JP4729354B2 - 偏光調光特性を有する光制御プラスチックレンズおよびその製造方法 - Google Patents

偏光調光特性を有する光制御プラスチックレンズおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、光制御プラスチックレンズおよびその製造方法に関し、より詳しくは偏光特性および調光特性を備える光制御プラスチックレンズおよびその製造方法に関する。
近年、眼鏡用レンズにおいては、ガラス製レンズに比べて軽量であること、および割れにくさの点で安全性が高いことから、樹脂よりなるレンズが賞用されるようになってきている。そしてこれに伴い、ガラスレンズに対して従来施されている付加的機能を樹脂レンズについても付与することの要求も大きくなってきており、特に、反射光を選択的に遮断する特性で、運転中の路面や他の自動車からの反射光、マリンスポーツで問題となる水面からの反射光、ウィンタースポーツにおける雪面からの反射光などを遮断する偏光特性や、強い光が当ったときにはその光の透過を抑制するよう呈色若しくは変色し、暗所に置かれたときには色が消失する特性、すなわち、フォトクロミック特性(「調光特性」ともいう。)を有することが強く要請されている。さらに、偏光特性と調光特性(以下、「偏光調光特性」ともいう)を併せ持つレンズへの要望も高まってきており、一部少量の偏光特性と調光特性を併せ持つガラスレンズが製造販売されている。しかしながら、コスト的に見合う実用的なレベルの偏光特性と調光特性を併せ持つプラスチックスレンズは、技術的な要因から製造販売されていないのが現状である。
通常、プラスチックレンズは積層体として構成される場合が多い。積層体のプラスチックレンズの代表的な製造方法として、近年ではいわゆる注型重合法がよく採用されている。例えば、偏光シートを重合性組成物で挟みこんで重合しレンズを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1など)。この方法はかなり簡便で有力な方法であり、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートを基材とする系では、ポリビニルアルコール系樹脂の偏光シートの両面にトリアセチルセルロース(以下、「TAC」ともいう。)を貼りあわせた積層体を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1など)。
偏光特性と調光特性を併せ持つプラスチックスレンズの既存の技術による製造は、(1)プラスチックス偏光レンズ表面にいわゆるインバイブ法により調光層を設けることにより可能である(例えば、特許文献2など)。しかしながら、この方法は、いわゆるCR−39の名称で知られているジエチレングリコールビスアリルカーボネート(以下、「CR−39」と略す。)以外の系には適用が困難である。
また、CR−39以外の系にも適用可能な方法として、(2)プラスチックス偏光レンズ表面に調光色素を含有する塗膜層を設ける方法(例えば、特許文献3など)、および(3)レンズ基材の中に直接調光色素を含有させる方法(例えば、特許文献4など)などが開示されている。(4)さらに、優れた偏光特性と調光特性を併せ持つ積層体を射出成形により製造する方法の開発も進められている(例えば、特許文献5など)。
特開平1−232006号公報 米国特許5,130,353号公報 特開昭63−178193号公報 特開平7−253633号公報 特開2002−62423号公報
上記(1)の方法では、使用可能なレンズ基材が限定され、さらに重合時に基材と偏光フィルム基板または偏光性積層体との剥離が発生したり、レンズ成型後にも同様な剥離が生じ易いという問題点がある。すなわち、上記(1)の方法において、現在実用化レベルにあるのはCR−39の名称で知られるジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ基材とする系だけであり、チオウレタン系樹脂に代表されるような高屈折率レンズに(1)の方法を適用するには至っていない。その理由は、例えばチオウレタン系重合性組成物の重合条件のように、高屈折レンズを注型重合法で作製する場合の条件は、CR−39の重合条件と比較するとかなり厳しいため、重合の際の様々な条件によって、偏光シートが色調変動や偏光度低下等の性能低下を起こしたり、レンズ成型に用いられる重合性組成物またはその反応体によって偏光シートや偏光積層体が冒されたり、さらにはレンズ成型後のレンズ基材部と偏光性積層体または偏光シートとの密着性が悪くなったりしやすいことなどの理由によるものである。
また、注型重合法による調光レンズの製造方法においても、現在高い生産性を有する方法としては、CR−39の名称で知られるジエチレングリコールビスアリルカーボネートをレンズ基材とする系のみしか知られていないというのが現状である。
また、上記(2)の方法は、塗膜厚みの限界性から着色時と非着色時のコントラストを充分な水準としにくい欠点がある(例えば特許文献3など)。上記(3)の方法ではコントラスト、応答時間を充分なものにしにくいという問題点があった。
注型重合法による偏光調光レンズの製造方法において、可能性を有する方法としては、CR−39をレンズ基材とするプラスチック偏光レンズを作製した後、インバイブ法を採用して表面に調光層を形成する方法しかないというのが現状である。
また、チオウレタン系樹脂に代表されるような高屈折率レンズについては、注型重合による方法を適用するには至っていない。これは、前述のように、偏光シートが色調変動、偏光度低下等の性能低下を起こすこと、レンズ成型に用いられる重合性組成物またはその反応体によって偏光調光積層体が冒されること、およびレンズ成型後のレンズ基材部と偏光/調光積層体との密着性が悪いことなどの理由によるものである。
したがって、チオウレタン系重合性組成物に代表されるような高屈折レンズを用いたプラスチックス偏光調光レンズの製造にも、現在可能性があるとされているCR−39の場合とは全く異なった取り組み方が要求され、注型重合の際の様々な厳しい条件に耐え得る偏光調光積層体の開発や、レンズ用の重合性組成物との適切な組み合わせを見出すことが不可欠である。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、様々な形態のレンズを装着可能な光制御プラスチックスレンズおよびその製造方法を提供することを課題とする。より具体的には、特に注型重合法によって製造可能であり、偏光特性および調光特性に優れる高屈折率の光制御プラスチックスレンズ、その製造において用いられる光制御積層体、およびこれらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を進めたところ、偏光特性および調光特性を有する積層体とレンズ体樹脂層との間に、(メタ)アクリレート系樹脂層を介在させることにより、注型重合のような厳しい条件下で製造する場合でも、レンズ体樹脂層として様々な種類の樹脂を利用可能なため、高屈折率のプラスチックレンズを得ることができることを見出した。また、(メタ)アクリレート系樹脂層を介在させることにより、密着性に優れたプラスチックレンズとすることもできるという知見も得られた。さらには、偏光調光積層体に透明支持体層を設けることにより、強度を付与し、さらに曲げ加工などの加工処理も容易に行うことができることなども見出された。本発明は上記のような思想に基づくものであり、具現化された形態として下記発明を提供するものである。
〔1〕偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリレート系樹脂層が設けられ、さらに前記(メタ)アクリレート系樹脂層の上にレンズ体樹脂層が設けられる光制御プラスチックスレンズ。
〔2〕偏光調光積層体が、さらに透明支持体層を有することを特徴とする、上記〔1〕に記載の光制御プラスチックレンズ。
〔3〕前記(メタ)アクリレート系樹脂層が、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、およびエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成されてなる、上記〔1〕または〔2〕に記載の光制御プラスチックレンズ。
〔4〕前記(メタ)アクリレート系樹脂層の厚さが、2μm以上13μm以下である、上記〔3〕に記載の光制御プラスチックレンズ。
〔5〕前記偏光層が、2色性色素を含有するポリビニルアルコール系樹脂で形成されてなることを特徴とする、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
〔6〕前記調光層が、調光色素を含有するポリウレタン系樹脂から形成されてなることを特徴とする、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
〔7〕前記透明支持体層が、ポリカーボネート樹脂、セルロース系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種から形成されてなることを特徴とする、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
〔8〕透明支持体層の厚さが、20μm以上2mm以下である、上記〔7〕に記載の光制御プラスチックレンズ。
〔9〕レンズ体樹脂層が、チオウレタン系重合性化合物およびエピスルフィド系重合性化合物から選ばれる少なくとも1種で形成されてなる、上記〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
〔10〕偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリレート系樹脂層が積層されてなる光制御積層体。
〔11〕偏光調光積層体が、さらに透明支持体層を含むことを特徴とする、上記〔10〕に記載の光制御積層体。
〔12〕偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された光制御積層体の少なくとも一方の面にレンズ体用重合性組成物を積層し、当該レンズ体用重合性組成物を重合反応により硬化させ、光制御積層体の少なくとも一方の面にレンズ体樹脂層を設ける、光制御プラスチックレンズの製造方法。
本発明の光制御プラスチックスレンズは、注型重合法のように樹脂材料に対する条件が厳しい条件を伴う製造方法においても、様々な種類のレンズ用重合性組成物を用いて製造可能である。そのため、本発明により、ガラス製レンズに比べて軽量であり、割れにくく安全性が高いばかりでなく、特に、高屈折率の偏光特性および調光特性に優れた、高屈折率のプラスチックスレンズを提供することができる。また、本発明の光制御プラスチックレンズは、密着性の優れたものとすることができる。本発明の光制御プラスチックスレンズの製造方法は、非常に広い範囲のレンズ用基材を用いた光制御プラスチックスレンズの製造に有用であり、簡便なものであり高い生産性を有する。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
1.光制御プラスチックスレンズ
本発明の光制御プラスチックスレンズは、偏光特性と調光特性(以下、「偏光調光特性」という)の双方の光制御特性を有する。本明細書において偏光特性とは、前述のとおり、反射光を選択的に遮断する特性で、運転中の路面や他の自動車からの反射光、マリンスポーツで問題となる水面からの反射光、ウィンタースポーツにおける雪面からの反射光などを効果的に遮断し、視認性を向上させる特性のことをいう。特に、フィッシングでは水中の魚等の視認性が向上するため、本特性を有する眼鏡は必需品となりつつある。また、調光特性とは、前述のとおり、強い光が当ったときにはその光の透過を抑制するよう呈色若しくは変色し、暗所に置かれたときには色が消失する特性のことをいう。
本発明の光制御プラスチックレンズの具体的な用途例としては、例えば、光制御特性を有するプラスチックスレンズ眼鏡、自動車や住宅用のプラスチックスレンズ窓、レンズ窓、サンバイザー、スキーゴーグル、飛行機やオートバイの風防などを挙げることができる。この中でも偏光調光特性を有するプラスチックスレンズを用いた眼鏡などが好適な形態として例示される。
本発明の光制御プラスチックスレンズは、偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリレート系樹脂層が設けられ、さらに前記(メタ)アクリレート系樹脂層の上にレンズ体樹脂層が設けられる。また、好ましい形態としては、偏光調光積層体に透明支持体層を設ける形態が挙げられる。
偏光調光積層体は、例えば偏光シートと調光シートなど、それぞれの特性を発揮するシートを重ね合わせて形成することができる。あるいは、一方のシート上に、他方の層を形成し得る液状樹脂材料を塗布して形成可能である。偏光シート等のシートは非常に破損しやすいものである場合が多く、そのままで曲げ加工などが難しい場合がある。そこで、透明支持体層を設けることによって偏光調光積層体に強度や加工容易性を付与することができる。透明支持体層は、偏光層および調光層の積層体の一方の面に積層してもよいし、また両方の面に積層させてもよいし、あるいは偏光層と調光層の間に介在させてもよい。
(メタ)アクリレート系樹脂層は、上記のような偏光調光積層体の一方の面に積層されてもよいし、また両方の面に積層されてもよい。偏光調光層積層体よりも外層部にレンズ体樹脂層を設ける場合については基本的には、(メタ)アクリレート系樹脂層を間に介在させることが好ましい。特に、調光層または透明支持体層が露出する側にレンズ体樹脂層を設ける場合には、調光層または透明支持体層とレンズ体樹脂層との間には(メタ)アクリレート系樹脂層を設けることが必要である。偏光層側については、偏光層を構成する材料の性質などに応じて任意ではあるが、密着性や注型重合により製造する場合を考慮すると、偏光層側にも(メタ)アクリレート系樹脂層を介在させてレンズ体重合層を設けることが好ましい場合が多い。なお、レンズ体樹脂層を偏光調光積層体のいずれか一方の面にのみ設ける場合もあり得るので、その場合については(メタ)アクリレート系樹脂層を設けることは任意である。
この光制御プラスチックスレンズは偏光調光積層体の少なくとも片面を(メタ)アクリレート系樹脂層により被膜した光制御積層体を用いて製造される。この被膜処理により、光制御積層体は、熱や薬品等に起因する厳しい製造条件下においても、劣化を受けてにくく、注型重合のような厳しい条件にも対応可能である。また、レンズ用重合性組成物は透明性を維持したまま重合し、レンズ用重合性樹脂層が形成できる。したがって、本発明の光制御プラスチックスレンズには、高屈折率特性を有するものをはじめ、広範な種類のレンズ用基材により構成される光制御プラスチックスレンズとすることができる。
なお、本発明における各種の積層体は、各層を接着するために他の接着剤を用いてもよいし、あるいは、各層の親和性に基づき接着させてもよい。
(メタ)アクリレート系樹脂層は、熱、紫外線などの活性光線などの外部からのエネルギーにより、液状の(メタ)アクリレート系重合性組成物を重合により硬化させて形成できる。(メタ)アクリレート系樹脂層は、例えば溶剤に(メタ)アクリレート系モノマーなどの硬化前の樹脂成分を溶かした溶液を偏光調光積層体に塗布し、これを硬化させて形成することができる。(メタ)アクリレート系樹脂層を設けることにより、レンズ基材などの化学薬品が接触することによる偏光調光積層体の劣化を抑制することができる。そのため、本発明の光制御プラスチックレンズは、光制御積層体に白濁などの損傷が実質的にないものとすることができる。また、注型重合法などで、レンズ基材などを高温で重合する場合に、偏光調光積層体を熱などから保護することができる。そのため、本発明の光制御プラスチックレンズは、熱による損傷も実質的にないものとすることができる。
レンズ体樹脂層は、前記(メタ)アクリレート系樹脂層を積層した光制御積層体の少なくとも一部を被覆するレンズ基材の層である。
本発明の光制御プラスチックスレンズの一実施形態をに図1に示す。図1に示す形態においては、偏光シート5および調光シート6の積層体の両面に透明支持シート2がそれぞれ積層されて、偏光調光積層体1を形成している。偏光調光積層体1の両面にはさらに(メタ)アクリレート系樹脂層3がそれぞれ積層されている。(メタ)アクリレート系樹脂が積層されてなる光制御積層体全体をレンズ基材であるレンズ体樹脂層4が覆う構成を備える。
本発明の光制御プラスチックレンズの他の実施形態を図2に示す。図2に示す形態では、光制御プラスチックレンズの内側、仮に眼鏡であるとすると目がある側、に偏光シート5が露出した状態で存在する。本形態に示すように、レンズ体樹脂層をさらに積層しない場合には、(メタ)アクリレート樹脂層を設けなくてもよい。これに対し、偏光シート5から外側に向かって、順次、調光シート6、透明支持シート2、(メタ)アクリレート樹脂層3、レンズ体樹脂層4が積層されている。
本発明で用いられる(メタ)アクリレート系樹脂としては、様々な(メタ)アクリレート系樹脂を用いてよい。(メタ)アクリレート系樹脂の中でも、紫外線硬化などの点から、好ましくはウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、およびエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂から選ばれる少なくとも1種または2種以上を用い得る。
(メタ)アクリレート系樹脂層は、硬化前の樹脂成分を含む溶液を光制御積層体上に塗布することなどにより形成し得る。なお、本明細書においては、(メタ)アクリレート系重合性組成物とは、重合して硬化する前の状態の樹脂成分を含む組成物ことをいう。(メタ)アクリレート系重合性組成物は、重合前の樹脂成分のみからなる組成物でも溶剤を含んだ溶液であっても良い。(メタ)アクリレート系重合性組成物は、活性エネルギー線の照射による硬化性を有することが硬化時間、安全性の面から好ましく、活性エネルギー線としては紫外線が好ましい。(メタ)アクリレート系重合性組成物は、アクリレート系重合性化合物およびメタクリレート系重合性化合物の少なくともいずれか1種を含有する重合性組成物のことをいい、この組成物中には重合性化合物として、(メタ)アクリレート系の重合性モノマーおよび/または重合性オリゴマーが含有されている。
(メタ)アクリレート系重合性組成物は、(メタ)アクリレート系重合性オリゴマーと(メタ)アクリレート系重合性モノマーの混合系が好ましい。この重合性オリゴマーとしては多官能の(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーおよびエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく、この中でもウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーがさらに好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、特に限定はなく様々なウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いることができる。このようなウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、構造中にウレタン結合と(メタ)アクリル基を有するオリゴマーでポリイソシアネートとポリオールおよびヒドロキシ(メタ)アクリレート等の組み合わせからなるものである。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート等の芳香族系や、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が一般的であるがこれらに限定されるものではない。
ポリオールとしては、多価アルコールにプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加したポリエーテル系ポリオールや、アジぺート、ポリカプロラクトン、オリゴカーボネート等のポリエステル系ポリオールを挙げることができる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーとしては、多くのものが市販され、容易に入手することができる。これらのウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーとしては、例えば、ビームセット575、ビームセット551B、ビームセット550B、ビームセット505A−6、ビームセット504H、ビームセット510、ビームセット502H、ビームセット575CB、ビームセット102(以上、荒川化学工業株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、フォトマー6008、フォトマー6210(以上、サンノプコ株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、NKオリゴU−4HA、NKオリゴU−108A、NKオリゴU−1084A、NKオリゴU−200AX、NKオリゴU−122A、NKオリゴU−340A、NKオリゴU―324A、NKオリゴUA−100、NKオリゴMA−6(以上、新中村化学工業株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、アロニックスM−1100、アロニックスM−1200、アロニックスM−1210、アロニックスM−1310、アロニックスM−1600、アロニックスM−1960(以上、東亞合成株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、AH−600、AT−606、UA−306H(以上、共栄社化学株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、カヤラッドUX−2201、カヤラッドUX−2301、カヤラッドUX−3204、カヤラッドUX−3301、カヤラッドUX−4101、カヤラッドUX−6101、カヤラッドUX−7101、カヤラッドUX−4101(以上、日本化薬株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、紫光UV−1700B、紫光UV−3000B、紫光UV−3300B、紫光UV−3520TL、紫光UV−3510TL、紫光UV−6100B、紫光UV−6300B、紫光UV−7000B、紫光UV−7210B、紫光UV−7550B、紫光UV−2000B、紫光UV−2250TL、紫光UV−2010B、紫光UV−2580B、紫光UV−2700B(以上、日本合成化学工業株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、アートレジンUN−9000PEP、アートレジンUN−9200A、アートレジンUN−9000H、アートレジンUN−1255、アートレジンUN−5200、アートレジンUN−2111A、アートレジンUN−330、アートレジンUN−3320HA、アートレジンUN−3320HB、アートレジンUN−3320HC、アートレジンUN−3320HSアートレジンUN−6060P(以上、根上工業株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、Laromer UA19T、Laromer LR8949、Laromer LR8987、Laromer LR8983(以上、BASF社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、ダイヤビーム UK6053、ダイヤビーム UK6055、ダイヤビーム UK6039、ダイヤビーム UK6038、ダイヤビーム UK6501、ダイヤビーム UK6074、ダイヤビーム UK6097(以上、三菱レイヨン株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、Ebecryl254、Ebecryl264、Ebecryl265、Ebecryl1259、Ebecryl4866、Ebecryl1290K、Ebecryl5129、Ebecryl4833、Ebecryl2220(以上、ダイセル・ユー・シー・ビー株式会社製ウレタン(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)などを挙げることができる。これらのウレタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマーは耐溶剤性や透明支持シートとの密着性、硬化性重合性組成物との密着性の点から多官能のウレタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマーであることが好ましい。これらの多官能のウレタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマーの中でも、NKオリゴU−4HAおよびEbecryl264が好ましい。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、特に限定はなく様々なポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いることができる。このようなポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、多塩基酸と、多価アルコールと、(メタ)アクリル酸との脱水縮合反応によって合成されるものであり、例えば、アロニックスM−6100、アロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、アロニックスM−8530、アロニックスM−8050(以上、東亞合成株式会社製ポリエステル(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、Laromer PE44F、Laromer LR8907、Laromer PE55F、Laromer PE46T、Laromer LR8800(以上、BASF社製ポリエステル(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、Ebecryl80、Ebecryl 657、Ebecryl 800、Ebecryl 450、Ebecryl 1830、Ebecryl 584(以上、ダイセル・ユー・シー・ビー株式会社製ポリエステル(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、フォトマーRCC13−429、フォトマー 5018(以上、サンノプコ株式会社製ポリエステル(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)等を挙げることができる。これらのポリエステル(メタ)アクリレート系重合性オリゴマーの中でも、Ebecryl80が好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、特に限定はなく様々なエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを用いることができる。このようなエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、エポキシ系オリゴマーに(メタ)アクリル酸を付加させた構造のもので、ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型、変性ビスフェノールA型、アミン変性型、フェノールノボラック−エピクロルヒドリン型、脂肪族型、脂環型等がある。例えば、Laromer LR8986、Laromer LR8713、Laromer EA81(以上、BASF社製エポキシ(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、NKオリゴEA−6310、NKオリゴEA−1020、NKオリゴEMA−1020、NKオリゴEA−6320、NKオリゴEA−7440、NKオリゴEA−6340(以上、新中村化学工業株式会社製エポキシ(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)、Ebecryl3700、Ebecryl3200、Ebecryl600(以上、ダイセル・ユー・シー・ビー株式会社製エポキシ(メタ)アクリレート系のオリゴマーの商品名)等を挙げることができる。これらのエポキシ(メタ)アクリレート系重合性オリゴマーの中でも、NKオリゴEA−1020が好ましい。
(メタ)アクリレート系重合性モノマーとしては、特に限定はなく様々な(メタ)アクリレート系重合性モノマーを用いることができる。このような(メタ)アクリレート系重合性モノマーとしては、炭素数2から20の脂肪族アルコール、ジオールおよび多価アルコールのモノ、ジおよびポリ(メタ)アクリレート化合物や、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールで分岐された脂肪族エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合を含む炭素数30以下である末端ヒドロキシ化合物のポリ(メタ)アクリレート体や、それらの骨格中に脂環式化合物や芳香族化合物を有する化合物等を挙げることができる。
具体的には、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソボニルジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのアクリレート系重合性モノマーの中でも、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレート系重合性組成物に含まれる(メタ)アクリレート系重合性化合物としては、単一の(メタ)アクリレート系重合性化合物を用いることもでき、また、2種以上の(メタ)アクリレート系重合性化合物を組み合わせて用いることもできる。
以上のような様々な(メタ)アクリレート系重合性組成物は、(メタ)アクリレート系の重合性オリゴマーと重合性モノマー混合物として用いることができる。この場合、オリゴマーとモノマーの混合比は特に限定されないが、操作性の面から、(メタ)アクリレート系重合性モノマーの配合比率が、モノマーとオリゴマー全体の20から80重量%の範囲が好ましい。
(メタ)アクリレート系樹脂層の厚さは、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂層の厚みが0.1μm以上であるとレンズ用の重合性組成物に対する耐性や接着性がより良好であり、膜厚が20μmを未満であると曲げ加工時のクラック発生等の問題を生じにくい。
偏光調光積層体を構成する層の一つである偏光層は、基本的にはある程度の耐熱性さえ有すれば、特に限定されず、所定の樹脂で形成された偏光シートを用いることができる。このような偏光シートとしては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂から形成されてなることが好ましい。
このポリビニルアルコール系樹脂としては、特に限定なく一般的なポリビニルアルコール系フィルムを用いているものであれば使用可能である。このようなポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。これらのポリビニルアルコール系樹脂の中でも、ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
偏光層の厚みは特に制限はないが、薄いと破れやすく、厚いと光透過率が低下するため、10μm〜50μm程度が好ましい。
偏光層としては、2色性色素を含むものは耐熱性に優れるために好ましい。例えば、前記ポリビニルアルコール樹脂の場合には、2色性色素溶液中に該樹脂を室温〜50℃の加温下で浸漬することにより染色することができる。
偏光シートの製造に用いる前記色素としては、例えばクリソフェニン(C.I.24895)、クロランチンファストレッド(C.I.28160)、シリウスイエロー(C.I.29000)、ベンゾパープリン(C.I.23500)、ダイレクトファーストレッド(C.I.23630)、ブリリアントブルーB(C.I.24410)、クロラゾールブラックBH(C.I.22590)、ダイレクトブルー2B(C.I.22610)、ダイレクトスカイブルー(C.I.24400)、ジアミングリーン(C.I.30295)、ソロフェニルブルー4GL(C.I.34200)、ダイレクトコッパーブルー2B(C.I.24185)、ニッポンブリリアントヴァイオレットBKconc(C.I.27885)、コンゴーレッド(C.I.22120)、アシドブラックC.I.20470)等が挙げられ、これらの色素の中から目的に応じて2色以上の色素を選択して用いることができる。なお、括弧内には、有機合成協会編「新版 染料便覧」(丸善株式会社、1970年)に記載のColour Index No.を示した。
前記偏光層は、さらに金属化合物およびほう酸により処理されていると、優れた耐熱性および耐溶剤性を有し、好ましい。
具体的には、2色性色素溶液中で染色された前記偏光シートを金属化合物およびホウ酸の混合溶液に浸漬中あるいは浸漬後に延伸する方法、または2色性色素溶液中で染色および延伸された前記偏光シートを金属化合物およびホウ酸の混合溶液に浸漬する方法を用いて処理することができる。
金属化合物としては、第4周期、第5周期、第6周期のいずれの周期に属する遷移金属であっても、その金属化合物に前記耐熱性および耐溶剤性効果の確認されるものが存在するが、価格面からクロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの第4周期遷移金属の酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの金属塩が好ましい。これらの中でも、ニッケル、マンガン、コバルト、亜鉛および銅の化合物が、安価で前記効果に優れるため、さらに好ましい。より具体的な例としては、例えば、酢酸マンガン(II)四水和物、酢酸マンガン(III)二水和物、硝酸マンガン(II)六水和物、硫酸マンガン(II)五水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、硝酸コバルト(II)六水和物、硫酸コバルト(II)七水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)六水和物、酢酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)、硝酸クロム(III)九水和物、酢酸銅(II)一水和物、硝酸銅(II)三水和物、硫酸銅(II)五水和物などが挙げられる。これらの金属化合物のうち、いずれか1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いることもできる。
金属化合物およびホウ酸の前記偏光シート中の含有率は、前記偏光シートに耐熱性および耐溶剤性を与える点から、偏光シート1g当たり、金属化合物では金属として0.2〜20mg含有されることが好ましく、1〜5mgがさらに好ましい。ホウ酸の含有率は、ホウ素として0.3〜30mgが好ましく、0.5〜10mgがさらに好ましい。処理に用いる処理液の組成は以上の含有率を満たすように設定され、一般的には、金属化合物の濃度は0.5〜30g/L、ホウ酸濃度は2〜20g/Lであることが好ましい。
偏光シートに含有される金属およびホウ素の含有率の分析は、原子吸光分析法により行うことができる。
金属化合物およびほう酸による浸漬工程における浸漬条件は、通常、室温〜50℃で5〜15分である。浸漬後の加熱工程の条件は、70℃以上、好ましくは90〜120℃の温度で、1〜120分間、好ましくは5〜40分間加熱する。
偏光層に透明支持体層を積層する場合、透明支持体層と偏光シートとは接着剤で接着し積層することができる。接着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂などの熱硬化型接着剤やUV硬化型接着剤などが例示される。
偏光層への透明支持体層の積層は、偏光層の両面にサンドイッチ状に行ってもよいし、用途によっては片面だけに積層し、片面は偏光層がむき出しの形態とすることもできる。
本発明の光制御プラスチックレンズの一部を構成する調光層は、基本的にはある程度の耐熱性さえ有すれば、特に限定されず様々な材料により形成することができる。また、そのような材料をシート状に加工した調光シートを用いてもよい。調光層を形成する材料としては、好ましくはポリウレタン系樹脂などが例示される。このポリウレタン系樹脂としては、ある程度の耐熱性を有するポリウレタン系樹脂であれば特に限定されないが、なかでも、ポリウレタンプレポリマーと硬化剤からなる2液型の熱硬化性ポリウレタン樹脂が調光時の応答速度が速いことおよび調光シートの加工性・耐久性の点から好ましい。
ポリウレタンプレポリマーとしては、ジイソシアネート化合物とポリオキシアルキレンジオールとを一定割合で反応させた化合物であって、両末端にイソシアネート基を有する化合物を好ましい例として挙げることができる。
ポリウレタンプレポリマーに使用されるジイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートを挙げることができ、なかでも、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。
ポリウレタンプレポリマーに使用されるポリオキシアルキレンジオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールを挙げることができ、なかでも、5〜30の重合度を有するポリプロピレングリコールが好ましい。
ポリウレタンプレポリマーの分子量は、数平均分子量で500〜5000であり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。ここで数平均分子量とは、末端基定量法、沸点上昇法、凝固点降下法、浸透圧法、およびゲル浸透クロマトグラフィーなどの方法によって求められる平均分子量のことをいう。
硬化剤としては、水酸基を2個以上有する化合物であれば、特に限定されるものではない。これらの化合物としては、例えば、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が例示される。これらの中でも特定のイソシアネートと特定のポリオールから得られる、末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましく、特にジイソシアネート化合物とポリオールから誘導される少なくとも両末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールがさらに好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートを挙げることができ、なかでも、トリレンジイソシアネートが好ましい。
ポリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン等をエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイドと反応させたものを挙げることができ、なかでも、重合度が5〜30のポリプロピレングリコール誘導体が好ましい。
これらの硬化剤の分子量は数平均分子量で500〜5000であり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
これらのポリウレタンプレポリマーおよび硬化剤には、粘度調節のために酢酸エチルおよびテトラヒドロフランなどの溶媒を使用することができる。これらの溶媒の使用は、特に、フォトクロミック化合物をウレタン樹脂中に均一に分散させるために有効な方法である。
本発明で用いられる調光色素であるフォトクロミック化合物としては、ポリウレタンプレポリマーとの相溶性が良ければ特に制限されず、市販の有機フォトクロミック化合物が使用できる。この有機フォトクロミック化合物としては、フォトクロミック性能から、スピロベンゾピラン誘導体、ナフトピラン誘導体およびスピロオキサジン誘導体が好ましい。
スピロベンゾピラン誘導体の具体例としては、例えば、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−8’−ニトロ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−ヒドロキシ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−8’−メトキシ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’,8’−ジブロモー2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、1,3,3,4,7−ペンタメチルスピロ(インドリン−8’−エトキシ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)、5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−ニトロ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)および5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’,8’−ジニトロ−2,2’−[2H]−1’−ベンゾピラン)などを挙げることができる。
ナフトピラン誘導体の具体例としては、例えば、1,3,3−トリフェニルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2,3,4,5,6−ペンタメチルベンジル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2−メトキシ−5−ニトロベンジル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)、1−(2−ニトロベンジル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−ピラン)および1−(2−ナフチルメチル)−3,3−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−ナフト(2,1−b)−ピランなどを挙げることができる。
スピロオキサジン化合物の具体的な例としては、例えば、1,3,3,4,5−ペンタメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,4,6−ペンタメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6−(1−ピペリジル)−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−(1−モルホリル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,4,5−ペンタメチルスピロ(インドリン−6’−(1−ピペリジル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3,5,6−ペンタメチルスピロ(インドリン−6’−(1−ピペリジル)−2,3’−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−6’−(1−ピペリジル)−9’−(メトキシ)−2,3−[3H]−ナフト−(2,1−b)−(1,4)−オキサジン)、5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、4,7−ジエトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、1,3,3,5−テトラメチルスピロ(インドリン−9’−(メトキシ)−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、1−イソプロピル−3,3,5−トリメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジン、1−(p−クロロベンジル)−3,3’−ジメチルスピロ(インドリン−2,3’−[3H]−ナフト−2,1−b)−(1,4)−オキサジンおよび1,3,3−トリメチルスピロ(インドリン−2,2’−[2H]−フェナントロ−9,10−b)−(1,4)−オキサジンなどを挙げることができる。
これらの有機フォトクロミック化合物のなかでも、特に、耐光性の点から、スピロオキサジン誘導体が好ましい。
フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層には、寿命を確保するために、各種の安定剤を添加することが好ましい。この安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤を挙げることができる。
ヒンダードアミン系の光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2、6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、トリエチレンジアミン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン等を挙げることができる。その他ニッケル系紫外線安定剤として、〔2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノレート)〕−2−エチルヘキシルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル・リン酸モノエチレート、ニッケル・ジブチル−ジチオカーバメート等も使用することが可能である。特にヒンダードアミン系の光安定剤としては、3級のアミンのみを含有するヒンダードアミン系の光安定剤が好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/トリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物が好ましい。
酸化防止剤としては、各種のヒンダードフェノール等の酸化防止剤を使用することができ、なかでも、フェノール系酸化防止剤、チオール系酸化防止剤およびホスファイト系酸化防止剤を使用することが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’、5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(3’、5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコールビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等を挙げることができる。特に、フェノール系酸化防止剤としては、分子量が550以上のものが好ましい。
チオール系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)等を挙げることができる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等を挙げることができる。
調光層に、透明支持体層を積層させる場合、例えば透明支持シートと予め作製した調光シートとを接着剤で接着積層し製造することができる。この接着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂などの熱硬化型接着剤やUV硬化型接着剤などが挙げられる。
また、フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂が接着層としての機能も有するため、前記調光積層体は、透明支持シートにフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を塗布し、その後加熱処理し製造することもできる。
調光層の厚みは特に制限はないが、透明支持シートの厚みを除いて好ましくは、10μm〜200μm程度である前記調光積層体における前記透明支持体層については後述する。
少なくとも1枚のポリカーボネート(透明支持シート)をフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層(調光シート)に積層する方法の一例を示す。
ポリウレタンプレポリマーを特定有機溶媒で希釈した溶液に、フォトクロミック化合物を樹脂固形分に対して0.2〜5重量%の割合で加え、さらに樹脂固形分に対して0.1〜5重量%のヒンダードアミン系の光安定剤及び/又は酸化防止剤等の添加剤を加え、均一に攪拌混合する。その後、更にイソシアネート基(I)と硬化剤の水酸基(H)の比I/Hが0.9〜20、好ましくは1〜10を目安として硬化剤を加え、さらに攪拌し、溶液を形成させる。溶液中のポリマー濃度は、一般的には40〜90重量%が適当である。該溶液を透明なポリカーボネートシート片面に塗布厚50〜1000ミクロンのドクターブレードを使用して塗布する。塗布後、塗布面が溶媒を実質的に含まない状態まで加熱乾燥し、該合成樹脂シートの塗布面に他の透明なポリカーボネートシートを貼り合わせ、サンドイッチ状とする。上記の加熱乾燥は通常20〜50℃で、30〜120分行う。該積層シートを加熱し硬化剤を含むウレタンプレポリマーを硬化させ、透明な合成樹脂積層体を得る。ポリウレタンプレポリマーの硬化条件は、通常60〜140℃で、2時間〜1週間である。
調光層を構成する樹脂成分を溶剤に溶解する場合、その樹脂成分により適宜選択できるが、希釈溶として具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸イソブチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキシルケトン等のケトン類、酢酸セルソルブ(2-ethoxyethyl acetate)、ジエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、ジアセトンアルコール、tert−アミルアルコール等の三級アルコール及びテトラヒドロフラン等を挙げることができる。これらの中でも、特に、酢酸エチル、テトラヒドロフラン及びトルエンが好ましい。
本発明の光制御プラスチックスレンズにおける透明支持体層は、基本的にはある程度の耐熱性さえ有すれば、特に限定されず様々な材料を用いて形成させることができ、例えばシート状に加工した透明支持シートを用いてもよい。偏光調光積層体の構成として透明支持体層を備えることにより、光制御プラスチックレンズに強度を付与することができる。また、透明支持体層を備えることにより、曲げ加工などの処理を容易に行うことができ、製品の歩留まりも向上する。
透明支持体層の材料としては、好ましくは、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレ−ト系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、トリアセチルセルロ−ス系樹脂、ポリエステル系樹脂などを挙げることができる。この中でも、各種ポリカーボネート樹脂、TACに代表される酢酸セルロース、プロピルセルロース、酢酸・酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、各種アクリル系樹脂、ポリエチレンナフタレレート(以下、「PEN」という。)やポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)、あるいは優れた光学特性を有するフルオレン系ポリエステル(以下、「OKP」という。)樹脂、「ARTON」、「Zeonoa」、「APEL」等に代表される脂環式オレフィン系樹脂(以下「APO」という)などが好ましく、機械的強度および光応答性の特性の点からからポリカ−ボネート系樹脂がさらに好ましい。
本発明で使用し得るポリカーボネート樹脂としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が用いられ、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位が含まれるエステル結合を持つ構造単位が含まれても良い。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂である。
透明支持体層を形成する樹脂の分子量についても特に制限はないが、賦型性や機械的強度の点から粘度平均分子量で17,000〜40,000、より好ましくは20,000〜30,000のものである。
透明支持体層の厚さは、20μm〜2mmであり、特に、曲面加工をする場合は、50μm〜1mmであることが好ましい。
透明支持体層としては、以上のような樹脂のうち1種から形成される透明支持シートを用いることもでき、また複数の樹脂から形成される透明支持シートを用いることもできる。
偏光調光特性を有する偏光調光積層体は、前述のようにして作製された偏光シートと調光シートとを貼り合わせて積層することにより製造することができる。また、偏光シートに、前記フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を塗布し、その後加熱処理し製造することもできる。後者の製造方法によれば、フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂により、透明支持シートと偏光シートを貼り合わせ、加熱処理を行うことにより、偏光調光積層体を製造することが可能である。
偏光調光積層体としては、積層の順序など特に限定されず様々な態様の偏光調光特性を有する積層体を用いることができる。これらの偏光調光積層体の中でも、例えば、偏光シートと調光シートとを貼り合わせて形成した偏光調光シートと、この偏光調光シートの少なくとも片面を被覆する透明支持シートとから構成されている積層体を挙げることができる。また、前述のように、偏光シートと透明支持シートとを、フォトクロミック化合物を含有する接着性を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を介して接着し、加熱処理して製造される積層体を用いることもできる。
フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂は、前述のように、それ自体が接着層としての機能も有し、特にポリカーボネートなどの透明支持シートと偏光シートのどちらにも充分な密着性が発現する組成として調製することができる。従って、フォトクロミック化合物を有する熱硬化性ポリウレタン樹脂により透明支持シートと偏光シートを貼り合わせることが、前記偏光調光積層体を製造する点で好ましい。
フォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いた前記偏光調光積層体において、偏光シートのもう一方の面は、そのままの状態でも曲げ加工またはレンズ用重合性組成物との重合が可能であるため、そのままむき出しでもかまわない。加工性やハンドリングをより向上させるためには、透明支持シートを貼り合わせることが好ましい。この場合には、汎用の接着剤で接着し透明支持シートを積層してもよい。調光シートの厚みは特に制限はないが、透明支持シートの厚みを除いて10μm〜200μm程度が好ましい。また、偏光シートの厚みは特に制限はないが、薄いと破れやすく、厚いと光透過率が低下するため、10μm〜50μm程度が好ましい。
上記にいう汎用な接着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系ウレタンアクリレート系等の熱硬化、UV硬化型接着剤を挙げることができる。中でも、ウレタン系の接着剤が好ましい。塗工する接着剤の厚みは、特に制限はないが薄すぎると接着性が不充分となり、厚すぎると曲げ加工時の作業性や光学特性に影響が出るため1μmから20μm程度が好ましい。塗工方法は前記フォトクロミック化合物を含有する重合性組成物と同様の方法が挙げられ、厚みは均一な方が好ましい。
偏光調光積層体における偏光シートと調光シートとの組み合わせは、偏光シートまたは調光シートのいずれが表になるように配置してもよい。中でも、対物側(光源側)に調光シートを配置し、次に偏光シートを配置する方が、より調光性能が発現されやすい点から好ましい。
本発明の光制御プラスチックスレンズおいては、レンズ体樹脂層の材料として広範囲な種類の中から選択することが可能である。レンズ体樹脂層は、固形のレンズ基材・シートなどを積層させてもよいが、液状のレンズ用重合性組成物を積層しこれを硬化させて形成してもよい。本明細書においてレンズ用重合性組成物とは、レンズ体樹脂層を形成する硬化前の樹脂成分を含む組成物のことをいう。レンズ用重合性組成物としては、例えば、硬化してレンズ体を構成する樹脂成分とその溶剤を含む溶液などを好適に用い得る。
本発明において用い得るレンズ用重合性組成物としては、現在市販されているほとんど全てのレンズ基材用の重合性組成物をそのまま用いることができる。具体的には、CR−39ばかりでなく、広範な重合性組成物が使用できる。このような重合性組成物としては、含イオウ重合性化合物が含まれる重合性組成物が好ましく、なかでも、チオウレタン系重合性組成物、エピスルフィド系重合性組成物などの高屈折率のレンズ用重合性組成物がさらに好ましい。
前記チオウレタン系重合性組成物(共重合体や重合体混合物を含む。)は、イソシアネートとチオールの組み合わせからなる。
このようなチオウレタン系樹脂組成物で組み合わされるイソ(チオ)シアネートとしては、以下の化合物が挙げることができる。例えば、ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナトメチル)デカヒドロナフタレン、リジントリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、3−(2’−イソシアネートシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、イソプロピリデン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,2’−ビス(4−イソシアネートエニル)プロパン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアネートトリル)フェニルメタン、4,4’,4’−トリイソシアネート−2,5−ジメトキシフェニルアミン、3,3’−ジメトキシベンジジン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトベンゼン)、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアナトベンゼン)、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−イソシアナト−2−プロピル)ベンゼン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(イソシアナトメチル)ジシクロペンタジエン、ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアネートメチルノルボルネン、ビス(イソシアナトメチル)アダマンタン、3,4−ジイソシアネートセレノファン、2,6−ジイソシアネート−9−セレナビシクロノナン、ビス(イソシアナトメチル)セレノファン、3,4−ジイソシアネート−2,5−ジセレノラン、ダイマー酸ジイソシアネート、1,3,5−トリ(1−イソシアナトヘキシル)イソシアヌル酸、2,5−ジイソシアナトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル−4−イソシアナート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナート−2−チアプロピル)−1,4−ジチアン、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、1,5−ジイソシアネート−2−イソシアナトメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、1,2,3−(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,1,6,6−テトラキス(イソシアナトメチル)−2,5−ジチアヘキサン、1,1,5,5−テトラキス(イソシアナトメチル)−2,4−ジチアペンタン、1,2−ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアネート−3−イソシアナトメチル−2,4−ジチアペンタン等があげることができる。また、これらのポリイソシアネート類のビュレット型反応による2量体、これらのポリイソシアンート類の環化3量体およびこれらのポリイソシアネート類とアルコールもしくはチオールの付加物等が挙げることができる。さらには、上記ポリイソシアネート類のイソシアネート基の一部又は全部をイソチオシアネート基に変えた化合物を挙げることができる。これらは単独でも2種類以上を混合しても用いることができる。
前記チオウレタン系重合性組成物において、組み合わされるチオール化合物としては以下の化合物が挙げることができる。例えば、メチルチオール、エチルチオール、n−プロピルチオール、n−ブチルチオール、アリルチオール、n−ヘキシルチオール、n−オクチルチオール、n−デシルチオール、n−ドデシルチオール、n−テトラデシルチオール、n−ヘキサデシルチオール、n−オクタデシルチオール、シクロヘキシルチオール、イソプロピルチオール、tert−ブチルチオール、tert−ノニルチオール、tert−ドデシルチオール、ベンジルチオール、4−クロロベンジルチオール、メチルチオグリコレート、エチルチオグリコレート、n−ブチルチオグリコレート、n−オクチルチオグリコレート、メチル(3−メルカプトプロピオネート)、エチル(3−メルカプトプロピオネート)、3−メトキシブチル(3−メルカプトプロピオネート)、n−ブチル(3−メルカプトプロピオネート)、2−エチルヘキシル(3−メルカプトプロピオネート)、n−オクチル(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、2−メルカプトプロパノール、2−ヒドロキシプロピルチオール、2−フェニル−2−メルカプトエタノール、2−フェニル−2−ヒドロキシエチルチオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−1,3−プロパンジオール等のモノチオール類、メタンジチオール、メタントリチオール、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,2,7−トリメルカプト−4,6−ジチアヘプタン、1,2,9−トリメルカプト−4,6,8−トリチアノナン、1,2,8,9−テトラメルカプト−4,6−ジチアノナン、1,2,10,11−テトラメルカプト−4,6,8−トリチアウンデカン、1,2,12,13−テトラメルカプト−4,6,8,10−テトラチアウンデカン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、テトラキス(4−メルカプト−2−チアブチル)メタン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、エチレングリコール ビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコール ビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオール ビス(2−メルカプトアセタート)、1,4−ブタンジオール ビス(3−メチルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセタート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(2―メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトール テトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトール テトラキス(2−メルカプトアセテート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(メルカプトエチル)−1−チアン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,4−チオフェンジチオール、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、3,4−チオフェンジチオール、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、グリセリルチオグリコーレート、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン等のポリチオール類、およびこれらの2量体〜20量体のようなオリゴマーを挙げることができる。さらには、上記ポリチオール類のチオール基の一部または全部をアルコール基に変えた化合物を挙げることができる。また、チオフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−メチルチオフェノール、3−メチルチオフェノール、4−メチルチオフェノール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、2−ヒドロキシチオフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、4−ヒドロキシチオフェノール等のチオフェノール類やアリルチオール、2−ビニルベンジルチオール、3−ビニルベンジルチオール、4−ビニルベンジルチオール等の不飽和基を有するチオール類、2−ビニルチオフェノール、3−ビニルチオフェノール、4−ビニルチオフェノール等の不飽和基を有するチオフェノール類を挙げることができる。これらのチオアルコール類は単独でも2種類以上混合しても用いることができる。
前記エピスルフィド系重合性組成物に用いられるモノマーの具体例としては、例えば、エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド、シクロヘキセンスルフィド、スチレンスルフィド、チオグリシドール、1,1−ビス(エピチオエチル)メタン、テトラキス(β−エピチオプロピル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピル)プロパン、1,3−または1,4−ビス(エピチオエチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(エピチオエチル)−1,4−ジチアン、4−エピチオエチル−1,2−シクロヘキセンスルフィド、4−エポキシ−1,2−シクロヘキセンスルフィド、メチルチオグリシジルエーテル、ビス(β−エピチオプロピル)エーテル、1,2−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)エタン、テトラキス(β−エピチオプロピルオキシメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル〕スルフィド、2,5−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、1,3−または1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(β−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルオキシ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルオキシ)ビフェニル、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィド、テトラキス(β−エピチオプロピルチオメチル)メタン、1,1,1−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4−(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,9−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5−(β−エピチオプロピルチオメチル)−5−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,7−ジチアノナン、1,10−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,6−ビス〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオ〕−3,6,9−トリチアデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−5,7−〔(2−β−エピチオプロピルチオエチル)チオメチル〕−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(β−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、2,5−ビス(エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,4,6−トリス(エピチオプロピルチオメチル)−1,3,5−ジチアン、1,3−または1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(β−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフォン、4,4’−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ビフェニル、ビス(β−エピチオプロピル)セレニド、ビス(β−エピチオプロピル)ジセレニド、ビス(β−エピチオプロピル)テルレド、ビス(β−エピチオプロピル)ジテルレド、ビニルフェニルチオグリシジルエーテル、ビニルベンジルチオグリシジルエーテル、チオグリシジルメタクリレート、チオグリシジルアクリレート、アリルチオグリシジルエーテル等が挙げられ、さらには、以上のような化合物のチイラン環の水素原子の1個以上がメチル基で置換されたエピスルフィド化合物が挙げられる。このうち好ましい具体例としては、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β−エピチオプロピル)トリスルフィド、ビス(β−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β−エピチオプロピルチオ)エタン、1,3−ビス(β−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,6−ビス(β−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、ビス(β−エピチオプロピルチオエチル)スルフィドを挙げることができる。
CR−39系重合性組成物(共重合体や重合体混合物を含む。)に用いられるモノマーとしては、脂肪族または芳香族ポリオールのアリルカーボネート類のようなアリル誘導体が好ましく、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)(CR−39)が最も一般的であるが、その他に、例えば、エチレングリコール ビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコール ビス(2−メチルアリルカーボネート)、エチレングリコール ビス(2−クロロアリルカーボネート)、トリエチレングリコール ビス(アリルカーボネート)、1,3−プロパンジオール ビス(アリルカーボネート)、プロピレングリコール ビス(2−エチルアリルカーボネート)、1,3−ブテンジオール ビス(アリルカーボネート)、1,4−ブテンジオール ビス(2−ブロモアリルカーボネート)、ジプロピレングリコール ビス(アリルカーボネート)、トリメチレングリコール ビス(2−エチルアリルカーボネート)、ペンタメチレングリコール ビス(アリルカーボネート)、イソプロピレンビスフェノールA ビス(アリルカーボネート)等を挙げることができる。これらのアリルカーボネート類は単独でも、2種類以上混合しても用いることができる。
2.(メタ)アクリレート系樹脂層を含む光制御積層体
本発明の光制御積層体は、上記光制御プラスチックレンズを構成する部材の一部、すなわち中間品に該当する。もちろん光制御積層体単体でも、偏光特性、調光特性を調整する部材として利用可能である。本発明の光制御積層体は、偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリレート系樹脂層が積層されてなる。好ましい形態としては、偏光調光積層体は、さらに透明支持体層を含む。本発明の光制御積層体を構成する各部材の詳細は、上記光制御プラスチックレンズについての説明と同様である。
図3に一実施形態を示す。図3に示す形態においては、偏光シート5および調光シート6の積層体の両面に透明支持シート2がそれぞれ積層されて、偏光調光積層体1を形成している。偏光調光積層体1の両面にはさらに(メタ)アクリレート系樹脂シート3がそれぞれ積層されている。
3.光制御プラスチックスレンズの製造方法
本発明の光制御プラスチックレンズの製造方法は、上記本発明の光制御プラスチックレンズの製造方法として好適な方法である。本発明の光制御プラスチックスレンズの製造方法は、偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された光制御積層体の少なくとも一方の面にレンズ体用重合性組成物を積層し、レンズ体用重合性組成物を重合反応により硬化させ、光制御積層体の少なくとも一方の面にレンズ体樹脂層を設けることを特徴とする。
偏光調光積層体の少なくとも片面に(メタ)アクリレート系重合性組成物を塗布し被膜を形成するのは、この塗膜が硬化して形成される(メタ)アクリレート系樹脂層が、広範囲の各種のレンズ用重合性組成物に対する耐性が高く、かつ優れた接着性をもつ性質を有するためである。本発明の光制御プラスチックスレンズの製造方法においては、広範囲のレンズ用重合性組成物を用いることが可能であり、より具体的には、注型重合法であってもCR−39以外の樹脂組成物を用い得る。また、本発明の光制御プラスチックスレンズの製造方法により、曲げ加工やその前後の管理も容易であり、特に、高屈折率の光制御プラスチックスレンズを注型重合法により生産性良く提供することができる。
偏光調光積層体は、例えば偏光シートと調光シートなど、それぞれの特性を発揮するシートを重ね合わせて形成することができる。あるいは、一方のシート上に、他方の層を形成し得る硬化性の樹脂組成物等を塗布して形成可能である。透明支持体層を設ける場合、、透明支持シートを貼り合わせる、または硬化して透明支持体層を形成し得る液状の樹脂組成物を塗布した後に硬化させるなどの方法で設けることができる。シート状のものを貼り合わせる場合、材料によっては熱などをかけることにより接着可能な場合もあるが、各シートの間にさらに接着剤を塗布して貼り合わせてもよい。また、液状の樹脂組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ディップ法、流し塗り法、ロールコーター法、カーテンコート法などのごく一般的な塗布法により液状の樹脂組成物を塗布することが可能である。液状の樹脂組成物を塗布した後はその塗膜を硬化させる。硬化方法は、樹脂の種類等により適宜選択すればよいが、活性エネルギー線の照射による硬化を採用することが硬化時間、安全性の面などから好ましく、活性エネルギー線としては紫外線などを用いることが好ましい。
本発明の製造方法においては、各種積層体の曲げ加工などの加工工程を含めてもよい。
例えばレンズ体を形成する注型重合工程の前に曲げ加工工程を含めてもよい。例えば、(メタ)アクリレート系樹脂層を備える光制御積層体に曲げ加工を施し、得られた曲げ加工品に、注型重合工程でレンズ基材が被覆し、光制御プラスチックスレンズを製造することできる。(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された光制御積層体は、そのままの形状で次の注型重合を行うこともできるが、好ましい一形態としては、例えば、円形、楕円形、矩形などレンズとして適切な形状に打ち抜き、真空成型しレンズ状曲げ加工品としたのちに注型重合を行う方法が例示される。
注型重合法の一形態としては、(メタ)アクリレート系樹脂層を積層した光制御積層体を鋳型中に埋設し、その鋳型内にレンズ用重合性組成物を注ぎ込んだ後に、そのレンズ用重合性組成物を重合させて硬化させる方法などが挙げられる。
レンズ用重合性組成物と光制御積層体との一体化は一般的な注型重合法で可能である。例えば、光制御積層体の上下の少なくとも一方からレンズ用重合性組成物が注入可能となるような構造のガラスモールドなどの注型重合用型を用いて、用いるレンズ用重合性組成物に適した条件で重合すればよい。したがって、片面に(メタ)アクリレート系樹脂層を積層した光制御積層体の場合、(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された面のみがレンズ用重合性組成物と一体化してもよいし、(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された面および偏光層が露出している面の両面にレンズ体樹脂層を一体化させてもよい。また、両面に(メタ)アクリレート系樹脂層が積層した光制御積層体の場合、一般的にはその両面がレンズ用重合性組成物と一体化されるケースが多いが、片面のみが一体化されてもよい。
注型重合用で用いられる鋳型としては、通常の眼鏡用レンズなどを製作するための一般に使用されているガラス製の鋳型などをそのまま用いることができる。注型重合を実施するための具体的操作としては例えば次のような手法が例示される。一つの形態としては、鋳型の一方にレンズ用重合性組成物を充填しておいてその上に光制御積層体を浮かべておき、ガスケットを介して型の他方を液密にセットした後、型内にレンズ用重合性組成物を更に注入して重合する方法がある。また、他の形態としては、適当な手段により光制御積層体を型内において支持させておいてからレンズ用重合性組成物を型内に注入して重合する方法がある、さらに他の形態としては、鋳型の一方に塗膜シート状光制御体を密着させておき、型内にレンズ用重合性組成物を注入して重合する方法などを採用することができる。
注型重合に用いる光制御積層体の大きさ及び形状は自由に選定することができる。即ち、最終的に得られるレンズの全体に亘る形状のものであってもよいし、或いはレンズの一部を覆うようなものであってもよい。そして、光制御積層体の表面を、用いるレンズ用重合性組成物に含まれるモノマーおよび/またはオリゴマー成分で一旦濡らした後に鋳型内にセットするのが好ましい。このように一旦表面にモノマー等を塗布しておくことにより気泡の混入を防止すると共に塗膜シート状光制御体とレンズ用重合性組成物を重合させて得られる硬化性樹脂との密着性を確保することができる。レンズ用重合性組成物中には、場合によって、重合開始剤が含有され、適当な温度に加熱されることによって重合が行われる。
本発明の光制御プラスチックスレンズの製造方法においては、様々な種類のレンズ用重合性組成物を採用し得る。レンズ用重合性組成物としては、現在市販されているほとんど全てのレンズ基材用の重合性組成物をそのまま用いることができるため、本発明の製法は非常に有用である。より具体的には、CR−39ばかりでなく、広範な重合性組成物が使用できる。近年プラスチックレンズに求められる要請からすると、このような重合性組成物としては、例えば含イオウ重合性化合物が含まれる重合性組成物が好ましく、より好ましくはチオウレタン系重合性組成物、エピスルフィド系重合性組成物などの高屈折率のレンズ用重合性組成物などが挙げられる。
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
<測定方法>
以下の実施例および比較例で製造した光制御プラスチックスレンズの透過率、偏光度、発色時間、消色時間、塗膜の厚み、および密着性の測定および算出は以下の方法を用い行った。
<透過率>
試料が23℃になるように調節した恒温層内で、キセノンランプ(SUPERCURE−203S、SAN−EI ELECTRIC社製)の放射照度が試料表面で25W/m2(315nmから400nmの波長での積算値)となるように調節した光を照射させ、照射開始から7分後の可視光平均透過率(T2)および無照射時の可視光平均透過率(T1)を分光光度計V−550(日本分光株式会社製)を使用し測定した。
<偏光度>
偏光度(P)は下記数式(I)より求めた。
Figure 0004729354
上記式(I)において、偏光度Pは可視部400nm〜700nmにおける視感度補正を行なった平均値である。H0は平行位透過率を示し、偏光板2枚をその分子配向軸が平行になるように重ね合わせたときの光透過率のことをいう。H90は直交位透過率を示し、偏光板2枚をその分子配向軸が垂直になるように重ね合わせたときの光透過率のことをいう。
<塗膜の厚み>
また塗膜の厚み測定は、多層膜厚測定装置 DC−8200(グンゼ株式会社製)を用いて行った。
<外観観察>
プラスチックス調光レンズの外観を目視判断により観察した。
<発色時間および消色時間>
光照射時において可視光域で最小透過率を示す波長の透過率をT2、前記波長の無照射時の透過率をT1とし、透過率の経時変化曲線より以下のように求めた。
発色時間:透過率がT1から(T1+T2)/2まで変化する時間
消色時間:透過率がT2から(T1+T2)/2まで変化する時間
<密着度>
密着度については、JIS K 6854−1 90度剥離に準じた方法にて測定した。具体的には、レンズ用重合性組成物と塗膜された偏光調光積層体とを注型重合した後、1cm幅でレンズ体を短冊状に切断し、レンズ用重合性組成物の硬化物と塗膜された偏光調光積層体との間にナイフ等で隙間をつくり、レンズ用重合性組成物を机上に固定し、塗膜された偏光調光積層体端部に穴を開け、バネばかりにて垂直に引き、剥離する際の加重を測定した。バネばかりは最大荷重5kgのものを使用した。
<実施例1〜実施例3>
(a)偏光フィルム基板(偏光シート)の製造
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、商品名:クラレビニロン#750)をクロランチンファストレッド(C.I.28160)0.25g/L、クリソフェニン(C.I.24895)0.18g/L、ソロフェニルブルー4GL(C.I.34200)1.0g/L及び硫酸ナトリウム10g/Lを含む水溶液中で35℃で3分間染色した後、溶液中で4倍に延伸した。ついでこの染色シートを酢酸ニッケル2.5g/Lおよびほう酸6.6g/Lを含む水溶液中35℃で3分浸漬した。ついでそのシートを緊張状態が保持された状態で室温で3分乾燥を行った後、70℃で3分間加熱処理し、偏光フィルム基板を得た。
なお、得られた偏光シートの光学特性は、可視部全域での視感度補正透過率T(vis.)=19.3%,偏光度P=99.8%であった。また、該フィルム基板中のニッケル含有量は1.2mg/gであり、ほう素含有量は1.3mg/gであった。得られた偏光シートの厚みは30μmであった。
(b)接着剤組成物
ポリプロピレングリコール(M=900)を100重量部に対しジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート25重量部、溶媒として酢酸エチル600重量部を使用して接着剤組成物を調製した。
(c)フォトクロミック化合物を含有する重合性組成物(調光シートの原料)の製造
NCO基当量重量(ここで「当量重量」とは官能基1個当たりの平均分子量のことをいう。)が1500のポリウレタンプレポリマー(ジフェニールメタン−4,4’−ジイソシアネートと平均重合度が15のポリプロピレングリコールを反応させて得られたもの)15gを有機溶媒(トルエン4.636g、メチルエチルケトン1.745g、および酢酸エチル7.2g)13.58gで希釈した溶液に、フォトクロミック化合物として4−[4−〔6−(4−モルフォニル)−3−フェニル−3H−ナフト(2,1−b)ピラン−3−イル〕フェニル]−モルフィン(商品名Reversacol Flame、JamesRobinson LTD社製)を0.075gと、添加剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート0.453gおよび3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−〔β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−2,4,8,10−テトラオキオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン0.227gとを添加した。この混合物を均一になるまで攪拌した後、水酸基当量重量が630である硬化剤(トリレンジイソシアネートとポリプロピレングリコールを反応させて得られたもの。商品名:BHS6020C:東洋モートン株式会社製)1.6gを加え、さらに攪拌し、フォトクロミック化合物を含有する重合性組成物(液状)を得た。
(d)透明支持シート
厚さ300μmのポリカーボネートシート(商品名:ユーピロン、三菱瓦斯化学株式会社製)を透明支持シートとして用いた。
(e)(メタ)アクリレート系重合性組成物
1,9−ノナンジオールアクリレート(大阪有機化学株式会社製、商品名:ビスコート#215)60重量部、多官能ウレタンアクリレートオリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名:U−4HA)37重量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製重合開始剤、商品名:ダロキュア1173)3重量部を用いて(メタ)アクリレート系重合性組成物を調製した。
(f)塗膜された偏光調光積層体の製造
(a)で得た偏光フィルム基板の片面に、(b)の接着剤組成物をバーコーター#24を用いて塗布し、室温で5分間乾燥させた後、(d)のポリカーボネートシートをラミネーター(三芝商事株式会社製)を用いて、ニップ圧4.0kg/cm2Gの条件で貼り合わせたシートを製造した。ついで(c)で得られたフォトクロミック化合物を含有する重合性組成物を別のポリカーボネートシートに200ミクロンのクリアランスを有するドクターブレード(ヨシミツ精機株式会社製)を用いて塗布した。その後、60℃の熱風乾燥機に10分間入れ、溶剤を揮発させた。その塗膜上に、先に製造しておいたシートの偏光フィルム基板側を積層し、同様にラミネーターにて密着させた後、70℃で2日間加熱硬化させた。このようにして、2枚の透明支持シートと該シートの間に介在するフォトクロミック化合物を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂層(調光層)と偏光シートを持つ偏光/調光積層体を得た。
この偏光調光積層体の片側の最外層に、(e)の(メタ)アクリレート系組成物をバーコーター #24を用いて塗布し、その上からポリエチレンフィルム(東レ合成フィルム株式会社製,50μm)をかぶせ、そのポリエチレンフィルムの上から紫外線を2200mJ/cm2の条件で照射した。別の面も同様の処理を行なった。
硬化後の両塗膜面の厚みは、6から8μmになっていることが確認された。
得られた偏光調光積層体の、光を照射しない時の透過率は19.0%、偏光度は99.8%であり、偏光フィルム基板そのものの光学特性とほぼ同等であった。これに、光を照射すると速やかに発色し、7分後の23度における透過率は9.8%偏光度は99.9%であった。外観は非常に良好であった。
(g)注型重合によるプラスチックス偏光調光レンズの製造
(g−1)塗膜された調光/偏光積層体の曲げ加工
(f)で得られた積層体を円形に打ち抜き、140℃,3mmHgの雰囲気下で5分かけて真空成型し、曲率半径R=87.2mmのレンズ状曲げ加工品を得た。
(g−2)注型重合
(g−2−1)チオウレタン系重合性組成物を用いた注型重合(実施例1)
この曲げ加工品を直径60mmに裁断し、直径60mmのガラスモールド中に入れ、この曲げ加工品の上下にペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)39.55重量部、メタキシリレンジイソシアネート30.45重量部およびジブチルチンジラウレート0.035重量部からなるレンズ体用重合性組成物を注入して30℃から100℃迄を3.5℃/時間の速度で昇温し、さらに100℃から120℃迄を20℃/時間の速度で昇温させた後、120℃を3時間保持する条件で重合させた。
塗膜された偏光調光積層体とレンズ基材が強固に一体化した、透明性の良好なレンズが得られた。得られたレンズの色調は重合前のシートと比較して、目視においても著しい変化は観察されず、分光光度計での特性評価でも、そのフォトクロミック特性(外観、透過率)および偏光度は表1に示す通りに積層体の特性が保持され良好であることが確認された。
(g−2−2)エピスルフィド系重合性組成物を用いた注型重合(実施例2)
レンズ用重合性組成物として、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィド95重量部、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド5重量部、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド0.05重量部を混合し調製した。また、重合条件として20℃から100℃迄4℃/時間の速度で昇温し、さらに100℃から120℃迄を20℃/時間の速度で昇温させた後、120℃を3時間保持する条件を採用する以外は、(g−2−1)とまったく同様の操作を行なった。
この場合も良好なレンズが得られ、フォトクロミック特性及び偏光度は表8に示すように良好であることが確認された。
(g−2−3)CR−39を用いた注型重合(実施例3)
レンズ用重合性組成物として、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート150重量部、ジイソプロピルパーオキシカーボネート5重量部を調製した。また、重合条件として、30℃を10時間保持した後、30℃から100℃迄7℃/時間の速度で昇温し、さらに100℃を1時間保持する条件を採用する以外は、(g−2−1)とまったく同様の操作を行なった。
この場合も良好なレンズが得られ、フォトクロミック特性及び偏光度は表1に示すように良好であることが確認された。
Figure 0004729354
本発明は、光学制御プラスチックレンズの分野において極めて有用である。
図1は本発明の光制御プラスチックレンズの一実施形態を示す図である。 図2は本発明の光制御積層体の一実施形態を示す図である。 図3は本発明の光制御プラスチックレンズの他の実施形態を示す図である。
符号の説明
1 偏光調光積層体
2 透明支持シート
3 (メタ)アクリレート樹脂層
4 レンズ体樹脂層
5 偏光シート
6 調光シート

Claims (9)

  1. 偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に、(メタ)アクリレート系樹脂層が設けられ、さらに前記(メタ)アクリレート系樹脂層の上にレンズ体樹脂層が設けられる光制御プラスチックスレンズであって、
    前記レンズ体樹脂層が、チオウレタン系重合性化合物およびエピスルフィド系重合性化合物から選ばれる少なくとも1種で形成されてなる、光制御プラスチックスレンズ
  2. 偏光調光積層体が、さらに透明支持体層を有することを特徴とする、請求項1に記載の光制御プラスチックレンズ。
  3. 前記(メタ)アクリレート系樹脂層が、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート系樹脂、およびエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂により形成されてなる、請求項1または2に記載の光制御プラスチックレンズ。
  4. 前記(メタ)アクリレート系樹脂層の厚さが、2μm以上13μm以下である、請求項3に記載の光制御プラスチックレンズ。
  5. 前記偏光層が、2色性色素を含有するポリビニルアルコール系樹脂で形成されてなることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
  6. 前記調光層が、調光色素を含有するポリウレタン系樹脂から形成されてなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
  7. 前記透明支持体層が、ポリカーボネート樹脂、セルロース系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種から形成されてなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の光制御プラスチックスレンズ。
  8. 透明支持体層の厚さが、20μm以上2mm以下である、請求項7に記載の光制御プラスチックレンズ。
  9. 偏光層および調光層の少なくとも2層を有する偏光調光積層体の少なくとも一方の面に(メタ)アクリレート系樹脂層が積層された光制御積層体の少なくとも一方の面に、チオウレタン系重合性化合物およびエピスルフィド系重合性化合物から選ばれる少なくとも1種であるレンズ体用重合性組成物を積層し、当該レンズ体用重合性組成物を重合反応により硬化させ、光制御積層体の少なくとも一方の面にレンズ体樹脂層を設ける、光制御プラスチックレンズの製造方法
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