損するおそれもある。ロールとしてはこのような場合のクラックダメージが少ないこと、つまり耐事故性が重要な特性のひとつである。
特に超硬合金製ロールのような硬質のロールは、クラックが発生しやすく、また一旦発生したクラックは非常に進展しやすく、最悪の場合にはロールが割損したり、外層が剥離したりする。
本発明は、このような超硬合金製ロールの問題点に鑑み、耐摩耗性、耐肌荒れ性が優れるとともに、耐事故性に優れた板圧延用超硬合金製複合ロールを提供するものである。
従来のロールは、ロール割損や、深く進展するクラックを防止するため、クラック発生後の進展抵抗を強化するため、破壊靭性値を増加するのが耐事故性向上のための主たる考え方であった。
しかし、圧延事故発生時の熱亀裂の発生そのものを抑えることができれば、その後のクラック進展やロール割損もなく、耐事故性は極めて良好になる。超硬合金の場合、WC等の炭化物比率が高く、圧延事故時の鋼板の焼き付きが少ないため、ロール表面からの入熱量が少なく、熱膨張率も少ないので、熱衝撃が従来の鉄基合金系のロールより小さい。したがって、材質の強度次第では、熱衝撃による初期クラックそのものを、防止できる可能性がある。
本発明は、このような考え方に鑑みなされたものである。すなわち、本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールは、鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外周に、超硬合金からなる外層が接合してなり、該外層は、R=σc(1−ν)/Eα(但し、σc:抗折強度、ν:ポアソン比、E:ヤング率、α:熱膨張係数)で表わされる熱衝撃係数Rが400以上を満足することを特徴とする。
また、本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールは、鋼系材料または鉄系材料からなる中空円筒状の内層の外周に、超硬合金からなる外層が接合してなるスリーブロールであって、該外層は、R=σc(1−ν)/Eα(但し、σc:抗折強度、ν:ポアソン比、E:ヤング率、α:熱膨張係数)で表わされる熱衝撃係数Rが400以上を満足し、かつ、ロール軸に垂直な断面において、スリーブロールの全体の断面積に対する内層の断面積の比率が0.5以上であることを特徴とする。
また前記本発明において、ロール軸方向中央部の外層表面において、ロール表面と平行な方向の残留応力として圧縮残留応力が付与されていることを特徴とする。さらに、外層と内層の間に中間層を少なくとも1層以上介在させることを特徴とする。また、前記中間層が超硬合金からなることを特徴とする。
熱衝撃によるクラック発生は、発生する熱応力に比べ、材料強度が不足した場合に発生すると考えられる。従って、このようなクラックを防止するためには、発生する熱応力を低下させるか、材料の強度を増加させる必要がある。
このような熱衝撃クラックの発生メカニズムを考慮し、超硬合金の急激な温度変化に対する熱衝撃係数R=σc(1−ν)/Eαが400以上の値を有するようにした。また、この熱衝撃係数Rは500以上であることが好ましい。さらに600以上であることが望ましい。
種々の超硬合金製複合ロールを、昇温、冷却による耐用実験をした結果、熱衝撃係数Rが400未満であるとロールの表面に熱衝撃による熱亀裂が発生しやすいことが判った。
本発明で規定される熱衝撃係数Rは、ロール自体から切り出した超硬合金の試験片の測定値から求めたものである。破壊強度σcは常温における4点曲げ強度(MPa)、熱膨張係数αは常温から800℃までの平均熱膨張係数(℃-1)、ポアソン比νは常温における値、ヤング率E(MPa)は常温における値を用いた。
また、実質的な熱応力を低減させる方法として、ロールに予め圧縮の残留応力を付与させておく方法もある。本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールでは、ロール軸方向中央部の外層表面において、ロール表面と平行な方向の残留応力として圧縮残留応力を付与することによって、たとえ熱亀裂が発生したとしても圧縮応力で亀裂がそれ以上進展しないようにすることができる。この圧縮応力は100〜500MPaであることが望ましい。
このような表面圧縮残留応力は、ロール全断面に対するロールの内層の断面積が大きい程、高い応力を与えることができる。超硬複合スリーブロールの表面に発生する残留応力は、外層と内層の歪差により発生し、そのロール表面での円周方向の値は、内層比、つまりロール軸に垂直な断面におけるスリーブロールの全体の断面積に対する内層の断面積の比率に比例する。したがって、ロール表面に大きな残留応力を付与するためには、この内層比を一定以上にすることが有効である。発明者は、種々検討した結果、この内層比を0.5以上にすれば、十分大きな圧縮残留応力をロール表面に付与できることを見出した。内層比は0.55以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。
さらに、超硬合金からなる外層と、鋼系または鉄系材料からなる内層との間に超硬合金または金属で形成された中間層を少なくとも1層以上介在させることにより、外層と内層との接合強度を高められるので好ましい。このうち少なくとも超硬合金の外層に隣接する中間層は、その組成において、金属系のバインダー相の重量比率が30%以上のサーメット系材質であることがより望ましい。1層または2層以上の中間層の全体の厚み、すなわちロール軸方向と直角をなす断面における幅を1mm以上にすると接合強度を十分高めることができる。
本発明の複合ロールの製造方法として、鋼系または鉄系材料からなる内層を用いて、真空焼結、加圧焼結ないしは熱間静水圧プレス(HIP)法により超硬合金からなる外層を接合させる。
本発明のロールの構成は、中実の複合ロールでもよく、複合スリーブロールを鋼などの軸材に焼嵌めて組み立てたものでも良い。図1は本発明における各種のロール胴部の概略断面図を示す。図1において、(a)は内層1(軸材)と外層2が接合した中実の複合ロール、(b)は内層1(軸材)と中間層3と外層2が接合した中実の複合ロール、(c)は中空の内層1と外層2が接合した複合スリーブロール、(d)は中空の内層1と中間層3と外層2が接合した複合スリーブロールである。なお、4は接合部を示す。
(実施例1)
外層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が5μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo原料粉末を用意し、それぞれを重量%でWC原料粉末80%、Co原料粉末20%の割合で配合し、ボールミルで20時間、湿式混合した後、乾燥させ、外層形成用の超硬合金原料粉末とした。
また、外層と内層の間に配置する中間層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が3μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo粉末を用意し、それぞれを重量%でWC原料粉末30%、Co原料粉末70%の割合で配合し、ボールミルで20時間湿式混合した後、乾燥し、中間層形成用の超硬合金原料粉末とした。
前述の外層形成用の超硬合金原料粉末を用いて、外径700mm、内径655mm、長さ2000mmの超硬合金製の仮焼結体からなる中空スリーブを作製した。
また、内径700mm、長さ2000mmのHIP缶の中央に、内層として、外径650mm、内径500mm、長さ2000mmの中空円筒状のSCM440鋼材を配置した。次いで、内層の外周面に、前記の中間層形成用の超硬合金原料粉末をアルコール中に分散させた懸濁液を刷毛塗りした後、乾燥させることにより中間層を施工した。その後、前記外層形成用の超硬合金製の中空スリーブを内層の外周に挿入し外嵌した。
その後、HIP用の缶を鋼の蓋で溶接密封した後、700℃にて真空ポンプで脱気処理を行なった。HIP缶にリークが生じていないことを確認した後、1300℃、1000気圧にてHIP処理を行なった。冷却後、HIP缶を加工除去し、超音波探傷検査にて、外層、中間層および内層の接合が健全であることを確認した。このようにして、ロール軸に垂直な断面において、スリーブロールの全体の断面積に対する内層の断面積の比率が0.75である本発明の板圧延用超硬合金製複合スリーブを製造した。
この複合スリーブの外層から試験片を切り出し、JIS R 1601に準拠した試験により4点曲げ強度(MPa)、熱膨張係数α(℃-1)、ポアソン比νおよびヤング率E(MPa)を測定した。その結果、4点曲げ強度(MPa):σc=2000MPa、熱膨張係数:α(℃-1)=6.5×10−6、ポアソン比:ν=0.22、ヤング率:E(MPa)=5×10であった。この数値を元に熱衝撃係数R=σc(1−ν)/Eαを算出するとR=480であった。
また、外層のロール軸方向中央部に歪ゲージを貼り、破壊法によりロール軸方向中央部の外層表面における、ロール表面と平行な方向の圧縮残留応力を(MPa)を測定したところ、−402MPaであった。
また、ロール直径方向に、内層、中間層および外層を含む境界接合部の抗折試験片を切り出し、JIS R1601に準拠した抗折試験を行ない坑折強度(MPa)を測定した。結果、坑折強度は1630(MPa)であり十分な特性値を得ることができた。
本実施例1の超硬合金製複合スリーブを、クロムモリブデン鋼からなる軸に焼嵌めした後、所定の形状に加工し本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールとして完成させた。この板圧延用超硬合金製複合ロールを実圧延に供したところ、耐摩耗性、耐肌荒れ性は非常に良好で、圧延事故時の熱亀裂の発生も軽度であり亀裂の進展も抑制された。
(実施例2)
外層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が10μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo原料粉末を用意し、それぞれを重量%でWC原料粉末80%、Co原料粉末20%の割合で配合し、ボールミルで10時間湿式混合した後、乾燥し、外層形成用の超硬合金原料粉末とした。
また、外層と内層の間に配置する中間層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が10μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo原料粉末を用意し、それぞれを重量%でWC原料粉末30%、Co原料粉末70%の割合で配合し、ボールミルで20時間湿式混合した後、乾燥し、中間層形成用の超硬合金原料粉末とした。
内径710mm、長さ2000mmの鋼で構成されるHIP缶に、外径650mm、内径500mm、長さ2000mmの中空円筒状の内層となる鍛鋼を設置し、この内層の周囲に内径510mm、厚み2mmの鋼管を仕切り材として配置した。
前述の外層形成用の超硬合金原料粉末を用い、これをHIP缶の内面と仕切り材の鋼管の外面との間の空隙に充填した。また、鋼管の内面と内層の外面との間の空隙に前述の中間層形成用粉末粉末を充填した。
充填後、仕切り材の鋼管を引き抜きいた後、次いでHIP缶を鋼の蓋で溶接密封し、700℃にて真空ポンプで脱気処理を行なった。HIP缶にリークが生じていないことを確認した後、1300℃、1000気圧にてHIP処理を行なった。冷却後、HIP缶を加工除去した。このようにして、ロール軸に垂直な断面において、スリーブロールの全体の断面積に対する内層の断面積の比率が0.75である本発明の板圧延用超硬合金製複合スリーブを製造した。
この複合スリーブの外層から試験片を切り出し、JIS R 1601に準拠した試験により4点曲げ強度(MPa)、熱膨張係数α(℃-1)、ポアソン比νおよびヤング率E(MPa)を測定した。その結果、4点曲げ強度(MPa):σc=2000MPa、熱膨張係数:α(℃-1)=6.2×10−6、ポアソン比:ν=0.22、ヤング率:E(MPa)=5.2×10であった。この数値を元に熱衝撃係数R=σc(1−ν)/Eαを算出するとR=484であった。
また、外層のロール軸方向中央部に歪ゲージを貼り、破壊法によりロール軸方向中央部の外層表面における、ロール表面と平行な方向の圧縮残留応力を(MPa)を測定したところ、−412MPaであった。
また、ロール直径方向に、内層、中間層および外層を含む境界接合部の抗折試験片を切り出し、JIS R1601に準拠した抗折試験を行ない坑折強度(MPa)を測定した。結果、坑折強度は1780(MPa)であり十分な特性値を得ることができた。
本実施例2の超硬合金製複合スリーブを、クロムモリブデン鋼の軸材に焼嵌め、所定の形状に加工した後、本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールを完成した。この板圧延用超硬合金製複合ロールを実圧延に供したところ、耐摩耗性、耐肌荒れ性は非常に良好で、圧延事故時の熱亀裂の発生も軽度であり亀裂の進展も抑制された。
(実施例3)
外層形成用の超硬合金原料粉末として、平均粒径が5μmのWC原料粉末、平均粒径が1μmのCo原料粉末を用意し、それぞれを重量%でWC原料粉末70%、Co原料粉末30%の割合で配合し、アトライターで5時間、湿式混合した後、乾燥させ、外層形成用の超硬合金原料粉末とした。
前述の外層形成用の超硬合金原料粉末を用いて、外径300mm、内径200mm、長さ1000mmの超硬合金製の成形体からなる中空スリーブを作製した。
また、内層として、外径180mm、長さ1000mmの中実状のSCM440鋼材を配置した。次いで、前記外層形成用の超硬合金製の中空スリーブを内層の外周に挿入し外嵌した。
その後、1350℃にて真空焼結を行なった。冷却後、超音波探傷検査にて、外層および内層の接合が健全であることを確認した。このようにして、ロール軸に垂直な断面において、スリーブロールの全体の断面積に対する内層の断面積の比率が0.8である本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールを製造した。
この複合ロールの外層から試験片を切り出し、JIS R 1601に準拠した試験により4点曲げ強度(MPa)、熱膨張係数α(℃-1)、ポアソン比νおよびヤング率E(MPa)を測定した。その結果、4点曲げ強度(MPa):σc=2000MPa、熱膨張係数:α(℃-1)=8.0×10−6、ポアソン比:ν=0.22、ヤング率:E(MPa)=4.3×10であった。この数値を元に熱衝撃係数R=σc(1−ν)/Eαを算出するとR=453であった。
また、外層のロール軸方向中央部に歪ゲージを貼り、破壊法によりロール軸方向中央部の外層表面における、ロール表面と平行な方向の圧縮残留応力を(MPa)を測定したところ、−650MPaであった。
また、ロール直径方向に、内層および外層を含む境界接合部の抗折試験片を切り出し、JIS R1601に準拠した抗折試験を行ない坑折強度(MPa)を測定した。結果、坑折強度は1230(MPa)であり十分な特性値を得ることができた。
本実施例3の板圧延用超硬合金製複合ロールを実圧延に供したところ、耐摩耗性、耐肌荒れ性は非常に良好で、圧延事故時の熱亀裂の発生も軽度であり亀裂の進展も抑制された。
本発明の板圧延用超硬合金製複合ロールによれば、熱衝撃係数Rの導入により、ロールの外層は耐摩耗性、耐肌荒れ性に優れるとともに、適切な圧縮残留応力を付与することにより、初期クラックの発生および進展を抑えることができる。
圧延用ロールの各種のロール胴部の概略断面図を示す。
符号の説明
1 内層、 2 外層、 3 中間層、 4 接合部

Claims (5)

  1. 鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外周に、超硬合金からなる外層が接合してなり、該外層は、R=σc(1−ν)/Eα(但し、σc:抗折強度、ν:ポアソン比、E:ヤング率、α:熱膨張係数)で表わされる熱衝撃係数Rが400以上を満足することを特徴とする板圧延用超硬合金製複合ロール。
  2. 鋼系材料または鉄系材料からなる中空円筒状の内層の外周に、超硬合金からなる外層が接合してなるスリーブロールであって、ロール軸に垂直な断面において、スリーブロールの全体の断面積に対する内層の断面積の比率が0.5以上であることを特徴とする請求項1に記載の板圧延用超硬合金製複合ロール。
  3. ロール軸方向中央部の外層表面において、ロール表面と平行な方向の残留応力として圧縮残留応力が付与されていることを特徴とする請求項1または2に記載の板圧延用超硬合金製複合ロール。
  4. 前記外層と内層との間に中間層を少なくとも1層以上介在させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板圧延用超硬合金製複合ロール。
  5. 前記中間層が超硬合金からなることを特徴とする請求項4に記載の板圧延用超硬合金製複合ロール。
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