JP4721652B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

本発明は、パチンコ遊技機、コイン遊技機、または、スロットマシンなどで代表される遊技機に関する。詳しくは、電力の供給を受けて動作可能であり、遊技者が所定の遊技を行なうことが可能な遊技機に関する。
この種の遊技機として従来から一般的に知られているものに、次のようなものがあった。このような遊技機においては、電源電圧が低下したときにCPU(Central Processing Unit)により実行される電源断処理において遊技の制御を再起動させるために必要な制御状態をバックアップする処理が実行される。
その後、制御状態をバックアップする処理が終了して、電源断を待つループが実行されている際に、電源電圧がCPUが動作可能な電圧以上に維持された場合は、CPUによりウォッチドッグタイマ(Watch Dog Timer、以下、「WDT」という)を初期化するクリア信号を出力するために所定周期ごとに実行される処理が実行されない。このため、クリア信号がCPUからWDTに入力されない。
そして、クリア信号が所定のタイムアウト時間の間入力されないことに応じて、WDTにより、タイムアウト信号が出力される。このタイムアウト信号が、リセット信号としてCPUに入力されることによって、CPUにより遊技の制御が再起動される。このように、CPUにより定期的に出力されるクリア信号がWDTに出力されないことにより、WDTによりCPUがリセットされる。(たとえば、特許文献1参照。)。
特開2002−028289号公報(図48、図51)
しかし、前述のような従来の遊技機においては、CPUにリセット信号が入力されたときには、未だ電源電圧がCPUが安定して動作可能な電圧まで上昇していない場合があり、不安定な電力状態でCPUの制御状態がバックアップされた制御状態に復帰される可能性があった。このようなときに、再度、CPUがリセットされると、バックアップされたCPUの制御状態が失われてしまう恐れがある。
この発明はかかる事情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、不安定な電力状態で制御状態が復帰されるのを防止することが可能な遊技機を提供することである。
課題を解決するための手段の具体例およびその効果
(1) 電力(たとえば、AC24Vの電源による電力)の供給を受けて動作可能となり、遊技者が所定の遊技を行なうことが可能な遊技機(たとえば、パチンコ遊技機1)であって、
前記遊技機に設けられた電気部品(たとえば、ソレノイド16,21など)を制御するマイクロコンピュータ(たとえば、主基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ53)と、
前記遊技機に供給される電力(たとえば、AC24Vの電源による電力に相関する電源監視用電源による電圧VMNの電力)を監視して、前記遊技機への電力の供給停止に関わる供給停止条件(たとえば、VMN<VB)が成立したことを検出したときに供給停止信号(たとえば、電源断信号)を前記マイクロコンピュータに出力する電力監視手段(たとえば、電源監視回路921)と、
予め定められた監視時間(たとえば、タイムアウト時間T=1400ms)を計測するタイマ手段(たとえば、WDT回路530)と、
該タイマ手段により前記監視時間が経過したことが計測されたときに、前記マイクロコンピュータをリセット(たとえば、WDTタイムアウト信号を出力)するリセット手段(たとえば、WDT回路530)と、
前記マイクロコンピュータから初期化信号(たとえば、WDTクリア信号)が入力されたことにより、前記タイマ手段により計測された時間を初期化する初期化手段(たとえば、WDT回路530)と、を備え、
前記マイクロコンピュータは、
前記監視時間よりも短い時間間隔(たとえば、タイマ割込み周期4ms)で定期的に前記初期化信号を前記初期化手段に出力する初期化信号出力処理を実行する制御監視初期化手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53、S138)と、
前記供給停止信号が入力されたことにもとづいて(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53の割込み制御機能によりXINT端子に電源断信号が入力され始めたと判断されたときに)、電力供給が停止しても所定時間、記憶内容を保持可能なバックアップ領域(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53のRAM55)に、前記マイクロコンピュータの制御状態を電力供給停止前の状態に復帰させるのに必要な情報として、バックアップフラグと、前記バックアップ領域の記憶内容が正常か否かの判断に用いられるチェックデータを設定し、当該バックアップ領域へのアクセスを禁止する電力供給停止時処理(たとえば、S151〜S156)を実行するとともに、前記初期化信号出力処理の実行を停止する電力供給停止時処理手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53)と、
電力供給が再開されたときに、前記バックアップフラグが設定されているか否かを判断するとともに、前記チェックデータにもとづいて前記バックアップ領域の記憶内容が正常か否かを判断する判断手段と、
該判断手段によって前記バックアップフラグが設定されているとともに、前記バックアップ領域の記憶内容が正常であると判断されたことを条件として、当該記憶内容に基づいて前記マイクロコンピュータの制御状態を電力供給停止前の制御状態に復帰させるとともに前記バックアップ領域をアクセス可能状態に設定する復帰処理を実行する復帰手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53、S111〜S114)と、
前記判断手段によって前記バックアップフラグが設定されていない、または、前記バックアップ領域の記憶内容が正常でないと判断されたことを条件として、前記バックアップ領域を初期化するとともに前記バックアップ領域をアクセス可能状態に設定する初期化処理を実行する初期化処理手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53、S115〜S119)とを含み、
前記判断手段は、前記供給停止信号が入力されていないことを条件(たとえば、S107によりYと判断されたとき)に、前記バックアップフラグが設定されているか否かと、前記チェックデータにもとづいて前記バックアップ領域の記憶内容が正常か否かとを判断する(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53、S109,S110)。
このような構成によれば、遊技機に供給される電力が監視され、遊技機への電力の供給停止に関わる供給停止条件が成立したことが検出されたときに供給停止信号がマイクロコンピュータに出力される。また、予め定められた監視時間が計測され、監視時間が経過したことが計測されたときに、マイクロコンピュータがリセットされる。また、マイクロコンピュータから初期化信号が入力されたことにより、計測された時間が初期化される。また、監視時間よりも短い時間間隔で定期的に初期化信号を出力する初期化信号出力処理が実行される。そして、供給停止信号が入力されたことにもとづいて、電力供給が停止しても所定時間、記憶内容を保持可能なバックアップ領域に、マイクロコンピュータの制御状態を電力供給停止前の状態に復帰させるのに必要な情報として、バックアップフラグと、バックアップ領域の記憶内容が正常か否かの判断に用いられるチェックデータを設定し、当該バックアップ領域へのアクセスを禁止する電力供給停止時処理が実行されるとともに、初期化信号出力処理の実行が停止される。また、電力供給が再開されたときに、バックアップフラグが設定されているか否かが判断されるとともに、チェックデータにもとづいてバックアップ領域の記憶内容が正常か否かが判断され、バックアップフラグが設定されているとともに、バックアップ領域の記憶内容が正常であると判断されたことを条件として、当該情報に基づいてマイクロコンピュータの制御状態を電力供給停止前の制御状態に復帰させるとともにバックアップ領域をアクセス可能状態に設定する復帰処理が実行され、バックアップフラグが設定されていない、または、バックアップ領域の記憶内容が正常でないと判断されたことを条件として、バックアップ領域を初期化するとともにバックアップ領域をアクセス可能状態に設定する初期化処理が実行される。そして、供給停止信号が入力されていないことを条件に、バックアップフラグが設定されているか否かと、チェックデータにもとづいてバックアップ領域の記憶内容が正常か否かとが判断される。
このため、遊技機に供給される電力の供給停止条件が成立して、供給停止信号がマイクロコンピュータに入力されたときには、初期化信号が定期的に出力されなくなる。また、監視時間経過後にマイクロコンピュータがリセットされた後、供給停止信号が入力されている間は、バックアップ領域へのアクセスが禁止されたまま、バックアップ領域の記憶内容に基づいてマイクロコンピュータの制御状態が電力供給停止前の状態に復帰されない。これにより、監視時間経過後に再度、マイクロコンピュータがリセットされる。その結果、電力の供給停止条件が成立するような不安定な電力状態で制御状態が復帰されるのを防止することが可能な遊技機を提供することができる。
(2) 前記マイクロコンピュータは、
信号が入力されることにより外部割込(たとえば、外部割込み処理)を発生させる割込信号入力部(たとえば、XINT端子)と、入力ポート(たとえば、I/Oポート57)と、を備え、
前記電力監視手段は、前記供給停止信号を前記割込信号入力部と前記入力ポートとに出力し(たとえば、図4参照)、
前記電力供給停止時処理手段は、前記外部割込に応じて前記電力供給停止時処理を実行し(たとえば、S151〜S156)、
前記判断手段は、前記復帰処理中は割込禁止状態に制御し、前記入力ポートを監視して、前記供給停止信号が入力されているかを判定する(たとえば、S106,S107,S138)。
このような構成によれば、電力の供給停止条件の成立に応じて供給停止信号が割込信号入力部に入力されることにより発生される外部割込に応じて電力供給停止時処理が実行される。また、供給停止信号が制御信号入力部に入力されていないと判定されたときに、マイクロコンピュータの制御状態が復帰される。
このため、外部割込に応じて即座に電力供給停止時処理が実行されるとともに、マイクロコンピュータがリセットされた後、供給停止信号が入力されていないときに、マイクロコンピュータの制御状態が復帰される。その結果、電力の供給停止に応じて割込処理として速やかに電力供給停止時処理が実行され、電力の状態がよりよい状態でマイクロコンピュータの制御状態を保存することができるので、制御状態の保存の信頼性を高めることができる。
(3) 前記マイクロコンピュータから送信された制御信号の受信に基づき制御を行なうサブマイクロコンピュータ(たとえば、払出制御基板37、演出制御基板80)をさらに備え、
前記マイクロコンピュータは、
予め定められた割込時間(たとえば、4ms)ごとに実行中の処理に割込んで実行するタイマ割込処理を実行するタイマ割込処理実行手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53のタイマ割込み制御機能、遊技制御用マイクロコンピュータ53、S125〜S139)と、
前記タイマ割込処理にて実行される処理により、前記制御信号を前記サブマイクロコンピュータに対して送信する制御情報送信手段(たとえば、S134,S131,S132)と、
前記タイマ割込処理中に前記外部割込の発生を禁止する割込禁止手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53の割込み制御機能)と、をさらに含み、
前記電力供給停止時処理手段は、前記タイマ割込処理中に前記供給停止信号が入力されたときは、前記タイマ割込処理の終了後に前記電力供給停止時処理を実行する。
このような構成によれば、マイクロコンピュータにより、タイマ割込処理が予め定められた割込時間ごとに実行中の処理に割込んで実行され、タイマ割込処理にて実行される処理により、制御信号がサブマイクロコンピュータに対して送信される。また、タイマ割込処理中に外部割込の発生が禁止される。そして、タイマ割込処理中に供給停止信号が入力されたときは、タイマ割込処理の終了後に電力供給停止時処理が実行される。
このため、タイマ割込処理としてサブマイクロコンピュータへ制御信号が送信されているときに、外部割込の発生が禁止されるので、制御信号の送信が外部割込により中断されることが無くなる。その結果、制御信号の送信不良を防止することができる。
(4) 前記電力監視手段は、前記遊技機に供給される電力に相関する電力であって、前記電気部品を動作させるための電力とは別個に生成された電力(たとえば、整流平滑回路918、および、スイッチング回路(+24V)920による電圧VMNの電力)を監視する。
このような構成によれば、電気部品が動作したときであっても、電力監視手段により、遊技機に供給される電力に相関する電気部品を動作させるための電力とは別個に生成された電力の安定した電圧の状態を監視することができる。このため、安定した電力の監視を実現することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の最良の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、たとえば、コイン遊技機およびスロットマシン等のその他の遊技機であってもよく、電力の供給を受けて動作可能であり、遊技者が所定の遊技を行なうことが可能な遊技機であれば、すべてに適用することが可能である。
図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機1の正面図ある。パチンコ遊技機1には、遊技領域7が形成された遊技盤6が取付けられる。遊技者が操作ノブ5を操作すると、打球供給皿3に貯留された遊技球(いわゆる、パチンコ玉)が1個ずつ発射されて遊技領域7内に打込まれ、遊技領域7を流下する。
遊技領域7の中央には、図柄等の各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示(可変表示、更新表示ともいう)させる装置として、特別図柄(たとえば、0から11までの12種類の図柄)を変動表示させる変動表示装置9が設けられる。また、変動表示装置9では、演出用のキャラクタ画像、背景画像等のその他の画像も表示される。
なお、変動表示装置9により変動表示される特別図柄は、数字、文字、図形、模様、キャラクタ等の識別情報であれば、どのような識別情報であってもよく、数字のみ、文字のみ、図形のみ、模様のみ、キャラクタのみ、または、これらを適宜組合せたもの等であってもよい。ここで、キャラクタとは、人間、動物、あるいは、物等の対象物を象形したものをいう。
変動表示装置9は、画像を表示する液晶表示器(LCD、Liquid Crystal Display)で構成された表示装置であり、特別図柄がそれぞれ変動表示される左、中、右変動表示部が画像上で設けられる。左,中,右変動表示部のそれぞれでスクロール等の所定の変動表示態様で個別に変動表示される特別図柄は、左,中,右図柄と呼ばれる。
左,中,右の各図柄として表示される複数種類の特別図柄には、左,中,右の特別図柄ごとに図柄の配列順序が予め定められる。複数種類の特別図柄は、図柄の配列順序に従って変動表示される。このような複数種類の特別図柄のそれぞれには特別図柄番号データが対応付けられる。
なお、変動表示装置9は、液晶表示器に限らず、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス、7セグメントLED(Light Emitting Diode)等のLED、EL(ElectroLuminescent Display)、蛍光表示管(VFD、Vacuum Fluorescent Display)等のその他の画像表示式の表示装置であってもよい。また、外周に複数種類の図柄が描かれた回転ドラムを回転駆動する回転ドラム式等のその他の機械式の変動表示装置であってもよい。
変動表示装置9で特別図柄の変動表示が開始されるときには、左,中,右図柄の変動表示が一斉に開始される。その後、左,右,中図柄の順に図柄が、順次、停止表示されていき、表示結果が導出表示される。このような変動表示の開始時から表示結果の導出表示時までの時間は、変動時間(変動期間、変動表示期間、または、変動表示時間ともいう)と呼ばれる。
変動表示装置9の上方には、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示可能な普通図柄表示部10が設けられる。普通図柄表示部10は、当り図柄である○印を表示可能な、当り表示部10aと、はずれ図柄である×印を表示可能な、はずれ表示部10bとを含み、当り図柄とはずれ図柄とを交互に点灯表示することにより、普通図柄を変動表示する。変動表示装置9の下方には、特別図柄の変動表示を始動させるための遊技球を受入れ可能な始動口14を有する始動用電動役物14aと、普通図柄の変動表示を始動させるための遊技球を受入れ可能な2つの通過口11とが設けられる。
通過口11に遊技球が進入すると、ゲートスイッチ12により遊技球の通過(始動通過という)が検出され、それに応じて、乱数値となる数値データが抽出されて始動通過記憶データとして後述するRAM(Random Access Memory)55に記憶される。
始動通過記憶データの記憶個数には上限値が設定される。上限値に達しない状態で始動通過が検出されると、普通図柄の変動表示の実行条件が成立して、始動通過が有効となる。上限値に達した状態で始動通過が検出されると、実行条件が成立せず、始動通過が無効となる。
始動通過記憶データに基づき普通図柄の変動表示を開始させることができる開始条件(普通図柄の変動表示が実行中でないこと)が成立すると、普通図柄の変動表示が開始される。これにより、始動通過記憶データが複数記憶されたときには、それぞれのデータに基づいて普通図柄の変動表示が順次実行される。開始条件が未成立の始動通過記憶データの個数は、変動表示装置9の上方に設けられた通過記憶表示部15でのLEDの点灯数により表示される。
始動通過記憶データの値が所定の当り判定値と一致するときには、普通図柄の当りと判定され、当り図柄が普通図柄の表示結果として導出表示される。一方、始動通過記憶データの値が当り判定値と一致しないときには、普通図柄のはずれと判定され、はずれ図柄が普通図柄の表示結果として導出表示される。
始動用電動役物14aは、ソレノイド16によって駆動される左右一対の可動片の開閉によって開閉可能である。始動用電動役物14aは、普通図柄の変動表示結果が当りとなった場合に始動口14に遊技球が進入し易い開成状態となり、その開成状態で遊技球が1つ入賞すると始動口14に遊技球が進入し難い閉成状態に戻る。また、始動用電動役物14aは、開成状態となってから所定の開放期間が経過すれば、遊技球が入賞しなくても閉成状態に戻る。
始動口14に遊技球が進入すると、始動口スイッチ17により遊技球(始動入賞球)が検出され、それに応じて、乱数値となる数値データ(大当り判定用および図柄決定用のランダムカウンタのカウント値)が抽出されて始動入賞記憶データ(保留データ、保留記憶データともいう)として、後述するRAM55に記憶される。
なお、本最良の形態においては、始動入賞記憶データの記憶個数である始動入賞記憶数には上限値(4個)が設定される。上限値に達しない状態で始動入賞が検出されると、特別図柄の変動表示の実行条件が成立して、対応する始動入賞が有効となる。上限値に達した状態で始動入賞が検出されると、実行条件が成立せず、始動入賞が無効となる。
始動入賞記憶データに基づき特別図柄の変動表示を開始させることができる開始条件(始動入賞記憶がある状態で、特別図柄の変動表示がなされておらず、かつ、大当り遊技状態中でもない場合)が成立すると、特別図柄の変動表示が開始される。これにより、始動入賞記憶データが複数記憶されたときには、それぞれのデータに基づいて特別図柄の変動表示が順次実行され、始動入賞記憶データが消化される。開始条件が未成立の始動入賞記憶データの個数は、変動表示装置9において画像により表示される。
始動入賞記憶データが大当りとすることを示すデータであるときには、特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとすると判定され、特定の表示態様としての大当り図柄の組合せ(たとえば、「777」等のゾロ目の特別図柄の組合せ)が変動表示の表示結果として導出表示される。一方、始動入賞記憶データがはずれとすることを示すデータであるときには、変動表示の表示結果をはずれとすると判定され、はずれ図柄の組合せが特別図柄の変動表示の表示結果として導出表示される。
始動用電動役物14aの下方には、遊技球が入賞可能な大入賞口18と大入賞口18を開閉する開閉板20とを備えた可変入賞球装置19が設けられる。特別図柄の変動表示の表示結果が大当り図柄の組合せとなると、大当り遊技状態となり、開閉板20が、遊技者に不利な第2の状態である閉状態から、遊技者に有利な第1の状態である開状態に制御される。開閉板20は、ソレノイド21によって駆動される。
可変入賞球装置19における大入賞口18の内部には、特定入賞領域と通常入賞領域とが設けられる。特定入賞領域に入賞した遊技球は、V入賞球と呼ばれ、Vカウントスイッチ22により検出された後、カウントスイッチ23により検出される。通常入賞領域に進入した遊技球は、カウントスイッチ23のみにより検出される。
大当り遊技状態の可変入賞球装置19において、大入賞口18が開口した第1の状態で、大入賞口18に進入した遊技球の数が所定個数(たとえば、10個)に達したとき、または、所定時間(たとえば、30秒間)経過したときのうちのいずれか早い方の条件が成立したときには、第1の状態が一旦終了して、開閉板20が閉成し、第2の状態に制御される。
そして、可変入賞球装置19が第1の状態となっている期間中に進入した遊技球が特定入賞領域に入賞し、Vカウントスイッチ22により検出されたことを条件として、その回における可変入賞球装置19の第1の状態が終了して第2の状態となった後、再度、開閉板20が開成されて、可変入賞球装置19を第1の状態にする繰返し継続制御が実行される。繰返し継続制御の実行上限回数は、たとえば、16回と定められる。繰返し継続制御において、可変入賞球装置19が第1の状態にされている状態は、ラウンドと呼ばれる。
また、特別図柄の変動表示結果が特定の表示態様(大当り図柄の組合せ)のうちの予め定められた特別の表示態様(たとえば、奇数のゾロ目。以下、確変大当り図柄の組合せともいう)となると、大当り遊技状態の終了後において、大当り遊技状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態としての確率変動状態(以下、確変状態という)および変動時間短縮状態(以下、時短状態という)に制御される。
確変状態は、確率向上状態ともいい、大当りとなる確率が変動して通常遊技状態(大当り遊技状態、確変状態、および、時短状態以外の遊技状態)よりも高くなった状態である。確変状態は、次回の大当りが発生するまで継続される。時短状態は、特別図柄の変動表示の変動時間が通常遊技状態時の変動時間よりも短縮された状態である。たとえば、確変状態中、確変状態終了後もしくは大当り遊技状態終了後、変動表示が100回行なわれるまでの間、または、大当り遊技状態となるまでの間、時短状態に制御される。確変大当り図柄の組合せによる大当りは確変大当りと呼ばれ、確変大当り図柄の組合せ以外の非確変大当り図柄の組合せによる大当りは非確変大当りと呼ばれる。確変状態および時短状態は、それぞれ、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ53の確率変動制御機能および変動時間短縮制御機能により実現される。
また、特別図柄の変動表示中においては、左図柄と右図柄とが同じ図柄に揃ったリーチ状態(リーチ態様、リーチ表示態様ともいう)が発生する場合がある。ここで、リーチ状態とは、複数の表示領域(変動表示領域、変動表示部ともいう)における一部の表示領域において表示結果がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示領域の表示結果が特定の表示態様(大当り図柄の組合せ)となる条件を満たしている表示状態をいう。
また、リーチとして定義されるもののうちには、複数の表示領域のすべてで特定の表示態様を保持した状態で変動表示を行なっている、所謂、全回転リーチも含まれる。さらに、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチ状態に比べて、大当りが発生し易いものがある。このような特定のリーチ状態をスーパーリーチという。
また、特別図柄の変動表示中においては、表示結果が大当り図柄の組合せとなるときに、特別図柄を非確変大当り図柄の組合せ、または、確変大当り図柄の組合せで一旦仮に停止(たとえば、図柄が更新されていない状態で揺動している状態等であり、以下、仮停止という)させた後、特別図柄が再度変動表示され、その後、表示結果として、最終的に確定した非確変大当り図柄の組合せまたは確変大当り図柄の組合せを導出表示する再変動表示が行なわれる。この再変動表示においては、表示結果が大当り図柄の組合せとなるときに、確変大当り図柄となるか非確変大当り図柄となるかという楽しみを遊技者に与えることができる。
遊技領域7には、一般入賞口である入賞口24等の他の構造物も設けられる。また、入賞口24の内部には、入賞した遊技球を検出するための入賞口スイッチ99が設けられる。遊技領域7の下端部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球をアウト球として回収するアウト口26が設けられる。遊技領域7の外周には、飾りLED42および飾りランプ25等の各種ランプが設けられる。遊技領域7の上部の左右には、効果音等の音を発生するスピーカ41,41が設けられる。
賞球の払出しについては、たとえば、大入賞口18、始動口14、および、入賞口24に入賞した入賞球1個に対して、それぞれ、15個、5個、10個の賞球が払出される。
また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される(図示せず)。なお、プリペイドカードには、球貸し可能な遊技球数を特定する情報(たとえば、金額:遊技球数25個/100円)が記録されている。そして、遊技者がプリペイドカードをカードユニット50に挿入し所定の操作を行なうと、カードユニット50において、プリペイドカードに記録されている情報により特定される球貸し可能な遊技球数のうち操作に応じた数の遊技球を払出すための処理が行なわれる。
カードユニット50の前面には、たとえば、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ、プリペイドカードが挿入されるカード挿入口、および、カード挿入口の内部に設けられるカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を開放するためのカードユニット錠が設けられる。
図2は、パチンコ遊技機1における各種制御基板を含む制御回路の構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、パチンコ遊技機1は、制御回路として、主基板(遊技制御基板ともいう)31、演出制御基板80、および、払出制御基板(賞球制御基板ともいう)37を備える。これらの制御基板のそれぞれには、制御用のマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)等が搭載される。
また、パチンコ遊技機1は、これらの制御基板や、前述した各種ソレノイドや各種LED、ランプ等の電気部品を駆動するための電源を供給するための電源基板910を備える。主基板31、演出制御基板80、および、払出制御基板37は、電気部品であるとともに、電気部品を制御するための電気部品制御基板でもある。
電源基板910には、AC24Vの電力が供給される。電源基板910は、その交流を整流して所定電圧の直流を生成し、前述した電気部品に供給する。また、図示しないが、カードユニット50にもAC24Vを供給する。
主基板31には、遊技制御用のプログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイコン53、各入賞口スイッチ12,17,22,23,99などの各種検出器からの検出信号を遊技制御用マイコン53に与えるスイッチ回路、各種ソレノイド16,21などの各装置等駆動用ソレノイドを遊技制御用マイコン53からの指令に従って駆動するソレノイド回路、および、遊技制御用マイコン53から与えられるデータに従って情報出力信号を盤用外部端子板34を介してホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路などが設けられる。
情報出力信号は、大当りの発生を示す大当り情報、変動表示装置9における図柄の変動表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変状態情報等の情報をパチンコ遊技機1から外部装置に出力するための信号である。
遊技制御用マイコン53は、遊技制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行なうCPU56、および、I/Oポート57を含む。そして、CPU56により、ROM54から遊技制御用のプログラムが読出され、そのプログラムがタイマ割込みに従って定期的(たとえば、4msごと)に繰返し実行されることにより、遊技制御用マイコン53は各種の遊技制御を実行する。
タイマ割込みの周期は、タイマ割込みに従って実行されるプログラム(具体的には、後述する図6で説明するタイマ割込み処理)を1回実行するのに十分な長さの時間であって、かつ、できるだけ短い時間として設定される。十分な長さの時間とは、その時間内にタイマ割込みに従って実行されるプログラムが必ず実行される長さの時間である。
演出制御基板80には、演出制御用のプログラムに従ってパチンコ遊技機1における遊技の演出を制御する演出制御用マイコン800、画像表示用のIC(Integrated Circuit)であるVDP(Video Display Processor)、画像表示のための作業領域として用いられるVRAM(Video Random Access Memory)、画像データを記録したCGROM、音声出力用のICであるサウンドジェネレータ、音声データROM、音声増幅回路、および、ランプドライバ回路などが設けられる。
演出制御用マイコン800は、前述した遊技制御用マイコン53と同様、ROM、RAM、CPU、および、I/Oポートを含む。そして、CPUにより、ROMから演出制御用のプログラムが読出され、そのプログラムがタイマ割込みに従って定期的に繰返し実行されることにより、演出制御用マイコン800は各種の遊技演出の制御を実行する。
また、演出制御基板80には、変動表示手段としての変動表示装置9と、音出力手段としてのスピーカ41,41と、発光手段としての普通図柄表示部10(10a,10b)、通過記憶表示部15、飾りLED42、および、飾りランプ25とが接続される。
払出制御基板37には、払出制御用のプログラムに従ってパチンコ遊技機1における遊技球の払出しや遊技球の発射などを制御する払出制御用マイコン370などが設けられる。
払出制御用マイコン370は、前述した遊技制御用マイコン53と同様、ROM、RAM、CPU、および、I/Oポートを含む。そして、CPUにより、ROMから払出制御用のプログラムが読出され、そのプログラムがタイマ割込みに従って定期的に繰返し実行されることにより、払出制御用マイコン370は遊技球の払出制御を実行する。
また、払出制御基板37には、払出モータ289とモータ位置センサ295と払出個数カウントスイッチ301とからなる球払出装置97、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、球切れランプ52、賞球ランプ51、タッチセンサ基板91、および、枠用外部端子板160などが接続される。タッチセンサ基板91には、操作ノブ5、タッチリング308、および、発射モータ94などが接続される。
モータ位置センサ295、払出個数カウントスイッチ301、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、タッチリング308、および、操作ノブ5からの検出信号は払出制御用マイコン370に与えられる。また、払出モータ289、球切れランプ52、賞球ランプ51、および、発射モータ94には、払出制御用マイコン370から制御信号が与えられる。
球払出装置97は、払出制御用マイコン370からの指令に従って、ステッピングモータである払出モータ289を駆動させることにより、遊技球を1個ずつ打球供給皿3に払出す。モータ位置センサ295は、払出モータの回転位置を検出するための発光素子と受光素子とによるセンサであり、遊技球が詰まったこと(いわゆる、球噛み)を検出する。払出個数カウントスイッチ301は、近接スイッチによるセンサであり、球払出装置97から実際に払出される遊技球を検出する。
満タンスイッチ48は、払出された遊技球により打球供給皿3が満杯になったことを検出する。球切れスイッチ187は、球払出装置97に供給される遊技球の有無を検出する。払出制御用マイコン370は、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していたり、球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示していると、払出モータ289の駆動を停止させる。球切れランプ52は、球払出装置97に供給される遊技球が切れたことを示すランプである。賞球ランプ51は、遊技球が入賞して賞球が払出されたことを示すランプである。
タッチリング308は、遊技者が操作ノブ5に触れていることを検出する。払出制御用マイコン370は、タッチリング308からの検出信号を受信しているときに、タッチセンサ基板91を介して発射手段である発射モータ94に、駆動を許可する駆動信号を出力する。
発射モータ94は、払出制御用マイコン370からの駆動信号に従って駆動され、遊技球を打撃して発射する打球発射装置において遊技球を1個ずつ遊技領域7に向けて発射する。発射モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って払出制御用マイコン370により調整される。
枠用外部端子板160は、払出制御用マイコン370から出力された賞球払出数を示す賞球情報信号、および、貸球数を示す球貸し個数信号を外部に出力する。また、枠用外部端子板160には、ドア開放スイッチ161が接続される。枠用外部端子板160は、ドア開放スイッチ161から出力されたパチンコ遊技機1の前面の扉が開放されたことを示す信号を外部に出力する。
また、払出制御基板37には、インターフェース基板66を介して、カードユニット50が接続される。カードユニット50で用いられる電源電圧AC24Vは、電源基板910から払出制御基板37およびインターフェース基板66を介して供給される。また、インターフェース基板66には、打球供給皿3の近傍に設けられる球貸しスイッチ62、返却スイッチ63、球貸可LED61、および、度数表示LED60が接続される。
球貸しスイッチ62は、遊技者による操作に応じて球貸しスイッチ信号をカードユニット50に与える。返却スイッチ63は、遊技者による操作に応じて返却スイッチ信号をカードユニット50に与える。球貸可LED61は、点灯することにより球貸し可能状態であることを示す。度数表示LED60は、プリペイドカードに記録されている球貸し可能な度数を表示する。度数は、たとえば、遊技球25個分(100円分)を一単位として表示される。
また、前述したような遊技を行なうために、遊技制御用マイコン53から演出制御用マイコン800、および、払出制御用マイコン370のそれぞれには、各制御用マイコンが実行する制御内容を指令(指示、指定)する制御指令情報の一例となるコマンド(制御コマンド)がそれぞれ送信される。
具体的に、遊技制御用マイコン53から演出制御用マイコン800には、演出制御用マイコン800により制御が行なわれる演出制御基板80に接続された機器を制御するための指令情報である演出制御コマンド、たとえば、表示制御コマンド、音制御コマンド、および、ランプ制御コマンド等の情報が送信される。
演出制御用マイコン800は、受信した表示制御コマンドに基づいて、変動表示装置9を動作させて特別図柄の変動表示を実行させる制御を行なう。また、演出制御用マイコン800は、受信した音制御コマンドに基づいて所定の効果音をスピーカ41,41から出力させる制御を行なう。また、演出制御用マイコン800は、受信したランプ制御コマンドに基づいて、ランプおよびLED等の各種発光体の発光制御を行なう。
払出制御用マイコン370に送信される情報には、賞球の払出制御に関する指令情報としての遊技制御用マイコン53からの信号と、貸球の払出制御に関する指令情報としてのカードユニット50からの信号とが含まれる。払出制御用マイコン370では、受信した信号に基づいて球払出装置97を制御して、所定個数の賞球または貸球を払出すための制御が行なわれる。
たとえば、遊技制御用マイコン53は、入賞球検出スイッチ99、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、および、カウントスイッチ23の検出信号に基づいて所定個数の賞球を払出すための賞球信号を払出制御用マイコン370に送信する。
また、カードユニット50は、遊技者による球貸しスイッチ62の操作に応じて所定個数の貸球を払出すための貸球信号を払出制御用マイコン370に送信する。払出制御用マイコン370では、その出力されてきた賞球信号または貸球信号に基づいて球払出装置97を制御して、それぞれ所定個数の賞球または貸球を払出すための制御を行なう。
主基板31(遊技制御用マイコン53)から各制御基板へ送信される情報には、前述したような制御の指令内容を示すコマンドと、該コマンドの取込みタイミングを示すINT信号とが含まれる。ここで、コマンドは、1コマンドが2バイトのデータで構成されており、制御モードの種類を指令する1バイトのMODEデータと、MODEデータで指令された制御モードにおける具体的な制御内容を指令する1バイトのEXTデータとにより構成される。遊技制御用マイコン53は、このような2バイトのデータを、INT信号により取込みタイミングを示しつつ、指令先の各制御基板へ順次送信することにより、制御内容を指令する。
なお、図2においては、表示制御機能と音制御機能とランプ制御機能とをそれぞれ1つのマイコンに含ませる例を示した。しかし、これに限らず、表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能をそれぞれ別のマイコンの機能に含ませ、それぞれのマイコンが前述したような表示制御コマンド、音制御コマンド、および、ランプ制御コマンドを受信し、そのコマンドに応じて各種制御を行なうようにしてもよい。
図3は、パチンコ遊技機における各制御基板間の電源供給および信号送受信の関係を示すブロック図である。電源基板910には、RAMクリアスイッチ911と、電源スイッチ912と、整流平滑回路913と、スイッチング回路(+24V)914と、スイッチング回路(+12V)915と、スイッチング回路(+5V)916と、バックアップ回路917と、整流平滑回路918と、スイッチング回路(+24V)920と、電源監視回路921と、リセット回路922とが備えられる。
電源スイッチ912は、パチンコ遊技機1内の各電気部品制御基板やその他の部品への電力供給または電力遮断をするためのスイッチである。電源スイッチ912が操作されることにより、パチンコ遊技機1の電源のオン状態、オフ状態が切替えられる。電源スイッチ912が閉成状態(オン状態)である場合は、AC24Vの外部電力が、電源スイッチ912を介して、整流平滑回路913,918に供給される。また、電源スイッチ912を介したAC24Vの電力は、払出制御基板37、および、インターフェース基板66を介して、カードユニット50へ供給される。
整流平滑回路913は、AC24Vの電流を整流した後、平滑化して、電圧VLP(=30V)の電力を生成して、外部出力するとともに、スイッチング回路(+24V)914へ供給する。電圧VLPの電力は、演出制御基板80のランプ電源802に供給される。ランプ電源802により、飾りランプ25に電力が供給される。
スイッチング回路(+24V)914には、レギュレータIC(Integrated Circuit)(スイッチングレギュレータ)が設けられる。そして、スイッチング回路(+24V)914は、レギュレータICにより、電圧VLPの電力から電圧VSL(=24V)の電力を生成して、外部出力するとともに、スイッチング回路(+12V)915へ供給する。電圧VSLの電力は、主基板31のソレノイド電源311、演出制御基板80のLED電源・モータ電源・ソレノイド電源801、および、払出制御基板37のモータ電源・ソレノイド電源371に供給される。
ソレノイド電源311により、入賞口などを開閉するためのソレノイド16,21に電力が供給される。LED電源・モータ電源・ソレノイド電源801により、遊技の演出に関する24V駆動の飾りLED42、および、遊技の演出に関するアクチュエータである演出用ソレノイドおよび演出用モータ(本実施の形態では用いない)などに電力が供給される。モータ電源・ソレノイド電源371により、遊技球の払出しや発射に関するアクチュエータである払出モータ289、および、発射モータ94などに電力が供給される。
同様に、スイッチング回路(+12V)915、スイッチング回路(+5V)916は、レギュレータICにより、それぞれ、電圧VSL,VDDの電力から電圧VDD(=12V),VCC(=5V)の電力を生成して、外部出力するとともに、それぞれ、スイッチング回路(+5V)916、バックアップ回路917へ供給する。
電圧VDDの電力は、主基板31のセンサ電源312、演出制御基板80のアンプ電源・LED電源・IC電源の生成電源803、および、払出制御基板37のセンサ電源372に供給される。電圧VCCの電力は、主基板31のIC電源313、および、払出制御基板37のIC電源373に供給される。
センサ電源312により、各入賞口スイッチ12,17,22,23,99などの遊技の制御に関するセンサに電力が供給される。IC電源313により、遊技制御用マイコン53などの遊技制御基板31の制御回路に電力が供給される。
アンプ電源・LED電源・IC電源の生成電源803により、演出制御用マイコン800、スピーカ27、12V駆動の飾りLED42、変動表示装置9、普通図柄表示部10、および、通過記憶表示部15などの遊技の演出に関する電気部品に電力が供給される。
センサ電源372により、払出個数カウントスイッチ301、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、球切れランプ52、および、賞球ランプ51などの遊技球の払出しに関するセンサ、ランプに電力が供給される。IC電源373により、払出制御用マイコン370などの払出制御基板37の制御回路に電力が供給される。
バックアップ回路917は、電圧VCCの電力をコンデンサに蓄電し、蓄電した電力を電圧VBB(=5V)の電力として外部出力する。なお、コンデンサに蓄電することに替えて、充電池に充電するようにしてもよい。電圧VBBの電力は、主基板31のバックアップ電源314に供給される。これにより、AC24Vの外部電力の供給が停止されても、コンデンサに蓄電された電力が供給される間は、電圧VBBの電力は、バックアップ電源314に供給される。
バックアップ電源314により、遊技制御用マイコン53のRAM55に電力が供給される。このため、RAM55は、パチンコ遊技機1への外部電力の供給が停止しても、所定期間、データを記憶しておくことが可能である。
整流平滑回路918は、AC24Vの電力を整流した後、平滑化する。そして、スイッチング回路(+24V)920は、整流して平滑化された電力から電圧VMN(=24V)の電力を生成して、電源監視回路921、および、リセット回路922に供給する。
電源監視回路921は、電圧VMNの電力を監視する。電圧VMNは、外部電力の電圧の増減に相関して増減する。たとえば、外部電力の電圧が降下しているときには、電圧VMNも相関して(たとえば、比例して)降下し、外部電力の電圧が上昇しているときには、電圧VMNも相関して上昇する。
ソレノイド電源として供給される電圧VSLの電力は、ソレノイド16,21などの動作による誘導起電力などの電気部品の動作による外乱によって、電圧が安定しないことがある。電圧VMNの電力は、他の電気部品に供給される電力を生成する回路から独立した電源回路である整流平滑回路918およびスイッチング回路(+24V)920により生成される。このため、電圧VMNの電力は、他の電気部品が動作したときであっても電圧が安定している。
このように、電圧が安定した電源による電力を監視することによって、電気部品が動作したときであっても、電源監視回路921は、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電力の安定した電圧VMNの状態を監視することができる。また、電源監視回路921は、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電力を監視することによって、間接的に、パチンコ遊技機1に供給される電力を監視することができる。
そして、電源監視回路921は、監視している電力の電圧VMNが所定の電源断電圧(たとえば、VB=17V)以上になってから、電源監視回路921内のコンデンサの容量により定められる遅延時間が経過したときに、ハイレベル(たとえば、5V)の信号を出力する。また、電源監視回路921は、監視している電力の電圧VMNが所定の電源断電圧未満になったときに、ロウレベル(たとえば、+0V)の信号を出力する。このロウレベルの信号を電源断信号という。
電源断信号は、ポート入力315およびXINT端子入力316を介して、主基板31に入力され、それぞれ、遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の入力ポート、および、XINT端子に入力される。また、電源断信号は、ポート入力374およびXINT端子入力375を介して、払出制御基板37に入力され、それぞれ、払出制御用マイコン370のI/Oポート、および、XINT端子に入力される。電源断信号に対する遊技制御用マイコン53の動作については、後述する図4、図5、図7で説明する。
なお、電源監視回路921が監視する電力は、電圧VMNの電力に限定されず、外部電力に相関する電力であれば他の電力であってもよい。しかし、電源監視回路921が監視する外部電力に相関する電力は、外部電力の変化に対する反応が鈍い電力よりも、敏感に反応する電力であることが好ましい。また、電源監視回路921が監視する電力は、外部電力の変化に対して、比較的大きく変化する電力であることが好ましい。
また、電圧が降下したときの制御が正常に行なわれるために、電源監視回路921が監視する電力は、遊技制御用マイコン53などの制御回路に供給される電圧よりも高い電圧の電力であることが好ましい。たとえば、電源監視回路921が監視する電力は、電圧VSLの電力、または、電圧VDDの電力であってもよい。
このように、電源監視回路921は、パチンコ遊技機1に供給される電力を監視して、パチンコ遊技機1への電力の供給停止に関わる条件としての、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電力の電圧VMNが電源断電圧未満である条件が成立したことを検出したときに、主基板31および払出制御基板37に、電源断信号を出力する。
リセット回路922は、電源監視回路921と同様、電圧VMNの電力を監視する。そして、監視している電力の電圧VMNが所定のリセット電圧(たとえば、VA=5V)以上になってから、リセット回路922内のコンデンサの容量により定められるリセット時間が経過したときに、ハイレベル(たとえば、+5V)の信号を出力する。また、監視している電力の電圧VMNが所定のリセット電圧未満になったときに、ロウレベル(たとえば、0V)の信号を出力する。このロウレベルの信号をリセット信号という。
リセット信号は、XRST端子入力317を介して、主基板31に入力され、遊技制御用マイコン53のXRST端子に入力される。同様に、リセット信号は、XRST端子入力804,376を介して、それぞれ、演出制御基板80、および、払出制御基板37に入力され、演出制御用マイコン800、および、払出制御用マイコン370のXRST端子に入力される。リセット信号に対する遊技制御用マイコン53の動作については、後述する図4で説明する。
なお、リセット回路922が監視する電力は、前述した電源監視回路921の場合と同様、電圧VMNの電力に限定されず、外部電力に相関する電力であれば他の電力であってもよい。しかし、リセット回路922が監視する電力は、外部電力に相関する電力であっても、外部電力の変化に対する反応が鈍い電力よりも、敏感に反応する電力であることが好ましい。また、リセット回路922が監視する電力は、外部電力の変化に対して、比較的大きく変化する電力であることが好ましい。
また、遊技制御用マイコン53が動作しない電圧をリセット電圧として、監視している電力の電圧がリセット電圧未満となったときに、リセット信号を出力しても、遊技制御用マイコン53がリセット信号に応じた動作をできない。このため、リセット回路922が監視する電力は、遊技制御用マイコン53が動作しない電圧よりも高い電圧である必要がある。
このように、リセット回路922は、パチンコ遊技機1に供給される電力を監視して、パチンコ遊技機1をリセットさせる条件としての、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電力の電圧VMNがリセット電圧未満である条件が成立したことを検出したときに、主基板31、払出制御基板37、および、演出制御基板80に、リセット信号を出力する。
また、RAMクリアスイッチ911は、押しボタン構造のスイッチである。RAMクリアスイッチ911が押下されることにより、ロウレベル(オン状態)のCLR信号が出力され、ポート入力315を介して、主基板31に入力され、遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の入力ポートに入力される。また、RAMクリアスイッチ911が押下されていないときは、ハイレベル(オフ状態)の信号が出力される。
なお、RAMクリアスイッチ911は、押しボタン構造以外の構造であってもよい。また、RAMクリアスイッチ911は、電源基板910以外に設けてもよい。後述する図5のメイン処理のS109で説明するように、このRAMクリアスイッチ911が電源投入時に押下されることにより、主基板31のRAM55がクリアされる。
図4は、遊技制御用マイコン53のリセットおよび割込みに関する接続関係を示すブロック図である。図4を参照して、電源回路910の電源監視回路921から出力されたロウレベルの電源断信号は、遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の入力ポート、および、XINT端子に入力される。また、電源回路910のリセット回路922から出力されたロウレベルのリセット信号は、AND回路533を介して、遊技制御用マイコン53のXRST端子に入力される。
XINT端子(マスカブル割込み要求入力端子)は、遊技制御用マイコン53にマスカブル割込み要求信号を入力するための端子である。マスカブル割込みは、ユーザプログラムにより、割込み要求の受付けを許可または禁止できる割込みである。XINT端子から入力されるマスカブル割込み要求は、外部割込み要求である。
マスカブル割込み要求には、外部割込み要求のほかに、所定のタイマまたはカウンタ動作をする遊技制御用マイコン53のタイマ回路であるCTC(Counter Timer Circuit)、または、前述したI/Oポート57であるPIO(Parallel I/O)による割込み要求がある。XINT端子に、ロウレベル(0V)の信号が入力されると、マスカブル割込みが遊技制御用マイコン53に発生する。
XRST端子は、遊技制御用マイコン53をリセットさせるためのリセット信号を入力するための端子である。XRST端子に、ロウレベル(0V)の信号が入力されると、システムリセットが発生する。システムリセットにより遊技制御用マイコン53内のすべての回路が初期化される。
遊技制御用マイコン53は、XINT端子にロウレベルの信号、つまり、電源断信号が入力されたときには、実行中のプログラムに対して、割込みが禁止されていない場合は、即座に外部割込みを発生させる割込み制御機能を有する。外部割込みが発生した場合には、後述する図7で説明する外部割込み処理が実行される。本実施の形態においては、この外部割込み処理において、パチンコ遊技機1に供給されている電力の電圧が低下したときにRAM55に記憶されたデータを保存する処理である電源断処理が実行される。
また、遊技制御用マイコン53は、プログラムの実行によって、I/Oポート57の入力ポートに入力された信号に対する処理を実行する。本実施の形態においては、I/Oポート57の入力ポートに入力される電源断信号は、後述する図5で説明するメイン処理のS107において用いられる。
また、遊技制御用マイコン53は、後述する図6で説明するタイマ割込み処理のS138のWDTクリア信号出力処理の実行によって、I/Oポート57の出力ポートから、WDT回路530に対して、WDTクリア信号を出力する。
クロック回路531は、遊技制御用マイコン53のCPU56やWDT回路530などの遊技制御用マイコン53内の各回路に供給するクロックを生成する回路である。
WDT回路530は、クロック回路531からWDT回路530のCLK端子に入力されたクロックパルスをカウントする。そして、WDT回路530は、遊技制御用マイコン53からWDT回路530のCLR端子に、WDTクリア信号が入力されたときに、カウントしているクロックパルスのカウント値をクリアして、再度、0からカウントを開始する。
遊技制御用マイコン53により通常の遊技制御処理が実行されているときにおいては、タイマ割込み処理のWDTクリア信号出力処理が実行される。このため、WDTクリア信号は、定期的(タイマ割込み処理の実行周期ごと、たとえば、4msごと)に出力される。
しかし、遊技制御用マイコン53によりWDTクリア信号出力処理が実行されない場合、たとえば、外部割込みが発生し、外部割込み処理が実行された場合、WDTクリア信号が定期的に出力されなくなる。
WDTクリア信号が入力されずに、クロックパルスのカウント値が予め設定されたタイムアウト時間(本実施の形態においては、1400ms)に相当する値に達した場合、WDT回路530は、ハイレベルのWDTタイムアウト信号をQ端子から出力する。
WDT回路530から出力されたハイレベルのWDTタイムアウト信号は、NOT回路532によって、ロウレベルのWDTタイムアウト信号に変換される。そして、WDT回路530からのロウレベルのWDTタイムアウト信号、または、電源回路910のリセット回路922からのロウレベルのリセット信号が、AND回路533に入力された場合、AND回路533は、ロウレベルの信号を遊技制御用マイコン53のXRST端子に出力する。
XRST端子にロウレベルの信号、つまり、リセット信号が入力されたときに、遊技制御用マイコン53は、システムリセットを発生させる。これにより、遊技制御用マイコン53は、リセットされる。また、XRST端子にハイレベルの信号が入力されたときに、遊技制御用マイコン53は、CPU56、CTC、PIOを初期化して、プログラムの実行を開始する。CTC、PIOについては、後述する図5で説明する。
図5は、主基板31により実行されるメイン処理の処理内容を示すフローチャートである。パチンコ遊技機1に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS(以下単に「S」という)101以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行なう。
初期設定処理では、まず、S101により、CPU56によって割込みが禁止される。次に、S102により、割込みモードが割込みモード2に設定され、S103により、スタックポインタ指定アドレスが設定される。そして、S104により、内蔵デバイスレジスタの初期化が行なわれる。
次いで、S105により、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ回路)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化が行なわれる。
この実施形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CPU56には、マスク可能な割込み(前述したマスカブル割込み)のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込みが発生すると、CPU56は、自動的に割込み禁止状態に設定されるとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
割込みモード0では、割込み要求を行なった内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPU56の内部データバス上に送出する。よって、CPU56は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時には、自動的に割込みモード0になる。よって、割込みモード1または割込みモード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込みモード1または割込みモード2に設定するための処理を行なう必要がある。
割込みモード1とは、割込みが受付けられると、常に所定の番地に飛ぶモードである。
割込みモード2とは、CPU56の特定レジスタの値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込みベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込み番地を示すモードである。すなわち、割込み番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ、下位アドレスが割込みベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の偶数番地に割込み処理を設定することができる。各内蔵デバイスは割込み要求を行なうときに割込みベクタを送出する機能を有している。
よって、割込みモード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込み要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込み処理を設置することが可能となる。さらに、割込みモード1とは異なり、割込み発生要因ごとのそれぞれの割込み処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施形態では、初期設定処理のS102により、CPU56は割込みモード2に設定される。
次に、S106により、遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の入力ポートを介して入力される電源断信号の状態が判定される。そして、S107により、電源断信号が入力されたと判断された場合は、S106に戻る。また、S107により、電源断信号が入力されていないと判断された場合は、S108に進む。
次いで、S108により、遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の入力ポートを介して入力されるRAMクリアスイッチ911の出力信号であるCLR信号の状態が1回だけ確認される。その確認においてオン状態であることが検出された場合には、S115からS119までの処理により、通常の初期化処理が実行される。
RAMクリアスイッチ911が押下されている場合には、CLR信号が入力される。たとえば、遊技店員は、RAMクリアスイッチ911を押下しながら、パチンコ遊技機1の電源スイッチ912をオン状態にすることによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリアを行なうことができる。
RAMクリアスイッチ911がオン状態でない場合には、S109により、パチンコ遊技機1への電力の供給が停止したときに後述する図7で説明するRAM55のデータ保護処理が行なわれたか否かが判断される。具体的には、バックアップフラグにバックアップあり指定値が設定されているか否かが判断される。
バックアップフラグは、RAM55のデータ保護処理が行なわれてデータがバックアップされたか否かを示すフラグであって、後述する図7の外部割込み処理のS151により設定される。
S109により、RAM55がバックアップされていないと判断された場合は、S115からS119までの初期化処理が実行される。一方、RAM55がバックアップされていると判断された場合は、S110により、RAM55のデータチェック(本実施形態では、パリティチェック)が行なわれる。
具体的には、後述する図7のS153によりRAM55のチェックサム記憶領域に記憶されたチェックサムデータが、RAM55に現在記憶されているデータのチェックサムデータと一致するか否かが判定される。一致すると判定された場合は、RAM55に現在記憶されているデータが正常であると判断される。一致しないと判定された場合は、RAM55に現在記憶されているデータが異常であると判断される。
RAM55のデータチェックが異常であると判断された場合は、S115からS119までの初期化処理が実行される。一方、正常であると判断された場合は、S111により、RAM55がアクセス可能状態に設定される。次に、S112により、バックアップ時設定テーブルの先頭アドレスがポインタに設定され、S113により、バックアップ時設定テーブルの内容が順次RAM55に設定される。
バックアップ時設定テーブルには、RAM55のバックアップすべきデータが記憶されていない領域、つまり、RAM55のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。S112の処理によって、RAM55のうち初期化してはならない領域については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない領域とは、たとえば、電力供給停止前の遊技制御の状態を示すデータ(始動入賞記憶数、賞球数、大当りフラグ、特別図柄プロセスフラグなど)が設定されている記憶領域である。
また、S114により、ROM54に格納されているバックアップ時コマンド送信テーブルの先頭アドレスがポインタに設定され、その内容に従って、サブ基板(本実施の形態においては、払出制御基板37および演出制御基板80)に、電力供給が復旧した旨を示す制御コマンドである初期化コマンドが送信されるように制御される。サブ基板とは、前述した払出制御基板37および演出制御基板80をいう。そして、S120に移行する。
初期化処理では、まず、S115により、RAM55がアクセス可能状態に設定される。次に、S116により、RAMクリア処理が行なわれる。なお、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(たとえば、大当り判定用乱数を生成するためのランダムカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。たとえば、大当り判定用のランダムカウンタのカウント値のデータをそのままにした場合には、不正な手段によって初期化処理が実行される状態になったとしても、大当り判定用のランダムカウンタのカウント値が大当り判定値に一致するタイミングを狙うことが困難である。
S117により、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスがポインタに設定され、S118により、初期化時設定テーブルの内容が順次作業領域に設定される。S117およびS118の処理によって、たとえば、普通図柄判定用のランダムカウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行なうためのフラグに初期値が設定される。
また、S119により、ROM54に格納されている初期化時コマンド送信テーブルの先頭アドレスがポインタに設定され、その内容に従ってサブ基板を初期化するための初期化コマンドをサブ基板に送信する処理が実行される。初期化コマンドとして、変動表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド等がある。
そして、S120により、所定時間(たとえば、4ms)ごとに定期的にタイマ割込みが掛かるようにCPU56に内蔵されているCTCのレジスタの設定が行なわれる。すなわち、初期値として、たとえば4msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。これにより、4msごとに定期的にタイマ割込みが発生する。
S111からS120により、初期化処理の実行が終了すると、S122およびS123において、表示図柄乱数更新処理および初期値決定用乱数更新処理が繰返し実行される。表示図柄乱数更新処理および初期値決定用乱数更新処理が実行されるときには、S121により、割込み禁止状態にされ、表示図柄乱数更新処理および初期値決定用乱数更新処理の実行が終了すると、S124により、割込み許可状態にされる。
なお、表示図柄乱数とは、変動表示装置9での特別図柄の変動表示に用いられる乱数であり、具体的には、リーチ判定用、変動パターン選択用の各ランダムカウンタのカウント値である。表示図柄乱数更新処理とは、表示図柄乱数を発生するためのランダムカウンタのカウント値を更新する処理である。
リーチ判定用のランダムカウンタとは、リーチとするか否かを判定するリーチ判定のための乱数を発生させるカウンタである。変動パターン選択用のランダムカウンタとは、変動パターンを選択するための乱数を発生させるカウンタである。
また、初期値決定用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのランダムカウンタ(大当り決定用のランダムカウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。初期値決定用乱数更新処理とは、初期値決定用乱数を発生するためのランダムカウンタのカウント値を更新する処理である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用のランダムカウンタのカウント値が前回設定された初期値から1周すると、そのカウンタに今回抽出された初期値が設定される。
なお、表示図柄乱数更新処理および初期値決定用乱数更新処理が実行されるときに割込み禁止状態にされるのは、表示図柄乱数更新処理および初期値決定用乱数更新処理が後述するタイマ割込み処理でも実行されることから、タイマ割込み処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。
すなわち、S122およびS123の処理中にタイマ割込みが発生して、タイマ割込み処理中で表示図柄乱数や初期値決定用乱数を発生するためのランダムカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、S122およびS123の処理中は割込み禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
次に、遊技制御処理について説明する。図6は、主基板31により実行されるタイマ割込み処理の処理内容を示すフローチャートである。メイン処理実行中に、具体的には、S121からS124のループ処理の実行中にタイマ割込みが発生すると、タイマ割込みの発生に応じて起動されるタイマ割込み処理において遊技制御処理が実行される。タイマ割込みが発生したときには、遊技制御用マイコン53の割込み制御機能によって、他の割込みは禁止される。
タイマ割込み処理において、まず、S125により、スイッチ回路を介して、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、カウントスイッチ23、Vカウントスイッチ22、および、入賞球検出スイッチ99等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定が行なわれる。具体的には、各スイッチの検出信号を入力する入力ポートの状態がオン状態であれば、各スイッチに対応して設けられるスイッチタイマの値を1加算する。
次に、S126により、遊技制御に用いられる大当り判定用および図柄決定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各ランダムカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理が行なわれる。さらに、S127およびS128により、それぞれ、初期値決定用乱数および表示図柄乱数を生成するためのランダムカウンタのカウント値を更新する初期値決定用乱数更新処理および表示図柄乱数更新処理が行なわれる。
次いで、S129により、特別図柄プロセス処理が行なわれる。特別図柄プロセス処理では、遊技状態に応じて表示制御装置9での変動表示に関連する制御を所定の順序で実行するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。この特別図柄プロセス処理では、たとえば、始動口14への始動入賞に応じて、変動表示装置9において特別図柄の変動表示を実行させ、大当りとなったときに、大入賞口18を開成させる制御が行なわれる。
そして、S130により、普通図柄プロセス処理が行なわれる。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示部10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。この普通図柄プロセス処理では、たとえば、通過口11への始動通過に応じて、普通図柄表示部10において普通図柄の変動表示を実行させ、当りとなったときに、始動口14を開成させる制御が行なわれる。
次に、S131により、特別図柄プロセス処理における遊技制御や表示制御に関する制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して制御コマンドを送出する特別図柄コマンド制御処理が行なわれる。そして、S132により、普通図柄プロセス処理における遊技制御や表示制御に関する制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して図柄制御コマンドを送出する普通図柄コマンド制御処理が行なわれる。
次いで、S133により、たとえば、ホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動入賞情報、確変情報などのデータを出力する情報出力処理が行なわれる。
次のS134により、始動口スイッチ17、カウントスイッチ23、および、入賞球検出スイッチ99等の検出信号に基づく賞球個数の設定などを行なう賞球処理が実行される。具体的には、検出信号がオン状態となったことに基づく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す賞球制御信号等の払出制御信号が出力される。払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイコン370は、賞球個数を示す賞球制御信号等の払出制御信号に応じて球払出装置97を駆動する。
次に、S135により、始動入賞記憶数の増減をチェックする記憶処理が実行される。そして、S136により、パチンコ遊技機1の制御状態をパチンコ遊技機1の外部で確認できるようにするための試験信号を出力する処理である試験端子処理が実行される。
また、この実施形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、S137により、このRAM領域におけるソレノイドに関する内容が出力ポートに出力される。
次に、S138により、WDTクリア信号を遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の出力ポートからWDT回路530に出力するWDTクリア信号出力処理が実行される。このWDTクリア信号出力処理が4msごとに実行されるタイマ割込み処理において実行されるので、タイマ割込み処理が実行される限り、WDTクリア信号が4msごとにWDT回路530に出力される。その後、S139により、割込み許可状態に設定され、タイマ割込み処理が終了し、割込み発生時の処理に戻る。
以上の制御によって、この実施形態では、遊技制御処理が定期的(たとえば、4msごと)に起動されることとなる。なお、この実施の形態では、タイマ割込み処理で遊技制御処理が実行されるが、タイマ割込み処理では、たとえば、割込みが発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理においてそのフラグがセットされていると判断されたときに実行されるようにしてもよい。また、S125からS138の処理(S133およびS136を除く)が、遊技の進行を制御する遊技制御処理に相当する。
次に、外部割込み処理を説明する。図7は、主基板31により実行される外部割込み処理の処理内容を示すフローチャートである。前述した遊技制御用マイコン53のXINT端子に外部割込み信号が入力されると、外部割込みが発生し、外部割込みの発生に応じて起動される外部割込み処理が実行される。本実施形態においては、外部割込み信号は、前述した電源断信号である。
まず、S151により、他の割込みが禁止される。S152により、バックアップフラグにバックアップあり指定値が設定される。次に、S153により、遊技制御用マイコン53のRAM55の遊技制御データのチェックサムデータが算出される。
そして、S154により、算出されたチェックサムデータがRAM55のチェックサム記憶領域に記憶される。次に、S155により、RAMアクセスが禁止される。また、S156により、I/Oポート57の出力ポートがクリアされる。その後、何も実行しない無限ループが、遊技制御用マイコン53がシステムリセットされるまで、または、パチンコ遊技機1への電力供給が停止されるまで繰返される。
このように、外部割込み処理が実行されることにより、遊技制御データを保存するための処理が行なわれた後に、遊技制御データを変更させない状態に移行させる処理が実行される。
図8は、供給電圧降下時の信号の変化のタイミングおよび制御のタイミングを示すタイミングチャートである。図8を参照して、(A)のタイミングチャートは、電源監視回路921により監視される監視電圧VMNの電力の変化を示す。(B)のタイミングチャートは、電源監視回路921から出力される電源断信号の変化を示す。
(C)のタイミングチャートは、遊技制御用マイコン53のCPU56により実行されている処理の状況を示す。(D)のタイミングチャートは、遊技制御用マイコン53から出力されるWDTクリア信号の変化を示す。(E)のタイミングチャートは、WDT回路530から出力されるWDTタイムアウト信号の変化を示す。
(A)および(B)のタイミングチャートで示すように、監視電圧VMNが電源断電圧VB(たとえば、VB=17V)以上であるときには、電源監視回路921からの電源断信号はオフ状態である。また、(C)のタイミングチャートで示すように、このときは、遊技制御用マイコン53のCPU56により、図5で説明したメイン処理または図6で説明したタイマ割込み処理の通常処理が実行される。
そして、(D)のタイミングチャートで示すように、通常処理により、定期的(4msごと)に、タイマ割込み処理のWDTクリア信号出力処理が実行されるので、遊技制御用マイコン53により、WDTクリア信号が定期的にオン状態にされる。さらに、(E)のタイミングチャートで示すように、定期的にWDTクリア信号がWDT回路530に入力され、WDT回路530は、定期的にリセットされるので、WDT回路530により、オン状態のWDTタイムアウト信号が出力されることはない。
(A)および(B)のタイミングチャートで示すように、監視電圧VMNが24Vから低下し、電源断電圧VB未満となったときに、電源監視回路921により電源断信号がオン状態にされる。そして、(C)のタイミングチャートで示すように、遊技制御用マイコン53のI/Oポート57の入力ポートにオン状態の電源断信号が入力されたことに応じて、遊技制御用マイコン53のCPU56において外部割込みが発生し、遊技制御用マイコン53のCPU56により、図7で説明した外部割込み処理が起動されて、電源断処理が実行され、その後、無限ループが実行される。
また、(D)のタイミングチャートで示すように、通常処理が実行されないので、遊技制御用マイコン53のCPU56によりWDTクリア信号が定期的にオン状態にされなくなる。そして、(E)のタイミングチャートで示すように、オン状態のWDTクリア信号が出力されなくなってから所定のタイムアウト時間T(本実施の形態においては、T=1400ms)が経過したときに、WDT回路530により、WDTタイムアウト信号が、所定時間、オン状態にされる。
また、(C)のタイミングチャートで示すように、オン状態のWDTタイムアウト信号がリセット信号として、遊技制御用マイコン53のXRST端子に入力されたことに応じて、遊技制御用マイコン53がシステムリセットされる。そして、リセット信号が入力されなくなったときに、遊技制御用マイコン53における処理が再起動される。
そして、メイン処理のS101からS105までの初期設定が実行され、S106およびS107により、電源断判定が行なわれる。(A)および(B)のタイミングチャートで示すように、監視電圧VMNが電源断電圧VB未満であるときには、電源監視回路921によりオン状態の電源断信号が出力されるので、電源断判定が繰返される。
(A)および(B)のタイミングチャートで示すように、監視電圧VMNが電源断電圧VB以上になったときには、電源監視回路921によりオン状態の電源断信号が出力されなくなる。このため、(C)のタイミングチャートで示すように、電源断判定において、電源断信号が入力されていないと判断される。
そして、遊技制御用マイコン53のRAM55の内容がバックアップされている場合には、メイン処理のS111からS114までの復旧処理が実行される。その後、通常処理が実行される。また、(D)のタイミングチャートで示すように、WDTクリア信号が定期的にオン状態にされる。
なお、オン状態のWDTタイムアウト信号が出力された後、タイムアウト時間Tが経過したときには、WDTタイムアウト信号が、再度、オン状態にされる。このため、再度、遊技制御用マイコン53がシステムリセットされる。
また、監視電圧VMNが電源断電圧VA(たとえば、VA=5V)未満になったときには、リセット回路922によりリセット信号がオン状態にされる。そして、遊技制御用マイコン53のXRST端子にリセット信号が入力され、遊技制御用マイコン53がシステムリセットされる。
本実施の形態においては、主基板31についての電源断に関する処理について説明したが、払出制御基板37についても、図4で説明した回路構成と同様の構成を設けて、図5および図7で説明したメイン処理や外部割込み処理を実行するようにして、電源断に関する処理を行なうようにする。
次に、この実施の形態により得られる主な効果をまとめて説明する。
(1) 図3で説明したように、パチンコ遊技機1は、AC24Vの電源による電力の供給を受けて動作可能となる。また、図1で説明したように、パチンコ遊技機1により、遊技者が所定の遊技を行なうことが可能である。
また、図2で説明したように、主基板31の遊技制御用マイコン53は、遊技の進行に応じて遊技制御の状態を示すデータを変更させて、パチンコ遊技機1に設けられた電気部品(たとえば、ソレノイド16,21、球払出装置97など)を制御する。
また、図3で説明したように、電源監視回路921は、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電源監視用電源による電圧VMN(=24V)の電力を監視して、パチンコ遊技機1への電力の供給停止に関わる供給停止条件であるVMN<VB(=17V)が成立したことを検出したときに、電源断信号を主基板31および払出制御基板37に出力する。
また、図4で説明したように、WDT回路530は、予め定められたタイムアウト時間T(たとえば、1400ms)を計測し、タイムアウト時間が経過したことが計測されたときに、主基板31の遊技制御用マイコン53をリセットし、遊技制御用マイコン53からWDTクリア信号が入力されたことにより、計測された時間を初期化する。
また、図6のS138で説明したように、遊技制御用マイコン53により、タイムアウト時間Tよりも短いタイマ割込み周期(たとえば、4ms)ごとで定期的にWDTクリア信号をWDT回路530に出力するWDTクリア信号出力処理が実行される。
また、図7のS151からS156で説明したように、遊技制御用マイコン53により、電源監視回路921からXINT端子に電源断信号が入力され始めたと判断されたときに、遊技制御用マイコン53の割込み制御機能によって、遊技制御用マイコン53の制御状態を電力供給停止前の状態に復帰させるのに必要な遊技制御の状態を示すデータを遊技制御用マイコン53のRAM55に保存する外部割込み処理が実行されるとともに、WDTクリア信号出力処理が実行されない状態にされる
また、図5のS111からS114で説明したように、遊技制御用マイコン53により、電力供給が再開されたときにRAM55に保存されている遊技制御の状態を示すデータに基づいて遊技制御用マイコン53の制御状態を電力供給停止前の制御状態に復帰させる処理が実行される。
また、図5のS111からS114で説明したように、遊技制御用マイコン53により、電力供給が再開されたときに電源断信号が入力されているか否かが判定されるとともに、電源断信号が入力されなくなったと判断されたことを条件にマイクロコンピュータの制御状態が電力供給停止前の状態に復帰される。
このように、パチンコ遊技機1に供給される電力が監視され、遊技機への電力の供給停止に関わる供給停止条件が成立したことが検出されたときに電源断信号が遊技制御用マイコン53に出力される。また、予め定められたタイムアウト時間Tが計測され、タイムアウト時間Tが経過したことが計測されたときに、遊技制御用マイコン53がリセットされる。また、遊技制御用マイコン53からWDTクリア信号が入力されたことにより、計測された時間が初期化される。また、タイムアウト時間Tよりも短いタイマ割込み周期ごとに定期的にWDTクリア信号を出力するWDTクリア信号出力処理が実行される。そして、電源監視回路921から電源断信号が入力され始めたと判断されたときに、遊技制御用マイコン53の制御状態を電力供給停止前の状態に復帰させるのに必要な遊技制御の状態を示すデータを、電力供給が停止してもデータを保持可能なRAM55に保存する外部割込み処理が実行されるとともに、WDTクリア信号出力処理の実行が停止される。また、電力供給が再開されたときにRAM55に保存されているデータに基づいて遊技制御用マイコン53の制御状態を電力供給停止前の制御状態に復帰させる処理が実行される。そして、電力供給が再開されたときに電源監視回路921から電源断信号が入力されているか否かが判断されるとともに、電源断信号が入力されなくなったと判定されたことを条件に遊技制御用マイコン53の制御状態が電力供給停止前の状態に復帰される。
このため、パチンコ遊技機1に供給される電力の供給停止条件が成立して、電源断信号が遊技制御用マイコン53に入力されたときには、WDTクリア信号がWDT回路530に定期的に出力されなくなる。また、タイムアウト時間T経過後に遊技制御用マイコン53がリセットされた後、電源断信号が入力されている間は、RAM55に保存された遊技制御用マイコン53の制御状態を電力供給停止前の状態に復帰させるのに必要な遊技制御の状態を示すデータに基づいて遊技制御用マイコン53の制御状態が電力供給停止前の状態に復帰されない。これにより、タイムアウト時間T経過後に再度、遊技制御用マイコン53がリセットされる。その結果、電力の供給停止条件が成立するような不安定な電力状態で制御状態が復帰されるのを防止することができる。
(2) 図4で説明したように、主基板31の遊技制御用マイコン53は、信号が入力されることにより外部割込みを発生させるXINT端子と、遊技の進行に応じた各入賞口スイッチ12,17,22,23,99からの検出信号などの制御信号が入力されるI/Oポート57とを備える。
また、図4で説明したように、電源監視回路921は、電源断信号をI/Oポート57とXINT端子とに出力する。
また、図7のS151からS156で説明したように、遊技制御用マイコン53の割込み制御機能によって、電源断信号がXINT端子に入力されたと判断されたときに開始される外部割込みに応じて外部割込み処理が実行される。また、図5のS101、S106、S107、および、S111からS114で説明したように、遊技制御用マイコン53の制御状態を電力供給停止前の制御状態に復帰させる処理中は割込み禁止状態に制御され、I/Oポート57が監視され、電源断信号が入力されているかが判定される。
このように、電力の供給停止条件の成立に応じて電源断信号がXINT端子に入力されることにより発生される外部割込みに応じて外部割込み処理が実行される。また、電源断信号がI/Oポート57に入力されなくなったと判断されたときに、遊技制御用マイコン53の制御状態が復帰される。
このため、外部割込みに応じて即座に外部割込み処理が実行されるとともに、遊技制御用マイコン53がリセットされた後、電源断信号が入力されなくなったときに、遊技制御用マイコン53の制御状態が復帰される。その結果、電力の供給停止に応じて割込み処理として速やかに外部割込み処理が実行され、電力の状態がよりよい状態で遊技制御用マイコン53の遊技制御の状態を示すデータを保存することができるので、遊技制御の状態を示すデータの保存の信頼性を高めることができる。
(3) 図2で説明したように、遊技制御用マイコン53から送信された制御コマンドの受信に基づき制御を行なうサブ基板のマイコン(払出制御基板37の払出制御用マイコン370、演出制御基板80の演出制御用マイコン800)がさらに備えられる。また、図6のS125からS139で説明したように、主基板31の遊技制御用マイコン53により、タイマ割込み周期(たとえば、4ms)ごとに実行中の処理に割込んで実行するタイマ割込み処理が実行される。
また、図6のS134,S131,S132で説明したように、タイマ割込み処理にて実行される処理により、制御コマンドがサブ基板のマイコンに対して送信される。また、図6および図7で説明したように、遊技制御用マイコン53の割込み制御機能によって、タイマ割込み処理中に外部割込みの発生が禁止される。また、遊技制御用マイコン53により、タイマ割込み処理中に電源断信号が入力されたときは、タイマ割込み処理の終了後に外部割込み処理が実行される。
このように、主基板31の遊技制御用マイコン53により、タイマ割込み処理がタイマ割込み周期ごとに実行中の処理に割込んで実行され、タイマ割込み処理にて実行される処理により、制御コマンドがサブ基板のマイコンに対して送信される。また、タイマ割込み処理中に外部割込みの発生が禁止される。そして、タイマ割込み処理中に電源断信号が入力されたときは、タイマ割込み処理の終了後に外部割込み処理が実行される。
このため、タイマ割込み処理としてサブ基板のマイコンへ制御信号や制御コマンドが送信されているときに、外部割込みの発生が禁止されるので、制御信号や制御コマンドの送信が外部割込みにより中断されることが無くなる。その結果、制御信号や制御コマンドの送信不良を防止することができる。
(4) 図3で説明したように、電源監視回路921は、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電力であって、ソレノイドなどの電気部品を動作させるための電力とは別個に生成された電力の電圧VMNの電力を監視する。
このように、電気部品が動作したときであっても、電源監視回路921により、パチンコ遊技機1に供給される電力に相関する電気部品を動作させるための電力とは別個に生成された電圧VMNの電力の安定した電圧の状態を監視することができる。このため、安定した電力の監視を実現することができる。
次に、以上に説明した実施の形態の変形例や特徴点を以下に列挙する。
(1) 本実施の形態においては、電源監視回路921からの電源断信号が、遊技制御用マイコン53のXINT端子、および、I/Oポート57に入力されるようにして、電源断信号がXINT端子に入力されたときに電源断処理を行ない、システムリセットからの再起動時に電源断信号がI/Oポート57に入力されなくなったときに遊技制御の状態を示すデータの復旧処理やWDTクリア信号出力処理を実行するようにした。
しかし、これに限定されず、電源監視回路921からの電源断信号が遊技制御用マイコン53のI/Oポート57に入力されるようにして、電源断信号がI/Oポート57に入力されたときに電源断処理を行ない、システムリセットからの再起動時に電源断信号がI/Oポート57に入力されなくなったときに遊技制御の状態を示すデータの復旧処理やWDTクリア信号出力処理を実行するようにしてもよい。
すなわち、電源監視回路921からの電源断信号が、遊技制御用マイコン53に入力されるようにして、電源断信号が入力されたときに電源断処理を行ない、システムリセットからの再起動時に電源断信号が入力されなくなったときに遊技制御の状態を示すデータの復旧処理やWDTクリア信号出力処理を実行するものであればよい。
(2) 前述した実施の形態においては、主基板31および払出制御基板37についての電源断に関する処理について説明したが、演出制御基板80についても、図4で説明した回路構成と同様の構成を設けて、図5および図7で説明したメイン処理や外部割込み処理を実行するようにして、電源断に関する処理を行なうようにしてもよい。
(3) 前述した実施の形態においては、図4で説明したように、WDT回路530の機能をハードウェアで実現するようにしたが、これに限定されず、WDTの機能を実現するものであれば、WDT回路530の機能をソフトウェアで実現するものであってもよい。
(4) 前述した実施の形態においては、パチンコ遊技機1の機能について説明したが、図5〜図7に示した処理を実行する遊技機制御方法、図5〜図7に示した処理を実行するコンピュータに実行させるための遊技制御プログラム、および、その遊技制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として発明を捉えることができる。
(5) 本実施の形態においては、タイマ割込みに従って定期的に繰返し実行されるタイマ割込み処理における遊技制御処理においてWDTクリア信号出力処理が実行されるようにした。しかし、これに限定されず、WDT回路530のタイムアウト時間よりも短い時間間隔で定期的にWDTクリア信号が遊技制御用マイコン53からWDT回路530に出力されるのであればよい。
たとえば、タイマ割込み処理においてタイマ割込みが発生したことを示すタイマ割込みフラグをセットする処理を行なって、タイマ割込みフラグがセットされている場合にメイン処理において遊技制御処理が行なわれる遊技機において、遊技制御処理においてWDTクリア信号出力処理が実行されることによって、定期的にWDTクリア信号が遊技制御用マイコン53からWDT回路530に出力されるようにしてもよい。
また、定期的にリセットが掛かることによりメイン処理が定期的に最初から実行されることにより遊技制御処理が行なわれる遊技機において、遊技制御処理においてWDTクリア信号出力処理が実行されることによって、定期的にWDTクリア信号が遊技制御用マイコン53からWDT回路530に出力されるようにしてもよい。
(6) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機の正面図である。 パチンコ遊技機における各種制御基板を含む制御回路の構成の一例を示すブロック図である。 パチンコ遊技機における各制御基板間の電源供給および信号送受信の関係を示すブロック図である。 遊技制御用マイクロコンピュータのリセットおよび割込みに関する接続関係を示すブロック図である。 主基板により実行されるメイン処理の処理内容を示すフローチャートである。 主基板により実行されるタイマ割込み処理の処理内容を示すフローチャートである。 主基板により実行される外部割込み処理の処理内容を示すフローチャートである。 供給電圧降下時の信号の変化のタイミングおよび制御のタイミングを示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 パチンコ遊技機、16,21 ソレノイド、31 主基板、37 払出制御基板、53 遊技制御用マイコン、55 RAM、57 I/Oポート、80 演出制御基板、370 払出制御基板、530 WDT回路、918 整流平滑回路、920 スイッチング回路(+24V)、921 電源監視回路。

Claims (4)

  1. 電力の供給を受けて動作可能となり、遊技者が所定の遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
    前記遊技機に設けられた電気部品を制御するマイクロコンピュータと、
    前記遊技機に供給される電力を監視して、前記遊技機への電力の供給停止に関わる供給停止条件が成立したことを検出したときに供給停止信号を前記マイクロコンピュータに出力する電力監視手段と、
    時間を計測するタイマ手段と、
    該タイマ手段により計測された時間が予め定められた監視時間を経過したときに、前記マイクロコンピュータをリセットするリセット手段と、
    前記マイクロコンピュータから初期化信号が入力されたことにより、前記タイマ手段により計測された時間を初期化する初期化手段と、を備え、
    前記マイクロコンピュータは、
    前記監視時間よりも短い時間間隔で定期的に前記初期化信号を前記初期化手段に出力する初期化信号出力処理を実行する制御監視初期化手段と、
    前記供給停止信号が入力されたことにもとづいて、電力供給が停止しても所定時間、記憶内容を保持可能なバックアップ領域に、前記マイクロコンピュータの制御状態を電力供給停止前の状態に復帰させるのに必要な情報として、バックアップフラグと、前記バックアップ領域の記憶内容が正常か否かの判断に用いられるチェックデータを設定し、当該バックアップ領域へのアクセスを禁止する電力供給停止時処理を実行するとともに、前記初期化信号出力処理の実行を停止する電力供給停止時処理手段と、
    電力供給が再開されたときに、前記バックアップフラグが設定されているか否かを判断するとともに、前記チェックデータにもとづいて前記バックアップ領域の記憶内容が正常か否かを判断する判断手段と、
    該判断手段によって前記バックアップフラグが設定されているとともに、前記バックアップ領域の記憶内容が正常であると判断されたことを条件として、当該記憶内容に基づいて前記マイクロコンピュータの制御状態を電力供給停止前の制御状態に復帰させるとともに前記バックアップ領域をアクセス可能状態に設定する復帰処理を実行する復帰手段と、
    前記判断手段によって前記バックアップフラグが設定されていない、または、前記バックアップ領域の記憶内容が正常でないと判断されたことを条件として、前記バックアップ領域を初期化するとともに前記バックアップ領域をアクセス可能状態に設定する初期化処理を実行する初期化処理手段とを含み、
    前記判断手段は、前記供給停止信号が入力されていないことを条件に、前記バックアップフラグが設定されているか否かと、前記チェックデータにもとづいて前記バックアップ領域の記憶内容が正常か否かとを判断することを特徴とする、遊技機。
  2. 前記マイクロコンピュータは、信号が入力されることにより外部割込を発生させる割込信号入力部と、入力ポートと、を備え、
    前記電力監視手段は、前記供給停止信号を前記割込信号入力部と前記入力ポートとに出力し、
    前記電力供給停止時処理手段は、前記外部割込に応じて前記電力供給停止時処理を実行し、
    前記判断手段は、前記復帰処理中は割込禁止状態に制御し、前記入力ポートを監視して、前記供給停止信号が入力されているかを判定することを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記マイクロコンピュータから送信された制御信号の受信に基づき制御を行なうサブマイクロコンピュータをさらに備え、
    前記マイクロコンピュータは、
    予め定められた割込時間ごとに実行中の処理に割込んで実行するタイマ割込処理を実行するタイマ割込処理実行手段と、
    前記タイマ割込処理にて実行される処理により、前記制御信号を前記サブマイクロコンピュータに対して送信する制御情報送信手段と、
    前記タイマ割込処理中に前記外部割込の発生を禁止する割込禁止手段と、をさらに含み、
    前記電力供給停止時処理手段は、前記タイマ割込処理中に前記供給停止信号が入力されたときは、前記タイマ割込処理の終了後に前記電力供給停止時処理を実行することを特徴とする、請求項2に記載の遊技機。
  4. 前記電力監視手段は、前記遊技機に供給される電力に相関する電力であって、前記電気部品を動作させるための電力とは別個に生成された電力を監視することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の遊技機。
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