JP4727639B2 - 中空有機顔料コアバインダーでコーティングされた紙または板紙物品およびその製造方法 - Google Patents

中空有機顔料コアバインダーでコーティングされた紙または板紙物品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、板紙をコーティングする方法および中空コアバインダーを用いて紙を製造する方法、ならびにかかる方法により形成されたコートされた紙および板紙物品に関する。さらに詳細には、本発明は、板紙をコーティングする方法およびバインダーコーティングされたボイドを含有するポリマー顔料粒子を含む水性分散物を用いて紙を製造する方法であって、前記バインダーがコーティングフィルムを提供し、製造過程耐久性を提供し、これにより、光沢度が高い板紙コーティングを可能にするために十分なガラス転移温度を有する方法、ならびに紙およびコーティング板紙を製造するための低コスト法に関する。
望ましい不透明度および輝度を有する強靱な板紙コーティングを可能にするために、当業者は通常、より多くのバインダーおよびより多くの二酸化チタンを使用する。しかしながら、製紙および板紙コーティング産業における激しい競争のために、使用できる高価なバインダーおよび二酸化チタンの量は制限される。従って、既存の板紙コーティングと類似した性能を実現し、これにより(板)紙製造業者らのコーティングおよび製紙コストを減少させるために、より少ない量の通常のバインダーおよび二酸化チタンが板紙コーティングにおいて必要とされる。
加えて、従来の板紙コーティングの処理のエネルギー必要量は、特に、中光沢または高光沢コーティングが望ましい場合に高価であると証明されている。プラスチック顔料、例えば、固体ポリスチレンビーズ、中空ポリマーおよび有機不透明化顔料は、紙および板紙コーティングにおける不透明度および光沢を増加させるために使用されてきた。しかしながら、かかるコーティングは幾つかの潜在的な欠点、例えば、コーティング強度の低下、コーティングおよび印刷斑点の増加、およびより高い価格があることで知られている。
バインダーコーティングされた中空球状顔料は結合および光散乱特性の両方を提供し、かくしてコーティングおよび湿潤製紙材料の簡素化配合物を可能にする。例えば、米国特許第6,139,961号(Blankenshipら)は、紙および板紙をコーティングするために使用される水不溶性コア/シースポリマー粒子の水性分散物を開示している。コア/シース粒子において、コアは50℃を超えるガラス転移温度Tgを有する第一シェルポリマーにより封入された1以上のボイドを含有し;さらに、−15℃〜−50℃のガラス転移温度を有する第二シェルポリマーが第一シェル上に重合されている。コア/シースポリマー粒子の第二シェルは、第一シェルポリマーおよび第二シェルポリマーの合計重量の少なくとも15wt%を含み;コアポリマーと第一シェルポリマーの重量比は1:2〜1:100である。Blankenshipらの分散物は、これを含有するコーティングに不透明性を提供する。しかしながら、Blankenshipらのコーティングは、コーティングされた物品を加工中の損傷から保護するために不十分な強度を提供し、および許容される高光沢コーティングを提供しない。その結果、許容できるコーティング強度および光沢を達成するために追加のバインダーおよび不透明顔料を使用しなければならず、これは非常に費用がかかる。
米国特許第6,139,961号明細書
本出願人は、板紙コーティングの加工に耐え得る低コストの中光沢または高光沢板紙コーティングを提供する問題を解決するために努力してきた。
本発明の方法は、コーティング組成物を板紙基体に適用し(前記コーティング組成物は、1以上のボイドを含有する第一ポリマーの1種以上の中空コアバインダーの水性分散物を含み、第一ポリマーは1以上の第二ポリマーにより実質的に封入され、ここで、前記第二ポリマーは−15℃以上、30℃以下、例えば25℃までの範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、かつ第二ポリマーと第一ポリマーの重量比は1:1〜4:1である)、乾燥および/または硬化させて、コーティングを形成することを含む。第一および第二ポリマーの一方または両方は、重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成される。好ましくは、第一ポリマーは、重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、かつボイド含有コア段を有する多段ポリマー、例えば、アルカリ膨潤性またはアルカリ加水分解性ポリマーである。好ましくは、第二ポリマーは、重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマー、またはさらに好ましくは、1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーから形成される。第二ポリマーは縮合ポリマーであってもよい。第一ポリマーのTgは50℃以上であり、好ましくは75℃以上である。好ましくは、第二ポリマーと第一ポリマーの重量比は、2:1〜3:1の範囲である。
あるいは、本発明の方法は、紙または板紙のシートまたはボードの形成前または形成中に、本発明の1種以上の中空コアバインダーの水性分散物を含む組成物を、セルロース繊維パルプと混合し、(例えば、カレンダー加工またはプレスすることにより)シートまたはボードを形成し、および乾燥して、紙、ラミネート紙または板紙物品を形成することを含む。
本発明の方法において、組成物は、紙パルプバインダーおよびコーティングバインダーから選択されるバインダーをさらに含むことができる。本発明の組成物は、不透明化顔料、フィラー、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、またはその組み合わせをさらに含むことができる。
組成物はピンホールのないコーティングを板紙物品上に提供して、所望のコーティングの不透明性および輝度を有する基体の製造を可能にする。さらに、本発明のコーティング組成物で作られた板紙コーティングおよび紙物品の強度および光散乱は、同じ量のバインダーおよび二酸化チタンを有するコーティングと比べて増加する。
さらに、本発明は、その上に本発明の組成物から形成されたコーティングを有する、コーティングされた板紙物品を提供する。さらに、本発明は、本発明の組成物で作られた紙、ラミネート紙または板紙を提供する。ラミネート紙の場合、積層物の1以上の層は、本発明の中空コアバインダーを含む。
記載されるすべての範囲は両端を含み、組み合わせることができる。例えば、200ナノメートル(nm)以上および5000nmまで、好ましくは1500nmまで、さらに好ましくは300nm以上、あるいはさらに好ましくは1000nmまでの範囲でありうる平均粒子直径は、200nm〜5000nm、または300nm〜5000nm、または200nm〜1000nm、または300nm〜1000nm、または200nm〜1500nm、または300nm〜1500nmの平均粒子直径を包含する。
他に特に記載しない限り、すべての温度および圧力単位は標準温度および圧力(STP)である。
かっこを含むすべての語句は、含まれる挿入句およびそれがない場合のいずれか、または両方を意味する。例えば、「(メタ)アクリレート」なる語句は、選択的に、アクリレートおよびメタクリレートを包含し;同様に、「(コ)ポリマー」なる語句は、選択的に、ポリマーまたはコポリマーを意味する。
本明細書において用いられる場合、特に記載しない限り、「平均粒子サイズ」とは、Brookfield Instrument Company、Middleboro、Massachusettsから得られるBI−90 Plus装置を用いた光散乱により決定されるような粒子サイズを意味する。
本明細書において用いられる場合、「成分」なる用語は、特定の成分を含む組成物を意味する。例えば、開始剤成分は単に開始剤であってもよく、または開始剤、水性液体および乳化剤または界面活性剤の開始剤プレディスパーションを含み得る。
本明細書において用いられる場合、「ガラス転移温度」またはTgなる用語は、Fox式(T.G.Fox、Bull.Am.Physics Soc.第1巻、第3号、123ページ(1956))を用いて計算される量を意味する。2より多い異なるモノマーの重合生成物を含むコポリマーについて、計算は次のように表すことができる:
1/Tg=Σ[w(Mi)/Tg、(Mi)]
(式中、w(Mi)は各モノマーの重量分率であり、Tg、(Mi)はMiのホモポリマーのガラス転移温度である。任意の多段ポリマーの場合、記載されたTgは、全多段ポリマーを製造するために用いられる全てのモノマーから計算されるTgを表す。
本明細書において用いられる場合、「実験的Tg」なる用語は、20℃/分の加熱速度で示差走査熱量分析法(DSC)により測定される量を意味し、Tgは変曲点またはピークの中点に定められる。「実験的Tg」が任意の多段ポリマーについて言われるならば、記載された実験的Tgは、多段ポリマーの外側段のTgを表す。他に特に記載されない限り、付加ポリマー以外のポリマー、例えばポリエステルなどの縮合ポリマーのTgは、実験的Tgである。
本明細書において用いられる場合、「高固形分」なる用語は、50wt%を超える固形分、好ましくは60wt%を超える固形分を意味する。
本明細書において用いられる場合、「(メタ)アクリレート」なる用語は、アクリレート、メタクリレート、およびその混合物を意味し、本明細書において用いられる「(メタ)アクリル」なる用語は、アクリル、メタクリル、およびその混合物を意味する。
本明細書において用いられる場合、特に記載しない限り、「分子量」なる語句は、KOH中で加水分解されるコポリマーのポリアクリル酸(PAA)標準に対するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量を意味する。
本明細書において用いられる場合、「顔料体積濃度」またはPVCなる用語は、次式:
PVC(%)=(顔料の体積+増量剤体積)×100/塗料の合計乾燥体積
により計算される量を意味する。
本明細書において用いられる場合、「実質的に封入する」なる用語は、封入された粒子、例えば、(コ)ポリマーの表面積の50%超が封入剤、例えば、第一または第二ポリマーにより被覆されていることを意味する。
本明細書において用いられる場合、「ボイド」なる用語は、ポリマーのない空間であって、これを含有する物質が乾燥している場合、空気または他の気体で満たされているものを意味する。
本明細書において用いられる場合、「揮発性有機化合物」または(VOC)なる用語は、大気圧で280℃より低い沸点を有する炭素含有化合物として定義される。
本明細書において用いられる場合、「ウェットエンド」または「ウェットエンド加工」なる用語は、紙または板紙加工の一部であって、その間に、主なセルロース繊維パルプスラリーが当該分野において公知の技術により抄紙機でウェットシートに形成されるものを意味する。
本明細書において用いられる場合、「wt%」なる語句は、重量パーセントを表す。
本発明の中空コアバインダーにおいて、第一ポリマーは、乾燥時に、50nm以上、または1500nmまで、好ましくは100nm以上、好ましくは700nmまでの直径を有する少なくとも1つのボイドを含み、第二ポリマーは、前記第一ポリマーを実質的に封入する。本発明の中空コアバインダーを有するコーティングおよび製紙組成物は、高価な乳白剤顔料、例えば、二酸化チタン、およびこれに添加されたバインダーポリマーのそれぞれを30wt%多く有するコーティングと匹敵する強度および不透明性を有するコーティングおよび紙製品を提供する。さらに、中空コアバインダー組成物は、匹敵する光沢および品質のコーティングよりも容易かつ低エネルギー入力でフィルムを形成し、これにより経済的、高品質の板紙コーティングおよび紙製品、特に中光沢または高光沢を有するものを提供することが可能になる。
第一ポリマーおよび第二ポリマーの組成は、加工中の耐久性を提供し、かつ所望の外観特性を有するコーティングの形成を可能にするために選択される。中空コアバインダーの第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、1種以上のエチレン性不飽和モノマー、好ましくは1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーの重合生成物を含み得る。さらに、中空コアバインダーの第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、独立して、2以上の段を有する多段コポリマーを含むことができる。第一ポリマーは縮合ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドまたはアルキドであってよい。第二ポリマーは、様々なバインダー組成物、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーを含むことができる。第一ポリマーのTgは50℃以上であり、150℃までの範囲であり得る。好ましくは、第一ポリマーのTgは75℃以上、またはさらに好ましくは80℃以上の範囲である。第二ポリマーのTgは、−15℃以上、30℃以下、例えば、25℃以下、好ましくは−5℃以上である。好ましくは、第二ポリマーのTgは、10℃まで、さらに好ましくは5℃まででありうる。
好ましくは、第一ポリマーは、コアを有する多段コポリマーを含み、ここで、コアポリマーまたは段は、重合単位として、任意の1種以上の(コ)ポリマーを含み、前記(コ)ポリマーにおいて、アルカリ膨潤、アルカリ加水分解をはじめとする方法により、不安定物質または除去可能なポロゲンをそれらから除去することにより、その中に含まれ、重合後に活性化される発泡剤の使用により、またはボイド部分を溶出させるための溶媒の使用によるなどを包含する公知方法により1以上のボイドを前記ポリマー中に形成することができる。別法として、第一ポリマーは単一段ポリマーを含むことができ、ここで内部ボイドまたは空洞は、封入された不安定物質または除去可能なポロゲンをそこから除去することにより、内部ボイドを形成するために発泡剤を使用することにより形成することができる。従って、多段第一ポリマーのコアは、任意の膨潤性ポリマー、例えば、アルカリ膨潤性ポリマーまたは溶媒可溶性ポリマー、例えば、水中または有機溶媒中に可溶性のポリマーを含むことができ;同様に、単一段第一ポリマーまたは多段第一ポリマーの任意のコアは、1以上のボイドを形成するために、不安定性、ポロゲンまたは発泡剤物質を含有することができる。
アルカリ膨潤性ポリマーは、重合単位として、1種以上のモノエチレン性不飽和酸または酸を含まない重合単位の1種以上であって、アルカリ性環境において、ポリマーのTgよりも高い温度で加水分解可能および膨潤可能なもの、例えば、(メタ)アクリレートエステル、カルボン酸のビニルエステルまたはその混合物を含有することができる。
有機溶媒可溶性ポリマーおよびこれらが溶解する溶媒は、例えば、米国特許第5,989,630号に記載されている。好適な有機可溶性ポリマーは、重合単位として、1〜20の炭素アルキル(メタ)アクリレート、芳香族ビニル化合物、1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステル、アルカンジオールのモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、1〜20炭素アルカノールのビニルエーテル、1〜20炭素アルカノール(メタ)アクリロニトリルのエチレン性不飽和ジカルボン酸のジエステル、ビニルハライドおよび(ジ)オレフィンを含むことができる。好適な溶媒は、トルエン、または問題のポリマーの良好な溶媒の混合物、例えば、トルエン、およびポリマーの非常に貧溶媒(凝固剤)、例えば、n−オクタンを含むことができ;トルエンとn−オクタンの混合物が特に使用に有利であり、最良の結果は、約5:1〜約1:1の範囲内のトルエンとn−オクタン比で得られる。
第一ポリマーは、重合単位として、少なくとも50重量パーセントの非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーおよび、任意に少なくとも1種の共重合したモノエチレン性不飽和モノマーを含むことができる。このような第一ポリマーは、フリーラジカル付加重合により形成することができる。第一ポリマーは、縮合ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、またはポリアミドであってもよい。
第一ポリマーは、重合単位として、ポリマーを製造するために用いられるモノマーの合計重量基準で、0.05〜50wt%、好ましくは0.2wt%以上、あるいは好ましくは35wt%まで、さらに好ましくは0.5〜25wt%、なおいっそう好ましくは1〜5wt%の多エチレン性不飽和モノマーを含むことができる。
好ましくは、多段第一ポリマーのコア段は、重合単位として、コア段ポリマーの重量基準で、5〜100重量パーセントの1種以上の親水性モノエチレン性不飽和モノマー、好ましくは、(メタ)アクリル酸、およびコアポリマーの重量基準で0〜95重量パーセントの少なくとも1種の非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーを含む。このようなコア段ポリマーは、アルカリ膨潤性酸基含有またはアルカリ加水分解性ポリマーであり得る。
第二ポリマーは、所望のTgを有する任意のポリマー、例えば、これに限定されないが、付加(コ)ポリマーおよび縮合(コ)ポリマーであってよい。第二ポリマーが縮合ポリマーである場合、これは第一ポリマーにおける縮合反応性基上にグラフトすることができる。例えば、第一ポリマーがアミンまたはヒドロキシル基を含む場合、第二ポリマーはウレタンポリマー、アルキドまたはカルボキシル官能性ポリエステルであり;同様に、第一ポリマーが酸基を含む場合、第二ポリマーはポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、またはヒドロキシル官能性ポリエステルを含むことができる。
第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、独立して、重合単位としてポリマーを製造するために用いられるモノマーの合計重量基準で0%〜7.5wt%、好ましくは0wt%〜2.5wt%の1種以上のモノエチレン性不飽和酸または二酸モノマー、またはその無水物を含有することができる。
酸モノマーおよびアミドモノマー、例えば、それぞれポリマーを製造するために使用されるモノマーの合計重量基準で0.1〜2.5wt%のアクリル酸および0.1〜2.5wt%以上のアクリルアミドはどちらも、重合単位として第二ポリマー中に組み入れることができる。
第一ポリマーおよび/または第二ポリマーのための適当なモノエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルエステルモノマー、例えば、C−C30(シクロ)アルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、2−(3−オキサゾリジニル)エチル(メタ)アクリレート、およびアミン官能性(メタ)アクリレート、例えば、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル;エチレンウレイド官能性モノマー;アリルアセトアセテート;エチレン;プロピレン;スチレンおよび置換スチレン;ブタジエン;ビニルエステル、例えば、酢酸ビニルおよび酪酸ビニル;ビニルイミダゾール、塩化ビニル、ビニルトルエン、およびビニルベンゾフェノン;および塩化ビニリデンが挙げられる。好ましくは、第一ポリマーおよび第二ポリマーは主に(メタ)アクリル、スチレン/(メタ)アクリル、または酢酸ビニル/アクリルモノマーから形成され;さらに好ましくは、第一ポリマーは、スチレンから形成されるか、またはすべて(メタ)アクリルモノマーから形成される。第二ポリマーは、好ましくは、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートおよびその混合物から形成される。
好適なモノエチレン性不飽和酸または二酸モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;イタコン酸;フマル酸;マレイン酸;モノアルキルイタコネート;モノアルキルフマレート;無水マレイン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;ビニルスルホン酸;スチレンスルホン酸;1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸;アルキルアリルスルホコハク酸;スルホエチル(メタ)アクリレート;ホスホアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ホスホエチル(メタ)アクリレート、ホスホジアルキル(メタ)アクリレート;およびアリルホスフェートが挙げられる。好ましい酸モノマーは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸およびマレイン酸である。
コアポリマーの製造に有用な好適な親水性モノエチレン性不飽和モノマーとしては、酸官能基、例えば、カルボン酸基、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水物、フマル酸、クロトン酸、モノメチルマレエート、モノメチルフマレート、およびモノメチルイタコネートを含有するモノマー;およびヒドロキシルまたはアミン基を含有するモノマーが挙げられる。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
好適な多エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2以上のエチレン性不飽和結合を有するもの、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、1,2−エチレングリコールジメタクリレート;およびジビニルベンゼンが挙げられる。
本発明の中空コアバインダーは、第一ポリマーの水性分散物を形成するための当該分野において公知の様々な方法により形成することができ、第二ポリマーシェルは第一ポリマーを実質的に封入する。第二ポリマーは、第一ポリマーの存在下で重合される。
第一ポリマーおよび第二ポリマー水性エマルジョンポリマーのそれぞれは、公知重合技術により製造することができ;従って、本発明の中空コアバインダーは乳化重合により形成することができる。例えば、中空コアバインダーは、コア−シェルコポリマーを第一ポリマーとして乳化重合し、水性乳化重合コア−シェルコポリマーを添加し、コア−シェルポリマーの存在下で1種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを重合して、第二ポリマーを形成し、さらに第二ポリマーのモノエチレン性不飽和モノマーの重合前、重合中、または重合後に膨張剤を水性分散物に添加することにより形成できる。第二ポリマーは、第一ポリマーと同じ反応容器または釜中で形成できる。別法として、第二ポリマーは、異なる反応容器または釜、例えば、貯蔵タンクまたはドレンタンク中でしばらくしてから形成されうる。第二ポリマーの重合温度は、第一ポリマーのTgの計算値よりも少なくとも30℃低い。好ましくは、この方法は、5℃〜65℃の温度で第二ポリマーのモノエチレン性不飽和モノマーの少なくとも10%を重合させることを含む。
第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、それぞれの相が少なくとも1種の共重合したモノエチレン性不飽和モノマーを含み、それぞれが所望のTgを有する限り、独立して、多段ポリマーまたは多相を有するポリマーを含むことができる。好ましくは、第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、多段重合により形成され、ここで、第二ポリマーは第一ポリマーの存在下で形成される。
好ましい実施態様において、第二ポリマーの合計の少なくとも10、好ましくは20、さらに好ましくは50、最も好ましくは100重量%が、5℃〜65℃、好ましくは10℃〜50℃、さらに好ましくは20℃〜40℃の温度での重合により形成され、ここで、重合温度は第一ポリマーのTgよりも少なくとも30℃低い。第二ポリマーが形成される温度は、第二ポリマーの少なくとも10%が5℃〜65℃の温度で形成されるとするならば、第二ポリマーの形成の間、65℃を超えて上昇させることができ、ここで、重合温度は第一ポリマーのTgよりも少なくとも30℃低い。
もう一つ別の好ましい実施態様において、反応容器中の未重合モノマーの濃度は、任意の時間(T)で、時間(T)での反応容器中に存在する反応混合物の合計重量基準で、6重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは4重量%以下である。
第一および第二ポリマーのそれぞれは、界面活性剤、開始剤、および他の添加剤が独立して選択され、すなわち、これらは各ポリマーの種類および量が同じであっても、異なっていてもよいように製造することができる。任意の乳化重合法において、通常の界面活性剤、例えば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルキル、アリール、またはアルキルアリールスルフェート、スルホネートまたはホスフェートのアルカリ金属またはアンモニウム塩;アルキルスルホン酸;スルホコハク酸塩;脂肪酸;エチレン性不飽和界面活性剤モノマー;およびエトキシル化アルコールまたはフェノール類を用いることができる。使用される界面活性剤の量は、任意のポリマーを形成するために用いられるモノマーの合計重量基準で0.1〜6重量%の範囲でありうる。
第一ポリマーおよび第二ポリマーは、独立して、例えば、熱、レドックス、光化学、および電気化学開始を包含するフリーラジカル重合法により重合することができる。少なくとも10重量%の第二ポリマーの形成の間、反応温度が5℃〜65℃に維持される場合、レドックス重合法がその期間で好ましい。
任意の重合において任意のモノマーをニートで、(すなわち、水中エマルジョンとしてでなく)、あるいは水中エマルジョンとして添加することができる。モノマーは、1回以上、または反応期間全体にわたって、連続して、直線的に、またはそうではなく、あるいはその組み合わせで添加できる。ポリエステルまたはポリアミドの場合、反応物質ポリ酸およびポリオール(またはポリアミン)を公知縮合触媒、例えば、トリアルキルスズオキシドの存在下で、塊状で重合することができる。
第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、独立して、適当なフリーラジカル開始剤(酸化剤)またはレドックス触媒を用いて形成することができる。好適な開始剤としては、例えば、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウムおよび/またはアルカリ金属塩;過酸化物、例えば、ナトリウムまたはカリウムヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アルキルヒドロペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド;t−アルキルペルオキシドまたはt−アルキルペルエステル(ここで、t−アルキル基は、少なくとも5個の炭素原子を含有する);過ホウ酸およびその塩、例えば、過ホウ酸ナトリウム;過リン酸およびその塩;過マンガン酸カリウム;ペルオキシ二硫酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩が挙げられる。かかる開始剤は、モノマーの合計重量基準で0.01wt%以上〜3.0wt%の範囲の量で用いることができる。1以上の酸化剤と好適な還元剤を含むレドックス触媒は、例えば、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド;アスコルビン酸;イソアスコルビン酸;硫黄含有酸のアルカリ金属およびアンモニウム塩、例えば、ナトリウムの亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、硫化物、ヒドロ硫化物または亜ジチオン酸塩;ホルマジンスルフィン酸;ヒドロキシメタンスルホン酸;ナトリウム2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸;アセトンビサルファイト;アミン類、例えば、エタノールアミン、グリコール酸;グリオキシル酸水和物;乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸;酒石酸;および前記酸の塩を、モノマーの合計重量基準で0.01wt%〜5.0wt%の量で用いることができる。
鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、またはコバルトのレドックス反応触媒金属塩を第一ポリマーおよび第二ポリマーを形成するために添加することができる。本発明に従って用いられる触媒金属塩の典型的な量は、モノマーの合計重量基準で0.01ppm〜25ppmの範囲であり、1.0wt%までの範囲でありうる。2以上の触媒金属塩の混合物も有用に用いることができる。触媒金属塩とともに使用できるキレートリガンドとしては、多座配位アミノカルボキシレートリガンド、例えば、ニトリロトリ酢酸(NTA、4座配位リガンド)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA、4座配位リガンド)、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA、5座配位リガンド)、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA、6座配位リガンド)が挙げられる。
連鎖移動剤、例えば、メルカプタン、例えば、アルキルチオグリコレート、アルキルメルカプトアルカノエート、およびC−C22直鎖または分岐アルキルメルカプタン;ハロゲン化合物、例えば、テトラブロモメタン;またはメルカプトカルボン酸類を用いて、第一ポリマーおよび第二ポリマーの分子量を制御することができる。連鎖移動剤(1種または複数種)を1回以上でまたは反応期間全体のほとんどまたは全部にわたって、または反応期間の限定された部分(1回または複数回)の間で、連続して、直線的またはそうではなくて添加することができる。連鎖移動剤の好適な量は、モノマーの合計重量基準で0.25〜10wt%の範囲である。
第一ポリマーおよび第二ポリマーは独立して、単一段ポリマーを含むことができるか、またはこれらは1より多い相、例えば、多段乳化重合により形成されるものを含むことができる。多段乳化重合の結果、少なくとも2つの相互に不適合性のポリマー組成物が形成され、これにより、ポリマー粒子内に少なくとも2つの相が形成され得る。このような粒子は、例えば、コア/シェルまたはコア/シース粒子、コアを部分的に封入するシェル相を有するコア/シェル粒子、複数のコアを有するコア/シェル粒子および相互貫入ネットワーク粒子などの様々な構造の2以上の相から構成される。多段エマルジョンコポリマーは、2以上の段において形成でき、ここで、段は分子量ならびに組成が異なる。
好ましくは、本発明の水性分散物は、コア段ポリマー(コア)および第一シェル段ポリマー(第一シェル)を含む多段エマルジョンポリマーの水性分散物を提供し、第一シェル段ポリマーを実質的に封入する第二シェル段ポリマー(第二シェル)を形成し、多段ポリマーのエマルジョンに少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーを添加し、少なくとも10%のモノマーを、5℃〜65℃の温度で、多段ポリマーの存在下で重合させることを含む方法により形成され、ここで、温度は第一シェル段ポリマーのTg計算値よりも少なくとも30℃低い。多段エマルジョンポリマーのコアは、第二シェル段ポリマーを含むモノマーの重合前、重合中、または重合後に、膨張剤を水性分散物に添加することにより膨潤させる。この好ましい方法は、米国特許出願公開番号20010009929Aに記載されている。
第一ポリマーのコア段は、一段階法または複数の段階の含む方法のどちらで得られるかにかかわらず、非膨潤状態において、50nm〜1.0ミクロン、好ましくは100nm〜300nmの平均粒子サイズ直径を有する。コアがたとえば米国特許出願公開番号20010009929Aに記載されているものなどのシードポリマーから得られるならば、シードポリマーは30nm〜200nmの平均粒子サイズを有する。コアも、コアの合計重量基準で、20重量%未満、好ましくは0.1から3重量%の多エチレン性不飽和モノマーを任意に含有することもできる。
好ましい第一ポリマーのコアおよびシェルは、それ自体、1より多い段を含むことができる。1以上の中間段も存在し得る。好ましくは、多段ポリマーは、コア、中間相およびシェルを含む。中間層は、米国特許出願公開番号20010009929Aに記載されている。
本発明の中空コアバインダー粒子は、第一ポリマーおよび前記第一ポリマーを実質的に封入する第二ポリマーを含む。好ましくは、75%を超える、さらに好ましくは100%の第一ポリマー粒子の表面積が第二ポリマーにより覆われている。ポリマー粒子の被覆または封入の程度は、走査電子顕微鏡により、当該分野において公知のように、染色技術を用いて、または用いないで測定することができる。
本発明の中空コアバインダー粒子は、200ナノメートル(nm)以上の平均粒子直径を有し、5000nmまで、好ましくは1500nmまで、さらに好ましくは300nm以上、さらに好ましくは1000nmまでの平均粒子直径を有しうる。マルチモード、すなわち、二モードまたは多モード粒子サイズエマルジョンポリマーも想定される。
第一ポリマーは、乾燥時に、少なくとも1つのボイドを含む。好ましくは、ボイドサイズは、50nm以上、好ましくは100nm以上の範囲であり、1200nmまで、好ましくは800nmまでの範囲でありうる。本発明の粒子が、これらが存在するフィルムの不透明度を増大させる幾つかの実施態様において、ボイドサイズが200〜700nmの範囲であるのが好ましい。
多段乳化重合により形成される単一ボイド含有ポリマーおよびその製造方法は、当該分野において公知であり、例えば、米国特許第4,427,836号;第4,469,825号;第4,594,363号;第4,970,241号;第5,225,279号;第5,494,971号;第5,510,422号;第5,527,613号;第6,020,435号;第6,139,961号、第6,673,451号;および第6,784,262号;ならびに米国特許出願公開番号20010009929A;20010036990A;および20030129435Aにおいて開示されている。
好適な第一ポリマーは、乾燥時に、分離されているか、または他のボイドと連結しているかに関わらず、形状が実質的に球状であるかどうかにかかわらず、例えば、ボイドチャンネル、ボイドおよびポリマーの相互貫入ネットワーク、およびスポンジ様構造を包含する2以上のボイドを含有することができ、例えば、米国特許第5,036,109号;第5,216,044号;第5,521,253号および第5,989,630号に開示されている。複数のボイドは、第一ポリマーを完全または部分的に封入するコアポリマー粒子内または多段第一ポリマーの内段中に形成され得る。
ボイドは、第一ポリマーまたは多段第一ポリマー粒子の一部を膨潤させるか、または第一ポリマー粒子の一部またはある段を、例えば、溶媒により溶出させることにより、乾燥時にボイドを形成することにより形成することができる。別法として、第一ポリマーは、除去可能なポロゲン、例えば、二酸化チタンおよび酸化珪素を含み、これは水性酸;不安定物質、例えば、超臨界二酸化炭素;または酸化に際してボイドを残す酸化可能な化合物で除去可能である。
一つの実施態様において、乾燥時に少なくとも1つのボイドを有する第一ポリマーを米国特許6,632,531号において教唆されている方法に従って形成することができ、ここで、本発明の第一ポリマーは、少なくとも1つの不安定物質、すなわち、30℃未満の通常の沸点を有する任意の物質の存在下で形成され、本発明の第二ポリマーは、第一ポリマーの存在下で重合される。このような実施態様において、第二ポリマーは、不安定物質の除去前または除去後のいずれかで形成することができる。
適当な不安定物質は、好ましくは、超臨界二酸化炭素、2,2−ジメチルプロパン、ジクロロフルオロメタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、ブタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジメチルエーテル、1,1−ジフルオロエタン、オクタフルオロプロパン、クロロジフルオロメタン、プロパン、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、六フッ化硫黄、ヘキサフルオロエタン、二酸化炭素、クロロトリフルオロメタン、トリフルオロメタン、エタン、テトラフルオロメタン、メタン、ジフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、クロロトリフルオロメタン、トリフルオロメタン、エタン、テトラフルオロメタン、メタン、およびその混合物からなる群から選択される。
好ましくは、1種以上の膨張剤を用いて第一ポリマー中に1以上のボイドを形成することができる。好適な膨張剤は、コア−シェル第一ポリマーエマルジョンおよび第二ポリマーを形成するために使用されるモノマー(単一種または複数種)の存在下で、第一ポリマーシェルを通過し、コアを膨潤させることができるものを包含する。膨張剤は、水性または気体状、揮発性または固定塩基、またはその組み合わせであってよい。
好適な膨張剤は、揮発性塩基、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、および揮発性低級脂肪族アミン、例えば、モルホリン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミン;固定(fixed)または永久塩基(permanent base)、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、亜鉛アンモニウム錯体、銅アンモニウム錯体、銀アンモニウム錯体、水酸化ストロンチウム、および水酸化バリウムを包含する。溶媒、例えば、エタノール、ヘキサノール、オクタノール、Texanol(登録商標)溶媒および米国特許第4,594,363号に記載されているものを、固定または永久塩基浸透を助けるために添加することができる。アンモニアおよび水酸化アンモニウムが好ましい。
好ましい多段第一ポリマーのコアは、第二シェル段ポリマーを含むモノマーの重合前、重合中、または重合後であるが、第一シェルポリマーの形成後に、1種以上の膨張剤を水性分散物に添加することにより膨潤させることができる。好ましくは、膨張剤は、水性分散物が、分散物中のポリマーの合計重量基準で少なくとも0.5wt%の未反応モノマーを含む時点で、モノマーの実質的な重合がない条件下で添加され;その後、モノマーの量を少なくとも50%実質的に減少させる。「モノマーの実質的な重合がない条件下」なる語句およびかかる条件を達成するための技術は、米国特許出願公開番号20010009929Aに記載されている。
好ましくは、膨張剤の量は、中和することができるコア中の官能基の当量基準で、75〜300%、さらに好ましくは90〜250%の範囲である。多段エマルジョンポリマーが高温、好ましくはシェル重合温度の10℃以内の温度で、1種以上の膨張剤を多段エマルジョンポリマーに添加するのも好ましい。膨潤は、一般に非常に効率的、すなわち、モノマーの存在下、高温および実質的に重合が起こらない条件下で、最小時間での膨潤である。これらの条件下で、膨潤は一般に1種以上の膨張剤添加の30分以内、好ましくは20分以内、最も好ましくは10分以内に完了する。
第二ポリマーを形成するために用いられるモノマーおよび膨張剤の存在下で、好ましい多段エマルジョン第一ポリマーを膨潤させた後、モノマーの量をポリマー固形分基準で、10000ppm未満、好ましくは5000ppm未満に減少させるのが望ましい。これは、任意の好適な手段により達成できる。好ましくは、モノマーの量を、モノマーの重合により減少させる。これは、任意の好適な手段、例えば、1以上の前記開始剤を添加することにより達成できる。1以上の膨張剤の添加の20分以内、さらに好ましくは10分以内に、モノマーの量を減少させ始めるのが好ましい。
一つの実施態様において、第一ポリマーは有機溶媒可溶性ポリマーをコア段として、または全第一ポリマーとして含み、ボイドは、第一ポリマーまたは重合単位として5〜100wt%の親水性モノエチレン性不飽和モノマーを含むポリマーのいずれかを水不混和性溶媒または溶媒混合物中で溶液重合し、その後に反応物質の溶液重合を行い、第一ポリマーおよび重合単位として親水性モノエチレン性不飽和モノマーを含むポリマーの他方を、結果として得られる重合溶液中で形成し、第一ポリマーおよび第二ポリマーを含む溶液を、塩基の存在下、水中に分散させ、有機溶媒を蒸留により除去して、分散物の量に基づいて5重量%未満に濃度を下げ、水で溶媒を置換することにより形成できる。第二ポリマーを次いで水性分散物の存在下で乳化重合させて、本発明の中空コアバインダーを形成し、その後、分散物を乾燥させることができる。乾燥分散物を、塩基、例えば、アンモニアの存在下で水中に再分散させることができる。適当な溶媒としては、芳香族炭化水素、例えばトルエン;脂肪族炭化水素、例えばn−ヘキサン、n−オクタン;または脂環式炭化水素が挙げられる。
第一ポリマーがアルカリ加水分解性コアすなわち内側段を含む実施態様において、ボイドは、第一ポリマーの水性分散物を、シェル相中のすべての酸およびコアまたは内側段中のより容易に加水分解可能なアクリレートエステル、たとえば、メチルアクリレート基準で、約0.75〜約1.5当量の塩基の量で、強アルカリ溶液、例えば、水酸化ナトリウムにさらすことにより形成できる。中空ラテックスの膨張は、100℃〜150℃;好ましくは110℃〜140℃で起こる。シェルの架橋密度がより大きい場合、膨張段階の温度もさらに高くなるはずである。溶媒は膨張段階における膨潤を助けることができる。膨張時間は約0.5〜約10時間;好ましくは約2〜約5時間の範囲でありうる。
中空コアバインダー粒子の水性分散物は、30重量%超、好ましくは40重量%超の固形分を有しうる。中空コアバインダー粒子よりも小さな粒子サイズを有するポリマー粒子を添加すると、70%以上に達する固形分を有する分散物が生成されうる。高い固形分、またはより小さな粒子が存在すること、あるいはその両方の組み合わせは、本発明の粒子の沈殿または沈降を防止することができる。
本発明は、乾燥時に、板紙のコーティングとしての使用に好適な水性コーティング組成物を提供し、前記コーティング組成物は、中空コアバインダー、バインダー、例えば、スチレンブタジエン(S/B)ラテックス、二酸化チタンまたは不透明顔料、および他の顔料またはフィラー、例えばクレーを含む。比較的低いPVCコーティング配合物において、中空コアバインダーは連続フィルムを形成し、この中に、他の成分、例えば、顔料および増量剤が埋め込まれる。比較的高いPVC配合物において、中空コアバインダーは、所望の不透明度またはフィルム強度を達成するために必要な乳白剤またはバインダーの量を減少させる。従って、本発明のポリマー粒子をバインダーとして含む顔料コーティング配合物は、バインダーとしてさらに高い割合の非ボイドポリマー粒子およびさらに高い割合の乳白剤を含む配合物と等しい不透明度、輝度および強度を提供することができる。従って、配合者は、本発明の中空コアバインダーを用い、非ボイドポリマー粒子をバインダーとして使用する比較配合物におけるのと同じレベルの不透明度を達成するために必要であるよりも少ない量の顔料および/または増量剤を使用することにより、コーティング配合物において所望のレベルの不透明度を達成できる。さらに、中空コアバインダーは製紙において有利に用いることができる。
本発明のコーティング組成物は、板紙コーティング中の顔料の乾燥重量基準で、2〜22wt%、好ましくは3〜7wt%の中空コアバインダーを含有することができる。
板紙コーティングにおいて用いられる好適なバインダーは、水中溶液または分散物の形態の天然または合成ポリマー、例えば、デンプン、ヒドロキシエチル化デンプン、タンパク質、ポリ酢酸ビニル、ポリ(スチレン/アクリレート)およびポリ(スチレン/ブタジエン)でありうる。バインダー粒子は、配合物が乾燥される温度でフィルム形成するような特性を有するものである。あるいは、溶媒または造膜助剤を添加してバインダー粒子を柔軟化させて、フィルム形成させることができる。バインダーの割合は、通常のコーティング組成物に対して低減され、乾燥時に、乾燥顔料の重量基準で1.4〜20wt%、好ましくは7wt%以上で15wt%まで、さらに好ましくは10wt%で14wt%までの合計量で用いることができる。
一般に、水性コーティング組成物は、使用されるポリマーの合計重量基準で75wt%まで、好ましくは5〜50wt%、さらに好ましくは5〜35wt%の1以上の、ボイドを含有しないエマルジョンポリマーバインダーまたはエマルジョンポリマー非フィルムフォーマー、例えば、艶消剤を含有することができる。
水性コーティング組成物は、通常のコーティング添加剤、例えば、粘着付与剤、顔料、増量剤、乳化剤、クロスリンカー、造膜助剤、緩衝剤、中和剤、増粘剤またはレオロジー改質剤、保湿剤、湿潤剤、殺生物剤、可塑剤、消泡剤、着色剤、ワックス、および酸化防止剤を含有し得る。特に記載しない限り、このような添加剤は通常の量で使用できる。
コーティングの配合物において用いられる好適な顔料および増量剤の例は、クレー、たとえば、カオリンおよび剥離クレー、および/または炭酸カルシウムを包含するが、他の無機または有機顔料、例えば、焼成粘土、二酸化チタン、例えば、アナターゼおよびルチル二酸化チタン、炭酸カルシウム、ならびに固体ポリスチレン粒子および中空プラスチック顔料を含めることができる。水性コーティング組成物中の顔料および増量剤の合計量は様々であるが、組成物の合計固形分基準で、60〜90wt%、好ましくは65〜80wt%、さらに好ましくは65〜75wt%の範囲でありうる。使用される全顔料の一部として、二酸化チタン、または乳白剤−光沢添加剤、たとえば、中空プラスチック顔料、および/または光沢添加剤、例えば、固体ポリスチレン粒子は通常のコーティング組成物に対して低減され、組成物の合計固形分基準で7〜30wt%、好ましくは12〜28wt%、さらに好ましくは15〜25wt%を含んでいてよい。漂白板紙コーティングにおいて、乳白剤を使用する必要はない。
好ましくは、水性コーティング組成物は、5wt%未満のVOC、さらに好ましくは3wt%未満のVOC、なおいっそう好ましくは1.7wt%未満のVOCを含有し、すべてのwt%は水性コーティング組成物の合計重量基準である。コーティング配合物は、ポリマー粒子の水性分散物中VOC、殺生物剤、消泡剤、セッケン、分散剤、および増粘剤を含み、そのそれぞれは好ましくは水性コーティング組成物の合計重量基準で0.1wt%VOCを占める。追加の方法、例えば、ポリマー粒子の水性分散物の蒸気ストリッピングおよび低VOC含有添加剤、例えば、殺生物剤、消泡剤、せっけん、分散剤、および増粘剤の選択は、塗料またはコーティングを水性コーティング組成物の合計重量基準で0.01重量%VOC未満にさらに減少させるために用いることができる。
水性板紙コーティング組成物は、コーティング分野において公知の技術により製造することができ、一般的に、単に成分を混合することにより製造される。例えば、顔料水性コーティング組成物を製造するために、顔料を高剪断下、例えば、COWLES(登録商標)ミキサーを用いて水性媒体中に分散させ、続いて低剪断撹拌下、ポリマー粒子の水性分散物を、所望により他のコーティング添加剤とともに添加することができる。別法として、ポリマー粒子の水性分散物を顔料分散工程において含めることができる。コーティング組成物の粘度は、Brookfield粘度計(LVT型、スピンドル#3を12rpm、25℃で使用)を用いて測定すると1000センチポアズから5000センチポアズの範囲であることができ;異なる適用法に適した粘度は相当変化し、当該分野において公知である。
水性コーティング組成物の固形分は、30%から70wt%、好ましくは40〜52wt%、さらに好ましくは42〜46wt%でありうる。
好適な基体は、例えば、リサイクルおよび無漂白板紙、および漂白板紙、装飾ラミネート紙およびウェットエンド紙パルプまたはウェットエンド紙シート、例えば、天然セルロース、リサイクルまたは合成繊維パルプ、またはこれから形成されるシートを包含しうる。漂白板紙の場合、乳白剤を使用する必要はなく、バインダーの量は、組成物の合計固形分基準で、10〜20wt%の範囲である。「ラミネート紙」なる語句は、2以上の紙層または薄層を含む紙を意味する。
コーティングされた板紙とは、片面または両面に適用された水性コーティングを有する板紙である。未コーティング紙または板紙基体は、典型的には20〜350g/mの基本重量を有することができ、および複数のコーティング(例えば、ベースコート、ミドルコートおよび/またはトップコートのそれぞれの1以上)が面あたり4〜30g/mの量で、通常のコーティング法、例えば、トレーリングブレードコーター、サイズプレス、およびエアナイフコーターを用いて適用されうる。板紙基体に関連するコーティング配置問題を回避するために、コーティングをポリエステルフィルム上に、Meyer Rodを用いることにより形成することができ、所望の厚さのコーティングが得られる。
もう一つ別の実施態様において、紙または板紙の強度および不透明度を改善する方法は、本発明の水性コーティング組成物を紙形成性混合物とウェットエンドにおいて、繊維からシートまたはボードを、例えば、プレスまたはカレンダー加工により形成する前、または形成中に組み合わせること、すなわちウェットシートと組み合わせることを含む。
さらに別の実施態様において、ラミネート紙、例えば、装飾ラミネート紙のウェットエンド形成中、中空コアバインダーポリマーを含む組成物および少なくとも1種の顔料を(i)板紙コーティングを製造するために有用な量で水性繊維パルプスラリーと組み合わせ、これをその後、中空コアバインダーを含有するシートまたはボードのいずれかである湿潤層に形成するか、または(ii)別法として、板紙コーティングを製造するために有用な量で、水性繊維パルプスラリーから形成される1以上のラミネート層またはウェットシートまたはボードに適用する。1以上の追加の紙のウェット層(シートまたはボードのいずれか)が形成され、それぞれ中空コアバインダーを含むかまたは含まない。湿潤紙層を次いでカレンダー加工するか、または一緒にプレスして、ラミネートを形成し、次いで乾燥する。乾燥ラミネートに次いで少なくとも部分的に、好ましくは完全に架橋性樹脂を染みこませることができる。圧力および熱を架橋性樹脂含浸ラミネート紙に加えて、樹脂を硬化させ、ラミネートまたは装飾ラミネートを形成する。任意の好適な顔料を中空コアバインダー組成物において用いることができるが、二酸化チタンが好ましい。好適な架橋性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂含有フェノプラストおよびアミノプラスト、例えば、尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒドなどが挙げられる。ラミネート紙を100℃〜300℃、好ましくは125℃〜250℃、さらに好ましくは140℃〜200℃の範囲に加熱して、架橋樹脂を硬化させることができる。結果として得られるラミネート紙は、顔料のみを用いて製造される装飾ラミネートにおいて得られるより高い、改善された不透明度を有し、また、二酸化チタンなどの高価な顔料が使用される場合にはコストが低くなる。さらに、装飾ラミネート紙を形成することができ、中空コアバインダーおよび少なくとも1種の顔料を含有する組成物で、紙の乾燥前または乾燥後の両方でコーティングすることができる。
任意の基体上にコーティングされた水性組成物は、5℃〜95℃の温度で乾燥するか、または乾燥させることができる。
以下の実施例は、本発明を説明する。実施例において、次の略語を使用した:
BAはブチルアクリレートである;
MMAはメチルメタクリレートである;
MAAはメタクリル酸である;
t−BHPはt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)である;
SDSはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(23%)である;
DIは脱イオン化である;
SPSは過硫酸ナトリウムである;
ALMAはアリルメタクリレートである;
Lはリットル;wtは重量;volは体積;gはグラム;minは分である。
試験法
Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)測定:
水性分散物を黒色ビニルスクラブチャート上にドローダウンして、湿ったフィルムを形成し、これを相対湿度30%で乾燥させた。乾燥フィルム(厚さ〜2milまたは〜50ミクロン)上で、P.B.MittonおよびA.E.Jacobson(Off.Digest,Sept.1963,p871−911)の方法によりSを決定した。単位厚さあたりの散乱係数(S/μmおよびS/mil)は、45/0ジオメトリーのY−反射率計を用いて測定された。Y反射率計は、XYZカラースケールのY成分を測定する光反射率測定器であり;45/0ジオメトリーは、光が法線から45度の角度でコーティングに入射し、散乱した光が法線から0度の角度で集められることを示す。
粒子サイズ:
測定は、Matec CHDF−2000(キャピラリー流体力学的分別法);Matec Applied Sciences,Northborough,MAおよびA BI−90粒子サイズ分析器(Brookhaven Instruments Corp.(Holtsville,NY))を用いてCHDFにより行った。
光沢またはシート光沢は、特に記載しない限り、Technidyne T480光沢計(Technidyne、New Albany,IN)を用いて、75度の角度で測定した。光沢を測定する試験法は、Tappi Press(Atlanta,GA)によりTappi試験法(Tappi Test Methods)、1994−1995において公開されているTAPPI試験法T−480であった。
輝度は、Technidyne Brightmeter S4−M型(Technidyne、New Albany、IN)を用いて測定した。輝度を測定する試験法は、Tappi Press(Atlanta,GA)によりTappi試験法(Tappi Test Methods)、1994−1995において公開されているTappi試験法T−452であった。
PPS平滑度は、Messmer Buchel,Inc.(Kent、イギリス)により製造されたparker Print−Surf粗度試験器(ME−90型)を用いて測定した。
IGTピックは、IGT A2プリンター(IGT/Reprotest、オランダ)で、室温で次の標準設定を用いて測定した:スプリングB、50kgf(重量キログラム)および#3、4または5タック黒色オフセットインク(Sun Chemicals(Menomonee Falls,WI)から入手)。
以下の実施例1において、中空コアバインダーの製造において用いられるポリマーコアは、米国特許第6,020,435号に従った水性乳化重合により製造された66MMA/34MAAwt%ポリマーコアを含んでいた。ポリマーコア重合生成物を濾過して、31.5wt%の固形分、139nmの平均粒子サイズを有する濾過分散液を得た。
実施例1
未膨潤第一ポリマーの製造
5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付けた。DI水(950g)を釜に添加し、窒素雰囲気下、89℃に加熱した。加熱された釜水に、30gのDI水中に溶解させた6.0gの過硫酸ナトリウムを添加した。この直後に397gのポリマーコアを添加した。125gのDI水、8.3gのSDS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、23%)、125.0gのスチレン、110.0gのMMA、および15.0gのMAAを混合することにより製造されたモノマーエマルジョン(ME I)を60分にわたって78℃の温度で釜に添加した。ME Iの添加後、500gのDI水、22.5gのSDS(23%)、1462.5gのスチレン、22.5gのメタクリル酸、7.5gのアマニ油脂肪酸(LOFA)、および18.8gのジビニルベンゼン(80%活性)を混合することにより、第二モノマーエマルジョン(ME II)を製造した。90gのDI水中に溶解させた1.6gの過硫酸ナトリウムの別の混合物とともに、モノマーエマルジョンII(ME II)を60分にわたって釜に添加した。反応混合物の温度を92℃に上昇させた。ME IIおよび同時供給が完了したら、反応混合物を30分間85℃で保持し、次いで室温に冷却し、濾過して、形成された凝集物を除去した。最終未中和ラテックスは、45.5%の固形分、375nmの平均粒子サイズ、および2.2のpHを有していた。
実施例2
ポリマー粒子の水性分散物の形成
実施例1におけるのと同じ装置を用いて、220gのDI水とともに1318.7gの実施例1の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。306gのDI水、17.0gのSDS、416.4gのMMA、12.0gのMAA、および591.6gのBAを混合することにより、モノマーエマルジョン(ME I)を製造した。釜の温度25℃で、2gの1%エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(Versene(商標)(Dow Corp.,Midland MI)として入手可能)と混合された、20gの0.1%硫酸鉄の溶液を釜に添加した。次に、100.0gのDI水と混合された3.7gのt−BHP(70%)の溶液を、100.0gのDI水と混合された2.6gのイソアスコルビン酸の別の溶液とともに含む同時供給物を釜にどちらも1.2g/分の速度で添加した。同時供給溶液の開始2分後、あらかじめ製造されたME Iを釜に15g/分の速度で添加した。反応に外部熱は加えられなかった。ME供給の期間にわたって釜の温度を上昇させた。30分後、ME I供給速度を30g/分に増加させた。ME Iが完了したら、同時供給を停止し、反応物を5分間保持した。この時点での反応物の温度は78℃であった。次に、400gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。54gのDI水、3.0gのSDS、75.6gのMMA、104.4gのBAおよび2.5gの4−ヒドロキシTEMPO(4−ヒドロキシ2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシラジカル)を混合することにより第二モノマーエマルジョン(ME II)を製造し、完了するまで40g/分の速度で釜に添加した。ME II供給の完了直後に、40gのDI水と混合された40gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を完了するまで1.2g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して、凝塊を除去した。濾過された分散物は、45.5%の固形分、および480nmの平均粒子サイズを有していた。乾燥ポリマーフィルム上でKubelka−Munk散乱係数を測定し、40.6S/μm(1.60S/Mil)であることが判明した。
実施例3
ポリマー粒子の水性分散物の形成
実施例1におけるのと同じ装置を用いて、180gのDI水とともに1055gの実施例1の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。367gのDI水、20.4gのSDS、499.7gのMMA、14.4gのMAA、および709.9gのBAを混合することにより、モノマーエマルジョン(ME I)を製造した。釜の温度25℃で、2gの1%Versene(Dow Corp.)と混合された、20gの0.1%硫酸鉄の溶液を釜に添加した。次に、120.0gのDI水と混合された4.5gのt−BHP(70%)の溶液を、120.0gのDI水と混合された3.2gのイソアスコルビン酸の別の溶液とともに含む同時供給物を、どちらも1.0グラム/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始2分後、あらかじめ製造されたME Iを釜に10.0g/分の速度で添加した。反応に外部熱は加えられなかった。ME供給の期間にわたって釜の温度を上昇させた。30分後、ME I供給速度を20g/分に増加させた。ME Iが完了したら、同時供給を停止し、反応物を5分間保持した。次に、525gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。65gのDI水、3.6gのSDS、90.7gのMMA、125.3gのBAおよび3.0gの4−ヒドロキシTEMPOを混合することにより第二モノマーエマルジョン(ME II)を製造し、完了するまで40g/分の速度で釜に添加した。ME II供給の完了直後に、48gのDI水と混合された48gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を次に、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して、凝塊を除去した。濾過された分散物は、45.7%の固形分および540nmの平均粒子サイズを有していた。乾燥ポリマーフィルム上でKubelka−Munk散乱係数を測定し、29.7S/μm(1.17S/Mil)であることが判明した。
実施例4〜13
以下の実施例において、板紙コーティングを製造し、巻線型ロッドを用いて実験ドローダウンとして適用した。実施例8および9は、通常のエアナイフコーターを有するOmnova、Inc.Akron、OHパイロットコーター設備で適用した。実験ドローダウンにおいて用いられるベースストックはプレコーティングされたリサイクル板紙および/またはプレコーティングされた固体・無漂白・亜硫酸塩(SUS)ボードであった。
実施例4、5、6、および7は、Mayer巻線型ロッド#12(Buschman Corp(Cleveland、OH))を用いて、コート重量が17.8〜19.2グラム/平方メートル(12〜13ポンド/3300平方フィート)付近になるようにハンドドローした。
実施例8および9について行われたパイロット試験は、14pt(厚さ0.03556cm(0.014インチ))、(circa)222g/m(45.5ポンド/1000平方フィート)またはSUS(固体未漂白亜硫酸塩)ベースボード上で行い、ベースコートについては59wt%のコーティング固形分で364m/分(1200fpm)で、トップコートについては49wt%固形分で212m/分(700fpm)でコーティングした。標準的ベースコート配合物Gen Flo(商標)5128 SBスチレン−ブタジエンラテックスバインダー(Omnova、Akron、OH)を用いて各ロールをプレコーティングし、下記の表1において表示されたコーティングでトップコーティングし、後に別のパスで、circa45〜50単位の目標範囲に光沢を抑えるために、364m/分(1200fpm)、周囲温度、最小カレンダー圧でカレンダー加工した。
インクタック#4および#5および1×9”[2.5cm×23cm]のコーティングされたボードサンプル片を用いて、A2試験器(IGT/Reprotest、オランダ)で、IGT乾燥ピック試験をポストカレンダー加工された板紙サンプルに関して行った。すべてのハンドドローされたコーティングを54.4℃(130°F)、206.8kN/m(30psi)および182m/分(600ft/分)でカレンダー加工した。本発明の実施例は、比較的光沢があり、実験室カレンダーで、37.7TO41.6℃(100〜107°F)、124〜193kN/m(18〜28psi)および162〜198m/分(530〜650ft/分)でカレンダー加工された。
Figure 0004727639
1.Hydrafine(商標)No.1、JM Huber、Edison,NJ;
2.POLYCO(商標)P−3103NPバインダー、Rohm and Haas Company、Philadelphia、PA;
3.Gen Flo(商標)5128、Omnova、Akron、OH;
4.ACRYSOL(商標)Ase−75増粘剤、Rohm and Haas Company、Philadelphia、PA;および
5.Procote 400、DuPont、Wilington、DE
Figure 0004727639
実施例6および7において示されるように、本発明の中空コアバインダーで作られたコーティングは、実施例4および5のコーティング(2倍のバインダーを有し、実施例4の場合は30%多い二酸化チタンを有する)と等しいか、またはより良好なコーティング特性を提供する。実施例9において示されるように、本発明の中空コアバインダーで作られたコーティングは、40%多いバインダーおよび42%多い二酸化チタンを有する実施例8のコーティングと等しいか、またはより良好なコーティング特性を提供する。
Figure 0004727639
1.Hydrafine(商標)No.1、JM Huber、Edison,NJ;
2.POLYCO(商標)P−3103NPバインダー、Rohm and Haas Company、Philadelphia、PA;
3.ACRYSOL(商標)Ase−75増粘剤、Rohm and Haas Company、Philadelphia、PA;および
4.Procote 400、DuPont、Wilington、DE
Figure 0004727639
実施例12および13において示されるように、本発明の中空コアバインダーで作られるコーティングは、実施例10および11のコーティング(2倍のバインダーを有し、実施例10の場合は、40%多い二酸化チタンを有する)と等しいか、またはより良好なコーティング特性を提供する。

Claims (12)

  1. 板紙物品であって、1以上のボイドを含有する第一ポリマーの1種以上の中空コアバインダーを含むコーティングをその上に有し、前記第一ポリマーは第二ポリマーにより実質的に封入され、前記第一ポリマーおよび前記第二ポリマーの一方または両方は、重合単位として、1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、さらに、前記第二ポリマーは−15℃以上、30℃以下の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、さらに前記第二ポリマーと前記第一ポリマーの重量比は1:1〜4:1の範囲であり、さらに第二ポリマーの重合温度は、第一ポリマーのTgの計算値よりも少なくとも30℃低い板紙物品。
  2. 紙またはラミネート紙であって、前記紙またはラミネート紙の1以上の層中にセルロース繊維パルプ、フィラーおよび1種以上の中空コアバインダーを含み、前記中空コアバインダーは1以上のボイドを含有する第一ポリマーを含み、前記第一ポリマーは第二ポリマーにより実質的に封入され、前記第一ポリマーおよび前記第二ポリマーの一方または両方は、重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、さらに前記第二ポリマーは−15℃以上、30℃以下の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、さらに、前記第二ポリマーと前記第一ポリマーの重量比が1:1〜4:1の範囲であり、さらに第二ポリマーの重合温度は、第一ポリマーのTgの計算値よりも少なくとも30℃低い紙またはラミネート紙。
  3. 前記中空コアバインダーの前記第二ポリマーが、重合単位として、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートおよびその混合物から形成される請求項1記載の板紙物品
  4. 前記中空コアバインダーの前記第二ポリマーが、重合単位として、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートおよびその混合物から形成される請求項2記載の紙またはラミネート紙。
  5. 前記第一ポリマーのTgが50℃以上であり、前記中空コアバインダーの前記第一ポリマーが多段ポリマーを含み、多段ポリマーが重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、かつボイド含有コア段を有する、請求項1記載の板紙物品
  6. 前記第一ポリマーのTgが50℃以上であり、前記中空コアバインダーの前記第一ポリマーが多段ポリマーを含み、多段ポリマーが重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、かつボイド含有コア段を有する、請求項2記載の紙またはラミネート紙。
  7. コーティングされた板紙を形成する方法であって、
    コーティング組成物を板紙基体に適用し(前記コーティング組成物は、1以上のボイドを含有する第一ポリマーの1種以上の中空コアバインダーの水性分散物を含み、前記第一ポリマーは第二ポリマーにより実質的に封入され、前記第一ポリマーおよび前記第二ポリマーの一方または両方は、重合単位として、1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、さらに、前記第二ポリマーは−15℃以上、30℃以下の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、さらに前記第二ポリマーと前記第一ポリマーの重量比は1:1〜4:1の範囲であり、さらに第二ポリマーの重合温度は、第一ポリマーのTgの計算値よりも少なくとも30℃低い。);および
    乾燥および/または硬化させて、コーティングを形成すること:を含む方法。
  8. 前記コーティング組成物が、1種以上のバインダーポリマー、1種以上の不透明顔料、またはその混合物をさらに含む請求項7記載のコーティングされた板紙を形成する方法。
  9. 前記中空コアバインダー中の前記第二ポリマーと前記第一ポリマーの前記重量比が2:1〜3:1の範囲である請求項7記載のコーティングされた板紙を形成する方法。
  10. 紙または板紙物品またはラミネート紙を製造する方法であって、
    セルロース繊維パルプのシ−トまたはボードの形成前または形成中に、セルロース繊維パルプと1種以上の中空コアバインダーの水性分散物とを合成し(前記中空コアバインダーは、1以上のボイドを含有する第一ポリマーを含み、前記第一ポリマーは、第二ポリマーにより実質的に封入され、前記第一ポリマーおよび前記第二ポリマーの一方または両方は、重合単位として1種以上のエチレン性不飽和モノマーから形成され、さらに前記第二ポリマーは、−15℃以上30℃以下の範囲のガラス転移温度(Tg)を有し、さらに前記第二ポリマーと前記第一ポリマーの重量比が1:1〜4:1であり、さらに第二ポリマーの重合温度は、第一ポリマーのTgの計算値よりも少なくとも30℃低い。)、
    カレンダー加工またはプレスしてシートまたはボードを形成し(前記カレンダー加工またはプレスは、ラミネート紙の場合、前記ラミネート紙を形成するためにウェット繊維パルプを含む1以上の追加のシートまたはボードと一緒に前記シートまたはボードをカレンダー加工することを含む)、および
    乾燥して前記紙または板紙物品またはラミネート紙を形成することを含む方法。
  11. 前記第二ポリマーが、25℃以下のTgを有する、請求項1記載の板紙物品。
  12. 前記第二ポリマーが、25℃以下のTgを有する、請求項2記載の紙またはラミネート紙。
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