次に本発明に係る遊技機の実施形態をパチンコ遊技機について図面に従い説明する。図1は本発明に係るパチンコ遊技機の正面図、図2は同前側から見た斜視図である。1は外枠であり、その前面の遊技盤取付枠(図示せず。)に遊技盤2が配置されると共に該遊技盤取付枠の前側に遊技盤2を覆うようにして前面枠3が開閉自在に軸着される。該前面枠3には中央に前記遊技盤2の遊技部2aが臨む窓開口4が開設され、該窓開口4に合成樹脂製またはガラス製の透明板を前後に配置した透明板ユニット5が装着される。そして、窓開口4を介して前側から前記遊技部2aが視認できるようになっている。
前面枠3は合成樹脂により成形され、その前面であって窓開口4の下縁に、前方へ張り出させるようにして打球発射部(図示せず。)に供給される遊技球を貯留する球受皿6が一体に設けられる。該球受皿6の一側上面に操作部6aが設けられ、該操作部6aに遊技者が任意に操作し得る主操作ボタン7を設けると共に、該主操作ボタン7から少し離れて隣り合うように夫々矢印が4方向に印字された4つの選択キー8a〜8dとその中心に位置する選択キー8eが設けられる。また、前面枠3の下部一側には、打球発射部から発射される打球の打球力を調整するための打球力調整ハンドル9が設けられる。
遊技盤2面の遊技部2aはガイドレール10で囲まれ、そのほぼ中央で一側(図1では右側。)に寄せて大型の変動表示装置11が配設される。該変動表示装置11の下方の遊技盤2面には始動入賞口13が配設されている。また、該始動入賞口13の下方には後述するように大当り状態になったときにソレノイドが作動することで開放状態となり一度に多くの遊技球を入賞させることが可能となる大入賞口14が配設されている。
始動入賞口13は一対の開閉翼片13a,13aを有し、該開閉翼片13a,13aはソレノイドの作動により起立して遊技球が入賞し難い状態と、外側に傾倒して開くことにより遊技球が入賞し易い状態とに変化するいわゆるチューリップ型のものである。15は遊技球が通過する通過チャッカーであり、該通過チャッカーにより遊技球が電気的に検出されることにより、別途に「○×」の抽選が行われ、その結果が「○」になると、始動入賞口13の開閉翼片13a,13aがソレノイドが作動することで一回短時間だけ開く。16は普通入賞口、17はガイドレール10の内周縁に沿って配置される電飾を兼ねたレール飾りである。
図3〜図6に示すように変動表示装置11は、前後面が開口19する合成樹脂製の箱枠体20と、該箱枠体20の後面に取着される電子ディスプレイ12とから構成される。箱枠体20の前側板20aの前側に取付板21が取着される。また、取付板21の正面から見てその上部と右側部とに前方へ突出する略弧状の縁枠部22が周設されている。そして、該縁枠部22に沿ってその内側に多数の星型の立体模様をあしらった飾り枠体23が配設される。また、取付板21の一側(図1では左側。)にワープ通路24が設けられ、該ワープ通路24に入った遊技球はステージ25上に導かれる。
ステージ25は取付板21における開口19の下縁部に沿って前記ワープ通路24の出口と連なるよう形成され、該ステージ25は上面中央部を高くし、その左右の長手方向に沿って波状に湾曲して形成され、図7に示すように前記ワープ通路24とは反対側の終端に上方へ起立する止め板26が設けられる。該止め板26の外側には、飾り枠体23の星型の立体模様間に形成され右下側領域E2に通ずる逃し通路27が設けられ、該止め板26を乗り越えた遊技球を逃し通路27を介して再び右下側領域E2に戻すようにしている。
また、ステージ25の中央下方であって取付板21に始動入賞口13の真上に位置する球排出口28が開設されている。また、取付板21の後側に開口19を覆う透明な合成樹脂板31が配置され、該合成樹脂板31は電子ディスプレイ12の表示画面12aが遊技球によって破損しないように保護している。また、該合成樹脂板31の後面に接するようにして開口19の周縁に後方へ突出する飾り縁部32が設けられる。ステージ25の中央後側には前面が開放された球受口33が設けられる。該球受口33はステージ25の中央上面よりも上方へ突出しており、かつ、前記球排出口28と連通している。このため、ステージ25上面を左右にゆっくり転動する遊技球であって、球受口33に入った遊技球は、球排出口28から遊技盤2面に排出される。
また、箱枠体20の内部の一側、正面から見て左側に一対の装飾可動体36a,36bを配設する。図8(イ)(ロ)に示すようにこの内の一方の装飾可動体36aは、上下方向に配置されたほぼ直線状のアーム部38と、その上端に延設され二つの半円が横に並んだ形状をなす枠状装飾部材39とからなる。そして、該アーム部38の下端部が箱枠体20に支軸40により軸着され、電子ディスプレイ12の前面12aに沿って自在に揺動する。また、他方の装飾可動体36bは、上下方向に配置されたほぼ直線状のアーム部41とその下端に延設されほぼV字型形状をなす枠状装飾部材42とからなる。そして、該アーム部41の上端部が箱枠体20に支軸43により軸着され、電子ディスプレイ12の前面12aに沿って自在に揺動するようになっている。これら一対の装飾可動体36a,36bは両アーム部38,41で前後に交差し、一方のアーム部38から支持ピン44が突設され、他方のアーム部41に該支持ピン44が遊挿される保持孔45が開設される。そして、支持ピン44を保持孔45に遊挿し枢着した状態で、一対の装飾可動体36a,36bがそれぞれ支軸40,43を中心として揺動する。
また、図9(イ)〜(ハ)に示すように下端で軸着された一方の装飾可動体36aのアーム部38に、その支軸40近傍の一側に位置させて該装飾可動体36aの揺動面と平行な袖板46が一体に張設され、該袖板46に前記支軸40を通る直線に沿って細長孔47が開設される。箱枠体20に、動力伝達手段としての従動歯車48が支軸49により袖板46と前後で一部重なるようにして軸着される。該従動歯車48は一方の装飾可動体36aの揺動面と平行な面内で回動し、その後面には、前記細長孔47に挿通する係合ピン50が突設される。
また、従動歯車48に近接させて箱枠体20に、駆動軸51aに固着された駆動歯車52を前記従動歯車48に噛合させる電動アクチュエータとしての駆動モータ51が取着される。前記従動歯車48の前面に円環状の筒部53が同心円状に突設され、その外周の一側に透光性のスリット54が設けられる。55は、箱枠体20に投光部55aと受光部55bとを固設し、筒部53の内側と外側にそれぞれ該投光部55aと受光部55bとを対向させる該スリット54を光学的に検出するフォトセンサからなる回転検出センサである。また、図6に示すように前記両枠状装飾部材39,42はそれぞれ前面が開放される空洞状に形成され、その前面が半透明なレンズ部材56により覆われ、内部に複数個の発光体であるLED57が等間隔に配置されている。
一対の装飾可動体36a,36bは、常態ではそれら枠状装飾部材39,42が互いに離れるように揺動し、図10に実線に示すように箱枠体20における前側板20aと後側板20bとの間の上部と下部にそれぞれ分散して設けられた所定の収納スペース58a,58bに位置し、いずれもパチンコ遊技機Pの前側からは見えないようになっている。そして、駆動モータ51の駆動軸51aが一定方向に回動すると、駆動歯車52と噛合する従動歯車48が回動して係合ピン50が細長孔47内を往復動する。これに伴い、一方の装飾可動体36aが揺動し、これと連動して他方の装飾可動体36bも揺動する。これにより、一方の枠状装飾部材39が上から下降すると共に他方の枠状装飾部材42が下から上昇し、図10に鎖線に示すように電子ディスプレイ12の前面中央で両枠状装飾部材39,42が接して合着する。これによりハート形が形成される。なお、この状態で駆動モータ51は一旦停止し、再び駆動モータ51が駆動して駆動歯車52が同方向へ回転することにより、両枠状装飾部材39,42が離れて互いに上下方向へ別れ、両枠状装飾部材39,42は電子ディスプレイ12の前面から退避して元の収納スペース58a,58bに収納する。
図10に実線で示したように前記両装飾可動体36a,36bが収納スペース58a,58bに収納した状態では、従動歯車48における筒部53のスリット54を回転検出センサ55で検出してその位置で両装飾可動体36a,36bが停止するように駆動モータ51を停止させる。両装飾可動体36a,36bが一往復して収納スペース58a,58bへ戻ってきたとき、スリット54が回転検出センサ55で検出されるようになっており、その中間位置、すなわち従動歯車48が前記位置から半回転した位置、換言すると両枠状装飾部材39,42が図10鎖線のように出現した位置では、駆動モータ51が自動的に停止するようになっている。
一方、前記箱枠体20の後側板20bにおける一側隅角部、正面から見て開口19の右下隅に隅角覆い板71が着脱自在に取着され、該隅角覆い板71の前面に携帯電話器の外形を模した仕掛け飾部材72が配置される。該仕掛け飾部材72は、図11に示すように隅角覆い板71に固着される台枠73と該台枠73に取着される保持枠74と該保持枠74に取着される電話ケース体75とからなる。該台枠73は、台板73aの裏面の両側に一対のビス孔76,76が設けられ、台板73aの両側縁に後方へ屈曲する側板73b,73bが設けられると共に両側板73b,73bの上・下端部にそれぞれ軸孔77,77が開設される。
保持枠74は、台枠73より大きく略縦長長方形状に成形され、その前面板74aの両側縁に前端縁がそれぞれ下方に進むに従い前方へ迫り出すような傾斜面に形成される側面板74b,74bが設けられ、両側面板74b,74b間に前記上下の各軸孔77に遊嵌する軸78,78が固着される。これら上下の軸78,78は、平行でありかつ前面板74aに対しても平行に位置する。前面板74aの両側であって両側面板74b,74bの内側には、前面板74aの中央部を残して縦長の切欠開口79,79が設けられ、各切欠開口79,79に台枠73のビス孔76,76が対応している。また、前面板74aの中央部は台枠73の後側に位置し、その中央部の所定位置に縦長の連通孔80が開設される。保持枠74の下端縁から両側板74b,74bの前端縁の傾斜に沿って受止板部81が延設され、該受止板部81の中央に後記する配線基板87のコネクター90を挿通させる透孔82が開設される。83,83は、該透孔82両側の受止板部81と前面板74aの上端両側に開設されたビス挿通孔である。
図11乃至図14に示すように、前記電子ディスプレイ12の前面右側に設けられる仕掛け飾部材72は、携帯電話器の外観を呈するように合成樹脂材により電話ケース体75を成形したもので、複数の模擬テンキー84が半透明な樹脂により形成した操作面部75aとその上部に連接され縦長長方形状の窓孔85が開設された表示部75bが形成され、窓孔85は透明な樹脂板85aにより覆われている。また、操作面部75aの裏面には、その上下部に前記各ビス挿通孔83に対応位置してビス孔86が設けられている。87は保持枠74と操作面部75aとの間に介在される配線基板であり、その前面に前記各模擬テンキー84に対応位置させてそれぞれLED88が配設されている。また、配線基板87の下端部両側にビス孔86,86に対応位置させてビス挿通孔89が設けられている。これら両ビス挿通孔89間の裏側には、コネクター90が設けられる。
前記台枠73の下方であって隅角覆い板71の前面に、中央より少し下方を支軸91により軸着して隅角覆い板71の前面に沿って揺動する作動杆92が配置される。また、該作動杆92の下側に、一側面にカム溝93を刻設した回転円板94が配置される。該回転円板94はその裏側に隅角覆い板71に固着された電動アクチュエータとしての駆動モータ95の駆動軸95aに軸着され、隅角覆い板71の前面に沿って回転し得るようになっている。作動杆92の上端前面に前記保持枠74の連通孔80に係合する第一係合ピン96aが突設され、下端後面に前記回転円板94のカム溝93に嵌入する第二係合ピン96bが突設される。カム溝93は、回転円板94の中心を囲うようにして略三角形状に形成される。また、98は回転円板94の外周縁に等間隔を保持して3つの透光性のスリット97を形成し、該回転円板94を両側から挟むように投光部98aと受光部98bとを配置することにより、該回転円板94の回転状態を光学的に検知するフォトセンサからなる回転検出センサである。該回転検出センサは、仕掛け飾部材72が原点位置(向って右側に移動した状態)にあるときに投光部98aから出た光がスリット97を通過して受光部98bに受光されることで、その原点位置が検出されるようにしている。
また、両ビス孔76,76が保持枠74の両切欠開口79,79に対応するようにして、台枠73の両側板73b,73bの上下部に開設された軸孔77,77に水平な支持軸78,78を遊挿すると共に、該軸78,78の両端部を保持枠74の両側面板74b,74bに固着することにより保持枠74が台枠73に取着される。また、保持枠74の前面に、ビス挿通孔89,89が受止板部81のビス挿通孔83,83に一致するようにして配線基板87を当接する。この際、コネクター90は、透孔82から後方へ突出させておく。また、保持枠74の前面に、操作面部75aを被せる。そして、保持枠74の裏側から各ビス挿通孔83,83を介して操作面部75aの裏面の各ビス孔86にビス99を螺締してなる。
こうして組み立てられた仕掛け飾部材72は、隅角覆い板71の前面に配置し、前記台枠73のビス孔76,76に対応して隅角覆い板71に設けられたビス挿通孔100,100を介して該各ビス孔76にビス101を螺締する。このため仕掛け飾部材72は支持軸78,78に沿って自在に左右に摺動可能となり、駆動モータ95が駆動されると回転円板94が回転して作動杆92を小刻みに左右に揺動させる。これに伴い仕掛け飾部材72が図14に破断線で示したように左右に揺動する。そして、該仕掛け飾部材72は電子ディスプレイ12の前面に位置するため窓孔85から該電子ディスプレイ12の表示の一部が透視され、該電子ディスプレイ12に例えば携帯電話の一般的な待受画面を表示することにより、その表示が該窓孔85から透視され、該仕掛け飾部材72が実際の携帯電話器のように演出される。
図15はこの遊技機を作動させる遊技制御基板のブロック図である。図中、200はCPUとRAM,ROMおよびI/Oとからなる主制御回路、201は該主制御回路に接続され賞球の払出を制御する払出制御回路、202は該主制御回路に接続されこの遊技機の演出効果を高めるために設けられた演出制御回路、203は該演出制御回路に接続された画像制御回路、204は該演出制御回路に接続された仕掛制御回路である。なお、これら払出制御回路201、演出制御回路202、画像制御回路203、および仕掛制御回路204についても主制御回路200と同様に夫々CPUとRAM,ROMおよびI/Oからなる。
前記主制御回路200には、前記始動入賞口13に入賞した遊技球を検出するスイッチ205、その開閉翼片13a,13aを開閉動させるソレノイド206、前記通過チャッカー15を通過する遊技球を検出するスイッチ207、前記大入賞口14に入賞した遊技球を検出するスイッチ208、前記大入賞口14を開閉させるソレノイド209、前記普通入賞口16に入賞した遊技球を検出するスイッチ210が夫々接続される。また、払出制御回路201には、該主制御回路200からの指令により球受皿6に所定数の賞球を払い出すために必要な賞球払出装置を作動させるモータ211等が接続される。また、画像制御回路203に前記電子ディスプレイ12、前記主操作ボタン7、前記選択キー8a〜8e、および遊技者に対し効果音および遊技に必要な音声案内等を発声させるスピーカ212が接続され、仕掛制御回路204には、前記装飾可動体36a,36bを作動させる電動アクチュエータたる駆動モータ51、および前記仕掛け飾部材72を揺動させる電動アクチュエータたる駆動モータ95が接続されているほか、遊技盤2および前面枠3等に設けられた各種装飾ランプ213、214が接続される。
このように構成したパチンコ遊技では、スイッチ207により通過チャッカー15を通過する遊技球が検出されると、主制御回路200にて「○×」の抽選がなされ、その結果が「○」であるとソレノイド206を作動させ、始動入賞口13の開閉翼片13a,13aが一回だけ短時間開かれ、該始動入賞口13に遊技球が入賞し得るようになる。また、ワープ通路24に流入した遊技球がステージ25上面に放出され、該ステージ25中央の球受口33に入ると、その下方の球排出口28から遊技盤2面に排出されることから、始動入賞口13に遊技球が入賞する機会が増す。そして、始動入賞口13に遊技球が入賞し、いわゆる始動条件が成立すると、電子ディスプレイ12に数字、記号、またはキャラクタ等の図柄が縦3列にて変動表示され、その変動が例えば「222」、「☆☆☆」または「777」のように揃った状態で停止すると、大当たりとなり、ソレノイド209が作動して大入賞口14が継続的に開かれることから、一時に多数の遊技球を入賞させることができる。
なお、このようにして大当たりが発生する点は、従来のパチンコ遊技機と同様であるが、本発明では始動入賞口13に入賞した遊技球がスイッチ205により検出されると、主制御回路200は大当たりを決定するための乱数を取得し、該乱数により大当たりであるかハズレであるかを判定すると共に、演出態様等を決定するためにさらに複数の乱数が取得され、その乱数値を判別することにより大当たりであるかハズレであるかの結果を遊技者に知らせるにあたっての種々の演出が選択される。図16はこの演出選択過程を示すフローチャートで、主制御回路200から発信された図柄変動開始コマンドが演出制御回路202に受信されると、乱数値によりリーチ状態表示の有無および大当たりの有無がそれぞれ決定され、その状況に従い図17の表1に示したテーブル1〜3が参照され、さらにその演出の態様が該乱数値に従い同表1の「演出A」〜「演出C」または「演出なし」より選択され、画像制御回路203に選択された演出を実行するべく指令を出す。
指令を受けた演出制御回路202はその決定に基いて画像制御回路203および仕掛制御回路204にそれぞれ作動を指令する。図18は演出制御回路202の指令を受けて画像制御回路203が作動する過程を示したフローチャートである。同図に示すように、予告中でなく、予告タイミングであり、予告ありであると、仕掛制御回路204に枠状装飾部材39,42を出現させる指令、即ち、ハート出現指令をすると共に、該枠状装飾部材39,42によって囲われた電子ディスプレイ12の一部に予告表示をさせ、その外側にイメージ表示をさせる。そして所定時間経過後にその予告表示を拡大表示すると共に、仕掛制御回路204に該枠状装飾部材39,42を退避させる指令を出す。また、図19は仕掛制御回路204が枠状装飾部材39,42を制御する過程を示すフローチャートであり、上記画像制御回路203からの出現指令および退避指令に従い、駆動モータ51を作動させ、枠状装飾部材39,42を出現または退避させる。
図20の(イ)→(ロ)→(ハ)および(イ)→(ニ)→(ホ)は上記演出の推移を具体的に例示するもので、始動条件が成立し画像制御回路203の作動により電子ディスプレイ12に図柄が3列にて上から下に流れる如くに変動表示された後、同図(イ)に示したように左列と右列とが同一図柄(例えば「7」)にて停止することでリーチ状態となると、大当たりが発生することを遊技者に予告するものとして例えば表1の演出Aが選択されていたとすると、仕掛制御回路204が駆動モータ51を作動させ、同図(ロ)に示したように枠状装飾部材39,42が電子ディスプレイ12の前面に出現して該枠状装飾部材が合着し、ハート形が形成される。そしてそれと同時に該枠状装飾部材によって囲われた部分に大当たりを予告する表示(この場合、「タヌキ」のキャラクタを表示)がなされる。なお、図21にはこの演出のタイミングチャートを示す。同タイミングチャートにも示したように電子ディスプレイ12がこのように枠状装飾部材により囲われた部分に予告表示をする間は、該電子ディスプレイ12におけるこの囲われ部分の外では☆印を点滅させる等のイメージ表示がなされる。そして、この予告表示は徐々に拡大され、その拡大に伴い該枠状装飾部材が図20(ハ)に示したように分離して該電子ディスプレイ12の前面から退避する。枠状装飾部材のこのような動きは、この電子ディスプレイ12の予告表示がハート形の殻を打ち破って外に出てくるようなインパクトのある印象を遊技者に与える。このような内容の演出Aがされた後は電子ディスプレイ12の表示はまた元の全面表示に戻り、「777」等により大当たり発生を表示したり、「787」等によりハズレを表示する。
また、表1の演出Bが選択されていたとすると、上記タヌキのキャラクタに換わって図20(ニ)に示したように、特定の標識(この場合、「!!」のシンボルマークを表示)が大当たりを予告する表示として上記のように枠状装飾部材によって囲われた部分に表示され、この予告表示も同様に徐々に拡大され、その拡大に伴い該枠状装飾部材が同図(ホ)に示したように分離して該電子ディスプレイ12の前面から退避する。このような内容の演出Bがされた後に電子ディスプレイ12の表示が元の全面表示に戻り、「777」の大当たり表示、或いは「787」等のハズレ表示がされる。このように、枠状装飾部材39,42を出現させ該枠状装飾部材によって囲われた狭い部分に予告表示をすることにより、遊技者の目線を一点に集中させ、これによって大当たり発生に対する遊技者の期待が助長され、遊技者をワクワクとさせることができる。なお、表1の演出Cについては例示しないが同様に予告表示のキャラクタが他のものに変更される。そして枠状装飾部材39,42の出現を伴うこれらの演出により、遊技者に大当たり発生を強く予感させられることから、この遊技機の興趣を増大させる。なお、表1の演出なしが選択された場合は以上のような演出がされることなく図柄が変動停止する。
次に、大当たりまたはハズレの結果を遊技者に知らせるにあたっての演出として、いったんはハズレ表示をした後に、その表示を再変動させ、大当たり表示に復活させる復活演出について図22〜図25に従い説明する。この復活演出も上記のように取得された乱数を判別することにより様々なパターンで実行されるものであり、図22は演出制御回路202からの指令により画像制御回路203が作動し電子ディスプレイ12の表示を制御する過程を示すフローチャートである。同図に示すように、復活演出中でなく、電子ディスプレイにハズレ表示がされ、かつ上記乱数により復活演出ありであることが確認されると、仕掛制御回路204に枠状装飾部材39,42を出現させる指令、即ち、ハート出現指令をすると共に、そのハズレをもたらした図柄(この場合「6」)を該電子ディスプレイの中央に位置修正および大きさ修正をする。仕掛制御回路204は前述した図19のフローチャートと同様の作動をし、図23(イ),(ロ)に示したように枠状装飾部材39,42を出現させ、該枠状装飾部材が合着することでそのハズレをもたらした図柄(この場合「6」)を囲う。そして同図(ハ)に示したように、囲われた状態で該図柄が再変動し、同図(ニ)に示したように他の列の停止図柄と同一図柄にて停止させた後、仕掛制御回路204に枠状装飾部材39,42を退避させる指令をし、同図(ホ)に示したように、該枠状装飾部材を電子ディスプレイの前面から退避させると共に、その同一図柄に揃った「777」等の大当たり図柄を位置修正および大きさ修正し、電子ディスプレイの全面に表示する。なお、乱数によって結果がハズレと判別されている場合は、たとえこのような復活演出により枠状装飾部材39,42によって囲われた状態で図柄が再変動したとしても結局は同一図柄に揃うことはない。図24はこの復活演出の様相を示すタイミングチャートである。
要するに、この復活演出により、たとえハズレ表示がされた場合であっても、遊技者に大当たりになる期待を再度抱かせることで遊技者をワクワクさせることができ、枠状装飾部材39,42の出現はこのワクワク感を一層助長させることができ、この遊技機の遊興性を増大させる。なお、このような復活演出は、変動途中、或いは、いったんハズレ表示がされた後など、条件が整えば何時でも実行可能であると共に、表示図柄が上記のようにリーチ状態となった場合に実行されるだけでなく、図25にタイミングチャートによって示したように全部の列の図柄を再変動させることもできる。
次にこの遊技機が確変モード中であるときに実行される演出を説明する。確変モードとは、この種のパチンコ遊技機において既によく知られているように、例えば「777」(ラッキーセブン)のように予め決められた数字(図柄)にて大当たり表示がされた場合に、それ以降は一定回数を限度として大当たり発生の確率を通常時よりも高く設定したり、同時に始動入賞口13の開時間を通常時よりも長くしたりすることにより、その限られた一定期間だけを通常時よりも遊技者にとって有利になるようにする態様のことである。この遊技機では図26のフローチャートに示したように、確変モード中である場合のように特定条件が成立していて前記始動入賞口13に遊技球が入賞し始動条件が成立した場合、仕掛制御回路204に枠状装飾部材39,42を出現させる指令、即ち、ハート出現指令をする(仕掛制御回路204の作動は前記した図19のフローチャートと同じ)ことにより、図27(イ)(ロ)に経緯を示したように、枠状装飾部材39,42が電子ディスプレイ12の前面に出現して該枠状装飾部材が合着し、そのハート形に囲われた部分だけで3列の図柄が変動表示する。なお、該枠状装飾部材の外では☆印を点滅させる等のイメージ表示がなされる。そして、同図(ハ)に示したように枠状装飾部材によって囲われた部分の図柄の変動表示がリーチ状態になると、該枠状装飾部材が退避し、同図(ニ)に示したように変動表示部分がさらに拡大してそのリーチ状態の表示が継続された後、同図(ホ)に示したように変動停止し、大当たりまたはハズレが表示される。なお、リーチ状態にならなかった場合は、枠状装飾部材が退避することなく、次にまた始動条件が成立すると該枠状装飾部材に囲われた部分だけで図27(ロ)に示したような3列の図柄変動表示がなされる。要するに、該枠状装飾部材はリーチ状態になった場合だけいったん退避する。図28はこのタイミングチャートを示す。
このように、確変モードであるときなど特定条件が成立していて始動条件が成立した場合、枠状装飾部材39,42が出現し、該枠状装飾部材により囲われた部分でのみ図柄が変動表示されるようにすることで、遊技者に通常時の図柄変動とは異なる趣を与えることができる。そして、このような演出により、特定条件が成立していることの有利性を遊技者に強調することができるので、この遊技機の興味を増大させる。
また、図29に例示した演出は、同図(イ)に示したように3列の図柄が「222」で変動停止し、大当たりが発生したものの、このように揃った「2」は予め決められた数字(図柄)ではないことから、上記のように有利な確変モードにはならない大当たりであると思われたとき、同図(ロ)に示したように枠状装飾部材39,42が出現してこの停止図柄「222」を囲い、該枠状装飾部材によって囲われた部分で同図(ハ)に示したように3列の図柄が一斉に同方向に同速度で変動して同図(ニ)に示したように「222」の表示が「777」に変換されて変動停止した後、同図(ホ)に示したように該枠状装飾部材が退避しその「777」の表示が拡大することで、有利な確変モードの大当たりに変換させる格別の演出である。このように、いったんは確変モードでないと思われても、該枠状装飾部材39,42の出現を契機として遊技者にとってより有利な状況がもたらされるようにすることで、該枠状装飾部材の出現が遊技者に一層の期待を持たせることとなり、この遊技機の遊興性を増す。
次に、携帯電話器の外観に形成された前記仕掛け飾部材72により、遊技者に大当たり発生を予感させるようにする予告演出(以下、「携帯演出」という。)について説明する。前記したように仕掛け飾部材72は窓孔85から透視し得る電子ディスプレイ12の一部に普段は携帯電話の一般的な待受画面のような表示をすることにより、該表示があたかも実際の携帯電話器の液晶表示部に表示されたものであるかのように見受けられる。そして、この携帯演出においても、すでに説明した図16に示すフローチャートと同様に乱数を判別する演出選択過程を経て、図30の表2に示したように、4つの「演出A」〜「演出D」のうちのいずれか、または「演出なし」が選択され、演出制御回路202にこうして選択された演出を実行するべく指令が出される。
指令を受けた演出制御回路202は、その決定に基き演出A〜演出Dの作動を画像制御回路203および仕掛制御回路204に指令する。図31は演出制御回路202から指令を受けた画像制御回路203が実行するこの携帯演出のフローチャート、図32は該画像制御回路203からの指令により仕掛け飾部材72を揺動させる仕掛制御回路204のフローチャート、図33〜図35はそのタイミングチャートである。この携帯演出では、図31に示したように、予告中でないこと、予告タイミングであること、および予告あり等の条件が整うと、電子ディスプレイ12の一部に表示されていた待受画面の表示が、図36に例示したように、「メール受信」の文字と共に、「ボタンを押してね!」といった電子メール受信表示に変えられる。この指令は、このような電子ディスプレイ12上のメール受信表示を左右に揺動させる揺動表示を伴うものとする。また、一定の遅延時間が経過した後に仕掛制御回路204に揺動開始指令を出すことで、図32に示したようにその揺動開始指令を受けた仕掛制御回路204が駆動モータ95を回転駆動させて仕掛け飾部材72を上記メール受信表示と同期するように左右に揺動させる。なお、上記遅延時間は仕掛け飾部材72の揺動をメール受信表示の揺動よりも僅かに遅らせる(見た目では認識できないほどの僅かな時間だけ遅らせる)ためのものである。
そして、前記主操作ボタン7の操作を有効化し、前記回転検出センサ98によって仕掛け飾部材72の原点位置を検出し、その原点位置の検出回数によって揺動回数Nを計測する。そこで、遊技者が主操作ボタン7を操作すると、電子ディスプレイ12に上記メール受信表示に代えてメール開封表示セットがされ、その揺動表示を停止させると共に、仕掛制御回路204に揺動停止指令を出し仕掛け飾部材72の揺動を停止させる。そのとき仕掛け飾部材72は回転検出センサ98によって原点位置にあることが検出されていることから常に原点位置にて停止し得る。
そして、遊技者が主操作ボタン7を操作すると、図34に示したように、仕掛け飾部材72の揺動を原点位置にて停止すると共に、電子ディスプレイ12に上記メール受信表示に代えてメール開封表示がなされる。即ち、演出Aが選択されていた場合は、図37に例示したように「大当たり?」といったようなメール内容が表示され、遊技者に大当たり発生を予告する。なお、演出Bが選択されていた場合は主操作ボタン7を操作することによって例えば図38のようなメール内容が表示され、演出Cが選択されていた場合は主操作ボタン7を操作することによって図39のようなメール内容が表示される。そして、主操作ボタン7が操作されることにより仕掛け飾部材72は原点位置にて停止することから、これらのメール内容の文字を揺動することなく停止した状態で読むことができる。また、主操作ボタン7が操作されることなく、揺動回数Nが4回になると、図33に示したようにメール開封表示はされず、待受画面がセットされ、該待受画面および仕掛け飾部材72が原点位置にて停止する。なお、停止後も僅かな時間は主操作ボタン7の操作が有効化されていることから、図35に示したように、その間に主操作ボタン7が操作されればメール開封表示がされる。このように、この遊技機では、電子メールが届いたかのような形態により遊技者に大当たりの予告がされることで、大当たりへの期待が助長され、遊技性を増すことができる。