JP5134220B2 - 変速シミュレーション装置、変速シミュレーションプログラムおよび自動車 - Google Patents

変速シミュレーション装置、変速シミュレーションプログラムおよび自動車 Download PDF

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Description

本発明は、モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーションに関する。
従来より、多くの車両に自動変速機が搭載されており、この自動変速機における変速動作は、出力軸トルクおよびタービン回転数が目標通りに推移するように制御される。そして、この制御指令値(入力指令値)を得るためには、各種条件による実車走行試験を行う必要がある。
しかし、このような走行試験は、時間と作業量が膨大となるため、これに代わるものとして自動変速機のモデルを利用したシミュレーションなども行われている。
例えば、特許文献1では、クラッチ・トゥ・クラッチ変速において、入力トルクTin、係合側摩擦要素のトルク容量T1、解放側摩擦要素のトルク容量T2、TinとT1とのトルク比を表すA、Tinと変速前の変速段において釣り合うT2とのトルク比を表すB、補正項Cにより設定される運動方程式Tin=AT1+BT2+Cに従い、解放側・係合側摩擦要素のどちらか一方の油圧指令を求めることが示されている。
なお、変速制御についてファジィ推論を用いるものとして、特許文献2、特許文献3等の提案がある。特許文献4には、ファジィ推論を用いた自動車エンジンの空燃比制御について記載されている。また、品質工学において、設計諸元を決定するに当たり、品質をばらつかせる誤差因子(ノイズ)を減衰させる水準を見つけ出し、ノイズに強い安定設計を行う手法があり、非特許文献1等に示されており、特許文献5,6にはこの品質工学の考えを利用したロボット制御について記載されている。
特開2004−340287号公報 特開平9−79364号公報 特開平7−167274号公報 特開平5−133263号公報 特開2002−175101号公報 特開2003−186530号公報 「入門 タグチメソッド」 立林和夫 日科技連出版社 2004年発行
前記特許文献1では、変速時の解放側または係合側摩擦要素のどちらか一方の油圧指令は、予め適合作業によって求めておく必要がある。また、性能バラツキへの対応は、オンボードでのフィードバック制御や学習制御(これらは補正項に含まれる)によって実行されており、フィードフォワード制御によって性能バラツキに対応する試みはなされていない。
また、特許文献2〜4では、ファジィ推論を用いてはいるが、対象となる装置のパラメータについての適合作業は従来通り必要であり、抜本的な工数削減にはつながらない。
さらに、特許文献5,6は、フィードフォワード制御ではなく、自動変速機制御には適用しにくく、さらに非特許文献1は対象とする製品の機構・形状・材質などの設計諸元の決定に関するものであり、動的なシステムを対象としていない。
本発明は、モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーション装置であって、前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について、変動を付与してシミュレーションし、このシミュレーションの結果であるシステムの出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、この評価結果から、前記変動の出力値への影響が要求仕様を満たす目標出力値を決定し、決定された目標出力値に一致する出力を得るための入力指令値を学習計算によって求めることで、要求仕様を満たす入力指令値を求めることを特徴とする。
また、本発明は、モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーション装置であって、
(a)前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について、変動を付与してシミュレーションし、
(b)このシミュレーションの結果であるシステムの出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、
(c)評価結果に基づき、ファジィ推論によって、目標出力値を修正し、
(d)修正した目標出力値を用いて、シミュレーションを行い、その学習計算により新たな入力指令値を算出し、
(e)算出した入力指令値により前記入力指令値を更新し、前記(a)に戻り、前記(a)〜(d)の処理を(b)の評価が要求仕様を満たすまで繰り返し、要求仕様を満たす入力指令値を求めることを特徴とする。
また、本発明は、モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーション装置であって、
(a)目標出力値における複数の制御因子についてそれぞれ複数の水準を設定し、
(b)設定された複数の制御因子についての複数の水準の組み合わせで決定される複数の目標出力値を設定し、
(c)設定された複数の目標出力値を用い、前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について変動を付与してそれぞれシミュレーションし、
(d)このシミュレーションの結果であるシステムの複数の出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、得られた評価結果が要求仕様を満たす目標出力値を決定し、
(e)決定された目標出力値を用いて、学習計算によって要求仕様を満たす入力指令値を求める、ことを特徴とする。
また、前記(b)において、複数の制御因子の複数の水準の組み合わせは、直交表を用いて、決定し、前記(c)は決定された全ての組み合わせについて行われることが好適である。
さらに、本発明は、上述のような変速シミュレーション装置をコンピュータを用いて実現するための変速プログラムに関する。
本発明によれば、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値を変動させて自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行い、対応する出力値がどう変動するかを検出する。そして、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値の変動に対し頑強な目標出力値を算出し、得られた目標出力値に基づいて入力指令値を得る。このため、変動に強い入力指令値を得ることができ、適切な自動変速機の制御値を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態は、複数の摩擦係合装置の係合・解放状態に応じて変速比が設定される自動変速機の入力指令値についてシミュレーションにより適合化するものである。特に、目標出力値を適切に設定することで、入力指令値もしくは変速動作を制御する制御装置の構成要素の特性値のバラツキに強い入力指令値を得る。
この適合対象としている自動変速機は、複数の遊星歯車と、複数の油圧アクチュエータによって摩擦係合される油圧式摩擦係合装置によって構成されており、この油圧アクチュエータは、車載コンピュータによって電子制御される。なお、シミュレーションは、コンピュータを用いて行われ、その結果で得られた入力指令値が車載メモリ等に記憶される。そして、車載コンピュータが車載メモリに記憶されている入力指令値を用いて変速時の動作を制御する。
「モデルによるシミュレーション」
図8に、CAE(computer aided engineering)モデル上での適合作業の概要を示す。CAEモデルは、エンジン・トルクコンバータモデル10と、自動変速機の遊星歯車によって構成されるギヤトレーンモデル12と、解放側ブレーキモデル14、係合側ブレーキモデル16とを含み、これらモデルへ入力される入力指令値の修正量が修正量計算部18において算出される。この修正量計算部18は、実際の出力値と目標出力値の比較に基づく学習計算によって修正量を算出する。
エンジン遅角量についての初期値は加算器20に供給される。ここには、修正量計算部18からエンジン遅角量についての修正量が供給されており、両者が加算されることでエンジン遅角量が修正される。修正されたエンジン遅角量はエンジン・トルクコンバータモデル10に供給される。従って、供給されたエンジン遅角量に応じてエンジン出力が制御されトルクコンバータからの出力タービントルクが決定される。
また、解放側油圧指令の初期値が加算器22に供給され、ここには修正量計算部18からの解放側油圧指令の修正量が供給されている。従って、加算器22において修正された解放側油圧指令が得られ、これが解放側ブレーキモデル14に供給され、この解放側ブレーキモデル14から対応する解放側トルク容量T1が出力される。
さらに、係合側油圧指令の初期値が加算器24に供給され、ここには修正量計算部18からの係合側油圧指令の修正量が供給されている。従って、加算器24において修正された係合側油圧指令が得られ、これが係合側ブレーキモデル16に供給され、係合側ブレーキモデル16から対応する係合側トルク容量T2が出力される。
エンジン・トルクコンバータモデル10から出力されたタービントルク、解放側ブレーキモデル14から出力された解放側トルク容量T1、および係合側ブレーキモデル16から対応する係合側トルク容量T2がギヤトレーンモデル12に供給される。これによって、このギヤトレーンモデル12から入力に応じた出力軸トルクToおよびタービン角加速度(d/dt)ωtが出力される。
そして、出力軸トルクToは加算器26に負の値として供給され、ここで目標値から減算され、得られた誤差が修正量計算部18に供給される。また、タービン角加速度(d/dt)ωtは加算器28に負の値として供給され、ここで目標値Tod、(d/dt)ωtdからそれぞれ減算され、得られた誤差が修正量計算部18に供給される。
修正量計算部18は、供給される誤差に基づいて、エンジン遅角量、解放側油圧指令、係合側油圧指令についての修正量を演算算出し、これらを加算器20,22,24にそれぞれ供給する。
「ファジィ推論を用いる実施形態」
本実施形態では、自動車に搭載する自動変速機を対象とした数値計算シミュレーションを通じて、理想的な変速動作を実現するためのフィードフォワード指令値を導き出す。自動変速機の変速段については、多段化が進んであり、その各段間の変速時において、目標出力軸トルク波形および目標タービン角加速度波形を最適なものとして、その目標波形を実現するフィードフォワード指令値(解放側および係合側ブレーキ油圧・エンジン遅角量)を学習計算により導き出す。
ここで、実際の自動変速機においては、部品の個体バラツキや、走行状況などの変化によって、自動変速機の機械的な特性には変動が生じる。この特性変動を考慮せず、自動変速機が設計時の定数に従う(この場合をノミナル状態と呼ぶ)と仮定し、入力指令値を導出した場合には、出力結果が変動し、その変動幅が許容範囲を大きく逸脱する可能性もある。
そこで、本実施形態では、入力指令値を学習計算によって導き出す際に用いる目標出力値(目標波形)について、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値の変動に強いものにする。すなわち、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について変動があった場合にも出力結果の変動が要求される許容範囲内となる目標出力値を決定する。
このために、本実施形態では、コンピュータ上での数値シミュレーションにより、目標波形(本実施形態の場合には目標出力軸トルク波形)を設定し、さらにこの目標波形を実現するための入力指令値を導出する。特に、目標波形の決定には、ファジィ推論を活用する。また、これらの処理はコンピュータを用い、自動的に行う。
本実施形態における、自動変速機の入力指令値を求める適合作業の流れを図1に示す。まず、ステップS1では、自動変速機に入力する入力指令値の初期値を設定する。この初期指令値は、単に所定の変速段の切り換え作業を行うことができればよい。このため、図2の(i)に示すようなランプ入力などのごく簡単な入力波形を与えればよい。図2(i)では、ブレーキ掴み換えの入力指令値(解放側油圧指令および係合側油圧指令)についての初期値の例を示してある。なお、上述の図8によれば、入力指令値は、係合側油圧指令、解放側油圧指令、遅角量の3つである。
次に、ステップS2では、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値に意図的に変動を加えたものを入力として、変速シミュレーションを実行する。図2(ii)の例では、係合側の油圧指令値について、+バラツキのものと、−バラツキのものを加えた3入力とし、それぞれについてシミュレーションする。また、図3では、図2(ii)に示したように、係合側油圧波形に±のバラツキを加えた状態で変速シミュレーションを行ったときの3つの結果(出力軸トルク)を示している。この図3のように、入力指令値の変動は、出力結果に大きな差異をもたらす。
ステップS3では、ステップS2の結果から、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値に変動が加えられた場合においても、変速シミュレーションの出力結果について、予め定められている複数の評価指標が基準値(要求仕様)を満足しているかどうかを判断する。評価指標には、図2の(ii)、(iii)に示してあるように、変速動作中の出力軸トルクの増減、出力軸トルクの最大値・最小値、変速動作の開始から変速が完了するまでの変速時間、変速動作中に摩擦材が回転体間の相対回転を止める際に発生する熱の吸収量などが挙げられる。また、この他にも、瞬間的なショックを避けるという意図において、出力軸トルクの勾配、摩擦材の熱吸収率などが評価指標として採用される。
これらの評価指標は、ファジィロジックの前件部のメンバシップ関数へ入力され、それぞれの指標がどのファジィ集合に、どの度合い(グレード)で属するかが判定される。前件部のメンバシップ関数の例を図4に示す。図4(a)のトルク増減の場合では、トルク増減が小さい(S)、中間(M)、大きい(B)の3つの集合に分けられる。また、図4(b)の変速時間に関しては、短い(S)、中間(M)、長い(L)の3つの集合に分けられる。
そして、各評価指標が、望ましいファジィ集合に所属しているかによって、ステップS3における判定を行う。
ステップS3の判定において、Noであれば、判定がYesになるような修正を行う。このために、ステップS4では、ファジィ推論により目標波形を修正する。
すなわち、各評価指標が望ましいファジィ集合に所属していなかった場合、図2の(iii)に示すように、表1に示すようなIF−THEN形式で記述される複数の規則に従い、目標出力軸トルク波形の修正量を決定する。
Figure 0005134220
後件部に関しても、図5に示すようなメンバシップ関数が用意されており、各規則の前件部の度合いから、後件部のファジィ集合の度合いがファジィ推論により求められる。そして、各規則の推論結果が集められて、最終的な推論結果を得る。この推論結果は、”良い”、”悪い”といったファジィ変数ではなく、非ファジィ化、つまり数値化されたものであり、これが目標出力軸トルク波形の修正量となる。なお、図8の例であれば、目標波形として、タービン角速度波形があり、これについても同様にして修正量が求められる。
このようにして、目標波形の修正量が求められた場合には、ステップS5において、得られた目標波形を用いて、図8のモデルにより適合作業を行い、学習計算によって修正された入力指令値を得る。このステップS5における適合作業については、後述する。
ステップS5において、修正された目標波形を用いて得た入力指令値が得られた場合には、新しい入力指令値を用いてステップS2からの処理を繰り返す。そして、シミュレーションを繰り返し実行しながら、ステップS3においてYesとなる修正された目標波形の修正量を求める。出力波形である出力軸トルクの目標波形についての修正の状態の一例を図6に示す。このように、初期波形について、1回目、2回目と徐々に修正が行われる。
このような処理を繰り返すことで、図7に示すように、ステップS3の判定結果がYesとなる特性変動が発生した場合においても、許容範囲内に収まる目標波形を作り出すことができる。そして、この目標波形に対応する入力指令値を得ることができる。従って、このようにして得られた入力指令値を用いて、自動変速機を制御することで、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値についての変動があっても、出力への影響を抑制した変速動作が達成される。
なお、ファジィ集合や規則群の数を増やせば、問題は複雑になるが、その一方で、よりきめ細やかな目標波形の調整が可能となる。
上述した方法により、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値の変動に対して頑強な目標波形、およびそれを実現するためのフィードフォワード入力指令値を、実際にシミュレーションにて導き出した結果を以下に示す。
シミュレーションに使用したCAEモデルを図8に示したものであり、この変速機の2速-3速アップシフトを対象とした。
図9に、初期入力指令値に変動を加えた状態で、変速シミュレーションを行った結果を示す(図1におけるステップS2の結果)。
図9(c)は、係合側・解放側の摩擦係合要素へ供給される油圧波形の初期状態を表す。このように、両ブレーキ油圧とも、比較的簡単なランプ波形としている。図9(d)は、エンジンの点火時期の遅角量を表す。このように、初期状態では遅角量は常に零とした。
図9(a),(b)は、変速シミュレーションの結果として出力されたエンジン回転数、変速機の出力軸トルクをそれぞれ表す。図9(a),(b)の実線は、図9(c),(d)に表されている各入力指令値波形を、シミュレーション実行時にそのまま車両への入力とした場合(これをノミナル状態と呼ぶ)のシミュレーション結果を表す。
一方、係合側油圧波形に意図的に±10[kPa]のオフセット(バラツキ)を加えて、シミュレーションを実行した結果を図9(a),(b)に破線で示す。この実線と破線との違いから、入力指令値の変動により、変速ショックが大きくなったり、変速時間が間延びしてしまうことが分かる。図9(a),(b)には、許容範囲についての記載は省略してあるが、この場合図1のステップS3の判定はNoになることにする。
そこで、図9で示したシミュレーション結果をファジィ推論器に入力し、目標出力軸トルク波形を修正する(図1のステップS4)。その結果を図10に示す。なお、この修正は上述のように、ファジィ推論の後件部の処理による。
入力指令値の変動の影響を抑えるために、各時間での出力軸トルクの勾配や、高さが変更されていることが見て取れる。なお、図10には、目標出力軸トルク波形しか示していないが、出力軸トルクの波形が変更になった場合には、物理現象として矛盾が生じないように、同時に目標タービン回転数の波形の修正も行い、変速動作において、ギヤトレーン内部の各回転体の回転数が同期した瞬間に、出力軸トルクも変速が終了した状態になるように調整を行う。
このようにして、目標とする出力軸トルク波形が設定された場合には、図1におけるS5に進み、この目標波形に近い出力結果を得るための入力指令値を、学習計算に基づく繰り返し計算手法を利用して算出する。この学習計算手法は、システムの運動方程式を用いて、適切な指令値の修正量を逐次求めることで、目標値との偏差を徐々に減少させることを特徴としている。図11に、この学習計算の流れを示す。
ここでは、図8におけるブレーキB1,B2の掴み換え動作を例に取り、学習計算手法の具体的な説明を行う。自動変速機の変速時に関する運動方程式は、下式に示すように記述される。
Figure 0005134220
ここで、TOは出力軸トルク、ωt・(=dωt/dt)はタービン角加速度、TB1は解放側ブレーキB1のトルク容量、TB2は係合側ブレーキB2のトルク容量、Ttはタービントルク、Twは走行負荷トルクを表す。そして、上式内の各係数 A11,A12,・・・,A24は,遊星歯車によって構成されるギヤトレーン系のギヤ比や各部の慣性モーメントによって決定される定数を表す。
行列表現を用いて、前述の式を下式に示すように記述し直す。
Figure 0005134220
そして、図1のS1と同様に、図11のS11において油圧波形および遅角量の初期値を決定して、ブレーキトルク容量・タービントルクを入力として、変速シミュレーションを実行する(図11ステップS12)。
図11のステップS13において、出力値波形が目標波形に十分近いなどの学習の終了条件を満たしているか、すなわち出力軸トルク・タービン角加速度の目標値との間の誤差ΔTO,Δωtが所定値以下かを判定し、Noの場合には図11のステップS14に進み、Aの擬似逆行列A+及び目標値への収束性を調整するゲイン行列Kを用いてブレーキトルク容量・タービントルクの修正量を次式を用いて求める。
Figure 0005134220
ブレーキトルク容量に関しては、この修正量をこれまでのブレーキトルク容量に加算することで、新たなブレーキトルク容量とする。
図11ステップS15においては,ステップS14の結果を受けてフィードフォワード指令値の修正を行う。係合側ブレーキに関しては、トルク相・イナーシャ相を通じて、以下に示す関係式より、トルク容量を発生させるブレーキ油圧へ変換される。
Figure 0005134220
ここで、PB2はブレーキ油圧、μB2は摩擦係数、NB2は摩擦材枚数、RB2は摩擦材有効半径、SB2はピストン受圧面積、FB2はリターンスプリング荷重を表す。
また、トルク相中においては、係合側ブレーキのトルク容量TB2の修正に対して,この係合側ブレーキのトルク容量とタービントルクとの関係から、タイアップ及びエンジン回転数の吹き現象が発生しない様に、解放側ブレーキの油圧波形が修正される。
さらに、イナーシャ相中においては、出力軸トルクのピーク値を抑えるために、エンジンの遅角制御が行われる。タービントルクの修正量から、次式に従いエンジン遅角量の修正量を求める。
Figure 0005134220
ここで、αは遅角量、Δαは遅角量修正量、tはエンジントルクとタービントルクのトルク比、kは定数を表す。
各フィードフォワード指令値の修正後は、図11ステップS12に戻り,修正された指令値による変速シミュレーションを再度行う。
この指令値の修正作業は、図11ステップS13において、学習計算の終了条件が満たされるまで繰り返し実行される。学習の終了条件の例には、学習計算の繰り返し回数が所定の回数を超えた場合や、目標値との誤差が十分に小さい値になった場合などが挙げられる。
このような学習計算を用いて、目標波形を実現するための入力指令値を求めた結果を、図12に示す。図12の(a)〜(e)において、破線は初期状態での波形を、実線は学習後の波形を示す。
図12(f)には、出力軸トルクの誤差の履歴を示す。学習計算を繰り返し行い、入力指令値を繰り返し修正していくことで、適切なフィードフォワード入力指令値が求められている。
上述した手法に従い、目標波形の修正とそれに対応する入力指令値の導出を交互に繰り返した結果、最終的に得られた入力指令値での変速シミュレーション結果を図13に示す。
図13(c)は係合側・解放側の摩擦係合要素へ供給される油圧波形、図13(d)はエンジンの点火時期の遅角量を表す。また、図13(a),(b)は、変速シミュレーションの結果として出力されたエンジン回転数、変速機の出力軸トルクをそれぞれ表す。図13(a),(b)の実線は、図13(c),(d)に表されている各入力波形を、シミュレーション実行時にそのまま車両への入力とした場合のシミュレーション結果を表す。
一方、係合側油圧波形に意図的に±10[kPa]のオフセットを加えて、シミュレーションを実行した結果を図13(a),(b)の破線にて示す。図9に示した初期の入力指令値に対して同様の変動を加えたときの結果と比較して、全体的に変速中の出力軸トルク波形のピークが抑えられており、変速ショックが小さく抑えられていることが分かる。
ここで、上述の説明では、出力に影響する変動として入力指令値の変動を取り上げた。しかし変動要因は、入力指令値だけではなく、係合摩擦材の摩擦係数の変動や油圧回路内の経路・絞り径(オリフィス)の寸法誤差、エンジン遅角制御によるエンジントルクの落ち込みタイミングのずれなど、変速動作を制御する装置内のあらゆる特性変動が考えられ、これら変動を対象とすることが可能である。
このように、本実施形態の手法を用いれば、上記のように入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値の変動に対して頑強な目標波形、およびそれに対応する各入力指令値を、ベンチでの実機試験に必要な工数と比較して、ごく短時間で計算機シミュレーションにより求めることができる。
「感度解析を利用する実施形態」
上記実施形態においては、ファジィ推論を用いて、入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値の変動に強い目標波形を求め、その目標波形を用いて入力指令値を決定した。
本実施形態では、時系列のフィードフォワード指令値を設計するために品質工学の手法である感度解析を応用する。
本実施形態での適合作業の流れを図14に示す。なお、以下の説明では、図8に示した自動変速機を搭載した自動車が低速段で走行中に、一度スロットル開度を零まで戻して中速段を飛び越え高速段へアップシフトした後、再度スロットル開度を上げてそのまま高速段で走行するパワオフ・パワオン多重変速を対象とする。
ステップS21では、まず自動変速機に入力する指令値の初期値を設定する。この初期指令値は、単に所定の変速段の切り換え作業を行うことができればよいため、図15の左側に示すような簡単な形状の入力指令値を与えればよい。
次に,図14のステップS22では、図15の右側に示すように、ステップS21での出力結果を参考にして、出力軸トルク波形の特徴量に関して3つの水準を設定する。ここでは、特徴量として、スロットル開度が立ち上がった瞬間の出力軸トルクの値To1、変速終了時に出力軸トルクが立ち下がる直前の出力軸トルクTo2、変速時間tscの3つを採用し、これを目標値における制御因子とする。
これ以後では、この制御因子の組み合わせに関して検討するが,図16に示すように制御因子の組み合わせは無数に存在する。このため、制御因子の数が増えると設計のために実行しなければならないシミュレーション回数が膨大となる。そこで、本実施形態においては、これらの制御因子を図17に示す直交表に割り付けることにより、水準の組み合わせに関する検討を効率よく実施する。以後、図17の直交表の制御因子AにTo1、BにTo2、Cにtscが割り付けられているとする。
図14のステップS23においては、図17の直交表に従って設定された目標出力軸トルク波形を実現するフィードフォワード入力指令値を学習計算にて求める。この学習計算による入力指令値の算出は、上述の実施形態の場合と同様にして行われる。
図14ステップS24では、学習計算手法により導き出されたブレーキ油圧のフィードフォワード入力指令値に±βのオフセットを与えて、これを誤差(変動)因子として図17の直交表の外側に割り付ける。なお,誤差(変動)因子βには、ブレーキ油圧のオフセット(バラツキ)だけではなく、係合摩擦材の摩擦係数の変動や油圧回路内の経路・絞り径(オリフィス)の寸法誤差、エンジン遅角制御によるエンジントルクの落ち込みタイミングのずれなど、変速動作を制御する装置内のあらゆる特性変動を与えることが可能である。変動として、入力指令値だけでなく変速動作を制御する装置の構成要素の特性値の変動を与えることができる。
図14ステップS25では、この外乱が加わった入力指令値にて変速シミュレーションを実行する。そして、得られた結果から変速動作が円滑に終了したかを判断するために定められた各評価指標のSN比・平均値を求める。
図18に評価指標の例を示す。この例では、評価指標として図中に表されているように出力軸トルクの増減から計算する変速ショック、変速時間、変速時のエンジンの吹き上がり回転数などを採用する。また、変速時には変速機内部の歯車の回転同期をとるために発生する熱の処理が問題となるため、摩擦係合要素が吸収しなければならない熱吸収量、熱吸収率も評価指標とする。なお、この他にも、変速中の車両の加速度やジャーク、動力をタイヤに伝えるドライブシャフトの捻り振動なども評価指標として採用することができる。
また、図17の直交表のn番目の制御因子の組み合わせに関するSN比、平均値は、以下に示す式により求められる。
Figure 0005134220
ここで、yn,1,yn,2,yn,3は,各誤差(変動)因子を加えた場合での変速シミュレーション結果から求められた評価指標の値を表し、ηはそのSN比、μは平均値を表す。
上記の図14ステップS23からステップS25までの作業を、図17の直交表で定められた全ての因子の組み合わせについて実行する。すなわち、ステップS26において、全ての組み合わせが終了が終了したかを判定し、終了していなかった場合にはステップS23に戻り処理を繰り返す。
図14ステップS27では、全ての変速シミュレーション結果から得られたデータを基に、要因効果図を作成し、各評価指標のバラツキを抑えつつ、平均値を設計要求を満たす水準まで移動させることができる制御因子の組み合わせについて検討を行う。
図19から図23に、変速ショック、変速時間、エンジンの吹き上がり回転数、摩擦材の熱吸収量、熱吸収率に関する要因効果図をそれぞれ示す。これらの効果図において、SN比は値が大きいほうが、平均値は値が小さいほうが望ましい傾向を示している。
これらの要因効果図から各制御因子の値をどのように設定すれば、誤差(変動)因子の影響を減衰させるのかについて検討を行うが、図19から図23を見比べると分かるように、図19のSN比においてはC3の水準が望ましいが、それ以外ではC1の水準が望ましいといった具合に相反する傾向を持つ場合がある。
そこで、このような矛盾点を回避しつつ、最適な解を求めるため非線形最適化の手法を用いる。まず、要因効果図内の特性を2次関数で近似し、以下に示すような評価関数を作る。
Figure 0005134220
ここで、変数xは制御因子が水準1から水準3までの間のどの値を持つのかを表し、ai,bi,ci(i=1,2,・・・,10)は2次関数の係数を表す。なお、上記の式において、本来SN比は大きければ大きいほど良い特性を表すが、符号を反対にすることにより、関数ベクトルF(x)の最適化をする際に、最小値を求めるように変更する。
上記のF(x)のような非線形の多目的関数ベクトルを最小化する際には、ファジィ推論、遺伝的アルゴリズム、ニューロコンピューティングなどの手法を利用することも考えられるが、ここでは数理計画法の一種である多目的ゴール到達法と呼ばれる解法を利用する。多目的ゴール到達法というのは、以下の式で示すように、重み関数wiと設計ゴール f* iとで表される制約条件のもとで、変数γを最小化する手法である。
Figure 0005134220
この手法を適用して最適化を行った結果、表2に示す各水準が最適値として得られた。なお、実際の計算には The MathWorks,Inc.製のソフトウェアであるMATLAB(登録商標)を使用した。なお、各水準についての最適値を得る手法としては他の最適化手法を採用してもよい。
Figure 0005134220
図14ステップS28では、上記の最適化された制御因子から設計された目標出力軸トルク波形を実現する各フィードフォワード入力指令値を、前述の学習計算手法により導出する。
図24には初期入力指令値による変速シミュレーション結果、図25には最終的に得られた入力指令値によるシミュレーション結果を示す。各図の(a)は出力軸トルク、(b)はエンジン回転数、(c)はエンジントルク、(d)は係合側・解放側の摩擦係合要素へ供給されるブレーキ油圧、(e)はスロットル開度、(f)はエンジンの点火時期の遅角量をそれぞれ表す。
図24では、ブレーキ油圧を急激に変化させているため、図24(a)の矢印で指摘している箇所で大きな変速ショックが発生しているが、最適化された指令値を用いた図25では、ブレーキ油圧を緩やかに変化させると同時に、エンジンの点火時期を制御することでエンジンから出力されるトルクを減少させたことにより、出力軸トルク波形に現れる変速ショックを軽減させている。
また、図26には、最適化された係合側ブレーキへの入力指令値に、外乱として−10[kPa]のオフセットを加えた場合のシミュレーション結果を示す。予めこのような外乱の影響を軽減することを念頭におき、目標出力軸トルク波形、およびフィードフォワード入力指令値を設計したため、図25と図26の出力結果の差異は、最小限に抑えられている。
このように、本実施形態に係る手法を用いれば、上記のようにシステム内部の特性変動(入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値)に対して頑強な目標出力波形、およびそれに対応する各フィードフォワード入力指令値を、ベンチでの実機試験に必要な工数と比較して、ごく短時間で計算機シミュレーションにより求めることができる。また、設計の際に、外乱・ノイズの影響を定量的に求めることにより、そのシステムの特性を熟知した熟練者でなくとも、容易に最適設計を行うことが可能となる。
「ファジィ推論を用いる場合と感度解析を用いる場合の比較」
ファジィ推論を用いた実施形態と、感度解析を用いた実施形態との共通点・相違点について、下に示す。
[共通点]
・自動車用自動変速機からの出力値が,システム内部に特性変動が発生した場合においても、常にある一定の要求仕様を満たすことを目的とする。
・上記の目的を実現するための制御指令値を自動的に求める手法である。
・上記の要求仕様は、複数の評価指標(変速ショックを表す官能指数・摩擦材の熱吸収量など)の値によって定められる。
・上記で述べた要求仕様を満たすために、特性変動によって出力値に悪影響が出た場合の評価指標の値を参考にして、特性変動に対して頑強な目標出力値を導き出す。
・続いて、実際に目標出力値に一致する出力結果を得るための制御入力を学習計算手法にて求める。
[相違点]
「ファジィ推論を利用する場合」
・メンバシップ関数・修正ルール群の作成に、熟練適合者の経験と、試行錯誤のために工数が必要である。
・上記の関数・ルール群が適切に設定されていれば、正しい修正量を推論結果として得ることができる。
「感度解析を利用する場合」
・入力の変動値による出力値の変動幅を定量的に評価する。
・混合系直交表を利用することで、最小限の試行回数で,効率よく感度解析を実行することが可能となる。
・定量的な解析結果を基に、そこから最適な解を得る手法が別途必要になる。
実施形態に係る指令値生成のフローチャートである。 目標値波形の修正を示す図である。 入力バラツキの影響を示す図である。 前件部のメンバシップ関数を示す図である。 後件部のメンバシップ関数を示す図である。 目標波形の修正履歴を示す図である。 目標波形の修正結果を示す図である。 CAEモデル上での適合作業の概要を示す図である。 初期入力値での変速シミュレーション結果を示す図である。 目標出力軸トルク波形の修正を示す図である。 学習計算のフローチャートである。 入力指令値生成のための学習計算結果を示す図である。 最終的に得られた入力指令値による変速シミュレーション結果を示す図である。 他の実施形態に係る指令値生成のフローチャートである。 初期指令値と制御因子の水準設定を示す図である。 目標軸トルクのパターンを示す図である。 直交表を示す図である。 評価指標を示す図である。 変速ショックのSN比・平均値の要因効果図である。 変速時間のSN比・平均値の要因効果図である。 エンジン吹き上がり回転数のSN比・平均値の要因効果図である。 摩擦材熱吸収量のSN比・平均値の要因効果図である。 摩擦材熱吸収率のSN比・平均値の要因効果図である。 初期入力指令値による変速シミュレーション結果を示す図である。 最適化後の入力指令値による変速シミュレーション結果を示す図である。 最適化後の入力指令値による変速シミュレーション結果(外乱を加えた場合)を示す図である。
符号の説明
10 トルクコンバータモデル、12 ギヤトレーンモデル、14 解放側ブレーキモデル、16 係合側ブレーキモデル、18 修正量計算部、20,22,24,26,28 加算器。

Claims (8)

  1. モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーション装置であって、
    前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について、変動を付与してシミュレーションし、
    このシミュレーションの結果であるシステムの出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、
    この評価結果から、前記変動の出力値への影響が要求仕様を満たす目標出力値を決定し、
    決定された目標出力値に一致する出力を得るための入力指令値を学習計算によって求めることで、要求仕様を満たす入力指令値を求めることを特徴とする変速シミュレーション装置。
  2. モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーション装置であって、
    (a)前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について、変動を付与してシミュレーションし、
    (b)このシミュレーションの結果であるシステムの出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、
    (c)評価結果に基づき、ファジィ推論によって、目標出力値を修正し、
    (d)修正した目標出力値を用いて、シミュレーションを行い、その学習計算により新たな入力指令値を算出し、
    (e)算出した入力指令値により前記入力指令値を更新し、前記(a)に戻り、前記(a)〜(d)の処理を(b)の評価が要求仕様を満たすまで繰り返し、
    要求仕様を満たす入力指令値を求めることを特徴とする変速シミュレーション装置。
  3. モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーション装置であって、
    (a)目標出力値における複数の制御因子についてそれぞれ複数の水準を設定し、
    (b)設定された複数の制御因子についての複数の水準の組み合わせで決定される複数の目標出力値を設定し、
    (c)設定された複数の目標出力値を用い、前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について変動を付与してそれぞれシミュレーションし、
    (d)このシミュレーションの結果であるシステムの複数の出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、得られた評価結果が要求仕様を満たす目標出力値を決定し、
    (e)決定された目標出力値を用いて、学習計算によって要求仕様を満たす入力指令値を求める、
    ことを特徴とする変速シミュレーション装置。
  4. 請求項3に記載の変速シミュレーション装置において、
    前記(b)において、複数の制御因子の複数の水準の組み合わせは、直交表を用いて、決定し、前記(c)は決定された全ての組み合わせについて行われることを特徴とする変速シミュレーション装置。
  5. モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーションプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について、変動を付与してシミュレーションさせ、
    このシミュレーションの結果であるシステムの出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価させ、
    この評価結果から、前記変動の出力値への影響が要求仕様を満たす目標出力値を決定させ、
    決定された目標出力値に一致する出力を得るための入力指令値を学習計算によって求めさせることで、要求仕様を満たす入力指令値を求めさせることを特徴とする変速シミュレーションプログラム。
  6. モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーションプログラムであって、
    コンピュータに、
    (a)前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について、変動を付与してシミュレーションさせ、
    (b)このシミュレーションの結果であるシステムの出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価させ、
    (c)評価結果に基づき、ファジィ推論によって、目標出力値を修正させ、
    (d)修正した目標出力値を用いて、シミュレーションを行い、その学習計算により新たな入力指令値を算出させ、
    (e)算出した入力指令値により前記入力指令値を更新し、前記(a)に戻り、前記(a)〜(d)の処理を(b)の評価が要求仕様を満たすまで繰り返させ、
    要求仕様を満たす入力指令値を求めることを特徴とする変速シミュレーションプログラム。
  7. モデルを利用して自動車用の自動変速機システムの変速動作のシミュレーションを行う変速シミュレーションプログラムであって、
    コンピュータに、
    (a)目標出力値における複数の制御因子についてそれぞれ複数の水準を設定させ、
    (b)設定された複数の制御因子についての複数の水準の組み合わせで決定される複数の目標出力値を設定させ、
    (c)設定された複数の目標出力値を用い、前記システムにおいて変速動作を行う際の入力指令値もしくは変速動作を制御する装置の構成要素の特性値について変動を付与してそれぞれシミュレーションさせ、
    (d)このシミュレーションの結果であるシステムの複数の出力値を、前記変動に対する影響の大きさに基づいて評価し、得られた評価結果が要求仕様を満たす目標出力値を決定させ、
    (e)決定された目標出力値を用いて、学習計算によって要求仕様を満たす入力指令値を求めさせる、
    ことを特徴とする変速シミュレーションプログラム。
  8. 請求項1〜4のいずれか1つの変速シミュレーション装置または請求項5〜7のいずれか1つの変速シミュレーションプログラムを用いて得られた入力指令値に基づいた変速制御指令値を記憶するメモリを搭載し、このメモリに記憶されている変速制御指令値に基づいて搭載された自動変速機を制御する自動車。
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