JP2022031213A - 接合構造およびボルト - Google Patents

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Abstract

【課題】ボルトの剪断耐力を利用して、鋼材同士にズレが生じることを抑制することを可能とした接合構造と、この接合構造に使用するボルトとを提案する。【解決手段】重ねられた部材同士をボルト5により接合する接合構造1である。一方の部材にはボルト5の軸部52を挿通し、ボルト5の頭部51を係止可能な貫通孔21が形成されている。他方の部材には、ボルト5の軸部52を螺合可能な雌ネジ部43が形成されている。頭部51の外面には軸部52に近付くにしたがって縮径するテーパーが形成されており、軸部52は雌ネジ部43に螺合する雄ネジ部54と、頭部51と雄ネジ部54との間に形成された剪断変形部55とが形成されている。貫通孔21の内面には、ボルト5の頭部のテーパーと同等のテーパーが形成されている。雌ネジ部43の剪断変形部55に対応する部分の内径は、剪断変形部55の外径よりも大きい。【選択図】図4

Description

本発明は、鋼材同士を接合するための接合構造およびこれに使用するボルトに関する。
従来、鋼材同士を接合する場合に、リベットを利用するのが一般的であった。リベットによる接合構造は、鋼材に形成された孔を熱したリベットで埋めることで、がたつきが生じないように部材同士を接合するものである。孔に隙間なく差し込まれたリベットは剪断力により部材同士を接合する。
ところが、高温に熱したリベットは、慎重に取り扱う必要があるため、高所での作業や不安定な場所での作業では、施工に手間がかかる。また、リベットを熱するための装置を現場に配設する必要があり、費用もかかる。そのため、リベットを利用した接合構造は、早期施工および工事費削減の妨げになっていた。
一方、現在では、鋼材同士の接合構造として、高力ボルトを利用した摩擦接合が一般的に採用されている(例えば特許文献1参照)。摩擦接合では、鋼材同士を重ねた状態で、両鋼材を高力ボルトで締め付けることで、鋼材同士の当接面での摩擦力により接合部におけるズレを抑制している。よって、ボルト孔径よりボルト径が小さくクリアランスがあっても性能上、問題ないので施工誤差を考慮した大きめのクリアランスで施工しているので施工上も問題はない。しかし摩擦接合は、必要な摩擦力を確保するために、摩擦面と締付力を適正に管理する必要があるため、施工に技能や手間がかかる。
特開2018-168653号公報
ボルトによる剪断接合において、鋼材同士の接合は、複数のボルトを利用して接合する必要があるが、製造時の誤差や施工誤差などにより、ボルト孔同士の位置にズレが生じる場合がある。ボルト孔にズレがあると、ボルトを挿入することができなくなる。そのため、ボルト孔を大きくするなど、誤差を吸収可能なクリアランスを確保するのが一般的である。しかしながら、ボルト孔にクリアランスを確保すると、接合部に荷重が作用した際にクリアランス分のズレが生じるおそれがある。接合部においてズレが生じると、構造物に変形が生じてしまう。
本発明は、ボルトによる剪断接合において、鋼材同士にズレが生じることを抑制することを可能とした接合構造と、この接合構造に使用するボルトとを提案することを課題とする。
このような課題を解決する本発明の接合構造は、ボルトの軸部を挿通し当該ボルトの頭部を係止可能な貫通孔が形成された一方の部材と、前記軸部を螺合可能な雌ネジ部が形成された他方の部材とを重ねた状態で接合するものである。ボルトの頭部の外面には軸部に近付くにしたがって縮径する傾斜面が形成されている。また、ボルトの軸部には、雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と前記頭部と前記雄ネジ部との間に形成された剪断変形部とが形成されている。また、前記貫通孔の内面には、前記頭部の傾斜面と同等の傾斜面が形成されている。さらに、前記雌ネジ部の少なくとも前記剪断変形部に対応する部分の最小内径は、前記剪断変形部の最大外径よりも大きい。
かかる接合構造によれば、貫通孔の内面にボルトの頭部を係止可能なテーパー(傾斜面)が形成されていて、この貫通孔は雄ネジ部のネジ径に対して大きな内径を有しているため、貫通孔の中心軸と雌ネジ部の中心軸との位置にズレがあったとしても雄ネジ部を雌ネジ部に螺合しやすい。ボルトは、頭部にテーパー(傾斜面)を有しているため、雌ネジ部に螺合することで、貫通孔の内面に頭部が密着する。このとき、雌ネジ部と貫通孔との位置(中心軸)のズレは、剪断変形部が所要の剪断力により剪断変形することにより吸収する。そのため、接合部に所要の剪断力より小さい外力が作用したとしても、部材同士の間にズレが生じることがない。
このような接合構造に使用するボルトは、外面に軸部に近付くにしたがって縮径するテーパーが形成された頭部と、外面にネジが形成された雄ネジ部、および前記雄ネジ部と前記頭部との間において前記雄ネジ部のネジ山の谷径よりも小さい外径の剪断変形部とが形成されたものであるのが望ましい。前記剪断変形部の外径が、前記雄ネジ部のネジ山の谷径よりも小さければ、雄ネジ部を損傷することなく、剪断変形部において剪断変形することができる。
前記接合構造は、第一鋼管(一方の部材)と、端部に接合鋼板(他方の部材)が固定された第二鋼管とを接合するものであってもよい。このとき、前記接合鋼板は、一部が前記第二鋼管の先端から突出した状態で当該第二の鋼管の内面に固定されていて、前記第一鋼管と前記第二鋼管との端面同士を突き合せることで前記第一鋼管の内面に重ねられた前記接合鋼板を前記第一鋼管に接合する。こうすることで、鋼管同士をがたつきが生じないように接合することができる。
また、第二の発明に係るボルトは、頭部と、軸部とを備えており、前記軸部は、前記頭部側に設けられた基部と、外面にネジが形成された前記基部よりも細い外径の雄ネジ部と、前記雄ネジ部と前記頭部との間に形成されて前記雄ネジ部よりも小さい外径を有する剪断変形部と、前記基部と前記剪断変形部との間に形成されて前記剪断変形部に近付くにしたがって縮径する傾斜面を有するテーパー部とを備えている。前記剪断変形部の外径は、前記雄ネジ部のネジ山の谷径よりも小さくするのが望ましい。
第二の発明に係るボルトを利用した接合構造は、重ねられた部材同士を接合するものであって、一方の前記部材には前記ボルトの軸部を挿通可能な貫通孔が形成されており、他方の前記部材には前記雄ネジ部を螺合可能な雌ネジ部を有するネジ孔が形成されていて、前記ネジ孔の少なくとも前記剪断変形部に対応する部分の最小内径が前記剪断変形部の最大外径よりも大きい。この接合構造では、前記貫通孔または前記ネジ孔の内面に前記テーパー部の傾斜面と同等の傾斜面が形成されているのが望ましい。
本発明の接合構造およびボルトによれば、施工時の手間を低減し、かつ、ボルトの剪断耐力を利用して鋼材同士にズレが生じることを抑制することが可能となる。
(a)は第一実施形態に係る接合構造の一例を示す斜視図であって、(b)は接合構造の分解斜視図である。 第一実施形態の接合構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は断面図である。 (a)は図2(a)のA-A断面図、(b)は図2(a)のB-B断面図である。 (a)は接合構造のボルトを示す拡大断面図、(b)はボルトの頭部を上方から望む平面図である。 接合構造の一部を示す断面図である。 第二実施形態の接合構造を示す断面図である。 図6の分解図である。 貫通孔とボルトの軸部とのクリアランスを示す平断面図である。 (a)はボルトの設置状況を示す断面図、(b)はボルトの設置後を示す断面図である。 他の形態に係る接合構造の例を示す図であって、(a)は側面図、(b)は(a)のD-D断面図、(c)は(a)のE-E断面図である。 (a)は他の形態に係る接合構造の一部を示す拡大断面図、(b)は(a)の分解断面図である。 他の形態に係る接合構造の一部を示す拡大断面図である。 (a)は他の形態に係るボルトを示す側面図、(b)はボルトの頭部を上方から望む平面図である。 (a)はその他の形態に係るボルトを示す側面図、(b)はボルトの頭部を上方から望む平面図である。
<第一実施形態>
第一実施形態では、鋼管柱を構成する鋼管同士の接合構造1について説明する。図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の接合構造1は、上下に配設された同断面の角鋼管(第一鋼管2および第二鋼管3)同士を、互いの端面を突き合せた状態で接合する。第一鋼管2および第二鋼管3は、接合構造1により一体に接合されている。本実施形態の接合構造1は、第一鋼管2(一方の部材)と、第二鋼管3の端部に固定された接合鋼板4(他方の部材)とをボルト5により接合するものである。
図2(a)に示すように、第一鋼管2の下端部(第二鋼管3側の端部)には、各面に上下三段横二列(計六カ所)の貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、図2(b)、図3(a)および図4(a)に示すように、ボルト5の軸部52を挿通し、ボルト5の頭部51を収納した状態で係止可能な形状を有している。すなわち、貫通孔21の最小内径は、ボルト5の軸部52の最大外径である雄ネジ部54の外径よりも2mm(高力ボルト接合で実績のある孔クリアランスであって、ボルト外径が27mm以上では3mm)ほど大きくしておく。図4(a)に示すように、貫通孔21の内面には、傾斜面(テーパー)が形成されている。本実施形態の貫通孔21のテーパーは、勾配の縦横比が5:1(貫通孔21の中心軸に対して11.3°)であるが、貫通孔21の勾配は、貫通孔21の中心軸に対して45°以下、好ましくは10°以上30°以下であれば限定されるものではない。
図2(b)に示すように、第二鋼管3の上端部(第一鋼管2側の端部)の内面には、接合鋼板4が固定されている。接合鋼板4は、第二鋼管3の内面に基部41が固定されていて、その他の部分(突出部42)が第二鋼管3の先端から突出している。また、第二鋼管3の上端部の各面には、それぞれ2本ずつスリット31,31が形成されている。スリット31は、図2および図3(b)に示すように、接合鋼板4を第二鋼管3の内面に溶接するための溝である。本実施形態のスリット31の長さ(第二鋼管3の軸方向に沿った長さ)は、接合鋼板4の基部41の長さ以下とする。なお、スリット31の幅および長さは限定されるものではなく、接合鋼板4を一体に固定することが可能な形状を確保する寸法とする。
接合鋼板4は、図2(b)に示すように、第一鋼管2と第二鋼管3との内面に重ねられた状態で、両鋼管にまたがって配設されている。図3(a)および(b)に示すように、本実施形態では、第二鋼管3の各面にそれぞれ接合鋼板4が固定されている。接合鋼板4の基部41は、スリット31を利用して、第二鋼管3の内面に溶接されている。すなわち、接合鋼板4は、第二鋼管3の内面に当接させた状態で、スリット31により外側に露出した部分を、図3(b)に示すように、スリット31との角部に対して第二鋼管3の外側から溶接する。また、四枚の接合鋼板4,4,…は、縁同士の当接部(側面同士により形成された角部)において溶接されていて、筒状を呈している。なお、鋼管の精度に対応するため、接合鋼板4の基部41と第二鋼管3の内面は(1mm程度)隙間を空けて溶接してくとよい。また、接合鋼板4同士は、必ずしも溶接する必要はない。
図1(b)および図2(b)に示すように、接合鋼板4の突出部42には、上下三段横二列(計六カ所)の雌ネジ部43,43,…が形成されている。雌ネジ部43は、第一鋼管2の貫通孔21の位置に対応しており、第一鋼管2と第二鋼管3との端面同士を突き合せると、接合鋼板4の雌ネジ部43と第一鋼管2の貫通孔21とが連通する。図4(a)に示すように、雌ネジ部43の内面には、ボルト5の雄ネジ部54を螺合可能な雌ネジが全長(接合鋼板の厚さ方向の長さ)にわたって形成されている。
ボルト5は、図4(a)に示すように、貫通孔21に係止される頭部51と、雌ネジ部43に螺合される軸部52とを備えている。
頭部51の外面には、軸部52に近付くにしたがって縮径する傾斜面(テーパー)が形成されている。頭部51の外面に形成されたテーパーの勾配は、貫通孔21のテーパー(内壁面)の勾配と同等(縦横比が5:1)とする。また、頭部51のテーパーの長さは、貫通孔21のテーパーの長さと同等する。すなわち、ボルト5の頭部51は、貫通孔21に挿入した状態で、略全体が、貫通孔21に収まる形状を有している。頭部51には、図4(b)に示すように、上面に開口する平面視六角形状の凹部(六角穴)53が形成されている。ボルト5は、凹部53を利用して、六角棒レンチなどの工具による締め付けが可能である。
軸部52には、図4(a)に示すように、外面にネジ(雄ネジ)が形成された雄ネジ部54と、雄ネジ部54と頭部51との間に形成された剪断変形部55とが形成されている。
剪断変形部55の外面には雄ネジを有しておらず、剪断変形部55の外径は、雄ネジ部54の谷径よりも小さくする。そのため、剪断変形部55の外径は、雌ネジ部43の内径よりも小さい。すなわち、軸部52の軸心と、雌ネジ部43の軸心とが一致した状態でボルト5を雌ネジ部43に螺合すると、剪断変形部55の外面と雌ネジ部43との間に、剪断変形部55の外径を雄ネジ部54の谷径よりも小さくした寸法の隙間が形成される。剪断変形部55と雌ネジ部43との隙間の大きさは、隣り合う雌ネジ部43同士の孔間寸法P2と隣り合う貫通孔21同士の孔間寸法P1との差の1/2程度とするのが望ましい(図5参照)。
接合構造1は、まず、第二鋼管3の端部に接合鋼板4の基部41を溶接する。接合鋼板4は、施工個所において所定の位置に建て込まれた第二鋼管3の上端に溶接してもよいし、予め第二鋼管3の端部に溶接してから、第二鋼管3を所定の位置に建て込んでもよい。次に、第二鋼管3の上方から第一鋼管2を接合する。第二鋼管3の端面を第一鋼管2の端面に突き合せるとともに、第二鋼管3に固定された接合鋼板4の突出部42を第一鋼管2の内空に挿入する。突出部42が第一鋼管2の内部に挿入されることで、突出部42が第二鋼管3の内面に添接された状態となる。続いて、貫通孔21を貫通させたボルト5の軸部52を雌ネジ部43に締結することにより、第一鋼管2と第二鋼管3(接合鋼板4)とを固定する。
図5に示すように、隣り合う貫通孔21同士の孔間寸法P1の大きさと、隣り合う雌ネジ部43同士の孔間寸法P2の大きさとに差がある場合であっても、剪断変形部55においてボルト5が変形することで、ボルト5の頭部51が貫通孔21の内面に密着した状態で、第一鋼管2と接合鋼板4(第二鋼管3)を接合できる。すなわち、雌ネジ部43より小さく、雌ネジ部43の内径との間に隙間を有した剪断変形部55において変形することで、貫通孔21と雌ネジ部43との間の寸法差を吸収することができる。このとき、剪断変形部55では、貫通孔21同士の孔間寸法P1と雌ネジ部43同士の孔間寸法P2との差の1/2である調整寸法ΔT(=(P1-P2)/2)分の変位が生じることで、ズレを吸収する。
本実施形態の接合構造1によれば、ボルト5の頭部51のテーパーと同形状のテーパーが貫通孔21の内面に形成されているため、ボルト5の頭部51が貫通孔21に係止されて、ボルト5と第一鋼管2との間での力の伝達が確保されている。一方、雌ネジ部43にボルト5の軸部52を締結することで、ボルト5と接合鋼板4との間で力の伝達が可能となる。その結果、第一鋼管2と接合鋼板4は、ボルト5を介して力の伝達が可能に接合される。また、接合鋼板4は、第二鋼管3に溶接されているため、第一鋼管2と第二鋼管3とが接合鋼板4を介して接合される。第一鋼管2と接合鋼板4(第二鋼管3)は、部材同士の摩擦力により接合されるのではなく、ボルト5の剪断耐力により接合されるため、高力ボルト摩擦接合のように、締付力による部材同士の摩擦力で接合されるのではなく、ボルト5の剪断力により比較的簡易に接合することができる。
また、貫通孔21は、ボルト5の軸部52に対して、施工実績のある高力ボルトのクリアランス以上ほど大きな内径を有しているため、貫通孔21の中心軸と雌ネジ部43の中心軸との位置にズレがあったとしてもボルト5を雌ネジ部43に螺合しやすい。また、雌ネジ部43と貫通孔21との位置(中心軸)のズレは、剪断変形部55が剪断変形することにより吸収するため、施工時や部材製造時に誤差が生じた場合であっても、ボルトの締結が可能である。
高力ボルト摩擦接合では、大地震などにより摩擦力を超える過剰な力が加わったとき、孔クリアランスの滑りが生じて構造物に変形や衝撃が加わるので、耐力計算をして割り増しが必要になる。一方、本実施形態の接合構造1では、孔クリアランスが無いので、ボルト鋼材の許容剪断強度を超える力が加わっても鋼材の靱性(力を保持しながら伸びる性質)により耐力を維持するので滑り現象のある摩擦接合より安定している。
第一鋼管2と接合鋼板4は、ボルト5を介して応力の伝達が可能に接合されるため第一鋼管2と接合鋼板4とが必ずしも摩擦接合のように密着している必要はない。そのため、鋼管(第一鋼管2または第二鋼管3)の形状と接合鋼板4の形状との関係により第一鋼管2と接合鋼板4との間にわずかな隙間が形成された場合であっても、接合性を確保できる。
剪断変形部55の外径が雄ネジ部54の谷径よりも小さいため、剪断変形部55において剪断変形しやすくなる。貫通孔21と雌ネジ部43との間にズレが生じている場合であっても、剪断変形部55が先行して剪断変形(弾性変形~塑性変形)するとき、最大剪断強度に達することを想定して、ボルト5の他部位や、貫通孔21または雌ネジ部43が損傷しないように設計しておく。また、第一鋼管2と接合鋼板4との間でズレが生じる力に対して、剪断変形部55の弾性範囲の剪断力で設計しておくとよい。
貫通孔21は、ボルト5の頭部51が、貫通孔21のほぼ全体が収まるため、第一鋼管2の外面からボルト5がほぼ突出しない。
また、ボルト5の頭部51の外面が貫通孔6の内面に密着しているため、緩み難い。
貫通孔21のテーパーがボルト5挿入時のガイドとして機能する。
また、テーパーの勾配を縦横比が5:1(貫通孔21の中心軸に対して45°以下、好ましくは10°以上30°以下)にすることで、ボルト5を締め込みつつ、テーパーに追って剪断変形部55を剪断変形させることができる。なお、テーパーの角度が大きすぎると、ボルト5の締め込み力に対して、水平力が小さくなるので剪断変形部55の剪断変形が難くなる。
<第二実施形態>
第二実施形態では、図6に示すように、重ねられた部材同士(第一部材20と第二部材40)をボルト50により接合する接合構造10について説明する。
図7に示すように、第一部材20には、ボルト50の軸部52を挿通可能な貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、図8に示すように、軸部52(基部57)に対して所定のクリアランス(本実施形態では0.4mm:相互ズレ±0.2mm)を確保している。
また、第二部材40には、図7に示すように、ボルト50の雄ネジ部54を螺合可能な雌ネジ部43を有するネジ孔が形成されている。ネジ孔(雌ネジ部43)の上端部(第一部材側端部)の内面には、傾斜面が形成されている。なお、本実施形態の第二部材40は、第一部材20よりも大きな部材厚を有しているが、第一部材20および第二部材40の部材厚の大小は限定されるものではなく、例えば、同一の厚さであってもよい。
ボルト50は、図6および図7に示すように、第一部材20に係止される頭部51と、雌ネジ部43に螺合される軸部52とを備えている。
頭部51は、貫通孔21の外径よりも大きな幅を有している。本実施形態のボルト50は、平面視六角形状の頭部51を有したいわゆる六角ボルトであるが、頭部51の形状は限定されるものではなく、例えば上面に開口する平面視六角形状の凹部(六角穴)53が形成されいわゆる六角穴付きボルトであってもよい。
軸部52は、図6および図7に示すように、頭部51側に設けられた基部57と、外面にネジが形成された基部57よりも細い外径の雄ネジ部54と、雄ネジ部54と頭部51との間に形成されて雄ネジ部54よりも小さい外径を有する剪断変形部55と、基部57と剪断変形部55との間に形成されて剪断変形部55に近付くにしたがって縮径する傾斜面を有するテーパー部58とを備えている。
本実施形態の剪断変形部55は、雄ネジ部54の基部57側の端部に形成されている。剪断変形部55は、ネジ孔(雌ネジ部43)に挿入される位置に形成されている。
剪断変形部55の外面には雄ネジを有しておらず、剪断変形部55の外径は、雄ネジ部54の谷径よりも小さくする。そのため、剪断変形部55の外径は、雌ネジ部43の内径よりも小さい。すなわち、軸部52の軸心と、雌ネジ部43の軸心とが一致した状態でボルト5を雌ネジ部43に螺合すると、剪断変形部55の外面と雌ネジ部43との間に、剪断変形部55の外径を雄ネジ部54の谷径よりも小さくした寸法の隙間が形成される。
テーパー部58は、ネジ穴(雌ネジ部43)の内面に形成された傾斜面と同等の傾斜面からなる。
なお、本実施形態では、ボルト50の頭部51と第一部材20との間に皿バネ座金8を介設する。皿バネ座金8は、ボルト50の基部57を挿通可能である。
接合構造1は、まず、第一部材20と第二部材40とを重ね合わせる。このとき、第一部材20の貫通孔21の中心と第二部材40のネジ孔(雌ネジ部43)の中心とがずれている場合がある。続いて、図9(a)および(b)に示すように、貫通孔21を貫通させたボルト50の雄ネジ部54を雌ネジ部43に締結することにより、第一部材20と第二部材40とを固定する。
貫通孔21よりも小さい外径の雄ネジ部54を雌ネジ部43に螺合すると、図9(a)に示すように、テーパー部58が貫通孔21の縁に当接する。
ボルト50の締め付け力による水平矯正力により貫通孔21の中心軸と雌ネジ部43の中心軸の位置調整をすることで、クリアランスが小さい(0.4mm)の貫通孔21に基部57が挿入される。
このように、第一部材20の貫通孔21の中心軸と第二部材40のネジ穴の中心軸との間にズレがある場合であっても、テーパー部58が貫通孔21の縁に当接しつつ剪断変形部55においてボルト5が変形することで、基部57が貫通孔21内に誘導されて、基部57が貫通孔21の内面に密着した状態で、第一部材20と第二部材40とを接合できる。すなわち、雌ネジ部43より小さく、雌ネジ部43の内径との間に隙間を有した剪断変形部55において変形することで、ズレを吸収する。
本実施形態の接合構造1によれば、ボルト50の基部57が貫通孔21の内面に密着するため、ボルト50と第一部材20との間での力の伝達が確保されている。一方、雌ネジ部43にボルト50の軸部52(雄ネジ部54)を締結することで、ボルト50と第二部材40との間で力の伝達が可能となる。その結果、第一部材20と第二部材40は、ボルト50を介して力の伝達が可能に接合される。第一部材20と第二部材40は、部材同士の摩擦力により接合されるのではなく、ボルト50の剪断耐力により接合されるため、高力ボルト摩擦接合のように、締付力による部材同士の摩擦力で接合されるのではなく、ボルト50の剪断力により比較的簡易に接合することができる。
また、雌ネジ部43と貫通孔21との位置(中心軸)のズレは、剪断変形部55が剪断変形することにより吸収するため、施工時や部材製造時に誤差が生じた場合であっても、ボルトの締結が可能である。また、剪断変形部55が剪断塑性変形することで、貫通孔21や雌ネジ部43等の損傷を防止する。剪断変形部55の剪断強度は、貫通孔21の許容支圧強度および雌ネジ部43の許容剪断強度よりも小さくし、一様伸びの範囲(最大強度以内)とすることで、剪断変形部55が損傷することなく復元して、所要の許容剪断力を維持することができる。
高力ボルト摩擦接合では、大地震などにより摩擦力を超える過剰な力が加わったとき、孔クリアランスの滑りが生じて構造物に変形や衝撃が加わるので、耐力計算をして割り増しが必要になる。一方、本実施形態の接合構造10では、孔クリアランスが無いので、ボルト鋼材の許容剪断強度を超える力が加わっても鋼材の靱性(力を保持しながら伸びる性質)により耐力を維持するので滑り現象のある摩擦接合より安定している。
第一部材20と第二部材40は、ボルト50を介して応力の伝達が可能に接合されるため第一部材20と第二部材40とが必ずしも摩擦接合のように密着している必要はない。そのため、第一部材20と第二部材40との間にわずかな隙間が形成された場合であっても、接合性を確保できる。
剪断変形部55の外径が雄ネジ部54の谷径よりも小さいため、剪断変形部55において剪断変形しやすくなる。貫通孔21と雌ネジ部43との間にズレが生じている場合であっても、剪断変形部55が先行して剪断変形(弾性変形~塑性変形)するとき、最大剪断強度に達することを想定して、ボルト50の他部位や、貫通孔21または雌ネジ部43が損傷しないように設計しておく。また、第一部材20と第二部材40との間でズレが生じる力に対して、剪断変形部55の弾性範囲の剪断力で設計しておくとよい。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、角鋼管同士を連結する場合について説明したが、接合構造1に接合する部材は限定されるものではなく、例えば、図10に示すように、円形断面の鋼管同士の連結に本発明の接合構造1を採用してもよい。このとき、接合鋼板4は、鋼管(第一鋼管2および第二鋼管3)の断面形状に応じて弧状を呈している。
また、接合構造1は、鋼管同士の接合(鋼管柱)に限定されるものではなく、例えば、他の鋼材(H形鋼、I形鋼、溝形鋼、鋼板等)同士の接合に採用してもよい。
また、前記実施形態では、雌ネジ部43に雌ネジが形成されている場合について説明したが、雌ネジが形成されたナットを埋め込んでもよい。例えば、図11(a)および(b)に示すように、雌ネジ部43にナット44が挿入可能に構成されていてもよい。このとき、ナット44には、雌ネジ部43の中心軸に対して45°以下、好ましくは10°以上30°以下の角度(例えば、縦横比が5:1)の傾斜面(テーパー)が形成されていて、雌ネジ部43の内面にも同等の勾配の傾斜面(テーパー)が形成されているのが望ましい。こうすることで、ボルト5を締着することで、ナット44が雌ネジ部43に密着し、ボルト5を介して応力が伝達可能な接合構造1を構成することができる。
また、前記実施形態では、ボルト5の剪断変形部55にネジが形成されていない場合について説明したが、図12に示すように、ボルト5の軸部52の全長にわたってネジが形成されていてもよい。このとき、雌ネジ部43には、剪断変形部55の位置に対応して、剪断変形部55の最大外径(ネジの山)よりも大きな内径の拡径部45を形成しておく。こうすることで、剪断変形部55と雌ネジ部43との間に隙間を形成し、剪断変形部55における変形を可能として、貫通孔21と雌ネジ部43とのズレを吸収可能とする。
前記実施形態では、ボルト5の頭部51に工具を挿入可能な凹部(六角穴)53が形成されているものとしたが、ボルト5の形状は限定されるものではない。例えば、図13(a)および(b)に示すように、頭部51の上面にレンチやスパナ等の締付工具を係止可能な平面視多角形状(図13では六角形)の係止部56が突設されていてもよい。
また、ボルト5の頭部51は、図14(a)および(b)に示すように、レンチやスパナ等の締付工具を係止可能な平面視多角形状(図14では六角形)の係止部56を構成していてもよい。このとき、頭部51は、図14(a)に示すように軸部52との境界部に軸部52に近付くにしたがって縮径する傾斜面(テーパー)が形成されている。
前記第二実施形態では、ネジ孔の内面にボルト50のテーパー部58に応じた傾斜面が形成されている場合について説明したが、ボルト50の形状に応じて貫通孔の内面にテーパー部が形成されていてもよい。
1,10 接合構造
2 第一鋼管(一方の部材)
20 第一部材(一方の部材)
21 貫通孔
3 第二鋼管
31 スリット
4 接合鋼板(他方の部材)
40 第二部材(他方の部材)
41 基部
42 突出部
43 雌ネジ部(ボルト孔)
44 ナット
5,50 ボルト
51 頭部
52 軸部
53 凹部
54 雄ネジ部
55 剪断変形部
57 基部
58 テーパー部

Claims (8)

  1. 重ねられた部材同士をボルトにより接合する接合構造であって、
    一方の前記部材には、前記ボルトの軸部を挿通し当該ボルトの頭部を係止可能な貫通孔が形成されており、
    他方の前記部材には、前記軸部を螺合可能な雌ネジ部が形成されていて、
    前記頭部の外面には、前記軸部に近付くにしたがって縮径する傾斜面が形成されており、
    前記軸部には、前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、前記頭部と前記雄ネジ部との間に形成された剪断変形部とが形成されていて、
    前記貫通孔の内面には、前記頭部の傾斜面と同等の傾斜面が形成されており、
    前記雌ネジ部の少なくとも前記剪断変形部に対応する部分の最小内径が、前記剪断変形部の最大外径よりも大きいことを特徴とする、接合構造。
  2. 前記剪断変形部の外径が前記雄ネジ部のネジ山の谷径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の接合構造。
  3. 一方の前記部材が第一鋼管であって、
    他方の前記部材が、第二鋼管の端部に固定された接合鋼板であり、
    前記接合鋼板は、一部が前記第二鋼管の先端から突出した状態で当該第二の鋼管の内面に固定されていて、
    前記第一鋼管と前記第二鋼管との端面同士を突き合せることで前記第一鋼管の内面に重ねられた前記接合鋼板を前記第一鋼管に前記ボルトで接合することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の接合構造。
  4. 頭部と、軸部とを備えるボルトであって、
    前記頭部の外面には、前記軸部に近付くにしたがって縮径する傾斜面が形成されており、
    前記軸部には、外面にネジが形成された雄ネジ部と、前記雄ネジ部と前記頭部との間において前記雄ネジ部よりも小さい外径の剪断変形部と、が形成されていることを特徴とする、ボルト。
  5. 頭部と、軸部とを備えるボルトであって、
    前記軸部は、前記頭部側に設けられた基部と、
    外面にネジが形成された前記基部よりも細い外径の雄ネジ部と、
    前記雄ネジ部と前記頭部との間に形成されて前記雄ネジ部よりも小さい外径を有する剪断変形部と、
    前記基部と前記剪断変形部との間に形成されて前記剪断変形部に近付くにしたがって縮径する傾斜面を有するテーパー部と、を備えていることを特徴とする、ボルト。
  6. 前記剪断変形部の外径が前記雄ネジ部のネジ山の谷径よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載のボルト。
  7. 重ねられた部材同士を請求項5または請求項6に記載のボルトにより接合する接合構造であって、
    一方の前記部材には、前記ボルトの軸部を挿通可能な貫通孔が形成されており、
    他方の前記部材には、前記雄ネジ部を螺合可能な雌ネジ部を有するネジ孔が形成されていて、
    前記ネジ孔の少なくとも前記剪断変形部に対応する部分の最小内径が、前記剪断変形部の最大外径よりも大きいことを特徴とする、接合構造。
  8. 前記貫通孔または前記ネジ孔の内面には、前記テーパー部の傾斜面と同等の傾斜面が形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の接合構造。
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