実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による無線通信システムの構成を示す斜視図である。
図1において、車両1は、屋内駐車場(以下、駐車場)の入口から図示しない駐車エリアに向かって、車両1の進行方向に進行し、入口ゲート100内に設けられた通行路3を通行して、駐車エリアに進入する。車両1は、フロントガラス(窓)付近の車内のダッシュボードに、車載器10を搭載している。通常、車載器10は、車両のノーズ(フロントバンパー先端からフロントガラスの間)の先端位置から車両の長手方向に0.5m乃至2m未満の範囲で、タイヤの接地面から1m乃至1.5mの高さの範囲に設置されている。
入口ゲート100は、車両1の通行路3を形成するように、通行路3を挟んでアイランド2a、2bが配置されている。通行路3の幅は約3.5mとなっている。アイランド2a、2bの間の通行路3上には、正規となる所望の通信領域4が形成されている。図において、説明の都合上、通信領域4は仮想的に実線の平曲線で囲まれた略長方形状の領域で示しているが、実際の通信領域は、台形形状の領域を放射状に囲んで形成される複雑な形状を成す。アイランド2a、2b、および通行路3は、車両の走行レーンを構成する。通行路3上の通信領域4周辺の路面下には、車両1の車体(金属体)の通過による磁場変化を検出するループコイルが埋設されている。
アイランド2a上には光受信器5aが設置され、アイランド2b上には光送信器5bが設置されている。光受信器5aと光送信器5bは車両検出器50を構成している。車両番号読取装置6はアイランド2a上に設置される。車両番号読取装置66bはアイランド2b上に設置される。車両番号読取装置6および車両番号読取装置66bは、それぞれナンバープレートに刻印されたナンバーを識別する。発券機7は、アイランド2a上で車両検出器50と車両番号読取装置6の間に設置されている。遮断機8は、車両番号読取装置6に隣接してアイランド2a上に設けられている。遮断機8には、制止棒9が開閉動作可能に設けられており、制止棒9を上昇もしくは下降させる。
なお、この実施の形態では、車両番号読取装置6および車両番号読取装置66bを、通行路3の両側のアイランド2a、2b上にそれぞれ設置している。これによって、車両1が通行路3内で左右に寄って走行しても、各車両番号読取装置によって確実に車両1のナンバープレートを識別することができる。
なお、アイランド2a、2bは必ずしも必要なものではなく、駐車場に出入りする車両が、通信領域4と車両検出器50と制止棒9の設置位置を、順次通過できるように、車両を誘導できるものであれば、柵や、あるいは単に路面表示された車線であっても良い。
通信用アンテナ装置11は、通信制御装置12と共に路側機を構成している。通信用アンテナ装置11は吊具21に支持されて、駐車場の天井20から吊下げられている。勿論、天井20から吊下げる以外に、天井下に立設されたポールの上部にアンテナを取り付けても良く、通信用アンテナ装置11の据付には様々な方法があることは言うまでもない。図示簡略化のため、天井20は一部分のみを図中に示している。通信制御装置12は入口ゲート100付近に配置される。通信用アンテナ装置11の放射面の水平面に対する取付角度(別の言い方をすれば通信用アンテナ装置11から出力される送信電波30の電波軸の鉛直軸に対する取付角度)θは、概ね48度に設定されている。
図2は、実施の形態1による通信用アンテナ装置11の構成(図2(a))、及び車載器の構成(図2(b))を示す図である。
通信用アンテナ装置11の構成を示す図2(a)において、通信用アンテナ装置11は、送受信アンテナ111と送受信機110とで構成されている。送受信機110は、送受信レベル調整部112と、送受信分配器113と、送信機114、受信機115で構成される。
送受信アンテナ111は、複数のアンテナ素子(放射導体)を平面上に配列して、アンテナアレーを構成した平面アレーアンテナで構成される。送受信アンテナ111は、所望の利得特性を有した指向性アンテナであり、送受信共用のアンテナとして動作する。ここでは説明を簡略化するため、送受信アンテナ111を送信用アンテナとして動作させる場合の、送信電力を入力する入力端(給電点)側をアンテナ入力端111bと呼び、送信電力を送信電波として空間に放射する出力端(アンテナ素子)側をアンテナ出力端111aと呼ぶ。送受信アンテナ111を受信用アンテナとして動作させる場合は、アンテナ出力端111aが受信電波の入力側となり、アンテナ入力端111bがアンテナ素子で受信した受信信号の出力側となる。送受信アンテナ111は、所望のアンテナ利得で、送受信機110から出力された変調されたRF信号(送信出力)の送信電力を、アンテナ出力端111aから空間に送信電波として放射する。また、送受信アンテナ111のアンテナ素子に入力される受信電波を受信して、アンテナ入力端111bから送受信機110にRF信号(受信信号)を出力する。
送信機114は、通信制御装置12から送信信号が入力され、電力増幅、周波数変調を行う。送信機114からの送信出力は、送受信分配器113を介して送受信レベル調整部112に出力され、レベル変換された送信信号が送受信アンテナ111に出力される。また、送受信レベル調整部112は、送受信アンテナ111で受信されて入力される受信信号をレベル変換し、レベル変換した信号を送受信分配器113に出力する。受信機115は、送受信分配器113の出力信号を受信し、周波数復調、電力増幅を行って、通信制御装置12に信号出力する。送受信レベル調整部112は、例えば可変減衰器(アッテネータ)で構成され、送受信アンテナ111から出力される受信信号の受信感度(受信信号に対して受信機が受信反応する入力電力の電界強度レベル)を、所定の受信感度設定値(受信信号に対して受信機が受信反応する最少入力電力の電界強度レベル)以上とするようにレベル調整を行う。また、送受信分配器113から出力される送信信号を所定の大きさに減衰させる。
図2(b)は、車載器10の構成を示す図である。
図において、車載器10は、送受信アンテナ120と、送受信機121と、通信制御器122と、メモリ123と、ICカード読取書込器124で構成される。送受信アンテナ120は無指向性のアンテナで構成されている。
ICカード読取書込器124は、別体のICカード125の装着(挿入)または脱着(取出)を行う。ICカード125は、図示しない内部メモリに、ICカード125の識別情報(カードID情報)、自家用車両のナンバープレート情報、車載器の識別情報(車両ID情報)や、料金精算用のデータなどのカード情報を格納している。すなわち、カード情報内で事前に車両ID情報とカードID情報とが対応付けられている。ICカード125がICカード読取書込器124に装着されると、ICカード125とICカード読取書込器124との間で、ICカード125のカード情報と車載器10の格納情報が授受される。このとき、ICカード125は車載器10に対してカード情報(もしくは車両ID情報)を伝送する。車載器10は、ICカード125から伝送された車載器10の車両ID情報を通信制御器122に送信する。車載器10は、受信したICカード125からのカード情報に基づいて、ICカード125のカードID情報内の車両ID情報と、車載器10に予め格納された車両ID情報とが、一致するものであるか不一致であるかの確認を行う。この一致確認の結果、一致するものであることが確認されると、ICカード125のカードIDと車載器10の車両ID情報とが事前に対応付けられたものであると判定する。
なお、ICカード125は、不揮発メモリと無線通信チップを内蔵して樹脂製のカードで構成された、非接触型のICカードであっても良い。この場合、ICカード125をICカード読取書込器124にかざす、もしくはICカード読取書込器124の周辺に置くだけで良い。
送受信アンテナ120は路側機の通信用アンテナ装置11と通信を行う。送受信アンテナ120で受信した受信信号は、送受信機121に送出される。送受信機121は、この受信信号に基いて、通信用アンテナ装置11から送信された信号中に含まれる、通信開始要求(ポーリング要求)、通信許可通知、ID送信要求、通信切断要求などの受信情報を取り出す。通信制御器122は、送受信機121から出力される受信情報に基いて、通信起動や、ID返送、送受信機121の増幅動作開始などの通信処理を施す。メモリ123は、予め車両を特定するための固有の情報として、前述の車両ID情報を格納している。車載器と車両は一対一で対応付けされるので、車両ID情報としては、車両のナンバや車載器のシリアル番号などが用いられる(これについては後述する)。通信制御器122は、受信情報からID送信要求を取得すると、通信起動を開始し、メモリ123を参照して格納された車両ID情報を読取り、読取った車両ID情報を通信制御器122に送信する。通信制御器122は、受信した車両ID情報を送受信機121に送出し、送受信機121の増幅動作を開始する。送受信機121は送受信アンテナ120に対して車両ID情報を含む送信信号を送信する(ID返送する)。送受信アンテナ120は送受信機121から受信した信号を、送信電波として放射する。
一般に、現在実運用されている、従来のETCシステムでは、路側機側から車載器へのダウンリンクの無線通信周波数が5.795GHzまたは5.805GHz、車載器から路側機側へのアップリンクの無線通信周波数が5.835GHzまたは5.845GHzとなっており、ASK変調方式を用いている。通信用アンテナ装置における送受信アンテナのアンテナ利得が12.7dBiである。また、通信用アンテナ装置における送信機の送信出力は10dBm(10mW)以下、受信機の受信感度は−65dBm以上(受信感度設定値が−65dBm)となるように、電波諸元が設定されている。
車載器10の送受信機の受信感度は、製造ばらつきを考慮すると−63dBm乃至−57dBmであり、概ね−60.5dBmとなっている。車載器10の送受信機121の送信出力は10dBm(10mW)であり、±50%の出力変動を考慮すると送信出力は最大で約11.8dBmとなる。また、車載器における送受信アンテナ120のアンテナ利得は、概ね0乃至3dBiである。したがって、車載器の送受信アンテナ120からの送信出力は、製造ばらつきを考慮して7dBm乃至14.8dBmとなっている。
この実施の形態1による屋内駐車場用のDSRC方式では、通信用アンテナ装置11の送信機114、受信機115、および車載器10の送受信機121の無線通信周波数は、例えば表1に規定される周波数(利用周波数)を適宜組合わせて利用する。必要に応じて、隣接する入口ゲート、または出口ゲートとの間で、異なる周波数を用いても良い。例えば、通信用アンテナ装置11から車載器10へのダウンリンクは5.795GHzまたは5.805GHz、車載器10から通信用アンテナ装置11へのアップリンクは5.835GHzまたは5.845GHzを用いる。無線通信の変調方式はASK変調を用いて、符号形式はスプリットフェーズ符号形式を用いる。
送受信アンテナ111のアンテナ利得は12.7dBiである。また、送受信アンテナ111におけるアンテナ入力端111bでの送信出力Akは、4dBm以下とし、好適には2dBmが好ましく、車載器10の送受信機の出力10dBmよりも小さくなるように設定する。アンテナ入力端111bでの受信感度Bkが−55dBm以上(受信感度設定値が−55dBm)、好適には−52dBm以上(受信感度設定値が−52dBm)となるように、電波諸元を設定している。
具体的には、送受信アンテナ111と送受信分配器113との間に、送受信レベル調整部112を設けることによって、送信出力を減衰させるとともに、受信感度を低下させている。以下の説明では、送受信分配器113の電力損失や、送受信アンテナ111、送信機114、受信機115の間の伝送線路の電力損失など、回路回線の損失を無視して考える。なお、この実施の形態1による車載器10は、従来のETCシステムで利用されているものと、同様の通信特性のものを用いる。
この実施の形態1では、例えば、送信機114の出力端から送受信分配器113を介して出力される送信出力A2を、送受信レベル調整部112によって2dBm減衰させるのが良い。これによって、例えば送受信レベル調整部112のアンテナ側端子(アンテナ入力端111b)で、送信出力Akを2dBmに設定するのが好適である。アンテナ利得が12.7dBiであることから、アンテナ正面(垂直面または水平面角度0°)のアンテナ出力端111a側では、送信出力A1は約15dBmとなる。
また、受信機の入力端の受信感度B2を例えば−54dBm以上に設定し、送受信レベル調整部112を設けることによって、送受信レベル調整部112のアンテナ側端子での感度Bkを、例えば−52dBm以上に設定するのが好適である。送受信アンテナ111のアンテナ利得が12.7dBiであることから、送受信アンテナ111のアンテナ出力端側の受信感度B1は、約−65dBm以上となる。
なお、送受信レベル調整部112は、自動利得調整機能を有しており、受信機の入力端での受信感度をB2=−54dBm以上(受信感度設定値B2=−54dBm)となるように自動調整する。以下の説明では、通信用アンテナ装置11の送信出力をAk=2dBmで代表させ、通信用アンテナ装置11の受信感度をBk=−52dBm以上(受信感度設定値Bk=−52dBm)で代表させる。勿論、送受信レベル調整部112を設けることなく、送受信分配器113を直接、送受信アンテナ111に接続しても良い。その場合は、送信機114の送信出力をAk=2dBmに、受信機115の受信感度をBk=−52dBm以上(受信感度設定値Bk=−52dBm)に設定しておく。
次に、通信用アンテナ装置11の送信特性について説明する。
図3は通信用アンテナ装置11から放射された送信電波の多重反射の一例を示す図である。図3(a)は車両1が通信領域4内に進入する前の電波の反射状態を示す図、図3(b)は車両1が通信領域4内に進入した後の、電波の反射状態を示す図である。図3(a)、(b)において、通信用アンテナ装置11と車載器10との間で無線通信を行うための所望の通信領域を、通信領域4で図示している。
通信領域4は、例えば、通行路3の路面からの高さをHc、車両1の進行方向における領域の長さをLとすると、車両1における車載器10の設置高を考慮して、高さHcは概ね1m〜1.5m、長さLは概ね2m〜3.5mとなるように設定するのが良い。より好ましくは、長さLを概略3m程度に設定するのが好適である。
また、車両1の進行方向に垂直な方向における通信領域4の幅Wについても、概ね2m〜3mとなるように設定するのが良く、より好ましくは概略2.5m程度になるように設定するのが好適である。例えば、車両1の幅が1.8mであるので、通行路の幅を考慮すると、車両1が通行路3の中央を通行する場合、車両1とアイランド2aまたは2bとの間隔は0.85mとなる。車両1のドライバは、アイランド2aまたは2bとの接触を避けるように、アイランド2aまたは2bから0.3m〜0.5mの間隔を空けて走行するので、通信領域4の幅を2.5mと設定すると、この通信領域4は車両1の通行エリアを実質的にカバーすることができる。
なお、従来のETCシステムでは、通信領域の大きさが、長さ4m×幅3mに設定されている。
図3(a)は、駐車場の天井20(キャノピー)と通行路3の路面との間で送信電波30の反射波31が生じることによって、通信領域4の外部に通信可能領域40(規格外の通信領域)が生じることを模式的に示している。
図3(b)は、駐車場の天井20と通行路3の路面との間で送信電波30の反射波31が生じ、車両1の車体との間で反射波31bが生じて、通信領域4の外部に通信可能領域41が生じることを模式的に示している。ここでの通信可能領域41は、例えば車両1の進行方向の長さが約1m程度となっており、車両1が通信領域4内に存在しない場合の通信可能領域40と比べて、通信可能領域の長さが短くなっている。
これは、通信用アンテナ装置11の送信電波が、車両1の金属製の車体で反射される際に位相が反転するので、路面3からの反射波31と、車両1からの反射波31bとが位相的に打ち消し合うことによって、通信可能領域41の大きさが通信可能領域40に比べて小さくなることに起因する。
またこの場合、車両1のフロントガラス(窓)における電波の損失によって、車載器10で受信される電波の電界強度がさらに弱まり、通信可能領域41では、車載器10と通信用アンテナ装置11との間で、路車間通信(詳細は後述する)の成立しない確率がより高まる。
このため、通信領域内に車両1の通過を検知する車両検出器50を設置し、車両1が通信領域4内を通過する場合に限って、通信用アンテナ装置11からの送信電波の放射を開始して路車間通信を行う。通信用アンテナ装置11は、送信電波を放射した後、予め設定された所定の送信時間T経過するか、または通信が終了した段階で、送信電波の放射を停止する。これによって、通信領域外に存在する他の車両の車載器と、通信用アンテナ装置11との間で、誤通信の生じる確率を低減することができる。
図3(c)は、送信用アンテナ装置11の送信電波の電界強度分布501を模式的に示した図である。図において、通信可能領域41において、送信電波の電界強度が、車載器10の受信感度設定値Bw以上であると、誤通信が発生してしまうことを示している。
以下の説明では、送信用アンテナ装置11の送信電力や受信感度を適切に調整することによって、車載器の送信出力または受信感度(或いは受信感度設定値)の変動に依存せずに、誤通信の生じる確率をさらに低減できることについて説明する。
まず、通信用アンテナ装置11の送信特性と通信領域との関係について説明する。
図4(a)は、通信用アンテナ装置11の所望の通信領域4に進入する車両1と、車両1の後続車両1bとの関係を模式的に示す図である。図4(b)は、図4(a)に対応して、車両進行方向の各位置に対応した、通信用アンテナ装置11からの送信電波の電界強度分布(実線51)を示す図である。
図において、車両1、車両1bは、夫々車載器10、車載器10bを搭載している。通信用アンテナ装置11のアンテナ中心位置P0から、車両進行方向手前側に向かって水平方向に距離L3だけ離れた位置に、車両検出器50が配置される。通信領域4は、車両検出器50の位置P2から車両進行方向手前側に距離L1(第1の距離)だけ離れた位置を、通信領域4の手前側端部(あるいは進行方向後側端部)P3とする。
この手前側端部P3から車両進行方向に距離Lだけ離れた位置を、通信領域4の進行方向側端部(あるいは進行方向前側端部)P1とする。車両検出器50の位置P2から進行方向側端部までの距離は、L−L1となる。また、車両検出器50の位置P2から車両進行方向手前側に距離L2(第2の距離)だけ離れた位置P4と、通信領域4の手前側端部P3との間の領域を、グレーゾーン43とする。グレーゾーン43は、車載器10が存在した場合に、通信領域外で通信の成立する可能性がある領域である。車両検出器50から、車両進行方向手前側に、距離L2よりもさらに手前側の領域を、非通信領域44とする。非通信領域44では、車載器10が存在しても、車載器10と通信用アンテナ装置11との路車間通信が行われない。距離L2は、車両検出器50から非通信領域44の端部付近までの距離を示す。レベル上昇部48は、通信領域外のグレーゾーン43内で後続車両1bの周辺で、送信電波の電界強度が高くなる部分を示す。
図5は、車両1、後続車両1bの車載器10、10bと、距離L1、距離L2との関係を示す図である。図5(a)は車両1が車両検出器50に到達した状態を示す図、図5(b)は車両1が車両検出器50に到達した後、通信領域4内を進行した状態を示す。図中、点線で囲まれる領域は、通信領域4を示す。
一般に、車両1の最大ノーズ長(車両からフロントガラスまでの長さ)が1.5m、車載器取付位置が0.5m未満であることを考慮すると、図5(a)に示すように、第1の距離L1を1.5m以上、好適には2mに設定するのが良い。これによって、ノーズの長い車両が車両検出器50に到達した場合に、車載器10の位置は通信領域4内に存在することになる。このため、車両検出器50が車両1を検出した後、車載器10と通信用アンテナ装置11が通信を開始するまでの遅延時間を、最低所要通信時間Tm(=200ms)以下の短い時間遅延とすることができる。
また、一般に、車長CLが3.8m以下、最短車間距離Cdが0.5m、車両1のノーズからの最短車載器取付位置Ctが0.5mであることを考えると、距離L2を、CL+Cd+Ct(=4.8m)よりも大きくなるように設定するのが良い。距離L2は例えば5m程度に設定するのが好ましい。これによって、図5(a)に示すように、車両1が車両検出器50に到達したときに、車載器10bは物理的に距離L2よりも通信領域側に到達することができず、後続車両1bの車載器10bは通信用アンテナ装置11の通信領域外の非通信領域44に存在することになる。
通信用アンテナ装置11が電波の放射を開始してから、車載器との間で通信が行われないまま電波の放射を停止するまでの所定の送信時間Tは、0.5秒以下に設定するのが好ましい。例えば、駐車場内では、一般に狭い出入口ゲート(特にアイランド2a、2b間の3.5mの路幅)を通過する車両の通過速度が15km/h以下となるので、送信時間T=0.5秒の間に、車両1は2m〜2.5m走行する。図5(b)において、車両1が車両検出器50に到達してから送信時間T経過したときの、車両検出器50から後続車両1bの車載器10bまでの距離L6は、距離L6=L2−0.5s×15km/h=2.5m〜3m(>L1)となっている。このとき図4(b)の位置P6に到達する。したがって、後続車両1bの車載器10bは通信領域外のグレーゾーン43の位置P6と位置P4との間に存在することになる。
この実施の形態1では、通信用アンテナ装置11の送信出力Akを小さくして、通信領域外44内における送信電波の電界強度が、車載器10の受信感度Bw1(受信感度設定値=−60.5dBm)以下となるようにする。例えば、図4(b)に示すように、通信用アンテナ装置11の送信電力特性を点線52から実線51に下げることによって、通信領域外44で車載器10が通信用アンテナ装置11の送信信号を受信しないように設定する。また、これによってレベル上昇部48の最大電力レベルも小さくなり、グレーゾーン43内に存在する通信可能領域を抑圧することができる。
さらに、車載器10は車両内に設置されるので、フロントガラスを通じて車両内に入射する電波は、実際にはフロントガラスによる損失を含む約5dBの電波伝搬損失がある。この損失を考慮し、車載器10の受信感度をフロントガラス周辺の外部(車両外部)で近似換算すると、実質的に受信感度設定値Bw2(=−55.4dBm)以上となる。この実質的な受信感度設定値Bw2は、車載器10の受信できる最小受信レベルとなる。また、図4(b)から分かるように、グレーゾーン43において、車載器10の最小受信レベルが、レベル上昇部48の電界強度に対して充分な余裕Bm(≧3dB)を持つことになり、グレーゾーン43での誤通信を低減させることができる。
なお、通信用アンテナ装置11の送信電波の電界強度が、車載器10の受信感度設定値Bw2以上となる領域は、図4(b)において例えばグレーゾーン43内の位置P5を含んでおり、通信領域4外部の領域を含んでしまう。通信領域4の境界位置P1(進行方向側端部)、P3(手前側端部)では、送信電波の電界強度Pwkが−52dBmとなっており、車載器10の車両外部の実質的な受信感度設定値Bw2よりも高くなっている。
図6は、通信用アンテナ装置11からの送信電波の、電界強度分布の一例を示す実測値である。図に示すように、通信用アンテナ装置11は、所望の通信領域の電界強度が、車載器10の受信感度−55.4dBm以上(受信感度設定値Bw2=−55.4dBm)となるように設定されている。車両検出器50の位置から第2の距離L2以上離れたところでは、電界強度が−55dBm未満となって通信領域外となっている。また、レベル上昇部48での電界強度も−55dBm未満となって通信領域外となっている。電界強度が−55dBmとなる位置P5は、車両検出器50の位置P3と位置P6との間にある。したがって、車両1が車両検出器50に到達してから送信時間T以下の時間では、後続車両1bの車載器10bは通信領域4の通信領域外に位置し、かつ車載器10bが通信用アンテナ装置11の送信電波から受ける電力レベルは、車載器10bの実質的な受信感度より小さい。
図7は、通信用アンテナ装置11の放射特性の一例を示す図であって、図7(a)はアンテナ主軸を基準とした送信電力特性((1)水平面方向(仰角方向)、(2)垂直面方向(方位角方向))、図7(b)は受信電力特性((1)水平面方向、(2)垂直面方向)を夫々示す。
また、図8は、通信用アンテナ装置11の送受信アンテナ111と、通信領域の鉛直面内での幾何学的配置関係を示す図である。図において、送受信アンテナ111の設置高さH=3m、取付け角度θ=48°、距離L=3m、距離L1=2m、距離L2=5m、距離L3=2mとしている。車載器10で受信される通信用アンテナ装置11からの送信電波30の電界強度は、図7、図8と、次式(1)、式(2)に基づいて推定することもできる。
次に、通信用アンテナ装置11の受信特性について説明する。
図9(a)は、通信用アンテナ装置11の所望の通信領域4に進入する車両1と、車両1の後続車両1bとの関係を示す図であり、図9(b)は、図9(a)に対応して、通信用アンテナ装置11の受信特性を示した図である。図中、実線53は、車載器10から送信され、通信用アンテナ装置11に入射する電波の受信電力分布を示しており、縦軸は受信電力レベル、横軸は車両進行方向の位置を示している。図において、車両1、後続車両1b、各距離L、L1、L2、各位置P1、P2、P3、P4、P5、P6の関係については、図4(a)と同じである。
この実施の形態による通信用アンテナ装置11は、図2の説明で上述したように、通信領域4内における通信用アンテナ装置11の受信ビームの感度を低くして、受信感度を−55dBm以上(受信感度設定値Bw2=−55dBm)とし、好適には−52dBm以上(受信感度設定値Bk=−52dBm)となるように、受信感度をレベル調整している。このため、車載器10からの送信電波が、通信領域外で電界強度の高くなる(極大となる)領域であるレベル上昇部45を形成しても、通信用アンテナ装置11の受信波の感度が低いので、車載器10からの送信波を受信し難くしている(車載器10からの送信波が聞こえずらくなっている)。
例えば、レベル上昇部45での送信用アンテナ装置11の受信機115の入力レベル(アンテナ入力端換算)は、後続車両1bの車載器10bからの送信出力=11.8dBm(+50%変動を考慮)、車載器10bのアンテナ指向性利得=3dBi、路上機の指向性利得=12.7dBi、位置P4近辺での通信用アンテナ装置11の利得低下量=16dBm、フロントガラスによる損失を含む電波伝搬損失約5dBm、電波伝搬損失=63dBmとして計算すると、受信機115の入力レベルBw1=11.8+3+12.7−16−5−63=−56.5dBm(<受信感度設定値Bw2=−55.4dBm)となる。また、受信感度設定値Bkは、車載器10bからの送信信号の受信機入力レベルBw2よりも充分高いので、受信機入力レベルの高くなるレベル上昇部45が存在しても、通信用アンテナ装置11と車載器10bとの間の誤通信をなくすことができる。また、上述したように、車載器10が図中の位置P5に存在する場合は、車載器10の送受信機121で受信する受信信号の受信レベルが車載器10の受信感度以上となり、車載器10は通信用アンテナ装置11のからの送信信号を受けて、ID返答するなどの応答をしてしまう。しかしながら、この実施の形態による通信用アンテナ装置11は、車載器10が最大レベルの送信出力(=11.8dBm)のときに、通信領域4の端部(位置P3)で車載器10からの受信信号の電力レベルが、概ね受信感度設定値Bk(=−52dBm)に一致するように、通信用アンテナ装置11の受信感度を調整している。したがって、車載器10が図中の位置P5と位置P3の間に存在する場合であっても、通信用アンテナ装置11は車載器10からの送信信号を受信しない。
一般に、車載器の搭載車両から出力される送信電波は、車載器自体の個体差や、車載器の搭載車両のフロントガラスや搭載位置などの個体差の影響によって、車載器毎に送信出力レベルはばらつく。このため、車載器10から送信されて通信用アンテナ装置11に入射する電波の受信電力レベルは、車載器毎に変動し、通信用アンテナ装置11に入射する電波の受信電力分布が、図中の実線53から点線58のように、上下にPの範囲で変化する。この実施の形態による通信用アンテナ11は、車載器10が最大レベルの送信出力(=11.8dBm)のときに、通信領域4の端部で車載器10からの受信信号の電力レベルが、概ね受信感度Bkの感度設定値に一致するように、通信用アンテナ装置11の受信感度を調整している。したがって、車載器毎に送信出力レベルが変動しても、通信領域4の外部領域(非通信領域、およびグレーゾーン)では、後続車両1bの車載器10bから送信された送信電波を受信することはない。
図10は、アンテナ設置高さHと、アンテナの取付角度θとの関係を示す図である。図に示すように、アンテナの設置高さが低くなるほど、アンテナの取付角度θを大きくする必要がある。アンテナの設置高さは、屋内駐車場では、2m乃至3.5mとなるので、アンテナの取付角度θは、50°乃至45°に設定すると良い。例えば、アンテナの設置高さが3mのときは、アンテナの取付角度θを48°に設定する。
図11は、車載器の位置と、通信用アンテナ装置11のアンテナ取付角度との関係を示す図である。
図11(a)は、車両検出器50を通信領域手前側の端部付近に配置し、アンテナ設置高さ3m、アンテナ取付角度を23°に設定した例を示す。この場合、車両進行方向の通信領域の長さ2.5m、路幅方向の通信領域の幅2mとなり、路幅方向には充分な大きさの通信領域を得ることができなくなる。
この例では、車両検出器50が車両1の先端を検出した後、車両検出器50から車両進入の信号を受けて、通信用アンテナ装置11から電波を放射される。車両によっては、車載器10の搭載位置が車両1の先端から1.5m程度のところにある。このため、通信用アンテナ装置11から電波が放射された時点では、車両1の車載器10は通信領域の外に存在することになる。車両1が進行することで、車載器10は通信領域内に入り、路車間通信を開始する。このとき、車両の進入速度(例えば10km/h〜15km/h)によっては、路車間通信を開始する時間が、車両検出器50で車両1を検出してから、300乃至400ms後となり、500msの通信時間で、路車間通信が正常に終了しないケースが発生する。
図11(b)は、車両検出器50を通信領域の進行方向側端部から1mの付近に配置し、アンテナ設置高さ3m、アンテナ取付角度を48°に設定した場合を示す。この場合、車両進行方向の通信領域の長さ3m、路幅方向の通信領域の幅2.5mとなり、路幅方向に充分な大きさの通信領域4を得ることができる。
また、車載器10の搭載位置が車両1の先端から2mの位置にあっても、車両検出器50が車両1を検出した時点で、車載器10は通信領域内に存在しており、路車間通信は直ちに開始される。したがって、車載器10と通信用アンテナ装置11との間で、1回の通信に必要な所要時間Tm=200ms以下で、通信を開始することが可能となる。なお、通信用アンテナ装置11の取付角度を大きくすることによって、路面と天井との間で生じる多重反射による電界強度が幾分上昇することになるが、上述したとおり、送信出力と受信感度を調整することによって、通信用アンテナ装置11の多重反射による電界強度の局所的な上昇に伴なう誤通信の問題は解消される。
なお、車載器10の搭載位置が車両1の先端から0.5mの位置にある場合は、車両検出器50が車両1を検出した時点で、車載器10は通信領域4内に存在しており、路車通信は直ちに開始される。このとき、車載器10の位置と通信領域4の進行方向端部との距離は、1.5mとなっている。車両1の進入速度が15km/hである場合、最低でも300msの通信時間を得られるので、1回の通信に必要な所要時間Tm=200ms以上の時間で、路車通信を行うことができる。
図12は、この実施の形態による無線通信システムの各構成機器の接続関係を示す構成図であり、夫々次のように動作する。
図において、光送信器5bと光受信器5aの間を車両1が通過することによって、光送信器5bの出力光が遮断され、光受信器5aの出力光が光送信器5bで受光されない状態を検出することにより、車両検出器50は車両1の通行の有無を検出する。車両検出器50は車両1を検出すると、通信制御装置12に対して処理開始信号S1を送出する。同時に、車両番号読取装置6および車両番号読取装置66bに対しても、処理開始信号S1を出力する。
ループコイル13aは路面3の表面下において、通信領域4の車両進行方向前端(あるいは進行方向側端部)に接するように埋設されている。遮断機8は、制止棒9が通信領域4の車両進行方向前端から4m離間した位置に配置されるように設置されている。ループコイル13bは、制止棒9よりも車両1の進行方向前方に位置するように配置されている。駐車場の管理室550には、情報処理装置14が設置されている。なお、図中における略正方形状のハッチング領域は、通信領域4を示している。
通信制御装置12は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信用アンテナ装置11が送信電波の放射を開始するように制御する。また、車両番号読取装置6は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動する。車両番号読取装置6は、内部に設置されたカメラで、通信領域4内を通過中の車両のナンバープレートを含む画像を撮影する。車両番号読取装置6は、撮影画像を画像処理してナンバープレート画像を抽出し、二値化する。車両番号読取装置6は、二値化されたナンバープレート画像から、車両のナンバープレートに刻印された各ナンバを個別に切出し、切出された全てのナンバもしくは、車両を特定可能な一部のナンバを、識別する。このとき、車両番号読取装置6が起動してからナンバを識別するまでの間の処理時間Tnは、0.7秒〜0.8秒である。車両番号読取装置6で識別されたナンバ情報(S2)は、車両番号読取装置6から情報処理装置14に送出される。
同様にして、車両番号読取装置66bは、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信領域4内を通過中の車両のナンバープレートを撮影して、ナンバープレートのナンバを識別する。車両番号読取装置66bで識別されたナンバ情報S200は、車両番号読取装置66bから情報処理装置14に送出される。情報処理装置14は、車両番号読取装置6からのナンバ情報S2か、車両番号読取装置66bからのナンバ情報S200の、いずれか早く出力された方を用いて、内部の信号処理を行う。したがって、以降の説明では簡略化のために、車両番号読取装置66bの動作や、車両番号読取装置66bから出力されるナンバ情報S200の処理動作についての説明を省略して、車両番号読取装置6とナンバ情報S2について説明する。
車両検出器50は、通信領域4の車両進行方向後端(あるいは進行方向手前側端部)から、2m前方に進んだ位置に配置されている。上述したように、車両5は、ノーズ(フロントバンパー先端)から2m内に車載器10が設けられており、車両5が車両検出器50に到達した段階で、車両5は通信領域4内に入ることができる。通信用アンテナ装置11から放射された送信電波は、通信領域内を通過する車両1の車載器10で受信される。これによって通信トランザクションが開始され、通信用アンテナ装置11と車載器10との間で後述する通信リンク確立の実行処理が開始される。通信リンクが確立されると通信用アンテナ装置11と車載器10との間で路車間通信が実行されて、車載器10から車両ID情報が送信される。車載器10から通信用アンテナ装置11に車両ID情報が送信された後、通信が切断される。通信用アンテナ装置11は車載器10からの送信されたID情報を受信する。通信用アンテナ装置11で受信され復調された車両ID情報は、通信制御装置12に伝送されてディジタル情報に変換され、車両ID情報(S3)として出力される。
車両1がループコイル13aの上方に到達し、ループコイル13aが車両1の通過を検出すると、ループコイル13aは、発券機7に対して車両進入信号S6を送出する。発券機7は、車両進入信号S6を受信すると、内蔵された図示しないビットメモリをON状態(論理的1)にセットする。同時に、発券機7は情報処理装置14にゲート開閉許可信号S4を送出する。また、車両1がループコイル13bの上方に到達し、ループコイル13bが車両1の通過を検出すると、ループコイル13bは、発券機7に対して即座にゲート閉鎖信号S7を出力する。ゲート閉鎖信号S7は、発券機7のビットメモリをOFF状態(論理的0)にリセットする。
通信用アンテナ装置11と車載器10との路車間通信が完了すると、通信制御装置12から情報処理装置14に車両ID情報(S3)が送出される。情報処理装置14は管理室550内に設けられるのが望ましい。勿論、情報処理装置14を隣接した他の駐車場や、駐車場に隣接したビルなどの離隔した場所に設定するこもできる。この場合は、通信制御装置12と情報処理装置14や車両番号読取装置6などの各機器との接続を、専用のネットワーク回線や公衆のネットワーク回線で接続しても良い。情報処理装置14は、通信制御装置12から伝送された車両ID情報S3と、予め登録された特定情報である車両ID情報との一致比較(ID比較)を実行する。また、情報処理装置14は、車両番号読取装置6から伝送されたナンバ情報S2と、予め登録された特定情報であるナンバ情報との一致比較(ナンバ比較)を実行する。情報処理装置14は、ループコイル13aが車両進入信号S6を発信していた場合には、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信する。
情報処理装置14は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していた場合には、ID比較の結果が一致であった場合か、もしくはナンバ比較の結果が一致であった場合に、発券機7に対して制御指令(S8)を送出する。また、ID比較の結果とナンバ比較の結果が、両方とも不一致であった場合には、発券機7に対して制御指令(S9)を送出する。一方、情報処理装置14は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していなかった場合、すなわち、車両1がループコイル13aに至らず、車両進入信号S6が出力されていなかった場合には、ナンバ情報の一致比較の結果如何に関わらず、情報処理装置14はゲート開閉許可信号S4を受信するまでの間、制御指令S8もしくはS9の送出を停止する。
発券機7は、情報処理装置14から制御指令S8を受信すると、遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、発券機7からの制御指令S5を受信すると、車両の制止を解除して、制止棒9を開閉動作させる。また、発券機7は、情報処理装置14から制御指令S9を受信すると、発券処理動作を実行する。
これによって、車載器10の車両ID情報S3が予め登録された車両ID情報と一致した場合、または車両1のナンバ情報S2が予め登録されたナンバ情報と一致した場合に、発券機7からの制御指令S5の受信に応じて遮断機8が制止棒9を跳ね上動作し、ゲートが自動的に開かれる(車両1が駐車エリアへ進入可能になる)。この際、遮断機8のビットメモリはON状態にセットされる。これによって、車両1は入口ゲート100を通行する際、入口ゲート内の発券機7の手前で一旦停止することなく、ノンストップで駐車エリアに進入することができる。
また、車載器10の車両ID情報S3が予め登録された車両ID情報と不一致で、かつ車両1のナンバ情報S2が予め登録されたナンバ情報と不一致であった場合に、発券機7の制御指令S9の受信に応じて発券処理が実行される。例えば、発券機7は、車両1のドライバに対して発券された駐車場の利用券(駐車券)を取るようにアナウンスする。ドライバが発券機7の発券した駐車券を取り出すことによって、発券機7は遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、制御指令S5の受信に応じて制止棒9を跳ね上動作し、ゲートが自動的に開かれる。これによって、車両1のドライバが発券機7の発券した駐車券を所持した状態で、車両1が駐車エリアに進入することができる。この際、遮断機8のビットメモリはON状態にセットされる。
次に、制止棒9が開いた状態で、車両1が遮断機8の側方を通過して、ループコイル13bの上方に到達し、ループコイル13bから発券機7に対してゲート閉鎖信号S7が送出されると、発券機7は、遮断機8に対してゲート閉鎖信号S52を送出する。遮断機8がゲート閉鎖信号S52を受信すると、遮断機8は制止棒9を閉鎖するように動作し、跳ね上げられていた制止棒9は水平になるように下降し、遮断機8のビットメモリはOFF状態にリセットされる。
図13は、情報処理装置14の構成を示す図である。情報処理装置14は比較器141と、データベース142と、制御器143で構成される。車両番号読取装置6は、情報処理装置14の比較器141に対してナンバ情報S2を送出する。通信制御装置12は、情報処理装置14の比較器141に対して車両ID情報S3を送出する。
情報処理装置14は、車載器10の車両ID情報S3が予め登録された車両ID情報と一致した場合、または車両1のナンバ情報S2が予め登録されたナンバ情報と一致した場合に、車両ID情報S3またはナンバ情報S2と対応した車両ID情報を、図示しない専用回線または公衆回線を通じて管理センタ(図示せず)へ伝送する。
本無線通信システムを備えた駐車場の利用者は、利用対象とする駐車場(利用駐車場)において、本無線通信システムの利用者としてシステムの管理者と駐車場の利用契約を行う際、利用登録申請書に、ナンバープレートのナンバ情報と、車載器に格納される車両ID情報と、利用期間情報を、利用登録情報として記載して登録しておく。ドライバが利用登録申請することによって、利用登録申請書に記載した利用車両は、利用登録された車両(利用登録車両)として利用登録される。利用登録されていない車両は、利用未登録車両と呼ぶことにする。
また、異なる場所に広域に配置された複数の駐車場を利用できるような利用契約を行う場合は、利用可能な駐車場を特定するための情報(例えば駐車場ID)を、利用駐車場情報として利用登録情報に含めて登録しておく。
データベース142には、予め上述の利用登録申請書に記載された利用登録情報が、全ての利用登録車両についてデータ登録され、格納されている。データベース142は、各利用登録車両毎に、車両ID情報、ナンバ情報、利用期間情報、利用駐車場情報などの各種情報を、互いに関連付けて利用登録情報として登録しており、リレーショナルデータベースを構成している。
本無線通信システムの利用者は、利用登録申請を行う際に、上述の利用期間情報を設定するとともに、同時にその利用期間に則してシステムの管理者に利用料金を支払う。この場合、例えば利用契約が、月極の利用契約であったり、年間の利用契約であっても良く、利用期間に応じた料金が、前納で支払われる。
あるいは、利用期間が自動更新されて、利用料金が後納で支払われる形態を取っても構わない。この場合は、データベース142に格納された利用期間情報が、一定期間毎に更新されれば良い。勿論、利用期間の更新の前に、システムの管理者が利用者の承諾を得ることは言うまでもない。
または、管理センタに伝送される車両ID情報を利用して、利用料金の決済を後納で行う形態を用いても良い。
この場合は、利用者の利用登録申請によって、管理センタは管理用データベース(図示せず)に車両ID情報とカードID情報を関連付けて格納し、ICカード125のカードID情報と車搭器10の車両ID情報とを事前に対応付けておく。また、ICカード125の利用契約の後、管理センタは管理用データベースにカード情報とクレジット番号を関連付けて格納し、個人のICカード125のカード情報とクレジットカードのクレジット番号を事前に対応付けておく。あるいは、管理センタは、クレジットカードのクレジット番号と車両ID情報を、予め直接的に1対1に対応付けて管理用データベースに格納しておいても良い。なお、ICカード125を車搭器10に装着するときに、ICカード125のカードIDと車搭器10の車両ID情報とが対応付けされるので、車搭器10の利用時には、車搭器10の車両ID情報とクレジットカードのクレジット番号とは1対1に対応付けされる。
これによって、管理センタは管理用データベースを検索し、情報処理装置14から伝送された車両ID情報に基づいて、車両ID情報と対応付けられて管理用データベースに格納されたクレジット番号を検索する。管理センタは、検索したクレジット番号と、駐車場の利用者に請求すべき駐車場の利用代金とを、対応付けてクレジット会社に請求する。クレジット会社は、管理センタに対して請求を受けた駐車場の利用代金を支払う。同時に、クレジットカードの契約者に対して、銀行自動引落としや請求書の発行などの決済方法によって、駐車場の利用代金の支払いを決済することができる。したがって、月締めのクレジットカードの請求で、駐車場の利用者に対して、駐車場利用代金の決済を行うことが可能となる。
なお、駐車場の利用者に請求すべき駐車場の利用代金の算出方法については、ここでは具体的な説明を省略する。例えば、出口ゲートで、車載器と通信用アンテナ装置との間で車両ID情報を伝送すれば良い。情報処理装置は、車載器から送信された車両ID情報に基づいて、出口ゲートから出庫した時間と入口ゲートに入庫した時間との差を計算し、計算された利用時間に応じて、駐車場の利用代金を算出する。情報処理装置は、算出した駐車場の利用代金を、車両ID情報と対応付けて管理センタに伝送する。管理センタは、伝送された駐車場の利用代金を、クレジット会社に対して請求すれば良い。
次に、情報処理装置14における、車両ID情報S3のID比較処理と、ナンバー情報S2ナンバ比較処理について説明する。
データベース142は、車両ID情報S3をキーとして、車両ID情報S3に基いて格納されている利用登録情報を検索することによって、利用登録情報に含まれた、車両ID情報S3に対応する(一致する)車両ID情報を取得する。この場合、データベース142は、車両ID情報S2がデータベース142に登録され利用駐車場の利用を許可された正規の車両ID情報であることを示す、データ一致情報N3を出力する。一方、データベース142の検索の結果、格納された利用登録情報中に、車両ID情報S3に対応する車両ID情報が存在しない場合は、データベース142は、車両ID情報S3が利用駐車場の利用を許可されていないことを示す、データ不一致情報NN3を出力する。
また、データベース142は、ナンバ情報S2をキーとして、ナンバ情報S2に基いて格納されている利用登録情報を検索することによって、利用登録情報に含まれた、ナンバ情報S2に対応する(一致する)ナンバ情報を取得することができる。この場合、データベース142は、ナンバ情報S2がデータベース142に格納され利用駐車場の利用を許可された正規車両のナンバ情報であることを示す、データ一致情報N2を出力する。一方、データベース142の検索の結果、格納された利用登録情報中に、ナンバ情報S2に対応するナンバ情報が存在しない場合は、データベース142は、ナンバ情報N2が利用駐車場の利用を許可されていないことを示す、データ不一致情報NN2を出力する。
車両ID情報は、ヘッダーコードと、車載器毎に異なるシリアルコードとを組み合わせて、「ヘッダーコード+シリアルコード」で構成したものを用いるのが良い。ヘッダーコードとしては、正規に販売され特定のサービスの利用が可能な車載器であることを示す固有番号を用いるのが簡便である。
例えば、駐車場の出入口をノンストップで通行できる駐車場の利用サービスを提供しているサービス提供会社(団体)毎に、ヘッダーコードとして異なる固有番号を割り当てる。これによって、同一の団体に加盟する全てのサービス提供駐車場の通信制御装置12に、予めヘッダーコード情報を記憶保持させておくことによって、ヘッダーコードをリンク確立の際の認証情報として用いることができる。
サービス提供会社が例えば10団体ある場合は、ヘッダーコードを4ビットデータ(0000〜1111)で構成すれば良い。車載器10は、応答信号C2の中にヘッダーコードを混入させて送信する。これによって、通信制御装置12は、受信した応答信号C2から抽出されるヘッダーコードが、予め設定された10パターンのヘッダーコードの何れに対応するのかを比較することによって、車載器10が正規のユーザであることを認証することができる。勿論、ヘッダーコードの認識に暗号処理を加えることによって、より確実な認証を行うことができることは言うまでもない。また、シリアルコードは、同一のサービス提供会社から、サービス提供を受けられるように利用登録した車載器の台数が1万台あると予想されるならば、シリアルコードを16ビットデータ(0〜F)で構成すれば良い。例えば、車両ID情報を、00000〜1111Fの20ビットのデータで構成すれば良い。
比較器141は、通信制御装置12から車両ID情報S3を受信すると、車両ID情報S3に基いてデータベース142を検索する。検索の結果、受信した車両ID情報S3に対応した車両ID情報がデータベース142に登録されている場合は、データベース142から出力されるデータ一致情報N3の受信に応じて、比較器141から制御器143に対して一致信号S11を送信する。また、検索の結果、受信した車両ID情報S3に対応した車両ID情報がデータベース142に登録されていない場合は、データベース142から出力されるデータ不一致情報NN3の受信に応じて、車両ID情報S3が未登録(もしくは未登録ID)であると判定し、比較器141から制御器143に対して不一致信号S10aを送信する。
また、比較器141は、車両番号読取装置6からナンバ情報S2を受信すると、ナンバ情報S2に基いてデータベース142を検索する。検索の結果、受信したナンバ情報S2に対応したナンバ情報がデータベース142に登録されている場合は、データベース142から出力されるデータ一致情報N2の受信に応じて、比較器141から制御器143に対して一致信号S11を送信する。また、検索の結果、受信したナンバ情報S2に対応したナンバ情報がデータベース142に登録されていなかった場合は、データベース142から出力されるデータ不一致情報NN2の受信に応じて、ナンバ情報S2が未登録(もしくは未登録ID)であると判定し、比較器141から制御器143に対して不一致信号S10bを送信する。
したがって、比較器141は、車両番号読取装置6からデータベース142に事前登録されたナンバ情報S2を受信するか、または通信制御装置12からデータベース142に事前登録された車両ID情報S3を受信すると、一致信号S11を出力する。また、比較器141は、車両番号読取装置6からデータベース142に事前登録されていないナンバ情報S2を受信すると、不一致信号S10aを出力する。また、比較器141は、通信制御装置12からデータベース142に事前登録されていない車両ID情報S3を受信すると、不一致信号S10bを出力する。
制御器143は、比較器141から一致信号S11を受信すると、発券機7に対して制御指令S8を送出する。また、制御器143は、比較器141から不一致信号S10aを受信し、かつ比較器141から不一致信号S10bを受信すると、発券機7に対して制御指令S9を送出する。なお、制御器143は、比較器141から受信した不一致信号S10aおよび不一致信号S10bがそれぞれに対応した設定情報を、一旦図示しない内部メモリに格納しておく。これによって、不一致信号S10aと不一致信号S10bの受信タイミングがずれても、内部メモリに格納された設定情報を参照することにより、不一致信号S10a、S10bを共に受信した場合に限って、制御指令S9を送出することが可能となる。
図14は、車両検出器50、車両番号読取装置6、および通信制御装置12の動作タイミングを示すタイムチャートである。図14(a)に示すように、車両検出器50から処理開始信号S1が出力されると、図14(b)に示すように、車両番号読取装置6が動作を開始(動作ON)し、概ね0.7秒〜0.8秒後にナンバ情報S2を出力して動作を完了する(動作OFF)。また、車両検出器50から処理開始信号S1が出力されると、図14(c)に示すように、通信制御装置12が通信用アンテナ装置11を起動させて(動作ON)、通信用アンテナ装置11から送信波が出力され、路車間通信が開始される。通信用アンテナ装置11の起動時点から0.2秒乃至0.5秒以下の間に、通信制御装置12から車両ID情報S3が出力されて、路車間通信が終了する。同時に、通信制御装置12は、通信用アンテナ装置11からの送信電波の出力を停止する。なお、通信制御装置12は、所定の送信時間T(例えば0.5秒)を超えても通信用アンテナ装置11から送信電波が出力されることがないように、タイムアウト処理が成される。タイムアウト処理は、例えば、通信用アンテナ装置11からの送信電波の出力開始時にタイマーを起動させる。タイマーは、タイマー起動時間から所定の時間経過しても路車間通信が開始されない場合に、通信用アンテナ装置11からの電波の出力を停止するように動作する。このとき同時に、比較器141の内部メモリに格納されている設定情報は、リセットされる。
なお、車両1が時速25km/hで通信領域に進入する場合であっても、車両検出器50が車両1の先端を検出してから0.5秒以内に車両1が走行する距離は、約3.5mであり、一般車両の車長が4m程度あることから、車両1の車体は路車間通信が実行されている間、通信領域4内に存在することになる。
図14(d)は、車載器1と路側機との通信トランザクションを示す図である。車載器10は通信用アンテナ装置11から放射された送信電波であるポーリング信号C1を受信すると、通信用アンテナ装置11と車載器10との間でリンク確立の実行が開始される。まず、車載器10は、送受信機121で受信したポーリング信号C1を通信制御器122に送信する。通信制御器122は、ポーリング信号C1と予めメモリ123に格納されたユニークワードとの比較を行う。比較の結果、ポーリング信号C1がユニークワードに合致した場合、通信制御器122は送受信機121から通信用アンテナ装置11へ応答信号C2を出力する。これによって、通信用アンテナ装置11と車載器10との通信リンクが確立され、路車間通信が開始される。通信用アンテナ装置11の起動時点から、概ね0.1秒以内にリンク確立が終了する。なお、所定の送信時間T内にリンク確立が終了しない場合は、前述したように通信用アンテナ装置11からの送信電波の出力が停止する。
次に、リンク確立が終了すると、車載器10と通信用アンテナ装置11との間で、ID取得が行われる。まず、通信用アンテナ装置11から車載器10へID要求信号C3が出力される(ID送信要求)。車載器10は、通信用アンテナ装置11からID要求信号C3を受信すると、通信用アンテナ装置11に対して車両ID情報C4を返信する(ID返送)。なお、誤通信を防止するために、ID送信要求とID返送から成るID取得処理を、少なくとも2回以上の所定回数実行する多数決処理を行う。例えば、ID取得処理は3回実行されるのが好ましい。この場合、車載器10から通信用アンテナ装置11に対して、車両ID情報が3回送信される。通信制御装置12は、受信した各車両ID情報を互いに比較して、一致数が最も多い、すなわち受信回数の最も多い車両ID情報を、車両ID情報S3として比較器141に出力する。ID取得処理は、1回当たり概ね0.1秒要する。なお、所定回数のID取得で得られた車両ID情報が、全て互いに異なる場合は、最初に取得された車両ID情報を、車両ID情報S3として比較器141に出力する。
このように多数決処理を行うことによって、隣接する通信用アンテナ装置と車載器との路車間通信による混信の影響を、より抑圧することができる。
次に、通信用アンテナ装置11は、通信用アンテナ装置11から車載器10へID要求信号C3を所定回数送信した後、車載ID情報C4を少なくとも1回受信すると、車載器10に対して通信切断要求C5を送信する。車載器10は、通信用アンテナ装置11から通信切断要求C5を受信すると、通信用アンテナ装置11に対して路車間通信の切断処理の実行動作に入ったことを示す、通信切断了解信号C6を送信する。同時に、送信機を構成する電力増幅器への電力供給をOFFにして送信電波の電力供給を切断するなど、通信の切断を実行する(通信切断)。通信切断処理は、1回当たり概ね0.1秒要する。通信切断処理が実施された後、通信用アンテナ装置11は送信電波の放射を停止する。
なお、通過車両が車両検出器50を通過せずに、車両検出器50が依然として通過車両を検出している間(ON状態の間)は、通信用アンテナ装置11が送信電波の放射を停止した後であっても、その期間中は、通信用アンテナ装置11は次の送信電波の放射を停止する。また、通過車両が車両検出器50を通過して、車両検出器50の出力がOFF状態になったときには、通信用アンテナ装置11の送信電波の放射停止状態を解除し、後続車両の車載器との通信を開始できるように、通信用アンテナ装置11の動作を待機状態にしておく。
通信用アンテナ装置11が起動してから車両ID情報を取得するまでの処理時間Tnが0.5秒よりも長くなると、車両1が車両検出器50を通過した後、遮断機8の制止棒9が開くまでの時間が長くなる。この場合、車両1は路側機との通信を行いつつも、制止棒9の手前で一旦停止しなければならないような、弊害が生じる。例えば、車両1が時速10km/hで通信領域4内に進入する場合、0.5秒後に通行可の判定が出ることによって、車両1は約1.5m進行する。車両検出器50と制止棒9との距離は5mであるので、この間に車両1は制止棒9から3.5m手前の位置まで進んでしまう。これ以上距離が短くなる場合、ドライバは心理的にブレーキをかけてしまうので、ノンストップでゲートを通過することを妨げることになる。
なお、ループコイル13aは車両検出器50から1.5m離れた位置に配置されているので、車両1が通信領域4内に存在する間に、ループコイル13aは発券機周辺への車両1の進入を検出して、車両進入信号S6が出力され、制止棒9が開閉スタンバイ状態となる。
図15は、この実施の形態による無線通信システムの動作フローチャートを示す。
動作の詳細については上述したとおりであるが、図において、無線通信システムが起動した後、車両検出器50が車両1の通過の有無を検出する(ステップS101)。車両検出器50が車両1を検出すると、路側機における通信用アンテナ装置11の送信開始動作が実行される(ステップS102)。同時に、車両番号読取装置6は、車両番号の読取動作の実行を開始した後(ステップS103)、車両番号読取装置6は車両番号の識別処理を実行する(ステップS104)。車両番号読取装置6は識別したナンバ情報S2を情報処理装置14へ出力する(ステップS105)。
通信用アンテナ装置11から送信電波が放射され、路側機から車載器10へ通信接続要求(ポーリング)が送信される(ステップS110)。路側機から車載器10への通信接続要求の結果、車載器10からポーリングに対する応答があった場合(ステップS111)、路側機と車載器10との路車間通信が開始される。次に、路側機から車載器10へID送信要求が出力され(ステップS112)、車載器10は路側機へ車両ID情報S3を送信する(ステップS113)。路側機の通信制御装置12は、通信用アンテナ装置11が車載器10から送信された車両ID情報S3を受信したか否かを判定し(ステップS114)、車両ID情報S3を受信した場合は路車間通信が終了する。また、通信制御装置12は、情報処理装置14に車両ID情報S3を出力する(ステップS115)。情報処理装置14は、車載器10に対するポーリングに対し一定時間T経過しても応答が無い場合は、車載器搭載車両ではない(非ETC車両である)と判断して(S1110)、発券機7を作動させるように制御指令S9を出力する。
情報処理装置14は、データベースを検索して、車両ID情報S3とナンバ情報S2が、事前登録された車両ID情報またはナンバ情報と一致するかどうかを比較する(ステップS116)。比較の結果、車両ID情報S3またはナンバ情報S2の少なくともどちらか一方が、データベースに事前登録された車両ID情報またはナンバ情報と一致した場合に、遮断機8に制御指令S8を出力して遮断機8を作動させ、制止棒9を開く(ステップS117)。また、比較の結果、車両ID情報S3とナンバ情報S2のいずれについても、データベースに事前登録された車両ID情報またはナンバ情報と一致しなかった場合には、発券機7に制御指令S9を出力し、発券機7を作動させて発券処理を行い(ステップS118)、上述のステップS117と同様に制止棒9を開く。なお、情報処理装置14は、データベース142を検索して、車両ID情報S3が事前登録された車両ID情報S3と一致しなかった場合は、車両ID情報が未登録ID(あるいは利用未登録車両)であると判定して、発券機7を作動させるように制御指令S9を出力する。
このように処理することによって、利用登録車両を、利用登録外車両と誤判断する確率を極めて小さくすることができ、利用登録車両であるにも関わらず、入口ゲートで一旦停止して精算機に直接支払いを行う確率を低減できる。
例えば、車両番号読取装置6によるナンバ情報の識別確率が95%であって、車載器10と路側機の通信用アンテナ装置10との通信が正常に行われる確率が99%である場合、駐車場のゲートに進入する車両1が利用登録車両であることを誤判断する確率を、0.05%に低減することができる。すなわち、通信用アンテナ装置10が1%の確率で車載器1から車両ID情報を取得できなくても、車両番号読取装置6が車両のナンバ情報を95%の確率で識別することによって、利用登録車両が出入口ゲートを通過中であることを、99.95%の確率で判断できる。これによって、車両1万台あたり、9995台の車両について、利用登録車両であると正確に判断することができる。このため、利用登録車両が、駐車場のゲートで発券待ちのために一旦停止してしまうような利用サービスの低下を、より防止することができる。
また、通信制御装置12は、取得情報(車両ID情報)を、車両番号読取装置6の取得情報(ナンバ情報)よりも早く情報処理装置14に伝達する。この際、車載器10と路側機との通信が正常に行われて車両ID情報を正確に取得できる確率の方が、車両番号読取装置6によってナンバ情報を正確に読取る確率よりも高い。このため、車両番号読取装置6単体でナンバ情報を得る場合よりも、より確実に、入口ゲート100の通過車両を識別することが出来る。
以上により、この実施の形態1によれば、路側機の通信用アンテナ装置11から放射される送信電波の出力を4dBm以下、好ましくは2dBmに抑えて、路側機の通信用アンテナ装置11の受信感度を−55dBm以上に落とすことによって、正規の通信領域4の外部に発生する通信可能領域を抑圧することができ、通信領域内を通過する車両1の車載器10と、路側機との誤通信の発生を抑えることができる。また、通信領域外での、路車間通信の発生を抑えることができる。
さらに、通信領域4への車両の進入検出に応じて、路側機の通信用アンテナ装置11から送信電波の放射を開始した後、路側機と車載器10との通信終了後に、通信用アンテナからの送信電波の放射を停止することによって、路側機と車載器10との通信時間を規定時間以内に制限することができ、路側機と車載器10との誤通信の発生をさらに抑えることができる。
特に、車載器10が通信領域4内に進入する際に、車両検出器50によって車両1の先端もしくは車両前部の位置特定された部分を検出し、その検出に応じて送信電波の放射を開始した後、通信終了後に送信電波の放射を停止することによって、通信領域の周辺を車両が通過する場合に限って通信を行うことができる。この場合、車両からの反射と路面反射との干渉作用によって、正規の通信領域4の外部に発生する通信可能領域の大きさをさらに減じることができる。また、これによって、送信電力の損失を抑えることにもつながる。
例えば、図4に示すように、車両検出器50によって車両1が検出された後、車載器10と路側機との通信が終了するまでの間は、車両1が通信領域4内を通過中であるため、後続車両1bの進路に発生する通信領域外の電界強度の高い領域43は、電界強度が抑圧される。
勿論、車両検出器50による位置特定部分の検出に応じて、送信電波の放射を開始した後、通信終了後に送信電波の放射を停止するような送信電波の制御以外の方法であっても良い。例えば、通信領域内で、車両検出器50による位置特定部分の検出に応じて、通信用アンテナ装置11の送信電波の電力値を、車搭器10が受信応答できるレベルの所定値以上に増加させた後、路車間通信終了後に、通信用アンテナ装置11の送信電波の電力値を、車搭器10が受信応答できないレベルの所定値以下に減じるように、送信電波の電力制御を行っても良いことは言うまでもない。
また、他の形態として、路側機と車載器10との通信によって取得した車両ID情報に対応するナンバ情報と、車両番号読取装置6で識別したナンバ情報との一致を比較することにより、路側機と車載器10との誤通信に伴なう利用登録車両の誤判断(例えば、利用登録車両を利用未登録車両であると判断する、または、未利用登録車両を利用登録車両であると判断する、または、ゲートを通過中の利用登録車両を他の利用登録車両として判断するなど)の発生を抑えるような形態を取っても良い。
このような他の形態では、例えば、車両番号読取装置6によるナンバ情報の識別確率が95%であって、車載器10と路側機との通信が正常に行われる確率が99%である場合、駐車場の出入口ゲートに進入する利用登録車両を、より正確に利用登録車両であると判定することができるので、誤判定する確率を0.05%に低減することができる。したがって、利用登録外車両が、駐車料金を支払うことなく駐車場を利用する確立を、より確実に防止することができる。
また、車載器10の送信電力および受信感度がばらついていても、車両と路側機との誤通信の発生を抑制することができる。通信領域4は3m×2.5mの大きさに設定されているが、車搭器の特性のばらつきによって、例えば、通信領域の大きさが、2m×2m乃至3m×3m未満の範囲でばらつくことがある。このようなばらつきが生じても、路側機と車載器10との誤通信による利用登録車両の誤判断を抑えることができる。
したがって、この実施の形態によれば、電波吸収体の装着によるコストを抑えるとともに、天井壁面と路面との間の電波反射によって、正規の通信領域外での路側機と車載器との誤通信が生じる確率を低減することが可能となる。
また、正規の通信領域外での路側機と車載器との誤通信による、利用登録車両と未登録車両の誤判断を低減することができる。
なお、この実施の形態における以上の説明は、屋内もしくは地下駐車場への入口ゲートに設置した無線通信システムを例として説明したが、この場合に限ったものではないことは言うまでもない。例えば、出口ゲートや、飲食店のドライブスルーの出入口、またはガソリンスタンドなどに設置した無線通信システムであっても良い。勿論、出口ゲートに適用する場合は、発券機の代わりに精算機を設けて、ドライバが駐車券を挿入することによって、精算機に表示される料金を支払うような精算処理を行うことは言うまでもない。また、飲食店のドライブスルーの出入口、またはガソリンスタンドなどに設置する場合は、料金を支払うための通信領域の上方に、天井壁面や屋根を設けて、天井や屋根の下に直接的又は間接的に通信用のアンテナを取り付けた場合に、本無線通信システムが誤通信や誤判断の防止効果を発揮することは言うまでもない。
以上説明したように、この実施の形態による無線通信システムは、車載器との通信領域内で送信電波の放射を開始して通信を開始し、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定の時間内に送信電波の放射を停止する通信用アンテナ装置を備えて、前記通信用アンテナ装置は、送信出力を4dBm以下とし、受信感度を−55dBm以上とすることにより、天井壁面と路面との間の電波反射によって、正規の通信領域外で、路側機と車載器とが誤通信を生じる確率を低減することができる。
また、正規の利用登録車両を、利用未登録車両と誤判定する確率を低減することができるという効果を得ることができる。
この場合、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、前記車両検出器による車両の検出に応じて送信電波の放射を開始した後、前記車載器との通信を開始し、当該通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するかもしくは、当該送信電波の放射開始から所定時間内に前記車載器との通信が開始されない場合に、当該送信電波の放射を停止する通信用アンテナとを備えても良い。
また、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、車両進行方向の手前側に向かって前記車両検出器から第1の所定距離以内で、受信電力レベルが所定の受信感度以上となる受信電力特性を有し、当該車両検出器から車両進行方向の手前側に向かって前記第1の所定距離よりも長い第2の所定距離以上では、車載器の受信電力レベルが車載器の受信感度以下となるような送信電力特性を有した通信用アンテナ装置とを備えて、前記通信用アンテナ装置は、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて送信電波の放射を開始して通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定の時間内に送信電波の放射を停止するとともに、前記第1の所定距離が1.5m乃至3mであり、前記第2の所定距離が3m乃至5mとしても良い。
さらに、第1の所定距離を2m程度とし、第2の所定距離を5m程度としても良い。
また、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、車両進行方向の手前側に前記車両検出器から第1の所定距離以内では、受信電力レベルが所定の受信感度以上となり、当該車両検出器から車両進行方向の手前側に前記第1の所定距離よりも長い第2の所定距離以上では、受信電力レベルが前記受信感度以下となる受信特性を有した通信用アンテナ装置とを備えて、前記通信用アンテナ装置は、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて送信電波の放射を開始して通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定の時間内に上記通信が開始されない場合に送信電波の放射を停止するとともに、前記所定時間を、0.5秒以下としても良い。
さらに、前記無線通信システムは、前記通信領域における、車両進行方向の手前側に前記第1の所定距離だけ離れた付近で、送信電波の電界強度が−55dBm以上となるようにしても良い。
また、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、車両検出器から車両進行方向の手前側の所定距離以上に、非通信領域を有する通信用アンテナ装置とを備えて、前記通信用アンテナ装置は、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて送信電波の放射を開始して通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定の時間内に送信電波の放射を停止するとともに、前記所定時間は、前記車両検出器を通過する車両が前記車両検出器を通過後、当該車両の後続車両が前記所定距離に到達する時間以内に設定しても良い。
また、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて送信電波の放射を開始するとともに、車載器との通信を開始して通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定時間以内に送信電波の放射を停止する通信用アンテナ装置とを備えて、前記通信用アンテナ装置の通信領域は、前記車両検出器から車両進行方向の手前側に向かって2.5m以内から、前記車両検出器から車両進行方向に向かって1.5m以内の範囲に、通信領域を有しても良い。
また、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて送信電波の放射を開始するとともに、車載器との通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から0.5秒以内に上記通信が開始されない場合に送信電波の放射を停止する通信用アンテナ装置とを備えて、前記通信用アンテナ装置は、送信出力が4dBm以下、受信感度が−55dBm以上であり、鉛直軸に対するアンテナ角度が45°乃至50°であって、2m乃至4mの高さに設置しても良い。
さらに、前記通信用アンテナ装置は、送信電波の放射を開始してから送信電波の放射を停止した後、前記車両検出器が通過車両の存在を検出している間、次の送信電波の放射を停止しても良い。
また、前記車両検出器による車両の通過検出に応じてナンバープレートのナンバを識別する車両番号読取装置と、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて、前記通信用アンテナ装置を介して車載器から送信される車載器の特定情報を取得する通信制御装置と、前記車載器の特定情報及び前記ナンバ情報を格納するデータベースと、前記通信制御装置で取得された車載器の特定情報と前記データベースに格納された車載器の特定情報とを比較し、比較の結果一致した場合に遮断機を開閉動作させる開閉信号を出力するとともに、前記車両番号読取装置で識別されたナンバと前記データベースに格納されたナンバとを比較し、比較の結果一致した場合に遮断機を開閉動作させる開閉信号を出力する情報処理装置とを備えても良い。
さらに、前記車両検出器による車両の通過検出に応じてナンバープレートのナンバを識別する車両番号読取装置と、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて、前記通信用アンテナ装置を介して車載器から送信される車載器の特定情報を取得する通信制御装置と、前記車載器の特定情報及び前記ナンバ情報を格納するデータベースと、前記通信制御装置で取得された車載器の特定情報、前記車両番号読取装置で識別されたナンバ、及び前記データベースの格納情報に基いて、車両の制止を解除するための信号を出力する情報処理装置とを備えても良い。
または、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて、前記通信用アンテナ装置を介して車載器から送信される車載器の特定情報を取得する通信制御装置と、前記車載器の特定情報を格納するデータベースと、前記通信制御装置で取得された車載器の特定情報、及び前記データベースに格納された車載器の特定情報に基いて、前記車両が利用登録車両か否かを判定する情報処理装置とを備えても良い。
勿論、車両検出器による車両の通過検出に応じて、車載器との通信を開始し、当該車載器から送信される車載器の特定情報を取得する路側機と、前記車両検出器による車両の通過の検出に応じてナンバープレートのナンバを識別する車両番号読取装置から取得したナンバと、前記路側機で取得された車載器の特定情報に基いて、遮断機を開閉させるための信号を出力する情報処理装置とを備えて、前記路側機は、通信用アンテナ装置からの送信出力が4dBm以下であって、受信感度が−55dBm以上であるように構成しても良い。
さらにまた、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、前記車両検出器による車両の検出に応じてナンバープレートのナンバを識別し、識別されたナンバを出力する車両番号読取装置と、前記車両検出器による車両の検出に応じて送信電波の放射を開始した後、前記車載器との通信が開始されない場合には、前記車両番号読取装置からナンバープレートのナンバが出力される前に、前記送信電波の放射を停止する通信用アンテナとを備えても良い。
実施の形態2.
図16は、この発明の実施の形態2による無線通信システムの構成を示す図である。
図において、駐車場の入口に入った車両1は、入口ゲート100の通行路3を通過して駐車エリア90に進入する。また、駐車エリア90内の車両101は、駐車場の出口ゲート100bから退出する際、通行路3bを通行して出口ゲート100bから駐車場の外部(屋外)へ出て行く。
車両1は、車内フロントガラス付近のダッシュボードに車載器10を搭載している。車両101は、車内フロントガラス付近のダッシュボードに車載器10bを搭載している。通行路3はアイランド2a、2bに挟まれるように配置され、通行路3bはアイランド2b、2cに挟まれるように配置されている。通行路3上には通信領域4が形成され、通行路3b上には通信領域4bが形成されている。アイランド2a、2bおよび通行路3は、入口の車両の走行レーンを構成し、アイランド2b、2cおよび通行路3bは、出口の車両の走行レーンを構成する。
アイランド2a上には光受信器5aが設置され、アイランド2b上には、駐車場入口側の端部に、光送信器5bが設置されており、光受信器5a、光送信器5bとで車両検出器50を構成している。また、アイランド2a上には、ナンバープレートに刻印されたナンバを識別するための車両番号読取装置6が設置される。車両番号読取装置6は、実施の形態1の例のように、通行路3の両側に設けても良い。発券機7は、アイランド2a上で車両検出器50と車両番号読取装置6の間に設置されている。遮断機8は、車両番号読取装置6に隣接してアイランド2a上に設けられており、遮断機8は制止棒9を開閉動作可能に設けている。通信用アンテナ装置11は、図2に示したように送受信アンテナ111と送信機114、受信機115とで構成され、通信制御装置210と共に路側機を構成している。通信用アンテナ装置11は通信領域4の車両進行方向前端付近の上方で、駐車場の天井下に設置されている。通信用アンテナ装置11の放射面の取付角度は、48度前後に設定されている。通信制御装置210は入口ゲート100付近に配置される。通行路3の路面下には、通信領域4の車両進行方向前端付近にループコイル13aが埋設され、遮断機8の付近にはループコイル13bが埋設されている。
また、アイランド2c上には光受信器500aが設置され、アイランド2b上には、駐車エリア側の端部に、光送信器500bが設置されており、光受信器500a、光送信器500bとで車両検出器500を構成している。また、アイランド2c上には、ナンバープレートに刻印されたナンバを識別するための車両番号読取装置6bが設置される。車両番号読取装置6bは、実施の形態1の例のように、通行路3bの両側に設けても良い。精算機7bは、アイランド2c上で車両検出器500と車両番号読取装置6bの間に設置されている。遮断機8bは、車両番号読取装置6bに隣接してアイランド2c上に設けられており、遮断機8bは制止棒9bを開閉動作可能に設けている。通信用アンテナ装置11bは、送受信アンテナ111と送信機114、受信機115とで構成され、通信制御装置210と共に路側機を構成している。通信用アンテナ装置11bは通信領域4bの車両進行方向前端付近の上方で、駐車場の天井下に設置されている。通行路3bの路面下には、通信領域4bの車両進行方向後端付近にループコイル130aが埋設され、遮断機8bの付近にはループコイル130bが埋設されている。
駐車エリア90に設けられた管理室550には、情報処理装置140が設置されている。各機器(通信制御装置210、車両検出器50、500、車両番号読取装置6、6b、発券機7、7b、遮断機8、8b)は、駐車場内に敷設されたデータバス60に接続されている。
なお、実施の形態1の図12で示したものと同一符号のものは、構成および動作が同一相当のものを示している。また、通信用アンテナ装置11b、車両検出器500、車両番号読取装置6b、精算機7b、および遮断機8bは、夫々通信用アンテナ装置11、車両検出器50、車両番号読取装置6、発券機7、および遮断機8と同一相当のものである。したがって、通信用アンテナ装置11bや通信領域4bの特性、および通信領域4bと車両検出器500、遮断機8bおよび通行路3bとの配置間隔などは、実施の形態1の図1乃至図15で説明した、通信用アンテナ装置11や通信領域4の特性、および通信領域4と車両検出器50、遮断機8および通行路3などと同等のものである。
次に、入口ゲート100における各機器の動作について説明する。
入口ゲート100に進入した車両1が、光送信器5bと光受信器5aの間を通過することによって、車両検出器50は車両1の通過の有無を検出する。車両検出器50は車両1を検出すると、データバス60を介在させて通信制御装置210と車両番号読取装置6に対して、それぞれ処理開始信号S1を送出する。
通信制御装置210は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信用アンテナ装置11が送信電波の放射を開始するように制御する。車両番号読取装置6は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信領域4内を通過中の車両のナンバを識別する。車両番号読取装置6で識別されたナンバ情報(S2)は、データバス60を介在させて車両番号読取装置6から情報処理装置140に送出される。
通信用アンテナ装置11から放射された送信電波は、通信領域内を通過する車両1の車載器10で受信される。これによって、通信用アンテナ装置11と車載器10との間で通信のリンクが確立され、路車間通信が開始される。車載器10は、通信用アンテナ装置11に対して、車両ID情報(S3)を送信する。
車両1がループコイル13aに到達すると、ループコイル13aは発券機7に対して車両進入信号S6を送出する。発券機7は、車両進入信号S6を受信すると、データバス60を介して情報処理装置140にゲート開閉許可信号S4を送出する。また、車両1がループコイル13bに到達すると、ループコイル13bは、データバス60を介して発券機7にゲート閉鎖信号S7を出力する。
通信用アンテナ装置11と車載器10との路車間通信が完了すると、通信用アンテナ装置11の受信した車両ID情報(S3)は、通信制御装置210に送出される。また、通信制御装置210は、通信用アンテナ装置11から受信した車両ID情報(S3)を情報処理装置140に対して送出する。情報処理装置140は、各利用登録車両毎に対応した車両ID情報が予め設定されており、この設定情報Vはデータベースに格納されている。情報処理装置140は、通信制御装置210から伝送された車両ID情報S3に基づいてデータベースを検索し、車両ID情報S3と設定情報Vとの一致比較(車両ID比較)を実施する。検索の結果、車両ID情報S3がデータベースに格納されている場合は、車両ID情報S3がデータベースの格納された設定情報Vと一致すると判定し、車両ID情報S3がデータベースに格納されていない場合は、車両ID情報S3がデータベースの格納された設定情報と不一致であると判定する。
また、情報処理装置140は、各利用登録車両毎に対応したナンバ情報が予め設定されており、この設定情報Wはデータベースに格納されている。情報処理装置140は、車両番号読取装置6から伝送されたナンバ情報S2に基いてデータベースを検索し、ナンバ情報S2と設定情報Wとの一致比較(ナンバ比較)を実施する。検索の結果、ナンバ情報S2がデータベースに格納されている場合は、ナンバ情報S2がデータベースの格納された設定情報Wと一致すると判定し、ナンバ情報S2がデータベースに格納されていない場合は、ナンバ情報S2がデータベースの格納された設定情報Wと不一致であると判定する。
情報処理装置140は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していた場合であって、車両ID比較またはナンバ比較の結果が一致であった場合には、データバス60を介し発券機7に対して制御指令(S8)を送出する。また、車両ID比較およびナンバ比較の結果がともに不一致であった場合には、発券機7に対して制御指令(S9)を送出する。一方、情報処理装置140は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していなかった場合、車両ID比較またはナンバ比較の結果如何に関わらず、ゲート開閉許可信号S4が受信されるまでの間、発券機7に対する制御指令(S8もしくはS9)の送出を停止する。
発券機7は、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S8を受信すると、データバス60を介して遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、発券機7からの制御指令S5を受信すると、制止棒9を開閉動作を開始する。これによって、車両1は入口ゲート100を通行する際、入口ゲート内の発券機7の手前で一旦停止することなく、ノンストップで駐車エリアに進入することができる。
発券機7は、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S9を受信すると、発券処理の動作を実行する。例えば、発券機7は、車両1のドライバに対して発券された駐車場の利用券(駐車券)を取るようにアナウンスする。ドライバが発券機7の発券した駐車券を取り出すことによって、発券機7は遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、制御指令S5の受信に応じて、制止棒9を跳ね上、ゲートが自動的に開かれる。
さらに、制止棒9が開いた状態で車両1が遮断機8の側方を通過して、ループコイル13bの上方に到達し、ループコイル13bから発券機7に対してゲート閉鎖信号S7が送出されると、発券機7は、データバス60を介して、遮断機8に対してゲート閉鎖信号S52を送出する。遮断機8がゲート閉鎖信号S52を受信すると、遮断機8は制止棒9を下降させて入口ゲート100を閉鎖するように動作する。
次に、出口ゲート100bにおける各機器の動作について説明する。
出口ゲート100bに進入した車両1が光送信器500bと光受信器500aの間を通過することによって、車両検出器500は車両101の通行の有無を検出する。車両検出器500は車両101を検出すると、データバス60を介在させて、通信制御装置210と車両番号読取装置6bに対して処理開始信号S1bを送出する。
通信制御装置210は、処理開始信号S1bの受信に応じて即座に起動し、通信用アンテナ装置11bが送信電波の放射を開始するように制御する。車両番号読取装置6bは、処理開始信号S1bの受信に応じて即座に起動し、通信領域4b内を通過中の車両のナンバを識別する。車両番号読取装置6bで識別されたナンバ情報(S2b)は、データバス60を介在させて車両番号読取装置6から情報処理装置140に送出される。
通信用アンテナ装置11bから放射された送信電波は、通信領域内を通過する車両101の車載器10bで受信される。これによって、通信用アンテナ装置11bと車載器10bとの間で通信のリンクが確立され、路車間通信が開始される。車載器10bは、通信用アンテナ装置11bに対して、車両ID情報(S3b)を送信する。
車両101がループコイル130aに到達すると、ループコイル130aは精算機7bに対して車両進入信号S6bを送出する。精算機7bは、車両進入信号S6bを受信すると、データバス60を介して情報処理装置140にゲート開閉許可信号S4bを送出する。また、車両1がループコイル130bに到達すると、ループコイル130bは、データバス60を介して発券機7bにゲート閉鎖信号S7bを出力する。
通信用アンテナ装置11bと車載器10bとの路車間通信が完了すると、通信用アンテナ装置11bの受信した車両ID情報(S3b)は、通信制御装置210に送出される。また、通信制御装置210は、通信用アンテナ装置11bから受信した車両ID情報(S3b)を情報処理装置140に対して送出する。情報処理装置140は、各利用登録車両毎に対応した車両ID情報が予め設定されており、この設定情報VVはデータベースに格納されている。情報処理装置140は、通信制御装置210から伝送された車両ID情報S3bに基づいてデータベースを検索し、車両ID情報S3bと設定情報VVとの一致比較(車両ID比較)を実施する。検索の結果、車両ID情報S3がデータベースに格納されている場合は、車両ID情報S3がデータベースの格納された設定情報VVと一致すると判定し、車両ID情報S3がデータベースに格納されていない場合は、車両ID情報S3がデータベースの格納された設定情報VVと不一致であると判定する。
また、情報処理装置140は、各利用登録車両毎に対応したナンバ情報が予め設定されており、この設定情報WWはデータベースに格納されている。情報処理装置140は、車両番号読取装置6bから伝送されたナンバ情報S2に基いてデータベースを検索し、ナンバ情報S2bと設定情報WWとの一致比較(ナンバ比較)を実施する。検索の結果、ナンバ情報S2bがデータベースに格納されている場合は、ナンバ情報S2bがデータベースの格納された設定情報WWと一致すると判定し、ナンバ情報S2bがデータベースに格納されていない場合は、ナンバ情報S2がデータベースの格納された設定情報WWと不一致であると判定する。
情報処理装置140は、精算機7bからゲート開閉許可信号S4bを受信していた場合であって、車両ID比較またはナンバ比較の結果が一致であった場合には、データバス60を介し精算機7bに対して制御指令(S8b)を送出する。また、車両ID比較およびナンバ比較の結果がともに不一致であった場合には、精算機7bに対して制御指令(S9b)を送出する。一方、情報処理装置140は、精算機7bからゲート開閉許可信号S4bを受信していなかった場合、車両ID比較またはナンバ比較の結果如何に関わらず、ゲート開閉許可信号S4bが受信されるまでの間、精算機7bに対する制御指令(S8bもしくはS9b)の送出を停止する。
精算機7bは、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S8bを受信すると、データバス60を介して、遮断機8bに対して制御指令S5bを送出する。遮断機8bは、データバス60を介して精算機7bからの制御指令S5bを受信すると、制止棒9bを開閉動作を開始する。これによって、車両101は出口ゲート100bを通行する際、出口ゲート内の精算機7bの手前で一旦停止することなく、ノンストップで駐車場外に出ることができる。
精算機7bは、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S9bを受信すると、精算処理の動作を実行する。例えば、精算機7bは、車両101のドライバが、図示しない券挿入口から駐車場の利用券(駐車券)を挿入すると、図示しない表示器に精算料金を表示するとともに、図示しないスピーカーから音声によって精算をアナウンスする。ドライバが、図示しない料金支払口(貨幣挿入口)から精算機7bの精算料金を支払うことによって、精算機7bは遮断機8bに対して制御指令S5bを送出する。遮断機8bは、制御指令S5bの受信に応じて、制止棒9bを跳ね上、出口ゲートが自動的に開かれる。
勿論、精算機7bでは、ICカード125を挿入することによって、精算処理を行うようなものであっても良い。例えば、情報処理装置14が、万が一利用登録車両を未登録車両であるとして誤判断した場合であっても、ドライバが、車載器に挿入しているICカード125を取り出して、精算機7bの図示しないICカード挿入口に挿入し、車載器の搭載車両が利用登録車両であるか否かを、ICカード125の内部メモリから読取った記憶情報に基いて、精算機7bが判断するように構成すれば良い。
この場合、ICカード125の内部メモリに、車両ID情報、車載器の搭載車両が利用登録車両であることを示す情報、あるいはICカードのカードID情報などの、カード情報を記録しておけば良い。精算機7bは、各利用登録車両に対応したカード情報を、利用登録車両毎に内部メモリに事前登録している。精算機7bはICカード125のカード情報を読取り、内部メモリに事前登録されたカード情報との一致比較を行う。比較の結果、一致した場合に、精算機7bは遮断機8bに対して制御指令S5bを送出することによって、利用登録車両はその場で利用料金を支払う(投入する)ことなく、出口ゲート100bを通過することができる。
さらに、制止棒9bが開いた状態で車両101が遮断機8bの側方を通過して、ループコイル130bの上方に到達し、ループコイル130bから精算機7bに対してゲート閉鎖信号S7bが送出されると、精算機7bは、データバス60を介し遮断機8bに対してゲート閉鎖信号S52bを送出する。遮断機8bがゲート閉鎖信号S52bを受信すると、遮断機8bは制止棒9bを下降させて出口ゲート100bを閉鎖するように動作する。
図17は、情報処理装置140の構成を示す図である。情報処理装置140は、比較器141、比較器141bと、データベース142と、制御器143、制御器143bとで構成される。なお、通信制御装置210は入口通信制御部12aと出口通信制御部12bで構成されており、入口通信制御部12aおよび出口通信制御部12bはそれぞれ通信制御装置12と同じ構成を成している。
入口ゲート100では、車両番号読取装置6が、情報処理装置140の比較器141に対してナンバ情報S2を送出する。また、通信制御装置210の入口通信制御部12aが、情報処理装置140の比較器141に対して車両ID情報S3を送出する。出口ゲート100bでは、車両番号読取装置6bが、情報処理装置140の比較器141bに対してナンバ情報S2bを送出する。また、通信制御装置210の出口通信制御部12bが、情報処理装置140の比較器141bに対して車両ID情報S3bを送出する。
データベース142には、予めナンバープレートのナンバ情報や車両ID情報などの利用登録情報が事前登録されている。また、データベース142には、入口ゲート100を通過進入して駐車場内に既に入庫済みであって、かつ駐車場から出庫していない入庫中車両の車両ID情報(入庫車両ID情報)が格納されている。入庫車両ID情報には、車両ID情報と対応したナンバ情報も含まれている。
なお、利用登録期間の過ぎた車両ID情報については、データベース142から登録が抹消されるように構成される。これにより、利用期間を超えた車両の車両IDを用いることによって、誤って利用登録車両であると判断することを防ぐことができる。
入口ゲート100に対応する比較器141は、車両ID情報S3を受信すると、データベース142の格納データにアクセスして、車両ID情報S3を含む入庫車両ID情報を検索する。このデータベース検索の結果、車両ID情報S3を含む入庫車両ID情報が存在した場合は、データベース142から一致情報MYを受ける。これによって、比較器141は車両ID情報S3が出口ゲート100bから送信されたものであると判断し、制御器143に対して不一致信号S10を送信する。
なお、車両番号読取装置6により、ナンバ情報S2が先に情報処理装置140に伝送されることによって、既にデータベース142中に入庫車両ID情報が格納されている場合がある。この場合は、車載器10と通信用アンテナ装置11が路車間通信している間、後述する入庫車両ID格納フラグが事前に設定されているので、比較器141は、データベース142の格納データを検索せず、入庫車両ID情報の存在有無を判断しない。したがって、この場合は不一致信号S10が出力されない。
一方、データベース検索の結果、車両ID情報S3を含む入庫車両ID情報が存在しなかった場合はデータベース142から不一致情報MNを受ける。これによって、比較器141は車両ID情報S3が入口ゲート100から送信されたものであると判断する。この場合、比較器141はデータベース142の格納データにアクセスして、車両ID情報S3と一致する車両ID情報が、事前登録されているか否かを検索する。このデータベース検索の結果、車両ID情報S3と一致する、事前登録された車両ID情報が存在した場合は、比較器141はデータベース142からデータ一致情報N3を受けて、制御器143に対して一致信号S11を送信する。比較器141は、制御器143に対して一致信号S11を出力すると同時に、車両ID情報S3をデータベース142に入庫車両ID情報として格納する。このとき、車両ID情報S3に基いてデータベース142に事前登録された利用登録情報を参照し、参照された利用登録情報から車両ID情報S3に対応したナンバ情報を読出して、読出したナンバ情報と車両ID情報S3をともに、入庫車両ID情報に含めて格納する。同時に、当該車両ID情報S3に対応した入庫車両ID情報を格納したことを示す入庫車両ID格納フラグを設定する。入庫車両ID格納フラグは、車両検出器50の出力信号がON状態からOFF状態に切り替わるまでの間(少なくとも0.9秒の間)は図示しないメモリに所持されて、車両検出器50の出力信号がOFF状態からON状態に切り替わったときに消去される。
データベース検索の結果、車両ID情報S3と一致する、事前登録された車両ID情報が存在しなかった場合は、比較器141はデータベース142からデータ不一致情報NN3を受ける。
また、比較器141は、車両番号読取装置6からナンバ情報S2を受信すると、データベース142の格納データにアクセスして、ナンバ情報S2を含む入庫車両ID情報を検索する。このデータベース検索の結果、ナンバ情報S2を含む入庫車両ID情報が存在した場合は、システム動作不良によって入庫車両ID情報が非正常な格納情報としてデータベース142中に存在しているか、もしくは車両番号読取装置6自体に動作エラーがあるものとして判断するとともに、制御器143に対して不一致信号S10を送信する。
なお、車載器10と通信用アンテナ装置11との通信により、ナンバ情報S2に対応した車両ID情報が先に情報処理装置140に伝送されることによって、データベース142中に既に入庫車両ID情報が登録されている場合がある。この場合は、車両番号読取装置6がON状態の間、上述した入庫車両ID格納フラグが事前に設定されているので、比較器141は、データベース142の格納データを検索せず、入庫車両ID情報の存在有無を判断しない。したがって、この場合は不一致信号S10が出力されない。
一方、ナンバ情報S2を含む入庫車両ID情報が存在しなかった場合は、比較器141はデータベース142の格納データにアクセスして、ナンバ情報S2と一致するナンバ情報が事前登録されているか否かを検索する。このデータベース検索の結果、ナンバ情報S2と一致する、事前登録されたナンバ情報が存在した場合は、比較器141はデータベース142からデータ一致情報N2を受けて、制御器143に対して一致信号S11を送信する。比較器141は、制御器143に対して一致信号S11を出力すると同時に、ナンバ情報S2をデータベース142に入庫車両ID情報として格納する。
このとき、ナンバ情報S2に基いて、データベース142に事前登録された利用登録情報を参照し、参照された利用登録情報から、ナンバ情報S2に対応した車両ID情報を読出して、読出した車両ID情報を入庫車両ID情報に含めて格納する。同時に、当該ナンバ情報S2に対応した入庫車両ID情報を格納したことを示す入庫車両ID格納フラグを設定する。入庫車両ID格納フラグは、車両検出器50の出力信号がON状態からOFF状態に切り替わるまでの間(少なくとも0.9秒の間)は図示しないメモリに所持されて、車両検出器50の出力信号がOFF状態からON状態に切り替わったときに消去される。
また、データベース検索の結果、ナンバ情報S2と一致する、事前登録されたナンバ情報が存在しなかった場合は、比較器141はデータベース142からデータ不一致情報NN2を受ける。
比較器141は、データベース142からデータ不一致情報NN2とデータ不一致情報NN3を両方とも受信した場合は、車両ID情報が未登録(もしくは未登録ID)であると判定し、比較器141から制御器143に対して不一致信号S10を送信する。
制御器143は、比較器141からの一致信号S11を受信すると、発券機7に対して制御指令S8を送出する。また、制御器143は、比較器141からの不一致信号S10を受信すると、発券機7に対して制御指令S9を送出する。
次に、出口ゲート100bに対応する比較器141bは、車両ID情報S3bを受信すると、データベース142の格納データにアクセスして、車両ID情報S3bを含む入庫車両ID情報を検索する。このデータベース検索の結果、車両ID情報S3bを含む入庫車両ID情報が存在しなかった場合は、データベース142から不一致致情報MMNを受ける。これによって、車両ID情報が利用登録されていない車両であるか、もしくは車両ID情報S3bが入口ゲート100から送信されたものであると判断するとともに、制御器143bに対して不一致信号S10bを送信する。
なお、車両番号読取装置6bにより、ナンバ情報S2bが先に情報処理装置140に伝送されることによって、データベース142中の入庫車両ID情報が既に削除されている場合がある。この場合は、車載器10bと通信用アンテナ装置11bが路車間通信している間、後述する出庫車両ID格納フラグが事前設定されているので、比較器141は、データベース142の格納データを検索せず、入庫車両ID情報の存在有無を判断しない。したがって、この場合は不一致信号S10bが出力されない。
一方、車両ID情報S3bを含む入庫車両IDが存在した場合は、データベース142から一致情報MMYを受ける。比較器141bは車両ID情報S3bが出口ゲート100bから送信されたものであると判断する。この場合、比較器141bは、制御器143bに対して一致信号S11bを出力すると同時に、データベース142bから入庫車両ID情報を削除する。同時に、当該車両ID情報S3bに対応した入庫車両ID情報を削除したことを示す出庫車両ID格納フラグを立てる。出庫車両ID格納フラグは、車両検出器50bの出力信号がON状態からOFF状態に切り替わるまでの間(少なくとも0.9秒の間)は図示しないメモリに所持されて、車両検出器50bの出力信号がOFF状態からON状態に切り替わったときに消去される。
このとき、データベース142の格納データにアクセスして、車両ID情報S3bと一致する車両ID情報が事前登録されているか否かを検索しても良い。このデータベース検索の結果、車両ID情報S3bと一致する、事前登録された車両ID情報が存在した場合は、比較器141bはデータベース142からデータ一致情報N3bを受けて、通信制御装置210が正常に動作していると判断する。また、データベース検索の結果、車両ID情報S3bと一致する、事前登録された車両ID情報が存在しなかった場合は、比較器141bはデータベース142からデータ不一致情報NN3bを受けて、通信制御装置210が正常に動作していないと判断する。
また、車両番号読取装置6bがナンバ情報S2bを受信すると、データベース142の格納データにアクセスして、ナンバ情報S2bを含む入庫車両ID情報を検索する。このデータベース検索の結果、ナンバ情報S2bを含む入庫車両ID情報が存在しなかった場合は、車両ID情報が利用登録されていない車両であるとして判断するとともに、制御器143bに対して不一致信号S10bを送信する。ただし、この場合は、システム動作不良によって入庫車両ID情報が正常にデータベース142中に格納されていないか、もしくは車両番号読取装置6自体に動作エラーがある可能性も含まれている。
なお、車載器10bと通信用アンテナ装置11bとの通信により、ナンバ情報S2bに対応した車両ID情報が先に情報処理装置140に伝送されることによって、データベース142中の入庫車両ID情報が既に削除されている場合がある。この場合は、車両番号読取装置6bがON状態の間、既に上述した出庫車両ID格納フラグが設定されているので、比較器141は、データベース142の格納データを検索せず、入庫車両ID情報の存在有無を判断しない。したがって、この場合は不一致信号S10bが出力されない。
一方、ナンバ情報S2bを含む入庫車両ID情報が存在した場合は、比較器141bは、データベース142から一致情報MMYを受ける。この場合、比較器141bは、制御器143bに対して一致信号S11bを出力すると同時に、データベース142bから入庫車両ID情報を削除する。同時に、当該ナンバ情報S2bに対応した入庫車両ID情報を削除したことを示す出庫車両ID格納フラグを立てる。出庫車両ID格納フラグは、車両検出器50の出力信号がON状態からOFF状態に切り替わるまでの間(少なくとも0.9秒の間)は図示しないメモリに所持されて、車両検出器50の出力信号がOFF状態からON状態に切り替わったときに消去される。
なお、このとき、データベース142の格納データにアクセスして、ナンバ情報S2bと一致するナンバ情報が事前登録されているか否かを検索しても良い。このデータベース検索の結果、ナンバ情報S2bと一致する、事前登録されたナンバ情報が存在した場合は、比較器141bはデータベース142からデータ一致情報N2bを受けて、車両番号読取装置6bが車両から正常にナンバ情報を読取っているとして判断する(動作機能が正常であると確認する)。また、データベース検索の結果、ナンバ情報S2bと一致する、事前登録されたナンバ情報が存在しなかった場合は、比較器141bはデータベース142からデータ不一致情報NN2bを受けて、車両番号読取装置6bが車両から正常にナンバ情報を読取っていないと判断する(動作に不具合があることを認識する)。
また、比較器141bは、データベース142からデータ不一致情報NN3bとデータ不一致情報NN2bを両方とも受信した場合は、比較器141bから制御器143bに対して不一致信号S10bを送信するような形態を取っても良い。この場合は、システム動作不良によって入庫車両ID情報が正常にデータベース142中に格納されていないか、あるいは車載器10に何らかの不正がある可能性有りと判断する。
制御器143bは、比較器141bからの一致信号S11bを受信すると、精算機7bに対して制御指令S8bを送出する。また、制御器143bは、比較器141bからの不一致信号S10bを受信すると、精算機7bに対して制御指令S9bを送出する。
この実施の形態2は、以上のように構成されているので、実施の形態1によって得られる効果に加えて、駐車場内に既に入庫している車両の車両IDと、路側機と車載器との通信によって得られた車両IDとの比較を行っている。これによって、入口ゲートにおける出庫する車両と通信する、あるいは出口ゲートにおけて入庫する車両と通信することによって、正規の利用登録車両と利用未登録車両とを誤判断してしまう確率を、より低減することができる。したがって、誤判断によって入口もしくは出口ゲートで一旦停止することがなく、車両がゲートを通過できるとともに、利用登録車両が料金を支払うような誤動作の発生を、より少なくすることができる。
なお、利用登録車両が精算機の手前で停止し、精算処理を行う場合であっても、ドライバが、車載器に挿入しているICカードを、精算機7bのICカード挿入口に挿入し、車載器の搭載車両が利用登録車両であるか否かを精算機7bが判断すれば良い。この場合、精算機7bに利用料金を支払うことなく、出口ゲートを通過することができる。このため、利用登録車両として登録する際に、前納もしくは後納で利用料金を支払っているのに、重複して料金を支払うような混乱を防止することができる。
以上によって、この実施の形態によれば、車載器との通信領域内で車両の通過を検出する車両検出器と、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて送信電波の放射を開始するとともに、車載器との通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じて送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定時間以内に送信電波の放射を停止する通信用アンテナと、前記車両検出器による車両の通過検出に応じて、前記通信用アンテナを介して車載器から送信される車載器の特定情報を取得する通信制御装置と、予め前記車載器の特定情報を格納するとともに、前記通信制御装置で取得された車載器の特定情報を格納するデータベースと、前記通信制御装置で取得された車載器の特定情報と、前記データベースの格納情報との一致比較に基いて、車両の制止を解除するための信号を出力する情報処理装置とを備えることによって、入口ゲートにおける出庫する車両と通信する、あるいは出口ゲートにおけて入庫する車両と通信することによって、正規の利用登録車両と利用未登録車両とを誤判断してしまう確率を、より低減することができる。
また、車両検出器による車両の通過検出に応じてナンバープレートのナンバを識別する車両番号読取装置と、予め車両のナンバ情報を格納するデータベースとを備えて、前記情報処理装置は、前記通信制御装置で取得された車載器の特定情報および前記車両番号読取装置で識別されたナンバと、前記データベースの格納情報との一致比較に基いて、車両の制止を解除するための信号を出力しても良い。
勿論、車載器との第1、第2の通信領域内で、それぞれ車両の通過を検出する第1、第2の車両検出器と、前記各車両検出器による各車両の通過検出に応じてそれぞれ送信電波の放射を開始するとともに、車載器との通信を開始した後、当該車載器との通信の終了に応じてそれぞれ送信電波の放射を停止するか、もしくは送信電波の放射開始から所定時間以内に車載器との通信が開始されない場合に送信電波の放射をそれぞれ停止する第1、第2の通信用アンテナと、前記各車両検出器による各車両の通過検出に応じて、前記第1、第2の通信用アンテナを介して各車載器からそれぞれ送信される各車載器の特定情報を取得する通信制御装置と、前記通信制御装置で取得された、前記第1の通信用アンテナから得た車載器の特定情報を格納するデータベースと、前記通信制御装置で取得された、第2の通信用アンテナから得た車載器の特定情報と、前記データベースの格納情報との一致比較に基いて、車両の制止を解除するための信号を出力する情報処理装置とを備えても良いことは、言うまでもない。
実施の形態3.
図18は、この発明の実施の形態3による無線通信システムの構成を示す斜視図である。
図18において、車両1は屋内駐車場(以下、駐車場)の入口から、図示しない駐車エリアに向かって、車両1の進行方向に走行して入口ゲート100の通行路3を通行し、入口ゲート100に進入している状態を示している。車両1は、車内フロントガラス(窓)付近のダッシュボードに車載器10が搭載されている。入口ゲート100は車両の通行路3を形成するように、通行路3を挟んでアイランド2a、2bが配置されている。通行路3の幅は約3.5mとなっている。アイランド2a、2bの間には、通行路3上に正規の通信領域4が形成されており、図においては通信領域4を仮想的に実線の平曲線で囲まれた略正方形状の領域で示している。アイランド2a、2b、および通行路3は、車両の走行レーンを構成する。通行路3の通信領域4周辺の路面下には、車両の車体(金属体)の通過による磁場変化を検出するループコイルが埋設されている。
アイランド2a上には光受信器5aが設置され、アイランド2b上には光送信器5bが設置されており、光受信器5a、光送信器5bとで車両検出器50を構成している。ナンバープレートに刻印されたナンバーを識別するための車両番号読取装置6がアイランド2a上に設置される。発券機7は、アイランド2a上で車両検出器50と車両番号読取装置6の間に設置されている。遮断機8は、車両番号読取装置6に隣接してアイランド2a上に設けられており、遮断機8は制止棒9を上昇もしくは下降させることにより開閉動作可能に設けている。
通信用アンテナ11は、通信制御装置12と共に路側機を構成している。通信用アンテナ11は吊具21に支持されて、駐車場の天井20から吊下げられている。勿論、天井20から吊下げる以外に、アンテナを天井下で直立したポールの上部に取り付けても良く、通信用アンテナ11の据付には様々な方法があることは言うまでもない。図示簡略化のため天井20は一部分のみを図中に示している。通信制御装置12は入口ゲート100付近に配置される。通信用アンテナ11の放射面の取付角度は、概ね23度に設定されている。
図19は、通信用アンテナ11の構成を示す図である。図において、通信用アンテナ11は、送受信アンテナ111と送受信機110とで構成されている。送受信機110は、送受信レベル調整部112と、送受信分配器113と、送信機114、受信機115で構成される。送受信アンテナ111は指向性を有しており、所望のアンテナ利得で、送受信機110から出力されるRF信号を空間に送信電波として放射する、または、送受信アンテナ111のアンテナ端子に入力される受信電波を受信して、送受信機110にRF信号を出力する。送信機114は、通信制御装置12から送信信号が入力され、電力増幅、周波数変調を行う。送信機114から出力される変調信号は、送受信分配器113を介して送受信レベル調整部112に送信され、レベル変換された送信信号が送受信アンテナ111に出力される。また、送受信レベル調整部112は、送受信アンテナ111で受信されて入力されるRF信号をレベル変換し、レベル変換した信号を送受信分配器113に出力する。受信機115は、送受信分配器113の出力信号を受信し、周波数復調、電力増幅を行って、通信制御装置12に信号出力する。送受信レベル調整部112は、例えば可変減衰器(アッテネータ)で構成され、送受信アンテナ111から出力される受信信号の受信感度を所定値以下とするようにレベル調整を行う。また、送受信分配器113から出力される送信信号を所定の大きさに減衰させる。
一般に、現在実運用されている従来のETCシステムでは、送受信機の無線通信周波数5.795GHzまたは5.805GHz、送受信アンテナのアンテナ利得12.7dBiである。また、通信用アンテナにおける送信機の送信出力4dBm(3.5mW)、アンテナ入力端の受信感度−65dBmとなるように、電波諸元が設定されている。
この実施の形態3による、屋内駐車場用のDSRC方式では、送受信機110の無線通信周波数5.795GHzまたは5.805GHz、送受信アンテナ111のアンテナ利得12.7dBiである。また、路側機における通信用アンテナ11の送信出力が0dBm以下、好適には−2dBm(0.63mW)、受信感度が−60dBm以下、好適には−60dBmとなるように、電波諸元を設定している。具体的には、送受信アンテナ111と送受信分配器113との間に、送受信レベル調整部112を設けることによって、送信出力を減衰させるとともに、受信感度を低下させている。なお、従来のETCシステムの通信用アンテナにおいては、この実施の形態3に用いられるような送受信レベル調整部112が存在していない。
例えば、送受信レベル調整部112で6dBm減衰させることによって、送信機114の出力端から送受信分配器113を介して出力される送信出力A2を、ETCシステムの場合の4dBmから−2dBmに減衰させる。アンテナ利得が12.7dBiであることから、アンテナ正面(垂直面または水平面角度0°)のアンテナ出力端では送信出力A1が約11dBとなる。
また、受信機の入力端の受信感度B2が−53dBmに設定されており、送受信レベル調整部112を設けることによって、送受信レベル調整部112の入力端の感度を−47dBmに減衰させる。これによって、送受信アンテナ111のアンテナ利得が12.7dBiであることから、送受信アンテナ111のアンテナ入力端の受信感度Bkは、約−60dBmとなる。なお、送受信レベル調整部112は、自動利得調整機能を有しており、受信機の入力端の受信感度B2が−53dBmとなるように調整する。
また、路側機と通信する車載器10の通信用アンテナは、無指向性のアンテナで構成されており、例えば送信出力が10dBm(10mW)で電波放射するように構成されている。
ここで、通信用アンテナ11の送信特性について説明する。
図20は通信用アンテナ11から放射された送信電波の多重反射の一例を示す図であり、図20(a)は車両1が通信領域4内に進入する前の電波の反射状態を示す図、図20(b)は車両1が通信領域4内に進入した後の電波の反射状態を示す図である。図20(a)、(b)において、通信用アンテナ11と車載器10の間で無線通信を行うための通信領域4は、車両1における車載器10の設置高を考慮して、通行路3の路面から概ね1mの高さにおいて、車両1の進行方向における領域の長さは、2m以上3m未満になるように設定されるのが良く、より好ましくは略2.5mになるように設定されるのが好適である。また、車両1の進行方向に垂直な方向における通信領域4の幅についても、2m以上3m未満になるように設定されるのが良く、より好ましくは略2.5mになるように設定されるのが好適である。例えば、車両1の幅が1.8mであって、通行路の幅を考慮すると、車両1が通行路3の中央を通行する場合、車両1とアイランド2aまたは2bとの間隔は0.85mとなる。車両1のドライバーは、アイランド2aまたは2bとの接触を避けるように、アイランド2aまたは2bから0.3m〜0.5mの間隔を空けて走行するので、通信領域4の幅を2.5mと設定すると、通信領域4は十分に車両1の通行エリアを実質的にカバーすることができる。
なお、従来のETCシステムでは、通信領域の大きさが、長さ4.5m×幅3.5mに設定されている。
図20(a)では、駐車場の天井20と通行路3の路面との間で送信電波30の反射波31が生じることによって、通信領域4の外部に通信可能領域40(規格外の通信領域)が生じている。ここでの通信可能領域40は、車両1の進行方向に約5m程度の長さを有している。
一方、図20(b)では、駐車場の天井20と、通行路3の路面との間で送信電波30の反射波31が生じ、車両1の車体との間で反射波31bが生じることによって、通信領域4の外部に通信可能領域41が生じている。ここでの通信可能領域41は、車両1の進行方向の長さが約1m程度となっており、車両1が通信領域4内に存在しない場合と比べて、通信可能領域の長さが短くなっている。これは、通信用アンテナ11の送信電波が、車両1の金属製の車体で反射される際に、位相が反転するので、路面3からの反射波31と、車両1からの反射波31bとが位相的に打ち消し合うことによって、通信可能領域41の大きさが、通信可能領域40に比べて小さくなることに起因する。この場合、車両1のフロントガラス(窓)における電波の損失によって、車載器10で受信される電波の電界強度が弱まり、この通信可能領域41では、車載器10と通信用アンテナ11との間での路車間通信(詳細は後述する)が成立しない確率が極めて高くなる。このため、車両1が通信領域4内を通過する場合に限って路車間通信を行うことによって、通信領域外に存在する他の車載器を搭載した車両と通信用アンテナ11との間で誤通信が行われる確立を低減させることができる。
図21(a)は通信用アンテナ11の通信領域4に進入する車両1と、車両1の後続車両1bとの関係を示す図、図21(b)は、図21(a)に対応して通信用アンテナ11からの送信電波の電界強度分布(実線51)を示した図である。ここで、車両1、車両1bは、夫々車載器10、10bを搭載している。領域43は通信領域外における車両1の進入方向手前の車両1b付近で電界強度が高くなる領域を示している。図21(b)は、通信用アンテナ11から放射される送信電波の電界強度として、便宜的に車両内に入射する電波の電界強度を示している。
また、図22は通信用アンテナ11の放射特性の一例を示す図であって、図22(a)は送信電力特性((1)水平面方向、(2)垂直面方向)、図22(b)は受信電力特性((1)水平面方向、(2)垂直面方向)を夫々示す。
図23は通信用アンテナ11の幾何学的配置を示す図である。図23の点P1乃至点P3での車両内における、通信用アンテナ11からの送信電波30の電界強度は、同図と、次式(3)〜式(7)に基づいて算出することができる。
図21(b)に示すように、通信用アンテナ11の送信電波30の、通信領域4中央部(図23の点P2周辺)における電界強度は、送信出力が−2dBmの場合、−49.7dBm以下となっている。同図において、車載器10のアンテナ入力端での最小受信レベルが−60dBm以上であるとすれば、通信領域外で電界強度が高くなる(極大となる)領域43の電界強度は、車載器10の最小受信レベルが−60dBm以下となる(図21(b)に図示)。この場合は、通信用アンテナ11と車載器10との路車間通信を生じさせない。また、同図中、図21(b)の点線52は、一般的なETCシステムの車載器10の通信用アンテナ11の送信電力特性を示しており、車載器10の最小受信レベルである−60dBm以上で、通信領域外の通信可能領域48が存在している。以上により、電界強度の高くなる領域43での路車間通信が成立しない確立を、高くすることができる。因みに、通信用アンテナ11の送信電波のアンテナ出力が4dBmである場合、通信領域4中央部周辺における電界強度は−43.7dBmである。
次に、通信用アンテナ11の受信特性について説明する。
図24は、通信用アンテナ11の受信特性を示した図である。図中、実線53は、車載器10から送信され、通信用アンテナ11に入射する電波の受信電力分布を示しており、縦軸は受信電力、横軸は車両進行方向の位置を示している。また、従来のETCシステムの通信用アンテナと車載器10との通信領域47における、境界線での受信電力の変動をハッチングで図示している。
従来のETCシステムでは、車載器10が通信領域47に位置するときに、通信用アンテナ11のアンテナ入力端での受信感度が−65dBm以上となるように設定されている。一般に、車載器の搭載車両から出力される送信電波は、車載器自体の個体差や、車載器の搭載車両のフロントガラスや搭載位置などの個体差の影響によって、車載器毎に送信出力レベルがばらつく。この送信出力レベルは、10dBm±3dBmの範囲でばらつく。このため、車載器10から送信されて通信用アンテナ11に入射する電波の受信電力レベルが、車載器毎に変動し、通信用アンテナ11に入射する電波の受信電力分布が、図中の実線53を挟む上下の点線のように上下にPの範囲で変化する。これに伴なって、従来のETCでは、通信領域47の境界線における通信用アンテナ11の入力端での受信電力が、図中のBの範囲(−75dBmから−65dBm)で変動し、あたかも受信感度が−75dBmから−65dBmに変動するような挙動を生じる。一方、図に示すように、車載器10との通信領域外での、通信用アンテナの受信感度の高くなる(極大となる)領域45においては、通信用アンテナ11の受信電力が−75dBmを超えてしまうところが発生し、この場合、通信領域外に位置する車載器10と通信用アンテナとの間で誤通信が行われてしまう。
しかしながら、この実施の形態による通信用アンテナ11は、図19で上述したように、送受信レベル調整部112を設けている。これによって、従来のETCシステムと比較して、通信領域4内における通信用アンテナ11の受信ビームの感度を低くして、−60dB以上、好適には−60dBとなるように、受信感度をレベル調整している。このため、車載器10からの送信電波が、通信領域外で電界強度の高くなる(極大となる)領域45を形成しても、通信用アンテナ11の受信波の感度が低いので、車載器10からの送信波を受信しにくくしており(車載器10からの送信波が聞こえずらくなっている)、領域45での路車間通信が成立しない確立を高くすることができる。
図25は、この実施の形態による無線通信システムの各構成機器の接続関係を示す構成図であり、夫々次のように動作する。
図において、光送信器5bと光受信器5aの間を車両1が通過することによって、光送信器5bの出力光が遮断され、光受信器5aの出力光が光送信器5bで受光されない状態を検出することにより、車両検出器50は車両1の通行の有無を検出する。車両検出器50は車両1を検出すると、通信制御装置12に対して処理開始信号S1を送出する。同時に、車両番号読取装置6に対して処理開始信号S1を出力する。
ループコイル13aは路面3の表面下において、通信領域4の進行方向前端に接するように埋設されている。遮断機8は、制止棒9が通信領域4の車両進行方向前端から3m離間した位置に配置されるように設置されている。ループコイル13bは、制止棒9よりも車両1の進行方向前方に位置するように配置されている。駐車場の管理室50には、情報処理装置14が設置されている。なお、図中における略正方形状のハッチング領域は、通信領域4を示している。
通信制御装置12は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信用アンテナ11が送信電波の放射を開始するように制御する。また、車両番号読取装置6は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、内部に設置されたカメラで通信領域4内を通過中の車両のナンバープレートを撮影し、ナンバープレートに刻印されたナンバーを識別する。この際、車両番号読取装置6が起動してからナンバーを識別するまでの間の処理時間Tnは0.5秒以下である。車両番号読取装置6で識別されたナンバー情報(S2)は、車両番号読取装置6から情報処理装置14に送出される。
車両検出器50は、通信領域4の車両進行方向後端から0.5m前方に進んだ位置に配置されている。一般に、車両5は、先端(フロントバンパー)から0.5m以内にダッシュボードが設けられており、車両5が車両検出器50に到達した段階で、車両5は通信領域4内に入ることができる。通信用アンテナ11から放射された送信電波は、通信領域内を通過する車両1の車載器10で受信される。これによって、通信用アンテナ11と車載器10との間で後述するリンク確立の実行が開始され、リンクが確立されると路車間通信が実行されて、車載器10から通信用アンテナ11に対して車両を特定するための固有の情報(車両ID情報)が送信される。車載器と車両は一対一で対応付けされるので、車両ID情報としては、車両のナンバーや車載器のシリアル番号などが用いられる(これについて後述する)。通信用アンテナ11で受信され復調された車両ID情報は、通信制御装置12に伝送されてディジタル情報に変換され、車両ID情報(S3)として出力される。
車両1がループコイル13aの上方に到達し、ループコイル13aが車両1の通過を検出すると、ループコイル13aは、発券機7に対して車両進入信号S6を送出する。発券機7は、車両進入信号S6を受信すると、内蔵された図示しないビットメモリーをON状態(論理的1)にセットする。同時に、発券機7は情報処理装置14にゲート開閉許可信号S4を送出する。また、車両1がループコイル13bの上方に到達し、ループコイル13bが車両1の通過を検出すると、ループコイル13bは、発券機7に対してゲート閉鎖信号S7を出力する。ゲート閉鎖信号S7は、発券機7のビットメモリーをOFF状態(論理的0)にリセットする。
通信用アンテナ11と車載器10との路車間通信が完了すると、通信制御装置12から情報処理装置14に車両ID情報(S3)が送出される。情報処理装置14は管理室50内に配置される。情報処理装置14は、車両ID情報に対応した車両のナンバー情報(N2)が予め設定されており、この設定情報は図26で後述するデータベース(142)に格納されている。情報処理装置14は、通信制御装置12から伝送された車両ID情報S3に基づいて、データベース(142)からナンバー情報N2を取得し、取得されたナンバー情報N2と車両番号読取装置6から伝送されたナンバー情報S2との一致比較を実行する。
情報処理装置14は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していた場合、すなわちループコイル13aが車両進入信号S6を発信していた場合であって、ナンバー情報(N2とS2)の一致比較の結果、一致していた場合には、発券機7に対して制御指令(S8)を送出する。また、ナンバー情報の一致比較の結果、不一致であった場合には、発券機7に対して制御指令(S9)を送出する。一方、情報処理装置14は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していなかった場合、すなわち、車両1がループコイル13aに至らず、車両進入信号S6が出力されていなかった場合には、ナンバー情報の一致比較の結果如何に関わらず、情報処理装置14はゲート開閉許可信号S4を受信するまでの間、制御指令S8もしくはS9の送出を停止する。
発券機7は、情報処理装置14から制御指令S8を受信すると、遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、発券機7からの制御指令S5を受信すると、車両の制止を解除して、制止棒9を開閉動作させる。また、発券機7は、情報処理装置14から制御指令S9を受信すると、発券処理の動作を実行する。
これによって、車両1のナンバーが車載器10の車両IDと対応するナンバーと一致した場合に、発券機7の制御指令S8の受信に応じて、遮断機8が制止棒9を跳ね上動作し、ゲートが自動的に開かれる(車両1が駐車エリアへ進入可能になる)。この際、遮断機8のビットメモリーはON状態にセットされる。これによって、車両1は入口ゲート100を通行する際、入口ゲート内の発券機7の手前で一旦停止することなく、ノンストップで駐車エリアに進入することができる。
また、車両1のナンバーが、車載器10の車両IDに対応したナンバーと不一致であった場合、発券機7の制御指令S9の受信に応じて、発券処理が実行される。例えば、発券機7は、車両1のドライバーに対して発券された駐車場の利用券(駐車券)を取るようにアナウンスする。ドライバーが発券機7の発券した駐車券を取り出すことによって、発券機7は遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、制御指令S5の受信に応じて、制止棒9を跳ね上動作し、ゲートが自動的に開かれる。これによって、車両1のドライバーが発券機7の発券した駐車券を所持した状態で、車両1が駐車エリアに進入することができる。この際、遮断機8のビットメモリーはON状態にセットされる。
次に、制止棒9が開いた状態で、車両1が遮断機8の側方を通過して、ループコイル13bの上方に到達し、ループコイル13bから発券機7に対してゲート閉鎖信号S7が送出されると、発券機7は、遮断機8に対してゲート閉鎖信号S52を送出する。遮断機8がゲート閉鎖信号S52を受信すると、遮断機8は制止棒9を閉鎖するように動作し、跳ね上げられていた制止棒9は水平になるように下降し、遮断機8のビットメモリーはOFF状態にリセットされる。
図26は、情報処理装置14の構成を示す図である。情報処理装置14は比較器141と、データベース142と、制御器143で構成される。車両番号読取装置6は、情報処理装置14の比較器141に対してナンバー情報S2を送出する。通信制御装置12は、情報処理装置14の比較器141に対して車両ID情報S3を送出する。
駐車場の利用者は、利用対象とする駐車場において、本無線通信システムの利用者としてシステムの管理者と駐車場の利用契約を行う際、利用登録申請書に、ナンバープレートのナンバー情報と、車載器に格納される車両ID情報(利用登録情報)と、利用期間情報とを、利用登録情報として記載して登録しておく。ドラバーが利用登録申請することによって、利用登録申請書に記載した利用車両は、利用登録された車両(利用登録車両)として利用登録される。なお、利用登録されていない車両は、利用未登録車両と呼ぶことにする。
データベース142には、予めこの利用登録申請書に記載された利用登録情報が、データ登録され格納されている。本無線通信システムの利用者は、利用登録申請を行う際に、上述の利用期間情報を設定するとともに、同時にその利用期間に則してシステムの管理者に利用料金を支払う。この場合、例えば利用契約が、月極の利用契約であったり、年間の利用契約であっても良く、利用期間に応じた料金が、前納で支払われる。あるいは、利用期間が自動更新されて、利用料金が後納で支払われる形態を取っても構わない。この場合は、データベース142に格納された利用期間情報が、一定期間毎に更新されれば良い。勿論、利用期間の更新の前に、システムの管理者が利用者の承諾を得ることは言うまでもない。
比較器141は、車両ID情報S3を受信すると、データベース142を参照して、格納された利用登録情報から車両ID情報S3に対応するナンバー情報(N2)を取得する。この際、データベース142を参照した結果、車両ID情報S3に対応するナンバー情報(N2)を取得できなかった場合、車両ID情報が未登録(もしくは未登録ID)であると判定し、比較器141から制御器143に対して不一致信号S10を送信する。
また、比較器141は、ナンバー情報S2とナンバー情報N2とを比較し、比較の結果両者が一致した場合に、制御器143に対して一致信号S11を出力する。制御器143は、比較器141からの一致信号S11を受信すると、発券機7に対して制御指令S8を送出する。また、比較器141は、ナンバー情報S2とナンバー情報N2とを比較し、比較の結果両者が不一致であった場合に、制御器143に対して不一致信号S10を出力する。制御器143は、比較器141からの不一致信号S10を受信すると、発券機7に対して制御指令S9を送出する。
図27は、車両検出器50、車両番号読取装置6、および通信制御装置12の動作タイミングを示すタイムチャートである。図27(a)に示すように、車両検出器50から処理開始信号S1が出力されると、図27(b)に示すように、車両番号読取装置6が動作を開始(動作ON)し、約0.5秒後にナンバー情報S2を出力して動作を完了する(動作OFF)。また、車両検出器50から処理開始信号S1が出力されると、図27(c)に示すように、通信制御装置12が通信用アンテナ11を起動させて(動作ON)、通信用アンテナ11から送信波が出力され、路車間通信が開始される。この通信用アンテナ11の起動から0.2秒〜0.5秒に、通信制御装置12から車両ID情報S3が出力されて路車間通信が終了する。同時に、通信制御装置12は、通信用アンテナ11からの送信電波の出力を停止する。なお、通信制御装置12は、所定の時間(例えば0.5秒)を超えても通信用アンテナ11から送信電波が出力されることがないように、タイムアウト処理が成される。タイムアウト処理は、例えば、通信用アンテナ11からの電波の出力開始時にタイマーを起動させ、タイマー起動時間から所定の時間経過後に、通信用アンテナ11からの電波の出力を停止するように動作する。
なお、車両1が時速25km/hで通信領域に進入する場合、車両検出器50が車両1の先端を検出してから0.5秒以内に車両1が走行する距離は、約3.5mであり、一般車両の車長が4m程度あることから、車両1の車体は路車間通信が実行されている間、通信領域4内に存在することになる。
図27(d)は、車載器1と路側機との通信トランザクションを示す図である。車載器10は通信用アンテナ11から放射された送信電波であるポーリング信号C1を受信すると、通信用アンテナ11と車載器10との間でリンク確立の実行が開始される。まず、車載器10から通信用アンテナ11へ応答信号C2が出力される。これによって、通信用アンテナ11と車載器10との通信のリンクが確立され、路車間通信が開始される。次に、通信用アンテナ11から車載器10へID要求信号C3が出力される。車載器10は、通信用アンテナ11からID要求信号C3を受信すると、通信用アンテナ11に対して車載ID情報C4を送信する。通信用アンテナ11は、車載ID情報C4を受信すると、車載器10に対して通信切断要求C5を送信する。車載器10は、通信用アンテナ11から通信切断要求C5を受信すると、通信用アンテナ11に対して路車間通信の切断処理の実行動作に入ったことを示す、通信切断了解信号C6を送信する。同時に、送信機を構成する電力増幅器への電力供給をOFFにして送信電波の電力供給を切断するなど、通信の切断を実行する。
なお、車両番号読取装置6が起動してからナンバーを識別するまでの処理時間Tnが0.5秒よりも長くなると、車両1が車両検出器50を通過した後、遮断機8の制止棒9が開くまでの時間が長くなり、車両1は路側機との通信を行いつつも、制止棒9の手前で一旦停止しなければならないような、弊害が生じる。例えば、車両1が時速10km/hで通信領域4内に進入する場合、0.5秒後に通行可の判定が出ることによって、車両1は約3.5m進行する。車両検出器50と制止棒9との距離は5mであるので、この間に車両1は制止棒9から3.5m手前の位置まで進んでしまう。しかし、これ以上距離が短くなる場合、ドライバーは心理的にブレーキをかけてしまうので、ノンストップでゲートを通過することを妨げることになる。また、ループコイル13aが車両検出器50から1.5m離れた位置に配置されているので、この間にループコイル13aが発券機周辺への車両1の進入を検出して、車両進入信号S6が出力され、制止棒9が開閉スタンバイ状態になる。
この実施の形態においては、車両ID情報として、ヘッダーコードと、車載器毎に異なるシリアルコードとを組み合わせて、「ヘッダーコード+シリアルコード」で構成したものを用いるのが良い。ヘッダーコードとしては、正規に販売され特定のサービスの利用が可能な車載器であることを示す固有番号を用いるのが簡便である。
例えば、駐車場の出入口をノンストップで通行できる駐車場の利用サービスを提供しているサービス提供会社(団体)毎に、ヘッダーコードとして異なる固有番号を割り当てる。これによって、同一の団体に加盟する全てのサービス提供駐車場の通信制御装置12に、予めヘッダーコード情報を記憶保持させておくことによって、ヘッダーコードをリンク確立の際の認証情報として用いることができる。
サービス提供会社が例えば10団体ある場合は、ヘッダーコードを4ビットデータ(0000〜1111)で構成すれば良い。車載器10は、応答信号C2の中にヘッダーコードを混入させて送信する。これによって、通信制御装置12は、受信した応答信号C2から抽出されるヘッダーコードが、予め設定された10パターンのヘッダーコードの何れに対応するのかを比較することによって、車載器10が正規のユーザであることを認証することができる。勿論、ヘッダーコードの認識に暗号処理を加えることによって、より確実な認証を行うことができることは言うまでもない。また、シリアルコードは、同一のサービス提供会社から、サービス提供を受けられるように利用登録した車載器の台数が1万台あると予想されるならば、シリアルコードを16ビットデータ(0〜F)で構成すれば良い。例えば、車両ID情報を、00000〜1111Fの20ビットのデータで構成すれば良い。
図28は、この実施の形態による無線通信システムの動作フローチャートを示す。
動作の詳細については上述したとおりであるが、図において、無線通信システムが起動した後、車両検出器50が車両1の通過の有無を検出する(ステップS101)。車両検出器50が車両1を検出すると、路側機における通信用アンテナ11の送信開始動作が実行される(ステップS102)。同時に、車両番号読取装置6は、車両番号の読取動作の実行を開始した後(ステップS103)、車両番号読取装置6は車両番号の識別処理を実行する(ステップS104)。車両番号読取装置6は識別したナンバー情報S2を情報処理装置14へ出力する(ステップS105)。
また、通信用アンテナ11から送信電波が放射され、路側機から車載器10へ通信接続要求(ポーリング)が送信される(ステップS110)。路側機から車載器10への通信接続要求の結果、車載器10からポーリングに対する応答があった場合(ステップS111)、路側機と車載器10との路車間通信が開始される。次に、路側機から車載器10へID送信要求が出力され(ステップS112)、車載器10は路側機へ車両ID情報を送信する(ステップS113)。路側機の通信制御装置12は、通信用アンテナ11が車載器10から送信された車両ID情報を受信したか否かを判定し(ステップS114)、車両ID情報を受信した場合は路車間通信が終了する。また、情報処理装置14は、データベース142を参照して、車両ID情報に対応する車両1のナンバー情報N2を取得する(ステップS115)。情報処理装置14は、ナンバー情報S2とナンバー情報N2を比較し(ステップS116)、比較の結果一致した場合に、遮断機8に制御指令S8を出力して遮断機8を作動させ、制止棒9を開く(ステップS117)。また、比較の結果一致しなかった場合には、発券機7に制御指令S9を出力し、発券機7を作動させて発券処理を行った後(ステップS118)、上述のステップS117に至る。なお、情報処理装置14は、データベース142を参照して、車両ID情報S3に対応する車両1のナンバー情報N2を取得できなかった場合は、車両ID情報が未登録ID(あるいは利用未登録車両)であると判定し、発券機7を作動させるように制御指令S9を出力する。
以上により、この実施の形態3によれば、路側機の通信用アンテナ11から放射される送信電波の出力を0dBm以下に抑えて、より好ましくは−2dBmとし、路側機の通信用アンテナ11の受信感度を−60dBm以上に落とすことによって、正規の通信領域4の外部に発生する通信可能領域の大きさを減じることができ、通信領域内を通過する車両1の車載器10と、路側機との誤通信の発生を抑えることができる。また、通信可能領域の発生数を、より低減することができる。
さらに、通信領域4への車両の進入検出に応じて、路側機の通信用アンテナ11から送信電波の放射を開始した後、路側機と車載器10との通信終了後に、通信用アンテナからの送信電波の放射を停止することによって、路側機と車載器10との通信時間を規定時間以内に制限することができ、路側機と車載器10との誤通信の発生をさらに抑えることができる。
特に、車載器10が通信領域4内に進入する際に、車両検出器50によって車両1の先端もしくは車両前部の位置特定された部分を検出し、その検出に応じて送信電波の放射を開始した後、通信終了後に送信電波の放射を停止することによって、通信領域の周辺を車両が通過する場合に限って通信を行うことができる。この場合、車両からの反射と路面反射との干渉作用によって、正規の通信領域4の外部に発生する通信可能領域の大きさをさらに減じることができる。また、これによって、送信電力の損失を抑えることにもつながる。
例えば、図21に示すように、車両検出器50によって車両1が検出された後、車載器10と路側機との通信が終了するまでの間は、車両1が通信領域4内を通過中であるため、後続車両1bの進路に発生する通信領域外の電界強度の高い領域43は、電界強度が抑圧される。
勿論、車両検出器50による位置特定部分の検出に応じて、送信電波の放射を開始した後、通信終了後に送信電波の放射を停止するような送信電波の制御以外の方法であっても良い。例えば、通信領域内で、車両検出器50による位置特定部分の検出に応じて、通信用アンテナ11の送信電波の電力値を、車搭器10が受信応答できるレベルの所定値以上に増加させた後、路車間通信終了後に、通信用アンテナ11の送信電波の電力値を、車搭器10が受信応答できないレベルの所定値以下に減じるように、送信電波の電力制御を行っても良いことは言うまでもない。
また、路側機と車載器10との通信によって取得した車両ID情報に対応するナンバー情報と、車両番号読取装置6で識別したナンバー情報との一致を比較することにより、路側機と車載器10との誤通信に伴なう利用登録車両の誤判断(例えば、利用登録車両を利用未登録車両であると判断する、または、未利用登録車両を利用登録車両であると判断する、または、ゲートを通過中の利用登録車両を他の利用登録車両として判断するなど)の発生を抑えることができる。
例えば、車両番号読取装置6によるナンバー情報の識別確立が95%であって、車載器10と路側機との通信が正常に行われる確立が99%である場合、駐車場のゲートに進入する車両1が、ノンストップでゲートを通過することを許可された利用登録車両ではないと誤判定する確立を、0.05%に低減することができる。これによって、利用登録車両が、駐車場のゲートで発券待ちのために一旦停止してしまうような利用サービスの低下を、防止することができる。なお、車載器10と路側機との通信が正常に行われて車両ID情報を正確に取得できる確立の方が車両番号読取装置6によってナンバー情報を正確に読取る確立よりも高い。このため、車両番号読取装置6単体でナンバー情報を得る場合よりも、より確実に、入口ゲート100の通過車両を識別することが出来る。
また、車載器10の送信電力および受信感度がばらついていても、車両と路側機との誤通信の発生を抑制することができる。通信領域4は2.5m×2.5mの大きさに設定されているが、車搭器の特性のばらつきによって、例えば、通信領域の大きさが、2m×2m乃至3m×3m未満の範囲でばらつくことがある。このようなばらつきが生じても、路側機と車載器10との誤通信による利用登録車両の誤判断を抑えることができる。
したがって、この実施の形態によれば、電波吸収体の装着によるコストを抑えるとともに、天井壁面と路面との間の電波反射によって、正規の通信領域外での路側機と車載器との誤通信が生じる確率を低減することが可能となる。
また、正規の通信領域外での路側機と車載器との誤通信による、利用登録車両と未登録車両の誤判断を低減することができる。
なお、この実施の形態における以上の説明は、屋内もしくは地下駐車場への入口ゲートに設置した無線通信システムを例として説明したが、この場合に限ったものではないことは言うまでもない。例えば、出口ゲートや、飲食店のドライブスルーの出入口、またはガソリンスタンドなどに設置した無線通信システムであっても良い。勿論、出口ゲートに適用する場合は、発券機の代わりに精算機を設けて、ドライバーが駐車券を挿入することによって、精算機に表示される料金を支払うような精算処理を行うことは言うまでもない。また、飲食店のドライブスルーの出入口、またはガソリンスタンドなどに設置する場合は、料金を支払うための通信領域の上方に、天井壁面や屋根を設けて、天井や屋根の下に直接的又は間接的に通信用のアンテナが取り付けた場合に、本無線通信システムが誤通信や誤判断の防止効果を発揮することは言うまでもない。
実施の形態4.
図28は、この発明の実施の形態4による無線通信システムの構成を示す図である。
図において、駐車場の入口に入った車両1は、入口ゲート100の通行路3を通過して駐車エリア90に進入する。また、駐車エリア90内の車両101は、駐車場の出口ゲート100bに進入する際、通行路3bを通行して出口ゲート100bから駐車場の外部(屋外)へ出て行く。
車両1は、車内フロントガラス付近のダッシュボードに車載器10を搭載している。車両101は、車内フロントガラス付近のダッシュボードに車載器10bを搭載している。通行路3はアイランド2a、2bに挟まれるように配置され、通行路3bはアイランド2b、2cに挟まれるように配置されている。通行路3上には通信領域4が形成され、通行路3b上には通信領域4bが形成されている。アイランド2a、2bおよび通行路3は、入口の車両の走行レーンを構成し、アイランド2b、2cおよび通行路3bは、出口の車両の走行レーンを構成する。
アイランド2a上には光受信器5aが設置され、アイランド2b上には、駐車場入口側の端部に、光送信器5bが設置されており、光受信器5a、光送信器5bとで車両検出器50を構成している。また、アイランド2a上には、ナンバープレートに刻印されたナンバーを識別するための車両番号読取装置6が設置される。発券機7は、アイランド2a上で車両検出器50と車両番号読取装置6の間に設置されている。遮断機8は、車両番号読取装置6に隣接してアイランド2a上に設けられており、遮断機8は制止棒9を開閉動作可能に設けている。通信用アンテナ11は、図19に示したように送受信アンテナと送受信機とで構成され、通信制御装置210と共に路側機を構成している。通信用アンテナ11は通信領域4の車両進行方向前端付近の上方で、駐車場の天井下に設置されている。通信用アンテナ11の放射面の取付角度は、23度前後に設定されている。通信制御装置210は入口ゲート100付近に配置される。通行路3の路面下には、通信領域4の車両進行方向後端付近にループコイル13aが埋設され、遮断機8の付近にはループコイル13bが埋設されている。
また、アイランド2c上には光受信器500aが設置され、アイランド2b上には、駐車エリア側の端部に、光送信器500bが設置されており、光受信器500a、光送信器500bとで車両検出器500を構成している。また、アイランド2c上には、ナンバープレートに刻印されたナンバーを識別するための車両番号読取装置6bが設置される。精算機7bは、アイランド2c上で車両検出器500と車両番号読取装置6bの間に設置されている。遮断機8bは、車両番号読取装置6bに隣接してアイランド2c上に設けられており、遮断機8bは制止棒9bを開閉動作可能に設けている。通信用アンテナ11bは、送受信アンテナと送受信機とで構成され、通信制御装置12bと共に路側機を構成している。通信用アンテナ11bは通信領域4bの車両進行方向前端付近の上方で、駐車場の天井下に設置されている。通行路3bの路面下には、通信領域4bの車両進行方向後端付近にループコイル130aが埋設され、遮断機8bの付近にはループコイル130bが埋設されている。
駐車エリア90に設けられた管理室50には、情報処理装置140が設置されている。各機器(通信制御装置210、車両検出器50、500、車両番号読取装置6、6b、発券機7、7b、遮断機8、8b)は、駐車場内に敷設されたデータバス60に接続されている。
なお、実施の形態3の図24で示したものと同一符号のものは、構成および動作が同一相当のものを示している。また、通信用アンテナ11b、車両検出器500、車両番号読取装置6b、精算機7b、および遮断機8bは、夫々通信用アンテナ11、車両検出器50、車両番号読取装置6、発券機7、および遮断機8と同一相当のものである。したがって、通信用アンテナ11bや通信領域4bの特性、および通信領域4bと車両検出器500、遮断機8bおよび通行路3bとの配置間隔などは、実施の形態3の図18乃至図28で説明した、通信用アンテナ11や通信領域4の特性、および通信領域4と車両検出器50、遮断機8および通行路3などと同等のものである。
次に、入口ゲート100における各機器の動作について説明する。
入口ゲート100に進入した車両1が、光送信器5bと光受信器5aの間を通過することによって、車両検出器50は車両1の通行の有無を検出する。車両検出器50は車両1を検出すると、データバス60を介在させて通信制御装置210と車両番号読取装置6に対して処理開始信号S1を送出する。
通信制御装置210は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信用アンテナ11が送信電波の放射を開始するように制御する。車両番号読取装置6は、処理開始信号S1の受信に応じて即座に起動し、通信領域4内を通過中の車両のナンバーを識別する。車両番号読取装置6で識別されたナンバー情報(S2)は、データバス60を介在させて車両番号読取装置6から情報処理装置140に送出される。
通信用アンテナ11から放射された送信電波は、通信領域内を通過する車両1の車載器10で受信される。これによって、通信用アンテナ11と車載器10との間で通信のリンクが確立され、路車間通信が開始される。車載器10は、通信用アンテナ11に対して、車両ID情報(S3)を送信する。
車両1がループコイル13aに到達すると、ループコイル13aは発券機7に対して車両進入信号S6を送出する。発券機7は、車両進入信号S6を受信すると、データバス60を介して情報処理装置140にゲート開閉許可信号S4を送出する。また、車両1がループコイル13bに到達すると、ループコイル13bは、データバス60を介して発券機7にゲート閉鎖信号S7を出力する。
通信用アンテナ11と車載器10との路車間通信が完了すると、通信制御装置210から情報処理装置140に車両ID情報(S3)が送出される。情報処理装置140は、車両ID情報に対応した車両のナンバー情報(N2)が予め設定されており、この設定情報はデータベースに格納されている。情報処理装置140は、通信制御装置210から伝送された車両ID情報S3に基づいて、データベースからナンバー情報N2を取得し、取得されたナンバー情報N2と車両番号読取装置6から伝送されたナンバー情報S2との一致比較を実行する。
情報処理装置140は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していた場合、データバス60を介して発券機7に対して制御指令(S8)を送出する。また、ナンバー情報の一致比較の結果、不一致であった場合には、発券機7に対して制御指令(S9)を送出する。一方、情報処理装置140は、発券機7からゲート開閉許可信号S4を受信していなかった場合、ナンバー情報の一致比較の結果如何に関わらず、ゲート開閉許可信号S4が受信されるまでの間、発券機7に対する制御指令(S8もしくはS9)の送出を停止する。
発券機7は、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S8を受信すると、データバス60を介して遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、発券機7からの制御指令S5を受信すると、制止棒9を開閉動作させる。これによって、車両1は入口ゲート100を通行する際、入口ゲート内の発券機7の手前で一旦停止することなく、ノンストップで駐車エリアに進入することができる。
また、発券機7は、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S9を受信すると、発券処理の動作を実行する。例えば、発券機7は、車両1のドライバーに対して発券された駐車場の利用券(駐車券)を取るようにアナウンスする。ドライバーが発券機7の発券した駐車券を取り出すことによって、発券機7は遮断機8に対して制御指令S5を送出する。遮断機8は、制御指令S5の受信に応じて、制止棒9を跳ね上、ゲートが自動的に開かれる。
さらに、制止棒9が開いた状態で車両1が遮断機8の側方を通過して、ループコイル13bの上方に到達し、ループコイル13bから発券機7に対してゲート閉鎖信号S7が送出されると、発券機7は、データバス60を介して、遮断機8に対してゲート閉鎖信号S52を送出する。遮断機8がゲート閉鎖信号S52を受信すると、遮断機8は制止棒9を下降させて入口ゲート100を閉鎖するように動作する。
次に、出口ゲート100bにおける各機器の動作について説明する。
出口ゲート100bに進入した車両1が光送信器500bと光受信器500aの間を通過することによって、車両検出器500は車両101の通行の有無を検出する。車両検出器500は車両101を検出すると、データバス60を介在させて、通信制御装置210と車両番号読取装置6bに対して処理開始信号S1bを送出する。通信制御装置210は、処理開始信号S1bの受信に応じて即座に起動し、通信用アンテナ11bが送信電波の放射を開始するように制御する。車両番号読取装置6bは、処理開始信号S1bの受信に応じて即座に起動し、通信領域4b内を通過中の車両のナンバーを識別する。車両番号読取装置6bで識別されたナンバー情報(S2b)は、データバス60を介在させて車両番号読取装置6から情報処理装置140に送出される。
通信用アンテナ11bから放射された送信電波は、通信領域内を通過する車両101の車載器10bで受信される。これによって、通信用アンテナ11bと車載器10bとの間で通信のリンクが確立され、路車間通信が開始される。車載器10bは、通信用アンテナ11bに対して、車両ID情報(S3b)を送信する。
車両101がループコイル130aに到達すると、ループコイル130aは精算機7bに対して車両進入信号S6bを送出する。精算機7bは、車両進入信号S6bを受信すると、データバス60を介して情報処理装置140にゲート開閉許可信号S4bを送出する。また、車両1がループコイル13bに到達すると、ループコイル13bは、データバス60を介して発券機7bにゲート閉鎖信号S7bを出力する。
通信用アンテナ11bと車載器10bとの路車間通信が完了すると、通信制御装置210から情報処理装置140に車両ID情報(S3b)が送出される。情報処理装置140は、車両ID情報に対応した車両のナンバー情報(N2b)が予め設定されており、この設定情報はデータベースに格納されている。情報処理装置140は、通信制御装置210から伝送された車両ID情報S3bに基づいて、データベースからナンバー情報N2bを取得し、取得されたナンバー情報N2bと車両番号読取装置6bから伝送されたナンバー情報S2bとの一致比較を実行する。
情報処理装置140は、精算機7bからゲート開閉許可信号S4bを受信していた場合、データバス60を介して精算機7bに対して制御指令(S8b)を送出する。また、ナンバー情報の一致比較の結果、不一致であった場合には、精算機7bに対して制御指令(S9b)を送出する。一方、情報処理装置140は、精算機7bからゲート開閉許可信号S4bを受信していなかった場合、ナンバー情報の一致比較の結果如何に関わらず、ゲート開閉許可信号S4bが受信されるまでの間、精算機7bに対する制御指令(S8bもしくはS9b)の送出を停止する。
精算機7bは、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S8bを受信すると、データバス60を介して、遮断機8bに対して制御指令S5bを送出する。遮断機8bは、データバス60を介して精算機7bからの制御指令S5bを受信すると、制止棒9bを開閉動作させる。これによって、車両101は出口ゲート100bを通行する際、出口ゲート内の精算機7bの手前で一旦停止することなく、ノンストップで駐車場外に出ることができる。
また、精算機7bは、データバス60を介して情報処理装置140から制御指令S9bを受信すると、精算処理の動作を実行する。例えば、精算機7bは、車両101のドライバーが、図示しない券挿入口から駐車場の利用券(駐車券)を挿入すると、図示しない表示器に精算料金を表示するとともに、図示しないスピーカーから音声によって精算をアナウンスする。ドライバーが、図示しない料金支払口(貨幣挿入口)から精算機7bの精算料金を支払うことによって、精算機7bは遮断機8bに対して制御指令S5bを送出する。遮断機8bは、制御指令S5bの受信に応じて、制止棒9bを跳ね上、出口ゲートが自動的に開かれる。なお、精算機7bでは、ICカードを挿入することによって、精算処理を行うようなものであっても良い。例えば、情報処理装置14が、万が一利用登録車両を未登録車両であるとして誤判断した場合であっても、ドライバーが、車載器に挿入しているメモリ付きのICカードを取り出して、精算機7bの図示しないICカード挿入口に挿入し、車載器の搭載車両が利用登録車両であるか否かを、ICカードのメモリの記憶情報に基いて、精算機7bが判断するように構成すれば良い。この際、ICカードのメモリに車両ID情報を格納しておき、ICカードのメモリに、車載器の搭載車両が利用登録車両である旨が記憶されている場合は、利用登録車両がその場で料金を支払うことなく、出口ゲート100bを通過することができる。
さらに、制止棒9bが開いた状態で車両101が遮断機8bの側方を通過して、ループコイル130bの上方に到達し、ループコイル130bから精算機7bに対してゲート閉鎖信号S7bが送出されると、精算機7bは、データバス60を介して遮断機8bに対してゲート閉鎖信号S52bを送出する。遮断機8bがゲート閉鎖信号S52bを受信すると、遮断機8bは制止棒9bを下降させて出口ゲート100bを閉鎖するように動作する。
図29は、情報処理装置140の構成を示す図である。情報処理装置140は、比較器141、比較器141bと、データベース142と、制御器143、制御器143bとで構成される。
入口ゲート100では、車両番号読取装置6が、情報処理装置140の比較器141に対してナンバー情報S2を送出する。また、通信制御装置210の入口通信制御部12aが、情報処理装置140の比較器141に対して車両ID情報S3を送出する。出口ゲート100bでは、車両番号読取装置6bが、情報処理装置140の比較器141bに対してナンバー情報S2bを送出する。また、通信制御装置210の出口通信制御部12bが、情報処理装置140の比較器141bに対して車両ID情報S3bを送出する。
データベース142には、予めナンバープレートのナンバーや車両ID情報などの利用登録情報が登録されている。また、データベース142には、入口ゲート100を通過進入して駐車場内に既に入庫済みであって、かつ駐車場から出庫していない入庫中車両の車両ID情報(入庫車両ID)が格納されている。
なお、利用登録期間の過ぎた車両ID情報については、データベース142から登録が抹消されるように構成される。これにより、利用期間を超えた車両の車両IDを用いることによって、誤って利用登録車両であると判断することを防ぐことができる。
入口ゲート100に対応する比較器141は、車両ID情報S3を受信すると、データベース142の格納データにアクセスして、車両ID情報S3と一致する入庫車両ID(N3)を検索する。このデータベース検索の結果、車両ID情報S3と一致する入庫車両ID(N3)が存在した場合は、車両ID情報S3が出口ゲート100bから送信されたものであると判断し、制御器143に対して不一致信号S10を送信する。
一方、車両ID情報S3と一致する入庫車両IDが存在しなかった場合は、比較器141はデータベース142を参照して、車両ID情報S3に対応するナンバー情報(N2)を取得する。この際、データベース142を参照した結果、車両ID情報S3に対応するナンバー情報(N2)を取得できなかった場合は、車両ID情報が未登録(もしくは未登録ID)であると判定し、比較器141から制御器143に対して不一致信号S10を送信する。
また、比較器141は、データベース142から、車両ID情報S3に対応するナンバー情報(N2)を取得すると、ナンバー情報S2とナンバー情報N2との比較を実行し、比較の結果両者が一致した場合に、制御器143に対して一致信号S11を出力する。同時に、比較器141は、入庫車両IDとして、データベース142に車両ID情報S3を格納する。一方、比較器141は、ナンバー情報S2とナンバー情報N2とを比較し、比較の結果両者が不一致であった場合に、制御器143に対して不一致信号S10を出力する。
制御器143は、比較器141からの一致信号S11を受信すると、発券機7に対して制御指令S8を送出する。また、制御器143は、比較器141からの不一致信号S10を受信すると、発券機7に対して制御指令S9を送出する。
次に、出口ゲート100bに対応する比較器141bは、車両ID情報S3bを受信すると、データベース142の格納データにアクセスして、車両ID情報S3bと一致する出庫車両ID(N3b)を検索する。このデータベース検索の結果、車両ID情報S3bと一致する出庫車両IDが存在しなかった場合は、車両ID情報S3bが入口ゲート100から送信されたものであると判断し、制御器143bに対して不一致信号S10bを送信する。
一方、車両ID情報S3bと一致する出庫車両IDが存在した場合は、比較器141bはデータベース142を参照して、車両ID情報S3bに対応するナンバー情報(N2b)を取得する。この際、データベース142を参照した結果、車両ID情報S3bに対応するナンバー情報(N2b)を取得できなかった場合は、車両ID情報が未登録(もしくは未登録ID)であると判定し、比較器141bから制御器143bに対して不一致信号S10bを送信する。
また、比較器141bは、データベース142から、車両ID情報S3bに対応するナンバー情報(N2b)を取得すると、ナンバー情報S2bとナンバー情報N2bとの比較を実行し、比較の結果両者が一致した場合に、制御器143bに対して一致信号S11bを出力する。同時に、比較器141bは、出庫車両IDとして、データベース142bに車両ID情報S3bを格納する。一方、比較器141bは、ナンバー情報S2bとナンバー情報N2bとを比較し、比較の結果両者が不一致であった場合に、制御器143bに対して不一致信号S10bを出力する。
制御器143bは、比較器141bからの一致信号S11bを受信すると、精算機7bに対して制御指令S8bを送出する。また、制御器143bは、比較器141bからの不一致信号S10bを受信すると、精算機7bに対して制御指令S9bを送出する。
この実施の形態4は、以上のように構成されているので、実施の形態3によって得られる効果に加えて、駐車場内に既に入庫している車両の車両IDと、路側機と車載器との通信によって得られた車両IDとの比較を行っている。これによって、入口ゲートにおける出庫する車両と通信する、あるいは出口ゲートにおけて入庫する車両と通信することによって、正規の利用登録車両と利用未登録車両とを、誤判断してしまう確立を、さらに低減することができる。これによって、誤判断によって、入口もしくは出口ゲートで一旦停止することなく、車両がゲートを通過できるとともに、利用登録車両が料金を支払うような誤動作の発生を、より少なくすることができる。
なお、利用登録車両が精算機の手前で停止し、精算処理を行う場合であっても、ドライバーが、車載器に挿入しているICカードを、精算機7bのICカード挿入口に挿入し、車載器の搭載車両が利用登録車両であるか否かを精算機7bが判断すれば良い。この場合、精算機7bに利用料金を支払うことなく、出口ゲートを通過することができる。このため、利用登録車両として登録する際に、前納もしくは後納で利用料金を支払っているのに、重複して料金を支払うような混乱を防止することができる。