JP4715042B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、スロットマシンあるいはコイン遊技機などの遊技機に係り、特に、3次元の画像を表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、遊技機の一種として、複数種類の識別図柄等を変動表示するための表示装置を備えたパチンコ機が知られている。
【0003】
近年、このようなパチンコ機では、遊技者の興趣の向上を図るために、識別図柄とは別に補助図柄等が表示されるようになってきた。
【0004】
しかしながら、補助図柄等の動作が一様であったため、表示演出が単調となり、遊技者とっての興趣の向上を妨げるおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることのできる遊技機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等についても説明する。
【0007】
手段1.仮想3次元空間にオブジェクトを設定し、該オブジェクトに基づいて画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された画像を表示する表示手段とを備え、
前記表示手段が、複数種類の識別図柄を変動表示し、かつ、前記識別図柄に関連して動く動作補助図柄を表示するよう構成した遊技機において、
前記画像生成手段は、
前記複数種類の識別図柄の中から選出された任意の識別図柄に対応する識別オブジェクトを所定位置に設定し、
所定条件の成立に基づいて、前記動作補助図柄に対応する動作オブジェクトを設定するとともに、前記所定位置に設定した識別オブジェクトの種類を判別し、
その判別結果に基づいた動作パターンで前記動作オブジェクトを動作制御することにより、
前記表示手段によって、前記動作制御に基づいた前記動作補助図柄の動作表示が行われるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0008】
上記手段1によれば、画像生成手段は、所定位置に設定した識別オブジェクトの種類を判別し、その判別結果に基づいて動作オブジェクトを動作制御する。これにより、動作補助図柄の動作表示が所定位置に表示された識別図柄の種類に応じて変化し、当該動作表示が多様化される。また、任意の識別図柄が所定位置に表示されるのに関連して、動作補助図柄の動作表示も各パターンが比較的偏りなく行われるようになっている。結果として、動作補助図柄の動作表示の単調さを低減し、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0009】
手段2.手段1において、前記画像生成手段は、前記動作オブジェクトの動作パターンを複数記憶した動作パターン記憶手段を備えた構成であって、
前記判別結果に基づき、前記動作パターン記憶手段から所定の動作パターンを選出し、前記動作オブジェクトを動作制御することを特徴とする遊技機。
【0010】
上記手段2によれば、複数の動作パターンが予め動作パターン記憶手段に記憶されているため、画像生成手段は、毎回複雑な演算処理等を行わなくとも、比較的簡単に動作オブジェクトを動作制御することができる。結果として、画像生成手段が行う画像生成処理の負担を軽減することができる。
【0011】
手段3.手段2において、前記動作パターン記憶手段は、前記仮想3次元空間における前記動作オブジェクトの配置位置を時系列で定めた動作テーブルを前記動作オブジェクトの動作パターンとして記憶し、
前記動作オブジェクトの配置位置は、当該動作オブジェクトと関連する前記識別オブジェクトとの相対位置として定められていることを特徴とする遊技機。
【0012】
上記手段3によれば、動作パターン記憶手段には、識別オブジェクトとの相対位置関係によって定められた動作オブジェクトの配置位置を時系列で定めた動作テーブルが記憶されている。そのため、画像生成手段は、その動作テーブルに従って順次動作オブジェクトの配置位置を更新していくだけで動作オブジェクトを動作制御することができる。その結果、画像生成手段が行う画像生成処理の負担を軽減することができる。
【0013】
手段4.手段1乃至手段3のいずれかにおいて、前記複数種類の識別図柄は、複数種類の第1種識別図柄と、複数の第2種識別識別図柄とから構成され、
少なくとも1つの前記第1種識別図柄と、少なくとも1つの前記第2種識別図柄とを同時に表示するよう構成され、
前記第1種識別図柄が所定位置に表示された場合には、前記動作補助図柄が当該第1種識別図柄に関与する第1の動作表示が行われ、
前記第2種識別図柄が前記所定位置に表示された場合には、前記動作補助図柄が前記所定位置とは異なる他の位置に表示された第1種識別図柄に関与する第2の動作表示が行われるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0014】
上記手段4によれば、所定位置に表示された識別図柄が第1種識別図柄か第2種識別図柄かによって動作補助図柄の動作が変化し、ある位置に表示された第1種識別図柄に動作補助図柄が関与するように表示される。従って、動作補助図柄が第1種識別図柄を意識的に選択して動いているような表示演出となる。結果として、表示演出の演出効果を高め、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0015】
手段5.手段4において、前記第1の動作表示及び第2の動作表示には、前記動作補助図柄が所定の軌道で前記第1種識別図柄に向かって移動する動作表示が含まれ、
前記第1の動作表示と第2の動作表示とでは、前記軌道が異なるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0016】
手段6.手段5において、前記軌道は、放物線状の軌道であることを特徴とする遊技機。
【0017】
手段7.手段4乃至手段6のいずれかにおいて、前記複数種類の第1種識別図柄は、それぞれ形状の異なるものであって、
前記第1の動作表示及び第2の動作表示には、前記第1種識別図柄と動作補助図柄とが略当接する動作表示が含まれ、
前記第1の動作表示及び第2の動作表示が行われる際には、前記第1種識別図柄の形状に合わせて、前記動作補助図柄の移動距離が変化するようにしたことを特徴とする遊技機。
【0018】
上記手段7によれば、第1種識別図柄の形状に合わせて、動作補助図柄の移動距離が変化する。つまり、動作補助図柄の移動距離が第1種識別図柄の形状に合わせて調節されていることとなる。このため、動作補助図柄が第1の識別図柄に当接する際の違和感が低減され、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0019】
手段8.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であること。中でも、パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えておりそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示手段における識別図柄の変動が開始すること、又、特別遊技価値としての特別遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込む等も含む)が付与されること等が挙げられる。上記パチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。
【0020】
手段9.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、遊技機はスロットマシンであること。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に識別図柄を確定表示する表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別図柄の変動が停止され、その停止時の確定識別図柄が特定識別図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。
【0021】
手段10.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、遊技機は少なくとも複数種類の表示手段を備えたスロットマシンであること。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の第1の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に前記第1の識別図柄を確定表示する第1の表示手段と、少なくとも前記第1の識別図柄とは異なる複数の第2の識別図柄を遊技状態に応じて可変表示可能とする第2の表示手段と、少なくとも始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して前記第1の識別図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより前記第1の識別図柄の変動が停止され、確定停止表示された識別図柄の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体例えばコイン、メダル等を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。なお、このスロットマシンでは、手段1乃至手段7のいずれかにおいて行われる表示制御を主として第2の表示手段において行うような構成となっている。すなわち、ここにいう第2の表示手段が手段1乃至手段7のいずれかの表示手段に相当し、ここにいう第2の識別図柄が手段1乃至手段7のいずれかの識別図柄に相当する。
【0022】
手段11.手段10において、少なくとも前記第1の表示手段において、前記第1の識別図柄が特定の組合せとなって確定表示される前段階において、前記第2の表示手段において、少なくとも前記第2の識別図柄が特定の組合せで確定表示されることにより、前記特別遊技価値が付与されるようにしたことを特徴とするスロットマシン。
【0023】
上記手段11によれば、第1の表示手段及び第2の表示手段において、それぞれの識別図柄がそれぞれ特定の組合せで確定表示される。このため、遊技内容に厚みができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0024】
手段12.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に識別図柄を確定表示する表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別図柄の変動が停止され、その停止時の確定識別図柄が特定識別図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別図柄の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。
【0025】
手段13.手段1乃至手段7のいずれかにおいて、遊技機は少なくとも複数種類の表示手段を備えたパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機であること。中でも、前記融合させた遊技機の基本構成としては、「遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の第1の識別図柄からなる識別図柄列を変動表示した後に前記第1の識別図柄を確定表示する第1の表示手段を備え、少なくとも前記第1の識別図柄とは異なる複数の第2の識別図柄を遊技状態に応じて可変表示可能とする第2の表示手段と、少なくとも始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して前記第1の識別図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより前記第1の識別図柄の変動が停止され、確定停止表示された識別図柄の組合せが特定の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技価値を付与する遊技価値付与手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記第1の識別図柄の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるよう構成されてなる遊技機」となる。上記遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技価値としての特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技状態が存在する。なお、前記融合させた遊技機では、手段1乃至手段7のいずれかにおいて行われる表示制御を主として第2の表示手段において行うような構成となっている。すなわち、ここにいう第2の表示手段が手段1乃至手段7のいずれかの表示手段に相当し、ここにいう第2の識別図柄が手段1乃至手段7のいずれかの識別図柄に相当する。
【0026】
手段14.手段13において、少なくとも前記第1の表示手段において、前記第1の識別図柄が特定の組合せとなって確定表示される前段階において、前記第2の表示手段において、少なくとも前記第2の識別図柄が特定の組合せで確定表示されることにより、前記特別遊技価値が付与されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【0027】
上記手段14によれば、第1の表示手段及び第2の表示手段において、それぞれの識別図柄がそれぞれ特定の組合せで確定表示される。このため、遊技内容に厚みができ、遊技者にとってのさらなる興趣の向上を図ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
【0029】
画像表示装置を備える遊技機としてパチンコ機を例に採って説明する。図1は本実施例に係るパチンコ機の概略構成を示す正面図であり、図2はパチンコ機に備える制御基盤および画像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図であり、図3は画像表示装置における3次元画像処理部の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0030】
本実施例に係るパチンコ機は、パチンコ機の全体を制御する制御基盤1(図2参照)を備える遊技盤2と、遊技盤2が取り付けられた枠体3と、遊技盤2の下側に設けられた上受け皿4と、上受け皿4に貯留したパチンコ球を遊技盤2の盤面に発射する図示しない発射装置が連結された回転式ハンドル5と、上受け皿4の下側に設けられた下受け皿8と、遊技者が遊技状態を識別するための識別図柄、およびその遊技状態における演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄を表示する画像表示装置7(図2参照)とを備えている。画像表示装置7は液晶モニタ6を備え、この液晶モニタ6の表示画面6aが遊技盤2の盤面のほぼ中央に配置されている。なお、表示画面6aには、所定の模様が描かれた背景上で1または複数個の識別図柄および補助図柄の変動(移動,回転,変形等)が、遊技機における遊技状態に応じて表示される。液晶モニタ6は、本発明における表示手段に相当する。
【0031】
ここで、識別図柄とは、パチンコ機における大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号または図柄番号が付けられた図柄の画像をいう。但し、本実施の形態においては、図柄番号が付けられていないものも識別図柄に含まれている。補助図柄とは大当たりやリーチ等においてその演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄の画像をいう。また、大当たりとは、多数個のパチンコ球を取得できる遊技者に有利な状態をいい、通常の遊技状態とは、パチンコ球を消費する遊技者に不利な状態をいう。通常の遊技状態時に表示される識別図柄等の変動を通常変動といい、大当たりの発生の有無に関係なく、大当たりが発生するかのような演出(大当たりが発生する場合も含む)を行うための変動をリーチという。また、大当たり時には、ラウンドごとにそれぞれ異なるパターンの表示態様が表示される。さらに、パチンコ機における遊技が行われていない場合にはデモンストレーションなどの表示が行われる。
【0032】
遊技盤2には、回転式ハンドル5によって発射されたパチンコ球を盤面に案内するレール2aと、パチンコ球を不特定箇所に誘導する複数本の図示しないクギと、クギによって誘導されてきたパチンコ球が入賞する複数個の入賞口2bと、遊技盤2のほぼ中央付近に誘導されてきたパチンコ球が入賞する始動口2cと、特定の遊技状態において比較的多数のパチンコ球を一時に入賞させることができる大入賞口2dとが設けられている。各入賞口2b、始動口2cおよび大入賞口2d内には、パチンコ球の入球を検出する入賞検出センサ11(図2参照)がそれぞれ設けられている。入賞検出センサ11がパチンコ球の入球を検出すると、遊技盤2に備える制御基盤1によって所定個数のパチンコ球が上受け皿4に供給される。また、始動口2c内には、始動開始センサ12(図2参照)が設けられている。さらに、大入賞口2dには、開閉ソレノイド13(図2参照)が設けられており、この開閉ソレノイド13の動作によって、大入賞口2dが開閉駆動される。なお、上述したものの他に始動口2cに入球したパチンコ球の個数を記憶する例えば保留ランプ等を備えるが、この実施例ではその説明を省略する。
【0033】
上受け皿4は、受け皿形状になっており、パチンコ球が供給される球供給口4aから供給されたパチンコ球を貯留する。また、球供給口4aが配置された上受け皿4の反対側には、パチンコ球をレール2aに向けて発射する発射装置に連通する図示しない球送り口が設けられている。さらに、上受け皿4の上部には、貯留したパチンコ球を下受け皿8に移すための球抜きボタン4bが設けられており、この球抜きボタン4bを押すことで、上受け皿4に貯留したパチンコ球を下受け皿8に移すことができる。下受け皿8は、受け皿形状になっており、上受け皿4から移されてきたパチンコ球を受け止める。なお、下受け皿8には、その中に貯留したパチンコ球を抜く図示しない球抜きレバーが設けられている。
【0034】
回転式ハンドル5には、パチンコ球をレール2aに向けて発射する発射装置が連結されている。回転式ハンドル5を回転させることにより、発射装置はその回転量に応じた強さでパチンコ球を発射する。なお、遊技者が回転式ハンドル5を回転させた状態で保持することにより、発射装置はパチンコ球を所定の間隔ごとに一個ずつ発射する。
【0035】
図2に示すように、遊技盤2に備える制御基盤1は、メモリおよびCPU等で構成されるマイクロコンピュータである遊技価値付与手段としての主制御部16と、遊技機における遊技状態を決定する値を出力するカウンタ14と、始動口2c(図1参照)でパチンコ球の入球を検出する始動開始センサ12と、入賞口2b等(図1参照)でパチンコ球の入球を検出する入賞検出センサ11と、大入賞口2d(図1参照)を開閉する開閉ソレノイド13と、画像表示装置7のI/F(インターフェイス)17に情報流通可能に接続されるI/F(インターフェイス)15などを備えて構成されている。この制御基盤1は、上述した入賞口2bや始動口2cの球検出センサの検出に基づいて所定量のパチンコ玉を供給したり、図示しないランプやスピーカを作動させたりする各種のイベントを実行するものである。また、制御基盤1は、遊技状態に応じた表示態様を指示するための各種のコマンドをI/F15を通じて画像表示装置7に送信する。
【0036】
以下に、制御基盤1で行なわれる処理について図4に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0037】
ステップS1(入球を検出)
遊技者は、回転式ハンドル5によってパチンコ球を遊技盤2内に打ち込み、パチンコ遊技を開始する。遊技盤2内に打ち込まれた一部のパチンコ球は盤面の中央付近まで導かれ、始動口2cに入球する。パチンコ球が始動口2cに入球すると、始動口2c内に入球した球を検出する始動開始センサ12は、始動開始信号を主制御部16に送るとともに、始動口2c内に設けられた入賞検出センサ11は、入賞信号を主制御部16に送る。なお、この実施例では、始動開始センサ12と入賞検出センサ11とは、同一のセンサによって併用される。また、入賞口2bにパチンコ球が入球した場合にも、各入賞口2bの入賞検出センサ11は、入賞信号を主制御部16に送る。
【0038】
ステップS2(パチンコ球を供給)
主制御部16は、入賞検出センサ11からの入賞信号を検出すると、図示しないパチンコ球供給機構を稼働させて、所定数量のパチンコ球を球供給口4aを通じて上受け皿4に供給する。
【0039】
ステップS3(大当たり抽選)
主制御部16は、始動開始センサ12からの始動開始信号を検出すると、カウンタ14の出力値を読取り、大当たり抽選を行う。大当たり抽選では、カウンタ14の出力値が所定値であれば、「大当たり」を発生させる。一方、カウンタ14の出力値が所定値以外であれば、「はずれ」である通常の遊技状態を継続する。
【0040】
ステップS4(コマンドを送信)
主制御部16は、通常の遊技状態または特定の遊技状態に応じた表示態様を決定し、その表示態様に応じたコマンドをI/F15を介して画像表示装置7に送信する。このコマンドは、画像表示装置7に所定の表示プログラムを実行させる命令であり、その表示プログラムの実行により遊技状態に応じた表示パターンが表示画面6aに表示される。例えば、大当たりの場合には、主制御部16は、所定のリーチの開始を指示するコマンドを送信し、所定時間経過後に、そのリーチの最終段階で停止させる大当たりの識別図柄の種類を指示するコマンドを送信する。これにより、画像表示装置7の表示画面6aには、コマンドで指示された種類のリーチが表示された後に、さらにコマンドで指示された種類の大当たりの識別図柄で停止するように表示される。このとき、主制御部16は、表示画面6aにおいて大当たりの識別図柄の停止が表示された後に、開閉ソレノイド13に開放信号を与えて大入賞口2dを開放して、遊技者が多数個のパチンコ球を取得できる状態にする。さらに、この遊技状態において、制御基盤1は例えば約10個の球が大入賞口2dに入賞したのを1ラウンドとして、そのラウンドが終了するたびにそのラウンドの終了または次のラウンドの開始を指示するコマンドを画像表示装置7に送信する。これにより、表示画面6aには、ラウンドごとに異なるパターンの表示態様が表示される。一方、ハズレの場合には、リーチの最終段階で停止させるハズレの識別図柄の種類を指示するコマンド、または通常の遊技状態時に変動されている識別図柄をハズレの識別図柄で停止させるためのコマンドを画像表示装置7に送信する。これにより、表示画面6aには、リーチを表示した後にハズレの識別図柄で停止するように、または通常変動後にハズレの識別図柄で停止するように表示される。
【0041】
なお、カウンタ14の出力値に基づいて通常の遊技状態または特定の遊技状態に応じた表示態様を主制御部16が決定しているが、本実施例では遊技者の面白味をより永続させるために、後述する図11に示すフローチャートの流れに即して、大当たりもしくはハズレの識別図柄で停止するように、またはハズレの識別図柄で停止するように表示画面6aに表示させる。本実施例でのステップS4における処理については後で詳細に説明する。
【0042】
ステップS5(新たな入球検出があるか否か)
主制御部16は、始動開始センサ12からの新たな始動開始信号の有無(新たな入球)を検出するまで待機する。新たな始動開始信号がなければ、この処理を終了して新たな始動開始信号が検出されるまで待機する。なお、識別図柄の変動(リーチ、通常変動等)中にパチンコ球の入球を始動開始センサ12が検出し、その入球したパチンコ球の個数を記憶する保留ランプが点灯している場合には、その保留ランプの点灯を新たな始動開始信号として検出する。新たな始動開始信号があれば、ステップS2〜S4を繰り返し行なう。
【0043】
次に、画像表示装置7の構成を詳しく説明する。画像表示装置7は、図2に示すように、制御基盤1から送られてきたコマンドを受信するI/F17と、そのコマンドに基づいて仮想3次元空間であるワールド座標系に配置される3次元情報であるオブジェクト、そのオブジェクトの模様の絵柄情報であるテクスチャおよび背景画像を記憶するキャラクタ記憶部18と、受信したコマンドに応じたプログラムを実行して、ワールド座標系にオブジェクトを配置するとともに、そのオブジェクトにテクスチャを貼付けた表示画像を生成する画像生成手段としての3次元画像処理部19と、この3次元画像処理部19で生成された表示画像を一時的に記憶する画像記憶部20と、その表示画像を表示する液晶モニタ6とを備えている。
【0044】
なお、ワールド座標系とは、本発明における仮想3次元空間に相当する3次元の座標系である。オブジェクトとは、ワールド座標系に配置される3次元の仮想物体であり、オブジェクト独自の座標系であるローカル座標系に配置される複数のポリゴンによって構成された3次元の画像形態情報である。ポリゴンとは、複数個の3次元座標の頂点で定義される多角形平面である。テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼付ける絵柄情報であり、テクスチャがオブジェクトに貼付けられることにより、オブジェクトに対応する画像、例えば識別図柄や補助図柄や背景などが生成される。
【0045】
I/F17は、制御基盤1のI/F15に情報流通可能に接続されており、制御基盤1から送られてくるコマンドを受信するものである。I/F17は、受信したコマンドを3次元画像処理部19に順次渡す。
【0046】
キャラクタ記憶部18は、3次元画像処理部19から適宜読み出される3次元情報であるオブジェクトおよびそのオブジェクトの2次元の絵柄情報であるテクスチャを記憶するメモリである。例えば、キャラクタ記憶部18には、大当たり時の当たり識別図柄例えばゴリラやライオンなどの模様のテクスチャと、大当たりのラウンドの回数を示すラウンド表示図柄のテクスチャと、そのラウンド時に演出用に表示される補助図柄例えばアルマジロやボーリングの模様のテクスチャなどの種々のテクスチャとともに、それら各テクスチャが貼付けられる1または複数のポリゴンで構成された複数種類のオブジェクトが記憶されている。また、キャタクタ記憶部18には、液晶モニタ6の表示画面6aの背景として表示される例えば草原の模様などが描かれた背景画像も記憶されている。
【0047】
3次元画像処理部19は、画像表示装置全体を制御管理するCPU(中央処理装置)、CPUにおける演算結果等を適宜記憶するメモリ、液晶モニタ6に出力する画像を生成する画像データプロセッサなどで構成されるものである。3次元画像処理部19は、コマンドに応じた表示態様を実現するために、本発明の仮想3次元空間に相当する3次元の座標系であるワールド座標系内に、視点およびキャラクタ記憶部18から読み出した各種のオブジェクトを配置し、そのオブジェクトを変動させたり視点を変位させる、いわゆるジオメトリ演算処理を行う。また、ワールド座標系内に与えた視点に基づいて表示領域を設定し、その表示領域内の様子を所定の投影平面に投影した2次元座標情報である投影情報を生成する。その投影情報に基づいて、画像記憶部20に設けられたフレームメモリ内における各オブジェクトの各ポリゴンの頂点に相当する位置すなわちフレームメモリ内のアドレスを求める。そして、キャラクタ記憶部18から読み出したテクスチャを各オブジェクトの各ポリゴンの頂点に合うように変形させて、そのテクスチャをフレームメモリ内の各アドレスに基づいて描画する。全てのオブジェクトへのテクスチャの描画が終了すると、画像記憶部20のフレームメモリ内に表示画像が生成され、その表示画像を液晶モニタ6に出力する。
【0048】
3次元画像処理部19は、具体的には例えば次のように構成されている。以下、図3を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
3次元画像処理部19は、CPU21と、このCPU21によって実行されるプログラムを記憶したプログラムROM22と、プログラムの実行によって得られたデータを記憶するワークRAM23と、CPU21の指示によってワークRAM23に記憶したデータを一括して転送するDMA24と、このDMA24によって転送されたデータを受信するI/F25と、このI/F25によって受信したデータに基づいて座標演算処理を行うジオメトリ演算処理部26と、I/F25によって受信したデータ等に基づいて表示画像を生成するレンダリング処理部27と、複数種類のカラーパレットに基づく色情報をレンダリング処理部27に適宜与えるパレット処理部28と、画像記憶部20内に設けられた複数のフレームメモリを切り換えるセレクタ部29と、表示画像を液晶モニタ6に出力するビデオ出力部30とを備えている。また、上述したCPU21とプログラムROM22とワークRAM23とDMA24とI/F25とは同一のデータバスに接続されており、オブジェクトおよびテクスチャ等を記憶したキャラクタ記憶部18は、上述したデータバスとは独立したデータバスを介してジオメトリ演算処理部26およびレンダリング処理部27に接続されている。
【0050】
プログラムROM22は、遊技機に電源が投入された際にCPU21によって最初に実行される制御プログラムや、制御基盤1から送られてくるコマンドの種類に応じた表示を行うための複数種類の表示プログラムなどを記憶したものである。さらに、プログラムROM22には、識別図柄を判別することに基づいて、後述する動作補助図柄であるアルマジロを動作させるといった一連の処理を行うための処理プログラムやその動作テーブルも記憶されている。
【0051】
なお、処理プログラムなどは表示プログラムによって利用され、その表示プログラムの実行によって、制御基盤1から送られてきたコマンドに応じた表示態様を実現するための設定情報が導出される。表示プログラムには、単独で実行されるプログラムだけでなく、例えば複数個のタスクを組み合わせることで、コマンドの種類に応じた表示を行うためのタスクを生成するようなものも含まれる。また、設定情報は、ワールド座標系内にオブジェクトを配置するための座標値、ワールド座標系内に配置するオブジェクトの姿勢をそのオブジェクトの基準姿勢からの回転量で指示する回転角度、ワールド座標系内に視点を設定するための座標値、ワールド座標系における視点の視線(例えばz軸)を所定方向に定めるために視線を回転させる回転角度、キャラクタ記憶部18内に記憶されたオブジェクト、テクスチャ、背景画像などの格納アドレスなどの各種のデータを含む情報であるとともに、表示画面6aに表示する一画面分の表示画像を生成するための情報である。プログラムROM22は、本発明における動作パターン記憶手段に相当する。
【0052】
CPU21は、プログラムROM22に記憶された制御プログラムによって画像表示装置7の全体を管理・制御する中央処理装置であり、主に、制御基盤1から送られてきたコマンドに応じた表示プログラムを実行することで、ワールド座標系内にオブジェクトおよび視点を配置する処理などを行うものである。具体的には、CPU21は、I/F17によって受信したコマンドの種類に応じて、そのコマンドに対応する表示を行うための表示プログラムを実行して得られた設定情報をワークRAM23に順次書き込み、所定の割り込み処理間隔(例えば1/30秒や1/60秒)ごとに、ワークRAM23内の設定情報の転送をDMA24に指示するものである。
【0053】
ワークRAM23は、CPU21によって得られた実行結果である設定情報を一時的に記憶するものである。また、DMA24は、CPU21での処理を介さずワークRAM23内に記憶されたデータを転送することができる、いわゆるダイレクトメモリアクセスコントローラである。つまり、DMA24は、CPU21からの転送開始の指示に基づいて、ワークRAM23に記憶された設定情報を一括してI/F25へ転送する。
【0054】
I/F25は、DMA24によって転送されてきた設定情報を受信する。I/F25は、設定情報に含まれる、キャラクタ記憶部18に記憶されたオブジェクトの格納アドレスや、オブジェクトをワールド座標系に配置するため配置座標値や、視点を設定する配置座標値などの座標演算の対象となるデータをジオメトリ演算処理部26に与えるとともに、画像描画の対象となる設定情報に含まれるキャラクタ記憶部18に記憶されたテクスチャなどの格納アドレスのデータをレンダリング処理部27に与える。さらに、I/F25は、設定情報に含まれているテクスチャの色合いを指示するためのカラーパレットをパレット処理部28に与える。
【0055】
ジオメトリ演算処理部26は、I/F25から与えられたデータに基づいて、3次元の座標点の移動や回転等に伴う座標演算処理を行うものである。具体的には、ジオメトリ演算処理部26は、キャラクタ記憶部18内に記憶されたオブジェクトの格納アドレスに基づいて、ローカル座標系に配置された複数のポリゴンから構成されたオブジェクトを読み出し、回転角度に基づいて回転させた姿勢のオブジェクトを座標値に基づいてワールド座標系に配置する際のワールド座標系におけるオブジェクトの各ポリゴンの座標値を算出する。さらに、視点の座標値および回転角度に基づいて設定される視点を基準とする視点座標系内のオブジェクトの各ポリゴンの座標値を算出する。さらに、視点に基づく視線に垂直に設定された投影平面に表示領域内のオブジェクトを投影した際の、その投影平面上の各ポリゴンの2次元の座標値を含む投影情報を算出する。そして、ジオメトリ演算処理部26は、投影情報をレンダリング処理部27に与える。
【0056】
パレット処理部28は、CPU21によって書き込まれる複数種類の色情報で構成される複数種類のカラーパレットを格納する図示しないパレットRAMを備えており、CPU21からI/F25を通じて指示されたカラーパレットのデータをレンダリング処理部27に与えるものである。カラーパレットを与えるとは、例えばパレットRAMに記憶されたカラーパレットの格納アドレスをレンダリング処理部27に与えることをいい、レンダリング処理部27は、表示画像を生成する際にその格納アドレスに記憶された色情報を参照する。なお、各色情報は、赤色(R),緑色(G),青色(B)の組合せによって決定されるものであり、カラーパレットのデータサイズが例えば16ビットの場合には、0〜15の各値に所定の色情報が割り当てられる。また、カラーパレットの各データすなわち各パレットは、テクスチャを構成する各ドットに割り当てられており、各パレットの色情報で各ドットを描画することで、テクスチャの全体が描画される。なお、このカラーパレットの各パレットに割り当てられている色情報を順次変更することで、段階的に色合いが異なる複数種類のテクスチャを生成することもできる。
【0057】
レンダリング処理部27は、まず、キャラクタ記憶部18内の背景画像が格納されている格納アドレスに基づいて背景画像を読み出し、その背景画像を画像記憶部20内に設けられたフレームメモリ内に描画し、そのフレームメモリ内に投影情報に基づくオブジェクトの各ポリゴンを展開する。さらに、レンダリング処理部27は、キャラクタ記憶部18内のテクスチャの格納アドレスとカラーパレットのデータとに基づいて、キャラクタ記憶部18から読み出したテクスチャをフレームメモリ内の各ポリゴンに相当する領域上に描画する。これにより、フレームメモリ内には、背景画像上に各種のオブジェクトに対応する図柄の画像が描画された表示画像が生成される。この表示画像は、フレームメモリの容量にもよるが、所定の縦横比例えば縦横比が3:4の表示画像である。なお、上述したジオメトリ演算処理部26およびレンダリング処理部27では、画面に表示する部分を決定するクリッピング処理、ポリゴンの前後関係によって見える部分と見えない部分とを判定する隠面処理、光源からの光の当たり具合や反射の様子を演算するシェーディング計算処理などの処理も適宜行われる。
【0058】
セレクタ部29は、複数のフレームメモリを適宜選択するものである。具体的には、セレクタ部29は、上述したレンダリング処理部27によって画像の描画が行われる際には、画像記憶部20内に設けられた複数のフレームメモリである例えば第1フレームメモリまたは第2フレームメモリのいずれか一方を選択する。この場合には、その選択されている側のフレームメモリ内に表示画像が生成される。一方、セレクタ部29は、描画が行われていない側のフレームメモリから既に表示画像の生成が終わっている表示画像を読み出し、その表示画像をビデオ出力部30に送る。なお、セレクタ部29は、読み出し側のフレームメモリと、描画側のフレームメモリとを順次切り換える。ビデオ出力部30は、セレクタ部29から送られてきた表示画像をビデオ信号に変換して液晶モニタ6に出力する。
【0059】
画像記憶部20は、レンダリング処理部27によって生成される表示画像を記憶するいわゆるビデオRAMである。画像記憶部20には、例えば一画面分の表示画像を記憶する記憶領域である第1フレームメモリと、第2フレームメモリとが設けられたいわゆるダブルバッファを構成している。なお、画像記憶部20に設けるフレームメモリは、2つに限定されるものではなく、1つ以上であれば幾つでもよい。
【0060】
液晶モニタ6は、ビデオ出力部30から出力された表示画像を表示する表示画面6aを備えており、その表示画面6aが遊技盤2の盤面に露出するように取り付けられている。その表示画面6aは例えば縦横比が9:16のいわゆるワイド画面であり、液晶モニタ6は、ビデオ出力部30から出力されてきた縦横比が3:4の表示画像を表示画面6aの縦横比に合わせて、表示画面6aに表示画像を表示する。また、液晶モニタ6には、縦横比が3:4の表示画像をそのまま表示する機能をも備えており、遊技状態に応じて表示画面6aに表示される表示画像の縦横比を適宜変化させることもできる。なお、液晶モニタ6は、本発明における表示手段に相当する。
【0061】
次に、図5に示すフローチャートを参照しながら、上述した画像表示装置7で行なわれる処理について詳細に説明する。
【0062】
ステップT1(コマンドの把握)
I/F17は、制御基盤1から送られてくるコマンドを順次受信して、そのコマンドを3次元画像処理部19に順次渡す。3次元画像処理部19は、そのコマンドをワークRAM23に設けた図示しないコマンドバッファ内に記憶する。さらに、3次元画像処理部19は、液晶モニタ6からの割り込み処理があるたびに、コマンドバッファ内に記憶したコマンドを読み出し、そのコマンドに対応するプログラムROM22内のプログラムを実行して1画面分の表示画像を順次生成する。そのプログラムの実行によって、3次元画像処理部19内では、以下のステップが実行される。なお、上述した割り込み処理は液晶モニタ6の1/30秒または1/60秒ごとの例えば垂直走査信号に同期して行われる。
【0063】
ステップT2(ワールド座標系に視点を設定)
3次元画像処理部19は、表示画面に表示するワールド座標系内の位置を決めるための注目点を設定する。この注目点は、例えばワールド座標系に配置される特定のオブジェクトの配置位置にほぼ一致するような位置に設定される。さらに、その注目点に基づいてワールド座標系内の様子を液晶モニタ6の表示画面6aに表示するための視点を設定する。この視点は3次元の座標系の原点であり、視点からの視線の方向が注目点を向くように設定される。視線は、視点を原点とした座標系の例えばz軸である。以下、注目点に向いた視線を有する視点をワールド座標系に設定するまでの概念および具体的な算出方法について説明する。
【0064】
表示画面6aに識別図柄や補助図柄などの複数個の絵柄画像を表示する場合には、図6に示すように、複数個のオブジェクトOJ1〜OJ6がワールド座標系内のそれぞれの配置位置に配置される。3次元画像処理部19は、表示画面6aのほぼ中央付近に表示される絵柄画像を表示するためのオブジェクトOJ3のワールド座標系における配置位置WPの座標値(WPx,WPy,WPz)を求める。この配置位置WPの座標値は、例えば本実施例のパチンコ機の場合にはプログラム内に予め用意されたワールド座標系の座標値を参照することで求める。例えばパチンコ機以外の遊技機の場合には、コントローラ等の入力手段からの入力信号に基づいて求める。3次元画像処理部19は、配置位置WPの座標値(WPx,WPy,WPz)を注目点の座標値として設定する。
【0065】
3次元画像処理部19は、図7に示すように、注目点の配置位置WPを原点Oとする新たな3次元の座標系をワールド座標系内に設定する。そして、図8(a)に示すように、新たな3次元の座標系の2次元の各軸周りにその新たな3次元の座標系を回転させる。例えば、新たな3次元の座標系をx軸周りにθx°,y軸周りにθy°だけ回転させる。回転角度θx°,θy°は、例えば本実施例のパチンコ機の場合にはプログラム内に予め用意された回転角度のデータを参照することで求める。例えばパチンコ機以外の遊技機の場合には、コントローラ等の入力手段からの入力信号に基づいて求める。これにより、図8(c)に示すように、予め与えられている注目点から視点までの距離Lのデータに基づいて、新たな3次元の座標系のz軸上の注目点から距離Lだけ離れた配置位置P0 に、新たな座標系を移動させる。このとき、新たな3次元の座標系のz軸が注目点を向くように移動される。なお、本明細書では、視線の方向がz軸のプラス側になるように説明するが、これに限定されるものではなく、例えば視線の方向がz軸のマイナス側になるようにすることもできる。また、本実施例では、注目点の配置位置WPをオブジェクトJの配置位置と一致するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば注目点の配置位置WPは任意の位置に設定することができる。具体的には、3次元画像処理部19は、上述した注目点の配置位置WPの座標値と、新たな座標系の各軸周りの回転角度θx,θyと、注目点からの距離Lとの各値を、次式(1)に示す式に代入する。
【0066】
(P0X, P0Y, P0Z)=(Lsinθycosθx+WPx,Lsinθx+WPy,Lcosθycosθx+WPz) … (1)
3次元画像処理部19は、上述した式(1)によって、注目点がz軸にある3次元の座標系の原点Oのワールド座標系における座標値(P0X, P0Y, P0Z)を算出し、その座標値(P0X, P0Y, P0Z)で特定されるワールド座標系の配置位置P0に新たな3次元の座標系を移動させる。このワールド座標系の配置位置P0における新たな3次元の座標系を、注目点を向く視線を有する視点SPとする。この視点SPからの視線が向いた方向のワールド座標系内の様子が液晶モニタ6の表示画面6aに表示される。例えば、本実施例では、後述する図12,13に示すように、x軸周りにθx°だけ回転させることによって、視点SPをx軸周りに回転させながら、識別図柄のゴリラ61、ライオン62や補助図柄のアルマジロ64の上方にあるボーリング65を表示画面6aに表示させている。
【0067】
また、本実施例では、後述する視点座標系のx軸とy軸とを、ワールド座標系のX軸とY軸とに、さらに、上述した新たな座標系のx軸とy軸とにもそれぞれ一致させて、視点座標系のz軸を、新たな座標系のz軸に一致させるとともに、ワールド座標系のZ軸とは逆方向に一致させている。これによって、θx°は180°,θy°は0°にそれぞれ設定される。また、このとき、視点SPからの視線方向を変更させるときには、ワールド座標系内でオブジェクトOJ1〜OJ6をワールド座標系でX軸周り,Y軸周りに回転させている。
【0068】
ステップT3(オブジェクトを配置および変動)
3次元画像処理部19は、表示画面6aに複数個の絵柄画像を表示するためのオブジェクトOJ1〜OJ6をキャラクタ記憶部18からそれぞれ読み出す。そして、図9に示すように、3次元画像処理部19は、視点SPの配置位置P0の座標値(P0X, P0Y, P0Z)を基準とする各座標値に応じて、ワールド座標系内の各座標値を求めて、それら各座標値に基づく各配置位置P1〜P6に各オブジェクトOJ1〜OJ6をそれぞれ配置する。なお、3次元画像処理部19は、各オブジェクトの配置位置の座標値のΔPで表した部分のデータを算出、またはプログラムROM22内に予め用意されたデータを参照して、そのΔPの値と視点SPの座標値とからワールド座標系における座標値を求める。
【0069】
具体的には、ワールド座標系内の配置位置P1(P0X+ΔP1X,P0Y+ΔP1Y,P0Z+ΔP1Z)にオブジェクトOJ1を、配置位置P2(P0X+ΔP2X,P0Y+ΔP2Y,P0Z+ΔP2Z)にオブジェクトOJ2を、配置位置P3(P0X+ΔP3X,P0Y+ΔP3Y,P0Z+ΔP3Z)にオブジェクトOJ3を、配置位置P4(P0X+ΔP4X,P0Y+ΔP4Y,P0Z+ΔP4Z)にオブジェクトOJ4を、配置位置P5(P0X+ΔP5X,P0Y+ΔP5Y,P0Z+ΔP5Z)にオブジェクトOJ5を、配置位置P6(P0X+ΔP6X,P0Y+ΔP6Y,P0Z+ΔP6Z)にオブジェクトOJ6を、それぞれ配置する。なお、便宜上図6などでは各オブジェクトの形態を球体形状で図示しているが、各オブジェクトの形状はそれぞれの絵柄画像の形状に応じた3次元形状で形成されている。また、本実施例では、視点SPを基準として各オブジェクトOJ1〜OJ6を配置しているので、視点SPの配置位置や視線方向を変位させた場合すなわち注目点を移動させた場合であっても、各オブジェクトOJ1〜OJ6によって表示される絵柄画像を、表示画面6a上の一定の位置に表示させることができる。
【0070】
さらに、3次元画像処理部19は、各オブジェクトOJ1〜OJ6の中の任意のオブジェクトを移動させる場合には、その任意のオブジェクトの配置位置のx軸成分の座標値を割り込み処理ごとに順次更新(座標値を減算または加算)することで、任意のオブジェクトを横方向へ移動させる。これにより、オブジェクトがワールド座標系内を移動するので、そのオブジェクトによって表示される絵柄画像も表示画面6a上を移動する。同様にして、任意のオブジェクトの配置位置のy軸成分の座標値を順次更新すればオブジェクトを縦方向へ、z軸成分の座標値を順次更新すればオブジェクトを奥行き方向へそれぞれ任意に移動させることができる。なお、ステップT3における処理については後で詳細に説明する。
【0071】
ステップT4(視点座標系を変形補正)
3次元画像処理部19は、ワールド座標系内に配置された各オブジェクトOJ1〜OJ6の各配置位置P1〜P6の座標値を、視点SPを基準すなわち原点とする視点座標系の座標値に変換する。つまり、上述した座標値のΔで表された成分だけを抜き出す。ここで、レンダリング処理部27によってフレームメモリ内に生成される表示画像の縦横比は3:4であるので、この表示画像を縦横比が9:16の表示画面6aに表示すると、表示画像が間延びした画像となるという弊害が生じる。そこで、表示画像の縦横比と、表示画面の縦横比とに応じて、視点座標系を変形補正することにより、その視点座標系内に配置された各絵柄画像などを変形させる。
【0072】
具体的には、3次元画像処理部19は、視点座標系を変形補正するための変形補正値を算出する。この変形補正値は、各オブジェクトOJ1〜OJ6の縦幅または横幅を拡大もしくは縮小するための倍率値である。変形補正値は、表示画面6aの縦横比をA:B、表示画像の縦横比をa:bとすると、次式(2)によって算出することができる。なお、次式(2)で算出される変形補正値は、表示画像の縦倍率を基準にして、その横幅を画面に合わせて変形した場合には、オブジェクト等の横幅を変形補正するための倍率値であり、表示画像の横倍率を基準にして、その縦幅を画面に合わせて変形した場合には、各オブジェクトOJ1〜OJ6の縦幅を変形補正するための倍率値である。
【0073】
(A×b)÷(a×B) …(2)
フレームメモリ内に生成される表示画像の縦横比が3:4であり、表示画面6aの縦横比が9:16である場合には、表示画面6aには表示画像の縦横比が9:16で表示されるので、表示画像の横幅が4/3倍に拡大されたように表示される。このとき、表示画像に含まれる各オブジェクトOJ1〜OJ6で表示される絵柄画像の横幅も4/3倍に拡大される。ここで、式(2)に表示画像および表示画面6aの縦横比の各値を代入することで、各オブジェクトOJ1〜OJ6の横幅を4分の3倍(以下、「3/4倍」と示す)に縮小する倍率値の変形補正値を算出する。さらに、3次元画像処理部19は、変形補正値に基づいて視点座標系の横方向(x軸方向)を3/4倍に縮小する。その結果、各オブジェクトOJ1〜OJ6は、視点座標系のx軸方向に3/4倍に縮小される。なお、この実施例では、ステップT4によって視点座標系を変形補正したが、変形補正することなくステップT4以降の処理を行うこともできる。
【0074】
ステップT5(投影平面に投影)
3次元画像処理部19は、図9に示すように、視点SPと、オブジェクトOJ1〜OJ6との間に、視点からの視線の方向であるz軸に垂直な投影平面TMを設定する。投影平面TMは、視点座標系のz軸に垂直であり、z値が固定されているので、投影平面TM上では2次元の座標値として取り扱うことができる。この投影平面TMは、画像記憶部20内に設けられたフレームメモリに対応する領域を有している。
【0075】
さらに、3次元画像処理部19は、投影平面TMに投影される各オブジェクトOJ1〜OJ6の移動方向に応じて、それら各オブジェクトOJ1〜OJ6を透視投影または平行投影する。これにより、各オブジェクトOJ1〜OJ6をそれぞれ構成する各ポリゴンの各頂点は、投影平面TMに透視移動または平行移動するように投影され、各頂点の3次元の座標値が投影平面TM上の2次元の座標値に変換される。3次元画像処理部19は、全てのオブジェクトの投影が終了することにより、ワールド座標系内の各オブジェクトOJ1〜OJ6の投影情報を取得する。
【0076】
ここで、透視投影とは、各オブジェクトOJ1〜OJ6を視点SPから見た状態で投影することをいい、具体的にはオブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの頂点が視点SPへ向けて直線的に移動されるように投影することをいう。これにより、例えば視点SPからの距離に応じてオブジェクトOJ1〜OJ6の各画像が変化するように表示される。平行投影とは、オブジェクトOJ1〜OJ6を投影平面TMから見たそのままの状態で投影することをいい、具体的にはオブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの頂点が投影平面TMに対して垂直に直線的に移動するように投影することをいう。これにより、視点SPからの距離に関わらず、オブジェクトOJ1〜OJ6の各画像は常に一定の大きさで表示される。なお、遊技者に遊技状態を識別させたい場合には、例えば絵柄画像が識別図柄である場合には、識別図柄を識別し易くするために、識別図柄を表示するオブジェクトを平行投影する。それ以外の場合には、例えば補助図柄などの絵柄画像や、背景画像の場合には、より立体感を表現するために、これらの画像を表示するオブジェクトを透視投影することが好ましい。また、後述するアルマジロの場合には補助図柄であるが、ゴリラやライオンなどの識別図柄に向かってジャンプするので、識別図柄と同じようにアルマジロを平行投影する。さらに、本実施例では、他の絵柄画像にも同様に透視投影または平行投影を適用することができる。
【0077】
ステップT6(表示画像の生成)
まず、3次元画像処理部19は、キャラクタ記憶部18に記憶されている背景画像を読み出し、その背景画像を画像記憶部20内のフレームメモリ内に描画する。この背景画像は、例えば海中および海底の様子や、草原および草原の様子を表示する画像である。
【0078】
次に、3次元画像処理部19は、投影情報に含まれる各オブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの各頂点の座標値に対応する画像記憶部20のフレームメモリ内のアドレス、すなわちフレームメモリ内の各オブジェクトOJ1〜OJ6の各ポリゴンの位置を求める。そして、キャラクタ記憶部18から読み出したテクスチャを各ポリゴンに合わせて変形させながら各ポリゴンに描画する。これにより、背景画像上に、各オブジェクトOJ1〜OJ6の画像である絵柄画像が重ねられた表示画像がフレームメモリ内に生成される。
【0079】
ステップT7(表示)
3次元画像処理部19は、フレームメモリ内に生成された表示画像をビデオ出力部30を介して液晶モニタ6に出力する。液晶モニタ6は、割り込み処理ごとに3次元画像処理部19から送られてくる縦横比が3:4の表示画像を、縦横比が9:16の表示画面6aに合わせて順次表示する。上述したステップT1〜T7が実行されることによって、表示画面6aには、図10に示すような表示画像が表示される。図10に示すように、表示画面6aには、例えば草原の様子を示す背景画像HGの前面に、上述した各オブジェクトOJ1〜OJ5の画像である絵柄画像G1〜G5が表示される。このとき、投影平面TM外に配置されているオブジェクトOJ6は、投影平面TMに投影されないので、表示画面6aには表示されない。なお、上述したステップT1〜T7を繰り返して、全ての識別図柄を変動させる通常変動や、特定の識別図柄だけが変動させるリーチなどの表示態様を表示することができるとともに、その他の遊技状態に応じて絵柄画像や背景画像を表示することができる。
【0080】
次に、本実施例における上述したステップS4の処理について、図11に示すフローチャートを参照しながら説明するとともに、本実施例に係るパチンコ機で実際に表示される表示態様について、図12,13に示すリーチにおける表示態様を参照しながら説明し、上述したステップT3における処理について、図14,15を参照しながら詳細に説明する。なお、図12の背景画像については、引き出し線および絵柄画像の図示の都合上模式的に示している。
【0081】
液晶モニタ6の表示画面6aには、制御基盤1から送られてきたリーチに対するコマンドに基づいて、図12,13に示すような表示態様が、図12(a)〜(c),図13(a)〜(c)の順に表示される。また、本実施例でのリーチは、識別図柄を一旦停止させる『アルマジロリーチ』と呼ばれるリーチと、遊技状態に応じた表示態様を決定させる『ボーリングリーチ』と呼ばれるリーチとにわかれる。
【0082】
ステップU1(アルマジロリーチの抽選)
ステップS3(大当たり抽選)でカウンタ14の出力値に基づいて主制御部16が通常の遊技状態または特定の遊技状態を決定した後、上述した『アルマジロリーチ』での識別図柄の停止位置を決定するために3次元画像処理部19内のCPU21はランダムに抽選を行う。その抽選結果に基づいて表示プログラムは、図12(a)に示すようなアルマジロリーチを示す表示態様を表示画面6aに表示させる。
【0083】
ステップU2(アルマジロリーチでの識別図柄の停止)
アルマジロリーチ直前またはアルマジロリーチでの表示画面6aは、図12(a),(b)に示すように、その画面内が縦方向に上段領域A,中段領域B,下段領域Cの3つに分けられている。
【0084】
アルマジロリーチ直前では、それら各領域A〜C内で複数種類の識別図柄が変動するように表示される。なお、複数種類の識別図柄のうち第1種識別図柄に相当する所定のものには1〜9のいずれかの図柄番号がそれぞれ付されている。通常回転時には各領域A〜Cに表示される識別図柄がそれぞれ横方向に低速または高速で移動する。アルマジロリーチが発生すると、上段領域Aと下段領域Cとで移動していた識別図柄が、表示画面6aの斜め方向(または縦方向)に同一種類で揃うように停止し、中段領域Bの識別図柄だけが横方向に移動を続けるように表示された後、アルマジロリーチにおいて中段領域Bの識別図柄も停止する。このとき中段領域Bで停止する識別図柄は、CPU21がランダムに抽選した抽選結果に基づく図柄である。
【0085】
本実施例では、第1種識別図柄として複数種類の動物が割り当てられている。例えば図12に示すように、図柄番号5が付されているゴリラ61や、図柄番号7が付されているライオン62などが第1種識別図柄として割り当てられている。横方向において各識別図柄の間には演出効果を高めるための第2種識別図柄として卵63が表示されており、アルマジロリーチ直前では、他の識別図柄と同じように各領域A〜C内を卵63が移動して、アルマジロリーチ発生時には上段領域Aと下段領域Cとで移動していた卵63が停止し、中段領域Bの卵63だけが横方向に移動を続けるように表示される。さらにアルマジロリーチ時に中段領域Bの卵63も停止する。
【0086】
CPU21がランダムに抽選した抽選結果に基づいて中段領域B略中央部で停止した識別図柄を、プログラムROM22が判別して、その判別結果を後述する動作テーブルに送る。例えば、本実施例の場合では、図12(a)に示すように中段領域B略中央部にはゴリラ61が停止しており、プログラムROM22はゴリラ61を判別する。同様に、中段領域B略中央部にライオン62が停止した場合には、プログラムROM22はライオン62を判別して、中段領域B略中央部に卵63が停止した場合には、プログラムROM22は卵63を判別する。
【0087】
ステップU3(アルマジロを配置)
中段領域Bでゴリラ61やライオン62などの第1種識別図柄や卵63などの第2種識別図柄が停止すると、図12(a)に示すように、アルマジロ64を表示画面6aに表示させる。アルマジロ64を表示させるために、ワールド座標系内において図14に示すような位置にアルマジロに関する動作オブジェクトとしてのオブジェクトARMを配置させる。このアルマジロ64は、本発明における動作補助図柄に相当する。
【0088】
ステップT3でも述べたように、3次元画像処理部19は、プログラムROM22内の表示プログラムに基づいて、ワールド座標系内に各オブジェクトをそれぞれ配置する。具体的に説明すると、図14に示すように、アルマジロに関するオブジェクトARMと、後述するようにアルマジロ64がジャンプして着地する対象となる識別オブジェクトとしてのオブジェクトGRLと、識別図柄や補助図柄などの絵柄画像に関する図示を省略するその他のオブジェクトとをワールド座標系内に配置する。
【0089】
着地の対象となるオブジェクトGRLは、上述したプログラムROM22が判別した判別結果に基づくオブジェクトである。判別された図柄が第1種識別図柄である場合には、判別された識別図柄が着地の対象となるオブジェクトGRLとなり、判別された図柄が第2種識別図柄(卵63)である場合には、図12(a),(b)に示す中段領域Bであって第2種識別図柄の右隣にある第1種識別図柄が着地の対象となるオブジェクトGRLとなる。
【0090】
例えば、本実施例の場合には、図12(a)に示すように中段領域B略中央部にはゴリラ61が停止しており、判別結果はゴリラであるので、着地の対象となるオブジェクトGRLは、ゴリラに関するオブジェクトでもある。
【0091】
ステップU4(アルマジロを変動〔ジャンプ〕)
アルマジロに関するオブジェクトARMが、ワールド座標系内に配置されると、プログラムROM22内の動作テーブルを読み出して、その動作テーブルに基づいてオブジェクトARMの配置位置を決定させて、オブジェクトARMを変動、すなわち本実施例ではアルマジロ64をジャンプさせる。この動作テーブルは、ワールド座標系内にオブジェクトARMが配置された位置からのX軸とY軸との相対座標(△X,△Y)を識別図柄ごとにそれぞれ記憶させたものであって、各相対座標は次式(3)式で表される。
【0092】
(△X,△Y)=(c×t,a×t2+b×t) … (3)
上記(3)式中のa,b,cは係数であって、tは時間である。a,b,cは動作テーブルに記憶されており、これらの係数は判別する図柄ごとに適宜設定されている。
【0093】
例えば、仮にa,bが図柄に依らず一定の値であれば、△Yも図柄に依らずに一定の値となってしまい、アルマジロ64のような動作補助図柄がジャンプして第1種識別図柄の上に着地した場合では、第1種識別図柄の丈の高さは動物によって一様でないので、キリンのような丈が高い第1種識別図柄に着地するとアルマジロがキリンにのめりこんで、ワニのような丈が低い第1種識別図柄に着地するとアルマジロがワニの上に宙に浮くという不都合が生じる。従って、第1種識別図柄の丈の高さに応じてa,bは図柄ごとに動作テーブルに予め設定されて記憶されている。
【0094】
また、例えば、図柄が卵63のような第2種識別図柄であるという判別結果となった場合には、上述したように卵63の右隣にある第1種識別図柄に着地するので、cも図柄ごとに動作テーブルに予め設定されて記憶されている。上述の場合には、卵63を判別したときのcは、第1種識別図柄を判別したときのcよりも長く設定されており、これによって第1種識別図柄を判別したときよりも△Xは長くなって、第1種識別図柄を判別したときよりも着地位置を遠くすることができる。
【0095】
本実施例では、上述したように視点座標系のx軸とy軸と、ワールド座標系のX軸とY軸とをそれぞれ一致させているので、ワールド座標系のX軸とY軸との方向は、視点座標系のz軸に垂直な投影平面TM(図9参照)の水平方向と垂直方向とそれぞれ同じように設定されている。従って、ワールド座標系のような仮想3次元空間であっても、X軸を水平方向、Y軸を垂直方向にあてはめるだけで2次元座標系と同じように設定することができる。例えば、aを負の値として、bを正の値とすると、△Yは位置に相当するので、aは下方向の加速度、bは上方向の速度となる。さらに、上記(3)式は放物線を表す式なので、(3)式で表される相対座標(△X,△Y)を記憶した動作テーブルに従って、アルマジロに関するオブジェクトARMを配置位置の座標に相対座標(△X,△Y)を加算した位置に順に配置すると、図15に示すように、オブジェクトARMがいったん上にジャンプしてから放物線状の軌跡を描きながら下方向の力によって落下する。
【0096】
ステップU5(ボーリングリーチに移行)
ステップU4のようにオブジェクトARMを順に配置することで、図12(a)〜(c)に示すように、アルマジロ64がジャンプしながら、アルマジロリーチの抽選結果であって判別対象でもあるゴリラ61に着地する。図12(b)〜(c)に移行する際、視点座標系のx軸周り(本実施例の場合、ワールド座標系のX軸周りでも同じ)にθx°だけ回転させることによって、視点SPをx軸周りに回転させながら、ゴリラ61や卵63やアルマジロ64などの上方にあるボーリング65を表示画面6aに表示させて、ボーリングリーチに移行させている。
【0097】
ステップU1のアルマジロリーチ以前には、最終的に表示される遊技状態は既に決定されており、このボーリングリーチは、ランダムに抽選されたアルマジロリーチの抽選結果から上述の遊技状態に合わせるためにあるリーチで、これによって遊技者に次の遊技状態や大当たり予告を悟られるのを防止している。
【0098】
ステップU6(ボーリングリーチを実行)
ボーリングリーチに移行すると、図13(a)〜(c)の順で、ボーリングリーチを実行する。すなわち、ボーリング65を構成する各ピンには、図13(a)に示すように、図柄番号1〜9が付された各識別図柄がそれぞれ割り当てられている。アルマジロ64は、図13(b)に示すように奥にあるボーリング65に向かって進み、図13(c)に示すようにボーリング65のピンを倒して、予め決定されている遊技状態が、残ったピンの結果から決まった結果、すなわちボーリングリーチの結果と合わせるようになっている。なお、ステップU6での各絵柄画像の変動については説明を省略する。
【0099】
上述したパチンコ機では、ステップU3(アルマジロを配置)でアルマジロに関するオブジェクトARMをワールド座標系に配置して、ステップU4(アルマジロを変動)でそのオブジェクトARMを、放物線の式で表されて動作テーブルに記憶されている相対座標(△X,△Y)に従って順に配置して、配置のたびに投影などのレンダリング処理を行なって、アルマジロ64を表示画面6aに出力表示しているので、アルマジロ64が放物線状の軌跡を描きながらジャンプする表示態様を実現することができる。
【0100】
また、ゴリラ61やライオン62などの第1種識別図柄または卵63などの第2種識別図柄に応じてアルマジロ64がジャンプすることが可能になり、臨場感のある表示態様を実現することができる。また、動作テーブルは、ゴリラ61やライオン62などの第1種識別図柄または卵63などの第2種識別図柄ごとに相対座標(△X,△Y)を記憶しているので、判別の対象となったこれらの図柄に応じてアルマジロのジャンプの形態を変化させることができて、臨場感のある表示態様を実現することができる。
【0101】
さらに、ゴリラ61やライオン62といった第1種識別図柄や、卵63といった第2種識別図柄などの図柄の表示態様も、これらの識別図柄に応じてジャンプの形態が変化するアルマジロ64とともに表示画面6aに表示されるので、遊技者の面白味を永続させることもできる。
【0102】
さらには本実施例では、リーチを、アルマジロリーチとボーリングリーチとにわけて、アルマジロリーチでの停止図柄をランダムに抽選して、既に決定されている遊技状態に基づいてボーリングリーチの結果を決定しているので、遊技者に次の遊技状態や大当たり予告を悟られるのをより防止することができるという効果をも奏する。
【0103】
〔変形例〕
上述した本実施例では、X軸とY軸との2方向のみについてアルマジロ64を動かしていたが、Z軸方向にも動かしてもよい。また、aを負の値で、bを正の値に設定していたが、例えばbを0または負の値にして飛び降りる様子についての表示態様を表示させたり、aを正の値にして天井に張り付きながら移動する様子についての表示態様を表示させたりa,bの設定値については特に限定されない。また、ワールド座標系のX軸とY軸とを、視点座標系のx軸とy軸とに一致させていたが、必ずしも一致させる必要はない。その場合には、アルマジロ64などの動作補助図柄が方向によらずに放物線状の軌跡を描きながら動作する表示態様を実現することができる。
【0104】
上述した本実施例では、放物線に関する動作であったが、例えばアルマジロ64などの動作補助図柄が円運動したり、直線状に滑空したりなど動作補助図柄の動作については特に限定されない。
【0105】
上述した本実施例では、ワールド座標のような仮想3次元空間でアルマジロ64などの動作補助図柄に関する動作オブジェクトを動作テーブルなどに従って配置して、その他のオブジェクトをも含めて投影して、アルマジロ64の動作を制御していたが、オブジェクトを投影してから動作テーブルなどに従って2次元座標系の投影平面上に配置して、アルマジロ64の動作を制御してもよい。上述の場合には、本実施例でも述べたように、上記(3)式中の係数aを負の値、bを正の値とすると、本実施例と同様にアルマジロ64がゴリラ61や卵63などに応じてジャンプする表示態様を実現することができる。
【0106】
上述した本実施例では、アルマジロリーチとボーリングリーチとに分けたリーチであったが、リーチの形式については特に限定されず、本発明を適用することができるし、リーチ以外の遊技状態であっても本発明を適用することができる。
【0107】
また、上述した本実施例では、液晶モニタについて説明したが、例えば、液晶モニタの代わりにCRTモニタや、LEDモニタなどにすることもできる。
【0108】
また、上述した本実施例では、遊技機としてパチンコ機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスロットマシン、コインゲーム機などの遊技機に変形実施することができる。
【0109】
例えば、スロットマシンの場合には、パチンコ機で用いられた主制御部16や液晶モニタ6などから構成される制御基盤1や画像表示装置(いずれも図1参照)の他に、図示を省略する複数列のリール状の表示器を備えている。このリール状の表示器は、例えば3列で構成されており、各列は、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別図柄からなる識別図柄列からそれぞれ構成されている。
【0110】
その他に、スロットマシンには、操作レバーとストップボタンとを備えており、上述したリール状の表示器に表示された識別図柄の変動が操作レバーの操作に起因して開始され、リール状の表示器に表示された識別図柄の変動が、ストップボタンの操作に起因して停止されるか、あるいは所定時間経過することにより停止される。そして、主制御部16によってその停止状態が、遊技者に有利な遊技状態、すなわち大当たりを発生させる特定表示態様となった場合には、遊技者は多数個の遊技媒体、例えばコインや、メダル等を取得することができる。
【0111】
一方、液晶モニタ6の表示画面6aには、上述した補助図柄の他に、リール状の表示器に表示された上記識別図柄とは異なる識別図柄といった絵柄画像が表示される。リール状の表示器に表示された識別図柄の停止状態が、上述した特定表示態様となって確定表示される前段階に、液晶モニタ6によって表示画面6aに表示された識別図柄が特定表示態様で確定表示されることにより、大当たりが確定されるようになっている。つまり、表示画面6aに表示される識別図柄は大当たり予告表示の機能を果たしていることになる。操作レバーは、本発明における始動用操作手段に相当し、ストップボタンは、本発明における停止用操作手段に相当し、主制御部16は、本発明における遊技価値付与手段に相当し、液晶モニタ6は、本発明における第2の表示手段に相当し、液晶モニタ6の表示画面6aに表示される識別図柄は、第2の識別図柄に相当し、リール状の表示器は、本発明における第1の表示手段に相当し、リール状の表示器に表示される識別図柄は、本発明における第1の識別図柄に相当する。
【0112】
上述したパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機にも、実施例は変形実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るパチンコ機の概略構成を示す外観図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機の機能ブロック図である。
【図3】3次元画像処理部の機能ブロック図である。
【図4】パチンコ機の制御基盤での処理を示すフローチャートである。
【図5】パチンコ機の画像表示装置での処理を示すフローチャートである。
【図6】ワールド座標系に複数個のオブジェクトを配置した様子を示す図である。
【図7】注目点を設定した様子を示す図である。
【図8】注目点に基づいて、視点を設定するまでの様子を示す図である。
【図9】ワールド座標系における投影平面と複数個のオブジェクトとの様子を示す図である。
【図10】表示画面にオブジェクトの画像が表示された様子を示す図である。
【図11】本実施例に係るパチンコ機でのアルマジロリーチからボーリングリーチに至るまでの流れを示すフローチャートである。
【図12】リーチにおける表示態様を示す図であって、(a)はアルマジロリーチ時にアルマジロがジャンプする直前の様子を示した図、(b)はアルマジロがジャンプしている様子を示した図、(c)はアルマジロがゴリラに着地してボーリングリーチに移行する様子を示した図である。
【図13】リーチにおける表示態様を示す図であって、(a)〜(c)はボーリングリーチの様子を示す図である。
【図14】アルマジロや着地対象となる識別図柄に関するオブジェクトが配置される様子を示す図である。
【図15】アルマジロに関するオブジェクトが放物線上の位置に配置される様子を示す図である。
【符号の説明】
1 … 制御基盤
6 … 液晶モニタ
6a… 表示画面
7 … 画像表示装置
18 … キャラクタ記憶部
19 … 3次元画像処理部
20 … 画像記憶部
22 … プログラムROM
61 … ゴリラ
62 … ライオン
63 … 卵
64 … アルマジロ
65 … ボーリング
ARM … アルマジロに関するオブジェクト
Claims (1)
- 仮想3次元空間にオブジェクトを設定し、該オブジェクトに基づいて画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段によって生成された画像を表示する表示手段とを備え、
前記表示手段が、複数種類の識別図柄を変動表示し、かつ、前記識別図柄に関連して動く動作補助図柄を表示するよう構成した遊技機において、
前記画像生成手段は、
前記複数種類の識別図柄の中から選出された任意の識別図柄に対応する識別オブジェクトを所定位置に設定し、
所定条件の成立に基づいて、前記動作補助図柄に対応する動作オブジェクトを設定するとともに、前記所定位置に設定した識別オブジェクトの種類を判別し、
その判別結果に基づいた動作パターンで前記動作オブジェクトを動作制御することにより、
前記表示手段によって、前記動作制御に基づいた前記動作補助図柄の動作表示が行われるようにしたことを特徴とする遊技機。
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