JP4392653B2 - 超硬合金製圧延用複合ロール - Google Patents

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本発明は、靭性に優れる鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外周に、高硬度の超硬合金からなる外層を形成した圧延用複合ロールに関する。本発明は、特に外層と内層との接合部の強度が十分に高いことが要求される板圧延用ロールとして好適なものである。
板圧延などの熱間圧延の分野においては、圧延肌品質の向上、耐摩耗性の向上の要求から、従来はダクタイル系鋳鉄、グレン系鋳鉄、チルド系鋳鉄ロールが広く用いられてきた。近年は高品質な圧延用ロールの開発が進み、特に耐摩耗性の要求が強い分野では、ハイス系ロールが用いられている。一方、冷間圧延の分野では、一般にクロム系の鍛鋼ロールが使用されているが、特に耐摩耗性が要求される分野では、セミハイスやハイス系ロールが用いられている。
さらに最近では、ハイス系ロールなどに比べて耐摩耗性が格段に優れる超硬合金を用いたロールがある。超硬合金は公知のごとく、炭化タングステン(WC)をCo、Ni、Feなどの金属元素で結合した焼結合金であり、WCの他にTi、Ta、Nbなどの炭化物を含有することもしばしばある。
そこで、超硬合金製圧延用ロールとして、超硬合金の外層と金属材料の内層とを金属的に接合した複合ロールが提案されている。
特許文献1には、溶製の鋼系材からなる内層を形成するスリーブの外周に、周期律表のIVa〜VIa族元素の炭化物、窒化物および炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結すると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層を有し、外層表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力を付与した複合スリーブを、ロール軸材に嵌合固定した超硬合金製複合ロールが記載されている。
特許文献2には、溶製の鋼系材からなる軸材の外周に、周期律表のIVa〜VIa族元素の炭化物、窒化物および炭窒化物の硬質粒子の少なくとも1種または2種以上を60〜90重量%と、残部実質的にFe、Ni、Co、Cr、Mo及びWの少なくとも1種または2種以上の金属粉末とからなる混合粉末を焼結すると同時に拡散接合させた超硬合金製の外層の表面に100MPa以上の円周方向の圧縮残留応力を付与した超硬合金製複合ロールが記載されている。
特許文献3には、鉄系材料からなる内層材の外周に、炭化タングステン粒子を含む超硬合金からなる外層材が金属接合された超硬合金製複合ロールであって、内層材と外層材との間に1層以上の炭化タングステン粒子を含む超硬合金からなる中間層を有し、中間層の炭化タングステン粒子の含有量を外層材より少なくし超硬合金製複合ロールが記載されている。
この種の超硬合金製複合ロールは、従来の特許文献4のような組立て式超硬ロールにおける固定リング、皿バネ、ナットなどが不要である。また、ロール胴部長さの全表面を外層で構成するため圧延に使用できる部分を拡大でき、板圧延用ロールのような広幅の圧延材の圧延にも適用できるという利点を有する。
特開平10−5823号公報 特開平10−5824号公報 特開2002−301506号公報 特公昭58−39906号公報
このような超硬合金製複合ロールを、板圧延に適用するためには棒鋼や線材圧延とは異なり、高い応力に耐えうるロールの強度、とりわけ外層と内層との接合部の強度が必要となる。つまり板圧延の場合、第一に、圧延材の幅が広く、ロール胴部の全体に大きな荷重がかかる。このため、ロールの扁平が発生し、外層と内層との接合部にロール1回転毎に引圧の繰り返し応力が作用する。第二に、中間ロールあるいはバックアップロールと高い応力で接触するため、ロール表面直下部にいわゆるヘルツ圧力が作用する。
このようなヘルツ圧による疲労破壊を防止するためには、疲労破壊の起点となる接合部付近の部位をヘルツ圧によるせん断応力が極大となる位置より内部になるように位置をずらして設計するのが有効である。
また、熱間圧延用ロールにおいては、ロール表面には圧延使用中の熱サイクルによって亀甲状の亀裂が生じ、そこを起点に破壊する場合がある。これを防止するためには、ロールの外層表面に、圧縮残留応力を付与することが有効である。特に、超硬合金製複合ロールにおいては、内層の鋼系あるいは鉄系材料の線熱膨張係数が10〜12.5×10-6/Kであるのに対し、外層の超硬合金の線熱膨張係数が5〜8×10-6/Kであり、内層の線熱膨張係数の方が外層のそれより大きいため、熱間圧延における使用時にロール温度が上昇すると、外層のロール円周方向に引張応力が作用するので、とりわけ圧縮残留応力を付与させておくことが重要である。
超硬合金製複合ロールの表面のロール円周方向に高い圧縮残留応力を付与すると、超硬合金の外層と、鋼系あるいは鉄系材料の内層との接合部にはロール半径方向の引張残留応力が作用する。圧延中にはこの引張残留応力に加えて、繰り返しの圧延応力、熱応力が重畳して作用する。したがって、外層と内層の境界の接合強度が不十分であると、この接合部分からロールが疲労破壊することになる。このような疲労破壊を引き起こす応力は、板圧延において顕著に大きくなり、この用途においては、特に高い接合部の疲労強度が要求される。
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであり、圧延による繰り返し応力による疲労破壊を防止できる超硬合金製圧延用複合ロールを提供することを目的とする。
本発明の超硬合金製圧延用複合ロールは、鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を、内層に炭素が拡散することによるη相を発生しにくくするため、500μm以下にして、該内層の外周に、超硬合金の粉末、成形体、仮焼結体および焼結体のうちいずれか1種からなる外層形成用の超硬合金素材を設けて、両者を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することにより接合させて製造されてなり、鋼系材料または鉄系材料からなる内層と超硬合金からなる外層が接合した超硬合金製圧延用複合ロールにおいて、試験片の試験部の直径を5mmとした外層と内層との接合部を含む試験片を、JIS Z 2273(日本工業規格 金属材料の疲れ試験方法通則)に準拠した回転曲げ疲労試験に供したとき、疲労破断位置が内層側であることを特徴とする。
また第2の本発明の超硬合金製圧延用複合ロールは、鋼系材料または鉄系材料からなる内層の中間層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を、内層に炭素が拡散することによるη相を発生しにくくするため、500μm以下にして、該内層の外周に、超硬合金の粉末、成形体、仮焼結体および焼結体のうちいずれか1種からなる外層形成用の超硬合金素材を設けて、前記内層と外層形成用の超硬合金素材との間隙に中間層形成用の素材を設けて、全体を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することにより接合させて製造されてなり、鋼系材料または鉄系材料からなる内層と超硬合金からなる外層とが中間層を挟み接合した超硬合金製圧延用複合ロールにおいて、試験片の試験部の直径を5mmとした外層と中間層と内層との接合部を含む試験片を、JIS Z 2273に準拠した回転曲げ疲労試験に供したとき、疲労破断位置が内層側であることを特徴とする。
また前記第2の本発明の超硬合金製圧延用複合ロールにおいて、前記外層と内層との間に少なくとも1層以上の中間層を形成し、中間層の全体の厚みが1mm以上であることを特徴とする。また前記中間層が超硬合金からなることを特徴とする。
圧延用ロールのように円筒表面に接触荷重が作用しながら回転する工具の場合、繰り返し応力が作用するため、一時的な荷重に耐えられるのみでなく、疲労負荷に対して十分な材料強度を有することが必要となる。特にロール表面直下にはバックアップロールあるいは中間ロールとの接触による高いヘルツ圧力が作用するため、高い疲労強度が必要となる。このヘルツ圧は、ロール表面直下の数mm付近にその応力極大値を持つため、疲労破壊を防止するためには、外層が最も薄くなる廃却径時点においても、外層と内層の接合部付近の強度的な弱点がこの極大値とならないように、十分深い位置となるようロール設計しておくことが有効である。
本発明は、鋼系または鉄系材料からなる内層と超硬合金からなる外層が接合した超硬合金製圧延用複合ロールにおいて、ロールから採取した試験片の試験部の直径を5mmとした、外層と内層との接合部を含む試験片を、JIS Z 2273に準拠した回転曲げ疲労試験に供したとき、疲労破断位置が内層側になるようにすれば、疲労破壊の起点となりうる弱点部がよりロール内部に位置することになり、板圧延用ロールのような高負荷条件においても十分耐えることが可能となる。
圧延使用中に圧延用複合ロールが破壊を起こす要因は、外層と内層との間の接合部の機械的強度が弱いことが多く、しかもロール半径方向に引張残留応力が常時存在することがある。弱い部分が常時引っ張られており、これに圧延による圧縮がロール回転毎に加わると、接合部は引張・圧縮が交互に加わる疲労状態に曝される。したがって、接合部には引張・圧縮疲労に対する抵抗性、すなわち高い引圧疲労強度が要求される。この性質は引圧疲労試験で評価できるが、より簡便で実用的には古くから広く実施されてきている回転曲げ疲労試験で代替することができる。
回転曲げ疲労試験では、疲労強度(疲労限を指すこともある)が試験片の試験部の直径の影響を受けることを留意しなければならない。そこで、試験条件には試験片の試験部の寸法を明記し、他の寸法のものと比較する場合、この寸法効果を考慮し補正することが必要である。例えば、試験片の試験部の直径が5mmと12mm(一般によく実施される試験部の直径)のものを比べると、直径5mmの方が、5〜10%程高い疲労強度が得られる。
本発明者らは、超硬合金からなる外層と、鋼系材料または鉄系材料からなる内層とを接合させた場合、高い接合疲労強度を有する接合境界について、種々検討した結果、内層と外層(または内層と中間層)との接合疲労境界の凹凸性状を一定の範囲に制御すれば、高い強度が得られることを見出した。
超硬合金の外層と鋼系あるいは鉄系材料の内層を金属接合すると、両者の炭素活量の差から外層から内層へ炭素が拡散移動する。その結果、外層と内層の接合部近傍にある超硬合金のWCが複炭化物(W、Co)Cに変わる。この複炭化物の相(η相)は、形態的に炭化物相同士が連結しやすく、材質の靭性の低下をもたらし、WCと比べて脆く接合部の強度を下げる要因となる。
内層の外表面に加工などによる凹凸がある程度大きい場合、特に図5に示すような内層1の凸部4に囲まれた超硬合金の外層2部は、周囲の内層1に炭素が拡散するので、強度低下の原因となるη相が発生しやすくなる。そこで、内層1の表面の凹凸を小さく平滑にし、内層1に取り囲まれた部分をなくすと、η相が発生しにくくなり、接合疲労強度が増加するのである。
超硬合金からなる外層と、鋼系材料または鉄系材料からなる内層において、内層の外層と接合する面の表面粗度を種々変えて接合を行なった結果、内層の外層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を500μm以下とすれば特にη相の発生を抑えることができ、接合部の疲労強度を著しく高めることを確認できた。
さらに、外層の超硬合金の組成によっては、外層と内層の間に中間層を介在させることが有効である。つまり、超硬合金に含有するWCの量が増加するほど、η相が発生しやすいため、特にWC含有量の高い超硬合金を外層として用いる場合、高い接合疲労強度を得るために中間層が必要となるのである。中間層は少なくとも1層以上を形成し、2層以上の複層でも構わない。中間層の全体の厚み、すなわちロール軸方向と直角をなす断面における幅を1mm以上にすると、η相の発生防止にいっそう有効となる。
本発明のロールの構成は、中実の複合ロールでもよく、複合スリーブロールを鋼などの軸材に焼嵌めて組み立てたものでも良い。図1は本発明における各種のロール胴部の概略断面図を示す。図1において、(a)は内層1(軸材)と外層2が接合した中実の複合ロール、(b)は内層1(軸材)と中間層3と外層2が接合した中実の複合ロール、(c)は中空の内層1と外層2が接合した複合スリーブロール、(d)は中空の内層1と中間層3と外層2が接合した複合スリーブロールである。なお、6は接合部を示す。
図2は本発明の複合ロールにおける接合部を示す。図2において、(e)は2層構造の場合であり、内層1と外層2との境界が接合部6である、(f)は3層構造の場合であり、内層1と中間層3と外層2が接合しており、内層1と中間層3との境界、中間層3自体の内部、中間層3と外層2との境界それぞれを含んだ領域が接合部6である。
本発明の超硬合金製圧延用複合ロールを製造するには、鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を500μm以下にして、該内層の外周に、超硬合金の粉末、成形体、仮焼結体および焼結体のうちいずれか1種からなる外層形成用の超硬合金素材を設けて、両者を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することにより接合させるのが望ましい。
また他に、本発明の複合ロールの製造方法は、鋼系材料または鉄系材料からなる内層の中間層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を、内層に炭素が拡散することによるη相を発生しにくくするため、500μm以下にして、該内層の外周に、超硬合金の粉末、成形体、仮焼結体および焼結体のうちいずれか1種からなる外層形成用の超硬合金素材を設けて、さらに前記内層と外層形成用の超硬合金素材との間隙に中間層形成用の素材を設けて、全体を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することにより接合させるのが望ましい。
(実施例1)
重量比でWC粉末を70%、Co粉末を30%含有する超硬合金の焼結体を作製し、外層となる試料(外径150mm×長さ100mmの円柱体)を2個切り出した。また、SCM440材から内層となる試料(外径150mm×長さ100mmの円柱体)を2個切り出した。
本発明例として、内層となる試料の外層と接合される外径150mmの面を研磨加工し表面粗さをRz80μmにした。また、比較例として、内層となる試料の外層と接合される外径150mmの面を機械加工し表面粗さをRz700μmにしたものを用意した。
そして図3に示すように、本発明例および比較例のそれぞれの試料について、内層1となる試料の前記加工を施した外径150mmの面と、外層2となる試料の外径150mmの面同士を突き合わせて、その状態で、内径151mm、高さ200mmのHIP用カプセルに挿入セットし、上下蓋を溶接した。
次いで、カプセルを脱気パイプから真空ポンプで減圧しながら600℃に昇温した後、脱気パイプを封じた後、1230℃、1000気圧にてHIP処理を行った。HIP処理後、図3に示すように、内層1と外層2の接合部の境界面が試験片軸方向と直角方向になるようにして、回転曲げ疲労試験片5を本発明例および比較例の試料からそれぞれ10本採取した。
図4は回転曲げ疲労試験片の概略図を示す。回転曲げ疲労試験片5は形状が砂時計形をしており、全長Bが60mm、直径Cが8mm、中央部Aの長さが20mm、試験部Sの直径が5mmである。内層1と外層2の接合部の位置は試験片5の中央Pである。試験部の表面は、エメリー紙(〜2000#)による研磨後、ダイヤモンドペーストを用いたバフ研磨および電解研磨による表面調整を行ない最終仕上げとした。
そして、JIS Z 2273に準拠した回転曲げ疲労試験を実施した。小型小野式回転曲げ疲労試験機(容量15N・m、最高回転数3600rpm)を用い、回転数3145rpmで、室温大気中で行なった。本発明における回転曲げ疲労強度は、1×107回繰り返し時間強度とした。
回転曲げ疲労試験の結果、内層の接合される面の表面粗さを小さくした本発明例では、外層と内層との接合部を含む試験片は内層側で疲労破断して、回転曲げ疲労強度は平均で230MPaであった。また、組織調査したところ外層と内層の接合部近傍にはη相はほとんど見られなかった。一方、内層の接合される面の表面粗さを粗くした比較例では、外層と内層との接合部を含む試験片は、外層と内層の接合部で疲労破断して、回転曲げ疲労強度は平均で165MPaであり、本発明例に比べ低い値であった。また、組織調査したところ外層と内層の接合部近傍にη相が多く生成していた。
(実施例2)
外層形成用の超硬合金素材として、重量比でWC粉末を70%、Co粉末を30%含有する超硬合金を用い、外径300mm、内径250mm、長さ250mmの焼結スリーブを8個作製した。また、外径245mm、内径140mm、長さ2000mmの合金鋼からなる内層用のスリーブを準備し、その外径を表面粗さがRz40μmとなるように仕上げ加工を施した。さらに、その内層用のスリーブの外面に、中間層形成用の素材として、WC45重量%,Co55重量%の混合粉末をアルコールに溶いたものを刷毛で約2mmの厚みに塗布した。
次いで、内層用のスリーブの外周に前記の外層形成用の超硬焼結スリーブ8個を同軸状に積重ねて外嵌し、これらをHIP用カプセルに挿入セットした後、上下蓋を溶接した。そして、封入したHIPカプセルを脱気パイプから減圧しながら600℃に昇温する脱気処理を行った後、脱気パイプを封じた。その後、このカプセルを1300℃、1000気圧にてHIP処理した。
HIP後、カプセルを加工除去し、外径290mm、内径150mm、胴長1500mmの超硬合金製複合スリーブロールを得た。この超硬合金製複合スリーブロールをSCM440の軸材に焼き嵌め、仕上げ加工の後、本発明の板圧延用ロールとして完成させた。
このロールの余長部から外層と内層との接合部を含む回転曲げ疲労強度試験用の試験片を10本採取し、回転曲げ疲労強度試験を行った。なお、試験片の寸法は図4に示すものである。内層1と外層2との間の中間層の部分を試験片5の中央Pに位置させた。試験の結果、外層と中間層と内層との接合部を含む試験片は内層側で疲労破断して、1×107回繰り返し時間強度での回転曲げ疲労強度は、平均で330MPaであった。
この本発明の超硬合金製圧延用複合ロールを板圧延用ロールに供したところ、厳しい負荷条件においても接合部からの疲労破壊が起きることなく十分耐え得ることが確認できた。また、内層側で疲労破断しない本発明以外の複合ロールにおいては、接合部からの疲労破壊が起きることもあった。
本発明の超硬合金製圧延用複合ロールによれば、耐摩耗性に優れた超硬合金の外層と靭性に優れた鉄系あるいは鋼系材料の内層が接合した複合ロールにおいて、例えば板圧延のように、高い繰り返し応力が作用する用途においても、接合境界が疲労破壊せず、内層側で破断する、高い疲労強度の接合部を持つロールを提供することができる。このことにより、圧延時の最も高いヘルツ圧が作用する表面直下位置から疲労強度最弱部を避けることが可能となる。また、このようなロールを用いることにより、圧延時のロール替え頻度の減少等による生産合理化ができ、しかも形状のよい高品質の圧延製品を得ることが可能となる。
圧延用ロールの各種のロール胴部の概略断面図を示す。 本発明の複合ロールにおける接合部を示す。 内層と外層の試料を突き合わせた状態を示す。 回転曲げ疲労試験片の概略図を示す。 外表面に大きな凹凸がある内層と、外層を接合した概略断面図を示す。
符号の説明
1 内層、 2 外層、 3 中間層、 4 凸部、 5 試験片、 6 接合部
S 試験部

Claims (4)

  1. 鋼系材料または鉄系材料からなる内層の外層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を、内層に炭素が拡散することによるη相を発生しにくくするため、500μm以下にして、該内層の外周に、超硬合金の粉末、成形体、仮焼結体および焼結体のうちいずれか1種からなる外層形成用の超硬合金素材を設けて、両者を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することにより接合させて製造されてなり、鋼系材料または鉄系材料からなる内層と超硬合金からなる外層が接合した超硬合金製圧延用複合ロールにおいて、試験片の試験部の直径を5mmとした外層と内層との接合部を含む試験片を、JIS Z 2273に準拠した回転曲げ疲労試験に供したとき、疲労破断位置が内層側であることを特徴とする超硬合金製圧延用複合ロール。
  2. 鋼系材料または鉄系材料からなる内層の中間層と接合する面の表面の凹凸深さ(十点平均粗さRz相当)を、内層に炭素が拡散することによるη相を発生しにくくするため、500μm以下にして、該内層の外周に、超硬合金の粉末、成形体、仮焼結体および焼結体のうちいずれか1種からなる外層形成用の超硬合金素材を設けて、前記内層と外層形成用の超硬合金素材との間隙に中間層形成用の素材を設けて、全体を真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱することにより接合させて製造されてなり、鋼系材料または鉄系材料からなる内層と超硬合金からなる外層とが中間層を挟み接合した超硬合金製圧延用複合ロールにおいて、試験片の試験部の直径を5mmとした外層と中間層と内層との接合部を含む試験片を、JIS Z 2273に準拠した回転曲げ疲労試験に供したとき、疲労破断位置が内層側であることを特徴とする超硬合金製圧延用複合ロール。
  3. 前記外層と内層との間に少なくとも1層以上の中間層を形成し、中間層の全体の厚みが1mm以上であることを特徴とする請求項2に記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
  4. 前記中間層が超硬合金からなることを特徴とする請求項2または3に記載の超硬合金製圧延用複合ロール。
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