JP5227261B2 - 自動変速機のパラメータ同定装置および同定プログラム - Google Patents

自動変速機のパラメータ同定装置および同定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、自動変速機の変速動作をシミュレーションし、変速挙動に影響を及ぼすパラメータを同定する自動変速機のパラメータ同定に関する。
自動車用自動変速機内部には、構成要素の回転同期をとるために、1つ、もしくは複数の摩擦係合要素(クラッチ・ブレーキ:クラッチパック)が組み込まれている。この摩擦係合要素では、油圧制御装置によって制御された油圧の力で駆動側・被駆動側双方の摩擦材を押し付け、運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで回転同期を行う。
ここで、工業製品の開発において、数値モデルであるComputer Aided Engineering(CAE)モデルを用いた数値計算シミュレーションを利用することで、ハードウェアの諸元(パラメータ)設計時の試作回数を減らす試みが行われている。また、制御用ソフトウェアの開発においても、数値シミュレーション上で、制御ロジックの動作確認を行うことで、工数を削減する仕組みが一般化している。
ここで、有効な数値シミュレーションを行うためには、CAEモデルが実機の動作を、忠実に模擬できるだけの精度を有している必要がある。このため、CAEモデルからの出力結果を、実機により近づけるためにモデル内の諸元(パラメータ)値を修正するモデル同定・システム同定が重要となる。
自動変速機についても、CAEモデルによる数値シミュレーションを活用することが各種提案されている。例えば、特許文献1では、変速中にエンジントルクが急変した場合でも、クラッチに作用する油圧を応答良く、正確に設定することについての提案がなされている。
この特許文献1では、タービントルクの正確な推定が必要となるため、エンジントルクマップに基づき、推定を行うことを基本的な構成としている。しかし、エンジントルクマップでは、エンジン補機負荷及び経年変化が考慮されていないため、タービントルクを推定する際に、次の2つの方法で補正を行っている。
「トルクコンバータがある場合」
トルクコンバータがある場合には、次のトルクコンバータ式に基づき、タービントルクTt2を推定する。そして、このタービントルクと、エンジントルクマップから求めたタービントルクを比較し、その違い分を補正する。
Tt2=t(Nt/Ne)*{c(Nt/Ne)*Ne*Ne−k1*dNt/dt}
ここで、
t :トルクコンバータトルク比(Nt/Neの関数)
c :トルクコンバータポンプ容量係数(Nt/Neの関数)
k1:補正定数
すなわち、トルクコンバータをタービントルクの検出装置として利用し、エンジントルクマップから求められるタービントルクを修正している。
「トルクコンバータがない場合」
トルクコンバータがない場合には、変速機構の入力軸にトルクセンサを設置し、このトルクセンサから得られるトルク信号を用いて、変速機の入力軸トルク値の補正をする。
このように、特許文献1では、タービントルクを修正することで、より正確なパラメータ同定を行っている。
特開平11−325232号公報
特許文献1では、1つのセンサ情報から同定・補正する情報は1つである。すなわち、計測した回転数情報に基づくトルクコンバータ出力(タービントルク)、もしくは入力軸に設置されたトルクセンサから得られるトルク信号から、エンジンマップから計算されるタービントルクを補正している。
センサとして、タービン回転数と出力軸トルクの2つのセンサ情報を用いる場合を考えると、不明なパラメータが補正エンジントルクと、クラッチ摩擦係数μのみであるなら、これらを一意に決定可能である。すなわち、同定可能なパラメータは、2つとなる。
しかし、実用的な精度のモデルを得るためには、センサの数以上のパラメータ(エンジントルク(非変速時)、補正エンジントルク(変速時)、クラッチ摩擦係数μ、走行抵抗、ギヤ効率など)を同定する必要があり、多くのセンサが必要となる。
また、変速動作において、変化するパラメータが存在する。例えば、トルクを伝達するギヤの伝達効率であるギヤ効率は、変速によって変化する。これは、トルク伝達するギヤが変更されるからである。このような変化するパラメータを、同定すべきパラメータに追加すると、そのためにセンサが必要になる。また、変速中においてギヤ効率を測定するために必要なセンサを設けることは困難な場合も多い。
本発明は、自動変速機の変速動作をシミュレーションし、変速挙動に影響を及ぼすパラメータを同定する自動変速機のパラメータ同定装置であって、自動変速機における変速挙動を複数のフェーズに分け、少なくとも1つのフェーズにおけるパラメータの同定を時間的に前のフェーズのパラメータの同定に先立って行い、この同定によって得たパラメータの同定結果を時間的に前のフェーズのパラメータの同定の際に利用する、ことを特徴とする。
また、前記フェーズは、変速前、変速後、変速中のフェーズを含み、変速前フェーズ、変速後のフェーズ、変速中のフェーズの順にパラメータの同定を行うことが好適である。
また、アップシフトの場合に、変速開始前であるフェーズ1、変速中のトルク相であるフェーズ2、変速中のイナーシャ相であるフェーズ3、変速終了後であるフェーズ4、という4つのフェーズを含み、フェーズ1→フェーズ4→フェーズ2→フェーズ3の順番に、パラメータの同定を実行することが好適である。
また、ダウンシフトの場合に、変速開始前であるフェーズ1、変速中のイナーシャ相であるフェーズ2、変速中のトルク相であるフェーズ3、変速終了後であるフェーズ4、という4つのフェーズを含み、フェーズ1→フェーズ4→フェーズ2→フェーズ3の順番に、パラメータの同定を実行することが好適である。
また、同定するパラメータは、クラッチの摩擦係数μ、非変速時におけるエンジントルク、変速時における補正エンジントルク、走行抵抗、トルク伝達ギヤにおけるギヤ効率の時系列的に変化するパラメータであり、これらのいずれか2つ、またはこれらの組み合わせであることが好適である。
また、本発明は、自動変速機の変速動作をシミュレーションし、変速挙動に影響を及ぼすパラメータを同定する自動変速機のパラメータ同定プログラムであって、コンピュータに、自動変速機における変速挙動を複数のフェーズに分け、少なくとも1つのフェーズにおけるパラメータの同定を時間的に前のフェーズのパラメータの同定に先立って行わせ、この同定によって得たパラメータの同定結果を時間的に前のフェーズのパラメの同定の際に利用させる、ことを特徴とする。
本発明によれば、時間的に後のフェーズの同定を先に行っておくことで、変速中などの前のフェーズにおける同定作業を効果的に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1には、車両における一般的な動力伝達系を示してある。エンジン20の出力軸はトルクコンバータ21に接続され、トルクコンバータ21の出力軸が自動変速機22に入力される。
自動変速機22の出力はディファレンシャルギヤ23を介し、タイヤ24に伝達され、これによってエンジン20の出力により車輪が回転され、車両が走行する。
図2には、本実施形態において、同定の対象の一例となる自動変速機の概略構成を示す。この図においては、ディファレンシャルギヤ23は省略されている。
この自動変速機22には、変速を行うための油圧制御系26が設けられている。油圧ポンプからのオイルは油圧調整弁によって所定のライン圧(元圧)に調整される。この油圧調整弁からの出力は、供給電流によって開度が制御されるリニアソレノイド弁32、オリフィス・流路34を介しクラッチパック36に供給される。このクラッチパック36は供給油圧によって内部のピストンに対するクラッチ圧が変化し、これによってクラッチ板の係合解放が制御される。例えば、2速から3速への変速指令が出されたときには、上述のリニアソレノイド弁32への電流値が変更され、クラッチパック36におけるクラッチ圧が変更されて、2速の伝達のためのクラッチの係合が解放され、3速の伝達のためのクラッチが係合されて変速が行われる。なお、動力伝達は、遊星歯車を介し、行われ、この遊星歯車への動力伝達がクラッチパック36の出力によって制御され、ギヤ比が変更され、変速動作が行われる。
このように、油圧制御系のモデルを用いてクラッチ圧が算出される。ここで、この油圧制御系26は、変速指令(油圧指令)がECU30に入力され、ECU30は指令に応じてリニアソレノイド弁32への電流値を変更する。これによって、オリフィス・流路34を介しクラッチパック36へ供給される油圧が変更され、クラッチパック36におけるクラッチ圧が制御される。
なお、エンジン20の出力軸と、クラッチパック36の入力の間には、トルクコンバータが配置されており、このトルクコンバータの出力側であるタービンに接続された軸がクラッチパック36につながる入力軸になる。後述のタービン回転数は、トルクコンバータの出力側の回転数、すなわちクラッチパック36につながる入力軸の回転数をいう。
そして、本実施形態では、このような自動変速機における各種パラメータをモデルを利用したシミュレーションによって同定する。このシミュレーションは、通常汎用プログラムに自動変速機のパラメータ同定プログラムをインストールし、この自動変速機のパラメータ同定プログラムを実行することによって行う。自動変速機のパラメータ同定プログラムは、基本は汎用のシミュレーションプログラムであり、これを編集して作成される。従って、自動変速機のパラメータ同定プログラムをインストールしたコンピュータが自動変速機のパラメータ同定装置を構成する。また、得られたパラメータの同定値は、車両の制御装置内の記憶部に記憶され、車両走行の際の自動変速機の動作制御の際のデータとして用いられる。また、シミュレータを車両に搭載し、実際の走行の際にセンサからのデータを収集し、パラメータの同定を行い、記憶されているパラメータの同定値を適宜更新することも好適である。
ここで、同定するパラメータには、遅角制御を伴わないエンジントルク、遅角制御を伴う補正エンジントルク、クラッチ摩擦係数μ、動力伝達系にあるギヤの動力伝達効率であるギヤ効率、走行抵抗などがあり、これに対応する自動変速機についてのモデルを構築し、このモデルを用いて、特定のパラメータの条件の下でシミュレーションを行い、各種のモデル出力を得る。一方、自動変速機が搭載された実際の車両を走行させて、そこにおける動作を各種センサで検出する。そして、シミュレーションによるモデル出力と実機の出力との誤差を得て、この誤差を0または所定値以下にするパラメータを導出することによって、パラメータの同定を行う。
「フェーズ分割による同定」
本実施形態においては、変速動作を時間経過に伴い、所定のフェーズに分割して、フェーズ毎にパラメータ同定を行う。特に、同定を行うフェーズの順番を時系列から入れ替える。
すなわち、図3に示すように、ステップ0において、初期状態の設定を行う。この初期状態の設定においては、同定開始時刻での状態量を実機における状態と合わせる。次に、ステップ1において、変速前フェーズにおけるパラメータの同定を行う。変速前フェーズは、自動変速機としては静的なフェーズであり、少ない情報からパラメータの同定を行うことが可能である。次に、ステップ2において、変速後フェーズでのパラメータ同定を行う。変速後は、クラッチパックにおける動力伝達経路が切り換えられているが、これも静的な状態におけるパラメータ同定となる。そして、このような変速前、変速後のパラメータ同定が終了した後、ステップ3の変速中のパラメータ同定を行う。この変速中のパラメータ同定においては、時間的に前になる変速前だけでなく、時間的に後の変速後のパラメータ同定結果も利用して、変速中のパラメータ同定が行える。従って、より少ない実機の測定結果を利用して、正確なパラメータ同定を行うことができる。
「2−3アップシフト」
2速から3速へアップシフトする場合におけるパラメータ同定について説明する。対象は、図2に示した自動変速機のパラメータである。
まず、図4に示すように、変速動作を4つのフェーズに分割する。すなわち、フェーズ1:変速前(直前)、フェーズ2:変速中(トルク相)、フェーズ3:変速中(イナーシャ相)、フェーズ4:変速後(直後)の4フェーズである。なお、自動変速機の出力は、変速前における2速での出力トルクから3速での変速後の出力トルクに切り替わるが、変速中においては、2速のクラッチが解除され3速のクラッチが係合されるとともに、その際のエンジン出力トルクが補正されることで、図示のように出力トルクが変化する。
ここで、実機で取得する情報(センサ情報)と、同定するパラメータは次の通りである。
そして、図5の各ステップを実行することで、パラメータを同定する。
(ステップ10)
ステップ10においては、モデルのタービン回転と実機波形が、同一時刻で合うように設定する。具体的には、
(i)実機データが、予め決めたタービン回転速度になる時刻を読み取る、
(ii)モデルのシミュレーションを実施し、(i)で決めた回転数となる時刻を読み取る、
(iii)(i)と(ii)の時刻が一致するように、(i)の実機データを時間軸方向にオフセットさせる、
という手順で行う。
すなわち、図6の左側の部分に縦線(実線)で示した直線位置(時刻)で、モデルのタービン回転数と、実機のタービン回転数が一致する。
(ステップ11)
ステップ11では、変速前における2速時のギヤ効率η2を同定する。この同定は、図7に示すように、変速直前のある時間間隔(同定区間)にて行う。
ここで、パラメータの同定は、図8に示すような誤差モデルを用いて行う。エンジントルク、クラッチ摩擦係数μ、ギヤ効率を入力し、これに誤差モデルからの誤差を加算してギヤトレーンモデルに入力し、ギヤトレーンモデル出力としてタービン回転数および出力トルクを得る。そして、このギヤトレーンモデルの出力と実機との誤差から、誤差モデルの出力に対する大きさ(ゲイン)を評価して、パラメータを同定する。なお、この同定については、特開2008−9682の手法をそのまま利用することができる。
(ステップ12)
ステップ11と同様にして、変速後である3速時のギヤ効率η3を同定する。この同定は、変速直後の所定時間間隔(同定区間)にて行う。
このようにして、2速時(変速前)と、3速時(変速後)のパラメータ(ギヤ効率)の算出が終了した場合には、これら2つのギヤ効率から、変速中のギヤ効率を、内挿により求める。
すなわち、ギヤ効率は、変速前後と変速中を通して、式(1)のように設定する。
η=η2・K+η3・(K−1) (1)
ここで、η:ギヤ効率、η2:2速時のギヤ効率、η3:3速時のギヤ効率、K:ギヤ効率の分担率であり、分担率Kは、クラッチのトルク伝達に応じて決定される。
(ステップ13)
式(1)を前提として、変速中(トルク相)における係合側クラッチの摩擦材μ値を同定する。
(ステップ14)
式(1)を前提として、変速中(イナーシャ相)における係合側クラッチの摩擦材μ値とエンジントルク値を同定する。
図9に、2速から3速へのアップシフト時における油圧、補正エンジントルク値、クラッチ摩擦係数μ、タービン回転数、車両前後加速度を示す。油圧は、クラッチの係合油圧と、解放油圧の両方を示しており、実機における実測値を示しているが、モデルの入力も実質的に同一である。補正エンジントルク、クラッチ摩擦係数はモデルにより同定したパラメータ値を示している。そして、タービン回転数、車両前後加速度についてはモデル出力と、実測値の両方を示してある。このように、出力がよく一致するパラメータの同定が行えたことがわかる。なお、車両前後加速度Gは出力トルクに対応している。
ここで、イナーシャ相におけるパラメータの同定について考える。イナーシャ相において、同定するパラメータは、上述のように、(i)クラッチ摩擦係数μ、(ii)補正エンジントルク(変速時)、(iii)ギヤ効率の3つであり、実機の測定値(センサ検出値)情報は、タービン回転数、車両加速度Gの2つである。
このように、センサ情報よりも、同定パラメータの方が多い。このため、全てのパラメータを同定することはできない。
そこで、例えば、ギヤ効率について、別の手段で決定することが考えられる。この場合、リアルタイムに前から順番に同定するので、変速直前のデータでギヤ効率を同定し、この同定値を変速中(イナーシャ相中)にも用いることなる。
しかし、実際には、変速直前と変速中では、ギヤ効率は変化する。一般的には、トルク相で変化するとされる。このため、この方法では、正しい同定結果が得られない。
一方、本実施形態では、変速前後において同定したギヤ効率に基づいて、変速中のギヤ効率を内挿する。これによって、比較的正しいギヤ効率を利用して、変速中の他のパラメータの同定が行える。
図10は、本実施形態で同定した結果であり、2速と3速で別々のギヤ効率となっている。そして、変速中は、上述のように変速前後の値から内挿したギヤ効率を用いている。これによって、精度のよいパラメータ同定が行われていることがわかる。一方、図11は、2速で同定したギヤ効率をその後も用いた場合の同定結果である。このように、図において“誤差”と書いた分のずれが生じる。このように、2速でのギヤ効率をそのまま変速時に適用する手法では、精度の高い同定はできない。
「3−2ダウンシフト」
次に、3速から2速へのダウンシフトの場合のパラメータ同定について、説明する。基本的には、上述のアップシフトの場合と同一である。
まず、図12に示すように、変速時を4つのフェーズに分割する。図においては、車両前後加速度G、タービン回転数、スロットル開度の3つを示す。
各フェーズ毎に、利用するセンサ情報、同定するパラメータは、次のようになる。
このように、ダウンシフトの場合には、変速中がイナーシャ相、トルク相の順番になる。そして、本実施形態における処理は、(ステップ20)初期状態合わせ、(ステップ21)変速前フェーズ(フェーズ1)のパラメータ同定、(ステップ22)変速後フェーズ(フェーズ4)のパラメータ同定、(ステップ23)イナーシャ相(フェーズ2)のパラメータ同定、(ステップ24)トルク相(フェーズ3)のパラメータ同定、の順番でパラメータ同定が行われる。
そして、ギヤ効率については、変速前後で得られたギヤ効率から、変速中のギヤ効率を内挿する。このようにして得た同定結果を図13に示す。このように、ダウンシフトの場合もアップシフトの場合と同様に、同定モデルの出力として実機に近いものを得ることができ、適切なパラメータ同定が可能であることがわかる。
「その他の例」
さらに、出力軸トルクセンサを併用する場合も考えられる。このように、センサ情報が追加されれば、同定可能なパラメータも増やすことができ、例えば次のように、変速前後において、走行抵抗を同定することができる。
自動変速機の変速挙動(出力軸トルク、タービン回転の変化率等)に影響を及ぼすパラメータは複数ある。一般的に言えば、このパラメータの数に応じてセンサをつければ、各パラメータの値を知ることが可能である。しかし、現実にはセンサが取り付けられなかったり、コストの問題で、センサの数が制約を受ける。このため、全てのパラメータを把握するのは難しい。
しかし、変速中とその前後にフェーズを切り分け、このうち変速の前後に着目すると、クラッチが滑っていないのでクラッチμ値は影響しない。また、エンジンの遅角制御は、変速中以外に使用しないので、同定パラメータの数を限定して(クラッチμや遅角トルク値に関係なく)同定が可能となる。
一方、変速中においては、挙動が全てのパラメータの影響を受ける。このため、このフェーズのみで全パラメータを同定することは難しい。しかし、上述したように、変速前後では幾つかのパラメータ(例えば、ギヤ効率や走行抵抗)の同定が可能であり、変速中では、これらパラメータの変速前後の同定値を内挿して用いることができる。これにより、変速中に同定すべきパラメータの数が削減され、センサ数を増加しなくても、クラッチ摩擦μ、補正エンジントルク等の同定が可能となる。なお、補正エンジントルクとは、遅角制御を考慮したエンジントルクである。
このように、本実施形態では、精度の良いパラメータ同定が可能である。また、時系列的に変化するパラメータを対象として、センサの数以上のパラメータの同定が可能であるという効果が得られる。
「同定の手法」
上述のように、パラメータ同定の手法については、特開2008−9682号公報に記載されたものを採用することが可能である。
すなわち、自動変速機の回転系の運動方程式は、次のようになる。
また、センサ出力は、次のように表される。
残差モデルは、外乱あり(外乱数i=4)の場合、次のように表される。
この例では、外乱の種類i=4であり、上述の入力トルク、係合クラッチトルク容量、走行抵抗の3つともう1つの外乱(例えば、油圧系の時定数)が追加されたことを仮定している。また、出力はj=2であり、タービン回転数および出力トルクを対象としている。そして、4種類の外乱のそれぞれの2つの出力に対する影響を考慮する。すなわち、4つの変動が同時に起こりうるモデルになっている。例えば、タービン回転数について、ρ11,ρ12,ρ13,ρ14の4つの残差を考慮し、出力トルクについて、ρ21,ρ22,ρ23,ρ24の4つの残差を考慮する。
図14には、入力トルク、係合クラッチ容量、走行抵抗トルクの3つを同定する構成を示している。入力トルクについての外乱モデルは、5Nmであり、その大きさはv1であるため、入力トルクに対しては、v1・5Nmが入力トルクに加算されてギヤトレーンモデルに入力され、係合クラッチトルク容量に対しては、v2・0.05Nmが加算されてギヤトレーンモデルに入力され、走行抵抗に対しては、v3・5Nmが加算されてギヤトレーンモデルに入力されることになる。
なお、残差モデルρij
ρi1・V=ωt−ωtnominal、ρi2・V=To−Tonominal
のように定義される。
そして、このようなモデルを用い、例えば最尤推定によって各外乱モデルに対する大きさvを求め、各パラメータを同定する。
動力伝達系の構成を示す図である。 自動変速機の構成を示す図である。 実施形態の処理の手順を示すフローチャートである。 2速→3速シフト時のフェーズに分割を示す図である。 2速→3速シフト時の手順を示すフローチャートである。 初期状態合わせを示す図である。 2速時のギヤ効率の同定を示す図である。 誤差モデルの構成を示す図である。 2速→3速シフト時の同定結果を示す図である。 2速→3速シフト時の同定結果をギヤ効率を含め示した図である。 ギヤ効率を一定とした場合の2速→3速シフト時の同定結果を示した図である。 3速→2速シフト時のフェーズに分割を示す図である。 3速→2速シフト時の同定結果を示す図である。 モデル同定の構成を示す図である。
20 エンジン、21 トルクコンバータ、22 自動変速機、23 ディファレンシャルギヤ、24 タイヤ、26 油圧制御系、32 リニアソレノイド弁、34 オリフィス・流路、36 クラッチパック。

Claims (6)

  1. 自動変速機の変速動作をシミュレーションし、変速挙動に影響を及ぼすパラメータを同定する自動変速機のパラメータ同定装置であって、
    自動変速機における変速挙動を複数のフェーズに分け、少なくとも1つのフェーズにおけるパラメータの同定を時間的に前のフェーズのパラメータの同定に先立って行い、
    この同定によって得たパラメータの同定結果を時間的に前のフェーズのパラメータの同定の際に利用する、
    ことを特徴とする自動変速機のパラメータ同定装置。
  2. 請求項1に記載の自動変速機のパラメータ同定装置において、
    前記フェーズは、変速前、変速後、変速中のフェーズを含み、
    変速前フェーズ、変速後のフェーズ、変速中のフェーズの順にパラメータの同定を行うことを特徴とする自動変速機のパラメータ同定装置。
  3. 請求項2に記載の自動変速機のパラメータ同定装置において、
    アップシフトの場合に、
    変速開始前であるフェーズ1、
    変速中のイナーシャ相であるフェーズ2、
    変速中のトルク相であるフェーズ3、
    変速終了後であるフェーズ4、
    という4つのフェーズを含み、
    フェーズ1→フェーズ4→フェーズ2→フェーズ3の順番に、パラメータの同定を実行することを特徴とする自動変速機のパラメータ同定装置。
  4. 請求項2に記載の自動変速機のパラメータ同定装置において、
    ダウンシフトの場合に、
    変速開始前であるフェーズ1、
    変速中のトルク相であるフェーズ2、
    変速中のイナーシャ相であるフェーズ3、
    変速終了後であるフェーズ4、
    という4つのフェーズを含み、
    フェーズ1→フェーズ4→フェーズ2→フェーズ3の順番に、パラメータの同定を実行することを特徴とする自動変速機のパラメータ同定装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動変速機のパラメータ同定装置において、
    同定するパラメータは、クラッチの摩擦係数μ、非変速時におけるエンジントルク、変速時における補正エンジントルク、走行抵抗、トルク伝達ギヤにおけるギヤ効率の時系列的に変化するパラメータであり、これらのいずれか2つ、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする自動変速機のパラメータ同定装置。
  6. 自動変速機の変速動作をシミュレーションし、変速挙動に影響を及ぼすパラメータを同定する自動変速機のパラメータ同定プログラムであって、
    コンピュータに、
    自動変速機における変速挙動を複数のフェーズに分け、少なくとも1つのフェーズにおけるパラメータの同定を時間的に前のフェーズのパラメータの同定に先立って行わせ、
    この同定によって得たパラメータの同定結果を時間的に前のフェーズのパラメータの同定の際に利用させる、
    ことを特徴とする自動変速機のパラメータ同定プログラム。
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