JP4724590B2 - 支圧接合部と支圧接合ボルト - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、建築鋼構造物を構築する場合に部材の接合に用いるための支圧接合に関するものであり、主として、せん断抵抗体としてボルトを用いる支圧接合部と、この支圧接合部で用いる支圧接合ボルトに関するものである。
ここで、支圧接合とは、例えば、せん断抵抗体としてボルトを用いた場合で、一般例として図11に示すように、部材aa、abを突き合わせ、その両面に添板ba、bbを当接して部材aaとabの孔と添板ba、bbの孔にボルトcを挿通してナットdで締め付けるが、摩擦接合の場合のような締付力は付与せず、ボルトcと部材の孔面との接触(支圧)によって応力を伝達する接合である。
ここでは、せん断抵抗体としてボルトを用いた支圧接合を示したが、せん断抵抗体としてリベットを用いたリベット接合も支圧接合に分類される。
例えば、建築鋼構造物を構築する部材の接合の分野においては、支圧接合は、その接合機構上、強固な接合部が安定確保し難いことから、「鋼構造設計規準」では、使用条件を規制していることから、主要な構造部には用いられず、軽微な部材接合や金物の接合に適用されていることが多い。この支圧接合としては、一般には、以下のようなものが知られている。(例えば非特許文献1、非特許文献2、特許文献1参照)。
(1)ボルトによる支圧接合
一般に、支圧接合においては、接合対象の部材のボルト孔は、ボルトを容易に挿通できるように、ボルト軸径より2〜3mm程度大きくしている。
支圧接合を完了した状態では、ボルト軸とボルト孔間には隙間があり、その分接合対象部材間のずれや、初期すべりやナットの緩みがなどが生じやすく、部材とボルトが安定接触するまで応力伝達が円滑にできない場合があり、安定した接合状態を安定確保できない。
(2)リベット接合
過去によく利用されていたリベット接合も支圧接合の一種である。このリベット接合の場合では、リベットを高温に熱した状態でリベット孔に挿入した後、頭部に圧力をかけた状態で先端を成形して固定するため、先端を成形するときリベット軸径が太るためため、クリアランスがなくなり、ガタつきなどのない構造となり理想的な接合である。しかし、現場で火気を使用したり加圧装置を必要であるなど施工面での負荷が大きい。
(3)樹脂充填形ボルト接合
ボルトとボルト孔間のクリアランスに樹脂を注入・固化させ、樹脂を介して支圧接合応力を伝達する接合である。(特許文献1参照)。この接合は、鉄骨工事とは異種工程を伴う樹脂充填作業を必要とし、作業が煩雑になる上に、固化までに時間がかかる。また、接合部性能は樹脂強度に支配されるため十分な接合強度が安定確保できない。
など、それぞれに問題点を有している。
「鉄骨の構造設計」(2版6刷)1991.10.25 発行者 長 祥隆。 「鋼構造設計規準」(第4版第1刷)2005.9.1 発行者 社団法人日本建築学会。 特開平11−230144号公報。
本発明は、例えば建築鋼構造物の構築に用いられる部材の接合に、ボルトを用いた支圧接合を適用する場合において、ボルトとボルト孔間のクリアランスに起因する、部材間のずれや、初期すべり、あるいはナットの緩みなどの接合部性能の低下要因を簡易で安価に排除可能な、支圧接合部と支圧接合ボルト(ナットなどによる締結手段の使用を含み、以下「支圧接合ボルト」という。)を提供するものである。
本発明は、ボルトをせん断抵抗体として用いる支圧接合において、上記課題を解決するためになされたものである。その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)建築鋼構造物を構築する部材や部材による組立部材の接合に用いられる支圧接合部であって、軸部に被接合部材の合計板厚よりも筒長の長い筒状充填材を挿着した支圧接合ボルトを、重ね合わせた被接合部材のボルト孔に挿通してボルト締結時に、ボルト頭部とナット間の締付力で、ボルト孔とボルト軸部間の前記筒状充填材に座屈による変形を付与して、ボルト軸部とボルト孔間のクリアランスを充填することを特徴とする支圧接合部。
(2)前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面の筒状形成体であることを特徴とする前記(1)に記載の支圧接合部。
(3)前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、側面にスリットを有する筒状形成体であることを特徴とする前記(1)に記載の支圧接合部。
(4)前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、円周方向に多数の突起(突条)を有する筒状形成体であることを特徴とする前記(1)に記載の支圧接合部。
(5)建築鋼構造物を構築する部材や部材による組立部材の接合に用いられる支圧接合ボルトであって、軸部に被接合部材の合計板厚よりも筒長の長い筒状充填材を挿着した支圧接合ボルトであり、重ね合わせた被接合部材のボルト孔に挿通してボルト締結時に、ボルト頭部とナット間の締付力で、ボルト軸部とボルト孔間の前記筒状充填材に座屈による変形を付与することで、ボルト軸部とボルト孔間のクリアランスを充填する構造を有することを特徴とする支圧接合ボルト。
(6)前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面の筒状形成体であることを特徴とする前記(5)に記載の支圧接合ボルト。
(7)前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、側面にスリットを有する筒状形成体であることを特徴とする前記(5)に記載の支圧接合ボルト。
(8)前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、円周方向に多数の突起(突条)を有する筒状形成体であることを特徴とする前記(5)に記載の支圧接合ボルト。
本発明でいう筒状充填材は、ボルト・ナットや被接合部材の材料より座屈や拡径などの変形を付与しやすく、ボルト・ナットや被接合部材の材料特性、ナット締付力またはボルト軸部の押込力に応じて、支圧接合部としての耐力を補強・強化できる特性を有する材料からなる筒体または側端非接合の筒状形成体で形成するものである。以下「筒状充填材」という。
例えば、この筒状充填材をナットの締付力で座屈変形させる場合では、ボルト・ナットや被接合部材より若干低度(低強度)の特性を有する材料を選択し、筒状充填材が側端非接合で、ボルト軸部の押込力で拡径変形させる場合には、ボルト・ナットや被接合部材の材料と同程度、またはそれ以上の特性を有する材料を選択することもできる。
本発明の支圧接合部では、筒状充填材を、ボルト軸部とボルト孔間に介在させ、ボルト締結時に締付力またはボルト軸部の押込力などによってボルト孔とボルト軸部間で座屈や拡径の変形を付与して、ボルト軸部とボルト孔間のクリアランスを充填してボルトをボルト孔内に強固に拘束でき、ボルトとボルト孔面間のクリアランスに起因する、部材間のずれや初期すべり、あるいはナットの緩みなどによる接合部性能の低下要因を、安価で簡易に排除して接合部性能の良好な支圧接合を安定確保できる。
従来、支圧接合は、主として、軽微な部材の接合や金物の接合に適用されてきたが、本発明によって、支圧接合の適用幅を拡大することが可能である。
本発明の支圧接合部は、例えば建築鋼構造物を構築する場合において、部材や部材による組立部材の接合に用いるもので、ボルト軸部と接合対象となる部材のボルト孔間に、従来レベルのクリアランスがあることを前提とするものである。
本発明の支圧接合部で用いるボルトは、基本的には、一般的な強度レベルのボルト・ナット(座金使用もあり)で、ボルト軸部に、筒状充填材を挿通して、この筒状充填材をボルト軸と部材のボルト孔間に介在させ、この筒状充填材に、ボルト頭部とナット間の締付力またはボルト軸部の押込力によってボルト軸部とボルト孔間で座屈や拡径などの変形を付与することにより、ボルト軸部とボルト孔間のクリアランスを充填して、ボルトをボルト孔内に強固に拘束するものである。
筒状充填材に拡径変形を付与する場合には、ボルト軸部の先端部に外径傾斜部を形成するなど、ボルト軸部を筒状充填材に押し込み、径を押し広げられる形状を考慮する。
このようにして、支圧接合部での部材間のずれや、初期すべりなどの接合部性能の低下を容易に防止して、安定した支圧接合部を確保することができる。
本発明の支圧接合部で用いる筒状充填材は、主として円形断面または多角形断面の筒体(薄肉の短管)や、円形断面または多角形断面の側端非接合の筒状形成体などからなる。側端非接合の筒状形成体を筒状充填材として用いた場合には、ボルト軸径やボルト孔径に対して、径の弾性的な調整が容易であり、ボルト軸部に挿着前の筒状形成体の仮想内径を、ボルト軸部径より小径にして、ボルト軸部に挿着した状態では、この小径部をボルト軸部に圧着させるようにしたり、あるいは、ボルト軸部に挿着前の状態で仮想内径が、ボルト軸部先端側でボルト軸部径より小径で、ボルト軸部に挿着した状態で該小径部がボルト軸部に圧着して、ボルト孔に挿通した状態では頭部側をボルト孔に圧着されるようにすることにより、ボルト軸部をボルト孔に挿通・保持可能にすることができ、接合部位、接合姿勢、施工手順などによっては、有利になる場合がある。
筒状充填材として、円形断面または多角形断面の筒体や、側端非接合の筒状形成体を用いる場合に、ナットによる締付力や、ボルト軸部の押込力で、安定した座屈や拡径などの変形を円滑に付与できるように、筒体や筒状形成体の側部に複数のスリット、薄厚部、突起(または溝)などを形成することも考慮できる。
また、筒状充填材を、複数の楔状分割片をスライド可能に係合して長さを伸縮して径を拡縮する楔機構を有するものにして、ボルト締結時に、ボルト頭部とナットによる締付力で前記楔状分割片を楔機構で長さを縮小して円滑に拡径できるようにすることも有効である。この場合、この筒状形成体を安定した形状に保持して、ハンドリング、施工を簡易にするために、この筒状形成体をボルト軸部外周に形成する際には、この筒状形成体の外周面に側端非接合のガイド筒を当接することを考慮することができる。
本発明の支圧接合部で用いる支圧接合ボルトは、基本的には、一般的な強度レベルのものであるが、せん断抵抗体として要求される強度と、ボルト頭部とナット間での締付力またはボルト軸部の押込力で筒状充填材に座屈や拡径の変形を円滑に付与できる形状と強度を有する必要がある。
また、この支圧接合ボルトは、接合対象の部材(添板や接合金物を用いる場合にはそれも含む)の特性(強度)と同じ程度以上の特性を有するものであることが、より好ましい。以下に本発明の形態例を説明する。
[形態例1]
本発明の支圧接合部(例)の形態例1(筒状充填材に座屈変形を付与)を模式図である図1、図2に基づいて説明する。この形態例1は、引張強さが500MPa級の厚鋼板1、1を接合対象としたものである。
図1(a)は、双方の厚鋼板1、1接合部を重ね合わせ、双方のボルト孔1oに、長さL(厚鋼板1の厚さt+厚鋼板1の厚さt+座屈代pa)の筒状充填材2を外径dにして挿着した支圧接合ボルト3(以下「ボルト3」と略称する。)を挿通し、その頭部側とナット4側の座金5a、5b間で筒状充填材2を保持して支圧接合ボルト3にナット4を螺合した状態を側断面図で示し、図1(b)は、図1(a)のAa−Ab矢視断面図を示す。
ここで、ボルト3軸部に挿着した筒状充填材2とボルト孔1o間には、クリアランスがあり、ボルト3頭部とナット4間での締付け力で、ボルト3軸部とボルト孔1o間の筒状充填材2を座屈代pa分圧縮して座屈変形を付与してクリアランスを充填するものである。
図2(a)は、図1(a)の状態から、ボルト3頭部とナット4間の締付力により、筒状充填材2を、ボルト孔1oとボルト3軸部間で座屈変形を付与して、ボルト孔1oとボルト3軸部間のクリアランスを充填して支圧接合部を完成させた状態を側断面図で示し、図2(b)は、図2(a)のBa−Bb矢視断面図を示す。
筒状充填材2をボルト孔1oとボルト3軸部間で座屈変形させることによって、筒状充填材2の見掛け上厚さは、2tから2txに増厚してボルト3軸部とボルト孔1o間のクリアランスを充填してボルト3軸部をボルト孔1o内に強固に拘束し、厚鋼板1、1のずれや、初期すべりなどの接合部性能の低下を容易に防止して、安定した接合部を確保することができる。
なお、ここで用いたボルト3は、図3に示すように、一般構造用ボルト(ここでは引張強さが1000MPa級の鋼材からなるもの。)で、円形断面の筒体からなる筒状充填材2を挿着して、重ね合わせた接合対象厚鋼板1と厚鋼板1のボルト孔1oに挿通し、ナット4を螺合して締め付け、この時の締付力で、筒状充填材2をボルト孔1oとボルト3軸部間で座屈変形させて、ボルト孔1oとボルト3軸部間のクリアランスを充填して支圧接合部を形成する。
ここで用いた筒状充填材2は、図4(b)に示すように、長さLの側端非接合の円形断面の筒状体形成体からなるものであり、図3に示すように、ボルト3軸部に押し込み挿着しておくことができる。この筒状充填材2は、ここでは引張強さが400MPa級の軟鋼材からなり、ボルト3頭部とナット4間の締付力により円滑に座屈変形を付与することができるものである。
一般には、支圧接合部における接合部耐力は、ボルト3軸部のせん断耐力と厚鋼板1、1の支圧耐力によって決まるが、この形態例1の支圧接合部では、座屈変形後の筒状充填材2によって、ボルト3軸部のせん断耐力および厚鋼板1、1の支圧耐力補強に寄与するとともに、ボルト3軸部をボルト孔1o内に強固に拘束することができ、厚鋼板1、1のずれや、初期すべりなどの接合部性能の低下を容易に防止して、接合部耐力をより安定的に確保することができる。
[形態例2]
本発明の支圧接合部(例)の形態例2(筒状充填材2に拡径変形を付与)を模式図である図5〜図7に基づいて説明する。この形態例2は、引張強さが500MPa級の厚鋼板1、1を接合対象としたものである。
図5(a)は、双方の厚鋼板1、1の接合部を重ね合わせ、双方のボルト孔1oに、図4(b)に示すような側端非接合の筒状形成体からなる筒状充填材2を、図7に示すように厚鋼板1、1の厚さ領域に対する大径部11aと外径傾斜部(外径減少部)11bと小径部(ねじ形成部)11cを形成した支圧接合ボルト11(以下「ボルト11」と略称する。)軸部に、外径dにして挿着した状態を示している。ここでは筒状充填材2はボルト11軸部の小径部11cに挿着し、ボルト11とともに厚鋼板1、1のボルト孔1oに挿通を開始した状態を側断面図で示し、図5(b)は、図5(a)のCa−Cb矢視断面図を示す。
筒状充填材2は、ボルト11軸部の押込力で円滑に拡径変形させ、ボルト孔1oとボルト11軸部間のクリアランスを充填するもので、長さLxは、厚鋼板1の厚さt+厚鋼板1の厚さtと概ね同じにしたものである。
図6(a)は、図5(a)の状態から、ボルト11軸部を、外径傾斜部11bの効果で筒状充填材2を押し拡げながらボルト孔1oに押し込み、その押込力で外径d′に拡径変形させて外周面をボルト孔1oとボルト11軸の大径部11aに圧着させ、ボルト孔1oとボルト11軸の大径部11a間のクリアランスを充填して支圧接合部を完成させた状態を側断面図で示し、図6(b)は、図6(a)のDa−Db矢視断面図を示す。
この形態例2では筒状充填材2をボルト11の押込力で拡径して、ボルト孔1oとボルト11軸部の大径部11aに圧着せることによって、ボルト11軸の大径部11aと厚鋼板1と厚鋼板1のボルト孔1o間のクリアランスを充填し、ボルト11軸部の大径部11aをボルト孔1o内に強固に拘束し、厚鋼板1、1のずれや、初期すべりなどの接合部性能の低下を容易に防止して、安定した支圧接合部を確保することができる。
なお、ここで用いたボルト11は、引張強さが1000MPa級の一般構造用ボルトであり、筒状充填材2は、引張強さが400MPa級の軟鋼材からなる。
一般には、支圧接合部における接合部耐力は、ボルト11軸部のせん断耐力と厚鋼板1、1の支圧耐力によって決まるが、この形態例2の支圧接合部では、拡径変形後の筒状充填材2によって、ボルト11軸部の大径部11aのせん断耐力および厚鋼板1、1の支圧耐力補強に寄与するとともに、ボルト11軸部をボルト孔1o内に強固に拘束することができ、厚鋼板1、1のずれや、初期すべりなどの接合部性能の低下を容易に防止して、支圧接合部耐力をより安定的に確保することができる。
[筒状充填材2の条件]
前記の形態例1、2において、筒状充填材2がその機能を効率的に果たすためには、例えば下記(1)〜(3)の条件を満たしていることが好ましい。これらの条件は、厚鋼板1、1条件、ボルト3、11(ナット、座金を含む)条件、締付力または押込力、許容耐力、要求最大耐力などに応じて選択するものである。
(1)長さL
「座屈変形を付与する場合」
形態例1の場合、厚鋼板1の厚さtと1の厚さtの合計厚さより座屈代Pa分長くする。これは、筒状充填材2をボルト3とナット4間で締付け座屈変形を付与するために必要であり、座屈変形付与によってボルト3を十分に拘束できる長さである必要な長さである。(ここでは、筒状充填材2の長さLは厚鋼板1の厚さ+厚鋼板1の厚さの1.2〜1.7程度あればよい。この長さLは、座屈変形の付与を完了した状態(図2(a)参照)、Lxに変化する。この時、基本的には、厚鋼板1と厚鋼板1に摩擦接合の場合のような締付力は作用させない。
「拡径変形を付与する場合」
形態例2の場合、厚鋼板1の厚さtと1の厚さtの合計厚さと同じ程度または若干短いものでもよい。
(2)厚さ2t:0.5〜1.5mm程度(図1参照)。
「座屈変形を付与する場合」
形態例1の場合で、ボルト3の締付けで容易に座屈変形を付与する必要があるため、標準的なボルト孔1o径の場合で、座屈変形を付与してボルト孔1oとボルト3軸との間のクリアランスを充填できる厚さがあればよい。座屈変形を付与した後の見掛け上の厚さを増厚してクリアランスを充填できるようにする。
「拡径変形を付与する場合」
形態例2の場合、ボルト11軸部の押込力で、筒状充填材2に円滑に拡径変形を付与して、ボルト11軸部の大径部11aとの間のクリアランスを充填できる厚さがあればよい。ただし、図4(f)、(f′)に示すように、楔機構を有する筒状形成体で筒状充填材を形成する場合には、筒状充填材自体で応力を伝達するので、作用する応力に耐えられる厚さとする。
(3)筒状充填材2をボルト孔1oに挿通時の隙間:0.5〜1mm程度。
ボルトに挿着した筒状充填材2をボルト孔1o間に円滑に配置(挿通)するために必要である。なお、上記の筒状充填材2は、一般的な製管法や冷間成形などによって容易に量産可能である。
本発明で用いる支圧接合ボルトとしては、前記の形態例1、2で用いた図3や図7に示すような一般構造用ボルト3、11が主体であるが、他の支圧接合ボルトを用いることもできる。また、これらのボルトの軸部に挿通して用いる筒状充填材としては、例えば図4(a)〜(f′)に示すようなものを用いることができる。
前記の形態例1、2では、図4(b)に示すような側端非接合の筒状形成体からなる筒状充填材2で示したが、例えば以下に示すような他の異なる筒状充填材2、2、2、2、2などを用いることもでき、付与する変形が座屈変形か拡径変形かによって、選択使用することができる。
図4(a)は、円形断面(または多角形断面でも可)の筒体(短管)からなる筒状充填材2である。
図4(c)は、円形断面(または多角形断面でも可)で、側端非接合で、ボルトに挿着前の状態で仮想内径がボルト先端部側でボルト軸径よりやや小径であり、ボルトに挿着した状態で、この小径部がボルト軸に圧着され、ボルト孔に挿通した状態では頭部側の大径部がボルト孔に圧着されるようにした筒状充填材2である。
この筒状充填材2を挿通する支圧接合ボルトの場合は、仮想内径をボルトの軸部径より僅かに小さくして、ボルトに容易に圧入してボルト孔に挿入して保持させておくことがで容易であることから、ボルトを予め一方の側からボルト孔に挿入して保持させ、他方の側でナットを螺合して締付けるなどの接合施工ができ、閉断面の組み立て部材の接合や、両側で同時作業ができないような部位の接合を行う場合などに施工上有利になる場合がある。
図4(d)は、円形断面(または多角形断面でも可)で、側端非接合で中央部領域の側部に複数のスリット2sを設けた筒状形成体からなる筒状充填材2である。この筒状充填材2の場合では、側面にスリット2sがあるので、ナットの締付力による座屈変形やボルト押込力による拡径変形を容易に安定確保できる。
図4(e)は、側端非接合で側部に複数の突起(突条)2kを形成(同時に溝2cを形成)した筒状形成体からなる筒状充填材2である。この筒状充填材2の場合、突条2kと溝2cが同時に形成されているので、特に拡径変形を容易に安定確保でき、突条2kによって強度を確保できる。
図4(f)は、複数(対)の楔状分割片2aと2bを係合してスライドさせて長さをL−Ly範囲で拡縮して径を可変にする筒状形成体からなる筒状充填材2である。この筒状充填材2の場合には、ボルトに挿着する場合に筒状充填材2としての形状を安定させ拡径変形の付与を円滑にするために、図4(f′)に示すように、外周面に側端非接合のガイド筒2zを挿着することが有効である。
本発明を適用する建築鋼構造物の分野の支圧接合部としては、上記形態例1、2以外に、例えば、
(1)図8に示すように、厚鋼板1、1を接合対象として、接合部を微小間隙aを生じるように突き合わせ、突き合わせた厚鋼板1、1に跨がって、上下面に当接した添板6(添板が1枚でも可)を介してボルト3で接合する支圧接合部。(ここでは、筒状充填材2を使用した本発明適用の場合で示した。)
(2)図9に示すように、H形鋼梁7、7を接合対象として、軸方向に突き合わせたウェブ7uどうしをスプライスプレート8を介してボルト3で接合する支圧接合部。
(3)図10に示すように、大梁9に小梁10を直交配置してウェブ9u、10uどうしをL形接合金物12を介してボルト3で接合する支圧接合部。ただし、この場合は、小梁10側がボルト3による支圧接合部になり、大梁9側はボルト13による引張接合部になる。
などが代表的なものである。
なお、前記図8〜図10では、支圧接合ボルトをボルト3で示しているが、前記形態例2のボルト11や他の支圧接合ボルトを用いることができる。
なお、本発明の支圧接合部は、主として、建築鋼構造物に用いる部材の支圧接合に適用するものであるが、接合部位に要求される接合部特性に応じて、一部の接合部位にのみ適用して、本発明以外のボルト摩擦接合部やボルト引張接合部を併用して建築鋼構造物を構築することができる。
本発明は上記の形態例の内容に限定されるものではなく、適用する接合部位に要求される接合部特性に応じて、用いるボルトの形式、引張強さ、ボルト本数、締付力または押込力、筒状充填材の材質、引張強さ、形状(サイズを含む)などの条件を、請求項を満足する範囲内で変更するものである。
なお、ここでの支圧接合接合とは、摩擦接合において、すべりが発生し、支圧接合状態になった場合も含むものである。
本発明の支圧接合部の実施形態例1を示す側断面説明図で、(a)図は、支圧接合ボルト・ナット締付け前の状態の支圧接合部を示す説明図、(b)図は、(a)図のAa−Ab矢視説明図。 (a)図は、図1(a)の状態から支圧接合ボルト・ナット締め付けを完了した状態の支圧接合部を示す、(b)図は、(a)図のBa−Bb矢視説明図。 実施形態例1で用いた支圧接合ボルト(セット)を示す側面説明図。 本発明で用いる各種の筒状充填材の形状(構造)例を示す説明図で、(a)図〜(f)図は立体説明図、(f′)図は、(f)図の筒状充填材を使用する場合の付加構造例での下面側の平面説明図。 本発明の支圧接合部の実施形態例2を示す側断面説明図で、(a)図は、支圧接合ボルト・ナット締付け前の状態の支圧接合部を示す説明図、(b)図は、(a)図のCa−Cb矢視説明図。 (a)図は、図5(a)の状態から支圧接合ボルト・ナット締め付けを完了した状態の支圧接合部を示す、(b)図は、(a)図のDa−Db矢視説明図。 実施形態例2で用いた支圧接合ボルト(セット)を示す側面説明図。 本発明を適用する他の支圧接合(部位)例(厚鋼板を接合対象)を本発明適用の場合で示す側断面説明図。 本発明を適用する他の支圧接合(部位)例(H形鋼梁のウェブを接合対象)を示す側面説明図。 本発明を適用する他の支圧接合(部位)例(H形鋼による大梁と小梁のウェブを接合対象)を示す側面説明図。 本発明を適用する支圧接合(部位)の一般例(厚鋼板対象)を示す側断面説明図。
符号の説明
、1 厚鋼板 1o ボルト孔
2、2、2、2、2、2 筒状充填材
2c 溝 2k 突起(突条)
2s スリット 2a、2b 楔状分割片
2z ガイド筒 3 支圧接合ボルト
4 ナット 5a、5b 座金
6 添板 7、7 H形鋼梁
7u ウェブ 8 スプライスプレート
9 大梁(H形鋼梁) 9u ウェブ
10 小梁(H形鋼梁) 10u ウェブ
11 支圧接合ボルト 11a 大径部
11b 外径傾斜部 11c 小径部
12 L形接合金物 13 ボルト
aa、ab 部材 ba、bb 添板
c ボルト

Claims (8)

  1. 建築鋼構造物を構築する部材や部材による組立部材の接合に用いられる支圧接合部であって、
    軸部に被接合部材の合計板厚よりも筒長の長い筒状充填材を挿着した支圧接合ボルトを、
    重ね合わせた被接合部材のボルト孔に挿通してボルト締結時に、
    ボルト頭部とナット間の締付力
    ボルト孔とボルト軸部間の前記筒状充填材に座屈よる変形を付与して、
    ボルト軸部とボルト孔間のクリアランスを充填することを特徴とする支圧接合部。
  2. 前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面の筒状形成体であることを特徴とする請求項1に記載の支圧接合部。
  3. 前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、側面にスリットを有する筒状形成体であることを特徴とする請求項1に記載の支圧接合部。
  4. 前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、円周方向に多数の突起(突条)を有する筒状形成体であることを特徴とする請求項1に記載の支圧接合部。
  5. 建築鋼構造物を構築する部材や部材による組立部材の接合に用いられる支圧接合ボルトであって、
    軸部に被接合部材の合計板厚よりも筒長の長い筒状充填材を挿着した支圧接合ボルトであ
    重ね合わせた被接合部材のボルト孔に挿通してボルト締結時に、
    ボルト頭部とナット間の締付力
    ボルト軸部とボルト孔間の前記筒状充填材に座屈による変形を付与することで、
    ボルト軸部とボルト孔間のクリアランスを充填する構造を有することを特徴とする支圧接合ボルト。
  6. 前記筒状充填材が円形断面または多角形断面の筒状形成体であることを特徴とする請求項に記載の支圧接合ボルト。
  7. 前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、側面にスリットを有する筒状形成体であることを特徴とする請求項に記載の支圧接合ボルト。
  8. 前記筒状充填材が、円形断面または多角形断面で、円周方向に多数の突起(突条)を有する筒状形成体であることを特徴とする請求項に記載の支圧接合ボルト。
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