JP4724503B2 - エポキシ(メタ)アクリレート及びその用途 - Google Patents

エポキシ(メタ)アクリレート及びその用途 Download PDF

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Description

本発明は、例えば紫外線硬化性の塗料等を形成するための原料として用いられるエポキシ(メタ)アクリレート及びその用途に関するものである。
従来、塗料、コーティング剤等に用いられる組成物として、次のような紫外線硬化性組成物や活性エネルギー線硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1及び2を参照)。すなわち、紫外線硬化性組成物は、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマー化合物と、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させて得られる紫外線硬化性ウレタン(メタ)アクリレートと光開始剤とを含有するものである。そして、紫外線硬化性組成物を硬化して得られる塗膜は、耐擦傷性、密着性等の効果を発揮することができる。
また、活性エネルギー線硬化性組成物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有するものである。そして、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られる塗膜は、耐擦傷性を向上させることができる。
特開2001−2744号公報(第2頁及び第9頁) 特開2004−35599号公報(第2頁及び第11頁)
ところが、特許文献1及び2に記載されている紫外線硬化性組成物や活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、ポリカプロラクトンによるソフトセグメントで構成されている。このため、紫外線硬化性組成物や活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は柔軟性が大きくなり過ぎ、自己修復性が低下すると共に、耐擦傷性も低下する。更に、前記紫外線硬化性組成物や活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、ウレタン(メタ)アクリレートを構成する骨格としてイソシアネート基とヒドロキシル基との反応によるウレタン結合を有している。このため、紫外線硬化性組成物や活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は柔軟性が大きくなり、自己修復性が低下し、耐擦傷性も低下するという問題があった。
本発明は、上記の従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。即ち本発明の目的は、硬化物の自己修復性と耐擦傷性を向上させることができるエポキシ(メタ)アクリレート及びその用途を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のエポキシ(メタ)アクリレートは、下記(A)又は(B)で示されるトリカルボン酸と、下記(C)又は(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなることを特徴とするものである。
(A):下記一般式(1)で表される脂肪族トリカルボン酸
Figure 0004724503
但し、Rは水素又は水酸基、a、b及びdは0〜8の整数、cは0〜9の整数で、0≦a+b+c+d≦9かつ〔a<d又は(a=dかつb≦c)〕である。
(B):トリメリット酸
(C):下記一般式(2)で表されるモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレート
Figure 0004724503
但し、Rは水素又はメチル基、nは1〜5の整数、mは1〜3の整数を表す。
(D):下記一般式(3)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレート
Figure 0004724503
但し、Rは水素又はメチル基、sは1〜10の整数を表す。
ことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1に係る発明において、更に、長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物から選択される少なくとも一種の化合物を含有するものである。
請求項4に記載の発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項3に係る発明において、長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物が活性エネルギー線硬化性官能基を有するものである。
請求項5に記載の発明のエポキシ(メタ)アクリレートの硬化物は、請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを硬化させてなることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明の塗膜は、請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを基材の表面に塗工して硬化させてなることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明の塗装物品は、基材と、その表面に請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを塗工して硬化させてなる塗膜とよりなることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明のエポキシ(メタ)アクリレートは、特定のトリカルボン酸と、特定のモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである。このエポキシ(メタ)アクリレートは、従来のポリカプロラクトンによるソフトセグメントやウレタン結合に代えて、トリカルボン酸とモノオキシラン環との付加反応体で構成されている。しかも、トリカルボン酸が3官能であることから、2官能や4官能に比べて重合後の架橋密度が適度なものとなる。従って、エポキシ(メタ)アクリレートは、ソフトセグメントとハードセグメントとのバランスが良く、硬化物の自己修復性と耐擦傷性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを含有するものである。このため、活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することによりエポキシ(メタ)アクリレートが容易に硬化し、得られた硬化物は優れた自己修復性と耐擦傷性を発揮することができる。
請求項3に記載の発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更に長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物から選択される少なくとも一種の化合物を含有している。これらの化合物により、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は表面滑性を有することから、表面に加わる力が緩和され、請求項2に係る発明の効果を向上させることができる。
請求項4に記載の発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物が活性エネルギー線硬化性官能基を有している。従って、請求項3に係る発明の効果に加え、活性エネルギー線硬化性組成物の活性エネルギー線による硬化性を高めることができる。
請求項5に記載の発明のエポキシ(メタ)アクリレートの硬化物は、請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを硬化させてなるものである。従って、エポキシ(メタ)アクリレートの硬化物は、請求項1に係る発明の効果を発揮させることができる。
請求項6に記載の発明の塗膜は、請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを基材の表面に塗工して硬化させてなるものである。従って、この塗膜は、請求項1に係る発明の効果を発揮させることができる。
請求項7に記載の発明の塗装物品は、基材と、その表面に請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを塗工して硬化させてなる塗膜とよりなるものである。従って、塗装物品は、その塗膜について請求項1に係る発明の効果を発揮させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のエポキシ(メタ)アクリレートは、下記(A)又は(B)で示されるトリカルボン酸と、下記(C)又は(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである。(A)で示されるトリカルボン酸と(B)で示されるトリカルボン酸とは、それぞれ単独で用いることができ、また併用することもできる。(C)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートと(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとは、それぞれ単独で用いることができ、また併用することもできる。ここで、本明細書では(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの双方を意味する用語である。
(A):下記一般式(1)で表される脂肪族トリカルボン酸
Figure 0004724503
但し、Rは水素(H)又は水酸基(OH)、a、b及びdは0〜8の整数、cは0〜9の整数で、0≦a+b+c+d≦9かつ〔a<d又は(a=dかつb≦c)〕である。
(B):トリメリット酸
(C):下記一般式(2)で表されるモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレート
Figure 0004724503
但し、Rは水素又はメチル基、nは1〜5の整数、mは1〜3の整数を表す。
(D):下記一般式(3)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレート
Figure 0004724503
但し、Rは水素又はメチル基、sは1〜10の整数を表す。
このエポキシ(メタ)アクリレートは、紫外線、電子線等の活性エネルギー線に対して硬化性を有し、塗料、コーティング剤等の原料として好適に用いられる。従って、係るエポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物は、活性エネルギー線硬化性組成物である。エポキシ(メタ)アクリレートは、ソフトセグメントとハードセグメントとのバランス、すなわち硬化物表面の硬さと弾力性のバランスが良く、その硬化物は自己修復性と耐擦傷性の機能を発現することができる。ここで、自己修復性は硬化物の表面に傷を付けたときの傷の回復性を意味し、耐擦傷性は硬化物の表面を摺ったときの表面の曇り度を意味する。
前記(A)のトリカルボン酸としては、1,2,4−ブタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=0)、1,3,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=2及びd=0)、1,2,4−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=1)、1,2,5−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=2及びd=0)、1,3,4−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=0及びd=1)、1,2,5−ペンタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=1及びd=0)、1,2,6−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=3及びd=0)、1,2,4−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=0、c=1及びd=2)、1,4,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=2、c=0及びd=1)、1,3,4−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=0及びd=2)、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=1、c=2及びd=0)、2,3,5−ヘキサントリカルボン酸(Rは水素、a=1、b=0、c=1及びd=1)、1,4,8−オクタントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=2、c=3及びd=0)、1,5,10−ノナントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=3、c=3及びd=0)、1,6,12−ドデカントリカルボン酸(Rは水素、a=0、b=4、c=5及びd=0)、クエン酸(Rは水酸基、a=b=c=d=0)等が挙げられる。
(B)のトリメリット酸としては、1,2,4−トリメリット酸のほか、1,3,5−トリメリット酸及び1,2,3−トリメリット酸が挙げられる。
(C)のモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレートとしては、4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔4-HBAGE、一般式(2)においてn=4、m=1の化合物〕、2-ヒドロキシエチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔2-HEAGE、一般式(2)においてn=2、m=1の化合物〕等が挙げられる。
(D)の一般式(3)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレートとしては、脂環式エポキシ基含有アクリレート(s=6)等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物には、更に、長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが望ましい。これらの化合物(スリップ剤)により、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は表面滑性を発現することができ、その結果硬化物の表面に加わる力の一部を滑り力に変換して緩和し、自己修復性と耐擦傷性を高める機能を発揮させることができる。これらのスリップ剤が活性エネルギー線硬化性官能基を有することにより、活性エネルギー線硬化性組成物の活性エネルギー線による硬化性を高めることができる。従って、活性エネルギー線硬化性組成物の低粘度化及びハイソリッド化に対応することができると共に、硬化物の密着性及び耐溶剤性を向上させることができる。
長鎖アルキル基含有化合物は、長鎖アルキル基の炭素数が13〜25であることが好ましい。長鎖アルキル基含有化合物の具体例としては、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンセチルアルコール、ポリオキシエチレンステアリルアルコール、グリセロールモノステアレート等の長鎖アルコール;トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の活性エネルギー線硬化性化合物が挙げられる。
シリコーン系化合物の具体例としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
フッ素系化合物の具体例としては、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキル第四級アンモニウム塩、フルオロアルキルエチレンオキシド付加物等のフルオロアルキル基を有する化合物;ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキル第四級アンモニウム塩、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等のペルフルオロアルキル基を有する化合物;フルオロカーボン基を有する化合物;テトラフルオロエチレン重合体;フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体;フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸エステル;含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸エステルと他モノマーの共重合体が挙げられる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート又はそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物を基材の表面に塗工し、硬化手段により硬化させることによって基材上に塗膜を形成することができる。この基材とその上に被覆形成された塗膜により塗装物品が得られる。塗装物品を構成する塗膜は、前述のように自己修復性と耐擦傷性の機能を発揮することができる。
基材として具体的には、携帯電話、腕時計、コンパクトディスク、オーディオ機器、OA機器等の電気電子機器;タッチパネル、ブラウン管の反射防止板等の電子材料部品;冷蔵庫、掃除機、電子レンジ等の家電製品;メーターパネル、ダッシュボード等の自動車の内装;プレコートメタル鋼板;自動車のボディ、バンパー、スポイラー、ドアノブ、ハンドル、ヘッドランプ、オートバイのガソリンタンク、メッキ・蒸着又はスパッタリングが施されたアルミホイールやドアミラー等の自動車部品;カーポートの屋根、採光屋根;ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ABS樹脂等のプラスチック成形品;階段、床、机、椅子、タンス、その他の家具等の木工製品;布、紙等が挙げられる。
塗工の方法は常法に従えばよく、エアスプレー法、エアレススプレー法、静電塗装法、ロールコーター法、フローコーター法、スピンコート法等の方法が挙げられる。塗膜の厚さは1〜100μm程度が好ましい。塗膜の厚さが1μm未満の場合には、基材表面を保護する等の塗膜の機能を十分に発揮することができなくなる。一方、100μmを越える場合には、塗膜が厚くなり過ぎて基材の性質を十分に発揮することができなくなる。
また、硬化手段としては、紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射する方法のほか、加熱による方法等が採用される。紫外線を照射する方法の場合には、水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることが好ましく、積算光量100〜1000mJ/cm2の紫外線を照射することが好ましい。一方、電子線を照射して硬化させる場合には、加速電圧150〜250keVで1〜5Mradの電子線を照射することが好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート又はそれを含む活性エネルギー線硬化性組成物は、先に述べた塗料又はコーティング剤としての用途のほか、光反射フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム、光拡散フィルム、位相差フィルム、視野角調整フィルム、レンズシート(例えば、液晶表示装置等のバックライトユニットに使用されるプリズムシート、プロジェクションテレビ等に使用されるフレネルレンズシートやレンチキュラーレンズシート)、熱線反射フィルム、紫外線遮蔽フィルム、電磁波遮蔽フィルム、タッチセンサ用フィルム等の機能部材の構成材料としても好適に使用することができる。すなわち、本実施形態のエポキシ(メタ)アクリレート又は活性エネルギー線硬化性組成物を所定の形状に硬化させるか、或いは基材の表面に塗工して硬化させることによって、上記機能部材を構成することも可能である。後者のケースでは、エポキシ(メタ)アクリレート又は活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物自体が機能部材として機能する場合と、基材が機能部材の役割を担い、エポキシ(メタ)アクリレート又は活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物が基材を保護する役割を担う場合とがあるが、そのいずれであってもよい。
本実施形態のエポキシ(メタ)アクリレート又は活性エネルギー線硬化性組成物は、機能部材のうちでも、光反射フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム、光拡散フィルム、位相差フィルム、視野角調整フィルム、レンズシート等の光学機能部材の構成材料として用いることがより好ましい。これら光学機能部材においては、表面に傷が付くとそれが光学的欠陥の原因となるため特に耐擦傷性が求められており、耐擦傷性を発揮しうる硬化物を形成することができる本実施形態のエポキシ(メタ)アクリレート又は活性エネルギー線硬化性組成物で光学機能部材を構成すれば、その要求に応えることができるからである。
活性エネルギー線硬化性組成物には、反応性希釈剤、光重合開始剤、溶媒等を加えることができる。
反応性希釈剤の例としては、(メタ)アクリロイル基を有する単官能性又は多官能性のモノマー又はオリゴマーが挙げられる。具体的には、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N―ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の単官能性のモノマー;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート等の二官能性のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性のモノマー;不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーが挙げられる。
光重合開始剤の例としては、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメート等が挙げられる。
溶媒の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
さて、エポキシ(メタ)アクリレートを調製する場合には、前記(A)又は(B)の特定のトリカルボン酸と、前記(C)又は(D)の特定のモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを混合し、加熱して付加反応させることにより得られる。この反応は100℃程度の加熱により容易に進行する。得られたエポキシ(メタ)アクリレートは、トリカルボン酸とモノオキシラン環との付加反応体で形成されている。この付加反応体は、従来のポリカプロラクトンによる結合やウレタン結合に比べて適度な硬さと弾力性を発現することができる。また、エポキシ(メタ)アクリレートのソフトセグメントとハードセグメント、つまり主にメチレン鎖と(メタ)アクリロイル基とのバランスを良くして適度な硬さと弾力性を兼ね備えることができる。
得られたエポキシ(メタ)アクリレートを使用する場合には、例えば長鎖アルキル基含有化合物等のスリップ剤、光重合開始剤等を添加して活性エネルギー線硬化性組成物を調製する。その活性エネルギー線硬化性組成物を例えば基材の表面に塗工し、紫外線を照射して硬化させることにより、塗膜が形成され、塗装物品が得られる。エポキシ(メタ)アクリレートがトリカルボン酸とモノオキシラン環との付加反応体で形成され、しかもトリカルボン酸による3官能であることから、その重合体は適度な架橋密度を有している。従って、塗膜は良好な硬度と適度な弾力性を有している。その結果、塗膜に傷が付いたときにそれを修復できると共に、塗膜表面に摺接する力が加わったときに表面が曇るのを抑制することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態のエポキシ(メタ)アクリレートは、前記(A)又は(B)の特定のトリカルボン酸と、前記(C)又は(D)の特定のモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなるものである。このエポキシ(メタ)アクリレートは、従来のポリカプロラクトンによるソフトセグメントやウレタン結合に代えて、トリカルボン酸とモノオキシラン環との付加反応体で構成されている。従って、エポキシ(メタ)アクリレートは、その硬化物が適度な硬さと弾力性とを発揮することができ、硬化物の自己修復性と耐擦傷性を向上させることができる。
・ また、このエポキシ(メタ)アクリレートは活性エネルギー線硬化性を有し、エポキシ(メタ)アクリレートを含有する組成物は活性エネルギー線硬化性組成物である。従って、この活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することによりエポキシ(メタ)アクリレートが容易に硬化し、得られた硬化物は優れた自己修復性と耐擦傷性を発揮することができる。
・ 活性エネルギー線硬化性組成物は、更に長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物から選択される少なくとも一種の化合物(スリップ剤)を含有することが好ましい。これらのスリップ剤により、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は表面滑性を有することから、表面に加わる力が減少され、自己修復性と耐擦傷性の向上を図ることができる。しかも、スリップ剤が活性エネルギー線硬化性官能基を有していることにより、活性エネルギー線硬化性組成物の活性エネルギー線による硬化性を高めることができる。
・ エポキシ(メタ)アクリレートを硬化手段によって硬化させることにより、エポキシ(メタ)アクリレートの硬化物が得られ、その硬化物は、自己修復性と耐擦傷性に優れている。
・ エポキシ(メタ)アクリレートを基材の表面に塗工して硬化させることにより、塗膜が形成され、その塗膜は、自己修復性と耐擦傷性を発揮することができる。そのような基材と、その表面に形成された塗膜とにより塗装物品が構成される。塗装物品は、その塗膜が優れた自己修復性と耐擦傷性を有している。従って、塗料、コーティング剤、光学用のフィルム等として有用である。
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、各例中の部及び%は特に断らない限り質量部及び質量%を示す。
(合成例1)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた四ツ口フラスコにトルエン415.8部、1,2,4-ブタントリカルボン酸(酸価:886)100部、4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔日本化成(株)製、4-HBAGE〕315.8部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を仕込み100℃まで昇温した。その後、1,2,4-トリカルボン酸が完全に溶解したことを確認し、TPP(トリフェニルホスフィン)2部を仕込み、同温度で24時間保持して反応を終了した。その結果、固形分50質量%、酸価4.2mgKOH/g(固形分換算)のエポキシアクリレートが得られた。収率は96.1%であった。
得られたエポキシアクリレートについて、赤外線(IR)吸収スペクトルをとり、構造を確認した。その赤外線吸収スペクトルを図1に示した。この図1に示したように、原料である4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテルに基づく900〜950cm−1のエポキシ環に由来する吸収スペルクトルが消失し、3500〜3600cm−1のエポキシ環の開環によって生成される水酸基に由来する吸収スペクトルが確認された。
(合成例2)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた四ツ口フラスコにトルエン310.5部、1,2,4-ブタントリカルボン酸(酸価:886)100部、4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル210.5部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を仕込み100℃まで昇温した。その後、1,2,4-トリカルボン酸が完全に溶解したことを確認し、TPP(トリフェニルホスフィン)2部を仕込み、同温度で24時間保持して反応を終了した。その結果、固形分50質量%、酸価95.1mgKOH/g(固形分換算)のエポキシアクリレートが得られた。
(合成例3)
エポキシ化合物として2-ヒドロキシエチルアクリレートモノグリシジルエーテル(2-HEAGE)354.4部及び溶媒としてトルエン454.4部を用いるほかは、合成例1と同様にして反応を行った。その結果、固形分50質量%、酸価5mgKOH/g(固形分換算)以下のエポキシアクリレートが得られた。
(合成例4)
トリカルボン酸として1,3,6-ヘキサントリカルボン酸100部、エポキシ化合物として4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル265.6部及び溶媒としてトルエン365.6部を用いるほかは、合成例1と同様にして反応を行った。その結果、固形分50質量%、酸価5mgKOH/g(固形分換算)以下のエポキシアクリレートが得られた。
(合成例5)
トリカルボン酸として1,3,5-ペンタントリカルボン酸100部、エポキシ化合物として4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル294.1部及び溶媒としてトルエン394.1部を用いるほかは、合成例1と同様にして反応を行った。その結果、固形分50質量%、酸価5mgKOH/g(固形分換算)以下のエポキシアクリレートが得られた。
(合成例6)
トリカルボン酸として1,3,6-ヘキサントリカルボン酸100部、エポキシ化合物として2-ヒドロキシエチルアクリレートモノグリシジルエーテル271.6部及び溶媒としてトルエン371.6部を用いるほかは、合成例1と同様にして反応を行った。その結果、固形分50質量%、酸価5mgKOH/g(固形分換算)以下のエポキシアクリレートが得られた。
(合成例7)
トリカルボン酸として1,3,6-ヘキサントリカルボン酸100部、エポキシ化合物として脂環式エポキシ基含有アクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、A-200、前記一般式(3)においてs=6の化合物〕265.6部及び溶媒としてトルエン365.6部を用いるほかは、合成例1と同様にして反応を行った。その結果、固形分50質量%、酸価5mgKOH/g(固形分換算)以下のエポキシアクリレートが得られた。
(合成例8)
トリカルボン酸として1,2,4-トリメリット酸100部、エポキシ化合物として脂環式エポキシ基含有アクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、A-200〕279.7部及び溶媒としてトルエン379.7部を用いるほかは、合成例1と同様にして反応を行った。その結果、固形分50質量%、酸価5mgKOH/g(固形分換算)以下のエポキシアクリレートが得られた。
得られたエポキシアクリレートについて、赤外線(IR)吸収スペクトルをとり、構造を確認した。その赤外線吸収スペクトルを図2に示した。この図2に示したように、原料である脂環式エポキシ基含有アクリレートに基づく900〜950cm−1のエポキシ環に由来する吸収スペルクトルが消失し、3500〜3600cm−1のエポキシ環の開環によって生成される水酸基に由来する吸収スペクトルが確認された。
(実施例1)
表1に示したように、合成例1で得られたエポキシアクリレート831.6部に対し、活性エネルギー線硬化性シリコーン化合物〔ビック・ケミー(株)製、BYK-3500〕 3部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)17部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例2)
表1に示したように、活性エネルギー線硬化性シリコーン化合物〔ビック・ケミー(株)製、BYK-3500〕を用いなかったほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例3)
表1に示したように、活性エネルギー線硬化性シリコーン化合物〔ビック・ケミー(株)製、BYK-3500〕に代えて、ポリオキシエチレンモノステアレート〔日本油脂(株)製、ノニオンS−4〕3部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例4)
表1に示したように、活性エネルギー線硬化性シリコーン化合物〔ビック・ケミー(株)製、BYK-3500〕に代えて、フッ素系化合物〔ダイキン工業(株)製、NS-2103〕3部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例5)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代えて、合成例2のエポキシアクリレート621.0部を用い、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)12部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例6)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代えて、合成例3のエポキシアクリレート908.8部を用い、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)18部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例7)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代えて、合成例4のエポキシアクリレート731.2部を用い、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)15部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例8)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代え合成例5のエポキシアクリレート788.2部を用い、活性エネルギー線硬化性シリコーン化合物〔ビック・ケミー(株)製、BYK-3500〕に代えフッ素系化合物〔ダイキン工業(株)製、NS-2103〕3部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例9)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代えて、合成例6のエポキシアクリレート743.2部を用い、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)15部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例10)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代えて、合成例7のエポキシアクリレート731.2部を用い、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)15部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例11)
表1に示したように、合成例1のエポキシアクリレート831.6部に代えて、合成例8のエポキシアクリレート759.4部を用い、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)15部を用いたほかは、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(実施例12)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた四ツ口フラスコにトルエン385.6部、クエン酸・1水和物(酸価:267)100部、4−ヒドロキシエチルアクリレートモノグリシジルエーテル(4-HEAGE)285.6部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を仕込み、100℃まで昇温した。その後、クエン酸・1水和物が完全に溶解したことを確認し、TPP(トリフェニルホスフィン)2部を仕込み、同温度で24時間保持して反応を終了し、固形分50質量%の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
この組成物100部に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)2部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
なお、クエン酸は、前記一般式(1)において、Rが水酸基(OH)、a=b=c=d=0である。
Figure 0004724503
(比較例1)
表2に示したように、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔東亞合成(株)製、M-402〕84部、N-ビニルピロリドン〔東亞合成(株)製、M-150〕14部、トルエン100部及び光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)4部を混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
(比較例2)
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた四ツ口フラスコに、トルエン120部、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト変性タイプ(三井タケダケミカル社製、D-110N)100部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、プラクセルFA-1〕70部、ジブチル錫ジラウレート0.02部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部を仕込んだ。そして、70℃まで昇温して3時間保持することで、固形分50質量%の変性ウレタンアクリレート(UA1)を得た。
表2に示したように、この変性ウレタンアクリレート100部に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製イルガキュア184)4部を混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
(比較例3)
表2に示したように、ジカルボン酸としてアジピン酸100部、エポキシ化合物として脂環式エポキシ基含有アクリレート〔ダイセル化学工業(株)製、A-200〕264.4部及び溶媒としてトルエン364.4部、更に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)15部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
(比較例4)
表2に示したように、テトラカルボン酸としてブタンテトラカルボン酸100部、エポキシ化合物として4-ヒドロキシブチルアクリレートモノグリシジルエーテル〔日本化成(株)製、4-HBAGE〕341.9部及び溶媒としてトルエン441.9部、更に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガキュア184)18部を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
各実施例及び比較例の組成物を、易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥膜厚が10〜15μmになるように塗工して硬化させた。硬化は80℃の乾燥炉で1分間乾燥処理を行い、溶剤を揮発させた後、ランプ出力1灯80W/cmの紫外線(UV)乾燥炉により、コンベアスピード3m/minで紫外線を照射した。
Figure 0004724503
以上の実施例1〜12及び比較例1〜4の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物について、自己修復性及び耐擦傷性をはじめ、加工性、カール性、全光線透過率、ヘイズ値、密着性、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性を以下に示す方法により評価した。それらの結果を表3〜5に示した。
<全光線透過率>
東京電色社製TC-H3DPKを使って全光線透過率(%)を測定した。
<ヘイズ値>
東京電色社製TC-H3DPKを使ってヘイズ(Haze)値を測定した。
ヘイズ(Haze)値(%)=散乱光/全光線透過光×100
<密着性>
JIS K5400に準拠して碁盤目剥離試験を行なったとき、残存率が100%のものを◎、96〜100%のものを○、91〜95%のものを□、81〜90%のものを△、80%以下のものを×と評価した。
<耐溶剤性>
トルエンを20℃、4hrのスポット試験を行い、試験後変化の見られないものを○、白化・膨潤が少し見られるものを△、白化・膨潤が著しく見られるものを×と評価した。
<耐擦傷性>
#0000のスチールウールを使って、500g荷重下で50往復のラビング試験を行なった。試験前後のHaze値を測定した時に、試験後のHaze値から試験前のHaze値を減じた値が0のものを◎、0.1〜0.5のものを○、0.5〜1.0のものを□、1.0〜2.0のものを△、2.1以上のものを×と評価した。
<自己修復性>
塗膜に爪で傷をつけてから20℃で1分以内に傷が回復しているものを◎、2から10分以内に傷が回復しているものを○、11から60分以内に傷が残存しているものを□、1日以内に傷が回復しているものを△、傷が回復しないものを×、と評価した。
<加工性>
裁断した時に、裁断面にバリが発生しないものを○、バリの発生が認められるものを×と評価した。
<カール性>
試験板を10cm角にカットし、その中央部に2cm幅のクロスカットをいれたときのカール深さが0mmのものを◎、0〜0.5mmのものを○、0.5〜1.0mmのものを△、1.0mm以上のものを×と評価した。
<耐酸性>
0.1規定の硫酸を20℃、24時間のスポット試験を行い、試験後変化の見られないものを○、白化・膨潤が少し見られるものを△、白化・膨潤が著しく見られるものを×と評価した。
<耐アルカリ性>
0.1規定の水酸化ナトリウムを20℃、24時間のスポット試験を行い、試験後変化の見られないものを○、白化・膨潤が少し見られるものを△、白化・膨潤が著しく見られるものを×と評価した。
Figure 0004724503
Figure 0004724503
表3及び表4に示したように、実施例1〜12では全て自己修復性が認められ、耐擦傷性も良好であった。そのほか、加工性、カール性等の特性にも優れていた。また、実施例1と7及び実施例4と8を比較すると、ブタントリカルボン酸を用いた実施例1及び4がヘキサントリカルボン酸を用いた実施例7及びペンタントリカルボン酸を用いた実施例8に比べて耐擦傷性に優れる結果が得られた。
Figure 0004724503
表5に示したように、ハードコート系のコーティング剤の場合(比較例1)には、自己修復性が全く認められなかった。ポリカプロラクトン系のコーティング剤の場合(比較例2)には、自己修復性及び耐擦傷性共に不良であった。カルボン酸としてジカルボン酸を用いた場合(比較例3)及びテトラカルボン酸を用いた場合(比較例4)には、共に自己修復性は認められず、耐擦傷性も不良であった。従って、カルボン酸としてトリカルボン酸を使用したときのみが特異的に、自己修復性及び耐擦傷性をはじめとする特性に優れていることが明らかとなった。
尚、本実施形態を、次のように変更して実施することも可能である。
・ 前記(A)又は(B)で示されるトリカルボン酸以外のトリカルボン酸を併用することができる。
・ 前記(A)又は(B)で示されるトリカルボン酸に加えて、ジカルボン酸、テトラカルボン酸等を加えてエポキシ(メタ)アクリレートを得ることもできる。この場合、エポキシ(メタ)アクリレートの硬化物の架橋密度を調整することができる。
・ ()又は(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートを併用することもできる。
・ エポキシ(メタ)アクリレートを硬化させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートの硬化物をフィルム、シート等の成形品のほか、充填剤等として使用することもできる。
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートをフィルム状又はシート状に硬化させてなることを特徴とする光学機能部材。このように構成した場合、光学機能部材の表面に傷が付くことを抑制することができる。
・ 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物をフィルム状又はシート状に硬化させてなることを特徴とする光学機能部材。このように構成した場合、活性エネルギー線の照射により容易に光学機能部材が得られ、その光学機能部材の表面に傷が付くことを抑制することができる。
・ 更に、光重合開始剤を含有する請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。このように構成した場合、活性エネルギー線の照射による硬化性を向上させることができる。
・ 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。このように構成した場合、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、請求項2から請求項4のいずれか一項に係る発明の効果を発揮させることができる。
・ 請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を基材の表面に塗工して硬化させてなることを特徴とする塗膜。このように構成した場合、塗膜は請求項2から請求項4のいずれか一項に係る発明の効果を発揮させることができる。
・ 基材と、その表面に請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工して硬化させてなる塗膜とよりなることを特徴とする塗装物品。このように構成した場合、塗装物品は請求項2から請求項4のいずれか一項に係る発明の効果を発揮させることができる。
合成例1のエポキシアクリレートを同定するための赤外線吸収スペクトル図。 合成例8のエポキシアクリレートを同定するための赤外線吸収スペクトル図。

Claims (7)

  1. 下記(A)又は(B)で示されるトリカルボン酸と、下記()又は(D)で示されるモノオキシラン環を有する(メタ)アクリレートとを反応させてなることを特徴とするエポキシ(メタ)アクリレート。
    (A):下記一般式(1)で表される脂肪族トリカルボン酸
    Figure 0004724503
    但し、Rは水素又は水酸基、a、b及びdは0〜8の整数、cは0〜9の整数で、0≦a+b+c+d≦9かつ〔a<d又は(a=dかつb≦c)〕である。
    (B):トリメリット酸
    (C):下記一般式(2)で表されるモノオキシラン環を有する脂肪族(メタ)アクリレート
    Figure 0004724503
    但し、Rは水素又はメチル基、nは1〜5の整数、mは1〜3の整数を表す。
    (D):下記一般式(3)で表されるモノオキシラン環を有する脂環族(メタ)アクリレート
    Figure 0004724503
    但し、Rは水素又はメチル基、sは1〜10の整数を表す。
  2. 請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 更に、長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物から選択される少なくとも一種の化合物を含有する請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 長鎖アルキル基の炭素数が13〜25の長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物が活性エネルギー線硬化性官能基を有する請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを硬化させてなることを特徴とするエポキシ(メタ)アクリレートの硬化物。
  6. 請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを基材の表面に塗工して硬化させてなることを特徴とする塗膜。
  7. 基材と、その表面に請求項1に記載のエポキシ(メタ)アクリレートを塗工して硬化させてなる塗膜とよりなることを特徴とする塗装物品。
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