JP4724321B2 - 揮発性飛散物除去装置及びそれを備えたテンターオーブン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ナイロン−6,ナイロン−6.6などの熱可塑性プラスチックのフィルムを延伸し製造するテンターオーブンにおいて、特に、高温となったフィルムから発生する添加剤や低分子量物等の揮発性飛散物を除去するのに用いて好適の、揮発性飛散物除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、逐次2軸延伸方式によるプラスチックフィルム(フィルム状樹脂成形物、以下単にフィルムという)の製造にあたっては、スクリュに連結されたダイの口金部分から押し出された溶融樹脂を冷却固化させたのち縦方向に延伸し、更に横方向に延伸する方法が採られている。そして、このプラスチックフィルムの延伸には、テンターオーブンが用いられている。
【0003】
図8は、一般的なテンターオーブンの全体構成を示す概略平面図である。テンターオーブンは、予熱室30,延伸室31,熱セット室32,中間室33及び冷却室34を備え、予熱室30から順にフィルムが流れていくようになっている。
予熱室30では、供給されたフィルムは図示しないフィルムクリップによりクリップされて低速で走行し、その走行中に図示しない複数のプレナムダクトから噴出される熱風によって予熱される。延伸室31では、フィルムクリップが加速されるとともに一方のフィルムクリップと他方のフィルムクリップとの間隔が徐々に広げられ、同時に、複数のプレナムダクトから噴出される熱風によってフィルムが加熱される。これにより、予熱室30で予熱されたフィルムは、この延伸室31において縦横二軸方向に延伸されることになる。続いて、熱セット室32では、図示しない複数のプレナムダクトから噴出される熱風により、延伸室31で延伸されたフィルムが高速移動状態で熱処理される。そして、冷却室34では、熱セット室32で熱処理されて中間室33を通過したフィルムが図示しないプレナムダクトから噴出される冷風によって冷却される。
【0004】
このテンターオーブン内で高温に加熱されたフィルムからは添加剤等の揮発性飛散物質(以下、単に揮発物という)が発生する。このため、テンターオーブンには、かかる揮発物を除去する装置が備えられている。この揮発物の除去方法のひとつで最も一般的に行われているのは、オーブン内の循環エアの一部を排気し、その排気分をフレッシュエアで置換する方法である。
【0005】
例えば図9は従来のテンターオーブンにおける熱セット室32の概略構成を示す横断面図である。図9に示すように、熱セット室32では、フィルム17を挟んで上下に設置されたノズル(プレナムダクト)18から高温に加熱された熱風をフィルム17の表面に噴き付けるようになっている。フィルム17に噴き付けられた空気はダクト19によって取り込まれ、熱交換器20を通して温調されたのち、モータ24により駆動されるファン23によりノズル18に送り込まれ、再度、フィルム17の加熱に用いられる。このうちの一部の空気は、排気ダクト26によって取り込まれ、排気ブロア27により熱セット室32の外部へ排気される。そして、この排気分を補うためのフレッシュエアが、フレッシュエア導入口25から熱セット室32内に取り込まれる。
【0006】
このような空気置換式の除去方法の他、特開平4−201432号には、高温の熱交換器を利用した燃焼方式によって効率的に揮発物を除去し熱風を再循環する方法が開示されている。また、実公平1−48129号,実公平1−46216号に開示されているように、熱風を循環させる経路の一部に耐熱性の充填層や多孔質膜を装着することにより、安定して熱風中の揮発物を除去できるようにした技術も提案されている。
【0007】
一方、フィルムより揮発した物質が製品表面へ付着するのを抑制する方法としては、例えば、特公平6−4275号に開示されているように、外部から取り込んだ空気を加熱してフィルムに噴き付けた後、上流側に設けた空気の排気口から排気する技術が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空気置換式の除去方法の場合には、外部から導入するフレッシュエアの温度が低いために熱損失が大きい。このため、熱交換器20において多量の熱を加える必要がある。
また、特開平4−201432号に開示されたような高温の熱交換器を利用した燃焼方式によって揮発物を除去する技術では、揮発物を燃焼させるために循環風を一度600〜800℃にまで加熱する必要がある。このため、この技術では、プロパンガスなどの加熱源が別に必要になり、また、熱損失が大きいためランニングコストが高くなるという課題がある。また、燃焼を伴う除去手法であるため、防火対策等が要求されるという課題もある。
【0009】
また、実公平1−48129号,実公平1−46216号に開示されたような触媒を用いた燃焼によって揮発物を除去する方法では、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂では室内を循環する熱風温度は160℃程度と低いため十分な燃焼効果が得られない。このため、燃焼効果を上げるために別途ユーティリティーを用いて温度上昇を行う必要があり、ランニングコストが高くなるという課題がある。また、触媒表面が被毒されるために十分な除去性能を得られなくなるという課題もある。また、耐熱性の充填層や多孔質膜を利用した除去方法では、継続使用により目詰まりが生じるため除去性能を維持することができなくなったり、圧損が高くなって気体の循環に影響を与えてしまったりするという課題もある。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、フィルム表面から発生する揮発性飛散物を低ランニングコストで効率的に除去できるようにするとともにメンテナンス性を確保して、欠陥の少ない高品質なフィルムを生産できるようにした、揮発性飛散物除去装置を提供することを目的とする。
また、この揮発性飛散物除去装置を有効に利用した、テンターオーブンを提供することも目的とする。
【0011】
このため、本発明の揮発性飛散物除去装置は、フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室と、該熱セット室と該冷却室との間に仕切り壁を介して画成された中間室とを備えたフィルム状樹脂成形物を製造するテンターオーブンの熱セット室に付設される装置であって、該テンターオーブンで加熱された該フィルム状樹脂成形物から発生する揮発性飛散物を含んだ空気である処理ガスを吸引する吸引装置と、該吸引装置で吸引された該処理ガスを通過させる処理ダクトと、該処理ダクト内に配設され、慣性衝突作用により該処理ガス中の該揮発性飛散物を捕集する複数の捕集板と、該捕集板の表面温度を調節する温度調節手段とを備え、該温度調節手段は、該捕集板内に温度調節用媒体として空気を供給することにより該捕集板の表面温度を調節し、該捕集板の温度調節に用いられた該空気が該予熱室又は該中間室にフレッシュエアとして供給されることを特徴としている。なお、該捕集板の配設方向は、該処理ガスの流れに対し直交或いは略直交方向とするのが好ましく、該処理ガスの流れ方向に沿って該捕集板を複数段に配設するのも好ましい。
【0012】
また、好ましくは、該温度調節手段は、該捕集板の表面温度を該揮発性飛散物の融点温度以上沸点温度未満の温度に調節する。より好ましくは、該温度調節手段による上記表面温度の調節範囲は、該揮発性飛散物の融点温度から該融点温度よりも10℃だけ高い温度の範囲内とする。より好ましくは、該テンターオーブンから排出される廃熱を利用して該空気を加熱するように該温度調節手段を構成する
更に好ましくは、該捕集板の下方に、該捕集板から落下した液状の該揮発性飛散物を回収するための取り外し可能な回収器を備えるようにする。より好ましくは、該回収器に温度調節手段を備え、該回収器内の温度を該揮発性飛散物の融点温度未満に調節するようにする。
【0013】
また、本発明のテンターオーブンは、フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室とを備えたテンターオーブンにおいて、上記の揮発性飛散物除去装置を該熱セット室に備えたことを特徴としている。
【0014】
また、本発明の別のテンターオーブンは、フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室とを備えたテンターオーブンにおいて、上記の揮発性飛散物除去装置と、該予熱室内の空気の一部を排気してフレッシュエアと置換することにより該予熱室内で発生する揮発性飛散物を除去する空気置換装置を備えるとともに、上記の揮発性飛散物除去装置において該捕集板の温度調節に用いられた該空気が該空気置換装置により該予熱室に該フレッシュエアとして供給されることを特徴としている。
【0015】
また、本発明のさらに別のテンターオーブンは、フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室と、該熱セット室と該冷却室との間に仕切り壁を介して画成された中間室とを備えたテンターオーブンにおいて、上記の揮発性飛散物除去装置と、該中間室に設けられ該フィルム状樹脂成形物の表面を横断するエア層を形成して該熱セット室から該フィルム状樹脂成形物と共に該中間室に流入する伴走エアを遮るように該フィルム状樹脂成形物の表面にフレッシュエアを噴射するエア噴射ノズルと、該エア噴射ノズルから噴射される該フレッシュエアの温度を調節する温度調節装置とを備えるとともに、上記の揮発性飛散物除去装置において該捕集板の温度調節に用いられた該空気が該フレッシュエアとし用いられることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4は本発明の一実施形態としての揮発性飛散物除去装置について示すもので、図1はその全体構成を示す模式図、図2〜4はその捕集装置の構成を示す図である。
【0017】
まず、本実施形態の揮発性飛散物除去装置の概略構成について説明する。図1に示すように、本揮発性飛散物除去装置21は、上下方向に入口ダクト3,出口ダクト4を備えたハウジング(処理ダクト本体)2内に、残留モノマー,オリゴマー,添加剤等の揮発物(揮発性飛散物質)を捕集するための捕集装置(セル)1を収容している。出口ダクト4には吸引ブロア(吸引装置)9が接続されており、吸引ブロア9を作動させることにより入口ダクト3から揮発物を含んだ空気が流れ込むようになっている。
【0018】
捕集装置1は温調機能を備えており、ハウジング2外部から温調媒体入口管7を介して温調媒体(水,油,空気,蒸気等)5が供給されるようになっている。供給される温調媒体5の温度は、捕集装置1内の温度を検出する温度センサ6aの検出値に基づき温調器(温度調節手段)6によりフィードバック制御されている。また、捕集装置1内の温調に供された温調媒体5は、温調媒体出口管8を介してハウジング2外部に排出されるようになっている。
【0019】
出口ダクト4の下部には、捕集装置1にて捕集された揮発物を回収するための回収装置13が配設されている。回収器13の側面部分には内部の状態を観察できるような透明な観察窓11が設けられており、回収器13内の揮発物の堆積量を確認することが可能になっている。また、回収器13には、放冷或いは強制冷却によって回収器13内の温度を回収した揮発物の融点温度未満に調節する温度調整機構(図示略)が設けられ、回収した液状の揮発物を冷却して固化できるようになっている。更に、出口ダクト4と回収器13との間にはボールバルブ12が備えられている。このボールバルブ12を閉じて出口ダクト4と回収器13とを切り離すことによって、運転を中断させることなく、回収器13に回収した揮発物を廃棄又は再利用に回すことができるようになっている。
【0020】
また、入口ダクト3と出口ダクト4との間には、バイパス用ダクト14が接続され、バイパス用ダクト14内と入口ダクト3内のバイパス用ダクト14の接続部よりも下流側とには、連動して開閉する切換ダンパ10A,10Bが備えられている。これら切換ダンパ10A,10Bをバイパス用ダクト14側に切り換えることにより、運転時でも捕集部1を取り外して適宜メンテナンスを行うことが可能になっている。
【0021】
次に、本発明の要部である捕集装置1の構成について図2〜図4を用いて説明する。捕集装置1は、図2に示すように、上下面が開口した枠体1A内に複数の捕集板15を備えて構成されている。各捕集板15内には温調媒体管路16が挿通されている。温調媒体管路16の一端には温調媒体入口管7(図1参照)が接続され、他端には温調媒体出口管8(図1参照)が接続されており、温調媒体管路16の内部には所定温度に調温された温調媒体5が流通している。温調媒体5は、温調器6(図1参照)によって捕集すべき揮発物の融点以上沸点未満の温度に調温されている。
【0022】
捕集板15は、図3に示すように方形の断面を有しており、空気(処理ガス)の流れ22に対し直交方向に向けて配置されている。また、捕集板15は、図3,図4に示すように横方向(空気の流れ22に直行する方向)には一定の隙間で並んで配置され、縦方向(空気の流れ22に平行な方向)に交互に位置をずらせて複数段に配置されている。捕集板15と内部の温調媒体管路16とは熱伝導が高くなるよう密着して取り付けられている。これら捕集板15,温調媒体管路16の材質は、付着物による腐食が起こらないように、ここではSUS304材を選定して用いている。なお、PTFE等の比較的耐熱温度の高い樹脂被覆を施すようにしてもよい。
【0023】
次に、上記のように構成された本実施形態の揮発性飛散物除去装置21の作用について説明する。
吸引ダクト9により吸引されて入口ダクト3から除去装置21内に流入した空気(処理ガス)は、ハウジング2内の捕集装置1に流れ込み、図3に示すように捕集板15,15の間を通過していく。このとき、空気中に含まれる微粒子またはミスト状の揮発物は、主に慣性衝突作用の他、拡散作用等によって捕集板15に付着する。捕集板15は空気の流れ22に対し直交して配置されており、また、空気の流れ22の方向に複数段に交互に配置されているので、空気中の揮発物が捕集板15に衝突する可能性は極めて高く、揮発物は効率的に捕集板15に捕集されていく。
【0024】
捕集板15内に挿通された温調媒体管路16を流れる温調媒体5は、揮発物の融点以上沸点未満の温度に調温されているので、捕集板15に付着した揮発物は液化され、液体の状態で保持される。なお、温調媒体5の温度は、少なくとも揮発物の融点以上沸点未満の温度に調温されていればよいが、沸点に近いほど、付着物質の蒸気圧増加による揮発、付着物や付着壁の自由エネルギー増加による付着力の低下、これに伴う再飛散等が発生して除去効率が低下するため、好ましくは融点+10℃の範囲で調整する。
【0025】
捕集板15に付着した液状の揮発物は、捕集が進むにつれて次第に凝集していく。そして、ある一定以上の重量の液滴となると、捕集板15への付着力以上の重力や外力が作用して捕集板15から落下する。落下した液状の揮発物は出口ダクト4の下方に設置された回収器13で回収され、回収器13内で冷却されて固化される。一方、捕集部1を通過して清浄化された空気は、出口ダクト4から除去装置21の外部へ放出される。なお、回収器13に回収した揮発物は廃棄するか或いは再利用に回される。
【0026】
このように、本揮発性飛散物除去装置21によれば、入口ダクト3から除去装置21内に空気を流通させることで、捕集装置1により空気に含まれる揮発物を効率よく捕集して除去することができるので、揮発物濃度が低減された空気を得ることができる。このため、揮発物の付着の少ない高品質な製品が得られるとともに、他の装置への汚れ付着も低減させることもできるという利点がある。
【0027】
また、本揮発性飛散物除去装置21によれば、捕集した揮発物は液体の状態で回収器13内に回収されるので、ボールバルブ12を閉めて回収器13を除去装置21本体から取り外すことによって容易に捕集した揮発物を除去することができ、メンテナンスのために生産を停止したり除去装置21本体を分解清掃する必要がないという利点もある。また、回収された揮発物は回収器13内で冷却されて固化されるので、蒸発による再飛散を確実に防止できるとともに、取り扱いが容易になるという利点もある。
【0028】
また、本揮発性飛散物除去装置21によれば、燃焼方式を用いないので防火対策等の必要は無く、ランニングコストも掛からないという利点もある。また、触媒も用いないので、触媒表面が被毒により除去性能が低下することもない。更に、多孔質膜等を用いて除去するものでもないので、目詰まりにより除去性能が低下することもない。
【0029】
以上、本実施形態の揮発性飛散物除去装置21について説明したが、次に、本揮発性飛散物除去装置21の適用の一例について説明する。ここでは、図5に示すように、本揮発性飛散物除去装置21を二軸延伸フィルム成形装置のテンターオーブンに組み込んだ場合について説明する。なお、テンターオーブンは、熱可塑性プラスチックのフィルムを高温に加熱しながら延伸する装置であり、ここではテンターオーブンの熱セット室32に本揮発性飛散物除去装置21を適用する。
【0030】
図5に示すように、熱セット室32では、フィルム17を挟んで上下に設置されたノズル18から高温に加熱された熱風がフィルム17の表面に噴き付けられるようになっている。フィルム17に噴き付けられた熱風はダクト19によって取り込まれ、熱交換器20を通して温調されたのち、モータ24により駆動されるファン23によりノズル18に送り込まれ、再度、フィルム17の加熱に用いられるようになっている。また、熱交換器20手前には、熱風中の揮発物の濃度が濃縮されないように、新鮮な空気を取り入れる図示しない外気導入口が設けられている。そして、ここでは、上述した揮発性飛散物除去装置21を熱交換器20の手前に設置している。
【0031】
高温に加熱されたフィルム17からは揮発物が発生するが、このように揮発性飛散物除去装置21を設置することで、揮発物を効果的に除去してフィルムの品質を向上させることが可能になる。特に熱セット室32は、テンターオーブンの中でもフィルム17の温度が高く、且つ延伸されることによりフィルム17の表面積も大きいために発生する揮発物の量は最も多いことから、このように熱セット室32に揮発性飛散物除去装置21が設置することで、揮発性飛散物除去装置21の効果を十分に発揮させることができる。
【0032】
また、揮発性飛散物除去装置21を熱交換器20の手前に設置することにより、熱交換器20の汚れを低減させることもできる。更に、このように揮発物を効果的に除去できることによって、外気導入口からの空気の取り込み量を低減して排気による熱損失を可能な限り抑制することも可能になる。その結果、ランニングコストを低減することができ、また、ブロア等の補機の要求能力を下げることが可能になって設備費の低減に繋がるという利点もある。
【0033】
次に、本実施形態の揮発性飛散物除去装置21をポリプロピレンフィルム製造ラインのテンターオーブンに設置して行った実験の結果を表1に示す。
揮発物としては各種添加剤や低分子量成分があり、添加剤は帯電防止,酸化防止,滑剤等その目的に応じた物質が使用される。種々の添加剤はそれぞれ異なる物質であるため融点や沸点等は異なるが、テンターオーブン内では各ゾーンにおいて厳密に温度管理されていることと連続的に高速でフィルムが走行するため、延伸室や熱セット室などそれぞれの各ゾーンにおいて揮発物の組成はほぼ決まっている。このため、各ゾーン毎に揮発物の同定をし、同定した揮発物に対応した最適な温度に捕集装置1の温度を調整することで、揮発物を効率良く除去することが可能となる。
【0034】
実験は、テンターオーブンの最終部に本除去装置21を設置し、ブロアを用いて所定量の熱風を本除去装置21内に流通させることにより実施した。本除去装置21における除去率は捕集装置1の入口,出口の揮発物の濃度差から算出した。入口及び出口濃度は、各部にて揮発物を含んだ熱風を等速吸引し、これをコールドトラップすることにより捕集して四塩化炭素に溶解させ、FTIRによる分析をし、吸収の大きさを予め作成した検量線に照らし合わせて定量化することにより測定した。ここで、除去率は次式で定義した。
【0035】
[除去率]=1−([入口濃度)−[出口濃度])/[入口濃度]
表1には本除去装置21を用いて行った各実験例による結果に、除去装置21の捕集装置1を取り外した状態で行った実験結果も比較例として併記している。
【0036】
【表1】
Figure 0004724321
【0037】
実験例1〜5は、捕集装置1内温度(セル温度)40〜80℃、風量33m3/min(セル通過速度3.0m/s)にて運転した際の結果である。この時の除去率は捕集装置1の温度に対して依存性を示した。比較例として実験を行った捕集装置1を設置しない場合の除去率は、セル温度が40℃の際に0.5%以下であり、ほぼ無視できる数値であった。これに対して捕集装置1を設置した場合の除去率は48.5%を示した。また、セル温度が高くなるに従い除去率は低下する傾向を示し、更に70℃以上では急激に低下の傾向を示した。捕集した揮発物はそのほとんどが脂肪酸アミンであり、その融点は40℃〜50℃である。
【0038】
実験例6は、セル温度40℃、風量15m3/minで運転した際の結果である。このときは、除去率は37.2%であった。実験例6は同セル温度で行った実験例1と比較して除去率が低下したが、これは処理風量が少なく捕集装置1内での流速(セル通過速度)が遅いため、揮発物の捕集板15への慣性衝突力が弱くなったことが原因と考えられる。
【0039】
実験例7は、セル温度40℃、風量40m3/minで運転した際の結果であり、除去率は54.3%であった。また、実験例8は、セル温度40℃、風量50m3/minで運転した際の結果であり、除去率は52.2%であった。ただし、このときは捕集した揮発物の再飛散が目視観察により確認された。実験例1,6〜8の結果から、処理風量の増加によって除去効率が向上することが確認できたが、同時に、処理風量がある程度以上(ここでは50m3/min)になると液滴が飛散し、付着し揮発物が再飛散することも確認された。
【0040】
以上の実験例1〜8は、捕集装置1内の捕集板15の段数を3段にして行った結果であるが、次に、実験例9では捕集板15の段数を4段に増やし、実験例1と同じくセル温度40℃,風量33m3/minで運転を行った。このときの除去率は57.6%であった。更に、実験例10では捕集板15の段数を5段に増やし、同じくセル温度40℃,風量33m3/minで運転を行った。このときの除去率は59.8%に達した。これら実験例1,9,10の結果から、捕集板15の段数を増やすことにより除去効率が向上することが確認できた。ただし、捕集板15の段数を増やすと除去装置21内の圧力損失も増加することになる。
【0041】
以上の実験例1〜10において、捕集板15に付着した揮発物は、凝集して5mm程度の径まで成長するとその自重により下部に設置された回収部13へと落下した。このため、捕集板15には付着物の堆積がなく、常時初期の表面状態が保持され長時間の連続運転が可能であった。ただし、セル温度が40℃以下の場合には捕集板15の表面上の一部に付着物の固体化が観察された。
【0042】
次に、本揮発性飛散物除去装置21にかかる温調媒体(温度調節用媒体)の利用方法について図6,図7を用いて説明する。ただし、ここでは、温調媒体として空気(温調用空気)が用いられているものとする。
まず図6の概略平面図に示すテンターオーブンは、温調用空気を予熱室30に供給するようにしたものである。予熱室30では、室内の揮発物濃度の上昇を抑制するため、図示しない空気置換システム(空気置換装置)によりフィルムの予熱に用いられる加熱空気の一部が外部に排気され、代わりにフレッシュエアが導入されるようになっている。予熱室30内で発生する揮発物の量は熱セット室32等に比較すると少ないため、このような空気置換システムによっても除去することができるが、導入するフレッシュエアの温度が低い場合には、課題でも説明したように熱損失を大きくしてしまう。
【0043】
そこで、図6に示すテンターオーブンでは、熱セット室32に備えられた揮発性飛散物除去装置21の捕集装置1と、予熱室30内にフレッシュエアを導入するためのフレッシュエア導入ダクト37とを配管35で接続している。そして、捕集装置1内を通過した温調用空気をブロア36により配管35に取り込んで、フレッシュエア導入ダクト37から予熱室30内にフレッシュエアとして供給している。捕集装置1内を通過した温調用空気は揮発性飛散物除去装置21内を流れる処理ガスにより温められているので、温度が高く、フレッシュエアとして供給したときの熱損失を抑制することができる。
【0044】
なお、上記のようにテンターオーブンを構成する場合には、予熱室30内にフレッシュエアとして供給するための多量の温調用空気が必要となるため、揮発性飛散物除去装置21としては下表2に示すように処理量の大きなものが必要となる。
【0045】
【表2】
Figure 0004724321
【0046】
そして、表2に示すような処理量を有する揮発性飛散物除去装置21を熱セット室32に備え、その温調用空気を予熱室30内にフレッシュエアとして供給した場合の、予熱室30における導入空気及び排気空気の温度条件を示したものが表3である。表3において、利用前とは外部空気をフレッシュエアとして用いた場合であり、利用後とは温調用空気をフレッシュエアとして用いた場合である。
【0047】
【表3】
Figure 0004724321
【0048】
なお、このときの揮発物の除去率は30%で、熱セット室32内の揮発物の平衡濃度は90mg/m3から33mg/m3に減少した。また、揮発性飛散物除去装置21を50日間稼動した結果、テンターオーブン内壁面への有機物の付着量は、揮発性飛散物除去装置21を設置していない室では78μg/cm2増加したのに対し、揮発性飛散物除去装置21を設置した室ではわずか9μg/cm2であり、揮発性飛散物除去装置21の清浄化効果が確認された。
【0049】
次に図7の概略縦断面図に示すテンターオーブンは、揮発性飛散物除去装置21で用いた温調用空気を熱セット室32と冷却室34との間の中間室33に供給するようにしたものである。図7に示すように、中間室33は、熱セット室32との境界に設けた仕切り壁48と、冷却室34との境界に設けた仕切り壁49とによって画成されている。
【0050】
この中間室33には、フィルム17の表面に向かってフレッシュエアを噴射してフィルム17の表面を横断するエア層40を形成するエア噴射ノズル41が設けられている。また、このエア噴射ノズル41と仕切り壁48との間には、入口に多孔板を備えた排気通路42が設けられている。エア噴射ノズル41は、その先端を排気通路42側に向けるようにフィルム17の走行方向に対して角度θをなして傾斜している。エア噴射ノズル41からは、温度調節装置44によって例えば約100℃に温調されたフレッシュエアが噴射され、その結果、フィルム17の表面を横断する方向(図7の紙面に垂直な方向)にエア層40が形成される。
【0051】
フィルム17が熱セット室32から中間室33に移動する際には、このフィルム17に伴走するエア(汚染エア)43が仕切り壁48の下端とフィルム17の表面とによって形成された隙間を介して中間室33に流入するが、この伴走エア43は、図示するように、エア噴射ノズル41からのフレッシュエアにより形成されるエア層40によってブロックされる。特に、エア噴射ノズル41はフィルム17の走行方向に対して角度θをなして傾斜しているので、フレッシュエアは伴走エア43の流れに抗する方向に噴射され、その結果、このフレッシュエアによって形成されたエア層40は、伴走エア43に対して極めて高いブロック効果を示す。
【0052】
上記エア層40によってブロックされた伴走エア43及びエア噴射ノズル41から噴射されたエアは、排気通路42を通って浄化装置45に吸入される。浄化装置45は、吸入したエアに含まれた汚染物質を濾過等の手段で除去し、それによって得られたフレッシュエアを温度調節装置44に供給する。また、温度調節装置44には、熱セット室32に設けられた揮発性飛散物除去装置21からの温調用空気もブロア39により供給される。
【0053】
このような構成により、熱セット室32からの伴走エア43が、エア層40によってブロックされるとともに、そのブロックされた伴走エア43の一部が排気通路42を介して排出されるので、伴走エア43中の汚染物質が中間室33の仕切り壁に汚れとして付着することや、下流の冷却室46に流入して冷却室46内のプレナムダクト47に析出付着することを阻止することができる。また、また、捕集装置1内を通過した温調用空気は揮発性飛散物除去装置21内を流れる処理ガスにより温められているので、温度が高く、この温調用空気を浄化装置45で浄化された循環エアとともにエア噴射ノズル41から噴射するフレッシュエアに利用することで、フレッシュエアの温度調節を行う温度調節装置44の負荷を軽減することもできる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施しうるものである。例えば、捕集板15の形状は本実施形態のような形状でなくてもよく、空気中の揮発物を慣性衝突作用により効率よく捕集できるような形状であればよい。
【0055】
また、本実施形態では、捕集板15の内部に設けた温調媒体管路16に温調媒体5を流すことによって捕集板15の温度調節を行っているが、捕集板15内に電気ヒータ等を設けて温度調節するようにしてもよい。また、温調媒体5を用いて温度調節を行う場合、押出機やテンターオーブン等から排出される廃熱を利用して捕集板15の温度調整(加熱)を行うようにしてもよい。この場合には、廃熱の有効利用によって省エネ化が可能になり、ランニングコストを更に低減することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の揮発性飛散物除去装置によれば、フィルム状樹脂成形物を製造するテンターオーブンにおいて、処理ダクト内に配設された複数の捕集板により、処理ガス中に含まれる揮発性飛散物を慣性衝突作用により効率的に捕集することができるので、成形したフィルム状樹脂成形物上への揮発性飛散物の付着や装置,配管,熱交換器等の汚れを大幅に低減させることが可能となり、高品質のフィルム状樹脂成形物を製造することが可能となる。
【0057】
しかも、本発明の揮発性飛散物除去装置によれば、燃焼方式を用いないので防火対策等の必要は無く、ランニングコストも掛からない。また、触媒も用いないので、触媒表面が被毒により除去性能が低下することもなく、また、多孔質膜等を用いて除去するものでもないので、目詰まりにより除去性能が低下することもなく、メンテナンス性にも優れている。
【0058】
特に、捕集板を処理ガスの流れに対し直交或いは略直交方向に向けて配設することで、処理ガス中の揮発性飛散物が捕集板に衝突する可能性を高くすることができ、揮発性飛散物をより効率的に捕集することが可能になる。更に、捕集板を処理ガスの流れ方向に沿って複数段に配設することで、処理ガス中の揮発性飛散物が捕集板に衝突する可能性を更に高くすることができ、揮発性飛散物を更に効率的に捕集することが可能になる。
【0059】
また、温度調節手段により捕集板の表面温度を揮発性飛散物の融点温度以上沸点温度未満の温度に調節することで、捕集板に付着した揮発性飛散物を液化させることができ、液状化した揮発性飛散物を集合させて付着力以上の重力を有するようにして落下により捕集板から除去することが容易になるため、捕集板の表面状態を常時初期の状態に保つことができ、長時間の連続運転が可能になる。特に、捕集板の表面温度を揮発物の融点温度から融点温度よりも10℃だけ高い温度の範囲内に調節することで、付着物の蒸気圧増加による揮発や、付着物の自由エネルギー増加による付着力の低下に伴う再飛散を防止することが可能になる。更に、成形装置から排出される廃熱を利用して捕集板を加熱することで、省エネ化によるランニングコストの低減が可能になる。
【0060】
また、捕集板の下方に取り外し可能な回収器を備えることで、落下した揮発性飛散物の回収を容易に且つ確実に行うことができ、メンテナンスのために生産を停止したり除去装置本体を分解清掃する必要がなく、メンテナンス性が向上する。特に、回収器内の温度を揮発性飛散物の融点温度未満に調節することで、回収した液状の揮発性飛散物を固化して蒸発による再飛散を確実に防止することができ、また、取り扱いが更に容易になる。
【0061】
さらに、本発明のテンターオーブンによれば、上記の揮発性飛散物除去装置を揮発性飛散物の量が最も多い熱セット室に備えることで、上記の揮発性飛散物除去装置の効果を十分に発揮させ、成形したフィルム状樹脂成形物上への揮発性飛散物の付着や装置,配管,熱交換器等の汚れを大幅に低減させることが可能となり、高品質のフィルム状樹脂成形物を製造することが可能となる。
【0062】
また、別のテンターオーブンによれば、上記の揮発性飛散物除去装置において捕集板の温度調節に用いられた温度調節用の空気を予熱室内にフレッシュエアとして供給することで、予熱室内の空気とフレッシュエアとの置換にともなう熱損失を低減することができる。
また、さらに別のテンターオーブンによれば、上記の揮発性飛散物除去装置において捕集板の温度調節に用いられた温度調節用の空気を中間室内にエア噴射ノズルから噴射するフレッシュエアとして用いることで、フレッシュエアを温度調節する温度調節装置の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として揮発性飛散物除去装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1の揮発性飛散物除去装置にかかる捕集装置の構成を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A′断面図である。
【図4】図2のB−B′断面図である。
【図5】図1の揮発性飛散物除去装置を備えたテンターオーブンの熱セット室の構成を示す概略横断面図ある。
【図6】図1の揮発性飛散物除去装置にかかる温調用空気の一利用形態を示すテンターオーブン全体の概略平面図である。
【図7】図1の揮発性飛散物除去装置にかかる温調用空気の一利用形態を示す中間室の概略縦断面図である。
【図8】従来のテンターオーブンの全体構成を示す概略平面図である。
【図9】従来のテンターオーブンの熱セット室の構成を示す概略横断面図ある。
【符号の説明】
1 捕集装置
2 ハウジング(処理ダクト)
3 入口ダクト
4 出口ダクト
5 温調媒体
6 温調器
6a 温度センサ
7 温調媒体入口管
8 温調媒体出口管
9 吸引ブロア(吸引装置)
10A,10B 切換ダンパ
11 観察窓
12 ボールバルブ
13 回収器
14 バイパス用ダクト
15 捕集板
16 温調媒体管路
17 フィルム
18 ノズル
19 ダクト
20 熱交換器
21 揮発性飛散物除去装置
22 空気(処理ガス)の流れ
23 ファン
24 モータ
30 予熱室
31 延伸室
32 熱セット室
33 中間室
34 冷却室
35 配管
36 ブロア
37 フレッシュエア導入ダクト
39 ブロア
40 エア層
41 エア噴射ノズル
42 排気通路
43 伴走エア
44 温度調節装置
45 浄化装置

Claims (11)

  1. フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室と、該熱セット室と該冷却室との間に仕切り壁を介して画成された中間室とを備えたフィルム状樹脂成形物を製造するテンターオーブンの熱セット室に付設される装置であって、
    該テンターオーブンで加熱された該フィルム状樹脂成形物から発生する揮発性飛散物を含んだ空気である処理ガスを吸引する吸引装置と、
    該吸引装置で吸引された該処理ガスを通過させる処理ダクトと、
    該処理ダクト内に配設され、慣性衝突作用により該処理ガス中の該揮発性飛散物を捕集する複数の捕集板と
    該捕集板の表面温度を調節する温度調節手段とを備え
    該温度調節手段は、該捕集板内に温度調節用媒体として空気を供給することにより該捕集板の表面温度を調節し、
    該捕集板の温度調節に用いられた該空気が該予熱室又は該中間室にフレッシュエアとして供給される
    ことを特徴とする、揮発性飛散物除去装置。
  2. 該捕集板を該処理ガスの流れに対し直交或いは略直交方向に向けて配設した
    ことを特徴とする、請求項1記載の揮発性飛散物除去装置。
  3. 該捕集板を該処理ガスの流れ方向に沿って複数段に配設した
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の揮発性飛散物除去装置。
  4. 該温度調節手段は、該捕集板の表面温度を該揮発性飛散物の融点温度以上沸点温度未満の温度に調節す
    とを特徴とする、請求項1〜3の何れかの項に記載の揮発性飛散物除去装置。
  5. 該温度調節手段は、上記表面温度を該揮発性飛散物の融点温度から該融点温度よりも10℃だけ高い温度の範囲内に調節する
    ことを特徴とする、請求項4記載の揮発性飛散物除去装置
  6. 該温度調節手段は、該テンターオーブンから排出される廃熱を利用して該空気を加熱する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の揮発性飛散物除去装置
  7. 該捕集板の下方に、取り外し可能な回収器を備えた
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか項に記載の揮発性飛散物除去装置。
  8. 該回収器内の温度を該揮発性飛散物の融点温度未満に調節する温度調節手段を備えた
    ことを特徴とする、請求項記載の揮発性飛散物除去装置。
  9. フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室とを備えたテンターオーブンにおいて、
    請求項1〜の何れか項に記載の揮発性飛散物除去装置を該熱セット室に備えた
    ことを特徴とする、テンターオーブン。
  10. フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室とを備えたテンターオーブンにおいて、
    請求項1〜8の何れか1項に記載の揮発性飛散物除去装置と、
    該予熱室内の空気の一部を排気してフレッシュエアと置換することにより該予熱室内で発生する揮発性飛散物を除去する空気置換装置を備えるとともに、
    該揮発性飛散物除去装置において該捕集板の温度調節に用いられた該空気が該空気置換装置により該予熱室に該フレッシュエアとして供給される
    ことを特徴とする、テンターオーブン。
  11. フィルム状樹脂成形物の予熱が行われる予熱室と、該予熱室で予熱された該フィルム状樹脂成形物の延伸が行われる延伸室と、該延伸室で延伸された該フィルム状樹脂成形物の熱処理が行われる熱セット室と、該熱セット室で熱処理された該フィルム状樹脂成形物の冷却が行われる冷却室と、該熱セット室と該冷却室との間に仕切り壁を介して画成された中間室とを備えたテンターオーブンにおいて、
    請求項1〜8の何れか1項に記載の揮発性飛散物除去装置と、
    該中間室に設けられ、該フィルム状樹脂成形物の表面を横断するエア層を形成して該熱セット室から該フィルム状樹脂成形物と共に該中間室に流入する伴走エアを遮るように、該フィルム状樹脂成形物の表面にフレッシュエアを噴射するエア噴射ノズルと、
    該エア噴射ノズルから噴射される該フレッシュエアの温度を調節する温度調節装置とを備えるとともに、
    該揮発性飛散物除去装置において該捕集板の温度調節に用いられた該空気が該フレッシュエアとして用いられる
    ことを特徴とする、テンターオーブン。
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