JP4717384B2 - 携帯無線機 - Google Patents

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本発明は、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの2筐体型携帯無線機に関する。
携帯電話機が広く普及し、各種様々なタイプのものが開発されている。例えば、筐体部分が単純な棒状のストレート型や、使用しないときには上下2つの筐体を折畳んで携帯性を高めたコンパクトな折畳型などの携帯電話機が知られている。折畳型携帯電話機は、1つの回路基板で構成されるストレート型の携帯電話機とは異なり、ヒンジ部に連結して開閉可能に回動する上下2つの筐体の内部に各々回路基板を備え、その回路基板の配線を電気的に接続する基板接続ケーブルにより、回路基板間の信号の送受や給電を行うよう構成されている。
上述の折畳型携帯電話機の中には、アンテナが、ヒンジ部側の下筐体端部から上方に突出するよう構成されたものが知られている。一般に、下筐体から上筐体に向けて上方に突出するよう折畳型携帯電話機に設けられたアンテナは、上下の筐体を開いて使用する場合、上筐体内部の回路基板と電磁界結合してその回路基板を励振させるため、高いアンテナ性能を有する。
ところで、近年、携帯電話機にカメラを備えたカメラ付携帯電話機も開発され、折畳型携帯電話機に関しては、ヒンジ部にカメラを配設したものが知られている。ここで、上述の基板接続ケーブルもまたヒンジ部を通過するよう配設しているため、カメラと基板接続ケーブルとを近接して配設することになる。多くの場合、カメラ底面側のグランド面と基板接続ケーブルとを近接して配設している。
しかし、折畳型携帯電話機において、カメラ底面側のグランド面と基板接続ケーブルとを近接に配設することは、アンテナ性能を低下させてしまう。このアンテナ性能を低下させる原因を、図5に示す従来の2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機の背面図、及び、図6に示す側面図を参照して説明する。
2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機では、基板接続ケーブル4は、2軸ヒンジ部5各々を通過し、上下の筐体9、10内各々の上下の回路基板7、8の配線に接続される。上下の筐体9、10の厚さが増大するのを避けるため、ヒンジ部5近傍にカメラ3を配設すると、基板接続ケーブル4は、図6に示すように、ヒンジ部5とカメラ3との間に挟まれ、下筐体10の厚さが減少するほど、基板接続ケーブル4はカメラ3に近接することになる。
図5に示すように、カメラ3は、下回路基板8に配設された接続端子32、及び接続端子32に接続されたカメラ接続ケーブル31を介して下回路基板8に接続され、カメラ接続ケーブル31内のグランド線により、下回路基板8のグランドに接続されている。このため、カメラ3底面側のグランド面を流れるグランド電流の電磁界の作用を受けて、カメラ3のグランド面に近接して配設した基板接続ケーブル4にもグランド電流が流れ込み、下回路基板8から上回路基板7に流れるグランド電流が増大することとなる。その結果、ヒンジ部側の下筐体端部から上方に突出するよう配設されたアンテナ1の励振により上回路基板7に生じる電流と、カメラ3のグランド面を流れるグランド電流からの電磁界の作用を受けて下回路基板8から上回路基板7に流れ込んだ電流とが干渉現象を起こしてしまい、上下の筐体9、10を開いて使用するとき、アンテナ1の性能が低下してしまう。
図3に、従来の携帯電話機のVSWR特性を示す。曲線αは、ヒンジ部近傍にカメラを配設していない携帯電話機のVSWR特性を示し、曲線βは、ヒンジ部近傍にカメラを配設した携帯電話機のVSWR特性を示す。図3を参照して、この干渉現象によるアンテナ性能の低下を確認する。なお、この図3では、使用周波数を900MHzとし、横軸を周波数(MHz)、縦軸をVSWR(Voltage Standing Wave Ratio;電圧定在波比)とした。
良好なアンテナ特性を得るための要件の一つであるVSWR<3(反射波が50%以下となる)を満たす周波数帯域の幅を見てみると、曲線αのヒンジ部近傍にカメラを配設していない携帯電話機についてのVSWR特性では、450MHz以上の帯域幅を有するが、曲線βのヒンジ部近傍にカメラを配設した携帯電話機についてのVSWR特性では、350MHzまでその帯域幅が減少している。このことから、ヒンジ部近傍にカメラを配設した携帯電話機は、アンテナ性能が低下することが確認できる。
ヒンジ部近傍にカメラを配設することによるアンテナ性能の低下を抑えるために、次の2種類の手法が知られている。第1の手法は、カメラ3と基板接続ケーブル4との距離を離すことである。例えば、カメラ3と基板接続ケーブル4との距離を20mmにすることにより、ヒンジ部近傍にカメラを配設していない状態と略同等の帯域を得ることができる。
第2の手法は、地線と呼ばれる別素子を基板上に追加することである(例えば、特許文献1参照)。地線が、回路基板を流れるグランド電流を利用し、アンテナとは異なる共振周波数(共振するのはグランド電流)を発生させることで、アンテナの周波数帯域幅を拡大し、アンテナ性能を向上させることができる。
特開2000−13118号公報(図3、図5)
しかしながら、第1の手法では、カメラ3と基板接続ケーブル4との距離を確保する必要があるために、筐体の形状を大きくしなければならず、また、第2の手法では、一般に地線による共振帯域幅は狭く、地線を用いてアンテナの共振帯域幅を拡大させるためには、地線の面積を拡大するか、或いは、地線を基板から離す必要があり、第1、2の手法ともアンテナ性能の向上と携帯電話機の小型化の両立が困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、2つの回路基板の配線を接続する基板接続ケーブルと電子機器とを近接に配設しても高いアンテナ性能を維持することができ、小型化に好適な2筐体型携帯無線機を提供することを目的とする。
本発明の2筐体型携帯無線機は、第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に連結する連結部と、前記第1の筐体内に配設される第1の回路基板と、前記第2の筐体内に配設される第2の回路基板と、前記連結部に近接して配設され、前記第1の回路基板の配線と前記第2の回路基板の配線とを電気的に接続するケーブルと、前記第2の筐体の前記連結部側端部に配設されるアンテナ部と、前記第2の筐体の前記連結部側端部に、前記ケーブルに近接して配設される第3の要素とを備え、前記第3の要素は、前記第2の回路基板と電気的に接続され、前記第3の要素のグランドは、前記ケーブルのグランドとDC接続または容量結合接続しているとともに、前記第2の回路基板のグランドとDC接続または容量結合接続しているものである。
この構成によれば、2つの回路基板の配線を接続するケーブルを介して第2の回路基板から第1の回路基板に流れる電流が減少するため、ケーブルに第3の要素を近接に配接しても高いアンテナ性能を維持することができ、また、アンテナ性能向上のために余分なスペースを必要としない。
また、本発明の2筐体型携帯無線機は、前記ケーブルと前記第3の要素間に配設される導体を備え、前記導体が、前記ケーブルのグランド、前記第3の要素のグランド、及び前記第2の回路基板のグランドとDC接続または容量結合接続しているものを含む。
この構成によれば、2つの回路基板の配線を接続するケーブル、第3の要素、及び第2の回路基板の位置関係によらず、容易にケーブルのグランド、第3の要素のグランド、及び第2の回路基板のグランドと高周波的に導通させることができる。
また、本発明の2筐体型携帯無線機は、前記第3の要素のグランドが、前記第3の要素に近接する前記第2の回路基板の端部のうち、相対的に前記第2の回路基板に配設されたアンテナ給電部に近い側の端部において、前記第2の回路基板のグランドとDC接続または容量結合接続しているものを含む。
この構成によれば、2つの回路基板の配線を接続するケーブルを介して第2の回路基板から第1の回路基板に流れる電流が大きく減少するため、より高いアンテナ性能を維持することができる。
本発明の2筐体型携帯無線機によれば、2つの回路基板の配線を接続する基板接続ケーブルと電子機器とを近接に配設しても高いアンテナ性能を維持することができ、アンテナ性能向上のために余分なスペースを必要とせず小型化に好適である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施の形態の2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機の背面図を図1に示し、側面図を図2に示す。
本発明の実施の形態の折畳型携帯無線機は、上筐体9内部に配設された上回路基板7、下筐体10内部に配設された下回路基板8、上筐体9及び下筐体10を3次元的に回動可能に連結するヒンジ部5、ヒンジ部5内部を通過して配設され、上回路基板7の配線と下回路基板8の配線とを電気的に接続する基盤接続ケーブル4、ヒンジ部5近傍に配設した、画像を撮影するカメラ3、さらに、基板接続ケーブル4とカメラ3との間に配設された接続板金6、を含んで構成される。
上筐体9は、図示外の液晶表示部(LCD)及び図示外の受話部(レシーバ)などを含む。下筐体10は、ヒンジ部側の端部に設けたアンテナ1、図示外の制御回路を含む各種の回路、例えば整合回路2及び図示外の無線部など、及び図示外の操作部、送話部(スピーカ)、を含む。
カメラ3は、下回路基板8に配設された接続端子32、及び接続端子32に接続されたカメラ接続ケーブル31を介して下回路基板8に接続され、カメラ接続ケーブル31内のグランド線により、下回路基板8のグランドに接続されている。アンテナ1は、ヒンジ部側の下回路基板8の端部に接続され、下回路基板8上の整合回路2を介して図示外の無線部に接続されている。本発明の実施の形態の折畳型携帯無線機のアンテナに使用する周波数帯域は、900MHzを用いている。
接続板金6は、図2に示すように、カメラ3底面側のグランド面に近接して配設される第1結合面61と、基板接続ケーブル4に近接して配設される第2結合面62と、アンテナ1周辺の下回路基板8のグランドに近接して配設される第3結合面63と、を含んで構成される。
第1結合面61は、カメラ3のグランド面に近接して配設されることにより、カメラ3のグランド面を流れるグランド電流からの電磁界の作用を受けて起電流が発生する。通常、カメラ3のグランド面はカメラ底面に配設されるので、本実施形態では、結合面61をカメラ3の底面に近接して配設している。
第2結合面62は、基板接続ケーブル4に近接して配設されることにより、基板接続ケーブル4のグランド線を流れるグランド電流からの電磁界の作用を受けて起電流が発生する。
第3結合面63は、アンテナ1給電部周辺の下回路基板8のグランドに近接して配設されることにより、第1結合面61に発生した起電流が、第3結合面63を介して、アンテナ1給電部周辺の下回路基板8のグランドに流れる。
なお、第1結合面61とカメラ3のグランド面との間隔は、短いほどアンテナ性能が向上する知見を得ているが、1mm以下であることが好ましい。また、第1結合面61は、カメラ3に接触する(DC接続する)ようにしてもよい。
また、第2結合面62と基板接続ケーブル4との間隔、及び、第3結合面63とアンテナ1給電部周辺の下回路基板8のグランドとの間隔は、第1結合面61とカメラ3のグランド面との間隔同様に、1mm以下であることが好ましい。また、第2結合面62及び第3結合面63は、基板接続ケーブル4のグランド線及びアンテナ1給電部周辺の下回路基板8のグランドに、それぞれ接触する(DC接続する)ようにしてもよい。
本発明の実施の形態の折畳型携帯無線機によれば、接続板金とカメラのグランド面とを物理的に接続・固定するための手段、例えばグランドピンなどの追加素子(追加部材)が不要であるため、容易に接続板金を折畳型携帯無線機に配設することができる。また、接続板金はカメラのグランド面と同程度の形状であれば良く、また、グランド面に近接して配設することができるため、折畳型携帯無線機を小型化することができる。
次に、接続板金6を基板接続ケーブル4とカメラ3との間に配設することにより、本発明の実施の形態の折畳型携帯無線機が高いアンテナ性能を維持することができる原理を以下に説明する。
図2に示す、カメラ3の底面に設けられたグランド面と第1結合面61とを近接して配設する構成により、カメラ3のグランド面に発生したグランド電流からの電磁界の作用を受けて第1結合面61に発生した起電流が、第3結合面63の方向に流れる。このため、カメラ3のグランド面を流れる電流の一部が、第1結合面61、第3結合面63を介して、アンテナ1給電部周辺の下回路基板8のグランドに流れることになる。
また、基板接続ケーブル4と第2結合面62とを近接して配設する構成により、基板接続ケーブル4のグランド線に発生したグランド電流からの電磁界の作用を受けて第2結合面62に発生した起電流が、第1結合面61を介して第3結合面63の方向に流れる。このため、基板接続ケーブル4のグランド線を流れる電流の一部が、第1結合面61、第2結合面62及び第3結合面63を介して、アンテナ1給電部周辺の下回路基板8のグランドに流れることになる。
このため、カメラ3のグランド面から基板接続ケーブル4に流れ込む電流が減少し、また、基板接続ケーブル4のグランド線を流れるグランド電流が減少する。その結果、アンテナ1の励振により上回路基板7に生じる電流と、基板接続ケーブル4を介して下回路基板8から上回路基板7に流れ込むグランド電流との干渉が小さくなり、上筐体9、下筐体10を開いたときに高いアンテナ性能を得ることができる。
図4に、本発明の実施の形態の携帯無線機のVSWR特性を示す。曲線βは、接続板金を配設していない携帯無線機のVSWR特性を示し、曲線γは、接続板金を配設した折畳型携帯無線機を示す。図4を参照して、本発明の実施の形態の折畳型携帯無線機が接続板金6を配設したことにより高いアンテナ性能を得ることができることを示す。なお、この図4において、曲線βは、図3のヒンジ部近傍にカメラを配設した携帯無線機のVSWR特性の曲線βと同一のものを示す。
アンテナ特性が良好であるための一つの条件であるVSWR<3以下を満たす周波数帯域幅は、図4から分かるように、接続板金6を配設していない場合には凡そ350MHzであったのが、接続板金6を配設することにより、凡そ400MHzまで増大していることが分かる。このことから、本発明の実施の形態の接続板金を配設した折畳型携帯無線機が高いアンテナ性能を有することを確認できる。
なお、本発明の実施の形態では、折畳型携帯無線機に設けたカメラは、カメラのグランド面をカメラ底面側に配設しているものについて説明してきたが、カメラのグランド面をカメラ底面側以外に配設しているもの、例えばカメラ側面側に配設しているものの場合は、基板接続ケーブルとカメラ側面のグランド面との間に接続板金の第1結合面を配設するようにしてもよい。また、このように接続板金を配設する場合にも、前述したように、第1結合面とカメラのグランド面との間隔は、1mm以下であることが好ましく、また、第1結合面は、カメラに接触する(DC接続する)ようにしてもよい。
また、本発明の実施の形態では、第3結合面をアンテナ給電部周辺の下回路基板8のグランドに近接して配設するようにしたが、カメラに近接する下回路基板の端部のうち、下回路基板に配設されたアンテナ給電部に近い側において、下回路基板8のグランドに近接して配設するようにしてもよい。
また、本発明の実施の形態では、ヒンジ部近傍にカメラを配設するようにしたが、カメラに限定されるものではない。
本発明は上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
本発明の2筐体型携帯無線機は、2つの回路基板の配線を接続する基板接続ケーブルと電子機器とを近接に配設しても高いアンテナ性能を維持することができ、アンテナ性能向上のために余分なスペースを必要とせず小型化に好適であるという効果を有し、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの2筐体型携帯無線機に関して有用である。
本発明の実施の形態の2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機の背面図 本発明の実施の形態の2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機の側面図 従来の折畳型携帯無線機のVSWR特性 本発明の実施の形態の折畳型携帯無線機のVSWR特性 従来の2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機の背面図 従来の2軸ヒンジタイプの折畳型携帯無線機の側面図
符号の説明
1 アンテナ
2 整合回路
3 カメラ
4 基板接続ケーブル
5 ヒンジ部
6 接続板金
7 上回路基板
8 下回路基板
9 上筐体
10 下筐体
31 カメラ接続ケーブル
32 接続端子
51 ヒンジ台座
61 第1結合面
62 第2結合面
63 第3結合面

Claims (3)

  1. 第1の筐体と、
    第2の筐体と、
    前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に連結する連結部と、
    前記第1の筐体内に配設される第1の回路基板と、
    前記第2の筐体内に配設される第2の回路基板と、
    前記連結部に近接して配設され、前記第1の回路基板の配線と前記第2の回路基板の配線とを電気的に接続するケーブルと、
    前記第2の筐体の前記連結部側端部に配設されるアンテナ部と、
    前記第2の筐体の前記連結部側端部に、前記ケーブルに近接して配設される第3の要素と、を備え、
    前記第3の要素は、前記第2の回路基板と電気的に接続され、
    前記第3の要素のグランドは、前記ケーブルのグランドとDC接続または容量結合接続しているとともに、前記第2の回路基板のグランドとDC接続または容量結合接続している2筐体型携帯無線機。
  2. 請求項1記載の2筐体型携帯無線機であって、
    前記ケーブルと前記第3の要素間に配設される導体を備え、
    前記導体は、前記ケーブルのグランド、前記第3の要素のグランド、及び前記第2の回路基板のグランドとDC接続または容量結合接続している2筐体型携帯無線機。
  3. 請求項1又は2記載の2筐体型携帯無線機であって、
    前記第3の要素のグランドは、前記第3の要素に近接する前記第2の回路基板の端部のうち、相対的に前記第2の回路基板に配設されたアンテナ給電部に近い側の端部において、前記第2の回路基板のグランドとDC接続または容量結合接続している2筐体型携帯無線機。
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