JP4725366B2 - 冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、340MPa以上の引張強度を有する冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板ならびにそれらの製造方法に関する。特に、本発明は、サイドパネル等の自動車外板パネルに適した強度340MPa級以上の高強度亜鉛系めっき鋼板、冷延鋼板およびその製造方法に関する。
自動車の高強度軽量化のニーズを受けて、自動車の外板等に適用される鋼板には、強度と合わせて成形性、耐二次加工脆性、表面性状などの特性が求められている。成形性に対してはr値が高いことや降伏強度(YS)が低いことが効果的である。近年は高強度鋼板に対しても成形性向上の要求が高い。高いr値を得るためには、C濃度30ppm程度以下の極炭素鋼をベースとしてTi、Nbなどの炭窒化物生成元素を添加することが有効であり、一般的にIF鋼として広く用いられている。
しかし、IF鋼は結晶粒が粗大になりやすいため、r値を向上させるために焼鈍温度を高温とした場合に、プレス後に肌荒れが生じて表面性状が劣化する場合がある。また、熱延鋼板の微細化に適した鋼材組成の検討が不十分なこともあって、冷間圧延、焼鈍後のr値の改善は難しかった。
一方、高いr値を備えるとともに高い強度を備える鋼板として、IF鋼をベースとしてMn、Pなどの固溶強化元素を添加した鋼板が開発されている。しかし、固溶強化元素は一般に高価であり、鋼板のコストアップを招くため、特許文献1には、固溶強化元素を削減する目的でNbCやTiCで析出強化する技術が開示されている。
しかしながら、TiCはAr点以上の高温で生成するため、析出物のサイズが大きく、熱延鋼板組織の微細化によるr値向上の効果や、冷延鋼板組織の微細化による析出強化や表面性状改善の効果は小さい。
また、TiとNbとを複合添加すると、冷却中にCがTiCとして高温で先に析出してしまうことにより、NbC微細析出物の生成が不十分となる場合がある。従って、Nbを単独添加した場合における特有のNbCの微細析出の効果による表面性状とプレス成形性に優れた鋼板を製造する技術は十分には確立されていなかった。
さらに、鋼中にTiを含有したものを母材として溶融亜鉛めっきを施した場合には、鋼板表面にすじ状のめっきムラが発生するため、自動車外板用として用いる場合に支障を来たす場合があった。
特許文献2では、上記問題の解決を目的に、C:0.0040〜0.01%を含有する鋼板にNbを適正に添加することにより、NbCの微細析出物を生成させて組織の細粒化を図り、表面性状、機械特性を向上させる鋼板が開示されている。
しかし、サイドパネル、ドア、フード、ルーフ等自動車外板パネルへの適用を考慮すると、しわや面歪みが顕在化しやすいものであり、また伸びが低く、耐二次加工脆性も十分ではなかった。
特開平10−46289号公報 特開2000−303145号公報
上述したように、従来は、強度、成形性、耐二次加工脆性及び表面性状(耐肌荒れ性、めっきムラ性)の全てを満足する高品質の冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板はなかった。したがって、本発明は、フード、ドア、フェンダー、サイドパネル等の自動車外板パネルに要求される高プレス成形性を備え、優れた耐肌荒れ性を有し、めっき鋼板でのすじ模様欠陥や冷延鋼板での外観不良が生じない優れた表面性状を呈するTS340MPa級以上の高強度冷延鋼板、その亜鉛めっき鋼板およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、まず、サイドパネル、フード、ドア、フェンダー等の自動車外板パネルに要求される高プレス成形性に関して検討を行った。
これら用途に供するブランク材は、鋼板からプレス加工で製造される自動車部品のなかでも最大クラスのサイズであるため、小物部品のようなスリットコイルからではなく、コイル幅のまま、それも最大クラスの広幅コイルから、ほぼ長方形にブランクカットしたものを若干トリムしてプレスに供されるものである。
本発明者らは、例えば、サイドパネルならば、しわや割れが発生し易い部分となるフロントドア、リアドア開口部の4隅のコーナーが鋼板の圧延方向に対し45°方向に位置することや、フード、ドア、フェンダーも、4隅のコーナー部近辺が、しわや割れが発生し易い部分であり、その位置がコイル圧延方向に対し45°方向に位置することに着目した。
図1は、鋼板ブランク材からプレス成形するサイドパネルの方向を示す平面図であり、図示のサイドパネルばかりでなく、ドア、フード、ルーフ等自動車外板パネルは、大型かつ概ね長方形の鋼板ブランク材を用いるため、通常、鋼板コイルに対して0°又は90°方向に板取りされる。
その結果、鋼板の45°方向がプレス時の、割れやしわ危険位置に合致する。
そして、鋼板における機械特性の面内異方性に起因して、圧延方向に対して45°方向の機械特性が0°方向や90°方向より著しく劣ると、プレス成形に際して割れやしわなどのプレス不具合が生じ易くなることから、45°方向の機械特性を向上させて、成形難易度が高く、しわや割れが発生し易いサイドパネル、フード、ドア、フェンダー等のコーナー部における成形性を向上させることにより、鋼板全体についての過剰な高成形性を要求することなしに、斯かる大型プレス加工用に適した鋼板を得ることを着想した。
そこで、本発明者らは、圧延方向に対して45°方向の機械特性が優れ、かつ0°、45°、90°方向のうち、最も低いr値の値を1.0以上とすることにより、プレス成形性が良好な、自動車のサイドパネル、フード、ドア、フェンダー等の大型プレス部品の成形に最適な鋼板が得られることを着想した。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋼組成、製造条件について鋭意検討を行い、C含有量を0.0005〜0.0040%に制御し、かつ、NbとTiのバランスを最適化することにより、NbCの微細析出効果により、熱延鋼板の結晶粒径を微細化させ、r値を向上させるとともに、プレス成形時の耐肌荒れ性を改善し、さらに、NbCの析出強化や固溶Nbにより、Mn、P、Siを多量に添加することなく、高強度化を可能にすることを見出した。Mn、P、Siの多量配合は外観品質、耐二次加工脆性、めっき品質を低下させる。
さらに、NbとTiのバランスを適正に制御することにより、本発明の課題である、45°方向の機械特性が優れた異方性バランスを実現することができることを見出した。
また、Cを0.0005%以上、0.0040%未満に制御し、強度不足分をMn、Nbなどで強化することで、加工性を低下させずに高加工性を確保できることも確認した。
本発明にかかる、プレス成形性、耐二次加工脆性、鋼板表面品質に優れる鋼板をサイドパネル、ドア、フェンダーなどの自動車外板に適用すると、それら部品のプレス加工で面歪み、しわ、割れが発生し易い主応力方向の圧延方向に対して45°方向の材料特性が特に優れることで、適材適所の異方性をもった最適な高強度冷延鋼板製品を製造することができ、産業上、極めて有益である。
本発明にかかる鋼板は、加工用冷延鋼板としてのみならず、加工用表面処理鋼板の原板としても適用できる。その表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含む)、すずめっき等がある。また、本発明鋼板には、焼鈍または亜鉛めっき後、特殊な処理を施して、化成処理性、溶接性、プレス成形性および耐食性等の改善を行ってもよい。
本発明において、成分組成範囲を上述のように規定した理由は次の通りである。なお、本明細書において鋼組成を示す「%」は特にことわりがない限り「質量%」である。
C:0.0005%以上0.0040%未満
CはNbと結合し、NbCの微細炭化物を形成する。C含有量を適正化することは微細なNbCを適当な体積率で析出させるため、かつ成形性を高めるために好ましい。微細に析出したNbCは熱延鋼板結晶粒径を微細化し、冷間圧延鋼板の焼鈍後のr値を向上させる効果がある。また、NbCは極めて微細に析出させることが出来るため、大きな析出強化の効果が得られ、Mn、P、Siなどの固溶元素の多量の添加を必要とせずに高強度化できる。
C含有量が0.0005%未満では耐二次加工脆性が劣化する場合がある。一方、C含有量が0.0040%以上になるとNbCが過剰に生成して焼鈍板の粒成長の抑制効果が過大となり、YSが上昇し伸びが低下して加工時に面歪みや割れを生じやすくなる。したがって、C含有量を0.0005%以上0.0040%未満とする。好ましい下限は0.0007%以上であり、好ましい上限は0.0035%以下である。
Si:0.5%以下
Siは、不純物として含有される元素であるが、低コストで固溶強化により鋼板を高強度化する有用な元素であるので、強度向上を目的として含有させることができる。但し、Si含有量が0.5%を超えるとスケール疵が生じやすくなる。また、YSが高くなり伸びが劣化して加工時に面歪みや割れが生じやすくなる。したがって、Si含有量を0.5%以下とする。より優れた外観性状を求める場合等には、Si含有量を0.25%以下とすることが好ましい。一方、Siはめっき密着性を向上させる作用を有するので、0.002%以上含有させることが好ましい。
Mn:0.1〜2.5%
Mnは、固溶強化により鋼板を高強度化する作用を有する。Mn含有量が0.1%未満では、目的とする高強度化が図れない場合がある。一方、Mn含有量が2.5%超ではYSが上昇し伸びが劣化し加工時にしわや割れが生じやすくなる。このためMn含有量を0.1〜2.5%とする。加工性をさらに良好にするためには、Mn含有量を2.0%以下とすることが好ましい。引張強度390MPa以上を安定的に確保するために、Mn含有量を0.5%以上とすることが好ましい。
P:0.06%以下
Pは、r値の低下を抑えながら固溶強化により鋼板を高強度化する有用な元素であるので、強度向上を目的として含有させることができる。P含有量が0.06%を超えると、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合には合金化処理性を低下させてめっき密着性を低下させたり、めっき表面にすじ模様を呈したりする場合がある。このため、P含有量を0.06%以下とする。390MPa以上の引張強度を安定的に確保するために、P含有量を0.03%以上とすることが好ましい。
S:0.05%以下
Sは不純物として鋼板中に存在するが、その含有量が多いとスケール疵が生じやすくなり表面外観を著しく劣化させる場合があるため、その含有量を0.05%以下とする。好ましくは0.03%以下である。
sol.Al:0.005〜0.1%
Alは、脱酸のためsol.Al 0.1%以下となる量を含有させる。sol.Al含有量が0.005%未満では脱酸が不十分となり、0.1%を超えるとAlの固溶強化で鋼板が強化し延性が低下することがあるため、好ましくはAl含有量を0.005〜0.1%とする。
N:0.006%以下
Nは、過剰に含有するとYSが上昇して面歪みが生じやすくなったりFe中に固溶してストレッチャーストレインマークなどの表面欠陥を発生させる原因となったりする。このため、N含有量を0.006%以下とする。好ましくは0.0035%以下である。
Nb:0.04〜0.20%
Nbは、Cと結合してNbCの微細析出物を生成し、これにより組織を微細化し、機械的特性や表面性状を向上させる。NbはAr点直下で炭化物を析出するため極めて微細な析出物が得られるという点で、本発明が目的とする効果を得る手段として炭化物生成元素の中で最も好適な元素である。一方、同じ炭化物生成元素であるTiは、Ar点以上の高温で炭化物を析出するので、析出物が粗大となり、本発明が目的とする効果を得る手段としては不適切である。
したがってNbを適正に含有させることは本発明において重要である。Nb含有量が0.04%未満では、NbCの析出量が不足して340MPa以上の引張強度を安定的に確保することが困難になる場合がある。また、固溶Cが残留してストレッチャーストレインなどの表面欠陥が発生しやすくなる場合がある。一方、Nb含有量が0.20%を超えると、Cに比してNbが過剰となるために、YSが上昇し伸びが低下して加工時にしわが生じやすくなる。よって、Nb含有量を0.04〜0.20%とする。好ましくは、0.06〜0.10%である。
Ti:(N/14×48×0.5)%以上、(0.02+N/14×48)%以下
Tiは、NをTiNとして析出させることにより、NによるストレッチャーストレインやYSの上昇を抑制して加工時の面歪みを生じ難くする。また、圧延方向に対する角度が0°、45°、90°の3方向におけるr値の特性差(異方性)を小さくすることができるため、プレス加工時の割れやしわの発生を抑制することができる。これらの効果を得るためにTi含有量を[N(48/14)×0.5]、つまり(N/14×48×0.5)%以上とする。
しかしながら、(0.02+N/14×48)%を超えてTiを含有させると、TiCの析出量が増加して伸びを劣化させて加工時に面歪みや割れが生じやすくなる。また、溶融亜鉛めっき鋼板の場合にはめっき表面にすじ模様を呈する場合がある。このためTi含有量を[0.02+N(48/14)]、つまり(0.02+N/14×48)%以下とする。好ましくは(0.01+N/14×48)%以下である。
Nb/Ti:2以上、20以下
本発明が対象とする、自動車のサイドパネル、フード、ドア、フェンダー等の大型プレス部品の成形に最適な、圧延方向に対する角度が45°方向におけるr値を1.5以上とするためにNbとTiとの含有量の比(Nb/Ti)を2以上とする。45°方向におけるr値が1.5未満では、サイドパネル、フード、ドア、フェンダー等で最も成形が厳しいコーナー部の材料特性が不足する。また、このことを補償するために、より高グレードの鋼板を使用する必要が生じる。Nb/Tiが2未満では、45°方向におけるr値が1.5未満となる場合がある。
一方、Nb/Tiが過剰に高いと、r値の最小値が1.0以下となる場合があるので、Nb/Tiの上限は20以下とする。
B:0.0020%以下
Bは二次加工脆化を防止する作用を有するので含有させることが好ましい。但し、B含有量が0.0020%を超えるとYSが上昇し伸びが低下して加工時にしわや割れが生じやすくなる。このためB含有量は0.0020%以下とする。好ましくは0.0010%以下である。上記作用を確実に得るには、B含有量を0.0001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.0003%以上である。
Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下およびNi:1%以下から選ばれる1種または2種以上
これらの元素は強度確保のため含有させても良い。各元素の含有量が1%を超えると強度向上の効果が飽和してコストが嵩むため各元素の含有量を1%以下とする。好ましくは0.5%以下である。
本発明にかかる冷延鋼板の鋼組成は残部Feおよび不純物であるが、不純物としては、Cu,Ca,REMなどは合計0.1%以下は許容される。
このような鋼組成を有する冷延鋼板の機械特性は次の通りである。
r値の最小値:1.0以上
ここに云うr値は圧延方向に対する角度が0°、45°および90°の3方向におけるr値であり、r値の最小値とはそれらの各方向におけるr値のうちの最小値を云う。
自動車のサイドパネル、フード、ドア、フェンダー等の成形において、圧延方向に対する角度が0°、45°および90°の3方向におけるr値の最小値が1.0より小さいと、r値が最小となる方向に主たる加工が加わる部位に於いて割れが生じる場合がある。したがって、圧延方向に対する角度が0°、45°および90°の3方向におけるr値の最小値を1.0以上とする。好ましくは1.2以上である。
圧延方向に対する角度が45°方向におけるr値:1.5以上
圧延方向に対する角度が45°方向におけるr値が1.5未満では、自動車のサイドパネル、フード、ドア、フェンダー等の成形において、コーナー部にしわや割れが発生し易くなる。したがって、圧延方向に対する角度が45°方向におけるr値を1.5以上とする。
次に、上記にて説明した高強度冷延鋼板・高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造するための好適な製造方法を以下に説明する。
(1)熱間圧延工程
熱間圧延開始温度:1100〜1280℃
上記の鋼組成を備える鋼塊または鋼片を1100〜1280℃とした後に熱間圧延を施す。ここで、前記鋼塊または鋼片は、1100℃未満の温度にあるものを再加熱して1100〜1280℃として熱間圧延に供してもよいし、連続鋳造スラブを用いる場合には連続鋳造後1100℃未満に低下させることなく1100〜1280℃とした後に熱間圧延に供してもよいし、鋼片を用いる場合には分塊圧延後の鋼片を1100℃未満に低下させることなく1100〜1280℃とした後に熱間圧延に供してもよい。
熱間圧延に供する鋼塊または鋼片が1100℃未満の場合には変形抵抗が高く熱間圧延が困難となる場合があり、1280℃を超える場合には過剰なスケールが生成し冷延後まで残留して表面性状を劣化させる場合がある。
このため、熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度を1100〜1280℃とすることが好ましい。
熱間圧延完了温度:Ar点〜1000℃
熱間圧延完了温度(以下、「仕上温度」または「FT」ともいう。)がAr点未満の場合には、表層がフェライト化して熱延組織が粗大化するため製品段階におけるr値が低下して加工時に割れが生じたり、溶融亜鉛めっき鋼板についてはめっき表面にすじ模様を呈したりする場合がある。
一方、熱間圧延完了温度が1000℃を超える場合には、熱延組織の微細化が困難となるため製品段階におけるr値が低下して加工時に割れが生じたり、スケールにより表面性状が劣化したりする場合がある。
したがって、熱間圧延完了温度をAr点〜1000℃とすることが好ましい。
巻取温度:400〜650℃
巻取温度が400℃未満では、巻取り後におけるNbCが生成が不十分となり、本発明が目的とするNbCの効果を十分に享受することができずにr値が低下する場合があり加工時に割れが生じやすくなる。
一方、巻取温度が650℃超の場合には、r値が低下する。
したがって、巻取温度は400〜650℃とすることが好ましい。
(2)酸洗工程、冷間圧延工程、焼鈍工程
熱間圧延により得られる熱間圧延鋼板は、酸洗により脱スケールされ、冷間圧延が施された後に焼鈍が施される。高強度溶融亜鉛めっき鋼板については、さらに溶融亜鉛めっきが施され、必要に応じて合金化処理が施される。
酸洗は常法で構わない。
冷間圧延は焼鈍後のr値を向上させるため圧下率を50%以上とする。
焼鈍は、高いr値を得るために、焼鈍温度:780〜900℃として行う。焼鈍温度が780℃未満ではYSが上昇しr値が不十分となって加工時に面歪みや割れが生じやすくなり、900℃を超えるとYSが上昇して加工時に面歪みや割れが生じる場合がある。このため、焼鈍温度を780〜900℃とする。
(3)溶融亜鉛めっき工程
溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には、その後溶融亜鉛めっきを施す。溶融亜鉛めっきの方法は常法で構わないが、連続溶融亜鉛めっきラインを用いて、前記焼鈍工程と前記溶融亜鉛めっき工程を連続して行うことが生産性の観点から好ましい。また、溶融亜鉛めっきを施した後に合金化処理を行ってもよい。合金化処理も常法で構わない。なお、本発明における溶融亜鉛めっき鋼板には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板も含む。
かくして本発明によれば、成形性に優れるとともにすじ模様などの外観不良のみられない表面性状にすぐれた引張強度340MPa以上の高強度溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
また、本発明における冷延鋼板には、その後に表面処理を施すことにより得られる、電気亜鉛めっき鋼板、すずめっき鋼板、塗装鋼板その他の表面処理用鋼板が含まれる。これらの表面処理方法は常法で構わない。
表1に示す化学成分を含有する供試材である鋼No.1〜39の鋼板を試作し、表2に示す条件で、スラブ加熱後、熱間圧延により粗圧延後板厚40mm、仕上圧延後板厚3.2mmとし、その後、冷却して巻き取った。さらに0.65mmまで冷間圧延を行い、連続焼鈍ラインにて連続焼鈍を施し、冷却後、0.6%の伸率の調質圧延を施した。
Figure 0004725366
Figure 0004725366
得られた供試材について耐二次加工脆性(縦割れ発生温度)、表面性状、および成形性を調査した。
結果は、同じく表2にまとめて示す。
耐二次加工脆性は、得られた冷延鋼板から90mmφの試験片を採取し,直径50mmの円筒ポンチを用いてしぼり比1.8で絞り加工を行い、各種温度に5分以上保持した後、円錐台にセットして52.6kgの錘を1.901mの高さから落錘させ、破面観察から脆性破断が発生する上限温度を縦割れ発生温度として求め評価した。
表面性状は、冷延鋼板表面の外観を自動車外装用途の基準を満たすか否か、すなわち、すじ模様やスケール欠陥の有無を目視で判定した。欠陥のない場合を「OK」とした。
成形性は、図2に示すように、サイドパネルのセンターピラー部を模したT字型試験片を用いて、絞り深さ25mmでプレス加工を施し、割れ、しわ、面歪みの有無を評価した。それらの表面欠陥のない場合も「OK」とした。なお、図2中の数字は寸法(mm)を示す。
また、表1に示す化学成分を含有する供試材である鋼No.1〜39の鋼板を試作し、表3に示す条件で、スラブ加熱後、熱間圧延により粗圧延後板厚40mm、仕上圧延後板厚3.2mmとし、その後、冷却して巻き取った。さらに0.65mmまで冷間圧延を行い、連続溶融めっきラインにて連続焼鈍を施した後、片面当り45g/mの溶融亜鉛めっきを施し、470〜550℃で合金化処理を行い、冷却後、0.6%の伸率の調質圧延を施した。
Figure 0004725366
得られた供試材について、合金化度、めっき密着性、耐二次加工脆性、表面性状および成形性を調査した。
結果は、同じく表3にまとめて示す。
合金化度はめっき層のFe含有量(質量%)で示す。
めっき密着性は、めっき鋼板について90mmφの試験片を採取し、50mmφのポンチでカップ成形を行い、縦壁部にセロテープ(登録商標)を接着、剥離し、テープに付着した剥離めっき量を自動車外装用途として基準を満たすか否かにより判定した。「OK」は剥離量25mg/個以下の場合を云う。
表面性状は、めっき表面の外観を自動車外装用途の基準を満たすか否か、すなわち、すじ模様やスケール欠陥の有無を目視で判定した。欠陥のない場合を「OK」とした。
耐二次加工脆性(縦割り発生温度)および成形性は、実施例1と同一の方法により評価を行った。
本発明の成分範囲の鋼板は強度、r値、表面外観のすべてに優れ、自動車外板用に最適である。
No.24は、C含有量が高いため、YSが高く伸びが低く、成形において面歪みが発生した。
No.25は、Si含有量が高いため、スケールにより表面性状が不芳であった。また、めっき密着性が不芳であった。
No.26は、Mn含有量が高いため、YSが高く伸び、r値が低いため、成形において割れが発生した。
No.27はPが高いため、鋼板の表面にすじ模様が生じた。また、めっき密着性が不芳であった。
No.28は、S含有量が高いため、スケールにより表面性状が不芳であった。
No.29は、Ti含有量が低いため、0°方向のr値が低く、成形において割れが生じた。
No.30は、Ti含有量が高いため、鋼板の表面にすじ模様が生じた。
No.31は、Nb含有量が低いため、45°方向のr値が1.5未満と低く、成形において割れが発生した。
No.32は、Nb含有量が高いため、YSが高く伸びも低いため、成形において割れが発生した。
No.33は、N含有量が高いため、YSが高く、成形において面歪みが発生した。
No.34は、B含有量が高いため、0°方向のr値が他の方向のr値に比して著しく低く、また伸びも低いため、成形において割れが発生した。
No.35〜37は、Nb/Tiが低いため、45°方向のr値が1.5未満であり、成形において割れが発生した。
No.38、39は、Nb/Tiが高いため、0°方向のr値が低く、成形において割れが発生した。
自動車のサイドパネルをプレスする際の、鋼板ブランク材からの板取りの方向と割れやしわ危険位置を示す略式平面図である。 成形性を評価する試験片の形状を示す平面図である。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.0005%以上0.004%未満、Si:0.5%以下、Mn:0.1〜2.5%、P:0.06%以下、S:0.05%以下、sol.Al:0.005%以上0.1%以下、N:0.006%以下、Ti:(N/14×48×0.5)%以上、(0.02+N/14×48)%以下およびNb:0.04〜0.20%を含有し、残部がFeおよび不純物からなるとともに、TiおよびNbの含有量が2≦Nb/Ti≦20の関係式を満足する化学組成を備え、r値の最小値が1.0以上であり、さらに圧延方向に対する角度が45°方向におけるr値が1.5以上であることを特徴とする引張強度が340MPa以上の高強度冷延鋼板。
  2. 質量%で、C:0.0005%以上0.004%未満、Si:0.5%以下、Mn:0.1〜2.5%、P:0.06%以下、S:0.05%以下、sol.Al:0.005%以上0.1%以下、N:0.006%以下、Ti:(N/14×48×0.5)%以上、(0.02+N/14×48)%以下、Nb:0.06〜0.20%およびB:0.0020%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなるとともに、TiおよびNbの含有量が2≦Nb/Ti≦20の関係式を満足する化学組成を備え、r値の最小値が1.0以上であり、さらに圧延方向に対する角度が45°方向におけるr値が1.5以上であることを特徴とする引張強度が340MPa以上の高強度冷延鋼板。
  3. 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下およびNi:1%以下の群から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度冷延鋼板。
  4. 前記Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1%以下、Mo:1%以下、V:1%以下およびNi:1%以下の群から選ばれる1種または2種以上ならびにB:0.0020%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度冷延鋼板。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の高強度冷延鋼板の表面に溶融亜鉛めっき層を備えることを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の化学組成を備える鋼塊または鋼片を1100〜1280℃として熱間圧延を施し、Ar〜1000℃で熱間圧延を完了して400〜650℃で鋼帯に巻き取り、酸洗を行った後に圧下率50%以上で冷間圧延を施し、次いで780〜900℃で焼鈍することを特徴とする高強度冷延鋼板の製造方法。
  7. 請求項に記載の製造方法により得られる高強度冷延鋼板に溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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