JP4717967B2 - 遺伝子改変酵母株 - Google Patents

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Description

本発明はシトクロムP450活性を発現する新規酵母株とその使用に関する。本発明は特に、ヒトシトクロムP450酵素系を産生することが可能な酵母株及びその構築に使用するプラスミドに関する。
シトクロムP450は膜酵素スーパーファミリーを構成する。特に生体異物と医薬の代謝に関与するモノオキシゲナーゼである。
シトクロムP450は特に次の用途に使用される。
−天然又は人工(汚染物質、医薬又は添加物)生体異物分子のヒト肝代謝による毒性又は突然変異誘発代謝物の形成のinvitro診断。この診断は新規医薬分子の開発に肝要である。
−環境毒性又は汚染分子の同定と破壊。
−代謝物の生成。
前記タンパク質はこれらの解毒プロセス及び毒性現象の両者に関与しているため、広く研究されている(Guenguerich,1988)。
しかし、こうした研究はすぐにシトクロムP450の個々の形態の研究等の問題にぶつかった。これらの問題を解決するために、その後、異種発現系が開発された。
1986年以来、異種発現宿主としての哺乳動物細胞の使用が開発されている(Zuberら,1986)。これらの系は肝細胞(シトクロムP450の主要検出部位)に近似するという利点があるが、残念ながら発現レベルが低い。
細菌等の原核宿主については、実際に正確に複製されたシトクロムP450を大量に獲得できる(Barnesら,1991)が、この種の宿主ではDNAの5’末端発現部分の改変が避けられない(DoehmerとGreim,1992)。
他方、酵母型の真核宿主を選択すると特に有利であり、この生物はヒト肝細胞に似た状態におくことができ、高いタンパク質発現レベルが得られる。更に、酵母はシトクロムP450型の膜タンパク質とその関連酵素の発現に必要な全酵素メカニズムを内在形態でもっており、即ち、シトクロムP450の機能に必要な2種の酵素であるシトクロムb5とNADPH−シトクロムP450レダクターゼをもつ。
従って、酵母を用いると、
−(細菌での発現の場合のように)発現されるタンパク質がそのN末端配列のレベルで改変されずに済み、
−種々の生化学及び構造研究に妥当な量の異種シトクロムP450が得られ、
−関連酵素系が既に存在している
ため、酵母は種々の問題に有利な解決手段を提供する(Oeda K.ら,1985;Pompon,1988)。
異種タンパク質の発現に関して特に研究されている酵母のうちでは、特にKluyveromyces、Pichia、Hansenula、Candida及びSaccharomycesを挙げることができ、そのゲノム構造は周知である。シトクロムP450の種々の酵母発現系が文献に記載されている。
所謂第1世代の株ではシトクロムP450はプラスミドから発現されており、酵母に内在するNADPH−シトクロムP450レダクターゼとシトクロムb5を電子供与体として使用している(Pompon,1988;CullinとPompon,1988)。
この系の最初の改良により得られた所謂第2世代の株では、(GAL10−CYC1プロモーターの制御下に)酵母シトクロムP450レダクターゼを過剰発現させ、ヒトシトクロムb5を同時発現させている(国際公開WO93/02200及びTruanら,1993)。従って、これらの株ではイソ形に応じて出発株の5〜60倍の組換えシトクロムP450の酵素活性が得られるようになった。
しかし、既存の系は完全に満足とは言えず、タンパク質の満足な発現が得られなかったり、得られたタンパク質がヒト系に十分に近似しないという欠点がある。
本発明は詳細には、上記欠点のない第3世代の株を提案することを目的とする。予想外にも、本願出願人は酵母のNADPH−シトクロムP450レダクターゼとシトクロムb5をそれらのヒト相同体で同時に置換えられることを発見した。これらの2種の遺伝子の同時分裂は酵母では致死性であることが知られており、2種の遺伝子を欠失する生存可能な株を得ることはまだできなかったので、この発見は一層意外である。
本発明の株では、酵母シトクロムP450レダクターゼ及び/又はシトクロムb5をそのヒト相同体に置換えた。その結果、多重酵素系が同一種であるため、非常に有利なことに肝細胞に非常によく似た系を作製することができた。
この新規系は、発現されるシトクロムP450の酸化還元パートナーの種類の効果と、肝臓に存在すると同等のシトクロムP450活性に必要な化学量論比を試験するためにも利用できる。
従って、本発明の第1の目的は、
1)内在シトクロムb5と内在NADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする遺伝子が不活化されており、
2)ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸を含み、
3)ヒトシトクロムb5をコードする核酸を含むことを特徴とする遺伝子改変酵母株にある。
ヒトシトクロムb5及びヒトレダクターゼをコードする遺伝子を株に組み込むために使用する核酸は、cDNAが好ましい。これらの2種のタンパク質をコードする完全配列を含むcDNAは単離及び配列決定されている(ヒトレダクターゼについてはS.Yamanoら,Mol.Pharmacol.1989,vol.36:83−8、ヒトシトクロムb5についてはM.Miyataら,Pharmacol.Res.1989,vol.21:513−20参照)。
更に、選択する酵母はSaccharomyces cerevisiaeが好ましい。
本発明の意味では、不活化遺伝子とはその天然タンパク質をコードできなくした遺伝子を意味する。前記遺伝子がその天然タンパク質をコードできないことは、構造又はコンフォメーション変異による不活性タンパク質の産生や、天然タンパク質の産生の不在や産生レベルの低下により確認できる。
天然遺伝子の不活化は以下に挙げる種々の方法により得られる。
−遺伝子の完全又は部分的欠失。欠失とは該当遺伝子の任意抑圧を意味する。例えば、タンパク質をコードする領域の一部及び/又は転写プロモーター領域の全部又は一部の欠失が挙げられる。
−遺伝子における1以上の点突然変異。この突然変異は化学的突然変異誘発物質(例えばアルキル化剤、ビアルキル化剤又は挿入剤)又は物理的突然変異誘発物質(X線、紫外線)による処理や、指向的突然変異誘発により得られる。
−遺伝子の読取り枠を遮断し、これを不活化する制限酵素の作用による突然変異挿入、及び/又は
−例えばRothstein[Meth.Enzymol.(1983)202]により最初に記載されたプロトコルによる遺伝子破壊。この場合には、対応するヒトタンパク質をコードする配列で野生型配列を相同組換えにより置換できるように、コーディング配列の完全性を破壊する。
本発明によると、上記のような遺伝子破壊方法を使用するのが好ましい。
本発明によりヒト酵素を発現させるために本発明の株を形質転換する方法としては種々の方法が考えられ、まず、遺伝子の1個を不活化しておいた野生型株を、対応するヒトタンパク質をコードする核酸を含む複製型プラスミドで形質転換する方法がある。この場合、核酸は酵母のゲノムに組み込まれない。
また、該当ヒトタンパク質をコードする配列を含むcDNA形態の核酸を酵母のゲノムに組み込んでもよい。この場合には、酵母の増殖性と生存性を変えないようにマーカー遺伝子に対応するこのゲノム上の既知遺伝子座に組み込んでもよいし、不活化した天然遺伝子に占有される場所に組み込んでもよい。
こうして、レダクターゼをコードする核酸とシトクロムb5をコードする核酸をこれらの方法のいずれか1種により株に導入することができる。
本発明によると、株の安定性を改善し、より有利な条件におくために、ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸及び/又はヒトシトクロムb5をコードする核酸を酵母のゲノムに組み込む実施態様を選択するのが好ましく、本発明の好適実施態様では、これらの核酸を内在遺伝子の代わりに組み込む。
本発明の別の好適実施態様によると、ヒトシトクロムb5をコードする遺伝子をマーカー遺伝子の遺伝子間部位、特に遺伝子間部位SPL1/leu2に組み込む。
本発明の別の特徴は、ヒトシトクロムb5をコードする核酸がゲノムに組み込まれていることを特徴とする株にある。
本発明の特定実施態様では、形質転換株にシトクロムb5の2コピーを存在させる。
本願出願人が遭遇した別の問題は、ヒト遺伝子を酵母で十分なレベルで発現させるという問題である。
このためには、これらの遺伝子の発現を可能にする酵母プロモーターの制御下にこれらの遺伝子をおくと有利である。これらの酵母プロモーターは誘導的プロモーターでも構成的プロモーターでもよい。本願において、構成的プロモーターとは標準培養条件で安定して発現されるプロモーターを意味する。本発明によると、ヒト遺伝子の少なくとも1個を構成的酵母プロモーターの制御下におく。
このプロモーターは公知プロモーターから選択される。例えば、イソシトクロムC1(CYC1)、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH1)、転写延長因子(TEF)、酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(以下、GAPDHと称する)及び酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ(以下、PGKと称する)の遺伝子のプロモーターを使用することができる。
プロモーターは、酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター、酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーター及び酵母シトクロムb5の内在プロモーターから選択するのが好ましい。本発明の1特定実施態様では、ヒトシトクロムb5をコードする遺伝子が内在Yb5プロモーターの制御下にあることに留意すべきである。
誘導的プロモーターについては、GAL10及びCYC1−GAL10プロモーターから選択するのが好ましい。
本願出願人が着目した特徴である上記内在遺伝子の不活化と対応するヒト遺伝子をコードする核酸による置換という特徴を示す1倍体株はこれまで得ることができなかった。2倍体形態に止まっていた。本発明の利点の1つは1倍体酵母で操作することができ、従って、最良の安定性を得ると共に望ましくない組換えを避けることができる。
従って、本発明の好適実施態様によると、株は1倍体であることを特徴とする。
本発明による株は、ヒトシトクロムP450をコードする少なくとも1種の核酸をもつ。該核酸はプラスミドに組み込むことが好ましい。本発明によるヒト化酵母株は、その選択マーカーのレベルで作製される酵母株と適合可能なものであれば任意のシトクロムP450発現プラスミドを用いて慣用技術により形質転換することができる。特に、このようなプラスミドはプラスミドpYeDP60のクローニングポリリンカーに任意のヒトシトクロムP450をコードするcDNAのコーディングフレームを常法に従ってクローニングすることにより得られる(材料と方法の項参照)。
シトクロムP450は特にヒトシトクロムP4501A1、1A2、1B1、2C8、2C9、2C18、2C19、2E1、3A4、3A5から選択することができる。本発明によるヒト化株は野生型酵母及び従来作製されている組換え株に比較して明白な発現上の利点がある。
本発明の別の目的は、本発明による酵母株において、プラスミドに含まれるヒトシトクロムP450のモノオキシゲナーゼ活性をも発現させる酵母株にある。
本発明の別の実施態様は、プラスミド、特にシトクロムP450をコードする核酸の1コピーを既に含んでいるプラスミド上に上記シトクロムb5をコードする核酸の付加的コピーを存在させることにある。P450の最適活性を得るためには、実際にヒトシトクロムb5及びヒトP450の発現レベル間に少なくとも1/1の化学量論的相対モル比を実現できるようにすると特に有利である。シトクロムb5の遺伝子の単一コピーのゲノム組み込みでは、本発明による多重コピープラスミドからの発現のような高いP450発現レベルに達するには不十分な場合もあることが分かっている。そこで、本発明は該当シトクロムP450の発現カセットとシトクロムb5の発現カセットを併有するプラスミド系列の構築を説明することにより、系の効力を更に改善できるようにする。これらのプラスミドの特殊な構造により、2種のシトクロム間に十分な化学量論比を実現しながら高レベルで安定した発現が可能になる。これらのプラスミドは本願に記載する全株に適合可能である。これらのプラスミドは他の株にも当然利用できる。
本発明は特に、上記全特徴に対応する酵母株の開発を目的とする。このような酵母株に到達するための数種の中間体にも関する。
本発明では文献に記載されているような株から出発するのが好ましく、特に以下の株が挙げられる。
−酵母シトクロムb5をコードする遺伝子(以下、Yb5と称する)が破壊されているW(ΔB)株(Truantらにより記載)。これを作製するためには、シトクロムb5の遺伝子の制限部位のレベルに組み込まれたHIS3マーカー遺伝子をもつベクターを構築する。このベクターを使用して2倍体HIS3−株を形質転換する。組換え細胞を選択する。
−酵母レダクターゼをコードする遺伝子が不活化されているW(R)株。
−ベクターpUP81(図1)で形質転換することによりW(RΔ)株から得られるW(hR)株。この株では、誘導的プロモーターとヒトレダクターゼ(以下、HREDと称する)をコードする配列を含むカセットを挿入することにより、酵母レダクターゼ(以下、YREDと称する)をコードする不活化遺伝子を置換している。
これらの株を交配後、胞子形成させ、Yb5とYREDを欠失し且つGAL10−CYC1プロモーターの制御下でヒトレダクターゼを発現する1倍体W(hR,ΔB)株を選択する。
この点で、本発明の別の目的はGAL10−CYC1プロモーターの制御下のヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸を含み、酵母シトクロムb5と酵母NADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする遺伝子が不活化されている株(W(hR,ΔB)株)にある。
本発明による別の好適株は、誘導的GAL10−CYC1プロモーターがGAPDHプロモーターで置換された上記と同様の株である。
この置換は、pUP81(図9)から構築され、構成的GAPDHプロモーターの制御下のHREDをコードするcDNAを含むプラスミドpAB2(図4)で形質転換することにより実施できる。形質転換細胞は国際公開WO94/01564に記載の方法により選択する。得られた株をW(GhR,ΔB)と呼ぶ。この株では、ヒトレダクターゼをコードする配列が酵母GAPDHの構成的プロモーターの制御下にあり、酵母のシトクロムb5とYREDが不活化されている。
本発明の別の目的は、ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸が酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下にあることを特徴とする株である。
本発明による別の好適株は、ヒトシトクロムb5をコードする配列を含むベクターpAB3(図6及び12)で形質転換することによりW(hR,ΔB)株から得られる。
前記配列を組み込んだ酵母を選択する。こうして得られた株をW(hR,hb5)と呼ぶ。この株はヒトタンパク質をコードする2種の配列をもつ。
本発明による特に有利な株を構築するためには、上記と同様の方法でW(GhR,ΔB)株をプラスミドpAB3で形質転換する。こうして上記2種の性質をもつW(GhR,hb5)株が得られ、即ちこの株は酵母GAPDHのプロモーターの制御下にヒトレダクターゼをコードする遺伝子を発現すると共に、酵母pYb5プロモーターの制御下にヒトシトクロムb5をコードする遺伝子をも発現することができる。
同様に好ましい態様として、本願出願人はW(hR,ΔB)株からも株を構築した。W(hR,ΔB)株を制限酵素の作用により予め線状化しておいたプラスミドベクターpAP1(図8及び13)で形質転換する。酵母染色体の遺伝子間部位leu2/SPL1のレベルでpAP1に含まれる酵母PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーターの制御下のヒトシトクロムb5をコードする配列を組み込んだ形質転換細胞を選択する(図14)。
この株は本願出願人の命名法ではW(hR,Lhb5)の名称をもつ。この株はpGAL10−CYC1プロモーターの制御下のヒトレダクターゼをコードする配列と酵母PGKプロモーターの制御下のシトクロムb5をコードする配列を発現することができる。
本発明の別の目的は、酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下のヒトシトクロムb5をコードする少なくとも1種の核酸を含むことを特徴とする酵母株にある。
以下の株が特に好ましい。即ち、W(GhR,ΔB)株から出発し、線状化ベクターpAP1により形質転換する。酵母PGKプロモーターの制御下のヒトシトクロムb5をコードする配列を上記遺伝子間部位leu2/SPL1に組み込んだクローンを選択する。
こうして、2種の構成的酵母プロモーターの制御下の2種のヒト遺伝子をコードする配列を含むW(GhR,Lhb5)株が得られる。
本発明の別の目的は、
−酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロキシゲナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下のヒト−NADPHシトクロムP450レダクターゼをコードする核酸と、
−酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下のヒトシトクロムb5をコードする核酸
を1つの株に併有することを特徴とする。
本発明の別の実施態様は、W(R)株から出発し、ベクターpAP1で形質転換し、選択後にW(R,Lhb5,Yb5)株を得ることである。
W(hR)株から出発し、同様に形質転換し、選択後にW(hR,Lhb5,Yb5)株を得るのが好ましい。
本発明により構築された株は、シトクロムP450酵素系による新規化学分子の分解により生成される代謝物の毒性の評価方法に利用することができる。
本発明の別の目的は化合物の毒性の評価方法に関し、該方法は、前記化合物を本発明による酵母又は該酵母から誘導される酵素調製物の存在下におき、生成される代謝物をその毒性について分析することを特徴とする。
本発明は更に、ヒト肝細胞に存在するものに非常によく似た酵素複合体の獲得を可能にする。その結果、良好なヒト酵素発現条件下でin vitro操作することが可能になる。従って、シトクロムP450複合体による新規化合物の分解によりヒト体内でどのような代謝物が生成されるかを調べることができる。
本発明の別の目的は、化合物のヒト代謝物のin vitro測定方法であり、該方法は、前記化合物を本発明による酵母又は該酵母から誘導される酵素調製物の存在下におき、生成される代謝物を同定することを特徴とする。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は非限定的な例示とみなすべきである。
図面の説明
図1:プラスミドpUP81。
図2:プラスミドpPLl00。
図3:プラスミドpAB1。
図4:プラスミドpAB2。
図5:プラスミドpLIP1。
図6:プラスミドpAB3。
図7:プラスミドpCD26。
図8:プラスミドpAP1。
図9:pUP81からpAB2の構築。
図10:pAB2によるW(GhR,ΔB)株の構築。
図11:カセットhb5の構築。
図12:pAB3の構築。
図13:pAP1の構築。
図14:W(GhR,Lhb5)株の構築。
図15:プラスミドpYeDP60、pYeDP1/10/hb5及びpYeDP110の模式図。
図16:プラスミドpAP2、pAP3、pVD1、pVD2、pVD3、pVD4の模式図。
図17:pAP4の構築と構造。
図18:pVD1の構築。
図19:pVD2の構築。
図20:pVD3の構築。
材料と方法:
1−培地:
次頁表I参照。
Figure 0004717967
胞子形成培地には株に応じて種々の栄養要求性を補うように成分を補充する。
(1)アミノ酸とアンモニウムを含まない窒素酵母基本培地(YNB)はGIBCO BRL製品である。硫酸アンモニウムはMERCK製品である。ドイツ産寒天はROHSTOFFGmbh製品である。アデニン、L−ヒスチジン及びL−トリプトファンはSIGMA製品である。L−ロイシンとウラシルはCALBIOCHEM製品である。D−グルコース、D−ガラクトース、グリセロール及び無水酢酸カリウムはPROLABO製品である。バクトペプトン(B.ペプトン)と酵母エキス(YE)はDIFCO製品である。
N3は、Na2HPO4 89g、KH2PO4 272g及びスペシリン1gを水5リットルに溶かすことにより得たリン酸緩衝液(pH=6.2)で緩衝する。
液体培地は、寒天を含まない以外は固体培地と同一組成である。
リンゲル液:0.9%NaCl水溶液。
2−株:
−酵母:S.cerevisiae:
W(N):MATa及びa,leu2−3,112,his3−11,ade2−1,trp1−1,ura3−1。W(N)aはW(N)Mataを表し、W(N)aはW(N)Mataを表す。
W(ΔB):MATa及びa,leu2−3,112,ade2−1,trp1−1,ura3−1,Yb5:HIS3。W(ΔB)aはW(ΔB)Mataを表し、W(ΔB)aはW(ΔB)Mataを表す。
W(hR):MATa及びa,leu2−3,112,his3−11,ade2−1,trp1−1,YRED:[GAL10−CYC1::HRED]。W(hR)aはW(hR)Mataを表し、W(hR)aはW(hR)Mataを表す。
−細菌:
大腸菌DH5−1:supE44,hddR17,recA1,gyrA96,thi−1,relA1。
3−ベクター:
−プラスミドpUP81:プライマーN1及びN2を用いてPCRにより得られたヒトシトクロムP450レダクターゼ遺伝子のコーディングフレームをBamHI及びBglIIで切断した後、GAL10−CYC1プロモーターの側のATGであるそのBamHI部位のレベルで組み込みベクターDP110にクローニングする(Urbanら,1993)。
プライマーN1:5’−GCggatccATGGGAGACAGTCACGTGG−3’(配列番号1)。塩基1〜2はGCクランプを形成し、塩基3〜8(小文字)は付加されたBamHI部位に対応し、塩基9〜17及び21〜27はヒトレダクターゼ遺伝子のオープンリーディングフレームの配列のヌクレオチド1〜9及び13〜19に夫々相同であり、塩基18〜20(太字)はヒトレダクターゼのコーディング配列のATGから10〜12位のヌクレオチドTCCを突然変異させることができる。この突然変異は酵母での翻訳の阻害に関与する最初から20塩基対で転写されるRNAのフォーク構造を破壊することができる(Baimら,1988)。
プライマーN2:5’−CGgaattcAGATCTAGCTCCACACGTCCAGG−3’(配列番号2)。塩基1〜2はGCクランプを形成し、塩基3〜8(小文字)はEcoRI部位に対応し、塩基9〜14(下線)はBglII部位に対応し、塩基14〜16(太字)は停止コドン(相補鎖)に対応し、塩基13〜31はヒトレダクターゼ遺伝子のオープンリーディングフレームのヌクレオチド2018〜2034に相補的である。
−プラスミドpFL26(Bonneaudら,1991)。
−プラスミドpPL100:ADE2/pFL(StotzとLinder)。酵母ADE2遺伝子を改変してベクターpPL100を構築した。ATGから593位のアデノシンをグアニンに突然変異させることにより、遺伝子の内部BglII部位を破壊する。この突然変異はアミノ酸配列もタンパク活性も変えない。開始コドンから−373位のADE2遺伝子の5’領域にBglII部位を導入する。この遺伝子はATGから1862位にBglII部位をもつ。2241bpのBglIIフラグメントをBglII部位でベクターpFL36にクローニングする(Bonneaudら,1991)。
−「Bluesript」プラスミドはキット「pCR−Script(登録商標)SK(+)クローニングキット」(Stratagene)に記載されている。
4−交配:
逆符号(a又はa)の1倍体株をYPGA完全培地で別々に培養する。次に、細胞をリンゲル液で約10個/mlまで希釈する。2種の1倍体細胞懸濁液各500mlの混合物を調製する。混合物から懸濁液50mlを固体培地YPGAにプレーティングする。8時間培養後、2種の親に同時に存在する栄養素のみを補充した選択培地で細胞をサブクローニングする。こうすると、交配により生じた2倍体は成長できるが、元の1倍体は成長できなくなる。2日間培養後、出現する2倍体クローンを同一選択培地で二次培養する。
5−胞子形成:
2倍体の栄養要求性マーカーを補充した固体胞子形成培地で2倍体細胞を二次培養する。3日間胞子形成後に胞子を解剖する。
6−胞子の解剖:
所謂バルク法:
1.5ml容エッペンドルフチューブで100mg/mlのチモリアーゼ10,000(生化学工業社、日本、東京)を含む水で胞子を5×108細胞/mlまで希釈した後、28℃で30分間インキュベートする。500mlアリコートを10,000rpmで1分間遠心分離する。細胞沈渣を水1mlにとり、遠心分離し、水100mlにとる。細胞を2分間ボルテックス撹拌する。チューブを2〜3回転倒させながら水で濯ぐ。5回濯いだ後、疎水性の胞子はチューブの壁に付着しているが、2倍体栄養細胞は懸濁したままなので、濯ぎ落とす。次に、0.01%(v/v)Nonidet P−40(Sigma)溶液に胞子を再懸濁する。遠心分離後に希釈剤を捨てる。精製した胞子をリンゲル液にとり、固体選択培地にプレーティングする。
顕微鏡解剖:
胞子を0.5g/lサイトヘリカーゼ(Biosepra)溶液(55%グリセロール)中で22℃で15分間インキュベートした後、予め切り取って載物ガラスに載せておいた寒天片にプレーティングする。次に載物ガラスを顕微鏡解剖チャンバーに逆さに置く。四分子に含まれる4個の胞子を顕微鏡下にマイクロマニピュレーターで分離する。こうして解剖した四分子を担持する寒天をYPGalA完全培地容器に移す。
7−GAPDHプロモーターのクローニング:
PCR増幅:
プライマーとしてプライマーN3(配列番号3)及びN4(配列番号4)50ngを使用することにより、従来記載されている方法(Bellamineら,1994)に従って調製したS.cerevisiae W(N)のゲノムDNA 100ngからPCR法により酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターのDNAをクローニングした(図9)。増幅は天然Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)2.5Uを用いて実施する。重合反応は20mM Tris−HCl、10mM KCl、6mM(NH42SO4、2mM MgCl2、0.1% Triton X−100、10mg/ml無ヌクレアーゼ「血清アルブミン」及び4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)各200mMからなる溶液50ml中で実施する。PCR条件は以下の通りである。
Figure 0004717967
プライマーの配列は次の通りである。
−プライマーN3:5’−CCaagcttGAGTTTATCATTATCAATACTCG−3’(配列番号3)。最初から2つの塩基はGCクランプを形成し、小文字はHindIII部位に対応し、塩基9〜31はGAPDH遺伝子のプロモーターの配列のヌクレオチド−673〜−650と相同である。
−プライマーN4:5’−CggatccTATTTATGTGTGTTTATTCGAAACTAAGTTCTTGG−3’(配列番号4)。小文字はBamHI部位に対応し、塩基8〜42はヌクレオチド−6〜−48に相補的である。
増幅後のDNAの寸法は691bpである。
7.5M酢酸アンモニウム26mlと水4mlをPCR産物50mlに加える。混合物をエタノール80mlで22℃で10分間沈殿させる。沈殿したDNAを10,000rpmで10分間遠心分離する。沈渣を70%(v/v)エタノールで洗浄し、乾燥し、水20mlにとる。
このDNAの10ngアリコートを販売業者(Stratagene)の指示に従ってキット「pCR−Script(登録商標)SK(+)クローニングキット」のBluescriptベクターのSrfI部位にクローニングする。クローンをPvuII制限により選択する。クローニングしたDNAとBluescriptベクターの接合レベルで、2513及び1139bpのPvuIIフラグメントを与えるクローンをキットSequenase Version 2.0 DNA Sequencing Kit U.S.B.(Amersham)により100bpにわたって配列決定する。これらの構築物をpAB1と呼ぶ。
組み込みベクターpUB81へのGAPDHプロモーターのクローニング:
クローンpAB1をHindIIIで切断する。この切断により生じた付着末端部位をDNAポリメラーゼのKlenowフラグメント(Biolabs)で充填する。こうして線状化したベクターpAB1(3652bpフラグメント)を次にその5’末端をBamHIで切断した後、EcoRV及びBamHI部位間でベクターpUP81にクローニングする。連結時に、平滑末端化されたHindIII部位は平滑末端であるEcoRV部位に適合し、フラグメントpGAPDHと組み込みベクターpUP81の2つのBamHI半部位は相互に結合する。EcoRV部位を選択し、同時にURA3遺伝子を破壊した(図9)。クローンを酵素PstI及びBamHIで酵素制限により選択する。60、104、197、385、440及び2564bpフラグメント(ベクターpUB81に存在するフラグメント)以外に600及び800bpのDNAフラグメントを与えるクローンが、GAPDHプロモーターのDNAを含むベクターpUP81に相当する。この構築物をpAB2と呼ぶ。GAPDH遺伝子のプロモーターのDNAの5’末端からプライマーN3(配列番号3)により100bpにわたって配列決定することにより、プラスミドpAB2を含む3個のクローンが確認される。
8.ヒトシトクロムb5のYCYB5遺伝子座組み込みカセットの構築:
この構築は3種の異なるPCRで実施した。
第1のPCR(PCR1)では、プライマーN5(配列番号5)及びN6(配列番号6)と酵母W(N)のゲノムDNAを使用することにより、酵母シトクロムb5遺伝子(Yb5)のプロモーターの3’末端の353bpを増幅した。
−プライマーN5:5’−ggatccGAGCGGGTAATAGCCTGGAGTTTCC−3’(配列番号5)はその5末端からBamHI部位(小文字)を含む。このプライマーは、塩基7〜31が酵母シトクロムb5遺伝子のプロモーターのオープンリーディングフレームのヌクレオチド−331〜−306と相同である。
−プライマーN6:5’−ccgactgctctgccatGATTGTTTGATATTTTATGTTGTAGTTGATTG−3’(配列番号6)はその5’末端からヒトシトクロムb5遺伝子のオープンリーディングフレームの5’末端の最初から16個のヌクレオチドに相補的な配列である塩基1〜16(小文字)と、酵母シトクロムb5遺伝子のプロモーターのヌクレオチド−1〜−32に相補的な配列である塩基17〜49を含む。
増幅後のフラグメントは375bpである。
第2のPCR(PCR2)では、酵母シトクロムbp遺伝子のターミネーターの5’部分の最後の147bpをプライマーN7(配列番号7)及びN8(配列番号8)により増幅した。
−プライマーN7:5’−cctatacatggcagaggactgaATTCTTTTTCTTCCAGAATAGCCCACAC−3’(配列番号7)はその5’末端からヒトシトクロムb5遺伝子のオープンリーディングフレームのヌクレオチド383〜405に相同の配列である塩基1〜22(小文字)と、ターミネーターの停止コドンから1〜28位のヌクレオチドに相同の配列である塩基23〜50を含む。
−プライマーN8:5’−GGagatctGTGACATACTTCTATGCGATATAG−3’(配列番号8)はGCクランプを形成する塩基1〜2と、BglII部位に対応する塩基3〜8(小文字)を含む。このプライマーは塩基9〜32が酵母YCYB5遺伝子のターミネーターのオープンリーディングフレームの停止コドンから1〜147位のヌクレオチドに相補的である。
増幅後のフラグメントは180bpである。
PCR1及び2では、酵母W(N)のゲノムDNAを鋳型として用いる。
第3のPCR(PCR3)では、4種のプライマーを使用する。
−最初の2種のPCR産物(375及び180bp)200ngをプライマーとして使用し、ヒトシトクロムb5のコーディングフレームのDNA100ngを鋳型として用いる(図11)。こうすると、少量ではあるが、ヒトb5の組み込みカセット(CIH)が得られる。
−このPCR産物を次にプライマーP5(配列番号5)及びN8(配列番号8)で増幅すると、より多量の組み込みカセットが得られた。融合産物を増幅後に0.2mM dNTPの存在下でPfuポリメラーゼで76℃で30分間処理する。得られるフラグメントは917bpである。増幅はTaqポリメラーゼ(Appligene)を用いて実施する。
使用したPCRプログラムは以下の通りである。
PCR1及びPCR2:
Figure 0004717967
PCR3:
Figure 0004717967
こうして構築した組み込みカセット(CIH)をSfrI部位のレベルでpCRScriptベクターにクローニングする。得られたクローンpLIP1を、酵母YCYB5遺伝子のプロモーター及びターミネーターとヒトシトクロムb5遺伝子のコーディングフレーム間の2つの接合部のレベルの200bpにわたって配列決定することにより確認する。ヒトb5の組み込みカセットの組み込みが適正に行われるように組換えアームを延長するために、ベクターpLIP1の917bpのBamHI/BglIIフラグメントからヒトシトクロムb5遺伝子のコーディングフレームと酵母YCYB5遺伝子のプロモーター及びターミネーター全体を含む新規組み込みカセットを構築した。酵母YCYB5遺伝子全体を含むベクターYCYB5/YEP352(Truanら,1994)を固有ClaI部位で切断する。この線状化フラグメントとベクターpLIP1の917bpのBamHI/BglIIフラグメントでW(N)a株を同時形質転換する。ベクターYCYB5/YEP352の線状化はYCYB5遺伝子のコーディングフレームのレベルで行われるので、酵母シトクロムb5は酵母で相同組換え後にヒトシトクロムb5により置換される(図12)。発現ベクターの再環状化により組換え体を選択する(Bellamineら,1994)。新規ベクターpAB3を酵母から回収後、従来記載されている方法(Bellamineら,1994)に従って大腸菌で増幅する。
9.ヒトシトクロムb5の遺伝子間部位leu2D/SPL1組み込みカセットの構築:
SPL1遺伝子の500bpとの遺伝子間領域でLEU2遺伝子の直ぐ近傍にヒトシトクロムb5遺伝子を組み込むことが可能なカセットを2段階で構築した。
−ベクターpCD26の構築:LEU2遺伝子とSPL1遺伝子の500bpを併有するベクターpFL26(Bonneaudら,1991)から3回のPCRでNotI部位を導入した(図13)。
第1のPCRでは、プライマーP9(配列番号9)及びN10(配列番号10)を使用することによりLEU2遺伝子の3’部分の704bpを増幅する。
−プライマーN9:5’−TTGAAGGTTCAACATCAATTGATTG−3’(配列番号9)はLEU2遺伝子のオープンリーディングフレームの終点に対応するベクターpFL26のヌクレオチド2190〜2214に相同である(ベクターpFL26のナンバリングはBamHI部位の上流417bpに配置されたヌクレオチド1から始まる)。
−プライマーN10:5’−GTGTGgcggccgcCTCCTTGTCAATATTAATGTTAAAG−3’(配列番号10)はベクターpFL26のヌクレオチド2890〜2984に相補的な5個の塩基をその5’末端に含み、更に塩基6〜13のNotI部位と、塩基14〜38のヌクレオチド2857〜2881の相補的配列を含む。
第2のPCRでは、プライマーN11(配列番号11)及びN12(配列番号12)を使用することにより、SPL1遺伝子の3’部分の最後の347bpを増幅する。
−プライマーN11:5’−CAAGGAGgcggccgcCACACAAAAAGTTAGGTGT−3’(配列番号11)はベクターpFL26の配列のヌクレオチド2875〜2881に相補的な7個の塩基をその5’末端に含み、更に塩基8〜15のNotI部位と、塩基16〜34のpFL26のヌクレオチド2889〜2908に相同な配列を含む。
−プライマーN12:5’−TCTGCTTCCCTAGAACCTTCTTATG−3’(配列番号12)はベクターpFL26のSPL1遺伝子のオープンリーディングフレームをコードする鎖の3’末端のヌクレオチド3198〜3222に相補的である。
第3のPCRでは、最初の2回のPCRから得られた2つのフラグメント(NotI部位を含む20bpのオーバーラップをもつ)100ngを鋳型として使用し、プライマーN9及びN12をプライマーとして使用する。増幅後の1031bpをNsiI及びBstXI部位でベクターpFL26にクローニングし、ベクターpCD26を得る。
増幅はTaqポリメラーゼ(Appligene)を用いて実施する。最初の2回のPCRは上記第8節のPCR1及び2と同一プログラムを使用し、PCR3は下記プログラムを使用する。
Figure 0004717967
−組み込みベクターpAP1の構築:予め構築しておいたベクターpUP12(Urbanら,1990)から、BamHI/HindIII切断により酵母PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)遺伝子のプロモーター及びターミネーターの制御下のヒトシトクロムb5の発現カセットを回収する。この2400bpフラグメントをMung Beanヌクレアーゼ(Biolaps)で平滑末端化した後、DNAポリメラーゼのKlenowフラグメントで平滑末端化したNotI部位で切断したベクターpCD26にクローニングする(図13)。5154及び2904bpのPstI制限フラグメントを与えるクローン(pAP1と呼ぶ)を組み込みに使用する。
10−シトクロムP450による形質転換用ベクター
プラスミドpYeDP60は大腸菌oriと2μ oriの複製起点、アンピシリン耐性をコードするbla遺伝子、栄養素補充マーカーであるURA3及びADE2遺伝子、ガラクトースの存在下で誘導的なGAL 10−CYC 1ハイブリッドプロモーター及びPGK遺伝子の転写ターミネーターをもつ9265bpのシャトルベクター(細菌、酵母)である。発現させようとするcDNAのクローニング後に、特にBamHI、KpnI、EcoRI制限部位を含むポリリンカーをプロモーターと転写ターミネーターの間に挿入する。
プラスミド1A1/V60及び3A4/V60は、ヒトシトクロムP4501A1及び3A4を夫々コードするcDNAのコーディングフレームがGAL10−CYC1プロモーターとPGK転写ターミネーターの制御下に挿入されたベクターV60に対応する。
11−酵母株の形質転換用培地
YPGE培地
−酵母エキス 10g/l
−バクトペプトン 10g/l
−グルコース 5g/l
−エタノール 30ml/L
SW6培地
−酵母窒素基本培地(Difco) 7g/l
−グルコース 20g/l
−カザミノ酸(Difco) 1g/l
−トリプトファン 20mg/l
−寒天 15g/l(固体培地のみ)
対応するガラクトース培地(SW5)は、グルコースを同一濃度のガラクトースで置換える。
12−ミクロソームフラクションの調製
12.1 形質転換
「塩化リチウム」法と呼ばれる標準方法により酵母をプラスミド1A1/V60又は3A4/V60で形質転換する。アデニンとウラシルを含まない合成グルコース酵母培地(SW6)に、使用する株(更には株の遺伝子型)に応じて残留栄養要求性を補うように必要な栄養素を加え、この培地で形質転換細胞を選択する。グルコース培地で選択された一次形質転換細胞のかなりの割合は最少ガラクトース培地では成長しない。ガラクトース培地で適正に成長するクローニングのみを保存する。
12.2 予備培養
選択されたクローンをプラスミドに選択的な非誘導性最少グルコース培地(一般にSW6培地)で二次培養した後、同一液体培地20ml中で28℃で一晩インキュベートする。
12.3 培養
YPGE培地250mlに予備培養物を接種し、8〜9.6×107細胞/mlの細胞密度が得られるまで28℃で撹拌下にインキュベートする。次にガラクトースを20g/lの濃度まで加え、2×108細胞/mlの細胞密度が得られるまで培養物を28℃で一晩インキュベートする。ガラクトースの存在はGAL10−CYC1プロモーターに依存してシトクロムP450及び他の遺伝子の誘導を可能にする。
12.4 細胞の分画
細胞を遠心分離し、TE緩衝液、pH7.4(50mM Tris−HCl;1mM EDTA;0.1M KCl)で洗浄し、TE緩衝液、pH7.4、0.6Mソルビトールに再懸濁する。細胞を破壊するために、ガラスビーズを加え、試験管を4℃で5分間激しく転倒撹拌する。4℃で下記段階を実施する。破壊した細胞の懸濁液を回収し、ビーズを同一緩衝液で数回洗浄する。細胞破片、核及びミトコンドリアフラクションを除去するために、夫々3500rpmで3分間と15000rpmで10分間の2回の遠心分離を行う。ミクロソームを沈殿させるために、上清をNaCl(最終濃度0.15M)及びPEG 4000(最終濃度10%)の存在下で氷冷下に15分間インキュベートする。10000rpmで10分間遠心分離後に、TE緩衝液、pH7.4、20%グリセロール中でミクロソーム沈渣を回収する。ミクロソーム調製物を分取し、−80℃で保存する。
13−シトクロムP450の定量
ミクロソームフラクション中のシトクロムP450の濃度をスペクトルにより測定する。定量しようとするシトクロムP450をTE緩衝液、pH7.4で希釈(ミクロソームタンパク質約1mg/ml)し、数個の亜ジチオン酸ナトリウム粒子で還元する。基線(還元シトクロムP450対還元シトクロムP450)の記録後、数個のCO気泡を測定槽に加え、400〜500nmで示差スペクトルを測定する。COはシトクロムP450の還元鉄と安定な錯体を形成し、この錯体は450nmに特徴的吸収最大値をもつ。吸収係数εM(450〜490nm)は91mM-1.cm-1である。
14−ミクロソームタンパク質の定量
全タンパク質の定量はPIERCE−BCA定量キットを製造業者の指定条件で使用することにより実施する。ウシ血清アルブミンを標準として使用する。
15−シトクロムP450の触媒活性
15.1 ミクロソームでのEROD活性試験
シトクロムP4501A1は7−エトキシレゾルフィンのO−脱エチル化を触媒する。530nmで励起後の反応産物レゾルフィン(7−ヒドロキシフェノキサジン)は586nmで蛍光発光する。単位時間当たりに形成されるレゾルフィンの量はレゾルフィンの蓄積速度に対応する。
インキュベーション混合物は、50μM NADPH及び2.5μM 7−エトキシレゾルフィンを含むTE緩衝液(pH7.4)1ml中のミクロソーム(ミクロソームタンパク質20〜50μg)懸濁液2μlからなる。触媒効力に及ぼすウサギシトクロムb5の効果を測定するために、過剰の精製シトクロムの存在下でミクロソームフラクションを予め冷温でインキュベートする。
15.2 ミクロソームでのTHL活性試験:テストステロンの6β−ヒドロキシル化
テストステロンはシトクロム3A4により6β位をヒドロキシル化されたステロイドホルモンである。インキュベーション培地は、過剰のシトクロムb5の不在下又は存在下に50μM NADPH、80μMテストステロン(エタノール中5mM母液から)を含む50mM Tris、1mM EDTA、pH7.4又は50mMリン酸ナトリウム、pH7.4の緩衝液0.25ml中にミクロソームタンパク質100μgを含む。
インキュベーションは28℃又は37℃で10分間行う。水中50%TFA10μlを加えて反応を停止する。抽出手順は以下の通りである。
−ジクロロメタン500μl添加、
−1分間最大速度でボルテックス撹拌、
−10000rpmで5分間遠心分離、
−上部水相の除去、
−窒素流下に有機相の蒸発。
乾燥残渣をメタノール20μlにとった後、水20μlを加える。半量を逆相HPLCカラムSPHERI−5RP−18.5μm(100×2.1mm)に注入し、アセトニトリルを1ml/minで溶離剤として使用する。溶離勾配のアセトニトリル組成は0分で10%(v/v)→8分で60%とする。検出は254nmで行う。溶離時間はβ−ヒドロキシテストステロンで6分20秒間、テストステロンで8分間とする。
実施例
実施例1:W(hR,ΔB)株の構築
W(ΔB)a株(W0ABIF培地で成長)とW(hR)a株(W0ADIF培地で成長)を交配し、W0AIFグルコース培地で2倍体を選択する。この培地は1倍体の各々に致死性であるが、2倍体W(hR/YR,Yb5/ΔYb5)には非致死性である。2倍体クローンを同一選択培地でサブクローニングする。胞子形成後、四分子を顕微鏡解剖又はバルク解剖により解剖する。YPGalA培地で培養した胞子を次に炭素源としてガラクトースを含む種々の選択培地で二次培養し、各種胞子の栄養要求性を試験する。ガラクトース培地で成長し、ウラシルとヒスチジンに関して原栄養性の酵母クローンがW(hR,ΔB)株に対応する。同一培地でガラクトースをグルコースに置換えると、これらの条件下ではヒトレダクターゼが発現しないので、これらの酵母は成長しなくなる。二重欠失は致死性であるため、レダクターゼと酵母b5(その遺伝子は破壊されている)を同時に欠失しているこれらの株は成長しない(Truanら,1994)。顕微鏡解剖により得たSp1及びSp2とバルク解剖により得たC1及びC2の4個のクローンを後期試験に備えて保存する。
実施例2:W(GhR,ΔB)株の構築
NotIで切断したGAPDHプロモーターの組み込みベクターpAB2を使用してW(hR,ΔB)a株を形質転換する。ベクターpPL100(ベクターpAB2のDNA2mgに対してベクターpPL100のDNA10〜15ng)を同時形質転換マーカーとして使用する。形質転換細胞をW0BDIF培地で選択する。クローンを次の3種のスクリーニングにかける。
−ウラシル要求性の選択:形質転換細胞をW0ABDIF培地、次いでW0ADIF培地で二次培養し、ウラシルの不在下では成長しないクローンを検出する。GAL10−CYC1プロモーターの代わりにGAPDHプロモーターを組み込むとプロモーターの上流のURA3遺伝子も同時に不活化されるので、URA3遺伝子の喪失はGAL10−CYC1プロモーターがGAPDHプロモーターで置換されたことを示唆する。形質転換細胞の25%はウラシルの不在下では成長しない(図10)。
−第2の選択:GAPDHプロモーターの制御下で発現されるヒトレダクターゼの活性を確認するために、W(GhR,ΔB)クローンのケトコナゾール耐性を評価した(国際公開WO94/01564)。3個の異なるクローンは20mg/mlのケトコナゾールに耐性であるが、ヒトレダクターゼがGAL10−CYC1プロモーターの制御下で発現されるW(hR)株は同一条件下で1〜5mg/mlの耐性である。
−第3の選択:W(GhR,ΔB)株におけるヒトレダクターゼの発現レベルを推定するために、3個の被験クローンのミクロソームフラクションに含まれるレダクターゼによるシトクロムcの還元を測定する(Truanら,1993)。培養条件に応じてシトクロムcの還元はW(hR)株の1.5〜3倍である。
−呼吸試験:得られたクローンをN3固体培地で二次培養し、呼吸表現型を試験する。3個のクローンはN3上で成長しない。従って負の呼吸表現型である。「呼吸を正に」するためには、これらのクローンを正の呼吸表現型株W(hR)aと交配する。得られた2倍体W(GhR/hR,ΔB/Yb5)をW0AIF培地で選択する。胞子形成及びバルク解剖後、1倍体のゲノムDNAを調製した後、このDNAでプライマーN13(配列番号13)及びN14(配列番号14)を用いてPCRを実施する。
−プライマーN13:5’−CAGATCTGCATGCCTAAAGTTTACAGTTACC−3’(配列番号13)。塩基1〜30は酵母YCYB5遺伝子のオープンリーディングフレームの5’末端の30ヌクレオチドに相同である。
−プライマーN14:5’−CGGATTCTGCAGTTATTCGTTCAACAAATAATAAGCAACACC−3’(配列番号14)。塩基1〜42は酵母b5をコードする鎖のヌクレオチド321〜363に相補的である。
分析した6個のクローンのうち、3個のクローンは363bpに増幅されたバンド(酵母シトクロムb5遺伝子のコーディングフレーム)をもち、他の3個のクローンはHIS3遺伝子の寸法(1700bp)と酵母b5のオープンリーディングフレームの寸法(363bp)の和に対応する2063bpのバンドをもつ。これらのクローンをW0ABIF固体培地でサブクローニングし、ヒスチジンに対する栄養要求性を試験する。全クローンはヒスチジンの不在下で成長するが、そのうちの50%(363bpに増幅されたPCRバンドをもつクローン)はヒスチジン要求性であるとみなされる。元のW(N)株のhis3−11遺伝子は突然変異している。W(ΔB)株(Truanら,1993)の構築時にYCYB5のコーディングフレームにHIS3遺伝子を組み込んで酵母YCYB5遺伝子を破壊した際に、別の遺伝子座へのHIS3遺伝子の第2の組み込みが随伴したと予想される。このため、HIS3遺伝子の2個の機能的コピーを含む株(W(ΔB))が構築されると考えられる。HIS3遺伝子を分離すると2/2型ではなくなる。得られる結果はこのように説明できる。これらのクローンの2個を後期試験に備えて保存する(B1及びB2)。
実施例3:W(hR,hb5)株の構築
SP1、SP2、C1及びC2の4個のクローンをYPGalA液体完全培地で培養し、ベクターpAB3の2022bpのPvuIIフラグメントにより形質転換する(図12)。形質転換細胞をYPGA培地にプレーティングする。ヒトシトクロムb5がグルコース培地上でW(hR,ΔB)株を致死性から救済する能力について組み込み細胞を選択する。成長したクローンをロット毎にまとめる。各ロットのゲノムDNAを調製する。プライマーN5(配列番号5)及びN15(配列番号15)を用いてPCRを実施する(上記第8節のPCR1及び2と同一条件)。758bpに増幅されたバンドを与えるロットをPCRにより個々に分析する。ヒトシトクロムb5の発現カセットをYCYB5遺伝子座に組み込んだクローンW(hR,hb5)が初期クローンW(hR,ΔB)Sp1から得られる。
−プライマーN15:5’−CCgaattcTGATCAGTCCTCTGCCATGTATAGG−3’(配列番号15)。塩基1〜2はGCクランプであり、塩基3〜8(小文字)はEcoRI部位に対応し、塩基9〜14はBclI部位に対応し、塩基12〜14は停止コドンに対応し、塩基15〜33はヒトシトクロムb5遺伝子のオープンリーディングフレームのヌクレオチド386〜405に相補的である。
実施例4:W(GhR,hb5)の構築
クローンB1及びB2をYPGA液体完全培地で培養し、ベクターpAB3の2022bp PvuIIフラグメントと同時形質転換マーカーとしてのベクターpPL100により形質転換する。形質転換細胞をW0BDIF固体培地で選択する。成長するクローンを次にロット毎にまとめ、プライマーN3(配列番号3)及びN13(配列番号13)を使用することによりPCR分析する。前節と同様に個々のクローンをPCRにより確認する。
実施例5:W(hR,Lhb5)株の構築
組み込みベクターpAP1をXbaIにより切断する。SP1、SP2、C1及びC2の4個のクローンをこの線状化フラグメントで形質転換する。形質転換細胞をYPGA培地にプレーティングする。酵母で相同組換えにより、PGK遺伝子のプロモーター及びターミネーターの依存下のヒトシトクロムb5発現カセットは遺伝子間部位leu2/SPL1に組み込まれる(図14)。この組換えは同時に、ゲノム内の不活性leu2−3遺伝子をベクターpAP1に含まれる野生型LEU2で置換することができる。形質転換細胞の第1の選択はLEU2遺伝子の復元、即ち形質転換細胞のロイシン要求性について行われる(選択培地W0AI)。第2の選択は上記第9節に記載したPCR条件でプライマーN9(配列番号9)及びN16(配列番号16)を用いることにより形質転換細胞のゲノムDNAでPCRにより実施される。1495bpのPCRバンドを示すクローンはhb5の発現カセットを組み込んでいる。
−プライマーN16:5’−GCCCAGATCTATGGCAGAGCAGTCGGACG−3(配列番号16)は塩基1〜4のGCクランプ配列と、塩基5〜10のBglII部位と、ヒトシトクロムb5遺伝子のオープンリーディングフレームのヌクレオチド1〜19(ATGから)に相同の配列である塩基11〜29を含む。
実施例6:W(GhR,Lhb5)株の構築
この株の構築はW(GhR,ΔB)から出発する以外はW(hR,Lhb5)株と同様に行う。W0ABI培地で形質転換細胞を直接選択した後、ゲノムDNAでPCR分析する。
実施例7:W(R,Lhb5,Yb5)株の構築
W(R)株をYGPA液体完全培地で培養し、XbaIにより線状化したベクターpAP1により形質転換する。形質転換細胞の第1の選択はLEU遺伝子の復元、即ち形質転換細胞のロイシン要求性について行う(選択培地W0AI)。第2の選択は上記第9節(材料と方法の項)に記載したPCR条件でプライマーN9(配列番号9)及びN16(配列番号16)を使用することにより形質転換細胞のゲノムDNAでPCRにより行う。1495bpのPCRバンドを示すクローンはhb5の発現カセットを組み込んでいる。この株はガラクトースの存在下で酵母レダクターゼを過剰発現し、PGKプロモーターの制御下でヒトシトクロムb5を発現する。内在b5の発現は正常株と変わらない。
実施例8:W(hR,Lhb5,Yb5)株の構築
W(R)株をW(hR)株に置換える以外はW(R,Lhb5,Yb5)株と同様に構築する。
実施例9:本発明による酵母株におけるシトクロムP450の発現レベル
種々の株における2種のシトクロムP450の発現レベルを表II及びIIIに示す。驚くべきことに、シトクロムP450の発現レベルは同等の培養条件でヒト化株で有意に増加している。タンパク質1mg当たりの活性は発現レベルとターンオーバー値に同時に比例して増加することが認められる。
Figure 0004717967
Figure 0004717967
実施例10:酵母で産生されるシトクロムP4501A1及び3A4の酵素特性に及ぼすレダクターゼとシトクロムb5の効果
得られた結果によると、シトクロムP4501A1の触媒効力は、酵母レダクターゼを過剰生産し且つヒトシトクロムb5を産生する1倍体株W(R,LHb5)で最適である。他方、ウサギシトクロムb5を加えると活性は僅かに増加し、代謝物27pmol/pmolシトクロムP450/分のターンオーバーに達する。
シトクロムP4501A1で得られる結果とは逆に、シトクロムP4503A4の触媒効力はヒトレダクターゼを発現する酵母株で優先的に増加する。W(GhR,hb5)株は最適触媒効力を示す。レダクターゼの種類とレベルに関係なく、シトクロムb5をコードするcDNAが株のゲノムに存在すると触媒効力は増加する(2〜20倍)。シトクロムb5の内在遺伝子の欠失は、特に発現されるヒトb5の存在下で非常に有利な要因であると思われる。ヒトレダクターゼの発現、内在シトクロムb5の破壊及び同一1倍体酵母株におけるヒトb5の発現は、所定のヒトシトクロムP450、特にシトクロムP4503A4の発現に特に有利な要因である。
実施例11:シトクロムP450とヒトミクロソームシトクロムb5の同時発現を可能にするプラスミドの構築
本実施例は本発明による酵母株のP450活性を最適化するために使用可能なプラスミドの構築に関する。これらのプラスミドはシトクロムP450とヒトミクロソームシトクロムb5の同時発現を可能にする。この系列の全プラスミドは以下の共通特徴の兼備という独自の特徴をもつ。
(i)P450の発現カセットは誘導的GAL10−CYC1プロモーターの転写制御下にあることが好ましい。
(ii)シトクロムb5の発現カセットはGAL10−CYC1、GAPDH又はPGKの3種のプロモーターのうちの1種の転写制御下にあることが好ましい。
(iii)2個の選択マーカーが存在し、そのうちの一方は酵母ADE2遺伝子であることが好ましい。
(iv)2個の発現カセットがプラスミド上で酵母複製起点とADE2マーカーにより分離されている。b5とP450の発現にGAL10−CYC1型の2個の同一プロモーターを使用する場合には、これらのプロモーターはプラスミド上で(プラスミドの回転に関して)逆向きである。2種の異なる転写ターミネーター、好ましくは酵母PGK及びP450レダクターゼ遺伝子の転写ターミネーターを使用する。
これらの性質の兼備は、特に相同組換え現象に対して安定なプラスミドを獲得することを目的とする。
この系列のプラスミドはシトクロムb5の発現に使用するプロモーターと別種である。この性質により、相対発現レベルを調節し、種々の培養条件又は用途に合わせて最適化することができる。
実施例11.1 GAL10−CYC1プロモーターの制御下のP450の発現とPGKプロモーターの制御下のヒトb5の発現を可能にするプラスミドpAP4の構築
図15に示すベクターpYeDP1/10/Hb5は、開始コドンのすぐ上流のBglII部位と停止コドンのすぐ下流のEcoRI部位に挟まれたヒトシトクロムb5のORF(オープンリーディングフレーム)を含む。カセットBglII−EcoRIは発現ベクターpYeDP1/10(CullinとPompon,Gene.65(1988)203−217)に含まれる。このベクターをBamHIとHindIIIで消化する。PGK遺伝子のプロモーター及びターミネーターの配列とヒトシトクロムb5をコードする配列を含む2310bpのフラグメントを回収後、DNAポリメラーゼのKlenowフラグメントで処理して平滑末端化する。ベクターpYeDP60を制限酵素EcoRVで消化し、5819bpフラグメントを回収する。このフラグメントは酵母と大腸菌の複製起点を含む。このフラグメントを再環状化し、ベクターpAP2を得る。このベクターをPvuIIで消化し、図17に示す発現カセットを含むベクターpAP3が得られるような向きでベクターpYeDP1/10/Hb5に由来する2310bpフラグメントを挿入する。このベクターをBglIで消化する。7012bpフラグメントを回収する。ベクターpYeDP60をPvuIIにより線状化し、線状化プラスミドに対応するバンドを精製する。W(N)株のクローンに由来する酵母培養物を線状化プラスミドと7012bpフラグメントで同時形質転換し、ウラシルとアデニルに関する原栄養株クローンを選択する。酵母で相同組換えにより、PGK遺伝子のプロモーター及びターミネーターの制御下のシトクロムb5の発現カセットはベクターpYeDP60のPvuII部位に置換し、最終ベクターpAP4を与える(図16及び17)。ベクターpAP4に対応するプラスミドDNAを酵母から回収し、これを使用して大腸菌を形質転換する(Ampr)。選択、増幅及び制限によるプラスミド構造の確認後、GAL10−CYC1プロモーターとPGK遺伝子のターミネーターの間に配置された多重クローニングゾーンでベクターpAP4に該当シトクロムP450のORFを挿入する。得られたプラスミドを使用し、本願に記載する酵母株のうちで優先的に選択される受容酵母株をアデニルとウラシルに関する原栄養株クローンの選択により形質転換する。
実施例11.2 GAL10−CYC1プロモーターの制御下のP450の発現とGAPDHプロモーターの制御下のヒトb5の発現を可能にするプラスミドpVD2の構築
ベクターpYeDP1/10/Hb5をBglIIとEcoRIで消化し、ヒトシトクロムb5をコードするバンドを除去する。b5のORFに対応する417bpのバンドを精製した後、BamHIとEcoRIで消化したpAB2にクローニングする。得られたベクターで次にEcoRI消化によりEcoRI部位を破壊後、DNAポリメラーゼのKlenowフラグメントによりこの部位を充填した後、リガーゼにより再環状化する。4993bpのこのプラスミドをpVD1と呼ぶ(図16及び18)。
次に、プライマーN17(配列番号17)及びN18(配列番号18)をプライマーとして使用することにより、pVD1の発現カセットをPCR増幅する。増幅後のバンドは1753bpである。プライマーはpYeDP60のPvuII固有部位の周囲に配置された領域で発現カセットの両端に相同組換えアームを付加するように設計する。PvuII部位で線状化してアルカリホスファターゼにより脱リン酸化したpYeDP60と、PCR増幅した発現カセットの相同組換え(実施例11.1及び図17参照)により、図16及び19に示すベクターpVD2が得られる。酵母(同時形質転換)、次いで大腸菌(選択及び増幅)にシャトル後にこのベクターの構造をPstI及びHindIII消化により確認する。10994bpの消化バンドを示す所望のプラスミドをpVD2(図19)と呼ぶ。プライマーN19(配列番号19)及びN20(配列番号20)で配列決定することにより発現カセットの種々の接合部を確認する。
実施例11.3 GAL10−CYC1プロモーターの制御下のP450の発現とGAL10−CYC1プロモーターの制御下のヒトb5の発現を可能にするプラスミドpVD3の構築
前記構築と同様に、pYeDP1/10/Hb5からBglII−EcoRIフラグメントとしてヒトシトクロムb5のORFを得る。(i)酵母P450レダクターゼ遺伝子のプロモーター領域のすぐ上流に配置された配列と、(ii)URA3遺伝子と、(iii)GAL10−CYC1プロモーターと、(iv)酵母P450レダクターゼ遺伝子の転写ターミネーターから構成される配列ブロックを含む図15に示すプラスミドpYeDP110のBamHI及びEcoRI部位間にこのORFを連結により導入する。上述のように、連結産物であるプラスミドのEcoRI部位を切断により破壊−充填−連結し、pVD3と呼ぶ5551bpのプロモーターを得る(図20)。次に、GAL10−CYC1プロモーターの制御下のヒトシトクロムb5の発現カセットを実施例12と同様にプライマーN17及びN18によりPCR増幅する。増幅後の2365bpのバンドを精製後、上述のようにpYeDP60のPvuII部位に相同組換えにより導入する(GAPDHプロモーターをGAL10−CYC1に置き換える以外は図19に同じ)。本発明のプラスミドの一般構造の説明で示したように、PCRにより導入した組換えアームの配列の性質により、組換えプラスミド上に存在する2個のGAL10−CYC1カセットは逆向きになる。次に、酵母−大腸菌シャトル後にpVD4と呼ぶ11595bpのプラスミド(図16)を選択する。GAL10−CYC1プロモーターとシトクロムb5遺伝子の接合部をプライマーN21(配列番号21)による配列決定により確認する。
得られた株の命名法:
W(GhR,ΔB):MATa,leu2-3,112,ade2-1,trp1-1,ura3-1.
W(hR,ΔB):MATa,leu2-3,112,ade2-1,trp1-1.
W(hR,hb5):MATa,leu2-3,112,ade2-1,trp1-1.
W(GhR,hb5):MATa,leu2-3,112,ade2-1,trp1-1,ura3-1.
W(hR,Lhb5):MATa,ade2-1,trp1-1.
W(GhR,Lhb5):MATa,ade2-1,trp1-1,ura3-1.
W(R,Lhb5,Yb5)
W(hR,Lhb5,Yb5)
使用したプライマーの配列:
Figure 0004717967
最初から42個の塩基はpYeDP60の塩基4069〜4113の領域に相同である。大文字で示した塩基43〜69に相当するプライマーのヌクレオチドはURA3遺伝子の1領域に対応するpUB81の塩基5772〜5799の領域に相同である。
Figure 0004717967
最初から43個の塩基はpYeDP60の塩基4114〜4157の領域の相補鎖に相同である。塩基44〜71はpUB81の塩基2507〜2538の領域に相同である。
Figure 0004717967
このプライマーはGAPDHプロモーターの制御下のヒトシトクロムb5の組み込みカセットに隣接するURA3遺伝子のオープンリーディングフレームの終点に対応するpVD2の4102〜4125の領域に相同である。
Figure 0004717967
この配列決定用プライマーはGAPDHプロモーターの終点に対応するpVD2の塩基4835〜4860の部分に相同である。
Figure 0004717967
この配列決定用プライマーはGAL10−CYC1プロモーターとヒトシトクロムb5のORFの接合部の−120bpに配置されたGAL10−CYC1プロモーターの領域に相同である。
参考文献:
Figure 0004717967
Figure 0004717967
配列表
配列番号:1
配列の長さ:27
配列の型:ヌクレオチド
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
ハイポセティカル配列:No
アンチセンス:No
配列
Figure 0004717967
配列番号:2
配列の長さ:31
配列の型:ヌクレオチド
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
ハイポセティカル配列:No
アンチセンス:No
配列
Figure 0004717967
配列番号:3
配列の長さ:31
配列の型:ヌクレオチド
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
ハイポセティカル配列:No
アンチセンス:No
配列
Figure 0004717967
配列番号:4
配列の長さ:42
配列の型:ヌクレオチド
鎖の数:1本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
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アンチセンス:No
配列
Figure 0004717967
配列番号:5
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配列の型:ヌクレオチド
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トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
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配列
Figure 0004717967
配列番号:6
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Figure 0004717967
配列番号:7
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Figure 0004717967
配列番号:8
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Figure 0004717967
配列番号:9
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配列番号:10
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配列
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Figure 0004717967
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配列
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配列
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配列
Figure 0004717967
配列番号:21
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ハイポセティカル配列:No
アンチセンス:No
配列
Figure 0004717967

Claims (19)

  1. 1)酵母シトクロムb5をコードする遺伝子と酵母NADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする遺伝子が不活化されており、2)ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸を含み、3)ヒトシトクロムb5をコードする核酸を含むことを特徴とし、前記核酸がcDNAであることを特徴とする遺伝子改変酵母株。
  2. ヒトcDNAの少なくとも1個が構成的又は誘導的酵母プロモーターの制御下にあることを特徴とする請求項に記載の株。
  3. 構成的プロモーターがグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーター及びシトクロムb5の内在プロモーターから選択されることを特徴とする請求項に記載の株。
  4. 誘導的プロモーターがGAL10及びCYC1−GAL10プロモーターから選択されることを特徴とする請求項に記載の株。
  5. ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸が酵母のゲノムに組み込まれていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の株。
  6. ヒトシトクロムb5をコードする核酸が酵母のゲノムに組み込まれていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の株。
  7. ヒトシトクロムP450をコードする少なくとも1種の核酸を更に含むことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の株。
  8. ヒトシトクロムP450をコードする核酸がプラスミド上に組み込まれていることを特徴とする請求項に記載の株。
  9. ヒトシトクロムb5をコードする核酸を前記プラスミド上又はゲノムに更に組み込んでいることを特徴とする請求項に記載の株。
  10. 1倍体であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の株。
  11. 酵母がSaccharomyces cerevisiae株であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の株。
  12. ヒトシトクロムb5をコードする核酸とヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸を含むことを特徴とする請求項1から10及び11のいずれか一項に記載の株。
  13. ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸が酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下にあることを特徴とする請求項12に記載の株。
  14. ヒトシトクロムb5をコードする核酸が酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下にあることを特徴とする請求項12に記載の株。
  15. ヒトシトクロムb5をコードする核酸が酵母ホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下にあり、ヒトNADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする核酸が酵母グリセルアルデヒドリン酸デヒドロケナーゼ遺伝子のプロモーターの制御下にあることを特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の株。
  16. ヒトシトクロムP450をコードする少なくとも1種の核酸を更に含むことを特徴とする請求項12から15のいずれか一項に記載の株。
  17. ヒトシトクロムP450をコードする核酸がプラスミド上に組み込まれていることを特徴とする請求項16に記載の株。
  18. GAL10−CYC1プロモーターの制御下にあるヒトNADPH−シトクロムP450リダクターゼをコードする核酸を含み、酵母シトクロムb5および酵母NADPH−シトクロムP450レダクターゼをコードする遺伝子が不活化されている酵母株を利用することを特徴とする、請求項12または14に記載の株の獲得方法。
  19. グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼプロモーターの制御下にあるヒトNADPH−シトクロムP450リダクターゼをコードする核酸を含み、酵母シトクロムb5および酵母NADPH−シトクロムP450リダクターゼが不活化されている酵母株を利用することを特徴とする、請求項13または15に記載の株の獲得方法。
JP51171597A 1995-09-15 1996-09-13 遺伝子改変酵母株 Expired - Fee Related JP4717967B2 (ja)

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