JP4727473B2 - 最適パラメータ探索方法およびそのプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、実際の装置を模擬するモデルに用いられているパラメータの最適値を繰り返し計算により探索するコンピュータを用いた最適パラメータ探索に関する。
従来より、各種装置、プラントの動作をシミュレーションモデルを用いて模擬し、その結果を利用した装置の設計や制御を行う手法が広く採用されている。
これらのシュミレーションモデルは、多数のパラメータから構成されており、これらパラメータについて最適値を見つける必要がある。このために、パラメータを変化させて、モデルと実機でのデータの誤差を求め、その誤差が最小となる点を求めるというパラメータの最適値探索処理が行われる。
この手法としては、下記のように各種のものが知られている。
(i)勾配法(ニュートン法,逐次2次計画法)
この勾配法は、各種最適化プログラムなどで採用されている一般的な方法であって、探索開始点近傍の近似的な情報(1次微分、2次微分)を用い、次の計算を行う点を決定し、最適点を探索する。
(ii)品質工学、実験計画による方法(非特許文献1)
予め用意した最適なパラメータの候補(2,3水準)から、評価値を最大(または最小)化する組み合わせを、最小の実験やシミュレーションで見つける。
(iii)探索水準を逐次更新する方法(特許文献1)
上記(ii)における最適なパラメータ候補(2,3水準)を繰り返し修正することで、漸近的に最適化を行う。
(iv)応答曲面法およびその繰り返しの適用(特許文献2)
応答曲面法では、複数の条件における実験、シミュレーション結果からパラメータ(入力)と評価関数(出力)の関係を簡易モデルで近似し、モデル上で最適化する。そして、評価関数が要求を満たしていない場合には、このステップを繰り返し適用する。
特開2000−132535号公報 特開2004−133659号公報 矢野宏「品質工学入門」、日本規格協会、1995.6
次に、上記(i)〜(iv)の手法における問題点について説明する。
(i)勾配法では、図2(a)に示すように探索開始点近傍だけの近似的な情報(1次微分,2次微分)を用いパラメータの修正量を決定して、次の演算を行う。従って、基本的に局所的な最適点(ローカル最適点)が探索される。
また、微分値(近似微分)を使うために,特に数値的シミュレーションに基づく探索時において、数値誤差による多峰性の問題が生じる。すなわち、図3(a)に示すように、数値振動により、物理的な特性ではないみかけのローカル最適点がいくつも現れるという問題がある。
(ii)非特許文献1の方法は、図5に示すように、選択したパラメータの候補(水準)のみにおいて、最適な組み合わせを求める。従って、水準点以外の最適はできない。このため予めある程度水準が絞られている場合には有効であるが、不明な場合には水準を選択するために、試行錯誤あるいは対象特有の考察など各種の処理が必要となる。
(iii)特許文献1に記載の方法は、図6に示すように、水準1と水準2に対しr、直行計画法を適用し、次に探索すべき方向(水準4の方向、+,−,0のいずれか)を見いだすものである。しかし、この方法では、探索する方向はわかるものの、修正すべき量はパラメータの種類によらず現時点からの距離が一定値(+d,0,−d)となっている。なお、修正量dについて、d1,d2の2つとすることも提案されているが、固定の値であることに変わりはない。
また、修正量dが固定であるため、対象とするパラメータによっては修正量が適切であるが、他のパラメータについては修正量が不適切になってしまう場合もある。
(iv)特許文献2の方法は、探索点におけるパラメータと評価関数(誤差)との関係から、これを例えば2次の簡易モデルで近似する。そして、簡易モデル上で非線形の最適化手法(例えば逐次2次計画法)を使って最適なパラメータを導出する。しかしこの手法は探索点(水準)をどのようにとるかに大きく依存する。このため、図7に示すように探索点の選択によって真の最適点を見つけることができないという問題がある。
なお、簡易モデルの精度を上げるため探索点数を増やすことも考えられるが、単に数を増やすのは計算量がそれだけ増えるだけであって効率的でない。さらに、応答曲面を繰り返し修正することも記載されているが、その修正を効率的に行う手法がなければ効率的な探索が行えない。
本発明は、ローカル最適点を選択してしまう可能性を減少して効率的な最適値の探索の手法を提供する。
本発明は、実際の装置を模擬するモデルに用いられている複数のパラメータの最適値を繰り返し計算により探索するコンピュータを用いた最適パラメータ探索方法であって、前記複数のパラメータの中の各パラメータについて複数の探索点を設定し、前記モデルのシミュレーションをそれぞれ行ってモデル出力を求め、前記各パラメータについての複数の探索点におけるモデル出力と、これに対応する前記実際の装置の出力との誤差を求め、求められた複数の探索点についての誤差から探索点の変化に対する誤差の変化傾向を求め、得られた変化傾向に基づき現在の探索点から次の探索点への修正の方向および量を決定し、決定された修正の方向および量に基づき、前記パラメータの探索点を修正して、前記モデルのシミュレーションを行うことで、前記誤差が所定値以下の前記複数のパラメータを探索する、ことを特徴とする。
また、前記要因効果は、品質工学における田口メソッドを利用して求めることが好適である。
また、前記モデルは、車両の自動変速機を制御する油圧制御系であることが好適である。
また、本発明は、実際の装置を模擬するモデルに用いられている複数のパラメータの最適値について、コンピュータに繰り返し計算させ、探索する最適パラメータ探索プログラムであって、コンピュータに、前記複数のパラメータの中の各パラメータについて複数の探索点を設定し、前記モデルのシミュレーションをそれぞれ行ってモデル出力を求めさせ、前記各パラメータについての複数の探索点におけるモデル出力と、これに対応する前記実際の装置の出力との誤差を求めさせ、求められた複数の探索点と当該探索点における誤差から、探索点の変化に対する誤差の変化傾向を求めさせ、得られた変化傾向に基づき現在の探索点から次の探索点への修正の方向および量を決定させ、決定された修正の方向および量に基づき、前記パラメータの探索点を修正して、前記モデルのシミュレーションを行わせることで、前記誤差が所定値以下の前記複数のパラメータを探索させる、ことを特徴とする。
本発明によれば、目標値との誤差についての変化傾向(2乗誤差の勾配やSN比)を示す要因効果に基づき,現在のパラメータ値から次のパラメータ値への修正量を決定し、繰り返し計算を行う。このため、2点間の非線形な関係を考慮した次回の探索量の決定が可能となる。これにより、実際の最適点ではなく、局所的なローカル最適点を選択してしまう可能性が小さくなる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、処理の全体を示すフローチャートである。なお、実際の処理は、汎用のコンピュータを用い、モデルなどに関する所定のデータを入力すると共に、下記のような処理を行うプログラムを記憶させておきこれを実行することによって行う。
まず、同定(最適化)するモデルのパラメータの初期(ノミナル)値を決定する(ステップ1)。ここで、パラメータをxとし、初期値x(1)は、x(1)=[a(1),b(1),c(1),...]で表される。
最適化対象であるモデルについて、その動作についてシミュレーションし、出力を得る(ステップ2)。得られたシミュレーション結果の出力と最適化対象である実機の出力(目標値)との誤差を計算する(ステップ3)。
次に、得られた誤差が、閾値以内かを判定する(ステップ4)。そして、ステップ4においてYESで誤差が閾値以内であれば、パラメータは最適であり最適化処理は不要であり、処理を終了する。一方、ステップ4においてNOであれば、パラメータを適当にずらしてものを新たなパラメータに設定する(ステップ5)。この段階では、パラメータは初期値のa(1)しかなく、パラメータの修正量は不明であり、予め定めて適当な量だけ、パラメータをずらし、パラメータx(2)=[a(2),b(2),c(2),...]=[a(1)+δ1,b(1)+δ2,c(1)+δ3,...]を得る。
次に、更新された新しいパラメータを用いたモデルについて、シミュレーションし(ステップ6)、得られたシミュレーション結果の出力と実機の出力との誤差を計算する(ステップ7)。得られた誤差が、閾値以内かを判定し(ステップ8)、誤差が閾値以内であれば、処理を終了する。
一方、ステップ8においてNOであれば、非特許文献1に記載されている田口メソッド(2水準)を適用し求めた各パラメータ毎の要因効果から、勾配ベクトルS(i)を計算する(ステップ9)。ここで、要因効果は、パラメータa(1),b(1)、...,a(2),b(2),・・・のそれぞれについて、他のパラメータの組み合わせを変更した場合の2乗誤差やSN比などとする。また、勾配ベクトルS(i)は、それぞれのパラメータについて要因効果の変化度合いで求める。例えば、a(1)についての2乗誤差Ja1とa(2)についての2乗誤差Ja2の差などからパラメータaについてのその時の勾配Sが求められる。
そして、求められた勾配ベクトルS(i)に基づいて、S(i)に適当な係数をかけて、パラメータの修正量を計算する(ステップ10)。
本実施形態では、探索開始点と次の探索点との勾配(傾き)を用いその次の探索点を決定する。このため、図2(b)に示すように、2点間の非線形な関係を考慮した次回の探索量の決定が可能となる。これにより、図2(a)に示したような、実際の最適点ではなく、局所的なローカル最適点を選択してしまう可能性が小さくなる。
また、微分値(近似微分)を使わないために、特に数値的シミュレーションに基づく探索時に問題となる、数値誤差による多峰性の問題(図3(a)参照)を回避し、図3(b)に示すように、最適解を得ることができる。
次に、本実施形態の処理について、具体例を用いて説明する。図8には、実施形態における処理の全体が示されている。この例では、自動変速機の油圧系の制御を対象としている。油圧指令値は、実機の油圧系10と、油圧詳細モデル12の両方に供給される。この油圧詳細モデル12は、設計条件モデル12aと、特性変動モデル12bを有している。設計条件モデル12aは、決定されたパラメータに基づき油圧系のシミュレーションを行うためのデータおよびプログラムを含み、特性変動モデルはパラメータの値およびパラメータを変更するプログラムを含んでいる。
実機の油圧系10および油圧詳細モデル12からの出力である油圧は演算器14に供給され、ここで両者の差である誤差が算出される(この例では、実機の油圧系10の出力から油圧詳細モデル12に出力を減算している)。得られた誤差は、同定(最適化)手段16に供給される。この同定(最適化)手段16においては、上述のステップ8,9,10の処理を行う。なお、ステップ1,ステップ5の処理も同定(最適化)手段16で行うとよい。
ここで、ステップ1〜ステップ5は、初期に必要な処理であり、本実施形態の特徴はステップ6〜10の繰り返し演算にある。そこで、このステップ6〜10について、個別に説明する。なお、ステップ8は、単なる誤差の大きさの判定であり、詳細説明は省略する。
「ステップ6」
ステップ6においては、モデルを用いてシミュレーションを行う。このシミュレーションを行うモデルとなる油圧制御系の構成が図13(a)に示してある。車両には、エンジン20が搭載されており、このエンジン20に自動変速機22が接続されている。そして、自動変速機22からの出力によってタイヤ24が回転され、車両が走行する。
この自動変速機22には、変速を行うための油圧制御系26が設けられている。油圧ポンプからのオイルは油圧調整弁によって所定のライン圧(元圧)に調整される。この油圧調整弁からの出力は、供給電流によって開度が制御されるリニアソレノイド弁、オリフィス・流路を介しクラッチパック36に供給される。このクラッチパック36は供給油圧によって内部のピストンに対するクラッチ圧は変化し、これによってクラッチ板の係合解放が制御される。例えば、1速から2速への変速指令が出されたときには、上述のリニアソレノイド弁への電流値が変更され、クラッチパック36におけるクラッチ圧が変更されて、1速のギアへの接続が解放され、2側のギアへ接続されて変速が行われる。
ステップ6では、このような油圧制御系のモデルを用いてクラッチ圧が算出される。ここで、この油圧制御系26は、図13(b)に示すように、変速指令(油圧指令)はECU30に入力され、ECU30は指令に応じてリニアソレノイド弁32への電流値を変更する。これによって、オリフィス・流路34を介しクラッチパック36へ供給される油圧が変更され、クラッチパック36におけるクラッチ圧が制御される。
このような自動変速機のモデルは、図13(c)のように表される。ここで、オリフィス・流路34における流量をqc、クラッチピストンストロークをxc、クラッチ面積をAc、クラッチ圧をPcとする。
まず、ECU30においては(1/(T・s+1))の指令に対する遅れが生じる。ここで、Tは時定数である。また、リニアソレノイド弁32においては、電流値が所定値になるまで、弁の動きはなく、ここが不感帯となっている。オリフィス・流路34における流量qcは、qc=Co/Ao√[2(pl−pc)/ρ]となる。ここで、Coはオリフィスによって決定される流出定数、plはライン圧、pcは流出側圧力、ρはオイルの密度である。
そして、クラッチパック36においては、クラッチピストンストロークxcは、xc=∫qcdt/Ac、Pc=Kc・xc/Acとなり、このクラッチ圧Pcが得られる。ここで、Kcは所定の定数である。なお、クラッチパック36におけるストロークxcはクラッチパック36の詰まり位置xc_maxが上限値となる。また、詰まり時のクラッチ作動圧Pcは、Pc=Kc・xc_max/Ac=Pc_maxである。
「ステップ7」
このステップ7では、モデル出力と実機の出力との誤差を計算するが、下記式1(a)または式1(b)によって、誤差(ここでは2乗誤差)を計算する。ここで、連続系の場合が式1(a)、離散時間系の場合が式1(b)である。
[式1]
J(tf)=∫(Pc_m(t)−Pc_real(t))2dt
(t=0〜tf) 式(1a)
J(N)=(1/N)Σ(Pc_m)(i)−Pc_real(i))2dt
(i=1〜N) 式(1b)
なお、図14に実機とモデルの油圧応答の一例について示した。このように、モデルでは、開始直後に実機にはない油圧上昇のピークが発生するなど、両者の差はかなりある。
「ステップ9」
ステップ9では、田口メソッド(2水準)を適用し求めた各パラメータごとの要因効果から、勾配ベクトルS(i)を計算する。
図8に示した4つのパラメータに対して、表1に示すように2水準のパラメータの組合せを計16通り用意する。そして、この各組合せごとに(ステップ7)の記載に従って2乗誤差J1〜J16を計算する。
なお表1では、田口メソッドにおける直交表を使わず、全てのパラメータの組合せで計算する例を示している。
Figure 0004727473
次に、表2に示すように、各パラメータの水準(2水準)ごとに、要因効果(水準ごとの平均値)を計算する。すなわち、各組み合わせについのて2乗誤差について、a1を採用している組み合わせについての誤差の平均Ja1と、a2を採用している組み合わせについての誤差の平均Ja2と、を演算算出する。
Figure 0004727473
そして、表2の要因効果に基づき、式(2)で定義する勾配ベクトルを求める。すなわち、この例では、4つの要因である、(i)油圧系時定数T、(ii)クラッチパック詰まり位置xc_max、(iii)クラッチ作動加重Pc_max、(iv)油圧不感帯幅Pfについて、2つの水準をとった場合の傾きをもとめ、これをベクトルとする。
Figure 0004727473
「ステップ10」
次に、ステップ10では、勾配ベクトルS(i)に基づき、パラメータの修正量を計算する。すなわち、式(3)により各パラメータの修正量が求められる。なお、kは所定のスカラ値、i=2,3,...である。
[式3]
[a(i+1),b(i+1),c(i+1),...]=[a(i)+k・S1(i),b(i)+k・S2(i),c(i)+k・S3(i),...] 式(3)
「本実施形態の結果」
図15には、本実施形態を用い繰り返し計算を行った結果を示す。図において同定前と示した同定を行う前のモデルを用いた場合の油圧出力は、実機における油圧出力とは大きく異なっている。一方、同定後と示した同定後のモデルを用いた場合の油圧出力は実機からの油圧出力とほぼ同一になっており、誤差は十分には減少されていることが理解される。図16には、本実施形態を用いた場合における各パラメータの修正回数毎の誤差の減少状況を示す。このように、各パラメータについて最終的に誤差がほとんど0に収束していることが理解される。このように、本実施形態によれば、各パラメータを最適に設定することができ、できあがったモデルを用いて、実機と同様のシミュレーションが行える。従って、このモデルを車載コンピュータに搭載しておき、実際の変速動作の際にこのモデルを用いてクラッチ圧を予測することで、クラッチ圧が目標圧力になるように、油圧指令を適切に設定することができる。
図9には、図8のモデルを利用して、逐次2次計画法を用い繰り返し計算を行った結果を示してある。これより、同定後のモデルを用いた場合の油圧出力は実機からの油圧出力とかなり近くなっていることがわかる。しかしながら、誤差は十分には減少されていない。また、図10には、逐次2次計画法を用いた場合における各パラメータの修正回数毎の誤差の減少状況が示されている。このように、最終的にある程度の誤差が残留することが理解される。これは、物理的な特性あるいは数値誤差からくる多峰性の問題により、ローカル最適点に集束してしまっているためと考えられる。
さらに、図11に、図8のモデルを利用して、直交計画法を用い繰り返し計算を行った結果が示されている。図9の場合と同様に、同定後と示した同定後のモデルを用いた場合の油圧出力は実機からの油圧出力とかなり近くなっている。しかし、まだ誤差が十分には減少されていない。図12には、直交計画法を用いた場合における各パラメータの修正回数毎の誤差の減少状況を示す。このように、直交計画法においても、最終的にある程度の誤差が残留することが理解される。これは、毎回パラメータの修正量dを一定にしているため、パラメータの種類により収束速度に差があるためと考えれる。また、2乗誤差は探索が20回以降に振動が発生し、その後これ以上誤差が減少しないことがわかる。
「要因効果をSN比とする」
上述の例では、2乗誤差Jを要因効果として採用した。しかし、2乗誤差をSN比で置き換えることもできる。
同定(最適化)のための試験データを複数取得可能な場合に、試験データのばらつきを複数の試験データから把握し同定に織り込む。これによって、よりロバストな(試験データのばらつきに左右されない)同定が可能となる。このための指標として、SN比を用いる。ここで、SN比は、概略的にいうと、S(Signal)とN(Noise)の比であり、信号成分が大きいほど、またノイズ成分が小さいほど、大きくなる。従って、このSN比を要件効果として利用できる。
このSN比を要因効果として用いる場合、ステップ1〜ステップ8は,上述の場合と同じである。
ステップ9において、田口メソッド(2水準)を適用し求めた各パラメータごとの要因効果から,勾配ベクトル S(i)を計算するが、この計算は次のようにして行う。
図8の4つのパラメータに対して、表3に示すように2水準のパラメータの組合せを計16通り用意する。
Figure 0004727473
そして、各組合せごとに同表の右に示す式に従ってSN比η1〜η16を計算する。SN比は、次式によって計算する。
[式4]
η1=−10×log((JA1+JB1)/2)
η2=−10×log((JA2+JB2)/2)
・・・・・
ここで、JA、JBは、同一運転条件で行った2つの実機の試験データA,Bと、モデルのシミュレーション結果との誤差である。このように、試験データが複数あれば、その複数の試験データのばらつき度合いを考慮することが好適であり、SN比を要因効果とすることでこれが可能になる。
次に、表4に示すように、各パラメータの水準(2水準)ごとに、要因効果(水準ごとのSN比の平均値)を計算する。
Figure 0004727473
例えば、油圧系時定数Tについての水準1,2のSN比ηa1,ηa2は、下式のように表される。
[式5]
ηa1=(η1+η2+η3+η4+η5+η6+η7+η8)/8
ηa2=(η9+η10+η11+η12+η13+η14+η15+η16)/8
・・・
そして、計算された要因効果に基づき式(4)で定義する勾配ベクトルを求める。
Figure 0004727473
なお、この式(4)において、右辺にマイナス符号がつくのは、式(2)の2乗誤差と式(4)のSN比は、改善方向の定義(大きいほど良いor悪い)が逆であるためである。
このように、SN比を要因効果として採用することで、試験データのばらつきを補償しながら、パラメータの最適化ができる。
「その他の例」
本発明のエンジン系への適用例の構成を図17に示す。スロットル開度についての指令は、実機のエンジンおよびエンジン詳細モデルに供給され、その応答(エンジン回転数またはエンジン回転数の変化率)が減算器に供給され、誤差が計算される。そして、この誤差に基づいて、各種パラメータ(例えば、空気流特性)が同定される。
また、本発明の車両系(動力伝達)系への適用例の構成を図18に示す。トランスミッション出力トルクまたは出力回転数についての入力は、実機の車両系および車両系詳細モデルに供給され、その応答(車両加速度)が減算器に供給され、誤差が計算される。そして、この誤差に基づいて、各種パラメータ(例えば、ドライブシャフト剛性)が同定される。
さらに、図19には、本発明に係る最適パラメータ探索を行うECU(電子制御ユニット)を車両に搭載する場合の構成を示している。車速、出力トルクなどから、車載のいずれかのECUがオートマチックトランスミッションについての目標油圧を設定する。設定された目標油圧はオートマチックトランスミッション制御用のATECUに供給される。
ATECUでは、供給された目標油圧に対し、上述の手法で求められた最適なパラメータを用いるモデルを用いて、油圧指令を計算する。すなわち、モデルは、ほぼ実機と同様の動作を模擬するため、このモデルを利用して目標油圧とするために適切な油圧指令を作成することができる。
そして、作成された油圧指令は、実機のオートマチックトランスミッションに供給され、実機のオートマチックトランスミッションが制御される。最適なパラメータを使用したモデルにより得られた油圧指令値であり、目標油圧に適切に制御することができる。
一方、油圧指令は、オートマチックトランスミッション詳細モデルにも供給され、ここで詳細モデルを用いてクラッチ圧が計算される。得られたクラッチ圧は実機のクラッチ圧から減算され、誤差が同定(最適化)手段に供給され、ここで最適パラメータの探索が行われる。そして、繰り返し計算によって最適パラメータを得、これがモデルに供給される。
なお、詳細モデルを利用した最適パラメータ探索は常時行う必要はなく、適当な頻度で行えばよい。例えば、エンジン始動後の最初の変速時に行ったり、定期点検時に行うことが考えられる。
実施形態の動作を示すフローチャートである。 従来の探索点の更新例を示す図である。 本発明の探索点の更新例を示す図である。 従来の探索点の更新例を示す図である。 本発明の探索点の更新例を示す図である。 従来の探索点の更新例を示す図である。 従来の探索点の更新例を示す図である。 従来の探索点の更新例を示す図である。 従来の探索点の更新例を示す図である。 実施形態におけるパラメータ探索の具体例の構成を示す図である。 従来例の油圧の制御結果を示す図である。 従来例のパラメータ更新状況を示す図である。 従来例の油圧の制御結果を示す図である。 従来例のパラメータ更新状況を示す図である。 油圧制御系の構成を示す図である。 油圧制御系のブロック線図である。 油圧制御系のモデルの構成を示す図である。 モデルと、実機の油圧の状態を示す図である。 実施形態における油圧の制御結果を示す図である。 実施形態におけるパラメータ更新状況を示す図である。 エンジン系に適用した場合の構成図である。 車両系に適用した場合の構成図である。 ECUに搭載した場合の構成図である。
符号の説明
10 実機の油圧系、12 油圧詳細モデル、12a 設計条件モデル、12b 特性変動モデル、14 演算器、16 同定(最適化)手段、20 エンジン、22 自動変速機、24 タイヤ、26 油圧制御系、32 リニアソレノイド弁、34 オリフィス・流路、36 クラッチパック。

Claims (4)

  1. 実際の装置を模擬するモデルに用いられている複数のパラメータの最適値を繰り返し計算により探索するコンピュータを用いた最適パラメータ探索方法であって、
    前記複数のパラメータの中の各パラメータについて複数の探索点を設定し、前記モデルのシミュレーションをそれぞれ行ってモデル出力を求め、
    前記各パラメータについての複数の探索点におけるモデル出力と、これに対応する前記実際の装置の出力との誤差を求め、
    求められた複数の探索点と当該探索点における誤差から、探索点の変化に対する誤差の変化傾向を求め、
    得られた変化傾向に基づき現在の探索点から次の探索点への修正の方向および量を決定し、
    決定された修正の方向および量に基づき、前記パラメータの探索点を修正して、前記モデルのシミュレーションを行うことで、前記誤差が所定値以下の前記複数のパラメータを探索する、
    ことを特徴とする最適パラメータ探索方法。
  2. 請求項1に記載の最適パラメータ探索方法において、
    前記変化傾向は、品質工学における田口メソッドを利用して求めることを特徴とする最適パラメータ探索方法。
  3. 請求項1または2に記載の最適パラメータ探索方法において、
    前記モデルは、車両の自動変速機を制御する油圧制御系であることを特徴とする最適パラメータ探索方法。
  4. 実際の装置を模擬するモデルに用いられている複数のパラメータの最適値について、コンピュータに繰り返し計算させ、探索する最適パラメータ探索プログラムであって、
    コンピュータに、
    前記複数のパラメータの中の各パラメータについて複数の探索点を設定し、前記モデルのシミュレーションをそれぞれ行ってモデル出力を求めさせ、
    前記各パラメータについての複数の探索点におけるモデル出力と、これに対応する前記実際の装置の出力との誤差を求めさせ、
    求められた複数の探索点と当該探索点における誤差から、探索点の変化に対する誤差の変化傾向を求めさせ、
    得られた変化傾向に基づき現在の探索点から次の探索点への修正の方向および量を決定させ、
    決定された修正の方向および量に基づき、前記パラメータの探索点を修正して、前記モデルのシミュレーションを行わせることで、前記誤差が所定値以下の前記複数のパラメータを探索させる、
    ことを特徴とする最適パラメータ探索プログラム。
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