JP4704062B2 - 油圧制御装置 - Google Patents
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そこで、この発明は、電動オイルポンプの低圧力高回転運転から高圧力低回転運転への切り換えをスムーズに安定して行うことができる油圧制御装置を提供するものである。
このように構成することにより、前記切り換え制御手段によって前記レギュレータ弁を低圧側に設定することにより、電動オイルポンプで発生した低圧の油圧を低圧油圧回路に供給することができ、前記切り換え制御手段によって前記レギュレータ弁を高圧側に設定することにより、電動オイルポンプで発生した高圧の油圧を給油路に供給することができる。また、レギュレータ弁を低圧側から高圧側に切り換える場合に、電動オイルポンプを駆動するブラシレスモータの回転数を、高圧側に切り換えたときにブラシレスモータの回転数が不安定にならない所定回転数まで低下させてから、レギュレータ弁を低圧側から高圧側に切り換えるので、切り換えたときにも電動オイルポンプの回転が安定し、スムーズな切り換えが可能になる。
このように構成することにより、レギュレータ弁を高圧側に切り換えた後の給油路への給油量をできるだけ多くすることができるので、給油路を迅速に昇圧することができる。
このように構成することにより、油圧アクチュエータに必要な高圧の油圧の供給と、動力伝達機構の潤滑に必要な低圧の油圧の供給を、1台の電動オイルポンプで行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、油圧アクチュエータに必要な高圧の油圧の供給と、動力伝達機構の潤滑に必要な低圧の油圧の供給を、1台の電動オイルポンプで行うことができる。
図1は、この発明に係る油圧制御装置を備えたハイブリッド車両の後輪側の駆動システムの概略構成を示している。この車両1の前輪はエンジン等の主駆動源(いずれも図示せず)により駆動されるようになっており、車両1の後輪2が補助駆動源である電動機(モータ)3により動力伝達機構4を介して駆動されるようになっている。
第2ギヤ5bと第3ギヤ5cとの間には油圧クラッチ(油圧アクチュエータ)7が設けられており、油圧クラッチ7を締結したときに第2ギヤ5bと第3ギヤ5cとが連結されて、動力伝達機構4を介して電動機3の動力を後輪2に伝達可能になり、油圧クラッチ7を解放したときに第2ギヤ5bと第3ギヤ5cとの連結が解かれて、電動機3の動力の後輪2への伝達が遮断される。
給油路25には、給油路25の油圧を検出する油圧センサ(油圧検出手段)31が設けられており、油圧センサ31は検出した油圧に応じた電気信号をコントローラ10に出力する。
一方向弁23は、レギュレータ弁22から給油路25への作動油の流通を許可し、その逆の方向への流通を阻止する。
また、ポンプ油路27には給油路25の油温を検出する油温センサ35が設けられており、油温センサ35は検出した油温に応じた電気信号をコントローラ10に出力する。
そこで、この油圧制御装置では、給油路25の油圧が下限圧PALよりも低下したときには高圧モード(HIモード)に切り換えて、切り換え制御弁29によりレギュレータ弁22の油室22eにポンプ油路27の油圧を入力して、レギュレータ弁22を高圧側にし、給油路25の油圧が上限圧PAHを上回ったときには低圧モード(LOWモード)に切り換えて、切り換え制御弁29によりレギュレータ弁22の油室22eを大気開放にして、レギュレータ弁22を低圧側にする。
ここで、油圧制御装置を低圧モードから高圧モードに切り換える閾値である下限圧PALは、油圧クラッチ7の必要伝達容量(電動機3の動力を伝達するのに必要な締結力)を確保可能な油圧の下限値あるいはそれよりも若干高い圧力に設定する必要がある。
以下、図3および図4に示すフローチャートに従って電動オイルポンプ運転制御の実施例1を説明する。図3および図4のフローチャートに示される電動オイルポンプ運転制御ルーチンはコントローラ10により一定時間毎に繰り返し実行される。
ステップS101において、油圧センサ31により給油路25の油圧(すなわち、アキュームレータ26の油圧)Poilを検出した後、ステップS102に進み、電動オイルポンプ21の負荷運転許可信号が入力されているか否かを判定する(eopc_ok=ON?)。
ステップS102における判定結果が「NO」(eopc_ok≠ON)である場合は、ステップS103に進み、電動オイルポンプ21の運転モード(以下、EOPモードと略す)を起動モード(INI)に設定して、ステップS109に進む。
ステップS104における判定結果が「YES」(Poil>PAH)である場合は、ステップS105に進み、EOPモードを低圧モードに設定して、ステップS109に進む。
ステップS104における判定結果が「NO」(Poil≦PAH)である場合は、ステップS106に進み、ステップS101において検出した給油路25の油圧Poilが下限圧PALよりも小さいか否かを判定する。
ステップS106における判定結果が「YES」(Poil<PAL)である場合は、ステップS107に進み、EOPモードを高圧モードに設定して、ステップS109に進む。
ステップS106における判定結果が「NO」(Poil≧PAL)である場合は、給油路25の油圧が下限圧PAL以上で且つ上限圧PAH以下であるので、ステップS108に進み、EOPモードを現モードに維持する。すなわち、現モードが低圧モードのときには低圧モードを維持し、現モードが高圧モードのときには高圧モードを維持する。
ステップS109における判定結果が「YES」(高圧モード)である場合は、ステップS110に進んで油温センサ35によりポンプ油路27の油温Tを検出した後、ステップS111に進んで、図5に示す負荷切り替え回転数マップを参照して、ステップS110で検出した油温Tと下限圧PALに基づいて負荷切り替え回転数N1を算出し、これを負荷切り替え回転数N1として設定する。負荷切り替え回転数N1は、低圧モードにおける電動オイルポンプ21の電動機21aの回転数よりも小さく、レギュレータ弁22を低圧側から高圧側に切り換えたときに電動機21aの回転数が不安定になったり脱調したりすることがない回転数に設定されている。
次に、ステップS113に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの実回転数NADが、ステップS111で設定した負荷切り替え回転数N1よりも小さいか否かを判定する。
ステップS113における判定結果が「YES」(NAD<N1)である場合は、ステップS115に進み、切り換え制御弁29のソレノイド29aをONにして通電し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を接続してレギュレータ弁22を高圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。この場合、電動オイルポンプ21の負荷圧力は高負荷となる。なお、高負荷時目標回転数Nphは、後述する低負荷時目標回転数Nplよりも小さい(Nph<Npl)。
ステップS116における判定結果が「YES」(低圧モード)である場合は、ステップS117に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を所定の低負荷時目標回転数Nplに設定するとともに、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を遮断し油室22eを大気開放にしてレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。この場合、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低負荷となる。
ステップS118における判定結果が「YES」(起動モード)である場合は、ステップS119に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を起動時目標回転数N0に設定するとともに、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を遮断し油室22eを大気開放にしてレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。この場合、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低負荷となる。
なお、この実施例1においては、コントローラ10がステップS101〜S120の一連の処理を実行することにより、ポンプ回転数制御手段が実現される。
初め、低圧モードでは、切り換え制御弁29のソレノイド29aがOFFで、レギュレータ弁22が低圧側に設定されており、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低圧で、低圧油圧回路30への給油(潤滑油供給等)を行っている。この低圧モードにおいてクラッチ7の締結・解放の繰り返しや油路内の圧漏れなどによりアキュームレータ26の油が消費され、給油路25の油圧(すなわち、アキュームレータ26の油圧)が低下していく。
給油路25の油圧が上限圧PAHを超えると(t3)、EOPモードが高圧モードから低圧モードに切り換わり、切り換え制御弁29のソレノイド29aがONからOFFに切り換わり、レギュレータ弁22が高圧側から低圧側に切り換えられ、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低圧になる。これと同時に、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を高負荷時目標回転数Nphから低負荷時目標回転数Nplに変更して回転数制御が実行され、その結果、電動機21aの回転数が徐々に上がっていく。すなわち、この場合には、給油路25の油圧が上限圧PAHを超えると直ちにレギュレータ弁22が高圧側から低圧側に切り換えられる。
次に、電動オイルポンプ運転制御の実施例2を説明する。
実施例2と実施例1との相違点は、高圧モードにおいて電動機21aの回転数が負荷切り換え回転数N1に達した後の回転数制御方法にある。実施例1の場合には、給油路25の油圧が上限圧PAH(高圧モードの終点)に達して電動オイルポンプ21の負荷圧力が最大になったときにも電動機21aの回転が不安定にならないように高負荷時目標回転数Nphを設定している。しかしながら、レギュレータ弁22を低圧側から高圧側に切り換えた初期は給油路25の油圧は上限圧PAHよりも下限圧PALに近い圧力であり、電動オイルポンプ21の負荷圧力も小さく、したがって、電動機21aの回転が不安定にならない回転数を前記Nphよりも大きく設定できるはずである。
図7および図8に示される実施例2のフローチャートにおいて、ステップS201〜S211の処理は実施例1のフローチャートにおけるステップS101〜S111の処理と全く同じであるのでその説明は省略し、ステップS212以降の処理について説明する。
ステップS212における判定結果が「NO」(NAD≧N1)である場合は、ステップS213に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を負荷切り替え回転数N1に設定する。さらに、ステップS214に進んで、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を遮断し油室22eを大気開放にしてレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。この場合、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低負荷となる。
次に、ステップS216に進み、図9に示す高負荷時目標回転数マップを参照して、ステップS201で検出した給油路25の油圧(すなわち、アキュームレータ26の油圧)PoilとステップS210で検出した油温Tとに基づいて高負荷時目標回転数Nph’を算出し、さらに、ステップS217に進んで、電動機21aの目標回転数をステップS216で算出した高負荷時目標回転数Nph’に設定する。高負荷時目標回転数Nph’は、電動オイルポンプ21の負荷圧力が給油路25の油圧Poilであるときに電動機21aの回転数が不安定になったり脱調したりすることがない回転数に設定されており、負荷切り替え回転数N1よりも小さい。この実施例2における高負荷時目標回転数マップでは、給油路25の油圧(アキュームレータ26の油圧)が大きいほど高負荷時目標回転数Nph’が小さくなり、また、電動オイルポンプ21を流れる油の油温が低いほど高負荷時目標回転数Nph’が小さくなるように設定されている。
ステップS218における判定結果が「YES」(低圧モード)である場合は、ステップS219に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を所定の低負荷時目標回転数Nplに設定するとともに、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止し、これによりポンプ油路27とパイロット油路28を遮断し油室22eを大気開放にしてレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。この場合、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低負荷となる。
ステップS220における判定結果が「YES」(起動モード)である場合は、ステップS221に進み、電動オイルポンプ21の電動機21aの目標回転数を起動時目標回転数N0に設定するとともに、切り換え制御弁29のソレノイド29aをOFFにして通電を停止することによりレギュレータ弁22を低圧側にし、本ルーチンの実行を一旦終了する。この場合、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低負荷となる。
なお、この実施例2においては、コントローラ10がステップS201〜S222の一連の処理を実行することにより、ポンプ回転数制御手段が実現される。
初め、低圧モードでは、切り換え制御弁29のソレノイド29aがOFFで、レギュレータ弁22が低圧側にされており、電動オイルポンプ21の負荷圧力は低圧で、低圧油圧回路30への給油(潤滑油供給等)を行っている。この低圧モードにおいてクラッチ7の締結・解放の繰り返しなどによりアキュームレータ26の油が消費され、給油路25の油圧(すなわち、アキュームレータ26の油圧)が低下していく。
そして、電動機21aの回転数が、ポンプ油路27の油温Tと下限圧PALに応じて設定された負荷切り替え回転数N1に達すると(t5)、切り換え制御弁29のソレノイド29aがOFFからONに切り換えられ、レギュレータ弁22が低圧側から高圧側に切り換わる。レギュレータ弁22が低圧側から高圧側に切り換わると、電動オイルポンプ21の負荷圧力が低圧から高圧に急激に変化するが、低圧側から高圧側に切り換える前に電動機21aの回転数を負荷切り替え回転数N1よりも小さくしているので、電動機21aの回転数が不安定になったり、回転数制御が困難になったり、脱調を起こしたりすることがなく、電動オイルポンプ21の負荷切り換えがスムーズに行われる。
また、電動機21aの回転数が負荷切り替え回転数N1に達すると(t5)、電動機21aの目標回転数を負荷切り替え回転数N1から高負荷時目標回転数Nph’に変更して回転数制御が実行されるので、給油路25の油圧の上昇に応じて電動機21aの回転数が負荷切り替え回転数N1から徐々に低下していく。この間も、電動機21aの回転数が不安定になったり、回転数制御が困難になったり、脱調を起こしたりすることがない。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、この実施例2では、電動オイルポンプ21の負荷圧力を給油路25の油圧から検出しているが、電動機21aに流れる電流から電動オイルポンプ21の負荷を推定し、これに応じて高負荷時回転数Nph’を設定することも可能である。また、電動オイルポンプ21の油温をポンプ油路27から検出しているが、電動オイルポンプ21の油温に関連する場所であれば電動オイルポンプ21の油温を推定することが可能である。
7 油圧クラッチ(油圧アクチュエータ)
20 高圧油圧回路
21 電動オイルポンプ
21a 電動機(ブラシレスモータ)
22 レギュレータ弁
23 一方向弁
24 クラッチ制御弁(アクチュエータ制御弁)
25 給油路
26 アキュームレータ(蓄圧手段)
29 切り換え制御弁(切り換え制御手段)
30 低圧油圧回路
31 油圧センサ(油圧検出手段)
Claims (3)
- 動力伝達機構に動力を伝達可能な状態と動力伝達を遮断する状態とに切り換えるために組み込まれる油圧アクチュエータの油圧制御装置であって、
ブラシレスモータで駆動され、低回転のときに高圧の油圧を発生可能で高回転のときに低圧の油圧を発生する電動オイルポンプと、
前記電動オイルポンプからの油圧をレギュレータ弁と一方向弁と前記油圧アクチュエータの作動を制御するアクチュエータ制御弁とを介して前記油圧アクチュエータに供給可能にする高圧油圧回路と、
前記一方向弁と前記アクチュエータ制御弁とを結ぶ給油路に接続され前記油圧アクチュエータの作動に必要な油圧を蓄圧可能な蓄圧手段と、
前記レギュレータ弁のドレン側に接続された低圧油圧回路と、
前記レギュレータ弁を低圧側と高圧側に切り換える切り換え制御手段と、
前記給油路の油圧を検出する油圧検出手段と、
を備え、
前記切り換え制御手段によって前記レギュレータ弁が低圧側に設定されているときに、前記油圧検出手段によって検出された油圧が所定圧より低くなって前記レギュレータ弁を低圧側から高圧側に切り換える場合に、前記ブラシレスモータの回転数を、前記レギュレータ弁を高圧側に切り換えたときに前記ブラシレスモータの回転数が不安定にならない所定回転数まで低下させてから、前記切り換え制御手段が前記レギュレータ弁を低圧側から高圧側に切り換えることを特徴とする油圧制御装置。 - 前記切り換え制御手段によって前記レギュレータ弁を低圧側から高圧側に切り換えた後、前記油圧検出手段によって検出された油圧に基づいて前記電動オイルポンプの回転数を制御することを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
- 前記低圧油圧回路は前記動力伝達機構の潤滑用の油圧回路であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧制御装置。
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