JP3833938B2 - リードフレームおよびその製造方法、ならびに熱伝導性基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂と無機質フィラーとの混合物により放熱性を向上させた回路基板に関し、詳しくは、パワー用エレクトロニクス実装のための高放熱樹脂基板(即ち、熱伝導性基板)に関する。より詳しくは、本発明は、熱伝導性基板およびそれを製造するために用いる、熱伝導性樹脂シート部材を有して成るリードフレーム、ならびにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化、小型化の要求に伴い、半導体素子の高密度、高機能化が要請されている。これによりそれらを実装するため回路基板もまた小型高密度なものが望まれている。その結果、回路基板の放熱を考慮した設計が重要となってきている。
【0003】
回路基板の放熱性を改良する技術として、従来のガラス・エポキシ樹脂によるプリント基板に対し、アルミニウムなどの金属板を使用し、この金属板の片面に絶縁物を介して回路パターンを形成する金属ベース基板が知られている。また、より大きい熱伝導性が要求される場合は、アルミナ、窒化アルミなどのセラミック基板に銅板をダイレクトに接合した基板が利用されている。
【0004】
比較的小電力の用途には、金属ベース基板が一般的に利用されるが、熱伝導を良くするため絶縁物が薄くなければならず、金属ベース基板間でノイズの影響を受けることと、絶縁耐圧に課題を有している。また、セラミック基板はコストが高いという課題を有している。
【0005】
このように金属ベース基板およびセラミック基板は性能およびコストの面で両立が難しいため、熱可塑性樹脂に熱伝導性フィラーを充填した組成物を電極であるリードフレームと一体化した、射出成形による熱伝導モジュールが提案されている(例えば特開平9−298344号公報、特開平9−321395号公報)。
【0006】
この射出成形熱伝導モジュールは、セラミック基板に比べて機械的強度の面で優れている反面、熱可塑性樹脂に放熱性を付与するための無機質フィラーを高濃度に充填することが困難であるため放熱性が悪い。これは、熱可塑性樹脂を高温で溶融させフィラーと混練する際、フィラー量が多いと溶融粘度が急激に高くなり混練できないばかりか射出成形すらできなくなるからである。また、充填させるフィラーが研磨剤として作用し、成形金型を摩耗させ多数回の成形が困難となる。そのため、充填フィラー量に限界が生じ、セラミック基板の熱伝導と比較して低い性能しか得られないという課題があった。
【0007】
これらの課題を解消するために、特開平10−173097号公報では、半硬化状態で可撓性を有する熱硬化性樹脂と熱伝導を良好にするための無機質フィラーとの混合物(「熱硬化性樹脂混合物」とも呼ぶ)をシート化することによって、高濃度で無機質フィラーが充填された熱伝導性樹脂シート部材を製造し、このシート部材を挟むように電極であるリードフレームと金属放熱板とを積層して加熱加圧することで、リードフレームの表面まで熱伝導性樹脂シート部材を充填すると共に熱硬化性樹脂を硬化させ、それによって、リードフレーム、熱伝導性樹脂シート部材および金属放熱板を一体化することを特徴とする、リードフレームと金属放熱板とが対向するように配置された熱伝導性基板およびその製造方法が開示されている。尚、この公開特許公報の記載内容は、この引用により本明細書の一部分を構成するものとする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような方法により熱伝導性基板を製造する場合、適当な製造条件を選ばないと、加熱加圧時に金属放熱板の露出面の周囲、リードフレームの露出面の周囲に熱硬化性樹脂混合物が溢れ出て、それが硬化して樹脂バリおよび表面汚れを生じることがある。この樹脂バリおよび表面汚れは、熱伝導性基板上への部品実装時においては半田付けの不具合を招き、また、熱伝導性基板の外観上も好ましくないので、これらを除去する工程が追加的に必要となる。
【0009】
上述のような方法によって熱伝導性樹脂シート部材を製造する場合、熱硬化性樹脂混合物自体のばらつき、工程上の種々の変動があり、安定して所定の厚さ(従って、体積)の熱伝導性樹脂シート部材を製造することは容易ではない。
【0010】
特に、熱伝導性樹脂シート部材が厚過ぎる、従って、大き過ぎる場合には、リードフレームの露出面の周囲にはみ出してくる熱硬化性樹脂混合物が多くなり、その結果、リードフレームの露出面の樹脂バリおよび汚れが増加する。また、熱伝導性樹脂シート部材の大きさが変動すると、最終的に製造される熱伝導性基板の厚みが変動するため、安定した基板供給が行えなくなる場合がある。即ち、熱伝導性基板を安定して製造するためには、適切な熱伝導性樹脂シート部材を安定して製造することが必要である。
【0011】
他方、上述のような方法によって熱伝導性基板を製造する場合、半硬化状態で可撓性を有する熱硬化性樹脂から形成される熱伝導性樹脂シート部材は、その機械的強度が必ずしも十分ではないため、取り扱いが容易でないという課題がある。また、熱伝導性基板製造前の保存時の熱伝導性樹脂シート部材は長期保存安定性を考慮して、長期なゲルタイム(例えば4分以上)となるように管理されている。しかしながら、そのような熱伝導性樹脂シート部材を用いて、これを硬化させてリードフレームと一体化する場合、上述の樹脂バリの発生のみならず、硬化時間が長いことにより一体化する工程が長タクト化するという課題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、含まれる熱硬化性樹脂が半硬化状態である熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームを予め一体化しておくことによって、熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームによって補強され、その結果、熱伝導性樹脂シート部材のハンドリング性を向上させることができること、また、そのようにリードフレームと一体化した熱伝導性樹脂シート部材を金属放熱板と重ねて加熱加圧することによって、上述の種々の課題の少なくとも1つに関して従来よりも向上した状態で熱伝導性基板を製造できることを見出した。
【0013】
従って、第1の要旨において、本発明は、熱伝導性樹脂シート部材を有して成り、その上に位置してそれと一体化されたリードフレームであって、熱伝導性樹脂シート部材は、無機質フィラー70〜95重量部と、熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物5〜30重量部とを含んで成る熱硬化性樹脂混合物から形成され、また、熱硬化性樹脂は半硬化状態である、熱伝導性樹脂シート部材付きのリードフレームを提供する。
【0014】
熱硬化性樹脂混合物における無機質フィラーの配合量がこの範囲より少ない場合、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを用いて製造した基板の放熱性が不十分となることがあり、逆に、この範囲より多い場合、熱伝導性樹脂シート部材の接着性が低下することがあり、十分な基板を製造できない。尚、得られる熱伝導性樹脂シート部材の更に向上した熱伝導性および接着性等の観点から、無機質フィラーと熱硬化性樹脂組成物の混合割合は、無機質フィラー:熱硬化性樹脂組成物(重量比)が85〜95:15〜5であるのが特に好ましい。
【0015】
このような熱伝導性樹脂シート部材付きのリードフレームでは、熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームと一体化されているので、熱伝導性樹脂シート部材が補強され、その結果、割れ、欠け等の破損が起こりにくくなり、ハンドリング性が向上する。尚、本明細書において、「一体化」なる用語は、熱硬化性樹脂を用いて熱伝導性基板を製造する分野では当業者には容易に理解されるが、熱伝導性樹脂シート部材に固有の性質(特に加熱(硬化を進行させる加熱および硬化を進行させない状態での加熱を含む)および/または加圧(または押圧)された時の性質、また、必要に応じてその後に冷却された時の性質)に基づいて熱伝導性性樹脂シート部材が他の要素、例えばリードフレーム、後述する金属放熱板等と接着状態(特に、製造される熱伝導性基板の使用に対して十分な接着状態)となることを意味する。
【0016】
本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームにおいては、熱伝導性樹脂シート部材は熱硬化性樹脂混合物から形成され、電気絶縁性を有し、絶縁層として機能できる。この熱硬化性樹脂混合物は、熱硬化性樹脂組成物と無機質フィラーとから構成され、必要に応じて混合物の粘度を調整する溶剤(または希釈剤もしくは分散剤)を含む。熱硬化性樹脂組成物は、その主成分として熱硬化性樹脂を含む。
【0017】
そのような熱硬化性樹脂としては、電子基板において、特にその電気絶縁用途に通常用いられるものであるのが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂および液状フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、これらのいずれかの組み合わせも使用できる。これらの樹脂は、電気的特性(特に電気絶縁性)、機械的特性(特に機械的強度)等に優れる点で使用するのが特に好ましい。
【0018】
また、熱硬化性樹脂組成物は、他の成分を更に含んでよい。そのような他の成分として、硬化剤および/または硬化促進剤を含むことが好ましく、硬化剤として例えばビスフェノールA型ノボラック樹脂を用いることができ、硬化促進剤としては例えばイミダゾールを用いることができる。更に、熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、着色剤、離型剤等の添加剤を更に含んでよい。これらの添加剤に付いては特に限定はなく、適宜選択すればよい。カップリング剤としては、例えばエポキシシラン系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を使用できる。分散剤としては、例えばリン酸エステル等を使用できる。着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化クロム等を使用でき、離型剤としては、例えばシリコーン樹脂等を使用できる。
【0019】
熱硬化性樹脂混合物(即ち、熱硬化性樹脂組成物+無機質フィラー+溶剤(必要な場合))に含まれる無機質フィラーは、得られる熱伝導性樹脂シート部材に熱伝導性を付与するものであれば、特に限定されるものではないが、Al2O3、MgO、BNおよびAlNから選ばれた少なくとも1種のフィラーであることが好ましく、これらのいずれかの組み合わせも使用できる。これらのフィラーは熱伝導性に特に優れ、高い熱放散性を持つ基板を製造することが可能になるからである。特に、Al2O3を用いた場合、熱硬化性樹脂組成物との混合がより容易になり、また、AlNを用いた場合、最終的に得られる熱伝導性基板の熱放散性が特に高くなるので好ましい。フィラーの形態は特に限定されるものではないが、例えば、粉末状、粒状および/または繊維状のフィラーを使用できる。無機質フィラーが粉末または粒状形態の場合、その粒径は0.1〜100μmであることが好ましい。粒径が大きすぎても小さすぎても無機質フィラーの配合性が十分でない場合がある。
【0020】
本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームにおいて、熱伝導性樹脂シート部材に含まれる熱硬化性樹脂は、半硬化状態(または部分硬化状態)にある。この状態は、いわゆるB−ステージとも呼ばれる状態である。本発明のリードフレームにおいて、この半硬化状態は、熱伝導性樹脂シート部材が20秒〜120秒の範囲にある、155℃におけるゲルタイムを有するようになっているのが好ましい。このゲルタイムは、より好ましくは40秒〜100秒の範囲、特に50秒〜90秒の範囲である。このゲルタイムが短すぎると、後で金属放熱板と一体化するための加熱加圧の工程において金属放熱板との十分な接着性が得られない場合がある。また、ゲルタイムが長すぎると、金属放熱板と一体化した熱伝導性基板の製造のタクトが長くなると共に、熱伝導性基板の露出表面の周辺部、リードフレームの露出表面の周辺部に熱硬化性樹脂混合物がしみだして硬化し、樹脂バリ、表面汚れ等が生じることがある。
【0021】
本明細書において、熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムとは、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む熱伝導性樹脂シート部材が(通常加熱により)達した所定温度にて急激に流動性を失い固化状態になるまでの時間を意味し、ある特定の温度(本明細書においては155℃を使用)における時間で測定される。
【0022】
具体的には、本明細書に用いるゲルタイムは、次の方法により測定される値を意味する:半硬化状態にある熱伝導性樹脂シート部材から、直径25mmのタブレットをサンプル(通常約8g)として切り取る。尚、このサンプルは、リードフレームと一体化したものから採取してもよい。リードフレームとの一体化に際しては、熱硬化性樹脂の硬化は進行しないからである。次に、キュラストメータ((株)JSR製、モデルVps)を用い、上下2枚の熱板を155℃に加熱してその間にサンプルを挟み、サンプルに正弦波振動を与え、それにより生じるトルクを測定する。熱伝導性樹脂シート部材に含まれる熱硬化性樹脂の硬化が進行につれて測定されるトルクが増加するが、測定されるトルクが0.1kgf/cm2を越えるまでの時間(挟んだ後からの時間)を155℃におけるゲルタイムとして得る。このようなゲルタイムの測定方法の原理は、一般的に知られている。
【0023】
また、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームにおいて、熱伝導性樹脂シート部材の粘度が、102〜105Pa・sの範囲であるのが好ましく、より好ましくは103〜105Pa・sの範囲である。102Pa・s以下の粘度では熱伝導性基板製造時の変形量が大き過ぎ、リードフレームの露出表面での樹脂バリ、表面汚れの生成が十分に抑制されないことがあり、逆に、105Pa・s以上の粘度では、熱伝導性樹脂シート部材の可撓性が十分ではなく、熱伝導性基板の製造が困難となることがある。
【0024】
尚、熱伝導性樹脂シート部材の粘度は以下の測定方法により得られる:測定は、粘弾性測定装置(コーン・アンド・プレート型(cone and plate type)動的粘弾性測定装置MR−500、(株)レオロジ製)を用いる。シート状物を所定の寸法に加工し、コーン径17.97mm、コーン角1.15degのコーンとプレートとの間に挟み、サンプルに捩り方向の正弦波振動を与え、それにより生じたトルクの位相差を計算し粘度を算出することにより得られる。本発明の熱伝導性樹脂シート部材に関しては、1Hzの正弦波を用い、歪み量0.1deg、荷重500gで25℃における値を求めた。
【0025】
本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームでは、熱硬化性樹脂が半硬化状態で熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームと一体化されているので、熱伝導性基板を製造する際して、未硬化の熱硬化性樹脂を用いてリードフレームおよび金属放熱板をそれと一体化する場合より、製造タクトが短くなる。しかも、後述するように、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含む熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとの一体化を、硬化が実質的に進行しない条件下で実施するので、一体化されたリードフレームの露出表面に樹脂バリ、汚れ等が生じない。
【0026】
本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの1つの態様では、リードフレームの一部分が熱伝導性樹脂シート部材と一体化されている。例えばリードフレームの外周部の下方には熱伝導性樹脂シート部材が存在せず、従って、外周部を除くリードフレームの部分が熱伝導性樹脂シート部材と一体化されている。このような例において、リードフレームはその外枠部につながる共通端子(好ましくは熱伝導性樹脂シート部材からその外側に向かって延在する共通端子)を介して、リードフレームの他の全ての端子が外枠部に電気的に接続されているのが望ましい。これによって、リードフレームのいずれの端子についても、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームから脱落するのを防ぐことができ、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームのハンドリング性が向上する。
【0027】
1つの好ましい態様では、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームでは、リードフレームの一部分が熱伝導性樹脂シート部材と一体化され、かつ、一体化されたリードフレームから電気的に独立した少なくとも1つの配線パターンまたは端子が熱伝導性樹脂シート部材と一体化されて(リードフレームと同じ側に)存在することが望ましい。これにより、独立して存在する配線パターンまたは端子は、リードフレームから電気的に独立しながらも、熱伝導性樹脂シート部材上に孤立した島状で保持されるため、独立した配線パターンまたは端子が熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームから脱落することがなく、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームのハンドリング性が向上する。
【0028】
上述のような熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームは、次に詳細に説明するように、含まれる熱硬化性樹脂が半硬化状態である熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームを重ね合わせて、必要に応じて加熱して、熱伝導性樹脂シート部材の熱硬化性樹脂が硬化しない(従って、硬化が進行しない)温度下で加圧(または押圧)することによって、これらが一体化することにより得られる。このようなリードフレームは、熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームが面一(つらいち)の表面を形成するのが好ましい、即ち、リードフレームには、配線パターンが形成され、従って、リードフレームは少なくとも1つの貫通開口部を有する。その貫通開口部が熱伝導性樹脂シート部材によりリードフレームの露出面のレベルまで充填されているのが好ましい。
【0029】
尚、使用するリードフレームは、一般的に電子回路基板に使用されるものを使用でき、特に限定されるものではない。リードフレームの材料としては導電性が高く、加工しやすければよく、例えば銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、銀、もしくはこれらを主成分として含む種々の合金がであってよい。リードフレームには配線パターンが形成されており、その配線パターン加工方法としては、例えば公知の化学的エッチングによる方法、金型による打ち抜き方法、パンチングによる打ち抜き方法が使用できる。また、リードフレームには、その表面の酸化防止、はんだ濡れ性向上のためにメッキを施してもよい。メッキ種としては、例えば錫、ニッケル、鉛、銀、金、パラジウム、クロム、あるいはこれらを主成分とする合金を使用できる。更に、リードフレームは熱伝導性樹脂シート部材との接着性を向上させるために、その接着面を粗面化することが好ましい。粗面化する方法としては特に限定されず、例えばサンドブラスト、研磨、化学的エッチング等を使用できる。
【0030】
上述のように、熱硬化性樹脂が半硬化状態である熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとを一体化する工程を、熱伝導性樹脂シート部材に含まれる熱硬化性樹脂の硬化が実質的に進行しない条件(特に温度)下で実施すると、熱硬化性樹脂混合物のリードフレームの露出表面への溢れが抑制される。得られる熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームは、その後、必要に応じて冷却してよく(例えば室温まで冷却してよく)よく、その状態で保存できる。
【0031】
更に、このようにリードフレームと一体化した熱硬化性樹脂シート部材に金属放熱板と重ねて加熱して硬化を進行させ、その後、加熱加圧して熱伝導性基板を製造する場合、リードフレームおよび金属放熱板の露出表面への熱硬化性樹脂混合物の回り込みが抑制され、露出表面の汚れおよび樹脂バリの発生を防止することもできる。
【0032】
従って、第2の要旨において、本発明は、熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物と無機質フィラーとを含んで成る熱硬化性樹脂混合物から形成され、また、熱硬化性樹脂が半硬化状態である熱伝導性樹脂シート部材の上に位置してそれと一体化されているリードフレームを有して成る、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法であって、
(a)熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物と、無機質フィラーとを含んで成る熱硬化性樹脂混合物から熱伝導性樹脂シート部材を得る工程、
(b)熱伝導性樹脂シート部材を熱処理して所定のゲルタイムを有するようにする工程、および
(c)熱伝導性樹脂シート部材上にリードフレームを配置し、熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度でこれらを相互に向かって押圧してこれらを一体化する工程
を含んで成るリードフレームの製造方法を提供する。
【0033】
尚、本発明の種々の方法において、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームに関する上述の説明(例えば熱硬化性樹脂、無機質フィラー、ゲルタイム、リードフレーム等に関する詳細)および後述の説明は、特に不都合が無い限り、以下に説明する本発明の種々の方法にも当て嵌まる。
【0034】
本発明のリードフレームの製造方法において、工程(a)は、熱硬化性樹脂、無機質フィラー、および必要な場合のその他の1またはそれ以上の成分を配合し、更に、これらと溶剤(例えばメチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロパノール等)と混合して粘度を調節した熱硬化性樹脂混合物を得、得られた熱硬化性樹脂混合物を基材上に塗布し、乾燥して溶剤を除去してシート状物を得ることにより実施できる。シート状物を得ることができる限り、熱硬化性樹脂混合物を他の方法、例えば押出法によって処理してもよい。この工程では、シート部材を構成する熱硬化性樹脂の硬化が進行しない条件下で実施するのが好ましい。その場合、熱伝導性樹脂シート部材は長期のゲルタイムを保持できるので、長期に安定して熱伝導性樹脂シート部材を保存できる。しかしながら、別の態様では、工程(b)において調整するゲルタイムを達成できる限り、工程(a)において熱硬化性樹脂の硬化が進行してもよい。例えば、硬化が進行する温度で工程(a)を実施しても、実施に要する時間が短い場合には、工程(b)において調整するゲルタイムを達成できる。熱硬化性樹脂の硬化の制御は、通常、温度管理により実施されるので、工程(a)において硬化が進行するか否かは、シート状部材を得るに際して熱硬化性樹脂組成物と無機質フィラーがさらされる熱的条件、即ち温度条件で決まる。硬化が進行する温度条件は、使用する熱硬化性樹脂によって異なるが、一般的には90℃以下、好ましくは85℃以下、より好ましくは80℃以下の温度で工程(a)を実施する。
【0035】
尚、熱硬化性樹脂混合物の調製方法は特に限定されず、混合すべき成分を十分に混合できるものであればよい。例えば、ボールミルによる混合、攪拌機による混合、プラネタリミキサーによる混合を使用できる。また、熱硬化性樹脂混合物の塗布方法、即ち、造膜方法は特に限定されず、例えばドクターブレード法、コーター法、押し出し法等を用いることができる。特に溶剤を用いて熱硬化性樹脂混合物を調製して塗布する場合には、造膜が容易であるという点でドクターブレード法を用いることが好ましい。
【0036】
この塗布(または造膜)は離型フィルム上で実施してもよく、その場合、熱伝導性樹脂シート部材の保存時のハンドリング性が向上する。離型フィルムとしては特に限定されず、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム等を使用できる。また、フィルムの表面に離型剤、例えばシリコーンを用いて離型処理を施していることが好ましい。
【0037】
尚、工程(a)の詳細に関しては、先に引用した特開平10−173097号およびそれに対応する米国特許第6,060,150号を参照することもでき、ここでこれらを引用することによって工程(a)に関するこれらの特許文献に記載の事項は本明細書の一部分を構成する。
【0038】
本発明のリードフレームの製造方法において、工程(b)では、工程(a)で得られた熱伝導性樹脂シート部材を熱処理する。熱処理する熱伝導性樹脂シート部材は、工程(a)の後、冷却して必要に応じて保存してあるものであっても、あるいは、工程(a)において得られた直後のもの(従って、暖かい場合がある)であってもよい。工程(b)における熱処理は、熱伝導性樹脂シート部材を所定の時間、所定の温度条件に付して、例えば所定温度の雰囲気内に配置して、そのゲルタイムを所定の範囲内のものとなるようにする処理である。一般的には所定の温度が高い程、所定の時間が短くなる。工程(b)では熱硬化性樹脂の硬化が部分的に進行して所定のゲルタイムとなる。通常、熱処理は80〜140℃、好ましくは85〜130℃、より好ましくは90〜125℃で実施する。熱処理の所定の温度および所定の時間は、使用する熱硬化性樹脂に応じて種々の温度および時間で熱処理を実施して得られる熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムを測定することにより、所定のゲルタイムをもたらす所定の時間および所定の温度を当業者であれば適宜選択できる、即ち、トライ・アンド・エラー法によって選択できる。所定のゲルタイムは、上述のように、155℃にて20〜120秒であるのが一般的に好ましい。工程(b)にて所定時間加熱後、熱伝導性樹脂シート部材を硬化が実質的に進まない温度まで冷却し(例えば80℃以下、好ましくは50℃以下、例えば室温まで冷却し)、その後、必要に応じて保存した後、工程(c)を実施する。
【0039】
本発明のリードフレームの製造方法において、工程(c)では、所定のゲルタイムを有する熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームを、熱伝導性樹脂シート部材の熱硬化性樹脂の硬化が実質的に進行しない条件で加圧し(即ち、相互に向かってこれらを押圧し)、熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとを一体化する。この加圧に際して、熱伝導性樹脂シート部材は通常それほど高温ではなく(例えば室温であり)、十分な接着性を有さない場合には、熱伝導性シート部材を加熱することにより接着性を付与して、あるいは熱伝導性シート部材上にリードフレームを配置した状態でこれらを加熱することにより接着性を付与して、リードフレームを一体化する。他方、加圧に際して、熱伝導性樹脂シート部材が一体化に十分な接着性(または粘着性)を既に有する場合、例えば工程(b)の直後のために熱伝導性樹脂シート部材が比較的高温である場合、加熱の必要はない。尚、工程(c)においては、熱硬化性樹脂の硬化が進行しないように留意する必要がある。硬化が進行しているか否かは、工程(c)の後の熱硬化性樹脂シート部材のゲルタイムを測定して工程(b)にて調整したゲルタイムと比較すれば容易に判断できる。もし、硬化が進行していると判断される場合には、工程(c)を実施する温度を下げればよい。本発明のリードフレームの製造方法において、この工程(c)では、一般的に30〜90℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃の温度、例えば65℃で、一般的に1〜20MPa、好ましくは3〜15MPa、より好ましくは6〜12MPa、例えば10MPaの圧力で、一般的に10〜200秒間、好ましくは30〜100秒間、より好ましくは40〜80秒間、例えば60秒間押圧する。
【0040】
リードフレームは、上述のように、少なくとも1つの貫通開口部を有し、熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームの露出表面まで充填するように工程(c)を実施するのが好ましい。従って、リードフレームの露出表面と貫通開口部を充填する熱伝導性樹脂シート部材の部分は実質的に面一の表面(即ち、単一の表面)を形成する。
【0041】
1つの好ましい態様において、上述の本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法において、工程(b)と工程(c)との間に、熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に形成する工程を含むことが望ましい。この所定の形状は、最終的に得られる熱伝導性基板の用途に応じて当業者が適切に選択できる。具体的には、得られた熱伝導性樹脂シート部材を切断して所定の形状とできる。別法では、所定の形状に対応する形状を有する型を用いて、熱伝導性樹脂シート部材から所定の形状を有するものを打ち抜いてもよい。このように所定の形状とすることにより、形成される熱伝導性樹脂シート部材の重量を制御することができる。
【0042】
上述の好ましい態様において、熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に形成する工程は、熱伝導性樹脂シート部材を一組のプレートで挟み、これらのプレートを相互に近づけ、これらの間が所定の距離となるように熱伝導性樹脂シート部材を加圧してプレート間距離に対応して所定の厚さを有する熱伝導性樹脂シート部材を得、その後、所定の形状に加工する。このように加工すると、熱伝導性樹脂シート部材の厚さが均一となり、熱伝導性樹脂シート部材の単位面積あたりの量(体積または重量)が一定となる。その結果、そのような熱伝導性シート部材を所定の形状となるように加工することによって、例えば切断することによって、加工後の熱伝導性樹脂シート部材の1枚当りのそれを構成する熱伝導性樹脂混合物(即ち、熱硬化性樹脂組成物と無機質フィラーの混合物)の量を制御できる。その結果、次の工程でリードフレームと一体化する熱伝導性シート部材の体積を一定にすることができる。
【0043】
別の好ましい態様では、上述の本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法は、工程(c)の後に、熱伝導性樹脂シート部材と一体化したリードフレームの一部分を除去する。リードフレームの削除する一部分は、工程(c)の後においては熱伝導性樹脂シート部材と一体化している部分であるのが好ましく、そのような一部分を削除することによって、熱伝導性樹脂シート部材と一体化しているリードフレームの一部分をその他の部分から電気的に独立した配線パターンまたは端子とすることができる。この場合、電気的に独立した配線パターンまたは端子は熱伝導性樹脂シート部材により保持されているので、電気的に独立して存在する配線パターンまたは端子が脱落することなく、残りの他の部分をリードフレームとして有する、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを形成することが可能となる。
【0044】
1つの態様では、上述の第2の要旨の本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法は、工程(c)において、2枚のプレート間に熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとを挟み、所定のプレート間距離となるようにプレートを相互に近づけることによって熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームを相互に向かって押圧して、リードフレームと一体化した所定厚さの熱伝導性樹脂シート部材を得、(d)その後、リードフレームと一体化した熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に加工する工程を更に含む。この態様では、熱伝導性樹脂シート部材の厚さの調整およびリードフレームとの一体化を同時に実施することができる点で効率的である。
【0045】
上述のような熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法により製造されるリードフレームは、金属放熱板と組み合わせて熱伝導性基板の製造に使用することができる。従って、本発明は、第3の要旨において、
熱伝導性樹脂シート部材、リードフレームおよび金属放熱板を有して成る熱伝導性基板の製造方法であって、
(1)リードフレームと金属放熱板とが熱伝導性樹脂シート部材を介して対向するように、本発明の第2の要旨のリードフレームの製造方法により製造される熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームに金属放熱板を配置する工程、
(2)熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームおよび金属放熱板を、相互に向かって押圧することなく、熱硬化性樹脂の硬化が進行する温度以上の温度で所定の時間熱処理する工程、および
(3)その後、熱処理を継続しながら、所定の圧力でリードフレームと金属放熱板を相互に向って押圧し、熱硬化性樹脂の硬化を更に進行させるとともに、金属放熱板と熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを一体化する工程
を含む熱伝導性基板の製造方法を提供する。
【0046】
この熱伝導性基板の製造方法において、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造に際して、工程(a)にて熱伝導性シート部材を複数、好ましくは多数予め製造しておき、工程(b)にてこれらを一緒に熱処理してゲルタイムを調整しておくと、全てのリードフレームについてその熱伝導性樹脂シート部材に含まれる熱硬化性樹脂の硬化が既に進んでいるので、熱伝導性基板を製造するに際して硬化させるのに必要な時間、従って、工程(1)〜(3)に要する時間を短縮できる。また、リードフレームと熱伝導性樹脂シート部材との一体化は、上述のよう樹脂バリおよび汚れの発生を抑制して既に実施されているので、熱伝導性基板の製造に際して用いるリードフレーム上での樹脂バリおよび汚れの存在は抑制されている。そのような熱伝導性樹脂シート部材と一体化されたリードフレームと金属放熱板とを一体化するので、最終的に得られる熱伝導性基板のリードフレームの露出表面上に存在する樹脂バリおよび汚れを抑制できる。特に、金属放熱板との一体化の初期段階において、熱伝導性シート部材と一体化されたリードフレームに金属板を重ねて加熱のみを実施して熱硬化性樹脂の硬化を予め進行させた後、これらを相互に押圧する場合には、即ち、工程(2)を実施して、その後、工程(3)を実施する場合には、リードフレームおよび金属放熱板の露出表面における樹脂バリおよび汚れの存在を一層抑制できる。
【0047】
本発明の熱伝導性基板の製造方法において、工程(1)では、上述の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法により製造されるリードフレームの熱伝導性樹脂シート部材の上に金属放熱板を配置して、リードフレームと金属放熱板を相互に対向させる。使用する金属放熱板としては、熱伝導率が高い平坦なプレートであればよい。例えばアルミニウム板、銅板等を使用できる。また、リードフレームと同様に、放熱板の熱伝導性樹脂シート部材との接着面を粗面化することが好ましく、リードフレームと同様の方法で粗面化を行うことができる。更に、同等の機能を有するのであれば、金属製でない放熱板を使用することもできる。また、リードフレームとして、接着面と反対側の主表面が平坦でない形態のもの(例えば表面が波形状のもの、表面がフィンを有するもの)を使用でき、これらは、いわゆるヒートシンクとして用いられる部材であってもよい。
【0048】
本発明の熱伝導性基板の製造方法において、工程(2)では、熱伝導性樹脂シート部材上に金属放熱板を重ねた状態で、あるいは、金属放熱板上に熱伝導性シート部材を重ねた状態で、熱硬化性樹脂の硬化が進行する温度で所定時間熱処理する。尚、本明細書中、「熱処理」とは、所定時間、所定温度に対象物を維持する、必要な場合にはそのような温度を維持するように加熱する(この意味において、熱処理を加熱(処理)とも呼ぶ)ことを意味する。通常、所定温度の雰囲気内に対象物を存在させる時間およびその温度が、熱処理の所定時間および所定温度に対応する。この熱処理に際しては、金属放熱板とリードフレームとを相互に向かって積極的に押圧することは行わない。このことは、不可避的に作用する圧力までも排除する意味ではなく、例えば金属放熱板、リードフレーム、熱伝導性樹脂シート部材等の自重によって生じる圧力を排除するものではない。硬化が進行する温度は、ゲルタイムを調整する時の温度と同じまたはそれより高い温度であればよい。通常、使用する熱硬化性樹脂についてその製造者から硬化を実施するのに推奨される温度、またはそれ以上の温度であってよい。一般的には、熱硬化性樹脂の硬化温度より高いのが特に好ましく、この硬化温度は、通常、熱硬化性樹脂を熱分析した時に得られるピーク温度であると理解される。工程(2)を一般的には100〜230℃、好ましくは140〜180℃の温度にて実施するのが好ましい。また、所定の熱処理時間は、一般的には1分以内、好ましくは30秒以内、例えば15秒程度である。
【0049】
明らかなように、所定の熱処理時間および硬化が進行する温度(従って、熱処理温度)は、使用する熱硬化性樹脂に応じて適切に選択できるが、硬化が過度に進行して熱伝導性樹脂シート部材の接着力が急激に低下して、次の工程(3)を実施した後で得られる熱伝導性基材の一体性が不十分とならないように、また、硬化がそれほど進行せずに熱伝導性樹脂シート部材の粘度が比較的小さく、次の工程(3)を実施した後で得られる熱伝導性基材の金属放熱板およびリードフレームの露出表面に樹脂バリ、汚れ等が過度に生じないように選択する必要がある。そのような熱処理温度および熱処理時間は、例えば、先の所定のゲルタイムをもたらす所定の時間および所定の温度を選択する場合と同様にして、トライ・アンド・エラー法によって選択できる。
【0050】
本発明の熱伝導性基板の製造方法において、工程(3)では、工程(2)の後、熱処理を継続し、硬化が継続する温度(これは、必要に応じて工程(2)より高いまたは低い温度であってよい)で、金属放熱板とリードフレームとを相互に向かって押圧する、即ち、積極的に押圧する。この工程では、熱硬化性樹脂の硬化が更に進行し、熱硬化性樹脂はいわゆるリジッドな状態となる。この状態は、熱伝導性基板として使用できる限り、完全に硬化している必要はない。工程(3)では、一般的に100〜230℃、好ましくは120〜200℃、より好ましくは130〜180℃の温度、例えば140℃で、一般的に1〜20MPa、好ましくは4〜19MPa、より好ましくは6〜18MPa、例えば14MPaの圧力で、一般的に1〜120分間、好ましくは5〜60分間、より好ましくは8〜30分間、例えば10分間押圧する。
【0051】
従って、本発明の熱伝導性基板の製造方法において、工程(3)が終了した後、硬化が完全に終了していない場合には、必要に応じて、得られた熱伝導性基板を追加的に熱処理し(即ち、加熱下に置き)、熱硬化性樹脂を十分に硬化させることが好ましい。この追加的な熱処理は、当然ながら、硬化が更に進む温度で実施する必要があり、処理温度および処理時間は、目的とする硬化の程度に応じて選択できる。このような追加的な熱処理は、一般的に100〜230℃、好ましくは120〜200℃、より好ましくは150〜180℃の温度、例えば175℃で、一般的に1〜10時間、好ましくは2〜9時間、より好ましくは3〜7時間、例えば6時間実施する。必要な場合、一般的に1〜20MPa、好ましくは3〜19MPa、より好ましくは4〜18MPa、例えば6MPaの圧力で押圧してもよい。
【0052】
本発明は、第4の要旨において、熱伝導性樹脂組成物、リードフレームおよび金属放熱板からなる熱伝導性基板の別の製造方法であって、
(A)少なくとも熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物と、無機質フィラーとを含んで成る材料から、熱伝導性樹脂シート部材を得る工程、
(B)熱伝導性樹脂シート部材を熱処理して所望のゲルタイムを有するようにする工程、
(C)熱伝導性樹脂シート部材上に金属放熱板を配置し、熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度でこれらを相互に向かって押圧してこれらを一体化する工程、
(D)リードフレームと金属放熱板が熱伝導性樹脂シート部材を介して対向するように、金属放熱板と一体化した熱伝導性樹脂シート部材にリードフレームを配置する工程、
(E)金属放熱板と一体化した熱伝導性樹脂シート部材およびリードフレームを時間熱硬化性樹脂の硬化が進行する温度以上の温度で熱処理すると共に、所定の圧力でリードフレームと金属放熱板を相互に向かって押圧してこれらを一体化し、また、熱硬化性樹脂の硬化を進行させる工程
を含んで成る熱伝導性基板の製造方法を提供する。
【0053】
この熱伝導性基板の製造方法において、工程(A)および(B)には、熱伝導性樹脂シート部材を得る工程(上述の工程(a))およびゲルタイムを調整する工程(上述の工程(b))に関して先に説明した説明が当て嵌まる。また、先と同様に、本発明の第1〜第3の要旨に関連して説明した詳細は、第4の要旨についても、特別な不都合が生じない限り、当て嵌まる。
【0054】
この別の熱伝導性基板の製造方法において、工程(C)では、熱伝導性樹脂シート部材に金属放熱板を重ね、熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度で熱処理してまた加圧してこれらを一体化する。この工程には、熱伝導性樹脂シート部材にリードフレームを重ねて配置してこれらを一体化する工程(上述の工程(c))に関する、先の説明が当て嵌まる。尚、ここで、「熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度」とは、リードフレームと熱伝導性樹脂シート部材を一体化させる場合に関して先に説明した温度と同じである。
【0055】
この別の熱伝導性基板の製造方法において、工程(D)では、先に説明した工程(1)と同様に、リードフレームと金属放熱板とが対向するように配置する。また、工程(E)は、先に説明した工程(3)と同様であり(従って、それに関する説明が当て嵌まる)、リードフレームと金属放熱板とを相互に向かって押圧しながら熱処理して熱硬化性樹脂を硬化させる。尚、この別の熱伝導性基板の製造方法においては、押圧することなく、加熱する工程(上述の工程(2)に相当)は必須ではないが、そのような工程を実施してもよい。先と同様に、得られる伝導基板において熱硬化性樹脂の硬化が完了しておらず、更に硬化させることが望ましい場合には、追加的に熱処理して充分な硬化度を達成することができる。
【0056】
本発明は、無機質フィラーと、まだ硬化が進行していない状態の熱硬化性樹脂を少なくとも含んで成る熱硬化性樹脂組成物とを含む熱硬化性樹脂混合物をシート状に加工し、その後、ゲルタイムを調節することにより得られた熱伝導性樹脂シート部材が、半硬化又は部分硬化状態でリードフレームと一体化されており、好ましくは熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームの表面まで充填されてなる熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを基本とする。
【0057】
そのような本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームは、放熱性に優れた熱伝導性基板を製造する場合に用いられ、金属放熱板と共に加熱加圧することによって熱硬化性樹脂が無機質フィラーを高濃度で含有した状態で硬化すると共に、リードフレーム、熱伝導性樹脂シート部材および金属放熱板が一体化され、熱伝導性基板が簡便に得られるものである。また、熱伝導性樹脂シート部材をリードフレームと一体化することによって、結果的に熱伝導性樹脂シート部材が補強され、取り扱い性が優れたものとなる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームおよびその製造方法、およびそれを用いた熱伝導性基板の製造方法を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0059】
(実施の形態1)
図1は本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの構成を模式的に示す断面図である。図1において、熱伝導性樹脂シート部材101は、リードフレーム102と一体化され、熱伝導性樹脂シート部材101の貫通開口部103を充填してリードフレームの露出表面(図示した態様では上側の表面)まで達して、熱伝導性樹脂シート部材101とリードフレーム102が一緒に単一の表面(即ち、上側の面一の表面)を形成している。尚、熱伝導性樹脂シート101は、例えば無機質フィラー70〜95重量部と熱硬化性樹脂を少なくとも含む樹脂組成物5〜30重量部を含んだ混合物から形成され、半硬化もしくは部分硬化状態である。
【0060】
(実施の形態2)
図2(a)〜(c)は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法の1つの形態を工程毎に断面図にて模式的に示す。使用する材料は、特に説明しない限り、先の説明(実施の形態1の説明を含む)で述べたものと同様である。
【0061】
図2(a)は、熱硬化性樹脂混合物から得られる熱伝導性樹脂シート部材201を示し、これは、以下に説明するように所定のゲルタイムを有するように調整されている。
【0062】
熱伝導性樹脂シート部材201は、熱硬化性樹脂混合物を膜状またはシート状に基材(離型フィルムであってよい)上に塗布して、その後、乾燥により溶剤を除去して膜中には殆ど残留しないようにすることにより形成される。このように熱伝導性樹脂シート部材201を形成するに際しては、含まれている熱硬化性樹脂の硬化が進行しないようにするのが好ましく、その結果、この時点では、熱伝導性樹脂シート部材201は長期なゲルタイムを保持した状態にあり、従って、熱伝導性樹脂シート部材201を長期間安定に保存できる。
【0063】
次に、上述のようにして得られた熱伝導性樹脂シート部材201を熱処理して所定のゲルタイムに調整し、熱処理後、硬化が実質的に進行しない温度に冷却する。この熱処理は、熱伝導性樹脂シート部材201を所定の時間、所定温度にて保持すること(必要に応じて、そのために加熱してよい)により実施でき、そのために例えば乾燥炉等を用いてよい。この熱処理では、後でリードフレームと一体化する熱伝導性樹脂シート部材を複数、好ましくは多数予め処理できるので効率的であり、また、リードフレームとの一体化に際して樹脂バリおよび汚れの発生を抑制することが可能となる。また、この熱処理では、熱伝導性樹脂シート部材の上述の形成または造膜時に粘度調整のために添加した溶剤の残留分、ならびに保存時および取り扱い時における吸湿による水分をも除去することができ、また、熱伝導性樹脂シート部材のタック性が低減して取り扱い性が向上する。熱処理は、熱伝導性樹脂シート中の熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度で行われることが望ましく、更に、熱伝導性樹脂シート部材中のボイドを減らすために、この熱処理を真空または減圧下で行ってもよい。
【0064】
図2(b)ではリードフレーム202を、所定のゲルタイムを有する熱伝導性樹脂シート部材201の上方に配置する。それらを熱伝導性樹脂シート部材に含まれる熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度で(そのために必要に応じて加熱してよい)加圧し、図2(c)に示すように、熱伝導性樹脂シート部材201がリードフレーム202の表面まで充填してこれらが一体化するようにすることによって本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームが得られる。尚、この場合、加熱に際しては、リードフレーム202と熱伝導性樹脂シート部材201とが接触していない状態で実施しても、あるいは接触している状態で実施してもよい。また、加圧は、加熱と同時に実施しても、あるいは加熱後に加圧しても、あるいは加圧後に加熱してもよい。
【0065】
尚、この実施の形態において、熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムを調整する熱処理工程の後に、熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に加工することが望ましい。尚、「所定の形状に形成する」とは、熱伝導性樹脂シート部材のディメンション(または寸法、シート部材の厚さを含む)を予め決めたものに近づける、好ましくは実質的に同じものにすることを意味する。これによって、形成後の熱伝導性樹脂シート部材の重量を制御することができる、即ち、所定の重量(または体積)を有する熱伝導性シート部材を得ることができる。
【0066】
図3(a)〜(d)および図4(a)〜(d)に熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に形成する手順を模式的に示す。尚、これらの図面おいて、左側の図は断面図であり、右側の図は上面図である。
【0067】
図3(a)において、図2を参照して説明した熱処理によってゲルタイムの調整された熱伝導性樹脂シート部材301を示す。図3(b)に示すように所定の距離(L)まで相互に近づけることができるように厚さLのスペーサー305が間に配置された一組のプレート302間に、熱伝導性樹脂シート部材301を挟みこみ、その後、プレート302を所定の距離まで近づけて、熱伝導性樹脂シート部材301を押圧する。押圧後、プレート間から取り出した熱伝導性樹脂シート部材303を図3(c)に示す。この熱伝導性樹脂シート部材303は、スペーサーの厚さLに対応する一定厚さを有する。その後、所定の形状に応じて、熱伝導性樹脂シート部材303を加工(例えば切断)して、図3(d)に示すような所定の形状を有する熱伝導性樹脂シート部材304が得られる。この熱伝導性樹脂シート部材304は、一定の厚さを有するので熱伝導性樹脂シート部材304の単位面積あたりの量が一定となり、即ち、制御され、また、所定の形状を有するので、熱伝導性樹脂シート部材304の全体としての量も一定となり、即ち、制御されている。
【0068】
この場合に使用できる一組のプレート302としては、上述の操作において実質的に変形しないように材料および形状が選択されている限り、特に限定されない。例えば、一定厚みのギャップを設けた一組の平板、所定の大きさの開口部とポンチを組み合わせた金型をプレート302として使用できる。特に金型を用いた打ち抜きであることが好ましい。それは、短時間で精度良く所定の形状に加工することができるからである。これらに用いる材料としては、例えば珪素鋼、ステンレス鋼等をが使用できる。
【0069】
上述のような所定の形状に形成する場合、熱伝導性樹脂シート部材に含まれる熱硬化性樹脂の硬化が実質的に進行しない温度条件下で実施するのが好ましい。そのような条件は、熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとを一体化する場合の条件と実質的に同じであってよい。
【0070】
より具体的には、熱伝導性樹脂シート部材を一組のプレート間で挟んで押圧するときの温度、例えばプレートおよび/または熱伝導性樹脂シート部材の温度、あるいは押圧を実施する雰囲気の温度が熱伝導性樹脂シート部材中の熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度で、押圧を実施するのが好ましいが、場合により、多少硬化が進むとしても硬化が進行しない温度より高い温度で実施してもよい。より高い温度で実施することにより熱伝導性樹脂シート部材の粘度が低下し、その結果、量の制御が容易になるからである。上述のように所定の形状に形成する温度は熱伝導性樹脂シート部材の到達する粘度によって決定すればよいが、概ね50〜90℃の範囲にあることが好ましい。この範囲より高い温度では熱伝導性樹脂シート部材のタック性が現れ易くなり、また、熱硬化性樹脂の硬化が進行し過ぎることになり易い。
【0071】
尚、押圧時の圧力は、所定の厚さを有する熱伝導性樹脂シート部材を得ることができる限り、特に限定されるものではない。一般的に2MPa〜20MPaであり、この範囲より低いと、加圧力不足で熱伝導性樹脂シート部材を一定厚みに制御することが困難になることがあり、逆に、この範囲より高いと、プレートの強度、押圧装置の耐久性を高く保つ必要があり、実用上不利である。好ましくは6MPa〜15MPa、例えば10MPaの圧力で、一般的に10秒〜100秒、好ましくは20秒〜60秒、例えば30秒押圧すればよい。
【0072】
尚、所定形状の熱伝導性樹脂シート部材を得るに際して、熱伝導性樹脂シート部材の粘度は20000Pa・s以下であることが好ましく、1000〜20000Pa・sであることがより好ましい。粘度が20000Pa・sを越える場合、熱伝導性樹脂シート部材が堅くなって加圧時にシート厚みを制御することが困難になる場合がある。即ち、高粘度のためシート部材の形状変化が起こりにくく、押圧の圧力が低い場合には所定のシート厚みが得られず、また、所定のシート部材厚みを得るために押圧力を高くするとシート部材自体の破損などが発生する恐れがあるからである。また、熱伝導性樹脂シート部材の粘度が押圧時に低すぎる場合には、シート部材自体の形状保持が容易ではない。
【0073】
また、厚みを制御された熱伝導性樹脂シート部材を所定形状に加工する場合、例えば上述のように打ち抜きを実施する場合、先と同様に、熱伝導性樹脂シート部材中の熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度、例えば、40〜90℃に加熱することが好ましい。加熱することで熱伝導性樹脂シート部材の粘度が低下するため、打ち抜きが容易になり、その結果、打ち抜き時の熱伝導性樹脂シート部材の割れや欠けを防ぐことができるからである。この範囲より高い温度では熱伝導性樹脂シート部材のタック性が現れや易く、打ち抜き加工がかえって困難になるからである。
【0074】
図4(a)〜(d)は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造に用いる熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に形成するもう1つの方法を工程別に模式的に示す。図3においては、1枚の熱伝導性シート部材を所定の形状に形成したが、図4においては、複数の熱伝導性シート部材401を重ねて合わせた後、押圧することにより、全体として所定の厚さを有する一体となった単一の熱伝導性樹脂シート部材403を得、その後、先と同様にして、所定の形状を有する熱伝導性樹脂シート部材404に加工している点で異なる。
【0075】
図4に示す態様では、熱伝導性樹脂シート部材401の厚さが比較的小さい場合であっても、複数枚数重ねて一体とすることによって、厚い熱伝導性樹脂シート403を得ることができる。これにより、複数枚のシートを積層しなければ得られにくいような厚みの大きな熱伝導性樹脂シート部材に関しても、一度押圧するだけで、熱伝導性樹脂シート部材の厚さおよび量を制御することができるので簡便である。
【0076】
尚、図4の形態において、複数の熱伝導性樹脂シート部材401を重ね合わせる時、各熱伝導性樹脂シート部材401の表(おもて)面と裏面の向きを統一して重ね合わせる(即ち、各熱伝導性樹脂シート部材について、例えば裏面を下側となるように、あるいはその逆となるように配置する)ことが好ましい。尚、各熱伝導性樹脂シート部材の表(おもて)面とは、熱硬化性樹脂混合物を用いて基材上に造膜する場合の露出面であり、裏面とは基材に接する面である。このように重ねることによって、熱伝導性樹脂シート部材の表面と裏面の間で発生する可能性のある微妙な組成の違い、残留溶剤量の違いを実質的に平均化することができ、また、得られる一体となった各熱伝導性樹脂シート部材403の表面と裏面との区別を容易にすることができる。
【0077】
上述の各実施の形態において、熱伝導性樹脂シート部材を一組のプレートで挟んで加圧(または押圧)する際に、熱伝導性樹脂シート部材の上下の主表面、あるいは熱伝導性樹脂シート部材を複数重ねる場合には最上表面および最下表面に離型フィルムが配置されていることが好ましい。離型フィルムは、厚みを制御した熱伝導性樹脂シート部材がプレートに接着することを防ぎ、プレート間から厚みを制御した熱伝導性樹脂シート部材を取り出すことが容易になるからである。このときの離型フィルムとしては、熱伝導性樹脂シート部材を造膜する際に使用できる離型フィルムと同様のものを使用できる。
【0078】
(実施の形態3)
図5(a)〜(d)は本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの他の製造方法を工程別に模式的に示す断面図である。使用する材料および条件に関しては、特に断りの無い限り、先に説明した詳細を適用できる。
【0079】
図5(a)に示す、ゲルタイムを調整した複数の熱伝導性樹脂シート部材501を、図5(b)に示すようにリードフレーム502上で重ね合わせ、所定の距離となるまで近づけることができる一組のプレート503の間に配置し、その後、熱伝導性樹脂シート部材501中の熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度でプレート間を所定の距離まで近づけることにより、熱伝導性樹脂シート部材501とリードフレーム502を押圧する。
【0080】
このようにすると、図5(c)に示すようなリードフレーム502と一体になった熱伝導性樹脂シート部材501が得られる。尚、図示するように、複数の熱伝導性樹脂シート部材も一体となっており、図5(c)および図5(d)ではその状態で図示している。尚、熱伝導性樹脂シート部材の中の熱硬化性樹脂は、実質的に硬化が進行していないので、調整されたゲルタイムは実質的に変化していない。
【0081】
この態様では、熱伝導性樹脂シート部材は、リードフレームの貫通開口部を充填すると共に、リードフレームと接着され、また、リードフレームと熱伝導性樹脂シート部材との一体化物の厚みが同時に制御され、実質的に所定の厚さとなる。但し、図示するように、リードフレームの外周部、熱伝導性樹脂シート部材の縁部については、厚さの制御の対象外である。その後、図5(d)に示すように熱伝導性樹脂シート501のみを所定の形状に加工することにより、熱伝導性樹脂シート部材の量が制御された熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを得ることができる。
【0082】
本実施の形態では、複数枚の熱伝導性樹脂シート部材を重ね合わせてリードフレームと接着すると共に、同時に厚み制御を行ったが、熱伝導性樹脂シート部材は1枚であっても良く、その場合においても同様の工程で熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームが得られる。
【0083】
(実施の形態4)
図6(a)〜(d)は本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法の別の実施の形態を模式的に示す上面図および断面図である。使用する材料および条件は、特に断りの無い限り、先に説明した詳細を適用できる。尚、図6(b)〜(d)の上面図は、図6(a)に示す熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの破線で囲まれた領域の取り得る一形態を示す。
【0084】
図6(a)は、先に説明した方法のいずれかによって製造された熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームであり、熱硬化性樹脂が半硬化状態にある熱伝導性樹脂シート部材601がリードフレーム602の表面まで充填してこれと一体化されている。図示したリードフレーム602では、外枠部610が最外共通端子として機能でき、リードフレーム内の各配線パターンまたはそれに付属する端子は、外枠部610につながる共通端子612を介して最終的に最外共通端子に接続されている。
【0085】
この外枠部610は、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを後で金属放熱板と一体化した後に、外枠部610につながるリードフレームの外周部の共通端子612の一部分と共に切除され、残留する外向きに突出するリードフレームの外周部の共通端子612が熱伝導性基板の外部取り出し電極となる。図示するように、リードフレームにおいて全ての配線パターンが共通端子612を介して外枠部610に電気的に相互に接続されている(従って、機械的にもつながっている)ので、リードフレームの外枠部610および各共通端子の一部分を除いて残りのリードフレームの部分が熱伝導性樹脂シート部材と一体化されていることによって、リードフレームのいずれの端子または配線パターンについても脱落を防ぐことができ、リードフレームのハンドリング性が向上できる。尚、図6(a)において、リードフレームの各共通端子612は外枠部610に接続されているが、これは本発明を限定するものではなく、リードフレームは別の形態であってもよい。
【0086】
図6では、熱伝導性樹脂シート部材601の一方の主表面の実質的に全体の上にわたってリードフレーム602が接着しているが、熱伝導性樹脂シート部材の一方の主表面の全体にわたってリードフレームが存在することは必ずしも必要ではない。従って、別の態様では、熱伝導性樹脂シート部材の片面の一部分上にリードフレームが存在してよい。
【0087】
本発明の熱伝導性樹脂シート部材と一体化されたリードフレームの更に別の態様では、熱伝導性樹脂シート部材と一体化されたリードフレームから電気的に独立した配線パターンまたは端子が、リードフレームが存在する側と同じ側で熱伝導性シート部材と一体化されていてよい。図6(b)〜(d)は、図6(a)の破線で囲まれた領域の拡大図である。本発明の熱伝導性樹脂シート部材と一体化されたリードフレームは、図6(d)に示すように、リードフレームのいずれの配線パターンとも電気的に接続されていない配線パターンまたは端子600を有してよい。このように独立して存在する配線パターン600は、他の配線パターンから電気的に分離されてあたかも孤島状であるにもかかわらず、熱伝導性樹脂シート部材601によって保持されているので脱落することはなく、ハンドリング性が向上する。
【0088】
上述のような孤島状の配線パターン(または端子)は、元はリードフレームの一部分であってよく、熱伝導性樹脂シート部材と一体化されたリードフレームを加工することによって形成することができる。具体的には、熱伝導性樹脂シート部材と一体化されたリードフレームの一部分を除去して目的とする配線パターン600が孤島状に残るようにする。この除去は、例えば、図6(b)のように、パンチ加工機のピン604とダイ605を用いて、目的とする配線パターン600に隣接するリードフレームの一部分606を、その直下の熱伝導性樹脂シート部材の一部分と一緒に打ち抜いて、図6(c)のように貫通する穴603を形成することにより実施してよい。ここで、打ち抜き加工をパンチングマシンによる打ち抜き加工としたが、これに特に限定されないのはもちろんであり、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの厚みや所望の穴径に応じて適宜他の方法を選択すればよい。例えば、金型による打ち抜き加工法、ドリルによる加工法等も利用できる。これらは簡便で高い位置精度で穴加工できる点で好ましい。
【0089】
尚、このようにリードフレームを加工する工程は、他の態様においても実施でき、例えば図2(c)に示した工程の後に、リードフレームの一部を除去することによって実施してよい。また、リードフレームの一部分のみ機械的に切除する、エッチングにより除去する方法等による場合は、熱伝導性樹脂シート部材の一部分を除去する必要はない。
【0090】
図6に示す態様では、図6(c)に示すように穴603を形成した後、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを半硬化状態の熱硬化性樹脂の硬化が進行しない条件で加熱加圧することにより、図6(d)に示すように、貫通穴603をその周囲の熱伝導性樹脂シート部材により充填することができる。このようにして、図6(d)に示すような、リードフレームと一体化されていながらも、それから電気的に独立して存在する配線パターンまたは端子を更に有する熱伝導性樹脂シート部材が得られる。上述の説明では、貫通穴を半硬化状態の熱伝導性樹脂シートで埋めるために、加圧により貫通穴の周囲の熱伝導性樹脂シート部材部分を流動させて充填したが、充填方法は、これに特に限定されないのはもちろんである。例えば、所望の量の未硬化または半硬化状態の熱伝導性樹脂シート部材、好ましくはその小片を別に供給し、硬化しない条件で加熱加圧する充填方法も利用できる。
【0091】
(実施の形態5)
図7(a)〜(c)は、本発明の熱伝導性基板の製造方法を工程別に模式的に示す断面図である。使用する材料および条件に関しては、特に断りの無い限り、先に説明した詳細を適用できる。
【0092】
図7(a)は、例えば上述の実施の形態2または実施の形態3と同様の工程により得られる本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム700を示す。半硬化状態の熱伝導性樹脂シート部材701がリードフレーム702の開口部をの表面まで充填し、これと一体化されている。但し、図3および図4を参照して説明したように、また、実施の形態3に関連して説明したように、熱伝導性樹脂シート部材の厚さ、従って、単位面積あたりの量が制御されている(従って、所定厚さとなっている)ことが好ましい。より好ましくは、熱伝導性樹脂シート部材1枚当りの体積が所定量である。また、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム700は、上述の実施の形態4において図6(a)〜(d)を参照して説明した構成をとることも可能である。
【0093】
図7(b)に示すように、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム700のリードフレーム702が位置する面と反対側の面に金属放熱板703を位置合わせして重ねる。その結果、リードフレーム702と金属放熱板703は、熱伝導性樹脂シート部材701を介して対向する。次に、これらを熱処理しながら加圧して熱伝導性樹脂シート部材の熱硬化性樹脂を硬化させることによって、図7(c)に示すように、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム700に金属放熱板703が接着して一体化した熱伝導性基板が得られる。
【0094】
上述のように加熱加圧することは、金属放熱板703を重ねた熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム700を相互に押圧しないで所定の時間、熱硬化性樹脂の硬化が進行する温度以上の温度、好ましくは硬化温度以上の温度に熱処理する工程と、その後、その温度のままで、または異なる温度で(必要に応じてより高い温度まで加熱し、あるいはより低い温度まで冷却し)所定の圧力で加圧して熱硬化性樹脂を一層硬化させる工程、即ち、押圧下で熱処理を継続する工程とに分けて行うことが好ましい。尚、本発明において、金属放熱板との一体化に先立って、熱伝導性樹脂シート部材をリードフレームのみと先に一体化していることは、金属放熱板を熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームに重ねて加熱加圧して熱伝導性基板を製造する方法において、熱硬化性樹脂混合物のリードフレーム表面への回り込みを抑制し、その結果、樹脂バリの発生、表面汚れの抑制の効果をもたらす。
【0095】
また、金属放熱板を重ねた熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを押圧しないで所定の時間、熱硬化性樹脂が硬化を開始する温度域以上の温度で加温する工程においても、押圧前に熱伝導性樹脂シート部材の硬化反応の進行度を適切に調整することにより、その後の押圧時の熱硬化性樹脂混合物のリードフレーム表面への過剰な流れ性を抑制し、表面汚れを防止する効果がもたらされる。
【0096】
熱伝導性基材を製造する場合に熱処理する温度は、使用する熱硬化性樹脂によって適宜選択すればよいが、一般的に100〜230℃である。これより低いと硬化が不充分になることがあり、また、これより高いと樹脂の分解が始まる恐れがあるからである。好ましい温度は130〜180℃、例えば140℃である。また、押圧するときの圧力は特に限定されないが、特に1〜20MPaの範囲、例えば14MPaであることが好ましい。これより低いと圧力不足になり、熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームまたは金属放熱板との接着力の低下、剥離が起き易くなる。また、圧力が高すぎると基板が破損する恐れが大きくなる。押圧を実施を伴わない熱処理工程では、熱処理時間は一般的に1〜60秒、好ましくは5〜30秒、より好ましくは10〜20秒、例えば15秒である。また、押圧を実施を伴う熱処理工程では、熱処理時間は、一般的に1〜120分、好ましくは5〜60分、より好ましくは8〜30分である。
【0097】
尚、上述の製造方法によって得られる熱伝導性基板の熱硬化性樹脂の硬化の程度は、熱伝導性基板の用途によっては必ずしも十分ではない場合がある。そのような場合、上述の方法により得られた熱伝導性基板を更に熱処理することによって、硬化を促進して実質的に完全に硬化させることができる。
【0098】
(実施の形態6)
図8(a)〜(e)は、本発明の熱伝導性基板の別の製造方法の工程を模式的に示す断面図である。使用する材料および条件に関しては、特に断りの無い限り、先に説明した詳細を適用できる。
【0099】
図8(a)は熱伝導性樹脂シート部材801を示し、その使用に際して、乾燥炉等を用いて熱処理を実施して所定のゲルタイムを有するように、従って、含まれる熱硬化性樹脂が半硬化状態であるように調整してある。尚、この工程の後、そのような熱伝導性樹脂シート部材801を上述のように所定の形状に加工することが好ましい。それによって、熱伝導性樹脂シート部材の厚さおよび/または重量を制御することができる。
【0100】
次に、図8(b)に示すように、金属放熱板803と熱伝導性樹脂シート801を重ね合わせ、その後、図8(c)に示すように、半硬化状態の熱伝導性樹脂シート部材を硬化が進行しない温度で加熱加圧し、熱伝導性樹脂シート部材を金属放熱板に圧着する、即ち、一体化する。この場合の温度および圧力の条件は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造に際してリードフレームと熱伝導性樹脂シート部材との一体化に用いる条件と同じであってよい。
【0101】
次に、図8(d)に示すように、金属放熱板を圧着した熱伝導性樹脂シート部材上にリードフレーム802を配置して、金属放熱板803が熱伝導性樹脂シート部材801を介してリードフレーム802と対向するように位置合わせして重ねる。
【0102】
その後、これらを、図8(e)に示すように熱処理しながら押圧して、熱伝導性樹脂シート部材801がリードフレーム802の貫通開口部を充填すると共に、リードフレームと一体化し、これらが一緒に単一の表面を形成するようにする。また、金属放熱板803は熱伝導性樹脂シート部材801と既に一体化しているが、この時の加熱加圧により一層堅固に熱伝導性樹脂シート部材801と接着し、一体化された熱伝導性基板が得られる。この場合の加熱加圧は、実施の形態5にて金属放熱板との一体化に関して説明したように、最初に押圧することなく熱処理を実施して、その後に押圧してもよいが、最初から熱処理と押圧とを実施してよい。熱処理および押圧の条件は、実施の形態5において金属放熱板との一体化に際して熱処理と押圧とを一緒に行う場合と同じであってよい。場合により、得られた熱伝導性基板を更に熱処理して熱伝導性樹脂シート部材の充分な硬化を確保してもよい。
【0103】
【実施例】
以下、実施例を参照して本発明を更に詳細に説明する。
【0104】
(実施例1)
本実施例に使用する熱伝導性樹脂シート部材を製造した。最初に、無機質フィラーおよび熱硬化性樹脂ならびに下記の他の成分を混合してスラリー状の熱硬化性樹脂混合物を調製した。熱硬化性樹脂混合物の組成を以下に示す:
【0105】
【0106】
これらの成分の他に、溶剤としてMEKを加えて混練機(松尾産業(株)製)で混合した。尚、MEKを添加することにより混合物の粘度が低下してスラリー状に加工することが可能になるが、その後の乾燥工程で蒸発除去させるため上記組成には含めていない。
【0107】
このスラリーを用いて、ドクターブレード法により、表面に離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)の離型フィルム上に造膜した。その後、90℃で60分間乾燥して、溶剤を蒸発させて半硬化状態で熱硬化性樹脂を含む厚さ1.0mmの熱伝導性樹脂シート部材(150mmx150mm)を得た。
【0108】
次に、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを製造した。厚さ0.5mmの銅板(神戸製鋼(株)製)を公知の方法でエッチングして回路パターンを形成してニッケルめっきを施したリードフレームを準備した。その後、リードフレームの片方の表面をサンドブラストで粗面化処理した(研磨粉:Al2O3、モランダムA−40(商品名)、昭和電工(株)製)。
【0109】
次に、上述の方法により得た熱伝導性樹脂シート部材を乾燥機中で100℃で熱処理した。熱処理時間を種々変えて、異なるゲルタイムを有するように調整した(実験番号a〜f)。尚、熱処理の温度は乾燥機の設定温度であり、熱処理時間は熱伝導性樹脂シート部材が乾燥機内に保持されている時間である。
【0110】
250mmx250mmのSUS304製の2枚の平板間に、中央部に160mmx160mmの貫通開口部を設けた外寸250mmx250mmの枠状のスペーサー(厚さ0.8mm)を配置し、70℃に加熱した。ゲルタイムを調整した熱伝導性樹脂シート部材を、その両側の表面に厚さ75μmのPETフィルムを載せてから、スペーサーの貫通開口部に配置して平板を相互に近づけて、3MPaの圧力で熱伝導性樹脂シート部材を1分間押圧した。その後、熱伝導性樹脂シート部材を取り出して厚みが制御された熱伝導性樹脂シート部材を得た。その後、この熱伝導性樹脂シート部材の一方の表面からPETフィルムを剥がし、70℃に加温したまま金型で100mmx100mmに打ち抜いて、単位面積あたりの量が制御された熱伝導性樹脂シート部材を得た。尚、70℃では、熱硬化性樹脂の硬化は実質的に進行しなかった。
【0111】
次に、得られた熱伝導性樹脂シート部材と上述のリードフレームを、図2(b)と同様に65℃にて10MPaの温度と圧力で60秒間加熱加圧した。これにより、熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームのパターン間隙、即ち、貫通開口部に流れ込み、リードフレームの表面まで充填して一体化した、図2(c)に示すような熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを得た。但し、その熱伝導性樹脂シート部材の他方の表面にはPETフィルムが付着している(図示せず)。
【0112】
次に、金属放熱板として厚さ1mmのアルミニウム板を用意し、その両面をリードフレームと同様にサンドブラスト処理を施した。上述のように得られた熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームから離型フィルムを剥がし、図7(b)に示すように熱伝導性樹脂シート部材に関してリードフレームとアルミニウム板が対向するように位置合わせして重ね合わせた。
【0113】
最初に、これらを加圧せずに140℃の温度で15秒間加熱し、その後、14MPaの圧力で10分間加圧した。これにより、熱伝導性樹脂シート部材中の熱硬化性樹脂が硬化してリジッドになるとともに、金属放熱板が熱伝導性樹脂シート部材に接着され、図7(c)に示すような熱伝導性基板を得た。更に、その後、175℃で6時間熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を十分に進行させて熱伝導性基板を完成させた。この後、半田レジスト処理、フレームカット、端子処理等の工程を経て熱伝導性基板上に部品が実装されるが、これらの工程は公知の技術を用いて行うことができるものであり、本発明に直接関与しないため説明は省略する。
【0114】
上述のようにして、ゲルタイムの異なる種々の熱伝導性樹脂シート部材(実験番号a〜f)を用いてリードフレームと一体化して、その後、金属放熱板と更に一体化して、種々の熱伝導性性基板を製造した。得られた熱伝導性基板を評価した。特に、リードフレームの貫通開口部への熱伝導性樹脂シート部材の充填の程度、ならびにリードフレーム露出面での樹脂バリの存在および汚れについて目視により評価した。また、リードフレームおよび金属放熱板の接着性については、超音波探査映像装置(SAT)により各熱伝導性基板における熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームまたは金属放熱板との界面を観察して評価した。尚、ゲルタイムは、得られた各熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームから熱伝導性樹脂シート部材の一部分を採取し、155℃におけるゲルタイムを測定した。その結果を(表1)に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
尚、表において「X」、「多い」および「過多」なる評価指標を使用しているが、これらは、他の評価指標との相対的な比較の結果であり、即ち、相対的に良くないことを意味するに過ぎず、そのように相対的に良くない結果が生じる熱伝導性基板は、どのような用途にも常に使用できないと言うわけではないことに留意すべきである。
【0117】
熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの段階における熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムが短いと、硬化反応が進みすぎているため、リードフレームとの一体化時にはそのパターン間隙(貫通開口部)に熱伝導性樹脂シート部材が流れ込まないため表面まで十分に充填されず、また、金属放熱板との一体化時には金属放熱板との接着性も必ずしも十分ではなかった。
【0118】
他方、ゲルタイムが長いと、熱伝導性基板の周囲、特に露出したリードフレーム表面に熱硬化性樹脂混合物のしみ出しが増え、その結果、樹脂バリ、表面汚れが増えた。特に、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの段階において熱伝導性樹脂シート部材が、20秒から120秒の範囲の155℃におけるゲルタイムを有する場合が、リードフレームの開口部の充填性、リードフレームの密着性、金属放熱板の密着性は特に良好であり、また、表面汚れ、樹脂バリの発生も少ないことが確認できた。
【0119】
従って、熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムの範囲が上述の範囲である時、特に50秒〜90秒の範囲である時、非常に良好な熱伝導性基板を製造できる。また、このようにして得られた基板(ゲルタイム20〜120秒のもの)の信頼性の評価として、最高温度が260℃で10秒のリフロー試験を行った。このとき、目視およびSATでの観察で基板の熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームおよび金属板との界面には特に異常は認められず、強固な密着性が維持されていることが確認できた。
【0120】
尚、上述にようにして熱伝導性基板を製造するに際して、スペーサーの厚みを種々変化させることによって、使用した熱伝導性樹脂シート部材の厚さが異なる熱伝導性基板を製造した。得られた熱伝導性基板の中心部分の厚みをマイクロメーターで測定した。スペーサー厚みと測定された基板厚みとの関係を図9に示す。この図から分かるように、スペーサーの厚みを変えることにより熱伝導性樹脂シート部材厚さ、従って、熱伝導性シート部材の量を正しく制御でき、厚み、従って、その一枚当りの重量の安定した熱伝導性基板が製造できることがわかる。
【0121】
(実施例2)
上記の実施例1で用いた組成の熱硬化性樹脂混合物を用い、実施例1と同様にしてPETフィルム上に厚さ約0.4mmの熱伝導性樹脂シート部材を作製した。次に、熱伝導性樹脂シート部材を乾燥機中で100℃で熱処理して、ゲルタイムを60秒とした。
【0122】
このような熱伝導性樹脂シート部材を3枚用意し、そのうち2枚についてはPETフィルムを剥がして、図4(b)に示すように、熱伝導性樹脂シート部材の表面と裏面が接するように重ね、最上面にPETフィルムを更に配置した。これらを、60℃に加熱した一定間隔で押圧できる一組のプレートを有する金型に配置し、5MPaの圧力で押圧して、図4(c)に示すような厚みが制御されかつ一体化された熱伝導性樹脂シート部材を作製した。その後、金型により所定の大きさに打ち抜いて図4(d)に示すような量が制御された熱伝導性樹脂シート部材を得た。
【0123】
次に、厚さ0.5mmの42アロイの板を打ち抜いて回路パターンを形成し、ニッケルめっきおよび半田めっきを施したリードフレームを用意した。このリードフレームの片面を実施例1と同様の方法で粗面化処理した。
【0124】
得られた熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームを、図2(b)に示すように、65℃、10MPaの温度と圧力で60秒間加熱加圧して熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを得た。但し、その熱伝導性樹脂シート部材の表面にはPETフィルムが付着している。
【0125】
次に、金属放熱板として厚さ1mmのアルミニウム板を用意し、その両面をリードフレームと同様にサンドブラスト処理を施した。そして、上述のように得られた熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームから離型フィルムを剥がし、図7(b)に示すように、熱伝導性樹脂シート部材を介してリードフレームとアルミニウム板が対向するように位置合わせして重ね合わせた。
【0126】
最初に、加圧することなく、これらを140℃の温度で15秒間加熱し、その後、14MPaの圧力で10分間加圧して、図7(c)に示すような厚み約2.5mmの熱伝導性基板を得た。更に、この後、175℃で6時間熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を十分に進行させて最終の熱伝導性基板を得た。
【0127】
得られた熱伝導性基板におけるリードフレームおよびアルミ板の接着性を調べるために、SATでそれぞれの界面の密着性を調べたが、いずれの界面においても剥離は発見されなかった。また、基板の信頼性を確認するために、−55〜+125℃の温度サイクル試験を1000サイクル行い、その後で界面の密着性を調べたが、界面に剥離は認められなかった。このことから、本発明の方法により製造される熱伝導性基板は高い信頼性を持つことが分かった。
【0128】
(実施例3)
本実施例に使用する熱伝導性樹脂シート部材を製造した。最初に、無機質フィラーおよび熱硬化性樹脂ならびに下記の他の成分を混合してスラリー状の熱硬化性樹脂混合物を調製した。熱硬化性樹脂混合物の組成を以下に示す:
【0129】
【0130】
これらの成分を配合し、更にMEKを少量加えて粘度を低下させた後、混練機(松尾産業(株)製)にて混練し、更に3本ロールの混練機で混練した後、真空乾燥してMEKを蒸発させて粘土状の熱硬化性性樹脂混合物を得た。これを押出成型法により、表面に離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)の離型フィルム上に厚み1.2mmの熱伝導性樹脂シート部材を得た。
【0131】
その後、得られた熱伝導性樹脂シート部材を乾燥機中で125℃で50分間熱処理して、その後、室温まで冷却し、ゲルタイムを70秒とした。
【0132】
次に、厚さ0.8mmの銅板を打ち抜いて配線パターンを形成したリードフレームを用意し、図5(b)に示すように、このリードフレームと得られた熱伝導性樹脂シート部材(但し、本実施例では1枚)を重ね合わせて、それを、50℃に加熱した、所定の隙間となるように相互に近づけることができる1組の鉄板からなる金型中で4MPaの圧力で加圧して、図5(c)に示すような厚みが規制され、また、リードフレームと一体化された熱伝導性樹脂シート部材を得た。その後、熱伝導性樹脂シート部材を60℃に加熱しながら余分な熱伝導性樹脂シート部材の部分を切除して図5(d)に示すような所定の形状に加工した。
【0133】
その後、図7(b)と同様に、厚さ3mmの銅板と得られた熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを重ね合わせて、加圧せずに140℃の温度で15秒間加熱し、その後、14MPaの圧力で10分間加圧して図7(c)に示すような厚さ4.5mmの熱伝導性基板を得た。その後、175℃で6時間更に熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を進行させて熱伝導性基板を完成させた。
【0134】
実施例2と同様の検査を実施したが、実質的に同じ結果が得られた。このことから、本発明の製造方法により得られる熱伝導性基板は高い信頼性を持つことが分かった。
【0135】
(実施例4)
実施例3で用いた組成の熱硬化性脂混合物を用い、実施例1と同様の方法でPETフィルム上に厚さ約1.2mmの熱伝導性樹脂シート部材を作製した。その後、熱伝導性樹脂シート部材を乾燥機中で125℃で熱処理してゲルタイムを70秒とした。
【0136】
金属放熱板として厚さ1mmのアルミニウム板を用意し、その両面に実施例1と同様の方法で粗面化処理を施した。次に、得られた熱伝導性樹脂シート部材と金属放熱板を図8(b)と同様に重ねて75℃、10MPaの温度と圧力で5分間加熱加圧したが、この際、ボイドの発生を防止するため真空中(真空度:1×10−4MPa)で行った。
【0137】
これにより熱伝導性樹脂シート部材が金属放熱板に圧着された図8(c)に示すような熱伝導性樹脂シート部材付きアルミニウム板を得た。ただし、その熱伝導性樹脂シート部材の表面にはPETフィルムが付着している。
次に、厚さ0.5mmの銅板(神戸製鋼(株)製)を公知の方法でエッチングして回路パターンを形成してニッケルめっきを施したリードフレームを用意し、その片方の表面をアルミニウム板と同様に粗面化処理した。
【0138】
上述のように得られた熱伝導性樹脂シート部材付きアルミニウム板から離型フィルムを剥がし、図8(d)に示すように、熱伝導性樹脂シート部材を介してアルミニウム板とリードフレームを位置合わせして重ね合わせ、これらを175℃、14MPaの温度、圧力で10分間加圧した。これにより、熱伝導性樹脂シート部材がリードフレームのパターン間隙を充填してリードフレームと単一の表面を形成すると共に硬化し、図8(e)に示すような金属放熱板が接着された厚さ2.5mmの熱伝導性基板(絶縁層の厚さ1.0mm)が得られた。
【0139】
更に、この後、175℃で6時間熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を進行させて熱伝導性基板を完成させた。このようにして得られた基板は樹脂バリおよび表面汚れが少なく、また、肉眼およびSATでの観察では、基板の熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームおよび金属放熱板との界面には特に異常は認められず、強固な密着が得られていることが確認できた。更に、信頼性の評価として、最高温度が260℃で10秒のリフロー試験を行ったが、特に異常は認められなかった。
【0140】
他方、比較例として、同様の熱伝導性樹脂シート部材に対して熱処理を施することなく、即ち、ゲルタイムを調整することなく、硬化させてアルミニウム板と一体化し、引き続いてリードフレームと一体化して熱伝導性基板を作製した場合、リードフレームと一体化する加熱加圧の時間が10分間では熱伝導性樹脂シート部材の硬化が不充分であり、十分な硬化には少なくとも30分間は必要であった。
【0141】
従って、熱伝導性基板の製造前に、複数の熱伝導性樹脂シート部材を一括して熱処理して、熱伝導性基材の製造に適したゲルタイムに予め調整しておくことによって、その後の工程で実施する、加熱による熱伝導性樹脂シート部材の硬化を短時間に行うことが可能となり、熱伝導性基板の製造のタクトを短縮できた。
【0142】
【発明の効果】
以上、説明したように、熱伝導性樹脂シート部材、リードフレームおよび金属放熱板からなる熱伝導性基板の作製において、本発明に基づく熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを使用することにより、熱硬化性樹脂混合物のしみ出しによる樹脂バリの生成、リードフレームの表面汚れの発生を抑制することが可能になる。また、熱伝導性基板の製造前に、ゲルタイムの調整に際して、多数の熱伝導性樹脂シート部材を一緒に熱処理できるので、その後の工程における加熱による熱伝導性樹脂シート部材の硬化を短時間で実施できることになり、その後、熱伝導性基板の製造のタクトを短くし、また、リードフレームおよび放熱金属板の表面での樹脂バリ、汚れ等の発生を抑制することが可能となる。更に、ゲルタイムを調整した熱伝導性樹脂シート部材を押圧して均一な厚さを有するように加工することによって、熱伝導性樹脂シート部材の単位面積当りの量を制御することにより、厚みが安定した熱伝導性基板の製造が可能となる。
【0143】
更に、形成された直後(従って、ゲルタイムの調整前)の熱伝導性樹脂シート部材は長期なゲルタイムを有した状態であるので、熱伝導性樹脂シート部材を長期にわたって安定に保存できる。そして、多数の熱伝導性シート部材についてゲルタイムの調整を一緒にできるので、熱伝導性基板の製造タクトは全体として向上し、放熱性に優れて高い信頼性を持つ熱伝導性基板を効率的に製造できる。
【0144】
尚、本明細書において、熱伝導性基板(「熱伝導基板」とも呼ばれる)とは、上述の説明からも理解できるように、熱伝導の目的でフィラーを含む材料から形成されている基板であり、通常、基板の一方側には配線パターンが配置され、他方側には放熱板が配置されている。また、熱伝導性樹脂シート材料とは、そのような熱伝導性基板の製造に用いるシート状物であり、熱硬化性樹脂混合物から得られるシート状材料を硬化させて得られるものである。
【0145】
尚、本発明は、特願2000−397650号および特願2000−397651号(共に2000年12月27日出願)に基づくものであり、これらの出願に開示されている内容は、この引用によって本明細書の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの1つの態様を模式的に示す断面図である。
【図2】 図2(a)〜(c)は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法の1つの態様の工程を模式的に示す断面図である。
【図3】 図3(a)〜(d)は、熱伝導性樹脂シート部材の製造方法の1つの態様の工程を模式的に示す断面図および上面図である。
【図4】 図4(a)〜(d)は、熱伝導性樹脂シート部材の製造方法のもう1つの態様の工程を模式的に示す断面図および上面図である。
【図5】 図5(a)〜(d)は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法のもう1つの態様の工程を模式的に示す断面図である。
【図6】 図6(a)〜(d)は、本発明の熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法の更にもう1つの態様の工程を模式的に示す上面図および断面図である。
【図7】 図7(a)〜(c)は、本発明の熱伝導性基板の製造方法の1つの態様の工程を模式的に示す断面図である。
【図8】 図8(a)〜(e)は、本発明の熱伝導性基板の製造方法のもう1つの態様の工程を模式的に示す断面図である。
【図9】 本発明の一実施例において製造された熱伝導性基板の厚みと、その製造に用いたスペーサー厚みとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
101,201,301,401,501,601,701,801 熱伝導性樹脂シート部材
102,202,502,602,702,802 リードフレーム
302,402,503 所定厚みの隙間を設けた一組の板
303,403 所定厚みを持った熱伝導性樹脂シート部材
304,404 単位面積あたりの量が制御された熱伝導性樹脂シート部材
600 リードフレームの独立した端子
603 貫通穴
604 ピン
605 ダイ
610 外枠部
612 共通端子
700 熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム
703,803 金属放熱板
Claims (24)
- リードフレームと金属放熱板とが熱伝導性樹脂シート部材を介して対向するように配置され一体化された熱伝導性基板を製造するための、熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとが面一の表面を形成するように一体化されている熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームであって、熱伝導性樹脂シート部材は、無機質フィラー70〜95重量部と、熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物5〜30重量部とを含んで成る熱硬化性樹脂混合物から形成され、また、熱硬化性樹脂は半硬化状態であり、前記熱伝導性樹脂シート部材は、20秒〜120秒の範囲の155℃におけるゲルタイムを有する、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレーム。
- 熱伝導性樹脂シート部材は、102〜105Pa・sの範囲の粘度を有する請求項1に記載のリードフレーム。
- 熱硬化性樹脂組成物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂および液状フェノール樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を主成分として含む請求項1または2に記載のリードフレーム。
- 無機質フィラーが、Al2O3、MgO、BNおよびAlNから成る群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のリードフレーム。
- 熱伝導性樹脂シート部材は、リードフレームの一部分と一体化されており、リードフレームは、その外枠部につながる共通端子を介してその他の全て端子が電気的に外枠部に接続されている請求項1〜4のいずれかに記載のリードフレーム。
- 熱伝導性樹脂シート部材は、リードフレームと同じ側にそれから電気的に独立した少なくとも1つの端子を更に有して成る請求項1〜5のいずれかに記載のリードフレーム。
- 熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物と無機質フィラーとを含んで成る熱硬化性樹脂混合物から形成され、また、熱硬化性樹脂が半硬化状態である熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとが面一の表面を形成するように一体化されて成る、熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの製造方法であって、
(a)熱硬化性樹脂を含んで成る熱硬化性樹脂組成物と、無機質フィラーとを含んで成る熱硬化性樹脂混合物から熱伝導性樹脂シート部材を得る工程、
(b)熱伝導性樹脂シート部材を熱処理して所定のゲルタイムを有するようにする工程、および
(c)熱伝導性樹脂シート部材上にリードフレームを配置し、熱硬化性樹脂の硬化が進行しない温度でこれらを相互に向かって押圧してこれらを一体化する工程
を含んで成るリードフレームの製造方法。 - 所定のゲルタイムは、155℃において20秒〜120秒の範囲内である請求項7に記載のリードフレームの製造方法。
- 工程(b)の後で工程(c)の前に、熱伝導性樹脂シート部材を所定の厚さと形状に形成する工程を含む請求項7または8に記載のリードフレームの製造方法。
- 熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に形成する工程が、2枚のプレート間に熱伝導性樹脂シート部材を挟み、所定のプレート間距離となるようにプレートを相互に近づけることによって熱伝導性樹脂シート部材を押圧して、所定厚さの熱伝導性樹脂シート部材を得、その後、熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に加工することを含む請求項9に記載のリードフレームの製造方法。
- 工程(c)の後に、熱伝導性樹脂シート部材と一体化したリードフレームの一部分を除去することを含む請求項7〜10のいずれかに記載のリードフレームの製造方法。
- 工程(c)において、2枚のプレート間に熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームとを積層して挟み、所定のプレート間距離となるようにプレートを相互に近づけることによって熱伝導性樹脂シート部材とリードフレームを相互に向かって押圧して、リードフレームと一体化した所定厚さの熱伝導性樹脂シート部材を得、
(d)その後、リードフレームと一体化した熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に加工する工程を更に含む請求項7に記載のリードフレームの製造方法。 - 所定のゲルタイムは、155℃において20秒〜120秒の範囲内である請求項12に記載のリードフレームの製造方法。
- 工程(d)の後に、前記熱伝導性樹脂シート部材と一体化したリードフレームの一部分を除去することを含む請求項12または13に記載のリードフレームの製造方法。
- 熱伝導性樹脂シート部材、リードフレームおよび金属放熱板を有して成る熱伝導性基板の製造方法であって、
(1)リードフレームと金属放熱板とが熱伝導性樹脂シート部材を介して対向するように、請求項7〜11のいずれかに記載の方法により製造される熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームに金属放熱板を配置する工程、
(2)熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームおよび金属放熱板を、相互に向かって押圧することなく、熱硬化性樹脂の硬化が進行する温度以上の温度で所定の時間熱処理する工程、および
(3)その後、熱処理を継続しながら、所定の圧力でリードフレームと金属放熱板を相互に向って押圧し、熱硬化性樹脂の硬化を更に進行させるとともに、金属放熱板と熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを一体化する工程
を含む熱伝導性基板の製造方法。 - 工程(1)における熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムは、155℃において20秒〜120秒の範囲内である請求項15に記載の熱伝導性基板の製造方法。
- 工程(1)において、工程(b)の後で工程(c)の前に、熱伝導性樹脂シート部材を所定の厚さと形状に形成する工程を含む請求項15または16に記載の方法。
- 熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に形成する工程が、2枚のプレート間に熱伝導性樹脂シート部材を挟んで所定のプレート間距離となるようにプレートを相互に近づけることによって熱伝導性樹脂シート部材を押圧して所定厚さの熱伝導性樹脂シート部材を得、その後、熱伝導性樹脂シート部材を所定の形状に加工することを含む請求項17に記載の熱伝導性基板の製造方法。
- 工程(1)における工程(c)の後に、熱伝導性樹脂シート部材と一体化したリードフレームの一部分を除去することを含む請求項15〜18のいずれかに記載の熱伝導性基板の製造方法。
- 工程(3)の工程の後に、熱伝導性基板を更に熱処理して熱硬化性樹脂を十分に硬化させる工程を含む請求項15〜19のいずれかに記載の熱伝導性基板の製造方法。
- 熱伝導性樹脂シート部材、リードフレームおよび金属放熱板を有して成る熱伝導性基板の製造方法であって、
(1)リードフレームと金属放熱板とが熱伝導性樹脂シート部材を介して対向するように、請求項12〜14のいずれかに記載の方法により製造される熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームに金属放熱板を配置する工程、
(2)熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームおよび金属放熱板を、相互に向かって押圧することなく、熱硬化性樹脂の硬化が進行する温度以上の温度で所定の時間熱処理する工程、および
(3)その後、加熱を継続しながら、所定の圧力でリードフレームと金属放熱板を相互に向って押圧し、熱硬化性樹脂の硬化を更に進行させるとともに、金属放熱板と熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームを一体化する工程
を含む熱伝導性基板の製造方法。 - 工程(1)における熱伝導性樹脂シート部材付きリードフレームの熱伝導性樹脂シート部材のゲルタイムは、155℃において20秒〜120秒の範囲内である請求項21に記載の熱伝導性基板の製造方法。
- 工程(1)における工程(d)の後に、熱伝導性樹脂シート部材と一体化したリードフレームの一部を削除することを含む請求項21または22に記載の熱伝導性基板の製造方法。
- 工程(3)の工程の後に、熱伝導性基板を更に熱処理して充分な硬化を促進する工程を含む請求項21〜23のいずれかに記載の熱伝導性基板の製造方法。
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