JP4719990B2 - 電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の絶縁層を形成するために好適に用いることができるシート状成形材料の製造方法、このシート状成形材料を用いた電子部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
成形品として、粉粒状樹脂組成物や、この粉粒状樹脂組成物を打錠して図3に示すような柱状のタブレット71に成形した成形材料をリードフレーム等のインサート部品と共に金型内に投入し、直圧成形法にて加熱加圧成形することにより、板状又はシート状に成形して絶縁層と回路層とを積層成形した電子部品が知られている。
【0003】
しかし、粉粒状の成形材料を金型内で板状又はシート状に成形する場合は、成形材料の粒子間に存在する空気が絶縁層内に残存し、絶縁層内にボイドが発生する恐れがある。また、タブレット71の成形材料を用いる場合は、タブレット71の成形材料が金型内にて板状又はシート状に変形する際に空気をかみ込むことにより、やはり絶縁層内にボイドが発生する恐れがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本願出願人は、上述の電子部品の絶縁層を形成するに適した成形材料について鋭意研究を続けており、粉粒状樹脂組成物をシート成形用金型にて所望の電子部品の絶縁層と略同一の形状を有するシート状成形材料に作製した後、このシート状成形材料をインサート部品と共に成形用金型内に投入し、直圧成形法にて加熱加圧成形する成形材料の製造方法等を提案している(特願平11−363611等)。このものは、上記ボイドの発生を抑制できたり、絶縁層と略同一の形状を有するシート状成形材料を採用するので材料ロスを低減する等に有効なものである。
【0005】
一方、近年生産工程の各種部門で生産サイクルの短時間化が望まれている。上記シート状成形材料を作製する場合、シート状成形材料をシート成形用金型から取り出すのに時間を要して、生産サイクルが延びることから、生産サイクルの短縮が望まれている。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、板状又はシート状の成形品を得るにあたり、成形品内にボイドが発生することを防止し、且つ、生産効率が向上できるシート状成形材料の製造方法、及び、このシート状成形材料を用いた電子部品の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品の製造方法は、上側と下側のシート成形用金型に離型フィルムを敷き、この離型フィルムの間に粉粒状樹脂組成物を投入し離型フィルムに挟んだ状態で加圧し製造してなるシート状成形材料とインサート部品を成形用金型に投入して加熱加圧成形する電子部品の製造方法であって、離型フィルムの間に投入した粉粒状樹脂組成物を、離型フィルムに挟んだ状態で加圧してシート状に成形することによって、作製したシート状成形材料をシート成形用金型から取り出しやすくでき、シート状成形材料とインサート部品を成形用金型に投入して加熱加圧成形する電子部品の製造が容易に行えるものである。なお、上記離型フィルムは、シート状成形材料及びシート成形用金型に対して、離型性を有するものである。
【0008】
請求項2記載の電子部品の製造方法は、 所望の電子部品の絶縁層と略同一の形状を有するシート状成形材料とインサート部品を成形用金型に投入して加熱加圧成形する電子部品の製造方法において、上記シート状成形材料が請求項1記載の製造方法で得られたものであることを特徴とする電子部品の製造方法であり、シート状成形材料は高い充填率を有するものであり、電子部品の絶縁層と略同一の形状を有するので、成形の際に、成形材料の変形による空気のかみ込みが抑制されて絶縁層内にボイドが発生することを防止することができるものである。
【0009】
請求項3記載の電子部品の製造方法は、請求項2記載の電子部品の製造方法において、上記インサート部品がリードフレイムを有するものであることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のシート状成形材料及びシート状成形材料の製造工程の一例を示し、(a)〜(c)は製造工程の概略断面図、(d)はシート状成形材料の斜視図である。
【0012】
本発明のシート状成形材料1は、粉粒状樹脂組成物2を用いる。上記粉状樹脂組成物2は、熱硬化性樹脂、その硬化剤、無機充填材等の構成材料を配合してなるものである。
【0013】
上記粉粒状樹脂組成物2の構成材料である熱硬化性樹脂は、例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂があげられ、これらを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の含有量は、4〜10重量%程度が好適である。
【0014】
上記エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル、ナフトールアラルキル等の各種の多価フェノール化合物やナフトール化合物が挙げられる。硬化剤全体の配合量は、通常エポキシ樹脂に対して、当量比で0.5〜1.5の範囲で配合される。
【0015】
また、上記硬化剤に加えて硬化助剤を配合してもよく、この硬化助剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の三級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物等を挙げることができ、その配合量は0.2〜0.8重量%の範囲とすることが好ましい。
【0016】
上記無機充填材としては、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、窒化ケイ素等の粉末が挙げられる。また、無機充填材としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤にて表面処理を施したものも挙げられる。この無機充填材は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよく、その配合量は85〜91重量%の範囲とすることが好ましい。
【0017】
また、上記粉粒状樹脂組成物2の構成材料としては、必要に応じて、離型剤、難燃剤、着色剤、シリコーン可とう剤等の添加剤を用いることができる。上記離型剤は、カルナバワックス、ステアリン酸、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレフィン等が挙げられる。上記難燃剤は、樹脂被覆された赤リン、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等が挙げられる。上記着色剤は、カーボンブラック等の顔料が挙げられる。
【0018】
上記粉粒状樹脂組成物2は、上述の材料を配合したものをミキサー、ブレンダー等で均一に混合した後、ニーダーやロール等で加熱・混練し、更に冷却固化した後粉砕して得ることができる。
【0019】
上記シート状成形材料1の作製には、シート成形用金型が用いられる。上記シート成形用金型は、図1(a)〜(c)に示すように型体5と、プランジャー6と、下皿7にて構成されている。上記型体5は、上面に向けて開口する平面視矩形状の凹部8が設けられている。この凹部8の形状は、次工程の成形で得られる成形品の絶縁層と略同一の形状とする。
【0020】
上記プランジャー6は、下面から下方に向けて平面視矩形状のコア9が突設されている。このコア9の平面視寸法は、型体5の凹部8と略同一に形成されており、コア9の突出寸法は、凹部8の深さから、成形されるシート状成形材料1の所望の厚み寸法を減じた寸法に形成される。上記シート成形用金型は、プランジャー6のコア9を型体5の凹部8内に配置するように、プランジャー6と型体5を型合わせすると、コア9の表面と凹部8の内面にて囲まれた空間にて、成形されるシート状成形材料1と同一寸法、同一形状を有するキャビティ4が構成される。また、上記下皿7は、型体5の下方に配置され、型体5にかけられる下向きの荷重に抗して型体5を支えるものである。
【0021】
上記シート状成形材料1の製造方法は、図1(a)に示すように、上側のシート成形用金型であるプランジャー6と、下側のシート成形用金型である型体5と下皿7の間に一対の離型フィルム3、3を敷き、この離型フィルム3、3の間に所定量の粉粒状樹脂組成物2を投入する。上記離型フィルム3としては、シート状成形材料1及びシート成形用金型に対して、離型性を有するものであり、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のフィルムが挙げられる。上記離型フィルム3としては、厚みが20〜200μm、表面粗さが0.1〜50μm程度のものを好適に用いることができる。
【0022】
次に、上記シート状成形材料1の製造方法は、図1(b)に示すように、プランジャー6と型体5とを、プランジャー5のコア9が型体5の凹部8内に配置されるように型合わせすると共に、プランジャー6に型体5に向けての下向きの荷重をかける。このとき型体5は下皿7によって支持され、シート成形用金型内に形成されるキャビティ4内において、粉粒状樹脂組成物2が均されると共に加圧される。この際、離型フィルム3、3は、その端部をシート成形用金型の外側に出しておくと、後工程の作業が行い易い。この成形により、粉粒状樹脂組成物2は、シート状に形成されるものである。
【0023】
その後、上記シート状成形材料1の製造方法は、図1(c)に示すようにシート成形用金型の型体5とプランジャー6とを型開きした際に、シート状成形材料1がシート成形用金型より容易に離型することができるものである。上記製造方法によって、図1(d)に示すような、シート状の成形材料1を得ることができる。上記製造方法は、離型フィルム3、3に挟んだ状態で粉粒状樹脂組成物2を加圧してシート状に成形するので、作製したシート状成形材料1をシート成形用金型から取り出しやすく、作業性が向上するものである。
【0024】
さらに、上記シート状成形材料1の製造方法は、作製したシート状成形材料1が、次工程の成形で得られる成形品の絶縁層と略同一の形状であるため、変形による空気のかみ込みが抑制されて成形品内にボイドが発生することを防止することができるものである。
【0025】
次に、上記シート状成形材料1を用いた成形品として、電子部品について図2に基づいて説明する。 上記電子部品は、図2(b)、(c)に示すように上記シート状成形材料1を加熱加圧成形することにより形成した絶縁層41と、インサート部品42aとして投入されたリードフレイム42bを有する回路層42と、アルミニウム製の放熱板43とが積層成形された回路基板40である。
【0026】
上記回路基板40を成形する成形用金型は、図2(a)に示すように型体46と、上型44と、下型45から構成される。上記型体46は、上面に向けて開口する平面視矩形状の凹部47が設けられている。上記上型44は、下面から下方に向けて、型体46の凹部47と略同一に形成されたコアが突設している。また、この凹部47の平面視寸法は、回路基板40の所望の平面視寸法と同一とし、また凹部47の深さ寸法は、回路基板40の所望の厚み寸法と同一とする。
【0027】
回路基板40を製造するにあたっては、まず下型45上にリードフレイム42bを有するインサート部品42aを配置すると共に、下型45と型体46で凹部47を形成し、次いで、シート状成形材料1を配置し、さらに、その上に放熱板43を配置する。その後、成形用金型で加熱加圧が行われるとシート状成形材料1は、一旦溶融した後に硬化反応が行われ、それに伴って、溶融した成形材料内にインサート部品22aが埋没されると共に、その反対側に放熱板43が積層一体化する。成形用金型の加熱加圧条件としては、例えば、加熱温度を150〜175℃、加圧力を9.5〜40MPaとすることが好ましく、この場合の加熱加圧時間を60〜360秒間とすることが好ましい。この成形材料の硬化で絶縁層41が形成される。成形後、型開きすることにより、リードフレイム42bと放熱板43を有する回路基板40が取り出される。
【0028】
上述の如く、上記電子部品は、その絶縁層41と略同一の寸法及び形状を有するシート状成形材料1を用いるので、成形過程において成形材料の形状が大きく変更されることがなく、ほぼそのままの形状で絶縁層41として成形されることとなり、成形時に成形材料中に空気がかみ込まれて絶縁層41内にボイドが発生するような事態を防ぐことができるものである。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の電子部品の製造方法は、離型フィルムに挟んだ状態で粉粒状樹脂組成物を加圧してシート状に成形するため作製したシート状成形材料をシート成形用金型から取り出しやすく、作業性が向上する。さらに、上記製造方法により作製したシート状成形材料が、次工程の成形で得られる成形品の絶縁層と略同一の形状にすることができるため、変形による空気のかみ込みが抑制されて成形品内にボイドが発生することを防止することができる。
【0030】
請求項2〜3記載の電子部品の製造方法は、シート状成形材料は高い充填率を有するものであり、電子部品の絶縁層と略同一の形状を有するので、成形の際に、成形材料の変形による空気のかみ込みが抑制されて絶縁層内にボイドが発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状成形材料の製造工程の一例を示し、(a)〜(c)は製造工程の概略断面図、(d)はシート状成形材料の斜視図である。
【図2】(a)は本発明の電子部品の成形工程の一例を示した概略断面図、(b)は成形される電子部品の概略断面図、(c)は同上の電子部品の裏面側からの斜視図である。
【図3】従来のタブレットの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シート状成形材料
2 粉粒状樹脂組成物
3 離型フィルム
5 型体
6 プランジャー
7 下皿
8 凹部
40 回路基板
Claims (3)
- 上側と下側のシート成形用金型に離型フィルムを敷き、この離型フィルムの間に粉粒状樹脂組成物を投入し離型フィルムに挟んだ状態で加圧し製造してなるシート状成形材料とインサート部品を成形用金型に投入して加熱加圧成形する電子部品の製造方法。
- 所望の電子部品の絶縁層と略同一の形状を有するシート状成形材料とインサート部品を成形用金型に投入して加熱加圧成形する電子部品の製造方法であって、上記シート状成形材料が請求項1記載の製造方法で得られたものであることを特徴とする電子部品の製造方法。
- 上記インサート部品がリードフレイムを有するものであることを特徴とする請求項2記載の電子部品の製造方法。
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