JP4717580B2 - 電動オイルポンプの制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献2には、車両駆動用の電動機と車輪との間に設けられて動力を断接するクラッチと、クラッチ締結用の油圧を蓄圧するアキュームレータと、このアキュームレータに油圧を供給する電動オイルポンプとを備え、アキュームレータの圧力が所定値以上になるように電動オイルポンプの運転を制御する技術が開示されている。
一方、特許文献2に開示された技術においては、駆動用の電動機が低回転運転であっても高回転運転であっても、すなわち電動機の回転数にかかわらずクラッチに供給する油圧は、電動機が出力可能な一定のトルクに合わせて一定の所定圧にされているため、アキュームレータの圧力が前記所定圧以下になったときには常に電動オイルポンプを駆動させて油圧を昇圧している。このようにすると電動オイルポンプを運転する頻度が多くなり、電力消費量の増大を招く。
そこで、この発明は、クラッチ締結に必要な油圧を常に確保できて、電動オイルポンプの消費電力を削減することができる電動オイルポンプの制御装置を提供するものである。
このように構成することにより、給油路の油圧が前記第1の所定圧よりも低下したときには電動オイルポンプから給油路に油を供給して給油路を前記第1の所定圧以上に昇圧することができ、常に蓄圧手段に蓄圧された油圧によって摩擦係合手段を作動可能にすることができる。しかも、圧力設定手段によって車速に基づいて前記第1の所定圧を設定するので、前記第1の所定圧を電動機の出力特性に対応して設定することが可能になり、摩擦係合手段の作動に必要な油圧を常に給油路において確保しつつ、電動オイルポンプの運転頻度を低減することができる。
このように構成することにより、給油路の油圧が必要以上に高くなるのを防止することができる。
このように構成することにより、状況に応じて第2の所定圧を可変にすることができる。
このように構成することにより、電動機を停止状態から運転状態に切り換えたときに、摩擦係合手段の作動要求に対して迅速に対応することができる。
このように構成することにより、第1の所定圧を正確に設定することができる。
請求項2に係る発明によれば、給油路の油圧が必要以上に高くなるのを防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、状況に応じて第2の所定圧を可変にすることができる。
請求項4に係る発明によれば、電動機を停止状態から運転状態に切り換えたときに、摩擦係合手段の作動要求に対して迅速に対応することができるので、応答性が向上する。
請求項5に係る発明によれば、第1の所定圧を正確に設定することができるので、電動オイルポンプの高圧モードによる運転頻度をより減らすことができ、消費電力をより削減することができる。
図1は、この発明に係る電動オイルポンプの制御装置を備えたハイブリッド車両の後輪側の駆動システムの概略構成を示している。この車両1の前輪はエンジン等の主駆動源(いずれも図示せず)により駆動されるようになっており、車両1の後輪2が補助駆動源である電動機(モータ)3により動力伝達機構4を介して駆動されるようになっている。
第2ギヤ5bと第3ギヤ5cとの間には油圧クラッチ7が設けられており、油圧クラッチ7を締結したときに第2ギヤ5bと第3ギヤ5cとが連結されて、動力伝達機構4を介して電動機3の動力を後輪2に伝達可能になり、油圧クラッチ7を解放したときに第2ギヤ5bと第3ギヤ5cとの連結が解かれて、電動機3の動力の後輪2への伝達が遮断される。
一方向弁23は、レギュレータ弁22から給油路25への作動油の流通を許可し、その逆の方向への流通を阻止する。
ところで、動力伝達機構4の差動歯車6と第3ギヤ5cは走行中常に回転しており、これら差動歯車6と第3ギヤ5cの軸受部を常時潤滑できるように、電動オイルポンプ21を常時駆動する必要がある。ただし、低圧油圧回路30はその目的から、比較的に低圧の油圧で十分である。
そこで、この電動オイルポンプの制御装置では、給油路25の油圧が下限圧(第1の所定圧)PL→Hよりも低下したときには高圧モード(HIモード)に切り換えて、切り換え制御弁29によりレギュレータ弁22の油室22eにポンプ油路27の油圧を入力することにより、レギュレータ弁22を高圧側にし、給油路25の油圧が上限圧(第2の所定圧)PH→Lを上回ったときには低圧モード(LOWモード)に切り換えて、切り換え制御弁29によりレギュレータ弁22の油室22eを大気開放にして、レギュレータ弁22を低圧側にしている。
ここで、電動オイルポンプ21の運転モードを低圧モードから高圧モードに切り換える閾値である下限圧PL→Hは、油圧クラッチ7の必要伝達容量(電動機3の動力を伝達するのに必要な締結力)を確保可能な油圧の下限値あるいはそれよりも若干高い圧力に設定する必要がある。
一方、駆動用の電動機3は、回転数が大きくなるほど出力可能な最大トルクが小さくなる出力特性を有している。そこで、この電動オイルポンプの制御装置では、車速に応じて下限圧PL→Hを変更することにより、油圧クラッチ7の締結時における必要伝達容量を確保することができるようにした。その結果、下限圧PL→Hは電動機3の出力特性に応じて変更されることとなる。これにより、高圧モードでの電動オイルポンプ21の運転頻度を低減し、電動オイルポンプ21の消費電力の削減を図っている。
以下、図3〜図5に示すフローチャートに従って上下限圧設定処理(PL→H,PH→L設定処理)およびレギュレータ弁22の切り換え処理の実施例1を説明する。
初めに、図3のフローチャートに従って上下限圧設定処理を説明する。図3のフローチャートに示される上下限圧設定処理ルーチンはコントローラ10により一定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS101において油圧クラッチ7がONか否かを判定する。この実施例では、クラッチ制御弁24のソレノイド24aが通電状態のときに油圧クラッチ7が「ON」と判定される。
ステップS101における判定結果が「YES」(油圧クラッチ7がON)である場合は、ステップS102に進み車両1のシフトレンジを読み込み、さらにステップS103に進んで、読み込んだシフトレンジがパーキングレンジ(以下、Pレンジと略す)か否かを判定する。
なお、この実施例では、油圧クラッチ7が締結状態のときには車速に応じて下限圧PL→H(V)を決定しているが、油圧クラッチ7の締結状態においては車速は電動機3の回転数の関数であるので、電動機3の回転数を直接検出し、車速の代わりに電動機3の回転数に応じて下限圧PL→H(V)を決定することも可能であり、あるいは、車速や電動機3の回転数の代わりに車速と相関関係のある他のパラメータを用いてもよい。
一方、ステップS103における判定結果が「YES」(Pレンジ)である場合は、車両1は油圧クラッチ7を締結させながら停車している状態であるので、ステップS107に進み、下限圧PL→Hを第1の無効ストローク詰め圧PMに設定して、本ルーチンの実行を一旦終了する。ここで、第1の無効ストローク詰め圧PMとは、クラッチ制御弁24により給油路25とクラッチ油路32とを接続した状態で、油圧クラッチ7の駆動側と従動側の隙間を殆どなくす状態(すなわち、無効ストローク詰め)にするために必要な圧力であり、車速0において下限圧マップで設定される下限圧PL→H(V=0)よりも小さい圧力である(PM<PL→H(V=0))。
(1)油圧クラッチ7がONであってもPレンジのときには車両が停車しており電動機3は停止中であるので、給油路25の圧力が無効ストローク詰め圧PMまで低下しても、実質的な問題は生じない。
(2)第1の無効ストローク詰め圧PMは走行レンジにおいて車速0で設定される下限圧PL→H(V=0)よりも小さいので、Pレンジのときにも低圧モードから高圧モードに移行する頻度を低減することができ、電動オイルポンプ21の電動機21aの消費電力を削減することができる。
(3)Pレンジにおいて給油路25の圧力として少なくとも第1の無効ストローク詰め圧PMが確保されていると、Pレンジから走行レンジに切り換えられて、下限圧PL→Hが第1の無効ストローク詰め圧PMから車速に応じた下限圧PL→H(V)に変更されたときにも、走行レンジにおいて必要な車速に応じた下限圧PL→H(V)まで迅速に昇圧させることができ、油圧クラッチ7の締結要求(作動要求)に迅速に対応することができる。
(1)油圧クラッチ7がOFFのときには、給油路25の油圧が第2の無効ストローク詰め圧PM’まで低下しても、実質的な問題は生じない。
(2)第2の無効ストローク詰め圧PM’は走行レンジにおいて車速0で設定される下限圧PL→H(V=0)よりも小さいので、油圧クラッチ7がOFFのときにも低圧モードから高圧モードに移行する頻度を低減することができ、電動オイルポンプ21の電動機21aの消費電力を削減することができる。
(3)油圧クラッチ7がOFFのときにも給油路25の圧力として少なくとも第2の無効ストローク詰め圧PM’が確保されていると、油圧クラッチ7がOFFからONに切り換えられ且つ走行レンジにされて、下限圧PL→Hが第2の無効ストローク詰め圧PM’から車速に応じた下限圧PL→H(V)に変更されたときにも、走行レンジにおいて必要な車速に応じた下限圧PL→H(V)まで迅速に昇圧させることができ、油圧クラッチ7の締結要求(作動要求)に迅速に対応することができる。
この実施例1においては、コントローラ10がステップS101〜S108の一連の処理を実行することにより圧力設定手段が実現される。
ステップS201において、油圧センサ31により給油路25の油圧Poilを検出した後、ステップS202に進み前述した上下限圧設定処理(ステップS101〜S108)を実行して、下限圧PL→Hと上限圧PH→Lを設定する。なお、実施例1においては、上下限圧設定処理を実行しても、上限圧PH→Lについては実質的な変更はなく、常に一定圧に設定される。
次に、ステップS203に進んで、電動オイルポンプ21の負荷運転許可信号が入力されているか否かを判定する(eopc_ok=ON?)。
ステップS203における判定結果が「NO」(eopc_ok≠ON)である場合は、ステップS204に進み、電動オイルポンプ21の運転モード(以下、EOPモードと略す)を起動モード(INI)に設定して、ステップS210に進む。
ステップS205における判定結果が「YES」(Poil>PH→L)である場合は、ステップS206に進み、EOPモードを低圧モードに設定して、ステップS210に進む。
ステップS205における判定結果が「NO」(Poil≦PH→L)である場合は、ステップS207に進み、ステップS201において検出した給油路25の油圧Poilが、ステップS202において設定した下限圧PL→Hよりも小さいか否かを判定する。
ステップS207における判定結果が「YES」(Poil<PL→H)である場合は、ステップS208に進み、EOPモードを高圧モードに設定して、ステップS210に進む。
ステップS207における判定結果が「NO」(Poil≧PL→H)である場合は、給油路25の油圧が下限圧PL→H以上で且つ上限圧PH→L以下であるので、ステップS209に進み、EOPモードを現モードに維持する。すなわち、現モードが低圧モードのときには低圧モードを維持し、現モードが高圧モードのときには高圧モードを維持する。
ステップS213における判定結果が「YES」(低圧モード)である場合は、ステップS214に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を所定回転数Nplに設定するとともに、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を遮断し油室22eを大気開放にしてレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。これにより、給油路25の昇圧が停止される。
なお、この実施例では、高圧モード、低圧モードのいずれの場合も電動機21aの目標回転数を同一の所定回転数Nplに設定しているが、電動機21aの目標回転数をモードに応じて変更することも可能である。
ステップS215における判定結果が「YES」(起動モード)である場合は、ステップS216に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を起動時回転数N0に設定するとともに、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を遮断し油室22eを大気開放にしてレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。
なお、この実施例1においては、コントローラ10がステップS201〜S217の一連の処理を実行することにより、昇圧制御手段および昇圧停止制御手段が実現される。
前述した実施例1は、油圧クラッチ7の伝達トルク容量は主に供給油圧に依存することを技術的根拠として、電動オイルポンプ21を低圧モードから高圧モードに切り換える閾値である下限圧PL→Hを車速に応じて変更している。これにより、基本的には油圧クラッチ7の締結時における必要伝達容量を確保することができるのであるが、詳細に分析すると、油圧クラッチ7の伝達トルク容量は供給油の油温によって僅かながら変化し、油温が高くなるほど粘性が低下するため伝達トルク容量が低下する。
そこで、実施例2では、油温に伴う油圧クラッチ7の伝達トルク容量の変化を補填するために、油温に応じて下限圧PL→Hを補正することにより、より正確な下限圧PL→Hの設定を可能にする。
図7のフローチャートに示される上下限圧設定処理ルーチンはコントローラ10により一定時間毎に繰り返し実行される。
実施例2における上下限圧処理のステップS101〜S105は、実施例1におけるステップS101〜S105に対応し、その処理内容も同じであるので説明を省略する。
次に、ステップS112に進み、ステップS105で読み込んだ車速に応じた下限圧PL→H(V)に、ステップS111において読み込んだ補正圧ΔP’を加算して、車速に応じた下限圧PL→H(V)を補正する(PL→H(V)=PL→H(V)+ΔP’)。以下、これを油温補正後の車速に応じた下限圧PL→H(V)と称し、油温補正前の車速に応じた下限圧PL→H(V)と区別する。
次に、ステップS106に進み、レギュレータ弁22の切り換え処理において用いる下限圧PL→Hを、ステップS112で算出した油温補正後の車速に応じた下限圧PL→H(V)に変更して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
このように油温に応じて下限圧PL→Hを補正することにより、より正確に下限圧PL→Hを設定することが可能になる。その結果、電動オイルポンプ21の高圧モードによる運転頻度をより減らすことができ、消費電力をより削減することができ、車両1の燃費を更に向上させることができる。
次に、上下限圧設定処理(PL→H,PH→L設定処理)およびレギュレータ弁22の切り換え処理の実施例3を説明する。
実施例3におけるレギュレータ弁22の切り換え処理は、実施例1の場合と同じであるので、図4および図5のフローチャートを援用してその説明を省略する。なお、実施例3においても、コントローラ10がステップS201〜S217の一連の処理を実行することにより、昇圧制御手段および昇圧停止制御手段が実現される。
前述した実施例1では上限圧PH→Lは車速にかかわらず一定としたが、この実施例3では、車速(電動機3の回転数)に応じて下限圧PL→Hを変更するだけでなく、上限圧PH→Lも変更するようにしている。
ステップS303における判定結果が「YES」(油圧クラッチ7がON)である場合は、ステップS304に進み車両1のシフトレンジを読み込み、さらにステップS305に進んで、読み込んだシフトレンジがPレンジか否かを判定する。
したがって、実施例3の場合にも、実施例1のときと同様に、車両1がいずれの車速で走行しているときであっても、電動機3がそのときの回転数で出力可能な最大トルクを伝達するのに必要な締結力を、油圧クラッチ7において確保することができ、その結果、電動機3と後輪2との間におけるエネルギー伝達を確実且つ十分に行うことができる。しかも、車速が大きくなるほど下限圧PL→Hを小さく設定することができるので、車速が大きくなるほど低圧モードから高圧モードに移行する頻度を低減することができ、電動オイルポンプ21の電動機21aの消費電力を削減することができる。その結果、油圧クラッチ7の締結要求(作動要求)を満足させながら、消費電力を削減することができる。
次に、ステップS309に進み、切り換え処理において用いる下限圧PL→HをステップS307で読み込んだ下限圧PL→H(V)に変更するとともに、上限圧PH→LをステップS308で算出した上限圧PH→L(V)に変更して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
このように、Pレンジのときの下限圧PL→Hを第1の無効ストローク詰め圧PMに設定する理由は実施例1の場合と同じである。実施例3の場合も、実施例1のときと同様に、Pレンジのときにも低圧モードから高圧モードに移行する頻度を低減することができ、電動オイルポンプ21の電動機21aの消費電力を削減することができる。また、Pレンジから走行レンジに切り換えられたときに、油圧クラッチ7の締結要求(作動要求)に迅速に対応することができる。
次に、ステップS312に進み、切り換え処理において用いる下限圧PL→HをステップS310で読み込んだ第1の無効ストローク詰め圧PMに変更するとともに、切り換え処理において用いる上限圧PH→LをステップS311で算出した上限圧PH→L(=PM+ΔP)に変更して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
このように、油圧クラッチ7がOFFのときの下限圧PL→Hを第2の無効ストローク詰め圧PM’に設定する理由は実施例3の場合と同じである。実施例3の場合も、実施例1のときと同様に、油圧クラッチ7がOFFのときにも低圧モードから高圧モードに移行する頻度を低減することができ、電動オイルポンプ21の電動機21aの消費電力を削減することができる。また、油圧クラッチ7がOFFからONに切り換えられ且つ走行レンジにされたときに、油圧クラッチ7の締結要求(作動要求)に迅速に対応することができる。
次に、ステップS315に進み、切り換え処理において用いる下限圧PL→HをステップS313で読み込んだ第2の無効ストローク詰め圧PM’に変更するとともに、切り換え処理において用いる上限圧PH→LをステップS314で算出した上限圧PH→L(=PM’+ΔP)に変更して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
このように、実施例3においては上下限圧設定処理を実行することによって、低圧モードから高圧モードへの切り換え閾値である下限圧PL→Hと、高圧モードから低圧モードへの切り換え閾値である上限圧PH→Lを、車両の運転状態に応じて変更する。
この実施例3においては、コントローラ10がステップS301〜S315の一連の処理を実行することにより圧力設定手段が実現される。
実施例4は、前述した実施例3に対して、油温に伴う油圧クラッチ7の伝達トルク容量の変化を補填するために、油温に応じて下限圧PL→Hを補正するようにしたものである。
以下、図13を参照し、図8,図10〜図12の各マップを援用して実施例4における上下限圧設定処理を説明する。なお、レギュレータ弁22の切り換え処理については実施例1の場合と同じであるので、図4および図5のフローチャートを援用してその説明を省略する。
図13のフローチャートに示される上下限圧設定処理ルーチンはコントローラ10により一定時間毎に繰り返し実行される。
実施例4における上下限圧処理のステップS301〜S307は、実施例3におけるステップS301〜S307に対応し、その処理内容も同じであるので説明を省略する。
次に、ステップS322に進み、ステップS307で読み込んだ車速に応じた下限圧PL→H(V)に、ステップS321において読み込んだ補正圧ΔP’を加算して、車速に応じた下限圧PL→H(V)を補正する(PL→H(V)=PL→H(V)+ΔP’)。以下、これを油温補正後の車速に応じた下限圧PL→H(V)と称し、油温補正前の車速に応じた下限圧PL→H(V)と区別する。
次に、ステップS309に進み、切り換え処理において用いる下限圧PL→HをステップS322で算出した油温補正後の車速に応じた下限圧PL→H(V)に変更するとともに、上限圧PH→LをステップS308で算出した上限圧PH→L(V)に変更して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
このように油温に応じて下限圧PL→Hを補正することにより、より正確に下限圧PL→Hを設定することが可能になる。その結果、電動オイルポンプ21の高圧モードによる運転頻度をより減らすことができ、消費電力をより削減することができ、車両1の燃費を更に向上させることができる。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例ではレギュレータ弁22を低圧側から高圧側に切り換えることにより給油路25を昇圧しているが、必ずしもこのような構成および方法に限定されるものではなく、例えば、レギュレータ弁を介さずに電動オイルポンプ21から給油路25に油圧を供給可能に構成し、通常は電動オイルポンプ21を停止しておき、給油路25の油圧が第1の所定圧よりも低下したときに電動オイルポンプ21を運転することで給油路25を昇圧するようにしてもよい。この場合においては、電動オイルポンプ21の停止は低圧モード運転に含まれ、電動オイルポンプ21の運転は高圧モード運転に含まれる。
また、摩擦係合手段は油圧クラッチに限るものではなく、ブレーキも摩擦係合手段に含まれる。
また、前述した実施例は、前輪と後輪の駆動源を異にするハイブリッド車両の態様で説明したが、この発明は、前輪と後輪を別々の電動機で駆動する電気自動車に実施することも可能である。
2 後輪(車輪)
3 電動機
4 動力伝達機構
7 摩擦係合手段(油圧クラッチ)
10 コントローラ(圧力設定手段)
21 電動オイルポンプ
23 一方向弁
25 給油路
26 アキュームレータ
31 油圧センサ(油圧検出手段)
33 油温センサ(油温検出手段)
34 車速センサ
Claims (5)
- 車両の駆動源である電動機と車輪との間で前記電動機の動力を断接する摩擦係合手段に油圧を供給する電動オイルポンプの制御装置であって、
前記電動オイルポンプから前記摩擦係合手段への作動油の流通を許可しその逆の方向への流通を阻止する一方向弁と、
前記一方向弁と前記摩擦係合手段とを結ぶ給油路に接続され前記摩擦係合手段の作動に必要な油圧を蓄圧可能なアキュームレータと、
前記給油路の油圧を検出する油圧検出手段と、
前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段により検出された車速に基づいて第1の所定圧を設定する圧力設定手段と、
を備え、
前記電動機は、回転数が大きくなるほど出力可能な最大トルクが小さくなる出力特性を有し、
前記第1の所定圧は、前記車速検出手段により検出された車速のときに前記電動機が出力可能な最大トルクを伝達するのに必要な前記摩擦係合手段の締結力を確保可能な油圧の最小値にほぼ等しい圧力であり、
前記摩擦係合手段が締結状態で、且つ前記油圧検出手段により検出された油圧が第1の所定圧より低下したときに、前記電動オイルポンプを高圧モードで運転して該電動オイルポンプから前記給油路に油圧を供給することを特徴とする電動オイルポンプの制御装置。 - 前記油圧検出手段により検出された油圧が前記第1の所定圧よりも大きい第2の所定圧を超えたときに前記電動オイルポンプを低圧モードで運転し、該電動オイルポンプから前記給油路への油圧供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の電動オイルポンプの制御装置。
- 前記給油路内の油温を検出する油温検出手段を備え、
前記第2の所定圧は、前記油温検出手段により検出された油温あるいは前記車速検出手段により検出された車速に応じて設定されることを特徴とする請求項2に記載の電動オイルポンプの制御装置。 - 前記摩擦係合手段が解放状態で、且つ前記油圧検出手段により検出された油圧が前記第1の所定圧よりも車速にかかわらず低く設定された第3の所定圧を下回ったときに、前記電動オイルポンプを高圧モードで運転して該電動オイルポンプから前記給油路に油圧を供給することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動オイルポンプの制御装置。
- 前記摩擦係合手段に供給される油の油温を検出する油温検出手段を備え、
前記油温検出手段により検出された油温に基づいて前記第1の所定圧を補正することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電動オイルポンプの制御装置。
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