JP4727427B2 - 寒天易溶化剤、低温易溶性寒天及び低温易溶性寒天が含まれた食品 - Google Patents
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Description
次に、これら実施例1乃至3に係る寒天易溶化剤を寒天に添加して、寒天が熱水に容易に溶解するかの確認を行なった。ゲル化により寒天分子がより疎水化して結晶性を持つと、光が透過するときに分子散乱して白濁化が生じるため、寒天の易溶化の確認は、寒天ゲルの透明度を確認することによって行なった。寒天としては、伊那寒天S−7(伊那食品工業製)を用い、寒天濃度3%、実施例1乃至3に係る寒天易溶化剤の濃度6%として水に溶解させて、20℃に冷却したゲルを吸光光度計(島津製作所製UVmini1240)を用いて660nmにて測定した。また、寒天易溶化剤の比較例1としてブドウ糖を用意し、同様の濃度で調整した寒天ゲルの透過度を測定し、さらに、寒天易溶化剤の比較例2として無添加の寒天ゲルの透過度を測定した。これらの結果を表1に示す。
次に、実施例1乃至3に係る寒天易溶化剤の他、実施例4乃至9に係る寒天易溶化剤として、DE9のデキストリン(実施例4、松谷化学株式会社製)、DE8の還元澱粉分解物(実施例5、松谷化学株式会社製)、DE3のデキストリン(実施例6、セレスター製)、イヌリン(実施例7、フジ日本精糖製)、トレハオース(実施例8、林原商事製)及び乳糖(実施例9、DSM製)を用意した。寒天(S−7、伊那食品工業製)とこれら実施例1乃至9に係る寒天易溶化剤を3:1、1:1、1:3の割合で混合し、寒天の濃度が5%となるように水に加熱溶解させた後、表面温度120℃のドラムドライヤーによって乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。また、寒天(S−7、伊那食品工業製)と比較例1に係るブドウ糖を3:1、1:1、1:3の割合で混合したものを同様に処理した寒天混合粉末を作製した。
次に、実験例2の寒天とは原料海藻の異なる寒天(M−7、伊那食品工業製)と実施例1乃至9に係る寒天易溶化剤を1:1、1:3の割合で混合し、寒天の濃度が5%となるように水に加熱溶解させた後、表面温度120℃のドラムドライヤーによって乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。また、比較例1に係るブドウ糖と寒天(M−7、伊那食品工業製)を1:1、1:3の割合で混合したものを同様に処理した寒天混合粉末を作製した。これら実施例1乃至9が添加された低温易溶性寒天、比較例1に係るブドウ糖が添加された寒天混合粉末並びに比較例2に係る無添加の寒天粉末について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製するとともに、寒天(M−7、伊那食品工業製)の完全溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。これらの結果を表3に示す。
次に、実施例10乃至16に係る寒天易溶化剤として表4に示すDEのデキストリン(いずれも松谷化学工業製)を用意した。これら実施例10乃至16に係る寒天易溶化剤7.5%と寒天(S−7、伊那食品工業製)5%を粉体混合し水に分散させた後に加熱溶解し、次いで表面温度120℃のドラムドライヤーによって乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。これら実施例10乃至16に係る寒天易溶化剤が添加された低温易溶性寒天について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製するとともに、寒天(S−7、伊那食品工業製)の完全溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。これらの結果を表4に示す。
次に、実施例17乃至19に係る寒天易溶化剤として、分子量の異なるデキストリンをそれぞれ異なる配合率でブレンドすることによって、表5に示す分子量分布の異なるDE10のデキストリンを調整した。これら実施例17乃至19に係る寒天易溶化剤5%と寒天(S−7、伊那食品工業製)5%を粉体混合し水に分散させた後に加熱溶解し、次いで表面温度120℃のドラムドライヤーによって乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。これら実施例17乃至19に係る寒天易溶化剤が添加された低温易溶性寒天について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製するとともに、寒天(S−7、伊那食品工業製)の完全溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。これらの結果を表5に示す。
次に、同じ原料で作製された分子量の異なる寒天をそれぞれ異なる配合比率でブレンドすることによって、表6に示す分子量分布の異なる寒天(寒天A乃至D)を調整した。これら寒天A乃至D5%と実施例3に係る寒天易溶化剤7.5%を粉体混合し水に分散させた後に加熱溶解し、次いで表面温度120℃のドラムドライヤーによって乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。これら寒天A乃至Dが添加された低温易溶性寒天について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製するとともに、寒天A乃至Dの完全溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。これらの結果を表6に示す。
次に、表7に示すように実施例20乃至22に係る寒天易溶化剤として原料の異なる3種類のデキストリンを用意した。すなわち実施例20に係る寒天易溶化剤としてタピオカ澱粉を原料とするDE5以下のデキストリン(松谷化学工業製)、実施例21に係る寒天易溶化剤としてワキシーコーンスターチを原料とするDE3のデキストリン(松谷化学工業製)及び実施例22に係る寒天易溶化剤として馬澱を原料とするDE3のデキストリン(セレスター製)を用意した。これら実施例20乃至22に係る寒天易溶化剤7.5%と寒天(S−7、伊那食品工業製)5%を粉体混合し水に分散させた後に加熱溶解し、次いで表面温度120℃のドラムドライヤーによって乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。これら実施例20乃至22に係る寒天易溶化剤が添加された低温易溶性寒天について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製するとともに、寒天(S−7、伊那食品工業製)の完全溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。これらの結果を表7に示す。
次に、実施例21に係る寒天易溶化剤と寒天(S−7、伊那食品工業製)を6:4の比率で混合した粉体を連続的に3/10倍量の水とともにエクストルーダーのシリンダ内に供給して加熱加圧処理を行なった。この加熱加圧処理された寒天混合物を乾燥し、粉砕して100メッシュの篩過することによって、低温易溶性寒天を得た。この実施例21に係る寒天易溶化剤が添加され、エクストルーダーによって加熱加圧処理された低温易溶性寒天について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製するとともに、寒天(S−7、伊那食品工業製)の完全溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。その結果、溶解率は89.3%であった。このようにエクストルーダーによって作製された低温易溶性寒天であっても、他の実験例におけるドラムドライヤーによって作製された低温易溶性寒天と同等の溶解率を得ることができた。
寒天(S−7、伊那食品工業製)にDEが3のデキストリン(松谷化学工業製)を対粉5%(実施例23)、10%(実施例24)、15%(実施例25)添加したものを粉体混合し、寒天の濃度が5%となるように水に加熱溶解させた後、表面温度120℃のドラムドライヤーを用いて乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。同様の寒天にDEが5未満の環状構造を有するデキストリン(江崎グリコ製)を対粉5%(実施例26)、10%(実施例27)、15%(実施例28)添加したものを混合し、寒天の濃度が5%となるように水に加熱溶解させた後、表面温度120℃のドラムドライヤーを用いて乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。同様に、寒天にイヌリンを対粉5%(実施例29)、10%(実施例30)、15%(実施例31)添加したものを混合し、寒天の濃度が5%となるように水に加熱溶解させた後、表面温度120℃のドラムドライヤーを用いて乾燥することによって、低温易溶性寒天の粉末を作製した。同様に寒天にDEが19のデキストリン(松谷化学工業製)を対粉5%(実施例32)、10%(実施例33)、15%(実施例34)添加したものを混合し、寒天の濃度が5%となるように水に加熱溶解させた後、表面温度120℃のドラムドライヤーを用いて乾燥することによって、寒天混合粉末を作製した。これらの低温易溶性寒天および寒天混合粉末について、実験例2と同様に60℃溶解ゼリーを作製し、次いで、ゼリー強度を測定し、溶解率を算出した。これらの結果を表8に示す。
Claims (6)
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DEが18以下であるデキストリン及びイヌリン、並びにこれらの糖アルコールのいずれか一以上を主成分とする寒天易溶化剤。 - 重量平均分子量/数平均分子量が20以下であることを特徴とする請求項1記載の寒天易溶化剤。
- 寒天と、請求項1又は2記載の寒天易溶化剤と、が含まれていることを特徴とする低温易溶性寒天。
- 前記寒天易溶化剤の含有量が50%以上であることを特徴とする請求項3記載の低温易溶性寒天。
- 前記寒天易溶化剤の含有量が5%以上であることを特徴とする請求項3記載の低温易溶性寒天。
- 請求項3乃至5いずれか記載の低温易溶性寒天が含まれたことを特徴とする食品。
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