JP4730817B2 - 刃先交換式回転工具 - Google Patents
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Description
本願発明の回転工具の刃数を3刃以上とする理由は、2刃以下の場合は加工能率が稼げず、工具寿命も刃数が少ないため短寿命になるという不都合があるためである。但し、10刃を超えて大きい場合は切削加工時の深い部位や、コーナー部でびびり振動を発生しやすいという不都合ある。更に、切屑の排出性も確保するためには工具本体のチップポケットの形成が必要であり、チップポケットの形成角が小さくなると切屑排出性は劣化する。従ってこれを回避する点から、刃数は10刃以下であることが好ましい。
回転工具の小径化、多刃化の実現には、バックメタル部の強度を確保するため、インサートの厚さtを薄くすることになる。そこで、tmmは1.5≦t≦3.5が好適であり、より好ましくは2.5≦t≦3.2である。同一工具径の場合、小さな寸法のインサートであって、特に厚さ方向に薄いインサートを用いることになる。これは、工具本体のインサートを保持するバックメタル部の強度を確保するためと、切屑の排出性を確保するためである。
インサートの小型化は、図3に示す、図2のa−a断面の断面積Aと、図4に示す図2のb−b断面の断面積Bと、両断面積の比であるB/Aを特定することにより、縦に長い略平行四辺形平板状とし、短辺8とピン穴9までの距離及び断面積を充分に備え、高能率加工時の負荷に耐えうる強度を持たせた。インサートの長辺7、7間の距離をw、インサートの厚さt、該ピン穴の径をPとした時、ピン穴の中心を通り、長辺7、7に垂直な線a−aにおける断面であって、断面積Aは5mm2以上である。図4の斜線部は、インサートの短辺8、8間の距離をgとした時、図3の断面と直交する方向で、ピン穴の中心を通り、線b−b断面であって、断面積Bは14mm2以上である。
断面積Aが5mm2未満ではインサートを工具本体に固定するのに十分な大きさのネジを貫通させるためのピン穴径が確保できず、ネジが弛んで損傷してしまうため、断面積Aは5mm2以上である。断面積Bが14mm2未満では彫り込み加工においてインサートが破損する可能性があるため、インサート自体の強度を確保するために、断面積Bは14mm2以上である。B/Aが1.3未満の範囲では、上記インサートのt範囲、1.5≦t≦3.5においてピン穴から主切刃まで間隔を十分にとることができない。そのため、インサート強度が低下してしまい、高送り切削加工に耐えられる十分な強度を確保できない問題がある。そこで、断面積の比はB/A≧1.3と規定する。
インサートの長辺7、7間の距離wは、5≦w≦11であることが好ましい。wが5mm未満の場合は、固定するネジ径を小さくしなければならない為、ネジ自体の強度不足によりネジが破損しやすいという不都合があり、一方、11mmを超えて大きい場合は回転工具として刃数を増やせないという不都合があるので、wは5mm以上、11mm以下とすることが好ましい。
工具本体へのインサートの固定方法は、工具の座に設けたねじ穴と、インサートに設けたピン穴とを合わせ、固定ねじを挿通させ締め付けて取り付けることによる第1の方法と、クランプ駒を用いてインサートのすくい面を押圧することによる第2の方法とを併用することが好ましい。この様に、独立した2つの固定方法を併用することにより、インサートの固着強度を向上させることが可能となり、特に、高送り加工において、切刃のビビリ振動を抑制するために有効な方法である。
更に、座は周方向に不等間隔に形成された場合、被削材コーナー部分の加工時において、ビビリ振動による共振を回避することに好都合である。以下、本願発明を実施例に基づいて説明する。
本発明例、比較例、従来例の回転工具を作成し、これらを切削テストによって評価した結果を表1に示す。
評価方法は、切削距離が160mに達した時点での切刃の状態を観察した。切削評価はインサートの強度を検討するため、工具本体に取り付ける刃数は1とした。切削諸元1を下記に示す。
切削諸元1
切削方法:彫り込み加工
被削材:S50C、硬さ、HB220
切込み深さap:1.0mm
切込み幅ae:15mm
切削速度Vc:180m/min
一刃当りの送量fz:1.0mm/tooth
切削油:なし、エアーブローによる乾式切削
突き出し量:75mm
本発明例3、4、5はB/Aが1.3以上であり、κを変化させた。本発明例3、4の切削距離160mまで切削したときの刃先摩耗状態を観察したところ、逃げ面、すくい面に摩耗が確認できたが、チッピングやヒートクラックからのインサート破損等の異常は見られなかった。しかし、本発明例5のκが20度の場合、切削距離160m地点での摩耗状態を観察したところ、クレーター摩耗がやや大きくなっていた。これは、κが20度と大きいため、実際に切削している長さが短くなり、幾何学的関係から切屑厚みが増加したことが原因と考えられる。切屑厚みが増加し、すくい面に発生する応力が増大することで、局所的に摩耗が促進したと考えられる。そのため、κを必要以上に大きくすることは工具寿命に悪影響を与えることを確認できた。
以上のことより、インサート断面積の比B/Aを適切に設定することで、インサート強度を向上させ、特に等高線加工や彫り込み加工において、インサート欠損を防止できることを確認できた。
実施例1と同じ工具を用いて、切削諸元2により切削試験を行った。
評価方法は、切削長300mmまで肩削り加工した時、初期の切屑の形態及び初期の切刃の損傷状態を、夫々のインサートについて観察して評価した。その結果を表2に併記する。
切削諸元2
切削方法:平面肩削り加工
被削材:SKD61、硬さHRC45
切り込み深さap:1.0mm
切り込み幅ae:15mm
切削速度Vc:60m/min
一刃当りの送量fz:0.8mm/tooth
切削油:なし、エアーブローによる乾式切削
突き出し量:75mm
本発明例3、4、5のインサートはκを変化させた回転工具である。本発明例3、4はκが5度であり、切削テストを行った結果、切屑状態は、主切刃側にささくれ状のムシレが発生する直前の限界状態であった。これは、主切刃に直線形状を採用しても、κが小さい場合にはR形状の主切刃と同様に、切屑厚さが薄くなることが原因だと考えられる。また、HRC40以上の高硬度な被削材であっても、切刃部分の耐溶着性改善に有効であることが確認できた。本発明例5のインサートはκを20度とした場合、切屑状態はムシレが発生しておらず、良好な切屑であった。しかし、刃先の損傷状態を観察したところ、境界部分に微小なチッピングの初期状態が見られた。これは、κを大きく取ったことで発生する切屑厚みが大きくなったために発生したと考えられる。κが20度を超えて大きいの場合、切刃の欠損を招きやすくなる傾向となるため好ましくない。これより、HRC40を超えるような高硬度材加工においては、κが9度前後、好ましくは8〜13度の直線状の主切刃を設ける事で、切屑にある程度の厚みを持たせてムシレの無い切屑を生成させ、切屑の流れをスムーズにしてやる事により耐溶着性を改善し、更に寿命をアップさせる事が可能であることを確認できた。
2:略平行四辺形平板状のインサート
3:外周刃
4:コーナ刃
5:主切刃
6:主切刃5の最下点
D:工具径
7:略平行四辺形平板状の長辺
8:略平行四辺形平板状の短辺
9:ピン穴
10:内周切刃
w:長辺7、7間の距離
g:短辺8、8間の距離
A:断面積
B:断面積
t:インサート厚さ
κ:切込み角
F:略直線部の長さ
P:ピン穴の径
Claims (1)
- HRC40以上の高硬度な被削材の切削に用いられるインサートが着脱可能な刃先交換式回転工具において、該刃先交換式回転工具は、工具径35mm以下で、且つ、3刃以上からなり、該インサートは、ピン穴を有する略平行四辺形平板状であり、長辺・短辺の各交差部にはコーナ部が形成され、該短辺は、略直線部又は略直線部と円弧部との組合わせで設け、該略平行四辺形平板状の長辺間の距離をw、該短辺間の距離をg、厚さをt、該ピン穴の径をPとした時、該wは5≦w≦11、該wとtとPからなる断面積Aが5mm2以上、該gとtとPからなる断面積Bが14mm2以上であり、断面積の比B/Aが1.3以上で、該インサートが該刃先交換式回転工具に装着された状態で、該略直線部又は略直線部と円弧部との組合わせを主切刃、該主切刃の外周側のコーナ部をコーナ刃、該略平行四辺形平板状の長辺を外周刃とし、更に、該主切刃の内周側のコーナ部を内周切刃とし、該主切刃を構成する略直線部Fの長さは、最下点から外周側に0.5mm以上、8.0mm以下で、切込み角κが5度以上、20度以下で設け、且つ、該内周切刃は、該主切刃の該最下点から内周側に設けたことを特徴とする刃先交換式回転工具。
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Family Applications (1)
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JP2000141123A (ja) * | 1998-11-09 | 2000-05-23 | Toyota Motor Corp | スローアウェイチップならびに回転切削工具、および金型形成方法 |
JP2005118965A (ja) * | 2003-10-20 | 2005-05-12 | Hitachi Tool Engineering Ltd | インサート及び刃先交換式回転工具 |
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- 2005-06-15 JP JP2005174434A patent/JP4730817B2/ja active Active
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