JP4716908B2 - 排気流路制御弁 - Google Patents
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Description
従来、この種の排気流路制御弁にはバタフライ弁が用いられてきた。バタフライ弁は、弁開度に比例してばね荷重が増加する。このため、排気ガスの圧力が所定値となりバタフライ弁が開弁を開始しても、バタフライ弁が全開となるためには排気ガスの圧力が所定値よりかなり高くなる必要があった。そこで、弁開度の増加に対する弁開き荷重の増加率を緩やかとし、排気ガスの圧力が所定値を超えると速やかに開いて、充分な弁開度を得ることができる排気流路制御弁が提案されている(特許3326746号公報)。
この排気流路制御弁では、弁体が開き側に変移すると、ねじりコイルばねのアームがばね取付部材に対して軸方向にスライドする。ばね取付け部材に対してアームがスライドすると、コイル部の中心からアーム取り付け位置までの距離(アームの有効長)が変化する。アームの有効長が長くなると、コイル部の撓み反力も小さくなる。この排気流路制御弁は、弁体の開き側への変移に伴ってアームの有効長が長くなるように設定されているため、弁開度の増加に対する弁開き荷重の増加を低く抑えることができる。これにより、排気ガスの圧力が所定値を超えると速やかに全開となり、充分な弁開度を得ることができる。
この排気流路制御弁では、ねじりコイルばねを複数備えており、それらが弁体表面の所定の中心線に対して左右対称に配されている。例えば、右巻きのねじりコイルばねと左巻きのねじりコイルばねとが左右対称に配設されている。このため、弁開度の増加に伴ってねじりコイルばねがゆがんでも、支持点(ばね取付部)に及ぼす荷重偏差が相殺される。また、ねじりコイルばねが弁体を回転させようとする力も左右逆向きに作用するので相殺される。したがって、弁開度(ストローク位置)にかかわらず弁体がぶれ難くなり、弁体の動きが安定する。これによって、弁体とハウジングとの接触による異音(打音)の発生が防がれる。
また、本発明でいう、「ねじりコイルばねを複数備える」とは、実質的に複数備えることを含む。たとえば、1本のばね素線から巻き方向の異なる複数のねじりコイルばねを連結状に形成したものであってもよい。
ねじりコイルばねは偶数個備えることが好ましい。
この排気流路制御弁では、ねじりコイルばねのコイル部が巻回軸線方向に変形することが規制される。このため、ねじりコイルばねによる弁体を回転させようとする力の発生が抑制される。これによって、弁体の動きが安定し、弁体とハウジングとの接触による異音(打音)の発生が防がれる。
(形態1) ねじりコイルばねのアームがばね取付部によって当該アームの長手方向にスライド可能に支持されている。弁体の開き側への変移に伴ってアームの有効長が長くなるようにアームの支持位置が調整されている。
(形態2)コイル部は、弁体の略中央に配置されている。
(形態3)2個のねじりコイルばねが配されている。2個のねじりコイルばねのうち一方のねじりコイルばねの巻き方向は、他方のねじりコイルばねの巻き方向の反対となっている。2個のねじりコイルばねは弁体の中心線に対して左右対称に配置されている。
ばね取付部12,13は、弁体30を案内する案内部12a,13aと、案内部12a,13aより幅が広い係止部12b,13bを有している。
弁体30は、溝32,33が案内部12a,13aに案内された状態で、図3(a)に示す閉弁状態から同図(b)に示す開弁状態まで移動する。なお、開弁状態では、弁体30の上面が係止部12b,13bに当接し、弁体30のそれ以上の開弁方向への移動が規制されている。
なお、ねじりコイルばね41,42の特性に製造上のばらつきがある場合には、各アーム41b〜42cの初期回転量を調整可能な構造にするのが好ましい。具体的には、各取付孔14b〜15cを縦方向に所定の間隔で複数並べて穿設しておき、各アーム41b〜42cの挿し込み位置を選択できるようにする。また、取付部12,13をハウジング11と別体構成とし、ねじりコイルばね41,42から弁体30に作用する押圧力Pを計測しながら取付部12,13のハウジング11への取付位置を決める方法でもよい。
また、本実施例の排気流路制御弁では、上記比較例のものと比べると、弁体移動時における弁体の最大揺動角が小さく抑えられていることがわかった。揺動角度量が大きくて弁体が不安定な場合は、排ガス圧が逃げて弁体に対し有効に作用しないので弁体の迅速な移動が阻害される。この点、本実施例の排気流路制御弁では、弁体移動特性がよく、安定動作が期待できる。
さらに、外部振動入力時の打音の発生頻度・音量についても低く抑えられていることがわかった。
また、本実施例では、弁体30にねじりコイルばね41,42を受けるばね受け部31を設けているため、部品点数が削減でき低コストで製造することができる。
さらに、弁体30の反ハウジング側にねじりコイルばね41,42を配することから、ねじりコイルばね41,42が高温の排気ガスに直接晒されることが防止され、ばねの熱へたりが抑制される。
(他の実施例1)図6は、ねじりコイルばねの別例を説明する図である。同図に示すねじりコイルばね51は、1本のばね素線から形成したダブルトーションタイプのねじりコイルばねである。ねじりコイルばね51は左右対称に形成されている。したがって、このねじりコイルばね51を前述のねじりコイルばね41,42に代えることで、部品点数を減らすことができる。このねじりコイルばね51を装着した排気流路制御弁は前述の排気流路制御弁と同様の作用効果が得られる。
なお、図9に示すように、弁体80に設けるばね受け部81の内壁面と、ねじりコイルばね82の両端部との間に隙間を作らない設定にすれば、コイル部の座屈やゆがみを防ぐことができ、弁体80の横ぶれを抑制し作動を安定させることが可能になる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12,13:ばね取付部
30:弁体
41,42:ねじりコイルばね
41a,42a:コイル部
41b,41c,42b,42c:アーム
Claims (2)
- 内燃機関からの排気ガスが流れる排気流路を有するハウジングと、ハウジングの排気流路を開閉する弁体と、ハウジングに設けられたばね取付部と、弁体表面と略平行となる巻回軸線を有するコイル部およびそのコイル部の両端に設けられたアームからなるねじりコイルばねとを備え、ばね取付部に支持されたアームに対して弁体に支持されたコイル部が撓むことによって弁体が閉じ側に付勢されている排気流路制御弁において、
ねじりコイルばねを複数備えるとともに、それらのねじりコイルばねが弁体表面の所定の中心線を対称軸として左右対称に配設されており、
弁体は、1つの板状の部材であり、排気流路の軸線方向にスライド移動することで排気流路を開いた状態と閉じた状態とに切替えており、
弁体を閉じ側に付勢する力が各ねじりコイルばねのコイル部から弁体に作用することを特徴とする排気流路制御弁。 - 内燃機関からの排気ガスが流れる排気流路を有するハウジングと、ハウジングの排気流路を開閉する弁体と、ハウジングに設けられたばね取付部と、弁体表面と略平行となる巻回軸線を有するコイル部およびそのコイル部の両端に設けられたアームからなるねじりコイルばねとを備え、ばね取付部に支持されたアームに対して弁体に支持されたコイル部が撓むことによって弁体が閉じ側に付勢されている排気流路制御弁において、
前記ねじりコイルばねのコイル部が巻回軸線方向に変形することを規制する手段をさらに備えており、
弁体は、1つの板状の部材であり、排気流路の軸線方向にスライド移動することで排気流路を開いた状態と閉じた状態とに切替えており、
規制手段は、ねじりコイルばねのコイル部の両端部に隙間無く当接する壁であることを特徴とする排気流路制御弁。
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