(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるパチンコ遊技機およびその制御方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(パチンコ遊技機の基本構成)
図1は、本発明のパチンコ遊技機の遊技盤の一例を示す正面図である。遊技盤101の下部位置に配置された発射部(図2参照)の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、図示を省略する複数の釘が設けられ、遊技球を各種の方向に向けて落下させるとともに、落下途中の位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や、入賞口が配設されている。
遊技盤101の遊技領域103の中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104としては、例えば液晶表示器(LCD)が用いられる。図柄表示部104の下方には、始動入賞させるための始動入賞口105が配設されている。図柄表示部104の左右には、それぞれ入賞ゲート106が配設されている。入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる抽選を行うために設けられる。図柄表示部104の側部や下方等には普通入賞口107が配設されている。普通入賞口107に遊技球が入賞すると、普通入賞時の賞球数(例えば10個)の払い出しを行う。遊技領域103の最下部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
上述した図柄表示部104は、特定の入賞口に遊技球が入賞したとき(始動入賞時)に、複数の図柄の表示の変動を開始させ、所定時間後に図柄が停止する。この停止時に特定図柄(例えば「777」)に揃ったとき、大当たり状態となる。大当たり状態のとき、下方に位置する大入賞口109が一定の期間開放を所定ラウンド(例えば15ラウンド)繰り返し、入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す。
図2は、パチンコ遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。制御部200は、複数の制御部により構成されている。図示の例では、主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203とを有する。主制御部201は、パチンコ遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。演出制御部202は、遊技中の演出動作を制御する。賞球制御部203は、払い出す賞球数を制御する。
主制御部201は、ROM212に記憶されたプログラムデータに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU211と、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM213等を備えて構成される。主制御部201は、例えば主基板によってその機能を実現する。
この主制御部201の入力側には、始動入賞口105に入賞した入賞球を検出する始動入賞口検出部221と、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入賞した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口109に入賞した入賞球を検出する大入賞口検出部224とが接続されている。これらの検出部としては、近接スイッチ等を用いて構成できる。
この主制御部201の出力側には、大入賞口開閉部231が接続され、この大入賞口開閉部231の開閉を制御する。大入賞口開閉部231は、大当たり時に大入賞口109を一定期間開放する機能であり、ソレノイド等を用いて構成される。この大当たりは、生成した乱数に基づき所定の確率で発生するよう予めプログラムされている。
演出制御部202は、ROM242に記憶されたプログラムデータに基づき、遊技中における演出制御を行う。この演出制御部202は、演出処理を実行するCPU241と、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM243等を備えて構成される。演出制御部202は、例えば演出基板によってその機能を実現する。
この演出制御部202は、主制御部201から遊技中である各種データを受け取り、この遊技中における演出制御を行う。演出制御部202の出力側には、上述した図柄表示部(LCD)104と、ランプ制御部251が接続されている。演出制御部202は、図柄表示部(LCD)104に対しては、遊技中における演出内容、例えば、図柄の移動表示や、リーチ(3つの図柄のうち2つが揃った状態)、および大当たり時の各種表示情報を生成して出力する。演出制御部202は、ランプ制御部251に対しては、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行うデータを出力する。
賞球制御部203は、ROM282に記憶されたプログラムデータに基づき、賞球制御を行う。この賞球制御部203は、賞球制御の処理を実行するCPU281と、CPU281の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM283等を備えて構成される。賞球制御部203は、例えば賞球基板によってその機能を実現する。
賞球制御部203は、接続される払出部291に対して入賞時の賞球数を払い出す制御を行う。また、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。賞球制御部203は、この払出部291に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイド等を備える。賞球制御部203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
上記構成の主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203は、それぞれ異なるプリント基板(主基板、演出基板、賞球基板)に設けられる。これに限らず、例えば、賞球制御部203は、主制御部201と同一のプリント基板上に設けることもできる。
(パチンコ遊技機の基本動作)
上記構成によるパチンコ遊技機の基本動作の一例を説明する。主制御部201のCPU211により遊技中の制御が行われ、各入賞口に対する遊技球の入賞状況を賞球制御部203に出力し、賞球制御部203は、入賞状況に対応した賞球数の払い出しを行う。
また、始動入賞口105に遊技球が入賞する毎に、対応する制御信号を演出制御部202に出力し、演出制御部202は、図柄表示部104の図柄を変動表示させ、停止させることを繰り返す。大当たりの発生が決定している時には、対応する制御信号を演出制御部202に出力し、演出制御部202は、所定の図柄で揃えて停止させる。このとき同時に、大入賞口109を開放する制御を行う。演出制御部202は、大当たり発生期間中、および大当たり発生までの間のリーチ時や、リーチ予告時等には、図柄表示部104に対して、図柄の変動表示に加えて各種の演出表示を行う。このほか、各種役物に対して特定の駆動を行ったり、ランプ262の表示状態を変更する等の演出を行う。
そして、大当たり発生時には、大入賞口109が複数回開放される。1回の開放が1ラウンドとして、例えば15回のラウンドが繰り返し実行される。1ラウンドの期間は、遊技球が例えば10個入賞したとき、あるいは所定期間(例えば30秒)とされている。この際、賞球制御部203は、大入賞口109に対する球技球1個の入賞あたり15個の賞球数で払い出しを行う。大当たり終了後は、この大当たり状態が解除され、通常の遊技状態に復帰する。
(演出役物の構成)
図3は、演出役物および図柄表示部を示す図である。この発明の遊技盤101は、図柄表示部104の前方の位置に演出用の役物(以下、演出役物と称す)301が設けられている。演出役物301は、図柄表示部104の表示領域の一部を覆うように出現し退避(移動)する物体である。
図4は、演出役物の移動途中の状態を示す斜視図である。図4に示す状態は、扇が開く途中(角度θ1)の状態である。演出役物301は、扇状の複数の第1の羽根311a〜第3の羽根311cからなり、第1〜第3の羽根311a〜311cは、同軸の回転軸312部分を中心に回動自在である。301aは、第1〜第3の羽根311a〜311cの外縁部であり、所定径を有する円弧状となる。301bは、回動する際の端部(回動端部)である。この第1〜第3の羽根311a〜311cの表面は、放射状に複数の凹凸状の傾斜面が形成されている。
第1の羽根311aには、回転軸312の付近にギヤ313aが設けられている。このギヤ313aは、複数の減速用のギヤ313b,313cを介してモータ314に連結されている。第1の羽根311aには、回転軸312を中心として円弧状に形成されたガイド溝体314aが形成されている。このガイド溝体314aには、第2の羽根311bのピン315bが係合している。同様に、第2の羽根311bにもガイド溝体314bが形成されており、このガイド溝体314bには、第3の羽根311cのピン315cが係合している。
この演出役物301は、第1の羽根311aに設けられている検出板322を固定のセンサ321が検出したとき、退避状態として検出される。これにより、演出制御部202は、演出役物301が退避状態(および初期位置)にあるか否かを検出できる。この退避状態において、第1〜第3の羽根311a〜311cは、開口部316の開口位置から下方に位置して退避している。開口部316は、図柄表示部104の下端部分に設けられている。
そして、モータ314を正転駆動させることにより、ギヤ313a〜313cを介して第1の羽根311aが回転駆動され、開口部316部分から表出し始めながら上方に移動する(図4に示す状態)。これにより、第1の羽根311aは、図柄表示部104の表示領域の下半部を下方から旋回して覆う如く移動する。第1の羽根311aが所定角度回動した以降は、ガイド溝体314aに係合するピン315bを介して第2の羽根311bが連動して回動する。同様に、第2の羽根311bが所定角度回動した以降は、ガイド溝体314bに係合するピン315cを介して第3の羽根311cが連動して回動する。
図5は、演出役物が開いた状態を示す裏面図である。図5に示す状態は、扇が開いた(角度θ2)状態である。第1の羽根311aの回動により第2の羽根311bおよび第3の羽根311cが連動して、最終的には、図5に示す如く、これら第1〜第3の羽根311a〜311cにより一つの扇を形成する。このとき、第1〜第3の羽根311a〜311cにより形成される扇の角度はθ3である。この際、前方からみて第1〜第3の羽根311a〜311cの間に隙間が生じないよう、ガイド溝体314a,314bの長さが設定されている。演出役物301は、開いた状態において、角度θ2およびθ3が予め定められた角度となるよう、ガイド溝体314a,314bと、ピン315b,315cの係合状態が定められている。このため、演出役物301が角度θ2まで開いた状態を検出するセンサ等は不要である。上記構成によれば、実際に扇子を開く動作と同じような動作を再現することができる。
この扇形状の演出役物301は、プラスチック等により形成されており軽量化されている。また、モータ314は、ステッピングモータが用いられ、演出制御部202による制御を受けてランプ制御部251が生成し、供給されるパルス数に応じた回転駆動を行う。演出役物301が退避した状態から全開となる状態になるまで開く時間は、パルス数の出力間隔に基づいて設定することができ、閉じる時間についても同様に設定することができる。
通常の遊技期間中は、この演出役物301は、開口部316部分から遊技盤101内部に退避しており、図柄表示部104の表示を妨げない。一方、所定の演出時、例えば、リーチ予告時やリーチ時等には、この演出役物301が図3に示すように、図柄表示部104の前方を覆うように出現(移動)した後、再び退避する演出動作を行う。演出役物301の退避は、モータ314を逆転駆動させることにより行える。
(演出制御部の内部構成)
図6は、演出制御部の内部機能を示すブロック図である。図2に示す演出制御部202のCPU241が実行する各機能をブロックにして記載してある。この図6には、前述した演出役物301の駆動と図柄表示部104の表示内容とを連動制御させる構成を主に抽出して記載してある。演出制御部202は、演出役物301の駆動制御と、演出役物301の移動(出現)時における図柄表示部104の表示制御とを連動させる制御を行う。CPU241は、特定演出部601と、連動制御指示部602と、図柄生成部603とを有している。
特定演出部601は、主制御部201から入力される制御信号に基づいて、演出役物301の駆動と、図柄表示部104の表示内容とを連動させる特定演出を行うか否かを判断する。特定演出部601により、演出役物301の駆動と、図柄表示部104の表示内容とを連動させる特定演出を行う、と判断された場合には、連動制御指示部602に対して演出役物301の駆動と、図柄表示部104の表示内容とを連動させる指示を行う。連動制御指示部602は、この連動制御時に、図柄生成部603に対しては、特定演出用の図柄を生成するよう制御指示を出力する。これと同時に、ランプ制御部251に対しては、演出役物301を駆動する制御指示を出力する。
この連動制御指示部602は、タイミング制御部612を有する。タイミング制御部612は、図柄生成部603に出力する指令の制御信号S1の出力タイミングと、駆動制御部610に出力する駆動の制御信号S2の出力タイミングとを同期させる。詳細は後述するが、この同期とは、演出役物301が出現したときの移動位置と、図柄表示部104に表示される表示内容の表示位置とを一致させるために行う。このために、タイミング制御部612は、制御信号S1,S2の出力タイミングを調整する。図柄生成部603は、後述するように、演出役物301と連動させる表示内容の図柄を生成して図柄表示部104に出力する。
ランプ制御部251には、前述したランプ262の点灯制御に加え、演出役物301を駆動させる駆動制御部610が設けられている。駆動制御部610は、演出役物301に設けられているモータ314に対して駆動信号(パルス)を出力する。駆動制御部610は、図5に示したように、演出役物301が扇形状となる角度θ2に対応するパルス数の駆動信号をモータ314に供給する。この実施の形態では、ランプ制御部251に演出役物301の駆動制御を行う駆動制御部610を設ける構成としたが、この駆動制御部610は、演出制御部202に設ける構成としてもよい。
(図柄表示部の表示内容)
図7および図8は、それぞれ図柄表示部における演出表示内容を示す図である。図柄表示部104は、演出役物301の駆動と、図柄表示部104の表示内容との連動時には、演出役物301の移動状態に連動するよう、図柄生成部603により生成された図柄の演出内容が表示される。図7に示す例は、図4に示した演出役物301の移動位置に対応した演出表示内容であり、演出役物301の移動に連動して、角度θ1までの範囲において扇状に開いていく演出表示を行う。
具体的には、光が中心「o」を中心として放射状に広がるコロナの如き散乱光表示領域701を表示させる。散乱光表示領域701は、光が広がるように中心「o」からの長さがランダムな先端部701aを有する。先端部701aは、線状に明確に表示することもできるし、明確な線状ではなく背景に溶け込む如く濃度が薄くなるように表示することもできる。701bは、散乱光表示領域701の開く方向の端部位置(回動端部)を示している。また、表示領域702は、演出役物301に重なる表示領域であるため、散乱光表示領域701と同じ演出表示を行ってもよいし、行わなくてもよい。図示の例では、表示領域702の表示を行わない例であり、演出役物301の外縁部301aの移動軌跡301Aに沿ったやや内側の部分から散乱光表示領域701を設定している。これにより、演出役物301をみたときに、演出役物301の外縁部301a部分から散乱光が発しているように見せる演出が行える。演出役物301と、図柄表示部104との間には所定の隙間があるが、例え、この部分をやや斜め上方からみたときであっても、演出役物301の外縁部301aと散乱光とが離れることなく、外縁部301a部分に連続して散乱光が発しているように見せる演出が行える。
これにより、演出役物301に重なる表示領域702を除く外部の領域(演出役物301の外縁部301aから略上方の位置)に、散乱光表示領域701が表示される。この散乱光表示領域701は、色調が近い複数色、例えば、白色付近の色調を用いたグラディエーションにより表示する。これに限らず、色調が大きく異なる複数色を用いたグラディエーションにより虹色の如く表示することもできる。このようにすることによって、扇をより目立たせ、扇の出現が迫力あるものとして顧客に示すことができる。
図8に示す例は、図5に示した演出役物301の移動位置に対応した演出表示内容である。図5に示したように演出役物301の回動端部301bが角度θ2まで扇状に開いたとき、この移動に連動して、角度θ2までの範囲において扇状に開いていくように、散乱光表示領域701の演出表示を行う。この際、演出役物301の扇の角度はθ3であり、散乱光表示領域701も同じ角度θ3を有して表示させる。この散乱光表示領域701は、表示開始とともに角度θを増加させながら図7から図8に示す状態となるように、表示する内容が時間経過とともに変化する、動く画像(動画)により表示され、この際、散乱光表示領域701の先端部701aについても、中心「o」からランダムな長さのものが表示されていく。
(演出役物の駆動と図柄表示部の表示内容との連動の処理)
図9−1および図9−2は、演出役物の駆動と図柄表示部の表示内容との連動制御内容を示すフローチャートである。これらの図に示す処理は、図6に示した演出制御部202のCPU241の各機能が主に統括して実行する。演出役物301の駆動制御については、ランプ制御部251に設けられた駆動制御部610が実行するものであるが、便宜上、駆動制御部610が行う演出役物301の駆動制御についても含めて記載してある。
遊技中において、演出制御部202は、主制御部201から入力される制御信号に基づいて、所定の演出制御を行う。演出制御としては、例えば、大当たり発生時には、大当たりの演出を行う。これに加えて、リーチ時やリーチ予告時においても、それぞれに対応した所定の演出を行う。
演出制御部202は、これら演出のうち、大当たり発生時、リーチ時、リーチ予告時等のうち特定の演出時には、演出役物301の駆動と、図柄表示部104の表示内容との連動制御を行う。例えば、各種のリーチのうち、大当たりとなる確率が高いリーチの場合に連動制御を行う。
図9−1は、連動制御開始時の処理内容である。特定演出部601には、主制御部201からの制御信号が入力され、特定演出部601は、入力された制御信号に基づき連動制御開始指示であるか否かを判断している(ステップS901:Noのループ)。入力された制御信号が連動制御するに相当する特定の演出を行う指示(連動制御開始指示)と判断した場合には(ステップS901:Yes)、特定演出部601は、はじめに連動制御指示部602に対して連動制御開始の指示を行う。
これにより、連動制御指示部602は、演出役物301を出現させる駆動と、図柄表示部104に対し、演出役物301の出現時の移動状態にあった表示を行わせる連動の制御を行う。具体的には、タイミング制御部612は、まず、ランプ制御部251に対して、演出役物301を出現させる制御信号S2を出力する(図6参照、ステップS902)。
次に、タイミング制御部612は、予め定めたタイミング時間の経過を待つ(ステップS903:Noのループ)。このタイミング時間とは、演出役物301が有する機構の駆動遅れに相当する時間である。演出役物301は、駆動の制御信号S2を出力してから実際に演出役物301が駆動開始されるまでのギヤ等の噛み合いにかかるタイミング遅れがあり、この時間をタイミング時間として予め設定しておく。例えば、図柄生成部603によって生成する図柄(例えば図7参照)のフレーム間隔でみて、2フレームの期間をタイミング時間とする。
そして、タイミング制御部612は、タイミング時間が経過すると(ステップS903:Yes)、図柄生成部603に対して図柄生成を開始させる制御信号S1を出力する(ステップS904)。図柄生成部603は、制御信号S1の入力を受けて、散乱光表示領域701を所定の角度まで生成し、図柄表示部104に表示させる(ステップS905)。この所定の角度とは、演出役物301が出現して開く方向に沿って生成し、表示させる所定角度単位(例えば1°)である。
次に、演出役物301が全開に達したか否かを判断する(ステップS906)。演出役物301は、前述したように、駆動開始から全開までの時間が予め設定できるため、全開状態であるか否かは駆動開始から経過した時間を計測することにより検出できる。演出役物301が移動中であり、全開に達していないときには(ステップS906:No)、次に、所定時間が経過したか判断する(ステップS907)。この所定時間とは、演出役物301が所定角度単位で開くときの時間に相当する。所定時間が経過していなければ、所定時間の経過を待つ(ステップS907:Noのループ)。
所定時間が経過すれば(ステップS907:Yes)、散乱光表示領域701を所定角度プラスし(ステップS908)、ステップS905に戻る。これにより、演出役物301の移動に追従して散乱光表示領域701が所定角度ずつ角度が広がるように表示される。以上のステップS901〜ステップS908までの処理により演出役物301を出現させるとともに、その背後で散乱光表示領域701が広がるように表示される。
そして、演出役物301は、全開の状態では、図5に示すように角度θ3を有し、同時に図柄表示部104には、図8に示すように演出役物301の角度θ3に一致する範囲を有して散乱光表示領域701が表示される(この状態は、後述する図10を用いて説明する)。
そして、ステップS906において演出役物301の全開が検出されると(ステップS906:Yes)、特定演出部601は、以上のステップS901〜ステップS908までの連動制御の開始にかかる処理を終了させ、連動制御指示部602に対して状態保持の指示を行う。具体的には、演出役物301の全開時間が所定時間経過したか判断する(ステップS909)。この所定の時間とは、演出役物301が開いた状態を保持している期間(図柄表示部104に散乱光表示領域701を角度θ2で表示させている期間に一致)であり、所定時間経過するまで待つ(ステップS909:Noのループ)。
この後、ステップS909における所定時間が経過すると(ステップS909:Yes)、特定演出部601は、連動制御指示部602に対して連動制御終了指示を出力し、連動制御指示部602は、連動制御終了処理を行い(ステップS910)、以上の1回の連動制御を終了する。
ステップS910における連動制御終了処理は、ステップS901〜ステップS908に示した連動制御開始の処理と逆の処理を行う。すなわち、連動制御指示部602は、図柄生成部603に対しては、図柄表示部104に散乱光表示領域701を縮めていく表示制御を行い、ランプ制御部251に対しては、演出役物301を退避させる方向に駆動制御する。これにより、演出役物301は、開口部316(図4参照)から内部に移動し、図柄表示部104の前面位置から退避し、図柄表示部104上の散乱光表示領域701の表示領域の角度も小さくなっていく。最終的には、演出役物301が閉じて初期位置に位置したことがセンサ321によって検出され、連動制御終了処理を終了する。この後、演出制御部202は、リーチ時であればリーチ時の次の演出内容等を実行する。
図9−2は、連動制御終了時の処理内容である。図9−1のステップS910の処理内容を示している。特定演出部601は、ステップS901〜ステップS908に示した連動制御開始の処理が終わると、引き続いて、連動制御指示部602に対して連動制御終了の指示を行う(ステップS911)。
これにより、連動制御指示部602は、演出役物301を退避させる駆動と、図柄表示部104に対し、演出役物301の退避時の移動状態にあった表示を行わせる連動の制御を行う。具体的には、タイミング制御部612は、まず、ランプ制御部251に対して、演出役物301を退避させる制御信号S2を出力する(図6参照、ステップS912)。
次に、タイミング制御部612は、上記同様に、予め定めたタイミング時間の経過を待つ(ステップS913:Noのループ)。そして、タイミング制御部612は、タイミング時間が経過すると(ステップS913:Yes)、図柄生成部603に対して図柄生成を終了させる制御信号S1を出力する(ステップS914)。図柄生成部603は、制御信号S1の入力を受けて、角度θ3(図8参照)を有して表示させていた散乱光表示領域701を所定の角度まで戻して、図柄表示部104に表示させる(ステップS915)。この所定の角度とは、演出役物301が退避して閉じる方向に沿って少なくした角度で表示させる所定角度単位(例えば1°)である。
次に、演出役物301の退避を検出したかを判断する(ステップS916)。演出役物301の退避状態は、センサ321により検出できる。演出役物301が退避の移動中であり、退避が検出されていないときには(ステップS916:No)、次に、所定時間が経過したか判断する(ステップS917)。この所定時間とは、演出役物301が所定角度単位で退避する(閉じる)ときの時間に相当する。所定時間が経過していなければ、所定時間の経過を待つ(ステップS917:Noのループ)。
所定時間が経過すれば(ステップS917:Yes)、散乱光表示領域701を所定角度マイナスし(ステップS918)、ステップS915に戻る。これにより、演出役物301の退避時の移動に追従して散乱光表示領域701が所定角度ずつ角度が少なくなるように表示される。以上のステップS911〜ステップS918までの処理により演出役物301を退避させるとともに、その背後で散乱光表示領域701が小さくなるように表示される。
そして、演出役物301が退避した状態のとき、同時に図柄表示部104は、散乱光表示領域701が表示されなくなる。そして、ステップS916において演出役物301の退避が検出されると(ステップS916:Yes)、特定演出部601は、以上のステップS911〜ステップS918までの連動制御終了の処理を終了させ、連動制御指示部602に対して連動制御終了を伝える。
上記の説明において、駆動制御部610は、演出役物301を開くときの駆動開始から終了(全開)までの時間(駆動時間)が機構設計等により予め求められた値に基づき設定してある。これに対応して、図柄生成部603においても、演出役物301の駆動時間に対応して、拡大表示させていく図柄の表示開始から終了までの時間(表示時間)を予め設定してある。例えば、これらの駆動時間と表示時間は、同じ時間(値)とされる。すなわち、ステップS902における演出役物301に対する制御信号S2の出力後の処理と、ステップS904における図柄生成部603に対する制御信号S1の出力後の処理は、平行して実行され、演出役物301を少しずつ開く移動を行いながら、この移動に対応して図柄表示部104の表示が少しずつ広がるように表示されていく。同様に、演出役物301を閉じるときの駆動時間と、このとき図柄表示部104上の散乱光表示領域701の表示領域を少なくしていく表示時間は同じ時間(値)にされ、演出役物301を閉じる移動をさせながら、この移動に対応して図柄表示部104上の散乱光表示領域701が少なくなるように表示させていく。
この際、ステップS903に示したタイミング時間を考慮して制御信号S1,S2の出力タイミングを制御するため、演出役物301が有する機構の駆動遅れを吸収でき、演出役物301の回動端部301bと、図柄表示部104に表示する散乱光表示領域701の回動端部701bの位置とを正確に一致させることができる。
連動制御開始時には、少なくとも、演出役物301の回動端部301bを基準でみて、図柄表示部104に表示する散乱光表示領域701の回動端部701bの位置がはみ出して(扇の外に)表示されなければよい。すなわち、演出役物301の回動端部301bの位置と、図柄表示部104に表示する散乱光表示領域701の回動端部701bの位置は、目の残存現象により、厳密に一致させなくてもよく、例えば、演出役物301が出現する方向でみたときの回動端部301bに対し、所定角度やや遅れた位置に散乱光表示領域701の回動端部701bが位置する構成としてもよい。
一方、連動制御の終了時には、図柄表示部104による散乱光表示領域701の縮小表示を実行してから、タイミングをやや遅らせて演出役物301を閉じる制御を行うこともできる。
連動制御終了時には、少なくとも、演出役物301の回動端部301bを基準でみて、図柄表示部104に表示する散乱光表示領域701の回動端部701bの位置がはみ出して(扇の外に)表示されることがなければよい。すなわち、演出役物301の回動端部301bの位置と、図柄表示部104に表示する散乱光表示領域701の回動端部701bの位置は、目の残存現象により、厳密に一致させなくてもよい。例えば、演出役物301が退避する方向でみたときの回動端部301bに対し、所定角度やや早めた位置に散乱光表示領域701の回動端部701bが位置する構成としてもよい。
図9−1および図9−2に示した制御処理では、演出役物301の制御信号S2の出力タイミングに対し、図柄表示部104に対する制御信号S1の出力タイミングを遅らせる構成としたがこれに限らない。図柄を変動表示させてから上記の連動制御を行うまでの期間中において、制御信号S1の出力タイミングに対し、演出役物301の制御信号S2の出力タイミングを早めて出力する構成にもできる。例えば、図柄表示部104に出力する制御信号S1の出力タイミングを基準として、機構遅れに対応したタイミング時間(例えば、上記の2フレーム)だけ進んだ早いタイミングで演出役物301を出現させる制御信号S2を出力する。この場合であっても、上記同様に、演出役物301の回動端部301bと、図柄表示部104に表示する散乱光表示領域701の回動端部701bの位置とを正確に一致させることができる。
図10は、演出役物と図柄表示部の表示内容との連動状態を示す図である。演出役物301が図5に示す移動状態(角度θ2)であり、図柄表示部104が図7に示す表示状態である。図10に示すように、演出役物301の背後の図柄表示部104には、散乱光表示領域701が表示される。散乱光表示領域701は、この演出役物301が光を発したような表示を行う。これにより、演出役物301自体には発光体等が設けられておらず光を発していないが、背後の図柄表示部104によりあたかも演出役物301が光を発したように表示でき、演出役物301の開閉についても強調でき、演出効果を高めることができる。
例えば、演出役物301が開くためにかかる時間は1秒であり、図10に示した全開の状態を保持する時間は0.5秒、演出役物301が閉じるためにかかる時間も1秒に設定されている。
また、上記の説明では、演出役物301の移動と、この演出役物301の外部に表示する散乱光表示領域701との移動とを連動させる構成としたが、演出役物301に文字等の象形の開口部を設けることもできる。この場合、図柄表示部104には、この開口部を介して前方の光を出射して開口部の文字等の象形を強調表示するための異なる演出内容の表示領域702(図7および図8参照)を表示させてもよい。この表示領域702についても散乱光表示領域701同様に、タイミング制御を行うことにより、演出役物301の移動状態に連動させた表示制御を行うことができる。
さらに、上記の説明では、演出役物301の移動によって覆われる図柄表示部104の表示領域に一致する範囲で演出役物301の外部に散乱光表示領域701、および表示領域702を表示する構成とした。これに限らず、演出役物301の移動によって覆われていた状態から表出する図柄表示部104の表示領域に所定の演出内容を表示する構成にもできる。このように、演出役物301の端部である回動端部301bを基準として演出役物301によって覆われる領域、または覆われない外部の領域、あるいはこれらの組み合わせで演出内容を表示することができる。演出役物301の回動端部301bの移動に連動して、図柄表示部104の表示領域の一端の位置が一致して移動する演出内容とすればよい。
演出役物301は、光を発するランプ等を搭載しておらず、軽量化でき高速に移動動作が可能となる。演出効果を高めるための光は、背後の図柄表示部104の表示光を利用するため、多彩な電飾が可能である。特に、図柄表示部104としてLCDを利用するため、表示内容および表示色、表示領域の全てが時間経過とともに変化する動画の表示が行え、演出役物301の高速な動作と相まって従来にない多彩な演出表現が可能となる。なお、図柄表示部104としては、LCDに限らずCRT等を用いることもできる。
以上説明した実施の形態の構成では、演出役物301が出現し、出現した状態で扇形状となる構成とし、これに合わせて図柄表示部104は演出役物301の背後の位置にて演出役物301の出現状態に連動した演出表示を行う構成とした。これに限らず、演出役物301の形状は各種が考えられ、図柄表示部104部分に出現すればよい。そして、図柄表示部104には演出役物301が出現する位置に合わせて、演出役物301に重ならない背後の領域を使用して演出役物301を強調する表示を行うことができる。
例えば、演出時に演出役物301としてのキャラクターが図柄表示部104の上下あるいは左右から内部に出現するように移動させ、演出内容別にこのキャラクターの移動に合わせて輪郭を強調させたり、オーラを発しているような表示を行ったり、役物のキャラクターの移動に合わせて図柄表示部104側に表示させた他のキャラクターと対話するように表示させたり、役物側の移動に合わせて図柄表示部104に対話内容の「吹き出し」が次第に拡大するよう表示させていく等、の連動表示の構成が考えられる。
また、演出役物301の出現方法も、出現後に出現位置に退避する、という構成に限らない。例えば、演出役物301が左から右へ、あるいは上から下へ横断するように移動させることもできる。この際、特定方向からの移動、あるいは出現時に移動する速度が大当たりの確率に対応させてもよい。そして、図柄表示部104は、演出役物301の移動状態に連動してこの演出役物301の横断を背後で強調する等、の連動表示の構成が考えられる。
さらに、演出役物301は、初期の状態で図柄表示部104の一部を覆う構成としてもよい。この際、図柄表示部104上の変動図柄が見える状態とする。そして、連動制御の開始時には、はじめに、図9−2に示す内容の処理を行って、演出役物301を退避させる駆動制御と、図柄表示部104の演出内容の表示制御とを連動させる。この後に、連動制御の終了時には、図9−1に示す内容の処理を行って、再び演出役物301を図柄表示部104の一部を覆うように、演出役物301を出現させる駆動制御と、図柄表示部104の演出内容の表示制御とを連動させればよい。
また、上記の演出役物301は、扇状の複数の第1の羽根311a〜第3の羽根311cからなり、開いたときに図10に示すように扇子を形成する構成としたが、3枚以上の羽根で構成してもよいし、1枚で構成してもよい。羽根の数を増やすことにより、収納時においてスペースを取らず収納効率を向上できる。
なお、本実施の形態で説明したパチンコ遊技機の制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。