図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機としていわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。
大入賞口66は、特別図柄202が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の内側は、特定領域(いわゆるVゾーン)と一般領域に区画されている。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の特定領域の通過を検出するセンサと、一般領域の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の略中央に設けられた特別図柄表示装置61および演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄202の変動と、特別図柄202に連動する装飾図柄200を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄202は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄202の変動表示と連動する形で装飾図柄200を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄200は、特別図柄202で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄200として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄202は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68への遊技球の通過は始動口62を拡開させるための抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄202および装飾図柄200が変動表示される。特別図柄202および装飾図柄200の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄202および装飾図柄200が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄200は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。
大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。大入賞口66が開放中に遊技球が特定領域へ少なくとも1球落入した場合、大入賞口66は再度開放される。このように、大入賞口66が1回開放される間に遊技球が少なくとも1球以上特定領域へ落入することを条件に大入賞口66の開閉が所定回数、例えば8回繰り返される。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として確率変動遊技が開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
作動口68を遊技球が通過すると、所定時間、普通図柄と呼ばれる図柄が普通図柄表示装置204に変動表示される。普通図柄表示装置204は演出表示装置60の右方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。変動短縮遊技の実行中においては、普通図柄の変動表示時間が短縮されるとともに、始動口62が開放状態となる時間が相対的に長く設定される。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。センター飾り64は、その上部に抽選保留ランプ20が設けられ、左側部に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。また遊技効果ランプ90が遊技領域52に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示をへ入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板41は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板49は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板41による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板41およびサブ基板49は、遊技制御装置100を構成する。セット基盤39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、スピーカ18、遊技効果ランプ90、一般入賞口72、操作ボタン82、および普通図柄表示装置204のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板41と、図柄の演出等を制御するサブ基板49とに機能を分担させた形態で構成されてもよい。
遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。本実施例の遊技制御装置100は、各入賞口への入球を判定する入球判定手段110、特別遊技へ移行するか否かの抽選を実行する当否抽選手段112、停止図柄または変動パターンと当否抽選値との対応関係が定められた各種テーブルを保持するテーブル記憶手段120、図柄変動の停止図柄および変動表示の変動パターンを決定する図柄決定手段130、変動パターンを指定するデータを生成する指定生成手段210、変動パターンを指定するデータを送信する指定送信手段212、特別図柄などの図柄変動表示を制御するメイン表示制御手段160、装飾図柄の変動表示や電飾の点滅等の演出処理を制御する演出表示制御手段162、当否抽選値の保留を制御する保留制御手段170、装飾図柄を含む演出画像の変動パターンのデータを記憶するパターン記憶手段214、演出画像の変動パターンを指定送信手段212からの指示にしたがって選択するパターン選択手段216、特別遊技を制御する特別遊技制御手段180、確率変動状態における遊技を制御する特定遊技実行手段190、始動口62などの普通電動役物の開閉を制御する普通電動役物開閉制御手段192、および大入賞口66の開閉を制御する大入賞口開閉制御手段194を備える。
メイン基板41は、主に当否抽選手段112、テーブル記憶手段120、図柄決定手段130、指定生成手段210、指定送信手段212を包含するが、他の構成または機能をさらに包含してもよい。サブ基板49は、主に演出表示制御手段162、パターン記憶手段214、パターン選択手段216を包含するが、他の構成または機能をさらに包含してもよい。
始動入賞検出装置74は始動口62に設けられたセンサであり、始動口62への遊技球の落入を検出し、落入を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞検出装置73は一般入賞口72に設けられたセンサであり、一般入賞口72への遊技球の落入を検出し、落入を示す一般入賞情報を生成する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。
当否抽選手段112は、当否抽選値取得手段113と当否判定手段114を含む。当否抽選値取得手段113は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。
当否判定手段114は、当否抽選値取得手段113により取得された当否抽選値に応じて特別遊技へ移行するか否かを判定する。当否判定手段114は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否判定手段114は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否判定手段114は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否判定手段114による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否判定手段114による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
テーブル記憶手段120は、図柄決定手段130が特別図柄や装飾図柄などの各種図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルや、図柄決定手段130が変動パターンを決定するために参照すべきパターン決定テーブルを保持する。図柄範囲テーブルには、たとえば当たりを示す「1」、「2」のような特別図柄や外れを示す「−」のような特別図柄と、図柄決定抽選値とが対応付けられている。パターン決定テーブルには、特別図柄や演出画像の変動パターンと当否抽選値とが対応付けられている。
図柄決定手段130は、特別図柄表示装置61および演出表示装置60に表示させる停止図柄の内容とその変動パターンを、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段130は、装飾図柄を決定する装飾図柄決定手段132と、特別図柄を決定する特別図柄決定手段140と、普通図柄を決定する普通図柄決定手段148を含む。
特別図柄決定手段140は、パターン決定手段144と図柄選択手段146とを含む。図柄選択手段146は、まず図柄決定抽選値を取得し、当否判定手段114による判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の変動の停止図柄を決定する。図柄選択手段146は、決定した停止図柄を示す情報をメイン表示制御手段160へ送出する。
パターン決定手段144は、当否判定手段114による判定結果に応じて複数の変動パターンからいずれかのパターンを決定する。パターン決定手段144は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。パターン決定手段144により記憶される複数の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。特別図柄決定手段140は、選択した変動パターンを示す情報をメイン表示制御手段160および装飾図柄決定手段132へ送出する。
装飾図柄決定手段132は、パターン決定手段136と図柄選択手段138とを含む。図柄選択手段138は、当否判定手段114による判定結果や、特別図柄決定手段140により決定された特別図柄および変動パターンに対応する装飾図柄の停止図柄を決定する。装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否判定手段114による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否判定手段114による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定手段114による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、パターン決定手段144がリーチ付きの外れを示す変動パターンを選択した場合は、図柄選択手段138は「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
パターン決定手段136は、特別図柄決定手段140による決定に応じて複数種の変動パターンからいずれかのパターンを決定する。装飾図柄を含む演出画像の変動パターンは、演出画像の変動表示態様、すなわち演出画像の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。パターン決定手段136は、演出画像の変動パターンの種類を複数記憶する。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たり図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。パターン決定手段136は、パターン決定手段144により決定された特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい演出画像の変動パターンを決定する。
ここで、本実施例における演出画像の変動パターンは変動パターンデータとしてデータ化されるが、一つの変動パターンデータ内には複数の演出画像の変動パターンが内包される。すなわち、演出過程の少なくとも一部が互いに共通する複数の演出画像の変動パターンが一つのデータ内に含まれる形で変動パターンデータが形成される。したがって、パターン決定手段136は変動パターンデータの種類とその変動パターンデータのうち使用すべき部分を決定することによって演出画像の変動パターンを特定する。変動パターンデータの種類、変動パターンデータに含まれるパート、および当否抽選値の対応関係は、演出画像のパターン決定テーブルとしてテーブル記憶手段120に保持され、パターン決定手段136により参照される。
普通図柄決定手段148は、入球判定手段110が作動口68への遊技球の通過を判定した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄を決定する。普通図柄決定手段148が特定の図柄であった場合、普通電動役物開閉制御手段192が始動口62を所定時間拡開する。
指定生成手段210は、パターン決定手段136による決定に応じて演出指定データを生成する。演出指定データは、データ指定情報とパート指定情報とで構成される。データ指定情報は、演出表示に使用すべき変動パターンデータの種類を示す値である。パート指定情報は、データ指定情報によって指定する変動パターンデータのうちいずれの部分を変動パターンとして使用すべきかを示す値である。各変動パターンデータには、あらかじめ1箇所以上の変動停止ポイントが定められており、パート指定情報はどの変動停止ポイントにて変動を停止させるべきかを指定する情報である。このように、指定生成手段210はデータ指定情報とパート指定情報で構成される演出指定データを生成することにより、変動表示に使用する変動パターンを指定する。指定送信手段212は、指定生成手段210により生成された演出指定データをサブ基板49のパターン選択手段216へ送信する。
メイン表示制御手段160は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段130により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。演出表示制御手段162は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段130により決定された変動パターンにしたがって装飾図柄の変動を含む演出画像の変動表示として演出表示装置60に表示させる。演出表示制御手段162は、遊技効果ランプ90の点灯と消灯を制御する。メイン表示制御手段160は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置204に表示させる。メイン表示制御手段160は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段162へ送信することにより、メイン表示制御手段160および演出表示制御手段162による変動表示が同期し、連動が保たれる。
保留制御手段170は、当否抽選値取得手段113により取得された当否抽選値をこれらの保留数が所定の上限に達するまで保留球として保持する。保留数の上限は4である。
パターン記憶手段214は、複数の変動パターンデータを保持する。パターン記憶手段214に保持される変動パターンデータは、変動の開始態様が同じで変動の停止態様がそれぞれ異なる複数の変動パターンが一つのデータに内包される。また、一つの変動パターンデータに一つまたは複数の変動停止ポイントが設定されている。変動パターンデータに複数の変動停止ポイントが設定される場合、それらの変動停止ポイントのうち少なくとも一つに変動表示の半停止態様が定められてもよい。ここでいう半停止態様は、上下方向になされる装飾図柄のいわゆる回転動作が中断されたまま、その装飾図柄が左右に小さく揺れていて完全には変動停止していない状態である。遊技者には装飾図柄ないし演出画像の変動停止があたかも一旦停止したように見えるものの、実際にはわずかに変動が続いており、そのまま表示を続行すれば再び通常の変動表示状態へ戻る。このような半停止態様は通常の変動表示と比べて変動が相当に小さい分、変動を強制的に停止させても視覚的な不自然さが残りにくいので、これを変動停止態様としても兼用することにより、実質的に複数種類の変動パターンを一つのデータに混在させることができる。
なお、半停止態様は、左右方向の小さな揺動状態に限らず、たとえば通常の変動表示に比べて停止に近いほどの緩い速度で演出画像を変動させる態様であってもよいし、演出画像を細かく振動または微動させるような態様であってもよい。必ずしも画像の半停止を伴うものでなくともよく、遊技者に対して変動の一旦停止を思わせるような視覚的な示唆があれば足りる。また、必ずしも複数の変動パターンデータのすべてにおいて半停止態様が複数定められていることを要さず、半停止態様が一つだけ定められた変動パターンデータや、半停止態様が定められていない変動パターンデータがパターン記憶手段214に混在してもよい。
変動パターンデータに定義された最初の部分から最後の部分まで表示させた場合は、途中の半停止態様の部分は演出内容を発展させるための転換部分として表示される。すなわち、演出画像の変動が半停止態様の部分で一度停止するように見せかけてリーチ態様に発展させる形で再び変動を始めるような転換である。たとえば、変動パターンデータに3つの変動停止ポイントが設定される場合、最後の変動停止ポイント以外は半停止態様の形で定義される。その変動パターンデータを最初から最後まで表示させれば2度の発展を含む比較的長時間のリーチ態様を表示でき、途中の半停止態様の部分で停止させれば1度の発展を含むリーチ態様または1度も発展しない通常の外れ態様として表示できる。
本実施例におけるパターン記憶手段214は、16種類の変動パターンデータを保持し、「0」から「15」までのデータ番号が対応付けられている。また、変動停止ポイントとしては、変動開始から変動停止までの時間を表す16種類の時間が設定されており、それぞれの変動停止ポイントを示す「0」から「15」までのポイント番号と各時間値が対応付けられている。
パターン選択手段216は、指定送信手段212から演出指定データを受信し、その演出指定データにおいて指定された変動パターンデータをパターン記憶手段214から選択する。すなわち、演出指定データ内のデータ指定情報には「0」から「15」までのデータ番号が指定されており、パターン選択手段216は指定されたデータ番号に対応する変動パターンデータをパターン記憶手段214から選択して、これを演出表示制御手段162へ送る。
演出表示制御手段162は、選択された変動パターンデータにしたがって演出表示装置60へ演出画像を変動表示させるとともに、演出指定データ内のパート指定情報に基づくタイミングで電飾の演出を制御する。具体的には、演出表示制御手段162は、データ指定情報により指定された変動パターンデータの演出を先頭部分から表示させることにより演出画像の変動の開始態様を表示させるとともに、メイン表示制御手段160から変動停止コマンドを受け取ったときにその変動を停止させることにより演出画像の変動の停止態様を表示させる。メイン表示制御手段160からの変動停止コマンドは、変動停止ポイントが表示されるタイミングで送られるようその送信タイミングがあらかじめ定められている。なお、変形例においては、演出指定データ内のパート指定情報に基づくタイミングで演出画像の変動表示を停止させてもよい。また、演出表示制御手段162は、半停止態様の部分で変動を停止させる場合、急にその時点で演出を終了させることで不自然とならないよう、図柄が完全停止した状態で液晶画面全体を一瞬白く光らせる、いわゆるフラッシュアウトのような画像処理を施すことにより、変動を円滑に終了させてもよい。フラッシュアウトの画像処理は、必要なタイミングにてリアルタイムに画面内の画像に施す手法で実現してもよいし、あるいは、フラッシュアウトの処理が変動停止ポイントにあらかじめ施されたかたちで変動パターンデータを生成してもよい。
特別遊技制御手段180は、当否判定手段114による判定結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技制御手段180は、特別遊技移行判定手段182、単位遊技実行手段184、および特別遊技終了手段186を含む。特別遊技移行判定手段182は、当たりであった抽選結果に対応する図柄変動が停止されたときに特別遊技開始のタイミングであると判定する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回または複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば8回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。単位遊技実行手段184は、大入賞口開閉制御手段194を制御して、大入賞口66を開閉させることにより単位遊技を実行する。大入賞口開閉制御手段194は、単位遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。特別遊技終了手段186は、単位遊技の継続回数、大入賞口66の特定領域への通過検出の有無に基づいて、単位遊技を継続させるか否か、すなわち次回の単位遊技を開始するか否かを判定する。次回の単位遊技を開始するための継続条件が満足されない場合、または単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技終了手段186が特別遊技を終了させる。
普通電動役物開閉制御手段192は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。これにより、始動口62は、遊技者にとって有利な状態に変化する。
特定遊技実行手段190は、当否抽選値が特定遊技へ移行すべき値であった場合、特別遊技後の遊技状態を確率変動状態へ移行させる。確率変動状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否判定手段114による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。
図4は、変動パターンデータのデータ構造を模式的に示す。本図に示される変動パターンデータには、演出画像の変動態様として、「変動開始」を示す第1ポイント300、「リーチ」を示す第2ポイント302、「外れ」を示す第3ポイント304、「発展リーチ」を示す第4ポイント306、「外れ」を示す第5ポイント308、「逆転リーチ」を示す第6ポイント310、「当たり」を示す第7ポイント312、といった展開の過程が定義されている。これら各ポイントのうち、第3ポイント304、第5ポイント308、第7ポイント312は、いずれも変動停止ポイントである。特に、第3ポイント304と第5ポイント308には、変動表示の半停止態様が定められている。
この変動パターンデータは、3種類の変動パターンが一つのデータに内包されている。すなわち、先頭部分である第1ポイント300から表示を開始して第7ポイント312まで表示させる第1変動パターン320と、第1ポイント300から第5ポイント308まで表示させる第2変動パターン322と、第1ポイント300から第3ポイント304まで表示させる第3変動パターン324とが含まれる。第1変動パターンで320は、変動を開始し、変動の半停止から新たな変動への発展を2度繰り返した後で最終的な当たりを表示させるパターンである。第2変動パターン322は、変動の半停止から新たな変動への発展が1度だけであり、2回目の半停止態様にて変動を停止させるパターンである。第3変動パターン324は、変動の半停止から新たな変動への発展が1度もなく、最初の半停止態様にて変動を停止させるパターンである。このように、一つの変動パターンデータの中に複数の変動停止ポイントを定めておくことにより、実質的に複数の変動パターンを一つの変動パターンデータで定義することができる。
ここで、演出画像の変動開始シーンはどの変動パターンであってもその態様がほぼ共通していることが多い。これに対し、演出画像の変動停止シーンおよび展開方法は、特に演出が多く施される部分であり、その態様は変動パターンによって異なることが多い。本実施例においては、演出画像を変動停止させるタイミングとして複数の変動停止ポイントのうちいずれかのポイントを指定することとし、その指定の仕方を替えることで複数種の変動パターンを実現する。これにより、少ないデータで多くの変動パターンを実現することができ、表示効率を向上させることができる。
また、従来は変動パターンの数と同数だけ複数の変動パターンデータが用意されていたが、本実施例では変動パターンデータの数を少なく抑えることができ、複数のパターンデータ全体のデータサイズとしてもコンパクトにまとめることができる。このように変動パターンを体系化することによって表示制御の効率を向上させることができる。また、変動パターンデータの数を少なく抑えるとともに、多数の変動パターンの共通部分がデータ的にまとめられるので、制作段階においてデバッグ作業の重複が回避されるなど制作者の負担が緩和され、製品サイクルの短縮化に有利となる。
図5は、演出指定データのデータ構造を模式的に示す。本実施例における演出指定データは、1バイト、すなわち8ビットで構成され、上位4ビットがパート指定情報を示し、下位4ビットがデータ指定情報を示す。このように、パート指定情報が「0」から「15」まで16種類の番号を示し、データ指定情報もまた「0」から「15」までの16種類の番号を示すことにより、それぞれ変動パターンデータの種類とその変動パターンデータにおける変動停止ポイントを指定することができる。なお、仮に演出指定データの最上位ビットをスタートビットとして使用するとしても、パート指定情報は実質的に3ビットにて「0」から「7」まで8種類の番号を指定することができる。
ここで、制作される変動パターンの種類は、一般的に最大で約120種類ほどである。従来は、一つの変動パターンに対し一つの変動パターンデータが用意されていたので、変動パターンデータもまた120種類ほど作成されていた。120種類の変動パターンデータを指定するために、その指定のデータは少なくとも7ビット以上が必要であった。また、変動パターンを指定するデータ以外に、変動終了時間を指定するデータもサブ基板49へ送信する必要があったため、これらのデータを合計すると1バイトには収めることはできず、2バイトのデータに収められるのが現実であった。
本実施例においては、変動パターンデータの種類を大幅に減らせるので、データ指定情報とパート指定情報の組合せを1バイトに収めることができる。特に、メイン基板41からサブ基板49へ送られるデータは、それら基板上のCPUやメモリのスペックとの関係で、できるだけデータサイズを小さくすることが要求される。仮に変動パターンを指定するデータと変動終了時間を指定するデータで合わせて2バイトを費やしてしまうと、他に送ることができるデータが少なくなってしまい、設計上の制約が大きい。その点、本実施例においてはデータ指定情報とパート指定情報の組合せを1バイトに収めてデータサイズを相対的に小さくできる分、他のデータをさらにサブ基板49へ送信する余裕が生まれる。このように、演出画像の変動表示制御をより単純化するとともに、制御のために送受信するデータ内の割り当て効率を高めることにより、変動表示の効率をより一層向上させることができる。なお、変形例として、パート指定情報とデータ指定情報をそれぞれ5ビットと3ビットで構成してもよい。その場合、パート指定情報は3ビットで「0」から「7」までの8種類の番号を指定でき、データ指定情報は5ビットで「0」から「31」までの32種類の番号を指定することができる。その変形例では、設定できる変動停止ポイントの種類が少ない分、変動パターンデータの種類をさらに多く設定することができる。
図6は、当否抽選値と演出画像の変動パターンとの対応関係を示すパターン決定テーブルの図である。このパターン決定テーブルは、テーブル記憶手段120に保持され、パターン決定手段136によって参照される。パターン決定テーブルには、変動パターンを示す値として、データ指定情報とパート指定情報の各値が当否抽選値と対応付けられている。たとえば、当否抽選値「5950」に対し、データ指定情報の値として「5」が、パート指定情報の値として「2」がそれぞれ対応付けられている。したがって、当否抽選値が「5950」であった場合、パターン決定手段136は変動パターンデータを「5番」のデータに決定し、変動パターンデータ内の変動停止ポイントを「2番」の位置に決定する。この場合、指定生成手段210は、上位4ビットにパート指定情報として「2番」を示す「0010」を割り当て、下位4ビットにデータ指定情報として「5番」を示す「0101」を割り当て、全体として「00100100」という8ビットの演出指定データを生成する。その演出指定データを指定送信手段212がパターン選択手段216へ送信する。
図7は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62または一般入賞口72へ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図8は、図7におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否判定手段114が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段160が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段162へ送信し、これを受信した演出表示制御手段162が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34とS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図9は、図8におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否判定手段114が特別遊技へ移行するか否かを判定し(S50)、図柄選択手段146が当否抽選値に対応する図柄を特別図柄の停止図柄に決定し(S52)、パターン決定手段144が当否抽選値に基づいて特別図柄の変動パターンを決定し(S54)、図柄選択手段138が当否判定結果と特別図柄に応じて装飾図柄を決定し(S56)、パターン決定手段136が当否抽選値と特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動パターンを決定する(S58)。
指定生成手段210は、装飾図柄決定手段132の決定に基づいて演出指定データを生成し(S60)、これを指定送信手段212がパターン選択手段216へ送信する(S62)。演出指定データを受信したパターン選択手段216はデータ指定情報に基づいて変動パターンデータを選択し(S64)、その変動パターンデータと変動停止ポイントを演出表示制御手段162に設定する(S66)。
図10は、図8におけるS40の変動表示処理を詳細に示すフローチャートである。まず、表示中の図柄変動に関して変動開始からの経過時間が、あらかじめ指定された変動表示時間に達した場合(S70のY)、メイン表示制御手段160は変動表示の停止コマンドを演出表示制御手段162へ送信し(S72)、メイン表示制御手段160が特別図柄の変動表示を停止させるとともに、演出表示制御手段162が演出画像の変動表示を停止させる(S74)。これにより、変動パターンデータに変動停止ポイントが複数定義されている場合に、いずれかのポイントにて変動が停止される。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 ぱちんこ遊技機、 41 メイン基板、 49 サブ基板、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 60 演出表示装置、 61 特別図柄表示装置、 100 遊技制御装置、 120 テーブル記憶手段、 130 図柄決定手段、 132 装飾図柄決定手段、 136 パターン決定手段、 138 図柄選択手段、 140 特別図柄決定手段、 144 パターン決定手段、 146 図柄選択手段、 160 メイン表示制御手段、 162 演出表示制御手段、 210 指定生成手段、 212 指定送信手段、 214 パターン記憶手段、 216 パターン選択手段。