JP4722589B2 - 固定子積層鉄心 - Google Patents
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Description
一方、各鉄心片を溶接で接合した固定子積層鉄心においては、確実に各鉄心片が接合され、組み立て後に鉄心片が分解やばらける恐れがなく、また、かしめ結合よりスプリングバック量も小さい。しかしながら、溶接作業中の熱により鉄心に歪みが発生するため、かしめ結合と比較すると真直度が劣る。更に、鉄心の上下面に凹凸状のうねりを生じ、このうねりにより鉄心の上下間の高さが不均一となるため、例えばコイルエンドにレーシングを施す際にレーシング針と鉄心の上下端面とが干渉するという問題があった。
これによって、固定子積層鉄心の上下の積層鉄心A、Bはかしめ結合によって接合され、この上積層鉄心Aの下部と下積層鉄心Bの上部は中間の積層鉄心Cに溶接によって連結されているので、溶接の熱による歪みの影響が極めて小さく、かしめ結合のみで完成された鉄心と同等の真直度を得ることができる。また、鉄心の上下面のうねりもなく平面度に優れている。そして、かしめ結合のみによって接合された部分が上下の積層鉄心A、Bの一部であり、その他の部分は溶接によって強固に連結されているので、スプリングバックの量も小さく、また、組み立て後に鉄心片がばらける(即ち、分離又は分解する)ことがない。
第3の発明に係る固定子積層鉄心は、第1、第2の発明に係る固定子積層鉄心において、前記鉄心片の厚みは0.5mm以下で、その直径は150mm以上である。これによって、鉄心片の厚みが薄くその直径が大きい固定子積層鉄心においては、特に、優れた作用効果を発揮する。
それぞれの前記セグメント鉄心を構成する鉄心片は、該セグメント鉄心の上下部がかしめ結合され、該上下部を除く部分は第2の溶接部で溶接接合されて形成され、
しかも、前記第1の溶接部は前記各セグメント鉄心の第2の溶接部を橋渡する長さを有している。
これによって、セグメント鉄心におけるかしめ結合力が弱い大型で積層厚の大きい固定子積層鉄心であっても、強固に接合されかつスプリングバック量を小さく形成できる。
ここで、図1(A)は本発明の第1の実施の形態に係る固定子積層鉄心の平面図、(B)は同側面図、図2は本発明を適用した固定子積層鉄心と従来法を適用した固定子積層鉄心の平面度の比較を示すグラフ、図3は溶接部の逃がし量による平面度比較を示すグラフ、図4〜図6はそれぞれ本発明品、溶接品、かしめ品の押さえ荷重に対する積厚を示すグラフ、図7は本発明の第2の実施の形態に係る固定子積層鉄心の側面図、図8(A)は本発明の第3の実施の形態に係る固定子積層鉄心の平面図、(B)は同側面図である。
この実施の形態においては、各セグメント鉄心15〜17はそれぞれかしめ結合されているが、セグメント鉄心15〜17同士はかしめ結合ではなくて、溶接によって固定され、一体化されている。
なお、この実施の形態では、固定子積層鉄心10の上部21及び下部22の高さa、bはそれぞれ7mmであり、固定子積層鉄心10の全体高さは100mmであったが、上部21及び下部22の高さa、bはそれぞれ固定子積層鉄心10の全体高さ(a+b+c)の約1〜15%の範囲が好ましい。
なお、固定子積層鉄心10において、位置合わせをして載置されたセグメント鉄心15〜17を均等加圧した状態で、周囲の切欠き19に対して同時に溶接するのが最も好ましい。
F>k・w・a/t(aはbとも置き換える。kは安全率で通常は3〜5程度が好ましい)
を満足するように上部21、下部22に配置される鉄心片11の高さを決めるのがよい。
図4〜図6はそれぞれ第1の実施の形態による固定子積層鉄心(本発明品)、溶接接合による固定子積層鉄心(溶接品)、及びかしめ積層(かしめ品)による固定子積層鉄心の押さえ荷重に対するスプリングバック量を示しており、荷重をかけた際のスプリングバックの量が、本発明品は溶接品と同等の品質を有していることになる。
この固定子積層鉄心25は上下の積層鉄心A、Bが、かしめ積層された積層鉄心からなって、上下の積層鉄心A、Bを除く中間部の積層鉄心Cと、上積層鉄心Aの下部26と、下積層鉄心Bの上部27とが溶接によって接合されている。この溶接は、固定子積層鉄心25の円周部に均等形成された切欠き19内で行われている。この実施の形態においても23は溶接部を示し、TIG、レーザービーム溶接、又は電子ビーム溶接等によって行われて、切欠き19内から溶接部23が突出しないようになっている。
これによって、鉄心片11の主要部は溶接接合され、その上下にある鉄心片11のみがかしめ結合されて溶接接合はされていないので、第1の実施の形態に係る固定子積層鉄心10と同様の平面度、及び押さえ荷重に対する小さいスプリングバック量を有することになる。また、鉄心片11の主要部が溶接接合であるので、搬送中に鉄心片が剥離する等の弊害が極めて少なく、取扱が容易である。
ここで、鉄心片11の厚みは、例えば0.2〜0.5mm程度で、その直径は例えば150〜500mm程度である。
更には、この固定子積層鉄心25においては、上下の積層鉄心A、Bのうち溶接されていない部分のそれぞれの高さは、この固定子積層鉄心25の高さの1〜15%(より好ましくは、3〜10%)の範囲にあるのがよい。
この固定子積層鉄心30は、複数のセグメント鉄心31〜33を転積させて積み重ね、周囲に均等配置された円弧状の切欠き34内で第1の溶接部35によって溶接接合されて一体化している。そして、この固定子積層鉄心30の最上部36に位置する鉄心片11及び最下部37に位置する鉄心片11はかしめ結合されて、この固定子積層鉄心30の上下面の鉄心片11に溶接による歪みが発生するのを防止している。即ち、固定子積層鉄心30の上下面の平面度を維持させている。なお、最上部36の高さa、最下部37の高さb、及び中間部の高さcは、第1の実施の形態に係る固定子積層鉄心10と同じである。
この固定子積層鉄心30によって、セグメント鉄心におけるかしめ結合力が弱いより大型でより積層厚の大きい固定子積層鉄心を強固に接合でき、しかも上下面の平面度を維持しながら製造できる。
また、前記実施の形態においては、具体的に数字を用いて説明したが、本発明はこれらの数字に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での数値変更をすることは可能である。
Claims (6)
- 複数枚の同一形状の薄板材からなる鉄心片を積層して形成する固定子積層鉄心であって、上下の積層鉄心A、Bをかしめ結合によって固定すると共に、前記上積層鉄心Aの下部、前記上下の積層鉄心A、Bを除く積層鉄心C、及び前記下積層鉄心Bの上部を溶接によって結合し、しかも、前記積層鉄心Cを構成する前記各鉄心片は、前記溶接によってのみ接合されていることを特徴とする固定子積層鉄心。
- 請求項1記載の固定子積層鉄心において、前記溶接は平面視して円形の該固定子積層鉄心の周囲に形成された複数の凹部内でなされていることを特徴とする固定子積層鉄心。
- 請求項1又は2記載の固定子積層鉄心において、前記鉄心片の厚みは0.5mm以下で、その直径は150mm以上であることを特徴とする固定子積層鉄心。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固定子積層鉄心において、前記上下の積層鉄心A、Bのうち溶接されていない部分のそれぞれの高さは、この固定子積層鉄心の高さの1〜15%の範囲にあることを特徴とする固定子積層鉄心。
- 複数枚の薄板材からなる鉄心片を積層した複数のセグメント鉄心が積み重ねられた状態で、前記各セグメント鉄心が第1の溶接部で溶接接合され、かつ該固定子積層鉄心の最上部及び最下部に位置する前記鉄心片はかしめ結合によってのみ接合された固定子積層鉄心であって、
それぞれの前記セグメント鉄心を構成する鉄心片は、該セグメント鉄心の上下部がかしめ結合され、該上下部を除く部分は第2の溶接部で溶接接合されて形成され、
しかも、前記第1の溶接部は前記各セグメント鉄心の第2の溶接部を橋渡する長さを有していることを特徴とする固定子積層鉄心。 - 請求項5記載の固定子積層鉄心において、前記各セグメント鉄心は転積されていることを特徴とする固定子積層鉄心。
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