JP4721245B2 - 鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の両面が熱可塑性樹脂被膜によって被覆されている被覆鋼板から、少なくとも大径の胴部と傾斜状の肩部と小径円筒状の口頸部とが一体成形され、更に、該口頸部には、その先端部に外巻きのカール部と、該カール部の下方位置にネジ部が形成されている鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法であって、外巻きのカール部を成形する際に、該円筒部の先端部分の内面側熱可塑性樹脂被膜の表面が、該円筒部の外面側熱可塑性樹脂被膜の表面と接触するようにカール成形させて、該円筒部の先端部の鋼板切断端面がカール部内に露出した状態で閉じたカール部を形成させた後、この閉じたカール部の内面側熱可塑性樹脂被膜と外面側熱可塑性樹脂被膜との接触部分及びその近傍部分に液状の硬化型塗料を塗布した後、硬化型塗料が塗布された部分を乾燥装置により加熱して硬化型塗膜を乾燥・硬化させることにより、カール部の接触部分を接合させることを特徴とする鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法である。
【0002】
【従来の技術】
最近、金属製容器の開口部付近を小径化してネジ部を設けたアルミニウム合金製のボトル型缶が販売され、人気を集めている。
【0003】
その一例を図1に示す。このボトル型缶1は、円筒形の胴部2と、胴部2に続くドーム状(凸曲面状)の肩部3と、肩部3に続く略円筒状でネジ部7とカール部6とが成形されている口頸部4があり、胴部下端のいわゆる缶底は、底蓋が巻き締められている。尚、ボトル型缶としては、胴部と底部とを一体成形してシームレス缶胴とした後、胴部の開口部側を縮径(ネックイン成形)して肩部と口頸部となる部分を形成したタイプの肩部が円錐台形状で、底部が胴部及び口頸部と一体成形されたボトル型缶も販売されている。
【0004】
そして、口頸部4の上端部には外巻きのカール部6が設けられて、開口部が形成されており、その下方にはネジ部7が設けられ、更にネジ部7の下方には、口頸部4に冠着されるピルファープルーフキャップのピルファープルーフバンドを固着するための環状凸部8及び環状凹部9が設けられている。
【0005】
金属容器には、必ず金属切断面が露出している部分が存在するが、通常は厚く塗料を塗布したり、缶蓋と二重巻き締めすることにより、露出しないようにするので、空気中の水分等の影響を受けて発錆することは殆どない。
【0006】
しかしながら、ボトル型缶1の開口端部分の様にキャップを冠着することによって密封する場合には、キャップとの密封面の強度アップを図る必要があり(キャップのシール材との密着を強くして密着面からの漏洩を防止するため)、そのために、カール加工をして強度を高めることが行われている。
【0007】
開口部をカールした金属容器の他の例としては、開口部にアルミニウム合金板製の開封容易なキャップを冠着して、キャップのスカート部をカール部の下面にクリンプする(スカート部を縮径させる)ことにより開口部を密封するタイプの金属容器がよく知られている(例えば、実公昭62−44910号公報及び特開昭57−86450号公報参照)。
【0008】
このような金属容器のカール部には、依然として金属面が露出している切断端面が存在し、金属容器が水で冷やされた場合や外気温の急激な変化があって空気中の水分が結露した場合等の様に、水分が切断端面に付着すると、発錆する可能性がある。
【0009】
容器の素材がアルミニウム合金板の場合には、僅かな発錆が起こってもその存在はあまり目立たないから、内容液が特に腐食性の著しい場合以外は、特に被覆する必要はないが、容器の素材が表面処理鋼板であれば、切断端面を起点として赤錆が生じるので、そのような場合には、金属容器としての商品価値を損なうことになる。
【0010】
このようなカール部の鋼板切断端面を起点とした赤錆を防止するために、特公昭56−3271号公報には、先端部に切断端面を備えたエアゾール缶の先端部分を外巻きカールに成形する前に、切断端面を樹脂やゴム等から成る環状パッキングで被覆した後、容器壁にパッキングを接触させるように外巻きカール成形をすることにより、カール部の先端縁と容器の主体壁との間にパッキングを狭圧させることが開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭56−3271号公報に開示されている手段は、赤錆を防止するという観点からは優れた方法であるが、実際の製缶ラインでは切断端面を樹脂等で被覆する速度が低速過ぎて、実用的とは言い難い。
すなわち、予め先端部分と同一寸法の環状に成形しておいた樹脂等を金属容器の開口端部分に高速で冠着することがかなり難しい上に、この環状樹脂被覆を落下させることなく、カール加工をすることは更に困難であるという問題があった。また、溶融させた樹脂を開口端部分に塗布することで切断端面を被覆する場合にも、切断端面を被覆している樹脂層が鋭い角部により破断されてしまう虞がある。すなわち図5に示すように、鋼板がプレス加工により切断されると(図5(a)参照)、図5(b)の切断端拡大部に示すように、切断方向に向かってバリが発生し、このバリが鋭い角部となっている。この鋭い角部による樹脂層の破断を回避するために、樹脂が冷却固化してからカール加工をする必要があることから、樹脂で被覆してからカール部を成形するのにかなりの時間を要し、生産効率が低下してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に着目してなされたもので、鋼板製容器の開口端部にある外巻きカール部の切断端面で赤錆が発生することを防止する鋼板製容器とその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、鋼板の両面が熱可塑性樹脂被膜によってそれぞれ被覆されている被覆鋼板から、少なくとも大径の胴部と傾斜状の肩部と小径円筒状の口頸部とが一体成形され、更に、該口頸部には、その先端部に外巻きのカール部と、該カール部の下方位置にネジ部が形成されている鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法であって、
傾斜状の肩部と、該肩部の上端から上方に延びている円筒状部分とを複数回の絞り成形によって形成し、更に、該円筒状部分の上半分を更に小径の円筒部に絞り成形すると共に、その円筒部の上端付近を最も小径になるように絞り成形した後、
最も小径の円筒部の先端部を外側にカールさせて外巻きのカール部を成形する際に、該円筒部の先端部分の内面側熱可塑性樹脂被膜の表面が、該円筒部の外面側熱可塑性樹脂被膜の表面と接触するようにカール成形させて閉じたカール部を形成させると共に、該閉じたカール部内に該円筒部の先端部の鋼板切断端面が露出するようにし、
その後、鋼板製ボトル型缶を倒立状態にして回転させながら、前記閉じたカール部の内面側熱可塑性樹脂被膜と外面側熱可塑性樹脂被膜とが接触している部分及びその部分に隣接している両側部分に液状の硬化型塗料を塗布した後、
硬化型塗料が塗布された部分を乾燥装置により加熱して硬化型塗膜を乾燥・硬化させることにより、閉じたカール部の接触部分を接合させることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の本発明は、前記乾燥装置が、レーザー照射装置であり、硬化型塗料が塗布された部分に該レーザー照射装置からレーザーを照射して短時間に硬化型塗膜を乾燥・硬化させることにより、閉じた状態のカール部の接触部分を接合させることを特徴とする。
【0015】
【発明の作用及び効果】
請求項1に記載の本発明は、最も小径の円筒部の先端部を外側にカールさせて外巻きのカール部を成形する際に、該円筒部の先端部分の内面側熱可塑性樹脂被膜の表面が、該円筒部の外面側熱可塑性樹脂被膜の表面と接触するようにカール成形させて閉じたカール部を形成させると共に、該閉じたカール部内に該円筒部の先端部の鋼板切断端面が露出するようにした後、前記閉じたカール部の内面側熱可塑性樹脂被膜と外面側熱可塑性樹脂被膜とが接触している部分及びその部分に隣接している両側部分に液状の硬化型塗料を塗布した後、
硬化型塗料が塗布された部分を乾燥装置により加熱して塗布された硬化型塗膜を乾燥・硬化させることにより、閉じたカール部の接触部分を接合するが、液状の硬化型塗料を塗布する部分が、切断端面ではなく、容器の高さ方向に見て曲面と平面(または曲面と曲面)とが互いに接触している部分及びその近傍部分の内面側の熱可塑性樹脂被膜と外面側の熱可塑性樹脂被膜であり、硬化型塗料としてこれらの熱可塑性樹脂皮膜との接着性が良好なものを選択すれば、閉じたカール部の接触している部分を接合できるので、カール部の外部からカール部内に水が浸入することはなく、閉じたカール部内に露出している鋼板切断端面を完全に外部の水等から保護できる結果、切断端面に赤錆が発生する虞がない。
【0016】
また、本発明では、カール部を閉じる部分である、互いに接触している内面側熱可塑性樹脂被膜と外面側熱可塑性樹脂被膜との接触部分及びその部分に隣接している両側部分に液状の硬化型塗料を塗布する際に、鋼板製ボトル型缶を倒立状態にして回転させながら塗布するので、カール部全周に亘って硬化型塗料を塗装することができる。
【0017】
また、本発明では、液状の硬化型塗料の塗装工程及び塗膜の乾燥・硬化工程は、カール部の成形工程及びネジ部成形工程の後に行うので、カール部の成形工程の後でネジ部の成形工程が有るアルミニウム合金製のボトル型缶の製造ラインや、カール部成形工程及びネジ部成形工程の後に、更に、ボトル型缶の胴部側に底蓋を巻き締める工程が有るアルミニウム合金製のボトル型缶の製造ラインの後に、閉じたカール部に液状の硬化型塗料を塗装する装置と、乾燥装置を付加することにより、鋼板製のボトル型缶の製造ラインとすることができるので、素材に関係なく、同一のボトル型缶製造ラインを使用できる結果、製缶ラインの稼働率を向上させることができるという効果が得られる。
【0018】
請求項2に記載の本発明では、前記閉じたカール部の内面側熱可塑性樹脂被膜と外面側熱可塑性樹脂被膜とが接触している部分及びその部分に隣接している両側部分に液状の硬化型塗料を塗布した後、塗布された部分にレーザー照射装置からレーザーを照射して、硬化型塗膜を短時間で高い温度に加熱し、短時間に乾燥・硬化させることができるので、被膜に要する時間が短時間で済み、生産効率の向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する鋼板は、錫メッキ鋼板、極薄錫メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、電解クロム酸処理鋼板、亜鉛メッキ鋼板、クロムメッキ鋼板、リン酸処理鋼板、有機無機表面処理鋼板、ノンクロム型表面処理鋼板の様な適宜の製缶用鋼板が使用可能である。
【0020】
また、本発明で缶の内外面を被覆している熱可塑性樹脂被膜は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂であり、鋼板表面に施すのは、製缶する前の金属板の状態であり、予め鋼板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートし(接着剤層を介して熱可塑性樹脂フィルムをラミネートしても良い)、このラミネート板を使用して、絞り、再絞り成形、又は絞り・再絞り・しごき成形を行って製缶する方が、多量の水を使用する脱脂処理工程、化成処理工程を製缶時に省略できるので、好ましい。
【0021】
更に、本発明で内面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)と外面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)との接触部分に塗装する液状の硬化型塗料としては、これに限定されないが、例えば、フェノール樹脂塗料、エポキシ −アミノ樹脂塗料、エポキシ−フェノール樹脂塗料、エポキシエステル樹脂塗料、アルキド樹脂塗料、熱硬化性アクリル樹脂塗料等の熱硬化性塗料、メラミン硬 化型シリコン樹脂塗料等の常温硬化性塗料が好適に使用できるが、これらの熱により硬化する塗料中に紫外線硬化性塗料や電子線硬化性塗料を混合してもよく、 また、熱硬化性樹脂溶液中に、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂や変性ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂粉末を分散させた塗料も使用可能である。
【0022】
尚、紫外線硬化性塗料又は電子線硬化性塗料を混合して使用した場合には、当然のことながら、塗布後には紫外線又は電子線を照射し、その後、レーザーを照射して塗膜を加熱して硬化させることは云うまでもない。
【0023】
硬化型塗料は、使用している内面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)及び外面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)との接着性を考慮して、缶詰製造中及び輸送中等に剥離しない接着強度を維持できるものを選択する必要がある。
【0024】
図1は、本発明のボトル型缶の全体図であり、図2は、ボトル型缶1の本体部分(図1に示すボトル型缶から底蓋をのぞいた部分)の成形工程を示しており、それぞれ(a)口頸部4となる小径の円筒状部分を二段絞り成形した状態、(b)小径円筒部分の先端部のトリミングをした状態、(c)開口した小径円筒部(口頸部4)の先端部分を外巻きにカールしてカール部6を成形した状態、(d)カール部6の下方の口頸部4にネジ部7を成形した状態、(e)ネジ部7の下方に環状凸部8と環状凹部9とを成形した状態(環状凹部9を成形すると必然的にその上に環状凸部8ができる)を示す。尚、肩部形状はドーム状だけでなく、円錐台形状等任意の傾斜面にすることができる。また、本発明のボトル型缶としては、胴部と底部とを一体成形したシームレス缶胴の開口端側を縮径加工することにより、肩部と小径の円筒状部分を形成し、その後、カール部やネジ部を形成するタイプのボトル型缶であっても良い。
【0025】
図3は、本発明のボトル型缶1の要部を拡大した半縦断面図であり、このボトル型缶1の本体部分は内面及び外面がそれぞれ熱可塑性樹脂被膜から成る内面側樹脂被膜12及び外面側樹脂被膜13によって被覆されており、外巻きのカール部6の鋼板切断端面11の近傍部分の内面側樹脂被膜12が口頸部4の外面側樹脂被膜13と接触してカール部6を閉じており、内面側樹脂被膜12と外面側樹脂被膜13との接触部分10及びその近傍部分には硬化型塗膜14が形成されている。
【0026】
図4は、倒立状態で回転されているボトル型缶1の本体部分のカール部6の内面側樹脂被膜12と口頸部4の外面側樹脂被膜13との接触部分10及びその近傍部分に液状の硬化型塗料を滴下により塗布している状態を示す。
【0027】
(第1実施例)
板厚0.22mmの電解クロム酸処理鋼板の両面に、厚さ20μmのポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートとを6:4の混合比率で混合した樹脂)フィルムをそれぞれラミネートした後、ラミネート鋼板をポリエステル樹脂の融点以上の温度に加熱してから、直ちに冷却水中を通して急冷して両面のポリエステル樹脂フィルムを非晶質化させた。
【0028】
このラミネート鋼板の両面に対して、グラビアロールにより、ノルマルブチルステアレート又は流動パラフィンの様な高温揮発性潤滑剤を薄く塗布した後、プレスに通して打ち抜き絞り成形により、カップを成形し、このカップを再絞り成形すると共にストレッチ加工をして薄肉化し、更にしごき加工により薄肉化した直径約66mm、高さが約172mmのシームレス缶胴を成形した。
【0029】
このシームレス缶胴の底部側に対して、皺押さえをしながら複数回の絞り加工及び段差部を滑らかにする再成形を行うことにより、直径約28mmの円筒状部分(口頸部4となる部分)とドーム状(傾斜凸曲面形状)の肩部3を成形する。
【0030】
その後、円筒状部分の上半分を二回再絞り加工して図2の(a)に示す形状にする。
【0031】
それから、図示しないが、ボトル型缶1の本体部分を250〜300℃のオーブン内を通過させることにより、缶の内外面の潤滑剤を揮発させた後、急冷させてから、ボトル型缶1の本体部分を印刷・塗装装置のマンドレルに冠着させて、ボトル型缶1の本体部分の外面に所望の印刷及び塗装を施し、乾燥させる。
【0032】
その後、図2(b)に示すように、小径の円筒状部分の先端部分をトリミングして開口した後、開口した小径の円筒状部分(口頸部4)の先端部分を外側にカールさせて約2mmの外巻きのカール部6を成形し(図2(c)参照)、その後、カール部6の下方にネジ部7を成形し(図2(d)参照)てから、ネジ部7の下方に環状凹部9を成形することにより環状凹部9の上方に環状凸部8をも成形する(図2(e)参照)。
【0033】
ここで、カール部を成形する際に、図3に示すように、鋼板切断端面11の近傍部分の内面側樹脂被膜12の表面が口頸部4の外面側樹脂被膜13の表面と接触するようにカールさせて、閉じたカール部6を成形すると共に、鋼板切断端面11をこのカール部6の内側に閉じこめるようにする。
【0034】
その後、図4に示すように、ボトル型缶を倒立状態にして回転させながら、閉じたカール部6の内面側樹脂被膜12と外面側樹脂被膜13とが接触している部分及びその部分に隣接している両側部分に、マイクロシリンジにより液状の熱硬化性アクリル塗料(樹脂固形分30重量%)を20μl滴下して塗布し、この塗料を塗布した部分にYAG連続波レーザーを照射し(波長1.06μm、出力50W、ビームスポット2〜2.5mm、照射時間13〜15秒)て、これら内外面樹脂被膜12,13に塗布した塗膜を乾燥・硬化させた。
【0035】
本第1実施例で作成したボトル型缶の10個の塗膜部分を目視観察すると共に、95℃の熱水に15分間漬けた後に、熱水から取り出して室温で放置した後、2日後に、この塗膜部分を目視観察した結果を、表1に示す。
【0036】
(第2実施例)
塗布する塗料が、液状のメラミン硬化型シリコン樹脂塗料(GE・東芝シリコーン(株)製の「Siコート801」;塗料固形分15重量%、塗布量20μl(2.8mg/缶))である点を除いては、第1実施例と同様に塗布し、YAGレーザーで第1実施例と同様に照射して塗膜を乾燥させた。
【0037】
第1実施例と同様に、ボトル型缶の10個について塗膜部分の目視観察を行った後、95℃の熱水に15分間漬けた後、熱水から取り出して室温で放置した後、2日後に、この塗膜部分を目視観察した結果を表1に示す。
【0038】
(第3実施例)
レーザー照射がYAGパルスレーザーである(波長1.06μm、ビームスポット約10mm、照射エネルギー量40J、照射時間20ms)点を除いて、第2実施例と同じ塗料を同じ量だけ塗布し、乾燥させた。
その他は、第1実施例と同様に、ボトル型缶の10個について塗膜部分の目視観察を行った後、95℃の熱水に15分間漬けた後、熱水から取り出して室温で放置した後、2日後に、この塗膜部分を目視観察した結果を表1に示す。
【0039】
(比較例1)
乾燥手段が、ガスの炎であり、乾燥時間が10秒間である点以外は、第2実施例と同様の方法でメラミン硬化型塗料を塗布し、乾燥させた。
その他は、第1実施例と同様に、ボトル型缶の10個について塗膜部分の目視観察を行った後、95℃の熱水に15分間漬けた後、熱水から取り出して室温で放置した後、2日後に、この塗膜部分を目視観察した結果を表1に示す。
【0040】
(比較例2)
外巻きカール部の形状が、鋼板切断端面を口頸部の外面側樹脂被膜の表面に対面させると共に、該切断端面が該外面側樹脂の表面と接触状態になるようにカール成形したことを除いて、第2実施例と全く同一の方法でボトル型缶を製造し、塗料を塗布し、乾燥させた。
【0041】
また、塗膜部分の観察方法も第2実施例と全く同様に行い、その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
表1から、第1〜第3実施例の缶は、極微細で目立たない気泡が発生しているものが有るが、このボトル型缶に飲料を充填して販売するのに特別の問題は無いことが分かる。
【0043】
一方、比較例1の缶は、気泡がかなり大きく、しかも多数有るため消費者に異物感を与えることが分かり、また、比較例2の缶は、鋼板切断面の角部が露出しており、その部分を塗料で完全に被覆することが出来ないために、熱水中での浸漬試験後に発錆が起こることがあることが分かり、通常の飲料充填・密封時に内容液や洗浄水が付着したりすることが多い飲料缶詰の缶としては、消費者に受け入れられないことが分かる。
【0044】
以上説明したように、上記実施例のボトル型缶は、外巻きカール部6下端付近のカールが閉じられた部分である内面側樹脂被膜12と外面側樹脂被膜13とが接触している部分10とその近傍部分とに、硬化型塗膜14が施されているので、この硬化型塗膜14が内面側樹脂被膜12と外面側樹脂被膜13とを接合して鋼板切断端面11をカール部6の内面側に閉じ込め、その結果、鋼板切断端面11が外気中の水分に曝されたり、缶内に内容液を充填・密封する際や缶の開口部から缶内容液を注出する際に、切断端面11に内容液が付着して発錆する虞がない。
上記実施の形態では、図3に示すように、カール部6の鋼板切断端面11の近傍部分の内面側樹脂被膜12が口頸部4の外面側樹脂被膜13と接触してカール部6を閉じるようにしたが、これに限らず、例えば、図6及び図7に示すように、鋼板切断端面11からかなり離れた部分の内面側樹脂被膜12が口頸部4の外面側樹脂被膜13と接触してカール部6を閉じるようにしても良い。
【0045】
また、本発明では、図5に示すように鋭い角部を有し、しかも化成処理等が施されていないために塗料との接着性に劣る鋼板切断端面11に液状の硬化型塗料を塗布して保護するのではなく、容器の高さ方向に見て、曲面と平面(または曲面と曲面)とが互いに接触している部分10及びその近傍部分の内面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)12と外面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)13とに液状の硬化型塗料14を塗布するので、硬化型塗料14として、内面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)12及び外面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)13と接着性の良好なものを選択すれば、カール部6の切断端面11を完全に外部の水等から保護できる。
【0046】
また、鋼板切断端面11の近傍又はそれよりも離れた部分の内面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)12の表面と口頸部4の外面側樹脂被膜(熱可塑性樹脂被膜)13の表面とを接触させて、カール部6を閉じ、ボトル型缶を倒立状態で回転させながら、該接触部分10及びその近傍部分にスプレー塗装又は滴下塗布もしくは流下塗布等の適宜方法で液状の硬化型塗料を塗布した後、塗布した部分にレーザーを照射して塗布された硬化型塗膜を短時間で高い温度に加熱して乾燥・硬化させるので、被覆に要する時間が短時間で済み、生産効率の向上を図ることができる。
【0047】
また、カール部6を成形した後で塗装及び塗膜の乾燥を行えるので、カール部の成形工程の後にネジ部成形工程の有るボトル型缶の場合には、カール部の成形工程の後工程となるネジ部成形工程の後に、更には、胴部に底蓋巻き締め固着用の開口部を有するボトル型缶の場合には、缶の胴部の開口部のネックイン加工工程やフランジ加工工程の後で、加熱により硬化させることができる液状の硬化型塗料を塗布し、高温加熱により短時間で乾燥・硬化させることが可能であり、通常の場合には、カール部6の切断端面11を被覆す る必要のないアルミニウム合金板製のボトル型缶を製造するラインの途中部分を大幅に改造することなく、最終工程として、塗装装置と乾燥装置を付加すれば良いので、素材に関係なく同一のボトル型缶ラインを使用できる結果、製缶ラインの稼働率を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のボトル型缶の全体図である。
【図2】本発明の実施例のボトル型缶の口頸部の加工工程を表す図である。
【図3】本発明の実施例のボトル型缶の要部拡大半縦断面図である。
【図4】本発明の実施例のボトル型缶のカール部接触部分近傍に液状の硬化型塗料を滴下により塗布している状態を表す図である。
【図5】鋼板を切断加工する際の切断端の状態を表す図である。
【図6】本発明の他の実施例のボトル型缶の要部拡大半縦断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例のボトル型缶の要部拡大半縦断面図である。
Claims (2)
- 鋼板の両面が熱可塑性樹脂被膜によってそれぞれ被覆されている被覆鋼板から、少なくとも大径の胴部と傾斜状の肩部と小径円筒状の口頸部とが一体成形され、更に、該口頸部には、その先端部に外巻きのカール部と、該カール部の下方位置にネジ部が形成されている鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法であって、
傾斜状の肩部と、該肩部の上端から上方に延びている円筒状部分とを複数回の絞り成形によって形成し、更に、該円筒状部分の上半分を更に小径の円筒部に絞り成形すると共に、その円筒部の上端付近を最も小径になるように絞り成形した後、
最も小径の円筒部の先端部を外側にカールさせて外巻きのカール部を成形する際に、該円筒部の先端部分の内面側熱可塑性樹脂被膜の表面が、該円筒部の外面側熱可塑性樹脂被膜の表面と接触するようにカール成形させて閉じたカール部を形成させると共に、該閉じたカール部内に該円筒部の先端部の鋼板切断端面が露出するようにし、
その後、鋼板製ボトル型缶を倒立状態にして回転させながら、前記閉じたカール部の内面側熱可塑性樹脂被膜と外面側熱可塑性樹脂被膜とが接触している部分及びその部分に隣接している両側部分に液状の硬化型塗料を塗布した後、
硬化型塗料が塗布された部分を乾燥装置により加熱して硬化型塗膜を乾燥・硬化させることにより、閉じたカール部の接触部分を接合させることを特徴とする鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法。 - 前記乾燥装置が、レーザー照射装置であり、硬化型塗料が塗布された部分に該レーザー照射装置からレーザーを照射して短時間に硬化型塗膜を乾燥・硬化させることにより、閉じた状態のカール部の接触部分を接合させることを特徴とする請求項1に記載の鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法。
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JP2001017652A JP4721245B2 (ja) | 2001-01-25 | 2001-01-25 | 鋼板製ボトル型缶のカール部被覆方法 |
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