JP4310957B2 - 偏光板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示素子、有機EL表示素子、眼鏡等をはじめとする光学素子には、偏光板が用いられているが、このような用途に用いられている偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂の一軸延伸フィルムをヨウ素で染色した偏光子の両面に、その強度及び耐水性や耐湿性等を向上させるために、保護膜を接着剤で貼り合わせたものが一般的である。
【0003】
このような偏光板における保護膜としては、光学的透明性に優れた酢酸セルロース系樹脂フィルム(TACフィルム)が用いられており、また接着剤としては、偏光子及び保護膜が共に親水性であることを考慮して、親水性のものが用いられている。
【0004】
ところで、上述したような偏光子では、発色しているポリヨウ素イオン(I3 -、I5 -等)がポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸の結果として偏光能を発揮しているため、偏光子に湿気(水蒸気)が供給されるとポリヨウ素が分解してヨウ素イオン(I-)となり、ポリヨウ素イオンによる発色は減じる。この現象は、高温環境下では更に顕著となる。その結果、偏光子の光透過率が増大し、偏光子の偏光能は失われて行くと考えられている。従って、偏光板の保護膜に対しては、外部の湿気等の影響から偏光子を保護することが求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の偏光板において使用しているTACフィルム及び接着剤も親水性である点を考慮すると、TACフィルムが外部の湿気の影響から偏光子を保護するために、その厚さを80μm程度以上の厚みにすることが行われていた。このため、従来の偏光板では、近年の光学表示素子用の偏光板の保護膜に要求されている薄膜化(例えば、保護膜の厚さを40μ以下に薄膜化)という要請に対しては対応ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の従来の課題を解決しようとするものであり、偏光板の保護膜を薄膜化した場合であっても、外部の湿気等の影響から偏光子を保護できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、偏光子の少なくとも片面に設ける保護膜を、特定の置換基を有するエネルギー線重合性化合物を含む硬化性組成物から形成することにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、ヨウ素で染色された一軸延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の少なくとも片面に保護膜が直接形成された偏光板において、該保護膜が、ビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物を偏光子の少なくとも片面に直接塗布し、エネルギー線を照射することにより硬化形成されたものであることを特徴とする偏光板を提供する。
【0009】
また、本発明は、このような偏光板を備えた液晶表示素子等の光学素子を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に保護膜が形成されたものである。ここで、保護膜は、ビスフェノール残基を有するエネルギー線(紫外線、電子線等)重合性化合物を含有するエネルギー線硬化性組成物を硬化させたものである。このため、保護膜を40μm程度以下に薄膜化した場合でも、外部の湿気等の影響から偏光子を保護することができる。また、偏光子の支持体としても機能することが可能である。
【0012】
保護膜を構成するエネルギー線硬化性組成物は、少なくともビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物を樹脂固形分基準で20重量%以上含有することが好ましい。20重量%未満であると、偏光子の偏光能を維持することが困難となる。
【0013】
エネルギー線重合性化合物のビスフェノール残基としては、好ましくはビスフェノールA型残基又はビスフェノールF型残基を挙げることができる。また、これらのビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物の重合に寄与する主要部としては、アクロイル基又はメタクロイル基を一部に含む(メタ)アクロイル残基が挙げられる。また、(メタ)アクロイル残基(CH2=CRCO−、ここでRは水素又はメチル基である)は、ビスフェノール残基に対して酸素(−O−)を介して(即ち(メタ)アクロイルオキシ基として)結合してもよく、また、ビスフェノール残基に対して結合する際に、それらの残基の間にEO(エチレンオキサイド)変性残基やPO(プロピレンオキサイド)変性残基、あるいはエポキシ変性残基、それらを組み合わせた変性残基を導入してもよい。例えば、(メタ)アクロイル残基は、ビスフェノール残基に対して、−O(CH2CH2O)n−、−O(CH(CH3)CH2O)n−、−O(CH2CH2O)m−、又は−O(CH(CH3)CH2O)m−を介して結合してもよい。ここで、n及びmはそれぞれ1〜10の整数である。
【0014】
以下に、エネルギー線重合性化合物の化学構造の例として、以下の式(1)〜(2)で示される化合物を例示する。
【0015】
【化1】
(式(1)及び(2)において、Rは水素原子又はメチル基であり、Xは−O−、−O(CH2CH2O)n− 又は−O(CH(CH3)CH2O)n− であり、Yは−O−、−O(CH2CH2O)m− 又は−O(CH(CH3)CH2O)m−であり、n及びmは、それぞれ1〜10の整数である。)
【0016】
エネルギー線重合性化合物の具体例としては、EO変性ビスフェノールAジアクリレート(SR−349、サートマー社;R−551、日本化薬)、EO変性ビスフェノールFジアクリレート(R−712、日本化薬)、エポキシ変性ビスフェノールAジメタクリレート(エポキシエステル3002M、共栄社化学)、エポキシ変性ビスフェノールAアクリレート(エポキシエステル3002A、共栄社化学)、 ジグリシジルエーテル変性ビスフェノールAジメタクリレート(エポキシエステル3000M、共栄社化学)、ジグリシジルエーテル変性ビスフェノールAジアクリレート(エポキシエステル3000A、共栄社化学)等が挙げられる。
【0017】
本発明において、保護膜を構成するエネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、ビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物以外の他のエネルギー線重合性化合物を含有することができる。そのような他のエネルギー線重合性化合物としては、エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリフリル(メタ)アクリレート、カルビトールアクリレート、ベンジルアクリレート、アリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、アクリロキシエチルフォスフェート、2−ビニルピリジン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(#200、#400、#600)ジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、メチルトリグリコール、アクリロイルモルフォリン、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート等が挙げられる。また、これらのオリゴマーも使用することができる。あるいは、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、イソプレンアクリレート、エポキシアクリレート等も使用することができる。中でも、脂肪族ポリエステル(例えばアジピン酸とエチレングリコールとのポリエステル)のアクリル酸エステル等のポリエステル(メタ)アクリレートを好ましく併用することができる。
【0018】
これらの他のエネルギー線重合性化合物を併用する場合、種類にもよるが、エネルギー線硬化性組成物中で95重量%、好ましくは80重量%まで配合することができる。これ以上配合すると、相対的にビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物の含有量が減少し過ぎて本発明の効果が得られないことが懸念される。
【0019】
エネルギー線硬化性組成物が重合して硬化するためには、ビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物もしくは他のエネルギー線重合性化合物のいずれかが多官能であること、例えば、一分子中に2以上の(メタ)アクロイル残基を有することが好ましい。また、必要に応じて、公知の架橋剤、例えばポリイソシアネート系架橋剤を併用することができる。
【0020】
また、エネルギー線硬化性組成物には、エネルギー線重合開始剤を配合することができる。このようなエネルギー線重合開始剤としては、例えば、オクテン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクテン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、アントラキノン、ナフトキノン、ヒバロインエチルエーテル、ベンジルケタール、1,1−ジクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ミヒラーケトン、2,2−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−メチルチオキサントン、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベンゾスパロン、ベンゾフェノン−アミン系(N−メチルジエタノール、トリエチルアミン等)、ベンジルジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノサルファイト、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォニノ−1−プロパノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンメチルベンゾイルフォルメート等の中から、エネルギー線の種類に応じて適宜選択することができる。
【0021】
エネルギー線重合開始剤の配合量は特に限定されないが、ビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物と他のエネルギー線重合性化合物との合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。
【0022】
本発明においてエネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶剤、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族系溶剤、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。
【0023】
エネルギー線硬化性組成物には、更に、必要に応じて、添加剤として顔料、充填剤、レベリング剤、消泡剤、熱可塑性樹脂等を添加してもよい。
【0024】
本発明において、保護膜は、以上説明したエネルギー線硬化性組成物を、公知の塗工方法、例えば、カーテンコーティング法、ロールコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ディッピングコーティング法等により、後述する偏光子の少なくとも片面に塗布し、必要に応じて40〜100℃の温度で有機溶剤を蒸発除去した後に、エネルギー線、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、X線、γ線等の電磁波、電子線、プロトン線、中性子線等を照射して硬化させることにより形成できる。中でも、皮膜形成(硬化)速度、エネルギー線照射装置の入手のし易さ、価格等から、エネルギー線として紫外線を採用することが有利である。ここで、紫外線とは150〜450nm波長域の光を主体としたもので、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等から発生させることができる。
【0025】
保護膜の厚さとしては、特に制限はないが、薄膜化という観点からは40μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。
【0026】
また、保護膜は、偏光子に直接塗工して形成される場合だけでなく、剥離シートに塗工し、エネルギー線を照射してフィルム化し、そのフィルムを偏光子に公知の接着剤や粘着剤で貼着させることにより形成してもよい。
【0027】
本発明の偏光板の偏光子としては、特に限定されず、従来より公知の偏光子を使用することができるが、特に、ポリビニルアルコール系樹脂の一軸延伸フィルムをヨウ素で染色したものを好ましく使用することができる。
【0028】
ここで、ポリビニルアルコール系樹脂は通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有していてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂における平均ケン化度は好ましくは85〜100モル%、より好ましくは98〜100モル%が実用的である。また、ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度としては任意のものが使用可能である。
【0029】
また、偏光子の具体的製法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を、水、有機溶媒(DMSO、グリセリンなどの多価アルコール類、エチレンジアミンなどのアミン類等)又はそれらと有機溶媒との混合溶媒(水分約5〜30重量%)に約5〜20重量%で溶解した原液を製膜してフィルム化し、(a)そのフィルムを延伸した後にヨウ素溶液又は二色性染料溶液に浸漬して染色し、その後でホウ素化合物処理する方法、(b)そのフィルムをヨウ素溶液又は二色性染料溶液に浸漬しながら延伸を行うことにより延伸と染色を同時に行い、その後でホウ素化合物処理する方法、(c)そのフィルムをヨウ素溶液又は二色性染料溶液に浸漬して染色した後に延伸し、その後でホウ素化合物処理する方法、また、(d)そのフィルムをヨウ素溶液又は二色性染料溶液に浸漬し染色した後、ホウ素化合物溶液中で延伸する方法等が挙げられる。
【0030】
ポリビニルアルコール系樹脂の製膜方法としては、キャスト法、押出法、ゲル製膜法等の公知の方法で製膜することができる。
【0031】
また、製膜したポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸は、好ましくは40〜170℃の温度で一軸方向に、一回でもしくは複数回で3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行ってもよい。
【0032】
製膜したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対する染色は、そのフィルムにヨウ素溶液あるいは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行われる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/l、ヨウ化カリの濃度は10〜50g/l、ヨウ素/ヨウ化カリの重量比は20〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。染色浴の温度は5〜50℃が好ましい。水以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
【0033】
染色処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対するホウ素化合物処理は、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物の水溶液又は含水有機溶媒溶液(0.5〜2モル/l程度)を、少量のヨウ化カリの共存下、50〜70℃の温度で、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに浸漬、塗布、噴霧などの手段により接触させればよい。必要に応じてホウ素化合物処理中にフィルムの延伸操作を行ってもよい。
【0034】
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、前述しように保護膜を形成することにより製造できる。
【0035】
本発明の偏光板の片面又は両面には、本発明の効果が損なわれない範囲で、従来のTACフィルムを接着剤により貼り合わせてもよいし、必要に応じて公知の透明な感圧性接着剤層を常法により設けてもよい。感圧性接着剤層としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルと、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα−モノオレフィンカルボン酸との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む)を主体とするものが、偏光子の偏光特性を阻害することがないので特に好ましい。その他、透明性を有する粘着剤、例えば、ポリビニルエーテル系、ゴム系等の接着剤を使用することができる。
【0036】
本発明の偏光板には、必要に応じて、アンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、光拡散層、エレクトロルミネッセンス層等の機能層の1以上を、粘着剤や接着剤で積層してもよい。
【0037】
本発明の偏光板は、従来公知の構造の液晶パネルや、有機ELパネル等の表示パネルの少なくとも片面に貼着されるべき偏光板として、あるいはサングラス、視力矯正用メガネ等の眼鏡用レンズの少なくとも片面に貼着されるべき偏光板として好ましく適用できる。例えば、図1に示すように、液晶パネル1の片面に、偏光子2と保護膜3とからなる偏光板4を、保護膜3の反対面側にλ/2位相差膜5と4/λ位相差膜6とを粘着剤層7を介して積層し、その積層体全体を粘着剤層8で貼り付け、一方、液晶パネル1の他面には、偏光子10の両面に保護膜11が設けられた偏光板12の片面に、λ/2位相差膜13と4/λ位相差膜14と視野角向上膜15を粘着剤層16を介して積層し、その積層体全体を粘着剤層17で貼り付けることにより、薄膜化した偏光板を備えた液晶表示素子が得られる。
【0038】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0039】
実施例1〜4及び比較例1〜2
ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコールフィルム(75μm厚)を、純水に浸漬して十分に膨潤させた後に、ヨウ素染色液(ヨウ素/ヨウ化カリウム/ホウ酸/純水=0.2g/30g/30/1l)に35℃で4分間浸漬して染色した。染色したポリビニルアルコールフィルムを延伸用溶液(ヨウ化カリウム/ホウ酸/純水=30g/30g/1l)中で5倍以上に一軸延伸を行った。延伸したポリビニルアルコールフィルムを、固定用溶液(ヨウ化カリウム/ホウ酸/純水=40g/40g/1l)に、40℃で3分間浸漬してポリビニルアルコールフィルム中にヨウ素を固定した後に、固定用溶液から取り出し、乾燥炉(65℃、5分)中で乾燥することにより偏光子を作製した。
【0040】
次に得られた偏光子の両面に、表1の配合のエネルギー線硬化性組成物を20μm厚となるように塗布し、メタルハライドランプにより400mJ/cm2の積算光量で紫外線(波長365nm)を照射して硬化させて保護膜を形成することにより偏光板を作製した。
【0041】
得られた偏光板を60℃で90%RHの湿度環境下に100時間放置というエージング試験を行った。エージング試験の前後の光透過率を分光光度計にて400〜700nmの波長域における平均透過率を測定した。そして、エージング前に対するエージング後の光透過率の増大割合が10%未満である場合を良好と判定し、10%以上である場合を不良と判定した。得られた結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果から、ビスフェノール残基を有する重合性化合物を少なくとも20重量%含有するエネルギー線(紫外線)硬化性組成物から形成された保護膜を有する実施例1〜4の偏光板は、保護膜が20μmと非常に薄膜化しているにもかかわらず、ポリヨウ素の消色を抑制しており、偏光子に対する湿気等の外界の影響を排除できることがわかる。
【0044】
一方、他の重合性化合物としてポリエステルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレートから保護膜を形成した比較例1〜2の偏光板は、ポリヨウ素が消色して透過率が増大しており、実用できない偏光板であることがわかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の偏光板によれば、保護膜が薄膜化されているにもかかわらず、外部の湿気等の影響から偏光子が保護されており、高温、高湿の環境下でも偏光能を良好な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の偏光板を適用した液晶表示素子の概略断面図である。
【符号の説明】
1 液晶パネル、2,10 偏光子、 3,11 保護膜、4,12 偏光板、5,13 λ/2位相差膜、6,14 4/λ位相差膜、7,8,16,17粘着剤層、15 視野角向上膜
Claims (5)
- ヨウ素で染色された一軸延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の少なくとも片面に保護膜が直接形成された偏光板において、該保護膜が、ビスフェノール残基を有するエネルギー線重合性化合物を含有するエネルギー線硬化性組成物を偏光子の少なくとも片面に直接塗布し、エネルギー線を照射することにより硬化形成されたものであることを特徴とする偏光板。
- 該エネルギー線重合性化合物のビスフェノール残基が、ビスフェノールA型残基又はビスフェノールF型残基である請求項1記載の偏光板。
- 該エネルギー線硬化性組成物が該エネルギー線重合性化合物を少なくとも樹脂固形分基準で20重量%以上含有している請求項2記載の偏光板。
- 該エネルギー線硬化性組成物が、更にポリエステル(メタ)アクリレートを含有する請求項3記載の偏光板。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板が、液晶パネルの少なくとも片面に設けられた液晶表示素子。
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