電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置における現像方式には、トナーとキャリアを用いた2成分現像方式、キャリアを使用しない1成分現像方式、キャリアを用いてトナーを帯電させる2成分現像剤を使用し、現像ローラ上には帯電されたトナーのみを保持させて静電潜像を現像するようにした所謂ハイブリッド現像方式などがある。2成分現像方式は、キャリアによるトナーの帯電性に優れ、長寿命化が可能である反面、現像装置が大きく複雑になることや、キャリアの耐久性によって画質が変化するなどの欠点がある。また1成分現像方式は、現像装置がコンパクトになってドット再現性に優れているが、現像ローラ、補給ローラの耐久性が概して低く、定期的に現像装置を交換するため消耗品価格が高価になる。こうした双方の現像方式の特徴を生かし、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を使用し、感光体上に形成した静電潜像を現像するための現像ローラ上にはトナーのみを保持するようにした所謂ハイブリッド現像方式が注目され、特にこのハイブリッド現像方式は、高速の画像形成が可能な現像方式として、また感光体上に複数のカラー画像を順次形成する1ドラム色重ね方式用として、更には複数の電子写真プロセス部材を並べて配置し、転写部材の送りに同期させてカラ−画像を形成して転写部材上で色重ねを行うタンデム方式用の現像装置注目されてきている。しかも特にタンデム方式の場合には複数の電子写真プロセス部材を並べて配置するため、感光体に対して現像ローラや供給ローラ(磁気ローラ)を横に配置すると電子写真プロセス部材そのものの幅が大きくなり、小型化の妨げになる。そのため、電子写真プロセス部材を構成する現像ローラや磁気ローラを感光体の上方に配置して現像装置を縦型とし、画像形成装置の奥行きを狭められるようにすることが好ましい。ただしハイブリッド現像方式は、ドット再現性に優れて長寿命化、高速の画像形成が可能な方式ではあるが、現像ゴーストの発生やトナー粒度分布の変化に伴って現像剤中に微粉トナーが増え(選択現像)、この微粉トナーによるキャリア表面が汚染されて帯電量が低下し、現像装置からのトナーの飛散、現像ローラ上への微粉トナーの付着などの解決すべき課題も残っている。
なお、本明細書にいうハイブリッド現像方式とは、磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を使用し、トナーのみを磁気ローラから現像ローラへ供給して、現像ローラにより感光体上の静電潜像を現像する方式であり、現像ローラと感光体が接触しない現像方式である。
ところで、従来、非接触の1成分現像方式も検討されてきており、高速の画像形成が可能な現像方式として、特に感光体上に複数のカラー画像を順次形成する1ドラム色重ね方式用としても検討されてきた。この方式では、感光体上に正確にトナーを重ねることで色ズレの少ないカラー画像形成が可能であり、カラーの高画質化に対応する技術として注目されてきた。しかしながら、この1ドラム色重ね方式では、使用する色数分の現像装置を感光体の周りに配置せねばならないから、感光体が大型になり、画像形成装置の小型化の妨げになる。そのため、使用するトナーの色に対応した複数の電子写真プロセス部材を並べて配置し、転写部材の送りに同期させてカラ−画像を形成して転写部材上で色重ねを行うタンデム方式が注目されてきた。しかしながらこの方式では、高速性に優れている利点があるものの、各色の電子写真プロセス部材を並べて配置しなければならないために大型化する欠点を有していた。この対策として感光体同志の間隔を狭くし、小型化した画像形成ユニットを配置した小型タンデム型画像形成装置が提案されている。このように構成された小型のタンデム型画像形成装置においては、画像形成ユニットの幅方向のサイズを極小にするため、現像装置を縦型とすることが有利である。すなわち、感光体の上部方向に現像装置を配置することがレイアウト上望ましい。
この場合、仮に、従来の2成分現像方式を採用し、現像装置を縦型に配置するならば、現像剤の還流、すなわち現像剤攪拌部から感光体に近接した現像部材への供給が複雑になり、装置の小型化に限界が生じると共に感光体へのキャリアの付着、トナーの飛散が避けられないという間題があった。一方、接触現像方式として、キャリアを用いない1成分現像方式も提案されているが、現像ローラを感光体に接触する方式では感光体のトルク変動をきたし、タンデム型の弱点である色ずれを助長させてしまう欠点があった。また、感光体に非接触な方式では、トナーをチャージローラで帯電させ、弾性規制ブレードで現像ローラ上の層厚を規制していたため、長時間使用するとトナーの添加剤がチャ−ジローラに付着して帯電能力が低下したり、規制ブレードにトナーが付着し層形成が不均一になってしまい、画像欠陥をきたすことがあった。
そのため、これらの問題を解決する手段の一つとして、前記したハイブリッド現像方式が注目されてきた。すなわちハイブリッド現像方式では、現像ローラが感光体と非接触であるからトルク変動をきたすことがなく、ドット再現性に優れて長寿命化が可能な高速の画像形成装置が提供できるという利点がある。
ハイブリッド現像方式では、例えば、特許文献1に開示されているように、静電潜像担持体に対して非接触に設置したドナーローラ(現像ローラ)上に非磁性トナーで薄層を形成し、交流電界によって静電潜像担持体上の潜像に該トナーを飛翔させる。また、特許文献2には、磁気ローラを用いて現像剤をドナーローラに進ませ、このドナーローラ上にトナーを転移させてトナー層を形成する現像装置が示されている。しかしながら、特許文献1、2では、2成分現像剤を採用してドナーローラ上への薄層形成は可能なものの、トナーの帯電が高くなった場合にドナーローラ上のトナーの分離が困難になり、強い交流電界が必要とされる。この電界が静電潜像担持体上のトナー層を乱してしまうので、色重ねなどには間題を有していた。そのため、特許文献3には、ドナーローラと静電潜像担持体の間にワイヤからなる補助電極を設け、この補助電極に弱い交流電界を印加して現像されたトナーを乱さないようにした、いわゆるパウダークラウド現像法が開示されている。そして理論面では、非特許文献1で東芝(株)から、2成分現像剤を用いた現像ローラ上のトナー層の形成についての報告がなされ、特許文献4に特許としての出願がある。また、上記した従来の技術は、現像性の高いトナーの粗粉が選択的に静電潜像担持体に現像されやすく、連続印刷を行うと帯電性の高いトナーの微粉が現像スリーブに堆積して選択現像が起こりやすく、画像濃度の低下が生じる傾向があった。さらに、トナーの帯電制御が複雑で、静電潜像担持体に高い表面電位と大きな現像電界を印加することを必要としていた。そのため、現像ローラ上にトナーの消費領域と非消費領域とが生じると、その現像ローラ上におけるトナーの付着状態とトナーの電位差にばらつきが生じる関係から、前の現像画像の一部が次の現像時に残像(ゴースト)として現れる現象、いわゆる履歴現象が発生しやすいという不具合がある。さらに、高濃度の現像パターンを連続して印字した場合、描画後のトナーの需要と供給のバランスが悪く、現像ローラ上のトナー層形成が良好に行われず、画像濃度にムラが生じるなどの画像不均一性がおこりやすく、現像装置を小型化する場合の課題トナーっていた。これを防止し、現像ローラ上のトナーを確実に回収する方法として特許文献5には、専用の回収ローラを用いる提案がなされている。しかしながらこれらの方法は、複雑な機構が必要で小型の電子写真プロセスには実用化されていない。さらに磁気ブラシを用いた履歴現象の対応策として特許文献6に、磁気ローラの磁束密度の半値幅領域を広く設定することにより、現像ローラ上のトナーの回収と供給を図る提案がなされている。また、タンデム型の現像装置の制御方法として特許文献7には、転写工程を行っている画像形成部以外の画像形成部における現像装置の動作を停止させ、現像剤の劣化を防ぐようにした出願がなされている。また、ハイブリッド現像方式においては、選択現像による画像濃度低下、トナーを現像ローラに保持させたまま長時間放置することによる現像欠陥、画像劣化、現像ゴースト、トナー飛散、スリーブ付着などが生じるため、特許文献8(特許文献9)には、2成分現像剤による磁気ブラシを形成する磁気ローラと、この磁気ローラから供給されたトナーの薄層を担持するドナーローラ(現像ローラ)と、このドナーローラと静電潜像担持体との間に設けられた電極とを有し、この電極には直流と交流からなるバイアスを、現像ローラには直流バイアスを、そして磁気ローラにはスイッチで異極性となる電圧に切り替えられるようにした直流バイアスを印加するよう構成し、コピーとコピーの間や紙間を利用して、電位差で現像ローラ上のトナーを磁気ローラに回収することで、トナーの帯電を安定化させて上記問題点を解決するようにしたハイブリッド型現像装置が示されている。また、特許文献10には、前記特許文献8に示された現像ローラと静電潜像担持体との間に電極を設ける方式につき、電気的にバイアスされて張力のかかった電極線の振動による不均一な現像や、塵が瞬間的に電極に付着して現像ローラに条痕を生じさせる現象が生じるとして、電極を埋め込んだ現像ローラを用いたハイブリッド型現像装置が従来例として紹介され、さらにこの電極を埋め込んだ現像ローラを用いた場合でも、現像ローラ上に付着したキャリアの画像への付着、現像ローラに埋め込んだ電極が所定間隔を持っているため静電潜像担持体へのトナー供給効率が悪く、画像比率が高い画像を連続して現像処理した場合に画像抜けを生じる現象、磁気ローラと現像ローラへ印加する交番バイアスで選択現像が生じ、画質低下、濃度低下を生じる現象などを防止するため、現像スリーブ上に印加される交流成分を磁気ローラ側に引き戻すよう設定したハイブリッド型現像装置が示されている。
米国特許第3,866,574号公報
米国特許第3,929,098号公報
特開平3−113474号公報
特開昭59−121077号公報
特開2000−81788号公報
特開平7−128983号公報
特開昭63−249164号公報
特開平7−72733号公報
USP5,420,375号公報
特開2000−250294号公報
電子写真学会誌第19巻第2号(1981)第44「タッチダウン現像法」東芝(株)、保坂靖夫、米田等
しかしながら、前記特許文献3に記載されたパウダークラウド現像法は、補助電極のワイヤが非常に汚れやすく、また、振動による画像劣化等が発生するため、あまり一般的な方法とはなっていない。さらに特許文献5、特許文献6などに示された装置も、トナーの掻き取り装置や回収ローラの設置が必要であったり、特別な回収バイアスの印加などによってトナーのストレスが増し、トナーの耐久性能劣化の要因になったり、次の現像タイミングでの現像ローラの層形成に時間を要し、高速性を損なったりしていた。また長期使用時に、キャリアの耐久性能劣化によってトナーの帯電性が変化し、現像ローラ上のトナーの帯電特性が大きく変化して補給トナーや回収トナーの帯電の分布が広くなり、帯電不良によるトナーの飛散やカブリの原因になっていた。さらに劣化したキャリアの交換の煩わしさがあり、実用にはいたっていないのが実情である。また、タンデム型の現像装置の制御方法としての特許文献7に示された装置は、転写工程を行っている画像形成部以外の現像装置の動作を停止させたり、現像ローラと磁気ローラ間に印加する高圧を高周波数で切り替える装置や制御が必要であり、高価にならざるを得ないと共に、現像装置はドナーローラや磁気ローラ、及び撹拌部材を横に並べた構成となっており、小型化が難しいという欠点がある。また、特許文献8(特許文献9に開示された米国特許に対応する日本特許公開公報)、特許文献10に示された装置も、前記したパウダークラウド現像法であって、補助電極のワイヤが非常に汚れやすく、振動による画像劣化等が発生する。さらに特許文献10に示された装置も、現像ローラに電極を埋め込む必要があると共にこの電極にACとDCを重畳したバイアスを供給するためのブラシ電極が必要な複雑な構成であり、電極が周方向に断続していると共に、ブラシ電極が何らかの理由で汚れたり振動などでトナーが固着し、現像ローラの電極に接触できなくなると全くトナーの制御ができなくなる。
また、特に、特許文献8(特許文献9に開示された米国特許に対応する日本特許公開公報)では、その第6頁において、多数枚のコピー作業のコピーとコピーの間のコピー間ゾーンにほんの短時間、時期ローラと現像ローラ間の電圧及びその極性を変更してドナーローラ(現像ローラ)のトナーをクリーニングすることが開示されている。また、このようなコピー間ゾーンでは、ドナーローラからトナーを完全に取り除こうとするのではなく、いくらかのトナーを新しいトナーと取り替えるのでもよいことが開示されている。すなわち、コピーとコピーの間や紙間を利用して、電位差で現像ローラ上のトナーを磁気ローラに回収することで、トナーの帯電を安定化させ、選択現像による画像濃度低下、トナーを現像ローラに保持させたまま長時間放置することによる現像欠陥、画像劣化、現像ゴースト、トナー飛散、スリーブ付着などを防止しているが、このような現像システムにおいても、一枚印字する毎、若しくは数枚印字する毎に現像ローラ上のトナーを除去してトナー層を再形成すると、濃度低下も無く、均質な画像が得られるが、トナー層を除去しない場合は層形成が安定せず、濃度ダウンの問題が生じたりする。そしてこの現像システムでは、高速性に優れているとの利点があるものの、現像ローラ上に形成するトナー層を均一にしなければ均質な画像が得られない。
ところで、現像終了時毎に現像ローラからトナーを剥ぎ取れば、各コピー開始に先立って常にトナーがリフレッシュされるが、再度安定なトナー層を形成するのに時間を要するため、十分な印刷速度を達成できない。良好な印刷速度を維持するためには、用紙間隔を調整して一定期間に現像ローラ上のトナー層を剥ぎ取って再形成する時間を調整すればよい。用紙間隔を大きくしないで感光体上の潜像にフレッシュなトナーを供給するためには、感光体に対して現像ローラの周速を1.5倍以上に設定すると、短時間にトナーの出し入れが可能になることが経験上判明している。また、磁気ローラを現像ローラに対して1倍超で2倍以下の速度に設定しても、トナー層の入れ替えが促進され、現像工程が安定化されることも経験上判明している。
しかしながら、現像ローラ上のトナー層を磁気ローラの磁気ブラシ(磁気ローラ中の固定磁石により、磁性キャリアによって形成される穂状体)で剥ぎ取って除去するに際し、磁気ローラが1回転する時間よりも現像ローラが1回転する時間の方が長い場合、両ローラが1回転するのに要する時間の差分だけ磁気ローラは2回転目で現像ローラ上の残留トナー層を剥ぎ取ることになり、磁気ローラ上には一度剥ぎ取ったトナーの上にさらに剥ぎ取ったトナーが重ねられる。すなわち、前記したように磁気ローラを現像ローラに対して1倍超で2倍以下の周速度に設定すると、トナー層の入れ替えが促進されるが、剥ぎ取ったトナーは、剥ぎ取るための電位差と磁気ブラシの現像ローラへの接触により、磁気ブラシの根本(すなわち磁気ブラシの磁気ローラ側)に溜まるが、その上にさらにトナーを回収しようとした場合、根本に既に回収したトナーが存在するため、回収力が弱くなる。そのため、磁気ローラの1回転目と2回転目とではトナー層剥ぎ取り力に差が生じて現像ローラ上にトナーが残り、現像ローラへのトナー層再形成時、その部分だけ層厚が厚くなり、記録紙の先端部に引き剥がしたときのバイアスの履歴(引き剥がしムラ)が発生して均一画像が得られないという問題が発生する。この問題は、例えば充分なイメージ間(紙間)があれば引き剥がし後の薄層形成に時間を費やし、安定してから現像すればムラは低減するが、プリント速度の低下を招くので得策とは言い難い。
しかし、特許文献8(特許文献9に開示された米国特許に対応する日本特許公開公報)には、こういった現像ローラと磁気ローラのそれぞれ1回転する時間の差により、現像ローラ上のトナー層にムラが出ることについての解決方法は、記載されていないし、示唆されてもいない。
また、近年、カラーの高速化が進んでおり、さらに小型で高画質であることが要求されている。ハイブリッド現像では、キャリアを用いて、帯電したトナーを、磁気ローラから現像ローラに電圧を印加することによって、現像ローラ上にトナー層を均一に形成することによって高画質を実現している。しかしながら、この方式では連続して薄層形成を行うと、現像ローラにトナーが強固に付着してしまい、十分な画像濃度を得ることが出来なくなる場合がある。特に現像ローラ上トナーの入れ替わりが少ないトナー印字密度の低い画像データの印字や、トナーの帯電量が上昇しやすい低温低湿環境下で現像ローラへのトナーの付着力が増して発生しやすくなる。これらの付着は装置の印字速度が増すにつれ顕著になると考えられる。現像ローラへのトナー付着を防止するには、機械的に剥ぎ取る部材を設けたり、剥ぎ取り専用の磁気ローラ等を設けたりすることで解消することが出来ると思われるが、装置の大きさやコスト面から考えると決して得策であるとは言えない。
そこで、本発明では、現像装置を複雑にすることなく、また、プリント速度の低下を招くことなく、長期にわたって現像ローラ上のトナー層厚を常に安定させ、濃度変化のない安定した画像を維持するための画像形成方法を提供することを課題としおり、特別な部材等を新たに設けることなく解消する高速で小型のハイブリッド現像装置を提供することを課題としている。
本発明では、現像ローラより磁気ローラの回転数を高くして、トナーの入れ替えを促進するとともに、用紙間時間間隔(コピー間の非現像時間帯)を磁気ローラの回転1周期として連続高速コピーを可能とする。
その場合、用紙間時間間隔(磁気ローラの回転1周期)を経過すれば次のコピーが始まるが、そのままでは、現像ローラ上には前のコピー時のトナー層が残留している。この残留トナー層は、前のコピーに置ける静電潜像に対応して像様に変化したものであり、像様に変化したトナー層で次の静電潜像を現像すれば、コピーにおいて不自然な濃度ムラが生じる。そこで、本発明では、像様残留トナー層上に適切な厚さのトナー層を付与して、次コピーに置ける不自然な濃度ムラが生じないようにするため、用紙間時間間隔が経過してから現像ローラの回転1周期完了時刻に至るまでは、磁気ローラの電圧を上昇させる。この磁気ローラの電圧上昇分を最適化することにより、トナーの不足した部分にトナーが補給されて次コピーでの白ぬけを防止する。なお、前コピーでトナーが消費されなかった部分にはさらに余分にトナーが補給されることになるが、当該余分なトナーによっても、次コピーでの最大濃度が変化しないように(黒筋が発生しないように)磁気ローラの電圧上昇分が最適化される。
具体的には、上記の課題を解決するための画像形成方法の第1の手段は、トナーの薄層を表面に形成する現像ローラと、磁性キャリアにより上記トナーを上記現像ローラに供給する磁気ローラとを使用し、静電潜像を上記現像ローラにより次々に現像して用紙上に画像形成を行なう画像形成方法において、該画像形成工程間の時間間隔を上記磁気ローラの回転1周期に等しく設定して第1所定時間間隔とするとともに、上記磁気ローラの回転1周期を上記現像ローラの回転1周期より短く設定する工程と、上記第1所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を該画像形成工程における印加電圧から変化させる工程と、
上記第1所定時間間隔に引き続く第2所定時間間隔であって、上記現像ローラの回転1周期から上記磁気ローラの回転1周期を減算した結果である上記第2所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧をさらに変化させる工程とを含み、前記第1所定時間間隔では現像ローラから磁気ローラへ前記トナーを移動させる電位差で、前記第2所定時間間隔で磁気ローラから現像ローラへ前記トナーを移動させる電位差は、前記画像形成工程における電位差より小さいことである。
第2の手段は、第1の手段において、上記用紙上への上記画像形成工程中に、上記磁気ローラ印加電圧を第1電圧に保持する第1工程と、上記第1所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を第2電圧に保持する第2工程と、上記第2所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を第3電圧に保持する第3工程とを含み、上記現像ローラ印加電圧は、一定直流バイアス電圧を含む交流電圧であり、上記磁気ローラ印加電圧は、直流電圧であり、上記一定直流バイアス電圧、上記第1及び第3電圧は、正電圧であり、上記一定直流バイアス電圧、上記第2及び第3電圧は、上記第1電圧より低く、上記第2電圧は、上記一定直流バイアス電圧より低く、上記第3電圧は、上記一定直流バイアス電圧より高いとすることである。
第3の手段は、第2の手段において、上記第2電圧はゼロ・ボルトであるとすることである。
第4の手段は、第1の手段において、上記用紙上への上記画像形成工程中に、上記磁気ローラ印加電圧を第1電圧に保持する第1工程と、上記第1所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を第2電圧に保持する第2工程と、上記第2所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を第3電圧に保持する第3工程とを含み、上記現像ローラ印加電圧は、一定直流バイアス電圧を含む交流電圧であり、上記磁気ローラ印加電圧は、直流電圧であり、上記一定直流電圧、上記第1及び第3電圧は、負電圧であり、上記一定直流バイアス電圧、上記第2及び第3電圧は、上記第1電圧より高く、上記第2電圧は、上記一定直流バイアス電圧より高く、上記第3電圧は、上記一定直流バイアス電圧より低いとすることである。
第5の手段は、第4の手段において、上記第2電圧はゼロ・ボルトであるとすることである。
本発明によれば、現像装置を複雑にすることなく、また、プリント速度の低下を招くことなく、長期にわたって現像ローラ上のトナー層厚を常に安定させ、濃度変化のない安定した画像を維持するための画像形成方法を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本実施形態の画像形成方法に使用する現像装置の概念図である。
磁気ローラ1は、公知のとおり、回転円筒と、その内側に固定された永久磁石からなる。したがって、回転円筒表面には、永久磁石の磁力により、磁性キャリアが穂状に立ち上がる磁気ブラシが形成され、その磁気ブラシにトナーが付着する。また、図示しない攪拌手段によってトナー5が帯電される。そして、磁気ローラ1上の磁気ブラシは規制ブレード9によって穂の高さが規制され、磁気ローラ1に加えられた直流電圧Vdc2と、現像ローラ2に加えられた一定直流バイアス電圧Vdc1及び交流電圧Vacによって、現像ローラ2にトナー5のみの薄層6を形成する。このトナー層6により、感光体3上の静電潜像が現像される。
現像ローラ2の最表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成する。そしてそのシャフト部には、一定直流バイアス電圧Vdc1、交流電圧Vacが印加され、回転する現像ローラ2と感光体3、及び磁気ローラ1との間にこの直流と交流を重畳した電圧が作用するようにする。そして、この交流成分は、デューティ(Duty)比を50%以下の矩形波で構成する。本発明においては、一例として、一定直流バイアス電圧Vdc1を100V、交流電圧VacをVppが1.5kV、周波数3.0kHz、デューティ(Duty)比30%に設定した。このように一定直流バイアス電圧Vdc1と交流電圧Vacを現像ローラ2に直接印加することによって、現像時に現像ローラ2と感光体3、及び、磁気ローラ1との間に鋭いバイアス成分を印加することができ、現像開始時のトナー層形成の反応を良くすることができる。また、感光体3上の静電潜像に対して良好な現像性を付与するとともに、磁気ローラ1に対してのトナー層6の回収性が高まり、連続印字の安定性が改善される。感光体3と現像ローラ2との間隔は、一例として、約250μmとしてこの間にワイヤ電極等は用いない。
感光体(静電潜像担持体)3の材料としては、アモルファスシリコン(a−Si)感光体、有機感光体(OPC)などを用いることができる。正帯電有機感光体(正OPC)は、オゾンなどの発生が少なくて帯電が安定しており、特に単層構造の正帯電有機感光体は、長期にわたる使用によって膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適である。そして、正帯電有機感光体を長寿命のシステムに用いる場合、膜厚を20μmから40μm程度に設定することが好ましい。20μm以下の場合は、膜厚が減少して10μm程度になったときに絶縁破壊によって黒点の発生が目だってくる。また、40μm以上とした場合は感度が低下し、画像濃度低下の要因となる。
キャリア4としては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライトなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。本発明では一例として、体積固有抵抗が108Ωcmにシリコーン樹脂被覆をし、飽和磁化が40emu/g、平均粒径35μmのフェライトキャリアを用いた。平均粒度が50μmを超えるとキャリアのストレスが増大すると共にトナー濃度を上げられず、現像ローラ2へのトナー供給量が減少する。
トナー5は、選択現像性を回避するために粒度分布を規定することが重要である。一般的に、トナーの粒度分布の広がりはコールターカウンターで測定され、粒度分布の広がりは、その体積分布平均粒径と個数分布平均粒径の比でもって表現される。選択現像を防止するためにはその比率を小さくすることが重要である。分布が広いと、連続印刷時に現像ローラ2に比較的粒度の小さなトナーが堆積し、現像性を低下させる。本発明においては、正帯電のトナーを用いる場合を一例として説明するが、上記したバイアスとの関係を逆にすることで、負帯電のトナーを用いた場合でも同様に構成できることは自明である。なお、トナー5とキャリア4の混合割合は、キャリア4およびトナー5の合計量に対しトナー5を5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%とする。トナー5の混合割合が5重量%未満であると、トナーの帯電量が高くなって十分な画像濃度が得られなくなり、20重量%を超えると今度は十分な帯電量が得られなくなるため、トナー5が現像器から飛散して画像形成装置内を汚染したり、画像上にトナーカブリが生じる。
トナー層6の飽和トナー量は、直流電圧Vdc2と一定直流電圧バイアスVdc1の差によって決定される。一定直流バイアス電圧Vdc1を150V、直流電圧Vdc2を400Vに設定すると、現像ローラの2周目で約1.0mg/cm2のトナー層が得られる。トナー層6の厚さの調整は、基本的には|Vdc2−Vdc1|の電位差によって得られるが、トナーの帯電量や磁気ローラの磁極の強さなどの要因も寄与する場合がある。トナー層6の厚さは、直流電圧Vdc2の値を画像データによって変化させると均一な画像を得ることができる。高濃度印刷を連続して行う場合には、|Vdc2−Vdc1|の値を少し高めに設定すると有利である。トナー層6が0.5mg/cm2以下と薄すぎると高濃度画像が連続した場合の濃度の追随性が低下し、画像ムラが発生しやすくなり、トナー層が1.5mg/cm2を超えて厚すぎると現像ゴーストが目立ち、トナー飛散が目立つ傾向がある。トナー層6の厚さは、トナーの帯電量によっても左右され、トナー帯電量が10μC/g以下、特に5μC/g以下と低いとトナー層厚が厚くなり、飛散が増大する。一方、トナー帯電量が20μC/g以上になるとトナー層厚が薄くなり、帯電が上昇してトナーの現像性が低下する。
上述した現像装置により、連続印刷での画像濃度を安定させるためには、印刷データによって定期的に現像ローラ2からトナー層6を剥ぎ取り、リフレッシュする必要がある。これは、現像終了時に交流電圧Vacを印加したまま、直流電圧Vdc2を変化させて現像ローラ上のトナー層6を磁気ブラシに回収する剥ぎ取り工程を実施する。そしてその後、現像ローラ2上にトナー層6を再形成するトナー層再形成工程を実施するが、この剥ぎ取り工程と再形成工程を現像終了時毎に実施すれば、現像ローラ2は常にリフレッシュされるが、再度安定なトナー層を形成するのに時間を要し、十分な印刷速度を達成できない。良好な印刷速度を維持するためには、用紙間隔を調整して一定期間に現像ローラ2上のトナー層6を出し入れする時間を調整すればよい。用紙間隔を大きくしないで感光体3上の潜像に十分なトナーを供給するためには、感光体3に対して現像ローラ2の周速を1.5倍以上に設定すると、短時間にトナーの出し入れが可能になる。また、磁気ローラ1を現像ローラ2に対して1超2倍以下の速度に設定すると、トナー層6の入れ替えが促進される。この時、磁気ローラ1の回転方向が現像ローラ2に対して逆方向であることが好ましい。
図2は、紙間時間間隔を含む現像ローラ回転1周期内での磁気ローラ印加電圧を示すタイミングチャートである。
引き続くコピー間(イメージ(n枚目)とイメージ((n+1)枚目の間)で、現像ローラ2の直流バイアス電圧Vdc1及び交流電圧波形Vacは一定であり、磁気ローラ1の印加電圧Vdc2は変化する。本実施形態では、現像ローラ2より磁気ローラ1の回転数を高くして、トナー5の入れ替えを促進するとともに、用紙間時間間隔(コピー間の非現像時間帯B)を磁気ローラ1の回転1周期として連続高速コピーを可能とする。その場合、用紙間時間間隔B(磁気ローラ1の回転1周期)を経過すれば次のコピーが始まるが、そのままでは、現像ローラ2上には前のコピー時のトナー層6が残留している。この残留トナー層6は、前のコピーにおける静電潜像に対応し、原稿画像に応じて像様に変化したものであり、像様に変化したトナー層6で次の静電潜像を現像すれば、コピーにおいて不自然な濃度ムラが生じる。一般に、このような不自然な濃度ムラ、白抜け、黒帯は、トナーを引き剥がした部分と残留トナー層との間での層形成の違いによるものである。そこで、本実施形態では、像様残留トナー層6上に適切な厚さのトナー層6を付加して、次コピーにおける不自然な濃度ムラが生じないようにするため、用紙間時間間隔Bが経過してから現像ローラ2の回転1周期完了時刻に至るまでの時間帯Cでは、磁気ローラ1の電圧を中間バイアスへ上昇させる。この磁気ローラ1の電圧上昇分である中間バイアスを最適化することにより、トナー5が消費された部分にトナーが補給されて次コピーでの白ぬけを防止する。なお、前コピーでトナー5が消費されなかった部分にはさらに余分にトナー5が補給されることになるが、当該余分なトナー5によっても、次コピーでの最大濃度が変化しないように(黒筋が発生しないように)磁気ローラ1の中間バイアスが最適化される。
このように、本実施形態の画像形成方法は、トナーの薄層6を表面に形成する現像ローラ2と、磁性キャリア4により上記トナー5を上記現像ローラ2に供給する磁気ローラ1とを使用し、静電潜像を上記現像ローラ2により次々に現像して用紙上に画像形成を行なう画像形成方法であり、該画像形成工程間の時間間隔を上記磁気ローラ1の回転1周期に等しく設定して第1所定時間間隔(時間帯B)とするとともに、上記磁気ローラ1の回転1周期(時間帯B)を上記現像ローラ2の回転1周期より短く設定する工程と、上記第1所定時間間隔(時間帯B)において、上記磁気ローラ印加電圧Vdc2を該画像形成工程における印加電圧から変化させる工程と、上記第1所定時間間隔(時間帯B)に引き続く第2所定時間間隔(時間帯C)であって、上記現像ローラの回転1周期(時間帯A)から上記磁気ローラの回転1周期(時間帯B)を減算した結果である上記第2所定時間間隔(時間帯C)において、上記磁気ローラ印加電圧をさらに変化させる工程とを含む。
具体的には、本実施形態の画像形成方法は、上記用紙上への上記画像形成工程中に、上記磁気ローラ印加電圧を第1電圧に保持する第1工程と、上記第1所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を第2電圧に保持する第2工程と、上記第2所定時間間隔において、上記磁気ローラ印加電圧を第3電圧に保持する第3工程とを含み、上記現像ローラ印加電圧は、一定直流バイアス電圧を含む交流電圧(Vac+Vdc1)であり、上記磁気ローラ印加電圧は、直流電圧Vdc2であり、上記一定直流バイアス電圧Vdc1、上記第1及び第3電圧は、正電圧であり、上記一定直流バイアス電圧Vdc1、上記第2及び第3電圧は、上記第1電圧より低く、上記第2電圧は、上記一定直流バイアス電圧Vdc1より低く、上記第3電圧は、上記一定直流バイアス電圧Vdc1より高い。なお、上記第2電圧はゼロ・ボルトであってもよい。
また、上記一定直流電圧Vdc1、上記第1及び第3電圧は、負電圧としてもよい。その場合、上記一定直流バイアス電圧Vdc1、上記第2及び第3電圧は、上記第1電圧より高く、上記第2電圧は、上記一定直流バイアス電圧Vdc1より高く、上記第3電圧は、上記一定直流バイアス電圧Vdc1より低い。なお、上記第2電圧はゼロ・ボルトであることを特徴とする。
図3は、コピー間でのトナー5が引き剥がされる領域の位相変化を示すタイミングチャートである。
n枚目イメージと(n+1)枚目イメージの間では時間帯Cでトナー5を磁気ローラ1に引き戻さなかった領域Rが現像ローラ2上に発生する。しかし、磁気ローラ1と現像ローラ2の回転位相差が特定のものとすると(例えば、時間帯Bと時間帯Cのそれぞれの時間間隔の比が2対1であるとすると)、この領域Rのトナー5は、(n+1)枚目イメージと(n+2)枚目イメージの間では時間帯Bに入り、磁気ローラ1へ回収される。同様に、この領域Rのトナー5は、(n+2)枚目イメージと(n+3)枚目イメージの間でも時間帯Bに入り、磁気ローラ1へ回収される。このように、領域Rのトナー5は、2回の回収により、n枚目イメージの残留像様分布が解消される。したがって、連続多数枚コピー時で各コピー間のコピー濃度は平均化され、白ぬけや黒筋が発生することはない。なお、イメージ部分にイメージ間をプラスした合計長さが、現像ローラ1の1周長さの整数倍になっているとすると、残留像様分布が現像ローラの同じ位置で重なるようになってしまうため、イメージ部分プラスイメージ間の合計長さが、現像ローラ1の1周長さの整数倍にならないようにする方がよい。
図4は、本実施形態の画像形成方法に使用する画像形成装置の一例の概念図である。
まず、画像形成装置の構成について説明する。
この画像形成装置20では、無端状ベルト54が、給紙カセット53からの記録紙を定着装置59に向かって搬送可能に配設されており、記録紙を搬送するベルト54の上側には、ブラック用現像装置50A、イエロー用現像装置50B、シアン用現像装置50C及びマゼンタ用現像装置50Dが配設されている。そしてこれらの現像装置50(A、B、C、D)には、それぞれ磁気ローラ1(A、B、C、D)、該磁気ローラ1(A、B、C、D)に近接して現像ローラ2(A、B、C、D)が配設され、該現像ローラ2に対面して感光体3(A、B、C、D)が、さらにこの感光体3の周囲には、帯電器56(A、B、C、D)及び露光装置57(A、B、C、D)が配置されている。
次に、画像形成装置20の動作について説明する。
上述のように構成したハイブリッド型現像装置を有するタンデム型画像形成装置において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックなどのそれぞれの色に対応したトナー5とキャリア4からなる2成分現像剤は、現像剤容器からそれぞれの現像装置50に供給され、磁気ローラ1上に磁気ブラシを形成し、攪拌によってトナー5が帯電される。そして、磁気ローラ1上の磁気ブラシは規制ブレード9によって層規制され、磁気ローラ1に加えられた直流電圧Vdc2と現像ローラ2に加えられた一定直流バイアス電圧Vdc1間の電位差及び交流電圧Vacによって現像ローラ2にトナー5のみの薄層6を形成する。
そして、図示していない制御回路からプリント開始信号が来ると、まず、帯電器56によって正帯電有機感光体(正OPC)で構成された感光体3が例えば400Vに帯電され、その後、例えば770nmの波長のLEDを用いた露光装置57による露光により、感光体3の露光後電位は約70Vになって潜像が形成される。そしてこの潜像は、現像ローラ2に加えられた一定直流バイアス電圧Vdc1と交流電圧Vacにより、現像ローラ2上のトナー層6から感光体3に飛翔したトナーで現像され、トナー像が形成される。そして記録紙が、給紙カセット53から送りだされてベルト54で送られ、その記録紙が感光体3に達したとき、転写装置58(A、B、C、D)による転写バイアスが印加されて記録紙にトナー像が転写され、定着装置59で定着されて排紙される。
その後、上記したように、印刷データによって定期的に、交流電圧Vacを印加したまま、直流電圧Vdc2を変化させて現像ローラ上のトナー層6を磁気ブラシに回収するトナー剥ぎ取り工程と、その後のトナー層再形成工程を実施する。
露光装置57は、半導体レーザ、もしくはLEDを用いることができる。正帯電有機感光体を用いた場合は770nm付近の波長が有効であり、アモルファスシリコン感光体の場合は685nm付近の波長が有効である。正帯電有機感光体(正OPC)を用いた場合、オゾンなどの発生が少なく帯電が安定しており、特に単層構造の正OPCは長期にわたって使用し膜厚が変化した場合においても、感光特性に変化が少なく画質も安定するため、長寿命のシステムには最適である。この他にa−Si感光体を用いることも同様に可能である。長寿命のシステムに用いる場合、正OPCの膜厚を20μmから40μm程度に設定する。20μm以下の場合、膜が減少し10μmに達すると絶縁破壊によって黒点の発生が目だってくる。また、40μm以上に膜厚が厚いと感度が低下し画像低下の要因となる。露光装置11は半導体レーザもしくはLEDを用いたシステムが考えられる。正OPCに対しては770nm付近の波長が有効であり、a−Si感光体では685nm付近の波長が有効である。
帯電器12によって静電潜像担持体である正OPC3を400Vに帯電する。その後、770nmの波長のLEDによって露光を行うと露光後電位は70Vに設定される。正OPC3は現像ローラ2に対し、約250μmの空間をもって配置される。この空間にはワイヤ電極等は用いない。現像ローラ2の表面は導電性のアルミニュウムからなる回転体である。回転体の材質としては均一な導電体であれば良く、SUS、導電樹脂被覆、などが適用できる。この導電性回転体には直流電圧Vdc1、交流電圧Vacが重畳され印加される。Vdc1は、例えば、100vであり、Vacは、例えば、Vppが1.5kv、周波数3.0KHz、Duty30%である。交流成分の波形は矩形波が好ましい。これらの重畳されたバイアスを導電性回転体に印加することで、静電潜像担持体3の潜像に対し良好な現像性と共に、磁気ローラ1に対してのトナー層6の回収性が高まり、連続印字の安定性が改善される。連続印字での画像濃度を安定させるためには、定期的に現像ローラからトナーを剥ぎ取り、リフレッシュする必要がある。
用紙間隔を大きくせず、感光体3の潜像に十分なトナー5を供給するためには感光体3に対し、現像ローラ1の周速を1.5倍以上に設定すると、短時間にトナー5の出し入れが可能になる。また、磁気ローラ1を現像ローラ2に対し1〜2倍の速度に設定するとトナー5の入れ替えが促進される。この時、磁気ローラ1の回転方向が現像ローラ2に対し逆方向である方が好ましい。
現像ローラ2上のトナー層6を入れ替えるには、現像終了時に交流(Vac+Vdc1)を印加された状態で、磁気ローラ1の直流電圧Vdc2を変化させて現像ローラ2のトナー層6を磁気ローラ1上の磁気ブラシに回収する。
トナー層6の飽和トナー量はVdc2とVdc1の差によって決定される。Vdc1を150V、Vdc2の値を400Vに設定すると、現像ローラ2周目で約1.0mg/cm2のトナー層が得られる。トナー層の調整は基本的には(Vdc2−Vdc1)によって得られるが、トナーの帯電量や磁気ローラの磁極の強さなどの要因も寄与する場合がある。トナー層の可変はVdc2の値を画像データによって行われ、これによると均一な濃度の画像を得ることができる。高濃度印刷を連続して行う場合には、(Vdc2−Vdc1)の値を少し高めに設定すると有利である。トナー層6が0.5mg/cm2以下と薄すぎると高濃度画像が連続した場合の濃度の追随性が低下し、画像ムラが発生しやすくなる。また、トナー層6が1.5mg/cm2を超えて厚すぎると現像ゴーストが目立ち、トナー飛散が目立つ傾向がある。トナー層厚はトナーの帯電量によっても左右され、トナー帯電量が10μC/g以下、特に5μC/g以下と低いとトナー層厚が厚くなり、飛散が増大する。一方、トナー帯電量が20μC/g以上になるとトナー層厚が薄くなり、帯電が上昇しトナー5の現像性が低下する。
現像ローラ2のトナー層6は、磁気ローラ1に保持された磁気ブラシによって回収され、新たな現像剤が規制ブレード9を通って現像ローラ2に運ばれる。
図5は、本実施形態の画像形成方法による実施例を示す表である。
本実施例においては、感光体3には正帯電OPCを用いた。画像評価にあたって画像濃淡差が目立ちやすいように50%のハーフトーンを連続印刷し、その画像濃度のムラを確認した。この時の現像ローラ2と磁気ローラ1の外径はそれぞれφ16mmの素管を用い、またその線速比は1.5倍となるように設定した。さらに、現像ローラ2に印加する一定直流バイアス電圧Vdc1は100Vに固定して画像評価を行った。
比較例1では、中間バイアスVdc2を0Vに設定しており、連続印刷時の2枚目以降の用紙先端部分に白抜けが2周以上発生した。その理由は、磁気ローラ1に回収されずに残留した像様に厚さが変化したトナー層6中でトナー5が既に消費された部分へのフレッシュなトナー5の補給が不充分だったためである。
比較例2と比較例3では、中間バイアスVdc2を、それぞれ50V、100Vに設定しており、現像ローラ1周分だけ白抜けが発生した。その理由は、磁気ローラ1周分のトナー層6厚さが充分平均化されなかったためである。
実施例1と実施例2では、中間バイアスVdc2を、それぞれ150V、200Vに設定しており、白抜けも黒筋も認められなかった。その理由は、磁気ローラ1に回収されずに残留した像様トナー層6中でトナー5が既に消費された部分へのフレッシュなトナー5の補給が充分であったためであるとともに、磁気ローラ1周分のトナー層6厚さが充分平均化されたためである。
比較例4では、中間バイアスVdc2を、250Vに設定しており、白抜けは認められなかったが、黒筋の発生が認められた。黒筋は時間帯C(図2)に対応する個所で発生した。その理由は、磁気ローラ1に回収されずに残留した像様トナー層6中でトナー5が既に消費された部分へのフレッシュなトナー5の補給は充分であったものの、トナー5が消費されなかった部分へのトナー補給が過剰になされたためである。
このように、本実施例によれば、磁気ローラ2の中間バイアスVdc2を、150Vから200Vの間に設定すれば、白抜けも黒筋も発生せず、連続コピー時の濃度が均一となった。しかも、コピー間隔は、磁気ロール1の回転1周期に設定されているため、従来と比較して、さらに高速で連続コピーを行なうことができた。
本発明は、以上説明した本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態では、現像ローラ印加電圧を一定として磁気ローラ印加電圧を変化させたが、これに限らず、第1及び又は第2所定時間間隔において、現像ローラ印加電圧及び又は磁気ローラ印加電圧を変化させてもよい。特に、第1所定時間間隔において、現像ローラ印加電圧及び磁気ローラ印加電圧をともに変化させてもよい。