以上のように、請求項1〜7に係る発明によれば、第1のスロットの幅方向に内部へそれぞれ延伸し、互いに離隔した電気接続部より、ICチップが電気的に接続された第1のスロットと長手方向に連続し、第1のスロットよりも幅方向の長さが短い第2のスロット(第3のスロット)を有しており、第2のスロット(第3のスロット)、つまり、ICチップ近傍のスロットの開口幅よりも狭い開口幅に対して、後加工で、その寸法を微小に変更しても、インピーダンスが大きく変動しないので、インピーダンスの微調整が容易であるRFIDタグを得ることができる。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1について図1〜図6を用いて説明する。図1は実施の形態1に係るRFIDタグの構成図、図1(a)は誘電体基板の表面図、図1(b)は誘電体基板の線A−A’部分断面図、図2はRFIDシステムの基本構成図、図2(a)はRFIDシステム図、図2(b)はRFIDタグの機能ブロック図、図3はRFIDタグの電界図、図4は実施の形態1に係るRFIDタグのスロット拡大図、図4(a)はICチップ実装前のスロット拡大図、図4(b)はICチップ実装後(ICチップ透視)のスロット拡大図、図5はRFIDタグのアンテナ面であるパッチ導体パターンとICチップとのインピーダンス整合の微調整説明図、図5(a)及び(b)は矩形の長細状のスロットを有するRFIDタグのスロット拡大図(ICチップ実装前)、図5(c)及び(d)は外形に段差があるスロットを有するRFIDタグのスロット拡大図(ICチップ実装前)であり、図5(a)に係るRFIDタグと図5(c)に係るRFIDタグとが同じインピーダンスを有する。図6は実施の形態1に係るRFIDタグのインピーダンスの変化を示すスミスチャートである。
図1〜5において1は誘電体基板、2は誘電体基板1の一主面(裏面)に形成された接地導体層、3は誘電体基板1の他の主面(表面)に形成されたパッチ導体パターンで誘電体基板1の端部からある程度距離を置いて形成したほうがRFIDタグのインピーダンス整合が取りやすい。また、パッチ導体パターン3は、方形である必要はなく円形や楕円形でもよい。4は、パッチ導体パターン3の一部に形成された段差を有する長細状のスロット、4aはスロット4の一部を構成する第1のスロット、4bは図1(a)において、第1のスロット4aの上側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭い第2のスロット、4cは図1(a)において、第1のスロット4aの下側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭い第3のスロットである。したがって、スロット4は、スロット4aに連通するスロット4bとスロット4cとから構成される。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
5はスロット4aの対向部分から内部にそれぞれ延び、パッチ導体パターン3と電気的に連続した電気接続部、6はスロット4aに配置され、電気接続部5に接続端子7(図示せず)を介して接続されたICチップである。ICチップ6は、スロット4aの中心に載置する必要はないが、電気接続部5と電気的に接続する必要があるので、ICチップ6をスロット4aの中心からずらして載置する場合は、ICチップ6を載置する位置に合わせて電気接続部5のパターン形状を設計する必要がある。また、スロット4のパターンは、電気接続部5,スロット4a,スロット4b,スロット4cの全てから構成されると見てもよい。
なお、第2のスロット4bと第3のスロット4cとの位置関係をICチップ6により説明すると、第2のスロット4bは、ICチップ6に対して第3のスロット4cと反対側の第1のスロット4aと連続して形成されるといえ、逆に、第3のスロット4cは、ICチップ6に対して第2のスロット4bと反対側の第1のスロット4aと連続して形成されるといえる。なお、ICチップ6の特性インピーダンスによっては、インピーダンス整合を取るために必要なスロット4の形状がパッチ導体パターン3の寸法よりも長くなる場合の形状や第2のスロット4b及び第3のスロットの変形例に関しては実施の形態2以降で説明する。もちろん、アンテナ面であるパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合の調整は、スロット4全体の形状や寸法を変更して行なうので、第2のスロット4bと第3のスロット4cとのいずれか片方だけでスロット4を構成してもよいことはいうまでもない。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
8はRFIDタグ、9はRFIDタグと無線通信を行なうRFIDリーダライタ、10はRFIDタグ8に設けられたアンテナ部、11はアンテナ部10が受信したRFIDリーダライタ9からの送信波を後段のディジタル回路に送るアナログ部、12は送信波をA/D変換するA/D変換部、13はアンテナ部10が受信した送信波を整流回路で平滑化し、電力を生成するRFIDタグの各回路に給電および電源制御を行なう電源制御部、14は、RFIDタグ8に搭載され、固体識別情報等のタグ情報が格納されたメモリ部、15は送信波を復調する復調部、16は復調部15で復調された送信波によりメモリ部14を含むICチップ6内の回路を制御する制御部、17は制御部16によりメモリ部14から引き出された情報を変調する変調部、18は復調部15・制御部16・変調部17により構成されるディジタル部、19は変調部からきた信号をD/A変換し、アナログ部11に送るD/A変換部である。RFIDタグ8において、アンテナ部11の後段の回路はICチップ6内に構築されている。20はダミーパッド部、21は矩形の長細状のスロット、22は導電性テープや半田などで形成される導体箔である。なお、導体箔22はスロット21又はスロット4bを覆う部分を分かり易くするために透視図となっている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
ここで、RFIDシステムの基本的な動作について図2を用いて説明する。RFIDシステムを利用する用途(生体・物品の入退室管理や物流管理)に合わせて、それらのタグ情報がRFIDタグ8のメモリ部14に格納されており、RFIDリーダライタ9は、自身の送受信エリア内にRFIDタグ8が(入退室管理や物流管理の対象である生体・物品に貼り付けられて)存在又は移動しているときにタグ情報の更新・書き込み、又は読み出しを行なうことができる。RFIDリーダライタ9は、更新・書き込み、又は読み出し等をRFIDタグ8に命令するコマンド信号を送信波としてRFIDリーダライタ9のアンテナ部からRFIDタグ8へ送信する。RFIDタグ8のアンテナ部10が送信波を受信し、送信波は電源制御回路13により検波・蓄電(平滑化)され、RFIDタグ8の動作電源を生成し、RFIDタグ8の各回路に動作電源を供給する。また、送信波は復調部15によりコマンド信号が復調される。復調されたコマンド信号の命令内容から制御部16がデータ処理し、メモリ部14へタグ情報の更新・書き込みと読み出しとのいずれか一方、又は両方の指示を行い、この制御部16の指示によりメモリ部14が出力した読み出し信号が変調部10により変調された返信波がアナログ部11を経由してアンテナ部10からRFIDリーダライタ9のアンテナ部に送信され、RFIDリーダライタ9が読み出し信号を受信して、所望の情報を得る。
次に、図1〜5を用いて実施の形態1に係るRFIDタグの構造・製造方法及びインピーダンス整合に関して説明する。RFIDリーダライタ9と無線通信するためのRFIDタグ8のアンテナ部10を形成するために、誘電体基板1の主面に導体層を形成する(導体部形成工程)。一主面(裏面)の導体層は、RFIDタグの接地導体層2とし、他の主面(表面)の導体層は、スロット4を有するパッチ導体パターン3とする。なお、スロット4により、パッチ導体パターン3から誘電体基板1が露出してよいし、誘電体基板1の露出部分は、コーティングされていてもよい。スロット4は、パッチ導体パターン3に形成される(スロット形成工程)。その際、パッチ導体パターン3の中央部付近にスロット4を形成すると、導体パターン3の放射パターンが良好となるが、中央部付近からずらして形成してもよい。スロット4及びパッチ導体パターン3の寸法は、パッチ導体パターン3を励振するためにRFIDシステムの使用周波数と、後述するICチップ6とのインピーダンス整合がとれるものに調整されている。なお、調整には誘電体基板1の厚みや比誘電率も大きく関係するので、これらの条件もあわせて調整して設計することにより、所望の放射パターンや利得を得る。微調整に関しては図5を用いて後述する。また、電気接続部5は、パッチ導体パターン3の一部に形成され、スロット4の対向部分である二辺からそれぞれパッチ導体パターン3の中央に向かって延伸し、パッチ導体パターン3と電気的に連続して形成されており(電気接続部形成工程)、スロットの形成と同時に形成してもよい。
図1(b)に示すICチップ6がスロット4内の電気接続部5同士の中央で、基板の厚み方向の電界が0の位置に配置され、接続端子7により電気接続部5に電気的に接続されている(接続工程)。ここで、導体層(接地導体層2,パッチ導体パターン3,電気接続部5)は、エッチング・蒸着・ミリング等による形成やフィルムに印刷したものを誘電体基板1に接着するなど、一般的なプリント基板の加工方法を用いる。一方、ICチップ6は、熱圧着などの手法を用いて実装することができるので、誘電体基板1の主面(表面・裏面)に対する加工だけで、簡便な構造のRFIDタグを製造でき、歩留りの低減・製造コストダウンが可能である。また、ICチップ6の接続端子7と電気接続部5への実装時の位置決めは、スロット4の中央付近近傍に微小スロット(図示せず)を設けるなどして行なえばよく、微小スロットは、RFIDタグ8の電気特性に影響が殆ど無い。
図3は、接地導体層2とパッチ導体パターン3との間の電界を示しており、このような電界が導体間で形成されるので、スロット4の対向部分の間に電界が走り、電位差が生じる。したがって、スロット4の幅方向に対向する二辺にそれぞれパッチ導体パターン3と電気的にICチップを接続することにより、誘電体基板1の厚み方向の電界が0の位置をICチップの給電点(電気接続部5)とすることができ、給電損失を大幅に低減できる上に、パッチ導体パターン3の放射パターンの対称性に与える悪影響が少なく、通信可能距離が向上したRFIDタグが得られる。
次に、図4を用いてICチップ6の実装を説明する。図4(a)は、電気接続部5へICチップ6を実装する前のRFIDタグ8のスロット4付近を示している。電気接続部5は、パッチ導体パターン3及びスロット4を形成するときに同時に形成すると効率よいが、その形状と寸法は、実装するICチップ6の接続端子7の数と特性インピーダンスに合わせる必要がある。例えば、インピーダンス整合をとるために、スロット4の形状の微調整(図5を用いて後述する)に加えて、接続端子7の足が2つの場合は、スロット4の対向部分からそれぞれ延伸し、接続端子のインピーダンス整合がとれる幅の2本の電気接続部5を形成し、接続端子7の足が4つの場合は、図4に示すように、スロット4の対向部分からそれぞれ延伸し、接続端子のインピーダンス整合がとれる幅の2本の電気接続部5を形成して、接続端子7の足のうち2つを接続し、残りの2つの足をダミーパッド部20に接続する。ダミーパッド部20は、パッチ導体パターン3及び電気接続部5とは電気的に接続されていない。また、図4(b)は、ICチップ6を実装した場合のICチップ6を透視した図で、図6(b)から、ダミーパッド部20は、電気的にだけはなく電波的にも独立した単なるダミーのパッド部で、ICチップの実装強度の向上を目的とした接続端子7の残り2つの足を載置するためのパッド部であることが分かる。形成方法は、電気接続部5を形成するときに同時に行なうことが効率的で、前述のように、一般的なプリント基板の加工方法を用いることができ、ICチップ6の仕様の変更に柔軟に対応できるので、簡易構造のRFIDタグを安価で製造できる。なお、ダミーパッド部20の数は、二つに限定されたものではないし、ICチップ6の接続端子7の数により設けない場合もある。
図5を用いて、アンテナ面であるパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合の微調整に関して説明する。なお、図5(c)及び図5(d)におけるスロット4は説明の簡略化のために、スロット4a及びスロット4bにより構成され、スロット4cが形成されていないものを用いて説明する。つまり、スロットの長手方向における片方の端部の寸法を微調整する場合について説明する。さらに、図5におけるスロットの微調整は、スロットを小型化する方向で行なえるように、予めスロットを大きめに設計している。まず、図5(a)に記載のスロット21を小型化してパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合を取る場合では、図5(b)に示すように導体箔22をスロット21の長手方向における片方の端部に設けることにより実現できるが、導体箔22で覆われた部分によるスロット21の寸法の微小な変化でインピーダンスが大きく変動するため、導体箔22の配置、つまり、スロットを長さ方向に覆う量(図5(b)の矢印で示す長さ)の調整が難しく、スロット形状の変更によるインピーダンス調整が困難であることが分かる。
一方、図5(c)に記載のスロット4の一部を小型化してパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合を取る場合では、図5(d)に示すように導体箔22を第2のスロット4bの長手方向における片方の端部に設けることにより実現できる。第2のスロット4bは、第1のスロット4aよりも幅の細いので、図5(b)のようにスロット21のみのRFIDタグで長さを変更した場合と比べて、第2のスロット4bをスロット21と同寸法の長さ分を変更した場合の方がインピーダンスの変動量が小さいため、インピーダンス整合の微調整が可能となる。つまり、図5(c)に記載のスロット4は、図5(a)に記載のスロット21と比較して、寸法の微小な変化でインピーダンスが大きく変動しないため、導体箔22の配置、つまり、スロットを長さ方向に覆う量(図5(d)の矢印で示す長さ)の調整し易く、スロット形状の変更によるインピーダンス調整が容易であることが分かる。詳しく説明すると、図5(a)に記載されたスロット21を有するRFIDタグと図5(c)記載されたスロット4を有するRFIDタグとが同じインピーダンスを有する場合は、それぞれ同じ量だけインピーダンスを調整するためには、図5(b)と図5(c)が示すように、スロット21の長さ方向を覆う導体箔22の長さよりも、スロット4(スロット4b)の長さ方向を覆う導体箔22の長さの方が長くなり、スロット4(スロット4b)の方が、導体箔22の配置(スロット4bを覆う量)を変更に対する影響が少ないので、インピーダンス整合の微調整が可能となる。つまり、スロット形状の微調整が可能となる。
図6は図5(b)に係るRFIDタグと図5(d)に係るRFIDタグとが等価であることを示すスミスチャートである。図6に示す△線が図5(a)(b)に示されるRFIDタグのインピーダンスの軌跡を示し、図6に示す○線が図5(c)(d)に示されるRFIDタグのインピーダンスの軌跡を示している。図6から、図5(a)と図5(c)とに示されるRFIDタグ同士のインピーダンスが等価で、さらに、微調整後の図5(b)と図5(d)とに示されるRFIDタグ同士のインピーダンスが等価であることが分かる。したがって、スロット形状の微調整が、導電性テープや半田等で埋めるなどの手加工でも調整できる可能性が高まり、容易にインピーダンス調整が可能となるので、ICチップが変更になった(つまり、ICチップのインピーダンスが変わった)場合でも、スロット形状の決定が迅速に行なえる。したがって、RFIDタグには量産性を求められるが、本実施の形態1に係るRFIDタグでは、RFIDタグを何種類も試作する必要が無く、即、量産体制に入ることが可能となる。さらに、インピーダンス調整の際に、ICチップから離れた部分のスロット4bの端部を調整するので、ICチップの破損の恐れが少ない。
図5及び図6では、スロット4はスロット4aとスロット4bとにより構成されるRFIDタグを用いて、本実施の形態1に係るRFIDタグを説明したが、図1などに示されるスロット4a,スロット4b,スロット4cから構成されるスロット4に関しても、同様にスロット形状の微調整が行なえる。その際には、スロット4b及びスロット4cともに長さ方向の端部を図5(d)に示すスロット4bのように、導電性テープや半田等で埋めるなどの加工により微調整してもよいし、スロット4bかスロット4cのいずれか一方だけを微調整してもよい。なお、微調整後の最終的に決定されたスロット形状(スロット4の形状)がICチップ6の載地位置又はスロット4aを中心にして対称となる形状であると、ICチップ6をスロットに実装する際にセンターに配置しやすくなる上、RFIDタグ8のアンテナ10の交差偏波が小さくなる。また、スロット4自体の配置位置がパッチ導体パターン3の中心であれば、さらにアンテナ10が良好な性能を得ることができる。スロット形状(スロット4の形状)がICチップ6の載地位置又はスロット4aを中心にして対称となる形状であるということは、第2のスロットと第3のスロットとが同一形状であることも指す。
図5におけるスロット形状の微調整では、スロットを小型化する方向で行なえるようにスロット4を設計するとして説明したが、もちろん、スロットを大型化する方向で微調整することも可能である。その場合は、パッチ導体パターン3の導体をミリングやエッチングにより導体の一部除去してスロットパターン(スロット4b,スロット4c)の形状を微調整すればよい。なお、微調整前のスロット4が、図5(a)に示すようなスロット4bやスロット4cを有していないスロット21の場合でも、インピーダンス整合を取るために、パッチ導体パターン3の導体をミリングやエッチングにより導体の一部除去して、最終的なスロット形状をスロット4bやスロット4cを有するものにしてもよい。また、インピーダンス整合を取るために、スロット形状を小型化すればいいのか大型すればいいのかが分からない場合は、スロットパターンへミリングやエッチングのスロット大型化とスロットへの導電性テープを貼り付けや半田によるスロット形状変更などのスロット小型化を交互に行なうなどして、アンテナ性能を実測するなどして調整すればよい。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2について図7〜図10を用いて説明する。図7(図7(a)〜(d))は実施の形態2に係るRFIDタグのスロット拡大図(ICチップ実装前)、図8(図8(a)〜(d))は実施の形態2に係るRFIDタグのスロット拡大図(ICチップ実装前)、図9(図9(a)〜(c))は実施の形態2に係るRFIDタグのスロット拡大図(ICチップ実装前)、図10(図10(a)〜(c))は実施の形態2に係るRFIDタグのスロット拡大図(ICチップ実装前)であり、図7〜10において4b2は図7(b)において、第2のスロット4bの上側で、第2のスロット4bと連続して形成され、第2のスロット4bと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第2のスロット4bの幅よりも狭い第2のスロット、4c2は図5(b)において、第3のスロット4cの下側で、第3のスロット4cと連続して形成され、第3のスロット4cと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第3のスロット4cの幅よりも狭い第3のスロットである。したがって、図7(b)に記載のスロット4は、スロット4aに連通するスロット4b,スロット4b2とスロット4c,スロット4c2とから構成される。このスロット4全体を長細状のスロットと見たときは、長手方向における開口幅がICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれて段階的(階段状)に縮小するといえる。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
4dは図7(c)において、第1のスロット4aの上側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭く、ICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれて長手方向における開口幅が徐々に縮小するテーパ状の第2のスロット、4eは図7(c)において、第1のスロット4aの下側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭く、ICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれて長手方向における開口幅が徐々に縮小するテーパ状の第3のスロットである。したがって、図7(c)に記載のスロット4は、スロット4aに連通するスロット4dとスロット4eとから構成される。このスロット4全体を長細状のスロットと見たときは、長手方向における開口幅が段階的(階段状)に縮小するといえる。4fは図7(d)において、スロット4の上側と下側がともに、ICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれて長手方向における開口幅が徐々に縮小するテーパ状のスロットである。4gは図8(d)において、スロット4の上側がICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれて長手方向における開口幅が徐々に縮小するテーパ状のスロットである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
4hは図9(a)において、第1のスロット4aの上側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭く、第1のスロット4aの電気接続部5が形成された辺の片方と連続した第2のスロット、4iは図9(a)において、第1のスロット4aの下側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭く、第1のスロット4aの電気接続部5が形成された辺の片方(第2のスロット4hが連続して設けられた辺と対抗する方を指す)と連続した第3のスロットである。したがって、図9(a)に記載のスロット4は、スロット4aに連通するスロット4hとスロット4iとから構成され、スロット4aとスロット4h、スロット4aとスロット4iはそれぞれL字状となっている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
4h2は図9(b)において、第2のスロット4hの左側で、第2のスロット4hと連続して形成され、第2のスロット4hと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第2のスロット4hの幅よりも狭い第2のスロット、4i2は図9(b)において、第3のスロット4iの右側で、第3のスロット4iと連続して形成され、第3のスロット4iと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第3のスロット4iの幅よりも狭い第3のスロットである。したがって、図9(b)に記載のスロット4は、スロット4aに連通するスロット4h,スロット4h2とスロット4i,スロットi2とから構成され、スロット4aとスロット4hとスロット4h2、スロット4aとスロット4iとスロット4i2はそれぞれL字状となっている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
4jは図9(c)において、第1のスロット4aの左側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭く、第1のスロット4aの電気接続部5が形成された辺の片方と連続し、この連続した部分から離れるにつれて(ICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれてともいえる。)長手方向における開口幅が徐々に縮小するテーパ状の第2のスロット、4kは図9(c)において、第1のスロット4aの右側で、第1のスロット4aと連続して形成され、第1のスロット4aと連続した部分が段切り(Stepped Cut)状で第1のスロット4aの幅よりも狭く、第1のスロット4aの電気接続部5が形成された辺の片方(第2のスロット4hが連続して設けられた辺と対抗する方を指す)と連続し、この連続した部分から離れるにつれて(ICチップ6(電気接続部5)から離れるにつれてともいえる。)長手方向における開口幅が徐々に縮小するテーパ状の第3のスロットである。したがって、図9(c)に記載のスロット4は、スロット4aに連通するスロット4jとスロット4kとから構成され、スロット4aとスロット4j、スロット4aとスロット4kはそれぞれL字状となっている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
実施の形態1に係るRFIDタグは、スロット4の形状がスロット4aとスロット4bとで形成された凸型であるもの(図5(c)など)と、スロット4の形状がスロット4a,スロット4b,スロット4cで形成された凸型を反転させて重ねた形であるもの(図1など)を用いて説明したが、本発明に係るRFIDタグのスロット4の形状は、上記のものに限られない。実施の形態2では、スロット形状の変形例を説明する。図7(a)に記載のスロット4は、実施の形態1で説明した形状と類似のものである。図7(a)に記載のスロット4の変形例は、図7(b)(c)(d)に記載のスロット4で、図7(b)(c)は凸型のスロットを多段にしたものである。図7(d)はスロット4全体をテーパ状にしたものである。このように、スロット4の長手方向における開口幅が段階的又は徐々に縮小していることにより、スロット寸法の微調整の幅(調整しろ)が広がる効果がある。図8(a)に記載のスロット4は、実施の形態1で説明した形状と類似のものである。図8(a)に記載のスロット4の変形例は、図8(b)(c)(d)に記載のスロット4で、図8(b)(c)は凸型のスロットを多段にしたものである。図8(d)はスロット4をテーパ状にしたものである。図8(a)(b)(c)(d)に記載のスロット4は、図8(a)(b)(c)(d)に記載のスロット4の第3スロットを廃して、第2のスロットと第1のスロットのみでスロット4を構成した点が異なる。このように、スロット4の長手方向における開口幅が段階的又は徐々に縮小していることにより、スロット寸法の微調整の幅(調整しろ)が広がる可能性がある。
図1〜8に係るRFIDタグのスロット4は、第1のスロット4aの長さ方向に対して、延長する第2のスロットや第3のスロットを形成していたが(なお、スロット4fとスロット4gに関してはテーパ状で延伸している。)、図9に係るRFIDタグのスロット4のように、第1のスロット4aの幅方向に対して、延長した第2のスロットや第3のスロットを形成してもよい。図9(a)に記載のスロット4は、スロット4aの長さ方向の端部において、スロット4aの幅方向に延長した第2のスロット4hと第3のスロット4iとを有している。ちなみに、スロット4aの長さ方向と第2のスロット4h及び第3のスロット4iの長さ方向は、直交又は直角に近い角度で交わることになる。幅方向に関しても同様である。図9(a)に記載のスロット4の変形例は、図9(b)(c)に記載のスロット4で、図9(b)は階段状にスロットを多段にしたものである。図9(c)はスロット4h(スロット4h2)をテーパ状のスロット4jに置換し、スロット4i(スロット4i2)をテーパ状のスロット4kに置換したものである。このように、第2のスロット又は第3のスロットの長手方向における開口幅が段階的又は徐々に縮小していることにより、スロット寸法の微調整の幅(調整しろ)が広がる効果がある。
図9における第2のスロットと第3のスロットとは、互いに異なる電気接続部5が形成された第1のスロットの辺に連続して形成されていたが、同じ辺に形成してスロット4全体がコ字状を成すようにしてもよい。つまり、第2のスロットと第3のスロットとが、同じ方向に延伸してもよい。次に、図10(a)(b)(c)(d)に記載のスロット4は、図9(a)(b)(c)(d)に記載のスロット4の第3スロットを廃して、第2のスロットと第1のスロットのみでスロット4を構成した点が異なる。このように、第2のスロットの長手方向における開口幅が段階的又は徐々に縮小していることにより、スロット寸法の微調整の幅(調整しろ)が広がる可能性がある。
なお、実施の形態1及び実施の形態2に係るRFIDタグのスロット4は、片方だけに段差を有する階段状に段切りされたもの(図9(b)など)や両方に段差を有する階段状に段切りされたものを背中合わせした凸状のもの(図1(a)など)を図面によって書き分けていたが、それぞれを置換してもよい。また、実施の形態1及び実施の形態2に係るRFIDタグのスロット4のうち、テーパ状を成しているものに関しては、図7(d)などのように、対向するスロット両辺がそれぞれ近づいてスロットの開口幅が縮小するハ字状のものでなくても、片方の辺が対向する辺の方に近づいてスロットの開口幅が縮小するものでもよい。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3について図11を用いて説明する。図11は実施の形態3に係るRFIDタグの構成図、図11(a)は誘電体基板の表面図、図11(b)は誘電体基板の線A−A’部分断面図1、図11(c)は誘電体基板の線A−A’部分断面図2であり、図11において23は誘電体基板1の他の主面(表面)に形成され、ICチップ6が配置される穴部、24は誘電体基板1の他の主面(表面)及びパッチ導体パターン3を被覆するPETフィルムなどのフィルム基材、25は穴部23を有するRFIDタグ、25fは穴部23及びフィルム基材24を有するRFIDタグである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、厳密に言うと、フィルム基材24があるために、図11(c)は図11(a)は誘電体基板の線A−A’部分断面図ではないが、フィルム基材24の有無以外に大きな違いが無いので、図11(c)に対応する誘電体基板の表面図は省略する。また、フィルム基材24をそのままRFIDタグのラベル面にしてもよいし、フィルム基材24の上に、さらに、ラベル面を形成してもよい。
実施の形態1及び2においては、ICチップ6が誘電体基板1上にあるRFIDタグ8を用いて説明していたが、本発明に係るRFIDタグは、図11に示すように誘電体基板1のパッチ導体パターン3が形成される側に設けられた穴部23にICチップを配置してもよい。実施の形態1及び2に係るRFIDタグとの製造上の違いは、ICチップ6を実装する工程のバリエーションがより多いことである。ICチップ6とパッチ導体パターン3(電気接続部5)との電気的な接続を完了させてから、パッチ導体パターン3ごと誘電体基板1にICチップ6を実装する場合やICチップ6を誘電体基板1に実装してから、誘電体基板1にパッチ導体パターンを形成する場合などが考えられる。また、穴部23の形成方法に関しても金型や切削で形成する他に、ICチップ6を実装したパッチ導体パターン3をRFIDタグ25の外形を模した金型の一面に接地してから、金型に熱可塑性樹脂を注入して射出成形した誘電体基板1を用いることにより、ICチップ6の外形がそのまま穴部23となるようにしてもよい。なお、本実施の形態3において、スロット4の形状が図1(a)などに記載されているものを使用し、説明を展開しているが、実施の形態1及び2で説明したスロットのいずれかに置換してもよいことはいうまでもない。また、以下の実施の形態4〜6でも同様のことがいえる。
実施の形態4.
実施の形態3に係るRFIDタグは、ICチップ6による膨らみが生じないという効果を奏するが、誘電体基板1に所定の曲率で曲げることができる材料を選択し、ICチップ6を誘電体基板1の中央に配置することにより、平面だけでなく所定の曲率である曲面状の設置面にも設置可能という効果も得ることができる。この実施の形態4では、さらに、それらの性能を向上する構成を図12〜14により説明する。図12は、実施の形態4に係るRFIDタグの接地導体層の形状図、図12(a)は、格子状パターンの接地導体層の形状図、図12(a)は、メアンダ状パターンの接地導体層の形状図、図13は、実施の形態4に係るRFIDタグの接地導体層用金属繊維シートの形状図、図13(a)は、金属繊維シートの表面図、図13(b)は、図13(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図13(c)は、図13(b)の金属繊維シートに外力を加えた模式図、図14は、実施の形態4に係るRFIDタグの接地導体層用金属繊維シートの形状図、図14(a)は、格子状パターンの接地導体層の形状図、図14(a)は、メアンダ状パターンの接地導体層の形状図であり、26は導体が格子状に切り欠かれ、格子状パターンを有する接地導体層、27は接地導体層26の切り欠き部、28は導体がメアンダ状に切り欠かれ、メアンダ状パターンを有する接地導体層、29は接地導体層28の切り欠き部、30は数μm厚が代表的なステンレス鋼繊維シートなどの電磁シールドや静電防止シートに使用される金属繊維シート、31は金属繊維シート30が格子状に切り欠かれ、格子状パターンを有する接地導体層、32は接地導体層31の切り欠き部、33は金属繊維シート30がメアンダ状に切り欠かれ、メアンダ状パターンを有する接地導体層、34は接地導体層33の切り欠き部である。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
RFIDタグ25fを曲げることにより、影響を受けるのは、パッチ導体パターン3(電気接続部5、5)とICチップ6との電気的な接続だけはなく、パッチ導体パターン3と誘電体基板1及び接地導体層2と誘電体基板1との接着状態或いは固定状態も、誘電体基板1(RFIDタグ)の曲げることにより生じる引張応力が悪影響を及ぼす。特に、誘電体基板1の一主面(裏面)全体に設けることが多い接地導体層2に悪影響を及ぼす。例えば、接地導体層2側(誘電体基板1の一主面側)が谷となるようにRFIDタグを曲げると、誘電体基板1の端部から誘電体基板1の外側に向けて接地導体層2に大きな引張応力が掛り、誘電体基板1の端部の接地導体層2が破断や、誘電体基板1からの剥離する可能性がある。
また、接地導体層2側(誘電体基板1の一主面側)が山となるようにRFIDタグ25fを曲げると、誘電体基板1の端部から誘電体基板1の中央に向けて接地導体層2に大きな引張応力が掛り、誘電体基板1の中央の接地導体層2が弛み、誘電体基板1からの剥離する可能性や接地導体層2の基板との接着状況によっては、接地導体層2側が谷となるようにRFIDタグ25fを曲げるときと同様に、誘電体基板1の端部の接地導体層2が破断や、誘電体基板1からの剥離する可能性がある。以下、このような接地導体層2に代わり、RFIDタグ(RFIDタグ25f)の接地導体として接地導体層26及び28、金属繊維シート30、金属繊維シート30による接地導体層31及び33を使用することにより、RFIDタグを曲げた際にRFIDタグの接地導体に生じる諸問題の発生を低減させることができること説明する。
図12(a)及び(b)に示す格子状パターンが形成された接地導体層26やメアンダ状パターンが形成された接地導体層28は、接地導体層2の一部が切り欠かれた切り欠き部27及び29を有するものである。これらの切り欠き部27及び29により、接地導体の全面に掛っていた引張応力が切り欠き部27及び29により逃がされて、破断や弛みによる誘電体基板1からの接地導体が剥離する可能性が大幅に低減される。また、切り欠き部の形状は図12(a)及び(b)に示すものに限らず、引張応力による悪影響から接地導体を守り、かつ、RFIDタグのパッチアンテナの接地導体として十分動作する、つまり、電気的に接地導体層2と等価になるものであればよい。また、複数の切り欠き部の形状が同じである必要はなく、「引張応力が大きく掛る箇所に面積の大きい切り欠き部を配置する。」、「引張応力が大きくなる箇所に向かって徐々に切り欠き部の面積を大きくしていく」、「矩形以外の円形などの丸みが付いた形状」など誘電体基板1の硬度、ICチップ6の位置や大きさ、RFIDタグを設置する(貼り付ける)面の曲率などの要素からトレードオフして、接地導体層の導体の間引き量や間引き形状を選択すればよい。なお、「切り欠き」、「切り欠き部」などの表現は、形状を指すために使用しており、接地導体層の形成後にパッチ導体パターンを実際に切り欠いて形成するものに限定するものではなく、前述したパッチ導体パターン3のスロット4などのパターンを形成する手法のように色々な手法が考えられる。
また、切り欠き部を形成せずに図13(a)〜(c)に示す金属繊維シート30を接地導体層2の代わり使用してもよい。金属繊維シート30は、金属繊維を編みこんだシート状の導体で、厚み(断面長)が薄く、RFIDタグの接地導体として使用することが可能である上に、図13(c)に示すように、外力による変形に対して十分な可撓性を有しており、切り欠き部に代わって引張応力の緩衝材にすることができる。さらに、シート状で型抜きなどにより形状が自由に変更できるので、図12に示すような、切り欠き部を金属繊維シートへ施すことができ、引張応力の緩衝材としての性能の向上や金属繊維シートの軽量化を図ることができる。また、金属繊維シート以外の特長は、図12に示す格子状パターンが形成された接地導体層26及びメアンダ状パターンが形成された接地導体層28や前段落の記載と同様であるので、図14に示す格子状パターンが形成された金属繊維シート31及びメアンダ状パターンが金属繊維シート33の説明は省略する。また、この金属繊維シート30は、前述のように型抜きなどにより形状が自由に変更できるので、接地導体層2だけでなく、パッチ導体パターン3にも使用できる。なお、金属繊維は、製造(編み込み)時に所望の位置に穴を設けることが容易であるので、この特長を利用し、製造時に引張応力の緩衝材になるような形状や数の穴を設け、これらを切り欠き部の代用としてもよい。
図15〜17を用いて本実施の形態4に係るRFIDタグを実際に曲面に貼り付ける工程を説明する。図15は、この実施の形態4に係るRFIDタグの構成図である。図15(a)は、図11(a)でA−A’線により切断したときの断面図(図11(c)と同等の図)、図15(b)は、接地導体層に両面テープが形成された図11(c)で示すRFIDタグであり、図15において、2xは、接地導体層2、接地導体層(格子状)26、接地導体層(メアンダ状)28、金属繊維シート30、接地導体層(格子状)31、接地導体層(メアンダ状)33のうちのいずれかの接地導体層(接地導体層)、35は接地導体層2xの下部に設けられた両面テープである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
本実施の形態4に係るRFIDタグを管理対象の物体に貼り付ける際には、アンテナパターンであるパッチ導体パターン3が形成された誘電体基板1の他の主面側をRFIDリーダライタからの電波を受信しやすいように外側に向けるため、接地導体層2xが形成された誘電体基板1の一主面側に管理対象の物体の設置面との固定する部材(接着層)を設ける必要がある。この固定する部材は、設置面の材質によるが市販の両面テープを使用すれば事足りことが多い。また、両面テープ以外も接着シートのようなものでも、流動性の接着樹脂でもよい。さらに、接着層に導電性を有するものを使用すれば、接地導体層2xに切り欠き部がある場合において、切り欠き部の面積が大きくても、設置後に十分な性能で動作するRFIDタグが得られ、場合によっては、接地導体層2xを誘電体基板1に設けなくともRFIDタグを動作させることができる。但し、この場合は、設置する前のRFIDタグの動作は保証されない。
図16は、この実施の形態4に係るRFIDタグ及びRFIDタグ設置対象物の構成図、図16(a)は、図15(b)に示されたRFIDタグである。また、図16(b)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凸型)、図16(c)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凹型)であり、それぞれ36、37と符号が付されている。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。なお、本発明に係るRFIDタグの性質上、RFIDタグ設置対象物36及び37は、導体であってもよいし、そうでなくてもよい。図16(a)に示すRFIDタグの両面テープ35のRFIDタグと接着している面と反対側の面をRFIDタグ設置対象物36又は37の面に当てて設置を行なう。
次に、RFIDタグ設置対象物36及び37にRFIDを設置した状態を、図17を用いて説明する。図17は、この実施の形態4に係るRFIDタグ及びRFIDタグ設置対象物の構成図、図17(a)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凸型)に設置されたRFIDタグ、図17(b)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凹型)に設置されたである。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。図17に示すように、本実施の形態4に係るRFIDタグは、設置面が凸状であっても凹状であっても、平面と同様に設置することが容易であり、パッチ導体パターン3が曲がっていても、電気長は変化しないなので、放射パターンは多少変形するがパッチ導体パターン3は、RFIDタグの電波放射部としての動作には支障がない。また、図17(a)及び(b)の以外に設置面に凹凸の起伏(うねり)が両方存在するRFIDタグ設置対象物でも、ある程度の凹凸の起伏(うねり)であれば設置することができる。
以上、説明したように本発明の実施の形態4おいては、低硬度(例えば、JIS−A55)のオレフィン系熱可塑性エラストマーなどを用いて、誘電体基板1を製造することで、フレキシブル性を持った誘電体基板によるフレキシブルなRFIDタグが製造可能なので、ドラム缶などの曲面を持つ物体の曲面に沿って設置可能なRFIDタグを得ることができる。また、樹脂成形の基板は、プリント基板数枚を貼り合せて多層化した誘電体基板に対し、樹脂(熱可塑性樹脂)を用いて射出成形した誘電体基板を使用した方が基板コスト(製造コスト)が大幅に下げることができるだけでなく、RFIDタグに用いられる誘電体基板の誘電体(材質)が、一般的なプリント基板で使用されるポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂系)、セラミック、ガラスエポキシなどの誘電体では、任意の厚さの基板製作が難しく、RFIDタグの設置位置による要求寸法の変化には柔軟に対応できないことに対し、樹脂成形の基板では、金型を変更するだけで容易に厚みや形状の変更が可能であるため、様々なバリエーションのRFIDタグを容易に製作可能である。また、樹脂(熱可塑性樹脂)のなかでも誘電正接が低い特性をもつオレフィン系ポリマーの樹脂をRFIDタグの誘電体基板として使用することで、放射効率が向上し、高利得なRFIDタグを製造可能である。
さらに、オレフィン系ポリマーの樹脂の比重は一般的なプリント基板の半分程度であり、RFIDタグの軽量化が可能になる。さらに、ICチップ6は、一般的なプリント基板で使用されるポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂系),セラミック,ガラスエポキシなどで構成される誘電体基板のように硬くて厚みのある材質に実装する場合、実装する専用設備がなく、一つ一つ実装しなければならず時間がかかることに対して、樹脂成形基板は、フィルム基材24にICチップ6を実装する設備は市場に数多く出回っており、一度に大量生産が可能であり、穴部23の形成を含めて製造時間及びコストを大幅に削減できる。特長点は以下の実施形態2でも同様のことがいえる。
実施の形態5.
実施の形態4では、ICチップ6の位置や接地導体層の形状や材質により、曲面への貼り付けが可能となったRFIDタグに関して説明したが、この実施の形態5では、さらに、ICチップとパッチ導体パターン(スロット、電気接続部)との電気的な接続の信頼性を高めた曲面への貼り付けが可能なRFIDタグについて、図18〜図25を用いて説明する。図18〜25において、24sは誘電体基板1とパッチ導体パターン3又は接地導体層2が形成されたフィルム基材24とを接着する接着シートである。なお、接着シート24により接地導体層2xを接着する場合もあれば、そうでない場合もある。つまり、接地導体層2xの種類により接地導体層を形成する方法を選択すればよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。実施の形態5は、ICチップ6の周辺をICチップ6周辺以外(実施の形態4で示した低硬度の誘電体基板1)よりも硬度が高い基板を構成し、ICチップとパッチ導体パターンとの電気的な接続の信頼性を向上させつつ、RFIDタグを曲げることによる引張応力の接地導体層等の悪影響が大きい基板部分(RFIDタグの端部)は、実施の形態4で示した対策を用いた、より曲げに強いRFIDタグに関するものである。言い換えると、RFIDタグの曲げにより影響が強い部分には低硬度の基板、RFIDタグの曲げにより影響が弱い部分には高硬度の基板を使用し、高硬度の基板に、比較的、曲げに対する耐性が弱いICチップとパッチ導体パターンとの電気的な接続箇所を配置したともいえる。
具体的な構造に関しては以下で説明するが、実施の形態5に係るRFIDタグは、図面上の見た目の寸法(RFIDタグの外形やスロットの寸法)が実施の形態4に係るRFIDタグと同じになっているが、これは比較して説明する上で分かりやすさを優先したためであり、実際は、実施の形態4における誘電体基板1の材料定数(誘電率・誘電正接など)と実施の形態5における複合された誘電体基板(誘電体基板1と別の誘電体基板との2種の基板を使用)の実効的な材料定数は同じではないので、RFIDタグとして、実施の形態5に係るRFIDタグが実施の形態4に係るRFIDタグと等価な性能を得るためには、RFIDタグ(導体や基板)の各寸法を再調整する必要がある。したがって、実施の形態4と実施の形態5とでは、必ずといっていいほど、RFIDタグの各寸法が異なる。これらのことは、本実施の形態5において、何種類か説明するRFIDタグ同士においても同じことがいえる。また、本発明に係るRFIDタグが有するスロット形状の微調整が実行できるという効果は本実施の形態5においても奏することはいうまでもない。
図18は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図、図18(a)は、RFIDタグの平面図、図18(b)は、図18(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図19は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図、図19(a)は、RFIDタグの平面図、図19(b)は、図19(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図18及び図19において、38はRFIDタグ、39は誘電体基板1と同様の材料で構成された第1の誘電体基板、40は第1の誘電体基板39の一主面に設けられた円形の凹部、41は凹部40(又は後述の凹部44、凹部46、凹部48、貫通孔50貫通孔52、段差部54、)に挿入され、第1の誘電体基板39よりも高硬度である第2の誘電体基板、42は第1の誘電体基板39の一主面側において第2の誘電体基板41に形成した穴部で、実施の形態4の穴部23と同等のものである。43はRFIDタグ、44は第1の誘電体基板39の一主面に設けられた矩形の凹部である。
図18や図19のように、ICチップ6が載置された穴部42が形成された第2の誘電体基板41が第1の誘電体基板39よりも高硬度の基板を使用しているので、ICチップ6とパッチ導体パターン3(電気接続部5、5)との電気的な接続に対するRFIDタグ38又はRFIDタグ43の曲げによる影響を減ずることができる。また、凹部40、44や第2の誘電体基板の断面形状は、円形や矩形に限られたものではなく、楕円、十字型、星型及び多角形でもよい。樹脂成形で第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41を製造すれば任意の形状にそれぞれの基板を製造することができるので、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて形状を選択すればよい。さらに、凹部40、44や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図18に示すような、円柱の凹部40、44や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる円錐でもよい。なお、RFIDタグ38及び44の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は省略する。なお、実施の形態4において、ICチップ6を載置する穴部23を拡張して、凹部40又は44として、この凹部40又は44に第2の誘電体基板の代わりにモールド材を注入して、図18や図19のような構成を実現してもよい。また、図19では若干スロット4aが第2の誘電体基板41の領域内からはみ出しているが、図20のように、スロット4aが第2の誘電体基板41の領域内に収まるように配置すれば、さらに性能が高まる。つまり、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面(嵌合面・接着面)に掛る負荷がスロット4aの沿端に掛ることがなく、パッチ導体パターン3の破砕の可能性が低くなる。
図20は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図である。図20(a)は、RFIDタグの平面図、図20(b)は、図1(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図21は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図である。図21(a)は、RFIDタグの平面図、図21(b)は、図21(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図20及び図21において、45はRFIDタグ、46はスロット4の長さ方向の長さよりも直径が大きい円形の凹部、47はRFIDタグ、48はスロット4の長さ方向の長さよりも一辺の長さが大きい矩形の凹部である。図18や図19に示すRFIDタグとは基本構成やRFIDタグとして機能は同じであるが、図20や図21に示すRFIDタグは、スロット4が第2の誘電体41上のみにパターンを有することになるので、RFIDタグを曲げた際に第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面(嵌合面・接着面)に掛る負荷がスロット4の沿端に掛ることがなく、負荷がフィルム基材24だけでなく、パッチ導体パターン3とフィルム基材24とで抑えられ、スロット4(スロット4a,スロット4b,スロット4c)のパターンの破断や弛みによるパターンの基板からの剥離を防ぐ効果がより高いという点で異なる。
また、凹部46、48や第2の誘電体基板の断面形状は、円形や矩形に限られたものではなく、楕円、十字型、星型及び多角形でもよい。樹脂成形で第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41を製造すれば任意の形状にそれぞれの基板を製造することができるので、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて形状を選択すればよい。さらに、凹部46、48や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図20及び図21に示すような、円柱の凹部46、48や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる円錐でもよい。なお、RFIDタグ45及び47の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は省略する。
図22は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図である。図22(a)は、RFIDタグの平面図、図22(b)は、図22(a)でA−A’線により切断したときの断面図、図23は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図である。図23(a)は、RFIDタグの平面図、図23(b)は、図23(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図22及び図23において、49はRFIDタグ、50はスロット4の長さ方向の長さよりも直径が大きい円形の貫通孔、51はRFIDタグ、52はスロット4の長さ方向の長さよりも一辺の長さが大きい矩形の貫通孔である。図20や図21に示すRFIDタグとは基本構成やRFIDタグとして機能は同じであるが、図20や図21に示すRFIDタグの第2の誘電体基板41は、図18や図19に示すRFIDタグの第2の誘電体基板41と比して容積や面積が大きいので、RFIDタグを曲げた際に第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面(嵌合面・接着面)がRFIDタグの端部に近いために、その接触面に掛る負荷が大きくなり、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とが分離してしまう可能性があるが、図22や図23に示すRFIDタグでは、第1の誘電体基板39に貫通孔50又は貫通孔52を設け、第2の誘電体基板41をそこに挿入・固定させるので、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との接触面が多くなり、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とが分離してしまう可能性を減じることができる。もちろん、図18や図19に示すRFIDタグの第1の誘電体基板39にも貫通孔を設けて、その貫通孔の形状に対応した第2の誘電体基板41を挿入・固定してもよい。
また、貫通孔50、52や第2の誘電体基板の断面形状は、円形や矩形に限られたものではなく、楕円、十字型、星型及び多角形でもよい。樹脂成形で第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41を製造すれば任意の形状にそれぞれの基板を製造することができるので、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて形状を選択すればよい。さらに、貫通孔50、52や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図22に示すような、円柱の貫通孔50、52や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる円錐でもよい。なお、RFIDタグ49及び51の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は省略する。さらに、前述の通りICチップ6周辺の電界は、スロット4の近傍に集中するので(図3)、その電界が集中する箇所の真下である第1の誘電体基板39の一主面側における第2の誘電体基板41には、接地導体層2xを設けなくてもよい。つまり、これは第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とを固定(嵌合・接着)する前に接地導体層2xを設ける必要がないことを指し、結果として選択できる製造方法のバリエーションが増えるという効果がある。
図24は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図である。図24(a)は、RFIDタグの平面図、図24(b)は、図24(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、図24においては、53はRFIDタグ、54は第1の誘電体基板39の中央、かつ、第1の誘電体基板39の対向する辺から辺に設けられた段差部である。RFIDタグ53は、図18〜23に示すRFIDタグとは異なり、第1の誘電体基板39に凹部や貫通孔などの開口を第1の誘電体基板39の一主面に設ける代わりに、開口を第1の誘電体基板39の一主面及び側面に設けた凹部状の段差部54に第2の誘電体基板41を嵌合又は接着させた構造を採っているので、第1の誘電体基板39の一主面側から第2の誘電体基板41を挿入するにしろ、第1の誘電体基板39の側面から第2の誘電体基板41を挿入するにしろ、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との位置合わせが容易になるという効果を奏する。
また、段差部54や第2の誘電体基板41の表面は平らにする必要はなく、波状のうねりや嵌合用の凹凸を表面に設けて第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との結合の強さを高めてもよいし、段差部54は、スロット4に対して平行に形成する必要はなく、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて方向を選択すればよい。さらに、段差部54や第2の誘電体基板の頭頂部から底部まで同じ断面形状である必要はない。例えば、図24に示すような、立方体の段差部54や第2の誘電体基板でなく、頭頂部から底部にかけてテーパ状に細くなる台形錐でもよい。なお、RFIDタグ53の製造方法は、第1の誘電体基板39及び第2の誘電体基板41の製造後、第2の誘電体基板41を第1の誘電体基板39に嵌合又は接着を行なう以外は省略する。
図25は、この実施の形態5に係るRFIDタグの構成図である。図25(a)は、RFIDタグの平面図、図25(b)は、図25(a)でA−A’線により切断したときの断面図であり、55はRFIDタグ、56は第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板39との連接面である。RFIDタグ55は、図24に示すRFIDタグ53の段差部54を廃して、第2の誘電体基板41の側面に連接面56を介して第1の誘電体基板39が配置され、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41と結合してもので、まず、第2の誘電体基板41を作成して後に、射出成形の金型に第2の誘電体基板41を入れて、代の誘電体基板39となる樹脂を入れることにより製造される。単に、第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41とを別々に製造して連接面56で張り合わせてもよい。
また、連接面56における第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41は平らにする必要はなく、波状のうねりや嵌合用の凹凸を表面に設けて第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41との結合の強さを高めてもよいし連接面56は、スロット4に対して平行に形成する必要はなく、RFIDタグの曲げ方や曲げる方向に応じて方向を選択すればよい。さらに、連接面56における第1の誘電体基板39と第2の誘電体基板41は、頭頂部から底部まで(一主面から一主面まで)同じ断面形状である必要はない。例えば、図25示すような、垂直な連接面56でなく、一主面から一主面にかけてテーパ状に細くなる連接面でもよい。なお、RFIDタグ55の製造方法は、第2の誘電体基板41と第1の誘電体基板39との結合後は、実施の形態4で説明したRFIDタグと同様であるので省略する。
以上、説明したように本発明の実施の形態5おいては、RFIDタグの記誘電体基板において、ICチップ6周辺の硬度がICチップ6周辺以外の場所の硬度も高くなるようにしたので、本発明の実施の形態4に係るRFIDタグの効果に加えて、RFIDタグを曲面に張った際のICチップ6とパッチ導体パターン3(電気接続部5、5)との電気的な接続の信頼性がより高いRFIDタグが得られるという効果を奏する。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6について図26〜図30を用いて説明する。実施の形態1〜5以外の変形例を説明する。図26は実施の形態6に係るRFIDタグの構成図、図26(a)は誘電体基板の表面図、図26(b)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凸型)、図26(c)は、RFIDタグ設置対象物(設置面凹型)であり、それぞれ36s、37sと符号が付され、図26(a)に記載のRFIDタグ(ICチップの配置が誘電体基板1内であることとフィルム基材24を有することが異なる。)を設置面に設置している。図27は実施の形態6に係るRFIDタグの構成図、図28は実施の形態6に係るRFIDタグの構成図、図29は実施の形態6に係るRFIDタグの構成図、図30はRFIDタグのアンテナ面であるパッチ導体パターンとICチップとのインピーダンス整合の微調整説明図、図30(a)は屈曲部を有する矩形の長細状のスロットを有するRFIDタグのスロット拡大図、図30(b)は屈曲部を有し、外形に段差があるスロットを有するRFIDタグのスロット拡大図であり、図30(a)に係るRFIDタグと図30(b)に係るRFIDタグとが同じインピーダンスを有する。また、図30はスロット4の端部を示しており、図3(b)の全体図としては、図28又は図29が挙げられます。図30(a)に関しては、図5(a)で挙げたスロット21に屈曲部を介して第2のスロット(後述のスロット64)と第3のスロット(後述のスロット64)とが接続されたRFIDタグが全体像である(図示せず)。詳しくは、図28や図29に示すRFIDタグのスロット4aとスロット4b(スロット4c)との間にあるような段差部分がなく、スロット4aがそのまま屈曲部に延びたような形状をしている。
図26〜30において、57はRFIDタグ、58はRFIDタグ、59はパッチ導体パターン3の端部に切り欠き状に設けられた電気長調整部、60はRFIDタグ、61は第2のスロット4bと屈曲部を介して連続した第2のスロット、62は第3のスロット4cと屈曲部を介して連続した第3のスロット、63はRFIDタグ、64はスロット4a(スロット21)の幅方向と同じ長さ(電気接続部5を除く)の幅方向の長さを有するスロットである。なお、スロット4bとスロット61と繋ぐ屈曲部は、スロット4bの一部としてもよいし、スロット61の一部としてもよい。同様に、スロット4cとスロット62と繋ぐ屈曲部は、スロット4cの一部としてもよいし、スロット62の一部としてもよい。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示しそれらについての詳細な説明は省略する。
図26(a)に示すRFIDタグが他の実施の形態と異なる点は、スロット4がパッチ導体パターン3(誘電体基板1)の中心近傍から大きく離れていることである。図26(a)上では右側にスロット4が寄っている。このスロット4を有するRFIDタグ57に対して、そのまま実施の形態4及び5に記載の技術を適用すると、RFIDタグ57の方が実施の形態4及び5に係るRFIDタグよりも性能が劣ることが明白である。しかし、適用が全くできないというわけはない。また、図26(b)(c)に示すRFIDタグ設置対象物36s,37sのように、ICチップ6から遠ざかるにつれ、曲率が上がっていくような設置面であれば、ICチップ6や電気接続部5(図26では省略)に掛る負荷は、ICチップ6や電気接続部5以外の部分に掛る付加よりも低いので、RFIDタグ57に実施の形態4及び5に記載の技術を適用することは容易であり、RFIDタグ57の方が実施の形態4及び5に係るRFIDタグよりも性能が著しく劣るこということはない。
図27に示すRFIDタグが他の実施の形態と異なる点は、図示されるように、パッチ導体パターン3の側部(図27では長手方向の端部)に切り欠きのような形状の電気長調整部59が形成されていることである。電気長調整部59は、スロット4とは垂直となる位置に設けられているので、パッチ導体パターン3の実効的な電気長が見かけの長さよりも長くなり、RFIDシステムの使用周波数が固定でも、パッチ導体パターン3の大きさを小さくできるので(図面上では、横の長さ)、RFIDタグ58全体の寸法が小さくできる。パッチ導体パターン3の長さ未満であれば、電気長調整部59の長さは変更できるので、長さや切り込みの程度を調整して設計することにより、RFIDタグ58全体の寸法を名刺大にすることや設置対象にあわせた寸法にすることも、ある程度の範囲内では可能である。なお、電気長調整部59の調整以外にも、他の実施の形態と同様に、誘電体基板1の厚みや比誘電率,パッチ導体パターン3,スロット4の寸法などが大きく関係するので、これらの条件もあわせて調整して設計することにより、RFIDタグ58の寸法及び所望の放射パターンや利得を得ることができる。また、電気長調整部59はパッチ導体パターン3の片側だけに設けてもよい。
図28に示すRFIDタグが他の実施の形態と異なる点は、スロット4がスロット4a,スロット4b,スロット61,スロット62で構成され、屈曲部を有していることである。このスロット4の機能は、RFID57に使用するICチップ6と、パッチ導体パターン3(電気接続部5)との整合を取るために必要なスロット全長がパッチ導体パターン3からはみ出してしまう長さである場合に、屈曲部を設けることにより、パッチ導体パターン3内にスロット4を納めることが可能となる。これは、RFIDタグ63は、スロット4b及びスロット4cが延びる方向を短くすることが可能となることを指す。つまり、パッチ導体パターン3の大きさを小さくできるので(図面上では、縦の長さ)、RFIDタグ58全体の寸法が小さくできる。
図29に示すRFIDタグは、図26及び図28に示すRFIDタグを組み合わせた構成となっている。したがって、基本的な特徴や効果は図26及び図28に示すRFIDタグと同等であるが、RFIDタグ63は、スロット4aがパッチ導体パターン3(誘電体基板1)の中心近傍から大きく離れているので、パッチ導体パターン3上でスロット61及びスロット62を延伸させて設計できる余地を大きく残しており、インピーダンス調整の幅が広がるという効果がある。
図30は、第2のスロット61及び第3のスロット62にも、実施の形態1(図5)で説明したような効果、つまり、アンテナ面であるパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合の微調整が図28、29に示されるRFIDタグにもあることを示すものである。図28、29におけるスロットの微調整は、スロットを小型化する方向で行なえるように、予めスロットを大きめに設計している。まず、図30(a)に記載のスロット64を小型化してパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合を取る場合では、導体箔22をスロット64の長手方向における片方の端部に設けることにより実現できるが、導体箔22で覆われた部分によるスロット64の寸法の微小な変化でインピーダンスが大きく変動するため、導体箔22の配置、つまり、スロットを長さ方向に覆う量(図30(a)の矢印で示す長さ)の調整が難しく、スロット形状の変更によるインピーダンス調整が困難であることが分かる。
一方、図30(b)に記載のスロット61又はスロット62を小型化してパッチ導体パターン3とICチップ6とのインピーダンス整合を取る場合では、導体箔22を第2のスロット4bの長手方向における片方の端部に設けることにより実現できる。第2のスロット61又は第3のスロット62は、第1のスロット4aよりも幅の細いので、図5(a)のようにスロット64のみのRFIDタグで長さを変更した場合と比べて、第2のスロット61又は第3のスロット62をスロット64と同寸法の長さ分を変更した場合の方がインピーダンスの変動量が小さいため、インピーダンス整合の微調整が可能となる。つまり、図30(b)に記載のスロット4は、図30(a)に記載のスロット21に比して、寸法の微小な変化でインピーダンスが大きく変動しないため、導体箔22の配置、つまり、スロットを長さ方向に覆う量(図30(b)の矢印で示す長さ)の調整し易く、スロット形状の変更によるインピーダンス調整が容易であることが分かる。詳しく説明すると、図30(a)に記載されたスロット21を有するRFIDタグと図30(b)記載されたスロット4を有するRFIDタグとが同じインピーダンスを有する場合は、それぞれ同じ量だけインピーダンスを調整するためには、スロット64の長さ方向を覆う導体箔22の長さよりも、スロット61(スロット62)の長さ方向を覆う導体箔22の長さの方が長くなるので、スロット61(スロット62)の方が、導体箔22の配置(スロット61又はスロット62を覆う量)を変更に対する影響が少ないので、インピーダンス整合の微調整が可能となる。つまり、スロット形状の微調整が可能となる。スロットを小型化する方向で行なえるように、予めスロットを大きめに設計する以外の設計方法や微調整方法は、実施の形態1で説明したものと同様であるので省略する。
この実施の形態6に係る複数のRFIDタグは、それぞれ適宜組み合わせることが可能であり、さらに、他の実施の形態(実施の形態1〜5)と組み合わせることが容易であることはいうまでもない。これは、図26〜29では電気接続部5が図面上では見えないICチップ6が誘電体基板1上に載置されているが、実施の形態3〜5に記載された穴部23などの穴部を有するRFIDタグ(ICチップ6による突起が殆どないRFIDタグ)にも、組み合わせることが可能であることも含む。さらに、図26(a),図27〜29では誘電体基板1が同程度の大きさのものを示しているが、実際はスロット4の形状(ICチップ6にも依存)等により、誘電体基板1の大きさが変わる。また、誘電体基板1の寸法や材料定数が一定であれば、スロット4(特にスロット4a)の寸法が変わる。以上、説明したことは、他の実施の形態(実施の形態1〜5)間でもいえることである。