しかし、上述のようなインクジェット記録装置の搬送機構においては、次に説明するように、用紙の後部が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラの圧接から解放された場合とで、用紙の搬送ずれが変化し、印刷ムラが発生するという問題があった。
給紙部に収容された用紙を一枚ずつ分離して送出する処理は、次のように実行される。
まず、給紙ローラを給紙部上に積層載置された用紙のうち最上部の用紙に圧接させた状態で給紙ローラを回転させ、最上部の用紙のみを分離して、分離された最上部の用紙の先端を搬送ローラとピンチローラとの接点まで搬送する。
そして、搬送ローラが搬送方向へ回転すると、用紙は搬送ローラ及びピンチローラの間に引き込まれ、搬送ローラ及びピンチローラに挟持される。その後、用紙は搬送ローラの回転とともに、搬送方向である排紙ローラ側へ搬送される。なお、搬送ローラが回転するときには給紙ローラは回転力を受けずに空転するように構成されている。
用紙の先端が搬送ローラとピンチローラとの接点まで搬送され、搬送ローラ及びピンチローラに挟持された状態では、用紙の後部は給紙ローラと給紙部上に積層載置された分離されない用紙と間に圧接された位置に残されている。
この状態で、用紙の先端が搬送ローラ及びピンチローラによって搬送されると、用紙の後部は、給紙ローラによって圧接されているので分離されない用紙との間の摩擦係数によって搬送抵抗を受けることになる。用紙の後部が搬送抵抗を受けると、搬送ローラと用紙との間でスリップが発生し、用紙の搬送ずれが大きくなる。
そして、用紙が搬送ローラ及びピンチローラによって搬送方向へ搬送され用紙の後部が給紙ローラの位置から外れると、用紙の後部は、分離されない用紙との間の摩擦係数による搬送抵抗から解放される。つまり、用紙の後部が搬送抵抗を受けないので、搬送ローラと用紙との間でスリップが発生しなくなり、用紙の搬送ずれが小さくなる。
したがって、用紙の後部が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラの圧接から解放された場合とで、用紙の搬送ずれが変化し、印刷ムラが発生するという問題があった。
特に、写真などの高画質な印刷においては、一般的な印刷よりも用紙の搬送ずれの変化による印刷ムラが顕在化される。そして、写真などの高画質な印刷においては、一般的な普通紙に印刷される場合よりも光沢紙に印刷される場合の方が多い。
そして、例えば厚さ約90μmの普通紙においては、用紙と用紙との摩擦係数は、約0.4であるが、厚さ約225μmの光沢紙においては、用紙と用紙との摩擦係数は、約0.6である。つまり、厚さ約225μmの光沢紙の用紙間の摩擦係数は、厚さ約90μmの普通紙の用紙間の摩擦係数の約1.5倍ある。よって、用紙の後部が給紙ローラによって圧接されている場合に用紙の後部が受ける搬送抵抗は、普通紙の場合と比較すると、光沢紙の場合のほうが、大きい。したがって、光沢紙に印刷される場合には、普通紙の場合と比較すると、用紙の後部が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラの圧接から解放された場合とによる用紙の搬送ずれの変化が大きくなり、印刷ムラがより顕在化されるという問題があった。
また、給紙部へ用紙を収容する操作性を向上させるために、給紙部が前面側に設けられているインクジェット記録装置が登場している。このようなインクジェット記録装置においては、前面側に設けられた給紙部から給紙ローラによって一枚ずつ分離して送出された用紙は180度反転して前面側の排出ローラから排出される。つまり、用紙は、180度曲率を描くように搬送(以下、曲率搬送と称す)される。すると、用紙が直線搬送される場合と比較すると、用紙が曲率搬送される場合の方が、用紙は搬送ガイドによって搬送抵抗を受けやすくなる。すなわち、曲率搬送される用紙は、用紙の剛性によって用紙が搬送ガイドに押し付けられ、その摩擦抵抗による搬送抵抗を受ける。
そして、このようなインクジェット記録装置においては、さらに装置の小型化が求められている。特に、装置が設置される高さ方向の寸法の小型化が要求されている。そのため、用紙が曲率搬送される場合には、曲率半径をより小さくすることが求められる。用紙が受ける搬送抵抗は、曲率半径を小さくするにしたがって大きくなる。したがって、装置の小型化によって用紙が受ける搬送抵抗がさらに増加する。
また、次に説明するように、写真などの高画質な印刷において多用される光沢紙は普通紙に比べると搬送抵抗がさらに大きくなる。例えば一般的な印刷に用いられる厚さ約90μmの普通紙においては、用紙の剛度は、約80cm3/100であるが、厚さ約225μmの光沢紙においては、用紙の剛度は、約450cm3/100である。つまり、厚さ約225μmの光沢紙の剛度は、厚さ約90μmの普通紙の剛度の約5.6倍ある。よって、用紙の剛性によって用紙が搬送ガイドに押し付けられる摩擦抵抗による搬送抵抗は、普通紙の場合と比較すると、光沢紙の場合のほうが大きい。
したがって、普通紙や光沢紙などの印刷される用紙の種類によって用紙の搬送抵抗は変化する。つまり、用紙の種類によって用紙の搬送ずれが変化し、印刷ムラが発生するという問題があった。
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、用紙の後部が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラの圧接から解放された場合とによる用紙の搬送ずれの変化が少なく、また、用紙の種類による用紙の搬送ずれの変化が少ないインクジェット記録装置の搬送機構を提供することにある。
上述した問題点を解決するためになされた本発明のインクジェット記録装置(1:なお、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄において説明した構成要素を括弧内に示すが、この記載によって特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、用紙に向けインクを選択的に吐出可能な記録ヘッド(15)と、記録ヘッドを搭載し、所定方向に往復移動するキャリッジ(17)と、用紙を複数枚収容可能で、且つそれぞれ異なる識別情報を有する複数の給紙部(4)と、複数の給紙部に対応してそれぞれ収容された用紙を一枚ずつ分離して送出する分離手段(9b)と、記録ヘッドがインクを吐出していないときに、前記分離手段によって送出された用紙を前記所定の方向と略直交する方向に間欠的に搬送する搬送手段(41,42)と、用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあるか、もしくは第2の搬送区間にあるかを判定する判定手段(60)と、を備える。
また、本発明のインクジェット記録装置は、分離手段を制御して、給紙部に収容された用紙を一枚ずつ分離して送出させ、搬送手段を制御して、送出された用紙を搬送させ、判定手段を制御して、用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあるか、もしくは第2の搬送区間にあるかを判定させるとともに、記録ヘッド、キャリッジを制御して、キャリッジの移動及び記録ヘッドによるインクの吐出と搬送手段による間欠的な搬送とを繰り返し行うことで前記用紙上に画像を記憶させる印刷処理を実行する制御手段(60)と、前記複数の給紙部の識別情報に対応してそれぞれ第1の搬送区間に対応する第1の搬送補正値と、第2の搬送区間に対応する第2の搬送補正値とが記憶されている記憶手段(62)と、複数の給紙部中の1つの識別情報を取得する給紙部情報取得手段(86)と、を備える。
そして、制御手段は、判定手段によって用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあると判定された場合には、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報に対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御し、判定手段によって用紙の搬送位置が第2の搬送区間にあると判定された場合には、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報に対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御する。
上述のように、本発明のインクジェット記録装置は、搬送手段によって搬送された用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあるか、もしくは第2の搬送区間にあるかを判定する判定手段と、第1の搬送区間に対応する第1の搬送補正値と、第2の搬送区間に対応する第2の搬送補正値とが記憶されている記憶手段とを備えているので、用紙が搬送される搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合にそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することにより搬送ずれを補正することができる。例えば第1の搬送区間を用紙が分離手段に残留している区間とし、第2の搬送区間を分離手段から離れている区間とすれば、それぞれの搬送区間で用紙の搬送ずれが変化した場合でも、それぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することによりそれぞれの搬送区間で搬送ずれを補正することができる。つまり、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。なお、分離手段とは、例えば給紙部に収容された用紙のうち最上部の用紙に圧接させて一枚ずつ分離する給紙ローラである。そして、分離手段に残留している区間とは、例えば給紙ローラによって圧接されている区間であり、分離手段から離れている区間とは、例えば給紙ローラによって圧接されていない区間である。
また、このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、複数の給紙部に収容された用紙がそれぞれの給紙部から送出され搬送される搬送路の形状や距離に応じて、それぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを適切に設定することにより搬送ずれを補正することができる。つまり、複数の給紙部それぞれについて、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。
また、給紙部に複数枚収容される用紙サイズは1種類に限られず、請求項2に記載のように、複数種の用紙サイズに対応できるようにするとよい。
すなわち、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる複数種の用紙サイズを取得する取得手段(86)と、前記それぞれ異なる用紙サイズに対応する用紙の搬送方向の長さ寸法を記憶する用紙サイズ記憶手段(62)と、を備える。
また、給紙部は、前記それぞれ異なる用紙を複数枚収容可能に構成されている。
そして、判定手段は、取得手段によって取得された用紙サイズに対応する用紙の搬送方向の長さ寸法を前記用紙サイズ記憶手段から読み出し、読み出された前記用紙の搬送方向の長さ寸法と、用紙の搬送位置とに基づいて用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあるか、もしくは第2の搬送区間にあるかを判定するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙についても、用紙が搬送される搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合にそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することにより搬送ずれを補正することができる。そして、例えば第2の搬送区間が固定であれば、用紙サイズに対応する用紙の搬送方向の長さ寸法を記憶しておき、取得された用紙のサイズに対応する用紙の搬送方向の長さ寸法を読み出せば、用紙の搬送方向の長さ寸法から第2の搬送区間を差し引いて第1の搬送区間を算出できる。例えばA4サイズの用紙の長手方向を搬送方向とした場合には、搬送方向の長さ寸法は297mmであり、A3サイズの用紙の長手方向を搬送方向とした場合には、搬送方向の長さ寸法は420mmである。そして、A4サイズの用紙,A3サイズの用紙ともに、第2の搬送区間を100mmとした場合には、A3サイズの用紙の第1の搬送区間は420mm−100mm=320mmと算出でき、A4サイズの用紙の第1の搬送区間は297mm−100mm=197mmと算出できる。つまり、用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙についても、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。なお、分離手段に残留している場合とは、例えば給紙ローラによって圧接されている場合であり、分離手段から離れている場合とは、例えば給紙ローラによって圧接されていない場合である。
また、請求項3に記載のように、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とを、直接検出してもよい。
すなわち、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、分離手段によって送出された用紙が分離手段から離れたことを検出する後端検出手段(10)を備え、判定手段は、後端検出手段が、用紙が分離手段から離れたことを検出しない場合は、用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあり、用紙が分離手段から離れたことを検出した場合は、用紙の搬送位置が第2の搬送区間にあると判定するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、請求項2と同様に用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙についても、用紙が搬送される搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合にそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することにより搬送ずれを補正することができる。なお、用紙が分離手段から離れたことを検出するとは、例えば用紙が給紙ローラによって圧接されている状態から圧接されていない状態を検出することである。そして、この後端検出手段は、例えば給紙ローラと用紙の圧接する接線の方向であって、且つ用紙を検出できる位置に設けられる。また、この後端検出手段は、例えばレーザー式の変位センサであって、用紙の後端部における用紙の厚みの段差を検出する。例えば普通紙の厚さは約90μmあるので、10μm程度の分解能を有するレーザー式の変位センサによって用紙の厚みの段差を検出できる。
また、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、給紙部に複数枚収容される用紙の種類は1種類に限られず、請求項4に記載のように、複数種の用紙に対応できるようにするとよい。
すなわち、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、複数種の用紙中の1つの用紙の種類を取得する用紙種類取得手段(86)を備える。
また、記憶手段は、複数の給紙部の識別情報と複数種の用紙の種類とに対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、判定手段によって用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあると判定された場合には、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と用紙種類取得手段によって取得された用紙の種類とに対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御し、判定手段によって用紙の搬送位置が第2の搬送区間にあると判定された場合には、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と用紙種類取得手段によって取得された用紙の種類とに対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、用紙と用紙との摩擦係数が異なる用紙や用紙の厚さが異なる用紙についても、用紙が搬送される搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合にそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することにより搬送ずれを補正することができる。なお、用紙と用紙との摩擦係数が異なる用紙や用紙の厚さが異なる用紙とは、上述した「発明が解決しようとする課題」に記載したように、例えば厚さ約90μmの普通紙や厚さ約225μmの光沢紙である。例えば厚さ約90μmの普通紙においては、用紙と用紙との摩擦係数は、約0.4であるが、厚さ約225μmの光沢紙においては、用紙と用紙との摩擦係数は、約0.6と相違している。よって、用紙が分離手段に残留している場合に用紙が受ける搬送抵抗は、普通紙の場合と比較すると、光沢紙の場合のほうが大きい。
したがって、用紙と用紙との摩擦係数が異なる用紙や用紙の厚さが異なる用紙についても、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。
また、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、給紙部に複数枚収容される用紙の種類を、請求項5に記載のように、用紙の表面の光沢度を検出して判定するようにしてもよい。
すなわち、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、用紙の表面の光沢度を検出する光沢度検出手段(12)を備える。
また、記憶手段は、複数の給紙部の識別情報と用紙の表面の光沢度とに対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、判定手段によって用紙の搬送位置が第1の搬送区間にあると判定された場合には、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と光沢度検出手段によって検出された用紙の表面の光沢度とに対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御し、判定手段によって用紙の搬送位置が第2の搬送区間にあると判定された場合には、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と光沢度検出手段によって検出された用紙の表面の光沢度とに対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、用紙の表面の光沢度を検出することによって、用紙の種類例えば普通紙か光沢紙かを判定できる。上述したように用紙と用紙との摩擦係数は、普通紙と光沢紙とでは相違している。そして、普通紙と判定されると、普通紙に対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値を読み出せる。また、光沢紙と判定されると、光沢紙に対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値を読み出せる。なお、光沢度検出手段は、例えば可視光赤色LED式の光沢度判別センサであって、用紙に対しある一定の角度で照射した光が、同一の対角にどれだけ跳ね返るかを検出する。
したがって、用紙の種類によって用紙と用紙との摩擦係数が異なる用紙についても、用紙の種類を用紙の表面の光沢度を検出して判定することによって、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。
また、用紙が分離手段から離れたことを検出するのを、請求項6に記載のように、搬送された用紙の搬送ずれの変化点を検出し、検出された搬送ずれの変化点の搬送位置に基づいて判定してもよい。
すなわち、請求項6に記載するインクジェット記録装置は、用紙に向けインクを選択的に吐出可能な記録ヘッド(15)と、記録ヘッドを搭載し、所定方向に往復移動するキャリッジ(17)と、前記用紙を複数枚収容可能な給紙部(4)と、給紙部に収容された用紙を一枚ずつ分離して送出する分離手段(9b)と、記録ヘッドがインクを吐出していないときに、分離手段によって送出された用紙を前記所定の方向と略直交する方向に間欠的に搬送する搬送手段(41,42)と、搬送手段によって搬送された用紙の搬送位置を検出する検出手段(14)と、を備える。
また、請求項6に記載するインクジェット記録装置は、分離手段を制御して、給紙部に収容された用紙を一枚ずつ分離して送出させ、搬送手段を制御して、送出された用紙を搬送させるとともに、記録ヘッド、キャリッジを制御して、キャリッジの移動及び記録ヘッドによるインクの吐出と搬送手段による間欠的な搬送とを繰り返し行うことで前記用紙上に画像を記録させる印刷処理を実行する制御手段(60)と、第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とが記憶されている記憶手段(62)と、を備える。
そして、制御手段は、記憶手段が記憶している第1の搬送補正値を読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を所定量搬送するよう搬送手段を制御し、前記所定量搬送するごとに前記所定量に対応する用紙の搬送量を検出手段(14)によって検出された用紙の搬送位置に基づいて算出し、算出された用紙の搬送量と、前記所定量との差分を算出し、算出された差分もしくはその差分の累積値が、所定値を超えると記憶手段が記憶している第2の搬送補正値を読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御する。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、請求項2と同様に用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙についても、用紙が搬送される搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合にそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することにより搬送ずれを補正することができる。なお、用紙を所定量搬送するとは、例えば間欠的に搬送する1回の搬送量とするとよい。また、所定値とは、例えば用紙が分離手段に残留している区間での所定搬送量における搬送ずれと、用紙が分離手段から離れている区間での所定搬送量における搬送ずれとの差分の約50%とするとよい。このようにすれば、インクジェット記録装置の装置ごとの機械的な搬送量のばらつきに対して搬送された用紙の搬送ずれの変化点を安定して検出できる。
また、請求項6に記載のインクジェット記録装置において、給紙部に複数枚収容される用紙の種類は1種類に限られず、請求項7に記載のように、複数種の用紙に対応できるようにするとよい。
すなわち、請求項6に記載のインクジェット記録装置において、複数種の用紙中の1つの用紙の種類を取得する用紙種類取得手段(86)を備え、記憶手段は、前記複数種の用紙に対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、用紙種類取得手段によって取得された用紙の種類に対応する第1の搬送補正値を前記記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を所定量搬送するよう搬送手段を制御し、前記所定量搬送するごとに前記所定量に対応する用紙の搬送量を検出手段によって検出された用紙の搬送位置に基づいて算出し、算出された用紙の搬送量と、前記所定量との差分を算出し、算出された差分もしくはその差分の累積値が、所定値を超えると用紙種類取得手段によって取得された用紙の種類に対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、請求項4と同様の効果を奏する。
また、請求項6に記載のインクジェット記録装置においも、給紙部に複数枚収容される用紙の種類を、請求項8に記載のように、用紙の表面の光沢度を検出して判定するようにしてもよい。
すなわち、請求項6に記載のインクジェット記録装置において、用紙の表面の光沢度を検出する光沢度検出手段(12)を備える。
また、記憶手段は、前記用紙の表面の光沢度に対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、光沢度検出手段によって検出された用紙の表面の光沢度に対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を所定量搬送するよう搬送手段を制御し、前記所定量搬送するごとに前記所定量に対応する用紙の搬送量を検出手段によって検出された用紙の搬送位置に基づいて算出し、算出された用紙の搬送量と、前記所定量との差分を算出し、算出された差分もしくはその差分の累積値が、所定値を超えると光沢度検出手段によって検出された用紙の表面の光沢度に対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、請求項5と同様の効果を奏する。
また、請求項6に記載のインクジェット記録装置においても、用紙を複数枚収容可能な給紙部は1つに限られず、請求項9に記載のように、複数の給紙部に対応できるようにするとよい。
すなわち、請求項6に記載のインクジェット記録装置において、前記用紙を複数枚収容可能で、且つそれぞれ異なる識別情報を有する複数の給紙部と、複数の給紙部に対応してそれぞれ収容された用紙を一枚ずつ分離して送出する分離手段と、複数の給紙部中の1つの識別情報を取得する給紙部情報取得手段(86)と、を備える。
また、記憶手段は、複数の給紙部の識別情報に対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報に対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を所定量搬送するよう搬送手段を制御し、前記所定量搬送するごとに前記所定量に対応する用紙の搬送量を検出手段によって検出された用紙の搬送位置に基づいて算出し、算出された用紙の搬送量と、前記所定量との差分を算出し、算出された差分もしくはその差分の累積値が、所定値を超えると給紙部情報取得手段によって取得された識別情報に対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、複数の給紙部に収容された用紙がそれぞれの給紙部から送出され搬送される搬送路の形状や距離に応じて、それぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを適切に設定することにより搬送ずれを補正することができる。つまり、複数の給紙部それぞれについて、用紙が分離手段に残留している場合と、分離手段から離れている場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。
また、請求項7に記載のインクジェット記録装置においても、用紙を複数枚収容可能な給紙部は1つに限られず、請求項10に記載のように、複数の給紙部に対応できるようにするとよい。
すなわち、請求項7に記載のインクジェット記録装置において、前記用紙を複数枚収容可能で、且つそれぞれ異なる識別情報を有する複数の給紙部と、複数の給紙部に対応してそれぞれ収容された用紙を一枚ずつ分離して送出する分離手段と、複数の給紙部中の1つの識別情報を取得する給紙部情報取得手段(86)と、を備える。
そして、記憶手段は、複数の給紙部の識別情報と複数種の用紙の種類とに対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と用紙種類取得手段によって取得された用紙の種類とに対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を所定量搬送するよう搬送手段を制御し、前記所定量搬送するごとに前記所定量に対応する用紙の搬送量を検出手段によって検出された用紙の搬送位置に基づいて算出し、算出された用紙の搬送量と、前記所定量との差分を算出し、算出された差分もしくはその差分の累積値が、所定値を超えると給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と用紙種類取得手段によって取得された用紙の種類とに対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、請求項9と同様の効果を奏する。
また、請求項8に記載のインクジェット記録装置においても、用紙を複数枚収容可能な給紙部は1つに限られず、請求項11に記載のように、複数の給紙部に対応できるようにするとよい。
すなわち、請求項8に記載のインクジェット記録装置において、前記用紙を複数枚収容可能で、且つそれぞれ異なる識別情報を有する複数の給紙部と、複数の給紙部に対応してそれぞれ収容された用紙を一枚ずつ分離して送出する分離手段と、複数の給紙部中の1つの識別情報を取得する給紙部情報取得手段(86)と、を備える。
また、記憶手段は、複数の給紙部の識別情報と前記用紙の表面の光沢度とに対応してそれぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを記憶する。
そして、制御手段は、給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と光沢度検出手段によって検出された用紙の表面の光沢度とに対応する第1の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第1の搬送補正値に基づいて用紙を所定量搬送するよう搬送手段を制御し、前記所定量搬送するごとに前記所定量に対応する用紙の搬送量を検出手段によって検出された用紙の搬送位置に基づいて算出し、算出された用紙の搬送量と、前記所定量との差分を算出し、算出された差分もしくはその差分の累積値が、所定値を超えると給紙部情報取得手段によって取得された識別情報と光沢度検出手段によって検出された用紙の表面の光沢度とに対応する第2の搬送補正値を記憶手段から読み出し、読み出した第2の搬送補正値に基づいて用紙を搬送するよう搬送手段を制御するとよい。
このように構成された本発明のインクジェット記録装置によれば、請求項9と同様の効果を奏する。
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[多機能装置1の構成の説明]
図1は、本発明のインクジェット記録装置3が適用された多機能装置1の斜視図であり、図2は、その側断面図である。
本実施例の多機能装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、及び、ファクシミリ機能を備える。
ハウジング2の上部には、原稿読取の際に使用される画像読取装置23が配置されている。この画像読取装置23は、その底壁23a(図2参照)が上カバー体25の上方からほぼ隙間なく重畳されるように配置され、図示しない枢軸部を介して、ハウジング2の一側端に対し上下開閉回動可能にされている。また、画像読取装置23の上面を覆う原稿カバー体27の後端は、画像読取装置23の後端に対して枢軸23bを中心に上下回動可能に装着されている。
この画像読取装置23の前方には、各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部29が設けられている。画像読取装置23の上面には、原稿カバー体27を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板31が設けられ、その下側に原稿読取用のイメージスキャナ装置33が、主走査方向(Y軸方向)に延びるガイドシャフト35に沿って往復移動可能に設けられている。
そして、合成樹脂製のハウジング2には、画像を形成するインクジェット記録装置3が配置されている。
[インクジェット記録装置3の構成の説明]
インクジェット記録装置3の前側には、開口部2aから差込み可能な給紙カセット4を備える。
給紙カセット4は、例えばA4サイズやリーガルサイズ等にカットされた用紙Pを複数枚収納可能な構成にされており、各用紙Pの短辺は、用紙搬送方向(副走査方向及びX軸方向に一致)と直交する方向(主走査方向及びY軸方向に一致)に平行配置される。
給紙カセット4の前端には、リーガルサイズ等の長い用紙Pの後端部を支持するための補助支持部材4aがX軸方向に移動可能に装着されている。図2には、補助支持部材4aがハウジング2から外部に突出された例を示すが、A4サイズ等の給紙カセット4内に収納可能な用紙Pを用いる場合には、収納部4bに補助支持部材4aを給紙の妨げとならないように収納することができる。
また、給紙カセット4の後側には、用紙分離用の土手部5が配置されている。多機能装置1は、金属板製の箱型メインフレーム7の底板に、給紙部9を構成する給紙アーム9aの基端部が上下方向に回動可能に装着された構成にされており、この給紙アーム9aの下端に設けられた給紙ローラ9bと、土手部5とにより、給紙カセット4に積層(堆積)された用紙Pを一枚ずつ分離して搬送する。分離された用紙Pは、U字状の搬送路を構成するUターンパス11を介して給紙カセット4より上側(高い位置)に設けられた画像形成部13に搬送される。
画像形成部13は、インクジェット式の記録ヘッド15が搭載された主走査方向に往復動可能なキャリッジ17等からなり、キャリッジ17は、後述するCPU60により制御されて、主走査方向に記録ヘッド15を走査する。記録ヘッド15は、走査時に、インクを吐出して、自身下で停止配置されている用紙Pに、画像を形成する。この際、用紙Pは、搬送路を構成するプラテン19にて下方から支持される。すなわち、記録ヘッド15は、プラテン19の真上に位置し、記録ヘッド15による用紙Pへの画像形成は、プラテン19上で行われる。
なお、画像読取装置23により被覆されるハウジング2の前部には、上方に向かって開放された図示しないインク貯蔵部が設けられている。このインク貯蔵部には、フルカラー記録のための4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを各々収容したインクカートリッジが、上方から着脱可能に装着される。尚、本実施例の多機能装置1において、インクカートリッジに収容されたインクは、各インクカートリッジと記録ヘッド15とを結ぶ複数本のインク供給管37を介して記録ヘッド15に供給される。
また、画像形成部13により画像形成された用紙Pが排出される排紙部21は、給紙カセット4の上側に形成されており、排紙部21に連通する排紙口21aは、ハウジング2の前面の開口部2aと共通に開口されている。
続いて、インクジェット記録装置3が備える用紙搬送機構6について説明する。
[用紙搬送機構6の構成の説明]
図3は、インクジェット記録装置3の用紙搬送機構6を構成する搬送部40及び制御部50の概略構成を示した説明図であり、図1,2で説明したインクジェット記録装置3における各部を用紙搬送の観点から模式的に示したものである。そのため、図1,2で説明した構成要素と同じものについては、同符号を付す。
図3に示すように、当該インクジェット記録装置3の搬送部40は、給紙カセット4と、この給紙カセット4に収容された用紙Pを一枚ずつ分離して送出する給紙部9と、給紙部9の給紙ローラ9bにて送出されてきた用紙Pを記録ヘッド15下に搬送するための搬送ローラ41と、この搬送ローラ41に圧接された状態で対向配置されたピンチローラ42と、画像形成処理時の用紙搬送を補助しつつ、画像形成後の用紙Pを排紙部21に排出する排紙ローラ43と、この排紙ローラ43に圧接された状態で対向配置されたピンチローラ(拍車ローラ)44と、用紙Pの搬送路を構成する土手部5及びUターンパス11及びプラテン19と、搬送ローラ41及び排紙ローラ43の駆動源である用紙搬送モータ45と、用紙搬送モータ45により発生した力を伝達するためのベルトBL1,BL2とを備える。そして、用紙搬送モータ45は制御部50から入力される各種指令(制御信号)に基づいて駆動される。
土手部5及びUターンパス11から構成される搬送路の上流部は、給紙ローラ9bにより送出される用紙Pの移動を規制して、用紙Pを搬送ローラ41とピンチローラ42との接点に誘導するためのものであり、Uターンパス11における用紙Pの搬送方向下流側には、その下方に、用紙Pの下方向への移動を規制して、用紙Pを搬送ローラ41とピンチローラ42との接点に誘導するための補助部11aが設けられている。
よって、給紙カセット4から送出されてくる用紙Pは、土手部5及びUターンパス11並びに補助部11aにより、搬送ローラ41及びピンチローラ42の接点に誘導される。この状態で、搬送ローラ41が搬送方向に正回転(図3では反時計回りの回転)すると、用紙Pは、搬送ローラ41及びピンチローラ42の間に引き込まれ、搬送ローラ41及びピンチローラ42に挟持される。その後、用紙Pは、搬送ローラ41の回転とともに、搬送ローラ41の回転量に相当する距離、搬送方向である排紙ローラ43側に搬送される。
一方、プラテン19は、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを結ぶ搬送路の下流部を構成するものであり、搬送ローラ41と排紙ローラ43と間に、それらを結ぶ線に沿って設けられている。このプラテン19は、搬送ローラ41から送りだされる用紙Pを記録ヘッド15によって画像が形成される領域に誘導するとともに、記録ヘッド15により画像が形成された用紙Pを排紙ローラ43とピンチローラ44との接点に誘導する。尚、以下では、各色のインクによって画像形成が行われる画像形成領域RGの下流側の端点を画像形成地点GPと表現し、画像形成領域RGの上流側端点の上流側近傍点を搬送開始地点GSと表現する。
用紙Pは、このプラテン19に沿って排紙ローラ43側へと搬送され、用紙P先端(下流側の端縁)が排紙ローラ43とピンチローラ44との接点に到達すると、排紙ローラ43の回転とともに、排紙ローラ43とピンチローラ44との間に引き込まれ、排紙ローラ43及びピンチローラ44により挟持される。その後、排紙ローラ43の回転とともに、排紙ローラ43の回転量(搬送ローラ41の回転量と一致)に相当する距離、搬送方向である排紙部21側へと搬送される。尚、搬送ローラ41及び排紙ローラ43並びにピンチローラ42,44は、搬送方向とは略交差(直交する)方向(主走査方向)に回転軸を有する回転体である。用紙Pは、搬送ローラ41との接点及び排紙ローラ43との接点から駆動力を受けて、上述のように搬送路に沿って搬送方向(すなわち、搬送路の上流から下流)に搬送される。
また、用紙搬送モータ45は、DCモータにて構成されており、制御部50によって駆動され、その回転力を用紙搬送モータ45と搬送ローラ41との間に架け渡されたベルトBL1を介して、搬送ローラ41に伝達する。これにより、搬送ローラ41は回転する。更に、搬送ローラ41に伝達された回転力は、搬送ローラ41と排紙ローラ43との間に架け渡されたベルトBL2を介して排紙ローラ43に伝達され、これにより排紙ローラ43は、搬送ローラ41とともに同方向に回転する。その他、用紙搬送モータ45から発生する回転力は、図示しない伝達機構を介して給紙ローラ9bに伝達され、これにより給紙ローラ9bは回転する。
但し、給紙ローラ9bは、給紙処理時のみ用紙Pの搬送方向に回転して用紙Pを搬送ローラ41側に送出し、画像形成処理時には、用紙搬送モータ45からの回転力を受けずに空転する。すなわち、給紙ローラ9bと用紙搬送モータ45とを結ぶ伝達機構は、給紙時のみ給紙ローラ9bに回転力を伝達し、画像形成処理時には、内蔵するギアを切り離して、給紙ローラ9bに回転力を伝達しない構成にされている。
また、給紙ローラ9bが搬送方向に回転する時、搬送ローラ41及び排紙ローラ43は、搬送方向とは逆方向に回転する。すなわち、給紙ローラ9bと用紙搬送モータ45とを結ぶ伝達機構は、用紙搬送モータ45が正回転したとき回転力を給紙ローラ9bに伝達せず、用紙搬送モータ45が逆回転したとき、その回転力を内蔵するギアにより正方向の回転力に変換して、給紙ローラ9bに伝達する構成にされている。
尚、ここでいう給紙処理とは、給紙ローラ9bを給紙カセット4上に積層載置された用紙Pのうち最上位の用紙Pに圧接させた状態で、給紙ローラ9bを回転させ、用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送する処理を示す。また、画像形成処理とは、このレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送する初期搬送処理と、その後、画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送するとともに、用紙Pの搬送に連動して記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成する本処理と、からなる処理を示す。但し、ここでいう用紙Pの基準点とは、搬送開始時に搬送開始地点GSに位置する用紙Pの地点を示す。この用紙Pの基準点は、用紙Pの紙送りとともに変化する。
上述したように画像形成処理時の用紙搬送は、用紙Pが副走査方向(用紙搬送方向)に所定量ずつ順次紙送りされることにより実現される。具体的には、往復移動可能な記録ヘッド15によって主走査方向に1パス分の記録がなされると、次パスを記録するために用紙Pが副走査方向に所定量(1パス分の搬送距離Dsであって画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する距離)紙送りされて停止し、そのパスにおいて記録ヘッド15による主走査方向の記録がなされる。それが終了すると、更に次パスを記録するために再び用紙Pが副走査方向に所定量紙送りされて停止し、記録ヘッド15による主走査方向への記録がなされる。つまり、副走査方向への所定量の紙送りが、用紙Pへの記録が完了するまで順次繰り返されるのである。
上記搬送部40には、搬送ローラ41が所定量回転する度にパルス信号を出力する用紙搬送エンコーダ49が設けられており、用紙搬送エンコーダ49の出力信号は、制御部50に入力される。本実施例では、搬送ローラ41及び排紙ローラ43が、用紙搬送モータ45により回転され、さらに用紙搬送モータ45の回転は、給紙ローラ9bにも伝達される。このため、当該インクジェット記録装置3においては、用紙搬送エンコーダ49からのパルス信号を検出・カウントすることにより、用紙搬送モータ45、搬送ローラ41、排紙ローラ43、及び給紙ローラ9bの回転量、各ローラ41,43,9bにより搬送される用紙Pの移動距離(搬送距離)を検出することができる。
なお、用紙下端センサ10については、後述の[他の実施形態](1)において説明し、用紙搬送センサ14については、後述の[他の実施形態](2)において説明し、光沢度センサ12については、後述の[他の実施形態](4)において説明する。
[搬送補正の説明]
次に、用紙搬送機構6における用紙Pの搬送ずれと搬送補正について説明する。
用紙Pが搬送される搬送区間によって用紙Pの搬送抵抗が異なっている場合にはそれぞれの搬送区間ごとの搬送ずれ量を予め調査しておく。そして、それぞれの搬送区間ごとの搬送ずれ量に応じて搬送補正をするとよい。
まず、図5に例示するように、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている搬送区間(図中の「a」〜「c」)と、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない搬送区間(図中の「c」〜「f」)とにおける用紙Pの搬送ずれ量を予め調査する。
ここで、図5は、A4サイズの用紙を長手方向に搬送し、記録ヘッド15の位置において理論的な搬送量に対する実際上の搬送量との差である搬送ずれ量を測定した結果を示す説明図である。図5の横軸は、A4サイズの用紙の搬送距離を示す。つまり、横軸は用紙の長手方向の先端からの距離に相当する。そして、縦軸は、理論的な搬送量に対する実際上の搬送量との差である搬送ずれ量を示す。そして、測定した結果は図5中に菱形で示す点で示されている。例えばA4サイズの用紙先端から約20mmの位置(図中の「b」で示す)での搬送ずれ量は約7μmであるが、A4サイズの用紙先端から約130mmの位置(図中の「c」で示す)での搬送ずれ量は約−60μmである。なお、A4サイズの用紙先端(図中の「a」で示す)から図中の「c」までの搬送区間は、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている搬送区間である。ここで、縦軸におけるマイナス「−」で示される数値は、理論的な搬送量に対する実際上の搬送量が小さいことを示している。つまり、搬送距離が図中の「b」の位置から図中の「c」の位置までの搬送ずれ量はほぼ搬送距離に比例してマイナス「−」方向に増加している。そして、搬送距離が図中の「c」の位置で約−60μmと最も大きな搬送ずれ量になっている。一方、例えばA4サイズの用紙先端から約280mmの位置(図中の「f」で示す)での搬送ずれ量は約20μmである。なお、図中の「c」以降の搬送区間は、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない搬送区間である。ここで、縦軸におけるプラス「+」で示される数値は、理論的な搬送量に対する実際上の搬送量が大きいことを示している。つまり搬送距離が図中の「c」の位置から図中の「f」の位置までの搬送ずれ量はほぼ搬送距離に比例してプラス「+」方向に増加している。
したがって、搬送距離が図中の「b」の位置から図中の「c」の位置までの搬送ずれ量に対しては、理論的な搬送量に対する実際上の搬送量が小さいので、プラス「+」方向の搬送補正量を加えるとよい。例えば、図中の「b」の位置から図中の「c」の位置までの搬送距離は、約130mm−約20mm=約110mmであり、搬送ずれ量は、約−60μm−(約−5μm)=約−55μmである。よって、搬送距離約110mmに対して約に対して約55μmのプラス「+」方向の搬送補正量を加えるとよい。一方、搬送距離が図中の「c」の位置から図中の「f」の位置までの搬送ずれ量に対しては、理論的な搬送量に対する実際上の搬送量が大きいので、マイナス「−」方向の搬送補正量を加えるとよい。例えば、図中の「c」の位置から図中の「f」の位置までの搬送距離は、約280mm−約130mm=約150mmであり、搬送ずれ量は、約20μm−(約−60μm)=約80μmである。よって、搬送距離約150mmに対して約に対して約−80μmのマイナス「−」方向の搬送補正量を加えるとよい。
[電気的構成の説明]
ここで、インクジェット記録装置3の電気的構成について、図4のブロック図を用いて説明する。図4に示すように、インクジェット記録装置3の制御部50は、CPU60、ROM62、RAM64、EEPROM66及びASIC70を備えている。そして、CPU60、ROM62、RAM64、EEPROM66及びASIC70はバス68によって接続されている。なお、CPU60は、インクジェット記録装置3を統括制御する。
また、制御部50は、記録ヘッド15を駆動(インクを吐出)するためのヘッド駆動部80及びキャリッジモータ16と用紙搬送モータ45とを駆動するためのモータ駆動部82とを備えている。そして、ヘッド駆動部80とモータ駆動部82とは、ASIC70に接続され、記録ヘッド15の駆動(インクを吐出)、キャリッジモータ16及び用紙搬送モータ45の駆動を制御する。なお、キャリッジ17は、キャリッジモータ16の回転により主走査方向へ駆動される。
さらに、制御部50は、操作パネル部29からの信号を処理するパネルインタフェース部84及びコンピュータ100と通信可能に接続されているUSBインタフェース部86を備えている。
なお、制御部50が備えるASIC70は、キャリッジ17の主走査量(位置)を検出するキャリッジエンコーダ18及び用紙Pの搬送量(位置)を検出する用紙搬送エンコーダ49と電気的に接続されている。そしてキャリッジエンコーダ18及び用紙搬送エンコーダ49からの信号がASIC70へ入力される。
なお、用紙下端センサ10については、後述の[他の実施形態](1)において説明し、用紙搬送センサ14については、後述の[他の実施形態](2)において説明し、光沢度センサ12については、後述の[他の実施形態](4)において説明する。
このうち、ROM62には、図6(a)に例示するように、補正値データのメモリ領域90及び用紙サイズデータのメモリ領域92が設けられている。以下、順に説明する。
(イ)補正値データ
補正値データとは、図6(b)、図6(c)に例示するように、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられたデータを指す。
そして、補正値データは、図6(b)、図6(c)に例示するように、搬送区間(1)の数値「1」と搬送補正値(A)とが関連付けられて補正値データのメモリ領域90(1)へ記憶されている。また、搬送区間(2)の数値「2」と搬送補正値(B)とが関連付けられて補正値データのメモリ領域90(2)へ記憶されている。
(ロ)用紙サイズデータ
用紙サイズデータとは、図6(d)、図6(e)に例示するように、用紙サイズを示すデータと、用紙サイズに対応する用紙Pの長さ寸法を示すデータとが関連付けられたデータを指す。
ここで、用紙サイズに対応する用紙Pの長さ寸法とは、例えばA4サイズの用紙の長手方向を搬送方向とした場合には、297mmであり、A3サイズの用紙の長手方向を搬送方向とした場合には、420mmである。
そして、用紙サイズデータは、図6(d)、図6(e)に例示するように、用紙サイズ(1)の数値「1」と長さ寸法(a)とが関連付けられて用紙サイズデータのメモリ領域92(1)へ記憶されている。また、用紙サイズ(2)の数値「2」と長さ寸法(b)とが関連付けられて補正値データのメモリ領域92(2)へ記憶されている。
なお、本実施形態においては、給紙ローラ9bが「分離手段」に相当し、搬送ローラ41とピンチローラ42とが「搬送手段」に相当する。また、制御部50が「判定手段」、「制御手段」に相当し、ROM62が「記憶手段」及び「用紙サイズ記憶手段」に相当し、USBインタフェース部86が「取得手段」に相当する。
[用紙印刷処理(1)の説明]
以下に、制御部50が備えるCPU60が実行する「用紙印刷処理(1)」の手順を図7、図8のフローチャートに基づいて説明する。
コンピュータ100によって受け付けられた用紙サイズデータは、コンピュータ100から制御部50へ送信されるのであるが、CPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙サイズデータを取得したか否かを判断する(S110)。そして、コンピュータ100から送信された用紙サイズデータを取得すると(S110:YES)、取得した用紙サイズに対応する用紙Pの長さ寸法データを読み出す(S112)。具体的には、用紙サイズを示すデータと、用紙サイズに対応する用紙Pの長さ寸法を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙サイズデータのメモリ領域92へ記憶されている用紙サイズデータから、取得した用紙サイズに対応する用紙Pの長さ寸法データをCPU60が読み出す。そして、S112の処理が終了したら、S114の処理を行なう。なお、上述したS110の処理においては、用紙サイズデータはコンピュータ100によって受け付けられたが、これには限らない。操作パネル部29で受け付けた用紙サイズデータは、パネルインタフェース部84によってCPU60へ送信されてもよい。
S114の処理においては、読み出された用紙Pの長さ寸法から第1の搬送区間と第2の搬送区間とをCPU60が算出する。具体的には、用紙Pの長さ寸法から第2の搬送区間の距離を差し引いて第1の搬送区間の距離を算出する。例えば第2の搬送区間を、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている状態から離れる位置より、搬送方向へ画像形成地点GPまでの搬送距離とする。すると、この第2の搬送区間とは、給紙ローラ9bによって圧接されていない状態の搬送区間に相当する。よって、この第2の搬送区間は、用紙Pの長さ寸法にかかわらず、固定された搬送区間となる。そこで、第1の搬送区間を用紙Pの長さ寸法から第2の搬送区間の距離を差し引いて算出できる。したがって、第1の搬送区間は、用紙Pの長さ寸法に応じて変化する。そして、用紙Pから見れば、第1の搬送区間は、用紙Pの搬送方向の前半部分であり、第2の搬送区間は、用紙Pの搬送方向の後半部分である。そして、S114の処理が終了したら、S116の処理を行なう。
S116の処理においては、用紙Pを給紙する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを給紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、上述した[用紙搬送機構6の構成の説明]の給紙処理のように、給紙ローラ9bを給紙カセット4上に積層載置された用紙Pのうち最上位の用紙Pに圧接させた状態で給紙ローラ9bを回転させ、用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送させる。そして、用紙Pを初期搬送する(S118)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを初期搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、上述した[用紙搬送機構6の構成の説明]の画像形成処理の初期搬送処理のように、このレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送させる。次に、主走査印刷を実行する(S120)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、主走査印刷を実行させる。すると、ASIC70は、ヘッド駆動部80を制御して、上述した[用紙搬送機構6の構成の説明]の画像形成処理の本処理における画像形成のように、記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成させる。そして、S120の処理が終了したら、S122の処理を行なう。
S122の処理においては、コンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。具体的には、CPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。ここで、用紙Pの搬送量とは、例えば上述した[用紙搬送機構6の構成の説明]の画像形成処理の本処理における用紙Pの搬送のように、画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送する搬送量を指す。そして、コンピュータ100から送信された用紙Pの搬送量を取得すると(S122:YES)、用紙搬送位置を算出する(図8に示すS124)。具体的には、S118の処理において用紙Pが初期搬送された後にS122の処理において取得した用紙Pの搬送量を加算して、用紙搬送位置をCPU60が算出する。例えば上述した[用紙搬送機構6の構成の説明]の画像形成処理の本処理における用紙Pの搬送のように、用紙Pの搬送量が所定量(1パス分の搬送距離Ds)の場合には、S118の処理において用紙Pが初期搬送された後に1回目の用紙Pの搬送量を取得した場合には、用紙搬送位置はDs×1=Dsとなる。そして、2回目の用紙Pの搬送量を取得した場合には、用紙搬送位置はDs×2=2Dsとなる。さらにn回目の用紙Pの搬送量を取得した場合には、用紙搬送位置はDs×n=n×Dsとなる。そして、S124の処理が終了したら、S126の処理を行なう。
S126の処理においては、用紙搬送位置は、第1の搬送区間か否かを判断する。具体的には、S124の処理において算出された用紙搬送位置がS114の処理において算出された第1の搬送区間か否かをCPU60が判断する。そして、用紙搬送位置が第1の搬送区間の場合には(S126:YES)、第1の搬送補正値を設定する(S128)。具体的には、2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている補正値データのメモリ領域90へ記憶されている補正値データから、第1の搬送区間に対応する第1の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。一方、用紙搬送位置が第1の搬送区間でない場合には(S126:NO)、第2の搬送補正値を設定する(S130)。具体的には、2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている補正値データのメモリ領域90へ記憶されている補正値データから、第2の搬送区間に対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S128の処理もしくはS130の処理が終了したら、S132の処理を行なう。
S132の処理においては、S128の処理もしくはS130の処理にて設定された搬送補正値にて用紙Pを搬送する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙PをS122の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、S128の処理もしくはS130の処理にて設定された搬送補正値をASIC70が有する前記ROMから読み出し、読み出した搬送補正値に基づいて用紙PをS122の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。そして、S132の処理が終了したら、S134の処理を行なう。
S134の処理においては、用紙印刷が終了したか否かを判断する。そして、用紙印刷が終了していない場合には(S134:NO)、S120(図7参照)へ戻り上述した処理を行なう。
一方、用紙印刷が終了した場合には(S134:YES)、用紙Pを排紙する(S136)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを排紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを回転させ、用紙Pを排紙部21へ排出させる。
そして、S136の処理が終了したら、本「用紙印刷処理(1)」は終了する。
[効果]
従来のインクジェット記録装置においては、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とで、用紙の搬送ずれ量が変化し、印刷ムラが発生するという問題があった。
それに対して、第1実施形態のインクジェット記録装置3によれば、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている場合の搬送ずれ量と、給紙ローラ9bによって圧接されていない場合の搬送ずれ量とを予め調査しておき、それぞれの場合の搬送ずれ量に応じて搬送補正量を加えた搬送補正値をROM62に設けられている補正値データのメモリ領域90へ記憶しておく。また、用紙Pの搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙Pについても、搬送される用紙Pの搬送位置をCPU70が算出して、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されているか否かをCPU70が判断し、それぞれの場合の搬送補正値をROM62に設けられている補正値データのメモリ領域90から読み出す。そして、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して読み出したそれぞれの場合の搬送補正値に基づいて用紙Pを搬送させる。
したがって、用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙についても、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とによる用紙の搬送ずれ量の変化を少なくし、印刷ムラの発生を防止できる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)上記実施形態では、用紙Pの長さ寸法から用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている状態の搬送区間に相当する第1の搬送区間と用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない状態の搬送区間に相当する第2の搬送区間とをCPU60が算出していたが、これには限らない。用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている場合と、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない場合とを、用紙下端センサ10が検出してもよい。具体的には、用紙下端センサ10は、図3に破線で例示するように、例えば給紙ローラ9bと用紙Pの圧接する接線の方向であって、且つ用紙Pを検出できる位置に設けられている。そして、この用紙下端センサ10は、図4に破線で例示するように、制御部50に備えるASIC70と電気的に接続されている。そして用紙下端センサ10からの信号がASIC70へ入力される。また、この用紙下端センサ10は、例えばレーザー式の変位センサであって、用紙Pの後端部における用紙Pの厚みの段差を検出する。例えば普通紙の厚さは約90μmあるので、10μm程度の分解能を有するレーザー式の変位センサによって用紙Pの厚みの段差を検出できる。
なお、本実施形態においては、用紙下端センサ10が「後端検出手段」に相当する。
以下に、制御部50が備えるCPU60が実行する「用紙印刷処理(2)」の手順を図9、図10のフローチャートに基づいて説明する。
[用紙印刷処理(2)の説明]
まず、用紙Pを給紙する(S210)。具体的には、上記実施形態のように用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送させる。そして、用紙Pを初期搬送する(S212)。具体的には、上記実施形態のようにレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送させる。次に、主走査印刷を実行する(S214)。具体的には、上記実施形態のように記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成させる。そして、S214の処理が終了したら、S216の処理を行なう。
S216の処理においては、コンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。具体的には、上記実施形態のようにCPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。ここで、上記実施形態のように用紙Pの搬送量とは、例えば画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送する搬送量を指す。そして、コンピュータ100から送信された用紙Pの搬送量を取得すると(S216:YES)、用紙下端センサ10が用紙Pの下端を検出しているか否かを判断する(図10に示すS218)。具体的には、上述したように用紙下端センサ10が用紙Pの後端部における用紙Pの厚みの段差を検出する。そして、用紙下端センサ10が用紙Pの下端を検出していない場合には(S218:NO)、第1の搬送補正値を設定する(S220)。具体的には、上記実施形態のように第1の搬送区間に対応する第1の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。一方、用紙下端センサ10が用紙Pの下端を検出している場合には(S218:YES)、第2の搬送補正値を設定する(S222)。具体的には、上記実施形態のように第2の搬送区間に対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S220の処理もしくはS222の処理が終了したら、S224の処理を行なう。
S224の処理においては、S220の処理もしくはS222の処理にて設定された搬送補正値にて用紙Pを搬送する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙PをS216の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、上記実施形態のようにS220の処理もしくはS222の処理にて設定された搬送補正値をASIC70が有する前記ROMから読み出し、読み出した搬送補正値に基づいて用紙PをS216の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。そして、S224の処理が終了したら、S226の処理を行なう。
S226の処理においては、用紙印刷が終了したか否かを判断する。そして、用紙印刷が終了していない場合には(S226:NO)、S214(図9参照)へ戻り上述した処理を行なう。
一方、用紙印刷が終了した場合には(S226:YES)、用紙Pを排紙する(S228)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを排紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを回転させ、用紙Pを排紙部21へ排出させる。
そして、S228の処理が終了したら、本「用紙印刷処理(2)」は終了する。
[効果]
このように、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている場合と、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない場合とを、用紙下端センサ10が検出する。
そして、上述した用紙印刷処理(2)を実行することにより、用紙サイズデータを受け付けなくとも、用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙について、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とによる用紙の搬送ずれ量の変化を少なくし、印刷ムラの発生を防止できる。
(2)上記実施形態では、用紙Pの長さ寸法から用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている状態の搬送区間に相当する第1の搬送区間と用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない状態の搬送区間に相当する第2の搬送区間とをCPU60が算出していたが、これには限らない。用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている場合と、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない場合とを、搬送された用紙Pの搬送ずれの変化点を検出し、検出された搬送ずれの変化点の搬送位置に基づいて判定してもよい。具体的には、用紙搬送センサ14は、図3に破線で例示するように、例えば給紙ローラ9bと搬送ローラ41との間に設けられ、図示されないローラと、このローラが所定量回転する度にパルス信号を出力するロータリーエンコーダとを備えている。そして、この図示されないローラは用紙Pに接触して回転し、用紙Pの搬送量を直接検出するように構成されている。なお、このようなロータリーエンコーダではなく、例えば画像センサで用紙Pの表面模様を認識して、認識した表面模様の移動を検出することによって、用紙の搬送量を検出してもよい。また、この用紙搬送センサ14は、図4に破線で例示するように、制御部50に備えるASIC70と電気的に接続されている。そして、用紙搬送センサ14からの信号がASIC70へ入力される。
なお、本実施形態においては、用紙搬送センサ14が「検出手段」に相当する。
以下に、制御部50が備えるCPU60が実行する「用紙印刷処理(3)」の手順を図11、図12のフローチャートに基づいて説明する。
[用紙印刷処理(3)の説明]
まず、第1の搬送補正値モードにセットする(S310)。具体的には、2つの搬送補正値モードを示すデータと、それら2つの搬送補正値モードに対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている補正値モードデータのメモリ領域(図示せず)へ記憶されている補正値モードデータから、第1の搬送補正値モードに対応する第1の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。
そして、用紙Pを給紙する(S312)。具体的には、上記実施形態のように用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送させる。そして、用紙Pを初期搬送する(S314)。具体的には、上記実施形態のようにレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送させる。次に、主走査印刷を実行する(S316)。具体的には、上記実施形態のように記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成させる。そして、S316の処理が終了したら、S318の処理を行なう。
S318の処理においては、コンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。具体的には、上記実施形態のようにCPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。ここで、上記実施形態のように用紙Pの搬送量とは、例えば画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送する搬送量を指す。そして、コンピュータ100から送信された用紙Pの搬送量を取得すると(S318:YES)、搬送補正値モードが第1の搬送補正値モードか否かを判断する(図12に示すS320)。具体的には、CPU60がASIC70を制御して、ASIC70が有するROM(図示せず)に記憶されている搬送補正値を読み出させる。そして、ROM62に設けられている補正値モードデータのメモリ領域(図示せず)へ記憶されている補正値モードデータから、読み出させた搬送補正値に対応する搬送補正値モードをCPU60が読み出して、読み出した搬送補正値モードが第1の搬送補正値モードか否かを判断する。そして、搬送補正値モードが第1の搬送補正値モードの場合には(S320:YES)、第1の搬送補正値を設定する。具体的には、上述したようにCPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。一方、搬送補正値モードが第1の搬送補正値モードではない場合には(S322:NO)、第2の搬送補正値を設定する。具体的には、2つの搬送補正値モードを示すデータと、それら2つの搬送補正値モードに対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている補正値データのメモリ領域(図示せず)へ記憶されている補正値データから、第2の搬送補正値モードに対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S322の処理もしくはS324の処理が終了したら、S326の処理を行なう。
S326の処理においては、S322の処理もしくはS324の処理にて設定された搬送補正値にて用紙Pを搬送する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙PをS122の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、上記実施形態のようにS322の処理もしくはS324の処理にて設定された搬送補正値をASIC70が有する前記ROMから読み出し、読み出した搬送補正値に基づいて用紙PをS318の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。そして、S326の処理が終了したら、S328の処理を行なう。
S328の処理においては、用紙Pの実搬送量を検出する。具体的には、S314の処理において用紙Pが初期搬送された後の用紙Pの実搬送量を上述したように用紙搬送センサ14が直接検出する。
そして、実搬送量から所定量を差し引いた数量の「数値」が所定値を超えたか否かを判断する(S330)。具体的には、S328の処理において検出した用紙Pの実搬送量から、S314の処理において用紙Pが初期搬送された後にS318の処理において取得した用紙Pの搬送量を加算した搬送量をCPU60が差し引く。そして、差し引いた数量の「数値」が所定値を超えたか否かを判断する。この所定値とは、例えば用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されている状態の搬送区間での所定搬送量における搬送ずれと、用紙Pが給紙ローラ9bによって圧接されていない状態の搬送区間での所定搬送量における搬送ずれとの差分の約50%とするとよい。このようにすれば、インクジェット記録装置の装置ごとの機械的な搬送量のばらつきに対して搬送された用紙の搬送ずれの変化点を安定して検出できる。そして、実搬送量から所定量を差し引いた数量の「数値」が所定値を超えている場合には(S330:YES)、第2の搬送補正値モードにセットする。具体的には、2つの搬送補正値モードを示すデータと、それら2つの搬送補正値モードに対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている補正値データのメモリ領域(図示せず)へ記憶されている補正値データから、第2の搬送補正値モードに対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S332の処理が終了したら、S334の処理を行なう。一方、実搬送量から所定量を差し引いた数量の「数値」が所定値を超えていない場合には(S330:NO)、S334の処理を行なう。
S334の処理においては、用紙印刷が終了したか否かを判断する。そして、用紙印刷が終了していない場合には(S334:NO)、S316(図11参照)へ戻り上述した処理を行なう。
一方、用紙印刷が終了した場合には(S334:YES)、用紙Pを排紙する(S336)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを排紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを回転させ、用紙Pを排紙部21へ排出させる。
そして、S336の処理が終了したら、本「用紙印刷処理(3)」は終了する。
[効果]
このように、搬送された用紙Pの搬送ずれの変化点を検出し、検出された搬送ずれの変化点の搬送位置に基づいて用紙Pが第1の搬送区間いるか否かを判断する。
そして、上述した用紙印刷処理(3)を実行することにより、用紙サイズデータを受け付けなくとも、用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙について、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とによる用紙の搬送ずれ量の変化を少なくし、印刷ムラの発生を防止できる。
(3)上記実施形態では、搬送補正値が搬送区間に応じて設けられていたが、搬送区間だけとは限らない。用紙の種類例えば普通紙と光沢紙とでは、用紙と用紙との摩擦係数が異なり、用紙の厚さも異なることから、用紙の種類によって、さらに搬送補正値を設定してもよい。具体的には、図13(a)に例示するように、用紙種類データのメモリ領域94a,94bがROM62に設けられている。この用紙種類データについて以下、説明する。
(ハ)用紙種類データ
用紙種類データとは、図13(b)、図13(c)に例示するように、用紙Pの種類と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられたデータを指す。
そして、用紙種類データは、図13(b)、図13(c)に例示するように、用紙種類(a)と、搬送区間(1)の数値「1」と搬送補正値(A)とが関連付けられて用紙搬送データのメモリ領域94a(1)へ記憶されている。また、用紙種類(a)と、搬送区間(2)の数値「2」と搬送補正値(B)とが関連付けられて用紙搬送データのメモリ領域94a(2)へ記憶されている。用紙種類(b)についても、それぞれ用紙搬送データのメモリ領域94b(1)、94b(2)へ記憶されている。
なお、本実施形態においては、USBインタフェース部86が「用紙種類取得手段」に相当する。
以下に、制御部50が備えるCPU60が実行する「用紙印刷処理(4)」の手順を図14、図15のフローチャートに基づいて説明する。
[用紙印刷処理(4)の説明]
まず、コンピュータ100によって受け付けられた用紙種類サイズデータは、コンピュータ100から制御部50へ送信されるのであるが、CPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙種類データを取得したか否かを判断する(S410)。そして、コンピュータ100から送信された用紙種類データを取得すると(S410:YES)、取得した用紙種類に対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とを読み出す(S412)。具体的には、用紙Pの種類と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙種類データのメモリ領域94a、94bへ記憶されている用紙種類データから、取得した用紙種類に対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とをCPU60が読み出す。そして、S412の処理が終了したら、S414の処理を行なう。なお、上述したS410の処理においては、用紙種類データはコンピュータ100によって受け付けられたが、これには限らない。操作パネル部29で受け付けた用紙種類データは、パネルインタフェース部84によってCPU60へ送信されてもよい。
S414の処理においては、用紙Pを給紙する。具体的には、上記実施形態のように用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送させる。そして、用紙Pを初期搬送する(S416)。具体的には、上記実施形態のようにレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送させる。次に、主走査印刷を実行する(S418)。具体的には、上記実施形態のように記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成させる。そして、S418の処理が終了したら、S420の処理を行なう。
S420の処理においては、コンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。具体的には、上記実施形態のようにCPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。ここで、上記実施形態のように用紙Pの搬送量とは、例えば画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送する搬送量を指す。そして、コンピュータ100から送信された用紙Pの搬送量を取得すると(S420:YES)、用紙搬送位置を算出する(図15に示すS422)。具体的には、上記実施形態のようにS416の処理において用紙Pが初期搬送された後にS420の処理において取得した用紙Pの搬送量を加算して、用紙搬送位置をCPU60が算出する。そして、S422の処理が終了したら、S424の処理を行なう。
S424の処理においては、用紙搬送位置は、第1の搬送区間か否かを判断する。具体的には、S422の処理において算出された用紙搬送位置がS412の処理において読み出された第1の搬送区間か否かをCPU60が判断する。そして、用紙搬送位置が第1の搬送区間の場合には(S424:YES)、第1の搬送補正値を設定する(S426)。具体的には、用紙Pの種類と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙種類データのメモリ領域94a、94bへ記憶されている用紙種類データから、取得した用紙種類と、第1の搬送区間とに対応する第1の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。一方、用紙搬送位置が第1の搬送区間でない場合には(S424:NO)、第2の搬送補正値を設定する(S428)。具体的には、用紙Pの種類と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙種類データのメモリ領域94a、94bへ記憶されている用紙種類データから、取得した用紙種類と、第2の搬送区間とに対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S426の処理もしくはS428の処理が終了したら、S430の処理を行なう。
S430の処理においては、S426の処理もしくはS428の処理にて設定された搬送補正値にて用紙Pを搬送する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙PをS420の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、S426の処理もしくはS428の処理にて設定された搬送補正値をASIC70が有する前記ROMから読み出し、読み出した搬送補正値に基づいて用紙PをS420の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。そして、S430の処理が終了したら、S432の処理を行なう。
S432の処理においては、用紙印刷が終了したか否かを判断する。そして、用紙印刷が終了していない場合には(S432:NO)、S418(図14参照)へ戻り上述した処理を行なう。一方、用紙印刷が終了した場合には(S432:YES)、用紙Pを排紙する(S434)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを排紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを回転させ、用紙Pを排紙部21へ排出させる。
そして、S434の処理が終了したら、本「用紙印刷処理(4)」は終了する。
[効果]
このように、用紙Pの種類と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられた用紙種類データが設けられている。
そして、上述した用紙印刷処理(4)を実行することにより、用紙と用紙との摩擦係数が異なる用紙や用紙の厚さが異なる用紙についても、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とによる用紙の搬送ずれ量の変化を少なくし、印刷ムラの発生を防止できる。
(4)なお、上記(3)の実施形態では、用紙種類データはコンピュータ100や操作パネル部29によって受け付けられたが、これには限らない。用紙の種類例えば普通紙と光沢紙とを直接光沢度センサ12によって用紙の表面の光沢度を検出して判定するようにしてもよい。具体的には、光沢度センサ12は、図3に破線で例示するように、例えば給紙ローラ9bと搬送ローラ41との間に設けられている。そして、この光沢度センサ12は、図4に破線で例示するように、制御部50に備えるASIC70と電気的に接続されている。そして光沢度センサ12からの信号がASIC70へ入力される。また、この光沢度センサ12は、例えば可視光赤色LED式の光沢度判別センサであって、用紙Pに対しある一定の角度で照射した光が、同一の対角にどれだけ跳ね返るかを検出する。
そして、図16(a)に例示するように、光沢度データのメモリ領域96a,96bがROM62に設けられている。この光沢度データについて以下、説明する。
(ニ)光沢度データ
光沢度データとは、図16(b)、図16(c)に例示するように、用紙Pの光沢度を示すデータと、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられたデータを指す。
そして、光沢度データは、図16(b)、図16(c)に例示するように、用紙の光沢度(a)と、搬送区間(1)の数値「1」と搬送補正値(A)とが関連付けられて光沢度データのメモリ領域96a(1)へ記憶されている。また、用紙の光沢度(a)と、搬送区間(2)の数値「2」と搬送補正値(B)とが関連付けられて用紙搬送データのメモリ領域96a(2)へ記憶されている。用紙の光沢度(b)についても、それぞれ光沢度データのメモリ領域96b(1)、96b(2)へ記憶されている。
なお、本実施形態において、光沢度センサ12が「光沢度検出手段」に相当する。
以下に、制御部50が備えるCPU60が実行する「用紙印刷処理(5)」の手順を図17、図18のフローチャートに基づいて説明する。
[用紙印刷処理(5)の説明]
まず、用紙Pを給紙する(S510)。具体的には、上記実施形態のように用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送させる。そして、光沢度センサ12により用紙の光沢度を検出する(S512)。具体的には、上述したように光沢度センサ12が用紙Pの表面の光沢度を検出する。そして、用紙の光沢度から第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とを読み出す(S514)。具体的には、用紙Pの光沢度と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている光沢度データのメモリ領域96a、96bへ記憶されている光沢度データから、検出した用紙の光沢度に対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とをCPU60が読み出す。そして、S514の処理が終了したら、S516の処理を行なう。
S516の処理においては、用紙Pを初期搬送する。具体的には、上記実施形態のようにレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送させる。次に、主走査印刷を実行する(S518)。具体的には、上記実施形態のように記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成させる。そして、S518の処理が終了したら、S520の処理を行なう。
S520の処理においては、コンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。具体的には、上記実施形態のようにCPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。ここで、上記実施形態のように用紙Pの搬送量とは、例えば画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送する搬送量を指す。そして、コンピュータ100から送信された用紙Pの搬送量を取得すると(S520:YES)、用紙搬送位置を算出する(図18に示すS522)。具体的には、上記実施形態のようにS516の処理において用紙Pが初期搬送された後にS520の処理において取得した用紙Pの搬送量を加算して、用紙搬送位置をCPU60が算出する。そして、S522の処理が終了したら、S524の処理を行なう。
S524の処理においては、用紙搬送位置は、第1の搬送区間か否かを判断する。具体的には、S522の処理において算出された用紙搬送位置がS514の処理において読み出された第1の搬送区間か否かをCPU60が判断する。そして、用紙搬送位置が第1の搬送区間の場合には(S524:YES)、第1の搬送補正値を設定する(S526)。具体的には、用紙Pの光沢度と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている光沢度データのメモリ領域96a、96bへ記憶されている光沢度データから、取得した用紙の光沢度と、第1の搬送区間とに対応する第1の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。一方、用紙搬送位置が第1の搬送区間でない場合には(S524:NO)、第2の搬送補正値を設定する(S528)。具体的には、用紙Pの光沢度と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙種類データのメモリ領域96a、96bへ記憶されている用紙種類データから、検出した用紙の光沢度と、第2の搬送区間とに対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S526の処理もしくはS528の処理が終了したら、S530の処理を行なう。
S530の処理においては、S526の処理もしくはS528の処理にて設定された搬送補正値にて用紙Pを搬送する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙PをS520の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、S526の処理もしくはS528の処理にて設定された搬送補正値をASIC70が有する前記ROMから読み出し、読み出した搬送補正値に基づいて用紙PをS520の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。そして、S530の処理が終了したら、S532の処理を行なう。
S532の処理においては、用紙印刷が終了したか否かを判断する。そして、用紙印刷が終了していない場合には(S532:NO)、S518(図17参照)へ戻り上述した処理を行なう。一方、用紙印刷が終了した場合には(S532:YES)、用紙Pを排紙する(S534)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを排紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを回転させ、用紙Pを排紙部21へ排出させる。
そして、S534の処理が終了したら、本「用紙印刷処理(5)」は終了する。
[効果]
このように、用紙Pの光沢度と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられた光沢度データが設けられている。
そして、上述した用紙印刷処理(5)を実行することにより、用紙の表面の光沢度を検出して、用紙の種類例えば普通紙か光沢紙かを判定するので、用紙と用紙との摩擦係数が異なる用紙や用紙の厚さが異なる用紙についても、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とによる用紙の搬送ずれ量の変化を少なくし、印刷ムラの発生を防止できる。
(5)上記実施形態では、給紙カセット4が1つであったが、これには限らない。給紙カセットは複数あってもよい。そして、複数の給紙カセットごとに第1の搬送区間と第2の搬送区間とに対応するそれぞれの第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とを設定してもよい。具体的には、図19に例示するように、2つの給紙カセット4,4’を備えている。そして、それぞれの給紙カセット4,4’は、それぞれの給紙カセット4,4’に収容された用紙Pを一枚ずつ分離して送出する給紙部9,9’を備えている。また、それぞれの給紙部9,9’は、用紙搬送モータ45から発生する回転力を図示しない伝達機構を介して伝達される給紙ローラ9b、9b’を備えている。また、図20(a)に例示するように、用紙トレイデータのメモリ領域98a,98bがROM62に設けられている。この用紙トレイデータについて以下、説明する。
(ホ)用紙トレイデータ
用紙トレイデータとは、図20(b)、図20(c)に例示するように、給紙カセット4,4’に相当する用紙トレイ(a),(b)と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられたデータを指す。
そして、用紙トレイデータは、図20(b)、図20(c)に例示するように、用紙トレイ(a)と、搬送区間(1)の数値「1」と搬送補正値(A)とが関連付けられて用紙搬送データのメモリ領域98a(1)へ記憶されている。また、用紙トレイ(a)と、搬送区間(2)の数値「2」と搬送補正値(B)とが関連付けられて用紙搬送データのメモリ領域98a(2)へ記憶されている。用紙種類(b)についても、それぞれ用紙トレイデータのメモリ領域98b(1)、98b(2)へ記憶されている。
なお、本実施形態においては、USBインタフェース部86が「給紙部情報取得手段」に相当する。
以下に、制御部50が備えるCPU60が実行する「用紙印刷処理(6)」の手順を図21、図21のフローチャートに基づいて説明する。
[用紙印刷処理(6)の説明]
まず、コンピュータ100によって受け付けられた用紙トレイデータは、コンピュータ100から制御部50へ送信されるのであるが、CPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙トレイデータを取得したか否かを判断する(S610)。そして、コンピュータ100から送信された用紙種類データを取得すると(S610:YES)、取得した用紙トレイに対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とを読み出す(S612)。具体的には、用紙トレイ(a),(b)と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙種類データのメモリ領域98a、98bへ記憶されている用紙トレイデータから、取得した用紙トレイに対応する第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とをCPU60が読み出す。そして、S612の処理が終了したら、S614の処理を行なう。なお、上述したS610の処理においては、用紙トレイデータはコンピュータ100によって受け付けられたが、これには限らない。操作パネル部29で受け付けた用紙トレイデータは、パネルインタフェース部84によってCPU60へ送信されてもよい。
S614の処理においては、用紙Pを給紙する。具体的には、上記実施形態のように用紙Pの先端を搬送ローラ41とピンチローラ42との接点であるレジスト位置まで搬送させる。そして、用紙Pを初期搬送する(S616)。具体的には、上記実施形態のようにレジスト位置に配置された用紙Pにおける描画エリアの先端を画像形成地点GPに搬送させる。次に、主走査印刷を実行する(S618)。具体的には、上記実施形態のように記録ヘッド15からインクを吐出し、用紙Pに画像を形成させる。そして、S618の処理が終了したら、S620の処理を行なう。
S620の処理においては、コンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。具体的には、上記実施形態のようにCPU60は、USBインタフェース部86を介してコンピュータ100から用紙Pの搬送量を取得したか否かを判断する。ここで、上記実施形態のように用紙Pの搬送量とは、例えば画像形成領域RGの搬送方向の幅に対応する間隔毎に、搬送開始地点GSに位置する用紙Pの基準点を順次画像形成地点GPに搬送する搬送量を指す。そして、コンピュータ100から送信された用紙Pの搬送量を取得すると(S620:YES)、用紙搬送位置を算出する(図22に示すS622)。具体的には、上記実施形態のようにS616の処理において用紙Pが初期搬送された後にS620の処理において取得した用紙Pの搬送量を加算して、用紙搬送位置をCPU60が算出する。そして、S622の処理が終了したら、S624の処理を行なう。
S624の処理においては、用紙搬送位置は、第1の搬送区間か否かを判断する。具体的には、S622の処理において算出された用紙搬送位置がS612の処理において読み出された第1の搬送区間か否かをCPU60が判断する。そして、用紙搬送位置が第1の搬送区間の場合には(S624:YES)、第1の搬送補正値を設定する(S626)。具体的には、用紙トレイ(a),(b)と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙種類データのメモリ領域98a、98bへ記憶されている用紙トレイデータから、取得した用紙トレイと、第1の搬送区間とに対応する第1の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第1の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。一方、用紙搬送位置が第1の搬送区間でない場合には(S624:NO)、第2の搬送補正値を設定する(S628)。具体的には、用紙トレイ(a),(b)と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられて、ROM62に設けられている用紙トレイデータのメモリ領域98a、98bへ記憶されている用紙トレイデータから、取得した用紙トレイと、第2の搬送区間とに対応する第2の搬送補正値をCPU60が読み出す。そして、CPU60はASIC70を制御して、読み出した第2の搬送補正値を、ASIC70が有する搬送補正値を記憶するROM(図示せず)へ記憶させる。そして、S626の処理もしくはS628の処理が終了したら、S630の処理を行なう。
S630の処理においては、S626の処理もしくはS628の処理にて設定された搬送補正値にて用紙Pを搬送する。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙PをS620の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、S626の処理もしくはS628の処理にて設定された搬送補正値をASIC70が有する前記ROMから読み出し、読み出した搬送補正値に基づいて用紙PをS620の処理において取得した用紙Pの搬送量分搬送させる。そして、S630の処理が終了したら、S632の処理を行なう。
S632の処理においては、用紙印刷が終了したか否かを判断する。そして、用紙印刷が終了していない場合には(S632:NO)、S618(図21参照)へ戻り上述した処理を行なう。一方、用紙印刷が終了した場合には(S632:YES)、用紙Pを排紙する(S634)。具体的には、CPU60はASIC70を制御して、用紙Pを排紙させる。すると、ASIC70は、モータ駆動部82を制御して、搬送ローラ41と排紙ローラ43とを回転させ、用紙Pを排紙部21へ排出させる。
そして、S634の処理が終了したら、本「用紙印刷処理(6)」は終了する。
[効果]
このように、用紙トレイ(a),(b)と、用紙Pが搬送される2つの搬送区間を示すデータと、それら2つの搬送区間に対応する搬送補正値を示すデータとが関連付けられた用紙種類データが設けられている。
そして、上述した用紙印刷処理(6)を実行することにより、複数の給紙カセットごとに第1の搬送区間と第2の搬送区間とに対応するそれぞれに適切な第1の搬送補正値と第2の搬送補正値とを設定できる。
したがって、給紙カセット4,4’に収容された用紙がそれぞれの給紙部9,9’から送出され搬送される搬送路の形状や距離に応じて、それぞれ第1の搬送補正値と、第2の搬送補正値とを適切に設定することにより搬送ずれを補正することができる。つまり、給紙部9,9’それぞれについて、用紙が給紙ローラ9b,9b’に圧接している場合と、圧接していない場合とによる用紙の搬送ずれの変化を少なくし、印刷ムラを防止できる。
(6)上記実施形態では、搬送区間を第1の搬送区間と第2の搬送区間との2つの区間であったが、これには限らない。用紙が搬送される3つ以上の搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合、例えば排紙ローラ43とピンチローラ(拍車ローラ)44との間に引き込まれる場合も含めてそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定してもよい。
このようにすれば、用紙が搬送される3つ以上の搬送区間によって用紙の搬送抵抗が異なっている場合にそれぞれの搬送区間に適切な搬送補正値を設定することにより搬送ずれを補正することができる。
(7)上記実施形態では、用紙サイズは2種類であったが、これには限らない。3種類以上の用紙サイズに対応してもよい。
このようにすれば、3種類以上の用紙の搬送方向の長さ寸法がそれぞれ異なる用紙についても、用紙が給紙ローラによって圧接されている場合と、給紙ローラによって圧接されていない場合とによる用紙の搬送ずれ量の変化を少なくし、印刷ムラの発生を防止できる。
1…多機能装置、2…ハウジング、2a…開口部、3…インクジェット記録装置、4,4’…給紙カセット、4a…補助支持部材、4b…収納部、5…土手部、6…用紙搬送機構、7…箱型メインフレーム、9,9’…給紙部、9a…給紙アーム、9b,9b’…給紙ローラ、10…用紙下端センサ、11…Uターンパス、11a…補助部、12…光沢度センサ、13…画像形成部、14…用紙搬送センサ、15…記録ヘッド、16…キャリッジモータ、17…キャリッジ、18…キャリッジエンコーダ、19…プラテン、21…排紙部、21a…排紙口、23…画像読取装置、23a…底壁、23b…枢軸、25…上カバー体、27…原稿カバー体、29…操作パネル、31…載置用ガラス板、33…イメージスキャナ装置、35…ガイドシャフト、37…インク供給管、40…搬送部、41…搬送ローラ、42…ピンチローラ、43…排紙ローラ、44…ピンチローラ(拍車ローラ)、45…用紙搬送モータ、49…用紙搬送エンコーダ、50…制御部、60…CPU、62…ROM、64…RAM,66…EEPROM、68…バス、70…ASIC、80…ヘッド駆動部、82…モータ駆動部、84…パネルインタフェース部、86…USBインタフェース部、90…補正値データのメモリ領域、92…用紙サイズデータのメモリ領域、94a,94b…用紙種類データのメモリ領域、96a,96b…光沢度データのメモリ領域、98a,98b…用紙トレイデータのメモリ領域、100…コンピュータ、BL1,BL2…ベルト、P…用紙。