JP3975913B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、スロットマシンあるいはコイン遊技機などの遊技機に係り、特に、3次元情報に基づく識別図柄および補助図柄を表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の遊技機であるパチンコ機では、多数個のパチンコ球を取得することができる遊技者にとって有利な遊技状態と、遊技者がパチンコ球を消費する遊技者にとって不利な遊技状態とを発生させており、遊技者の面白味を永続されるために、各遊技状態に応じて臨場感のある表示態様を表示している。例えば、従来のパチンコ機では、パチンコ機における遊技状態を遊技者に識別させるための2次元の画像である識別図柄や、遊技状態における演出効果を高めるための識別図柄とは別個の2次元の画像である補助図柄を縮小または拡大して、それら識別図柄や補助図柄を遠近法などを用いて描いた2次元の画像である背景上に重ねた表示画像を生成し、この表示画像をモニタの表示画面に表示する。このとき、背景上で識別図柄および補助図柄をそれぞれ変動させることで、臨場感のある表示態様を実現して、遊技機を遊技する遊技者の面白味を永続させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のパチンコ機においては、次のような問題がある。
従来のパチンコ機では、2次元の画像である識別図柄や補助図柄を例えば遠近法を用いて描かれた背景上で変動させているが、それら識別図柄や補助図柄自体が立体的でないので、全体として臨場感の乏しい表示態様になるという問題がある。そこで、近年、複数のポリゴンで構成された3次元情報であるオブジェクトを仮想3次元座標空間内に配置し、その仮想3次元座標空間内でオブジェクトを変動させる。そして、仮想3次元座標空間内の所与の視点に基づいて、仮想3次元座標空間内で変動するオブジェクトを表示するための表示画像を生成し、その表示画像を表示画面に表示することで、オブジェクトに対応する識別図柄および補助図柄の変動を表示することが試みられている。
【0004】
しかし、上述した仮想3次元座標空間は3次元の座標空間であるので、従来のような背景上に各図柄を配置するような2次元の場合と異なり、識別図柄に対応するオブジェクトと補助図柄に対応するオブジェクトとの奥行き方向の配置位置をそれぞれ考慮する必要が生じてきた。つまり、識別図柄に対応するオブジェクトと、補助図柄に対応するオブジェクトとを単に仮想3次元座標空間内で変動させて、その様子を仮想3次元座標空間内に設定された視点に基づいて表示すると、視点が設定される位置によっては表示画面上に表示される識別図柄上に補助図柄が被さってしまい、遊技者が識別図柄を識別しにくくなるという問題がある。その結果、遊技者が遊技状態を把握することができなくなり、遊技者の面白味を永続させることができないという難点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、遊技者に識別図柄を容易に識別させることができる遊技機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成を採る。
請求項1に記載の発明(構成7)は、始動口へのパチンコ球の入賞に基づいて識別図柄の変動表示が開始され、その変動表示が所定の大当たりの識別図柄で変動停止表示される場合に所定の入賞口が開放される遊技機であって、前記入賞口が開放した遊技者に有利な特定の遊技状態と、前記入賞口が閉じられたままで前記特定の遊技状態より遊技者に不利な状態である通常の遊技状態のいずれかを発生させる遊技状態発生手段と、前記識別図柄および前記識別図柄とは別個の補助図柄を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に表示するための前記識別図柄および補助図柄を含む表示画像を前記遊技状態に応じて生成する表示画像生成手段とを備えた遊技機において、前記表示画像生成手段は、前記識別図柄に対応する3次元情報である識別オブジェクトを仮想3次元座標空間内に設定する識別オブジェクト設定手段と、前記補助図柄に対応する3次元情報である補助オブジェクトを前記仮想3次元座標空間内に設定する補助オブジェクト設定手段と、前記仮想3次元座標空間内の所定空間内の様子を前記表示画面に表示するための視点を設定する視点設定手段と、前記識別オブジェクトおよび補助オブジェクトを投影するための投影平面を前記視点に基づいて設定する投影平面設定手段と、前記識別オブジェクトが前記投影平面に平行投影された表示画像を生成する平行投影画像生成手段と、前記補助オブジェクトが前記投影平面に透視投影された表示画像を生成する透視投影画像生成手段と、を備え、前記平行投影画像生成手段によって前記識別オブジェクトが平行投影された表示画像を前記識別図柄とし、前記透視投影画像生成手段によって前記補助オブジェクトが透視投影された表示画像を前記補助図柄として前記表示手段の表示画面に表示することを特徴とする遊技機である。
【0013】
構成8は、構成7に記載の遊技機において、前記識別オブジェクト設定手段は、前記補助オブジェクトと前記視点との間に前記識別オブジェクトを設定するである。この構成によれば、識別オブジェクト設定手段は、識別オブジェクトを補助オブジェクトと視点との間に設定する。その結果、識別オブジェクトに対応する識別図柄は表示画面の最前面に表示されるので、識別図柄を識別し易くすることができる。
【0014】
構成9は、構成7または構成8に記載の遊技機において、前記遊技機は、さらに、前記仮想3次元座標空間内に設定された視点を変位させる視点変位手段を備える遊技機である。この構成によれば、視点変位手段は、視点を変位させて、その視点から識別オブジェクトおよび補助オブジェクトを見る角度すなわち状態を変化させる。その結果、表示画面には、視点の変位に伴って識別図柄または補助図柄が種々の方向から表示されるので、より臨場感のある表示態様を実現することができる。また、このとき、識別図柄画像は表示画面の最前面に表示されるので、遊技者に識別図柄を容易に識別させることができる。
【0015】
構成10は、構成7ないし構成9のいずれかに記載の遊技機において、前記識別オブジェクト設定手段は、前記仮想3次元座標空間の原点を基準として、前記識別オブジェクトを設定する遊技機である。この構成によれば、識別オブジェクト設定手段は、仮想3次元座標空間の原点を基準として識別オブジェクトを設定する。その結果、遊技者は、表示画面の最前面に表示される識別図柄を見ることができるので、識別図柄を容易に識別することができる。
【0016】
構成11は、構成7ないし構成10のいずれかに記載の遊技機において、前記識別オブジェクト設定手段は、前記仮想3次元座標空間内に設定された視点を基準として、前記識別オブジェクトを設定する遊技機である。この構成によれば、識別オブジェクト設定手段は、仮想3次元座標空間内に設定された視点を基準として、識別オブジェクトを設定する。したがって、識別オブジェクト設定手段は、視点変位手段によって視点が変位されても、その変位後の視点を基準として識別オブジェクトを設定するので、視点の変位または位置に影響されることなく、常に表示画面上の一定の位置に識別図柄を表示することができる。その結果、例えば表示画面上において識別図柄を一定の状態で変動させて表示させる場合には、仮想3次元座標空間内に識別オブジェクトを設定する場合のように、仮想3次元座標空間内に設定する視点の変位量を考慮して識別オブジェクトを設定する位置を求める処理をしなくてもよいので、遊技機における処理を軽減することができる。また、表示画面上で識別図柄は一定の状態で変動させて表示し、その識別図柄の背面側に表示される補助図柄は視点の変位に伴ってその状態を変化させるような表示を容易に実現することができる。
【0017】
構成12は、構成7ないし構成11のいずれかに記載の遊技機において、前記識別オブジェクト設定手段は、前記表示画面に表示される識別図柄が、表示画面上を所定方向(横方向、縦方向、斜め方向、手前側から奥側方向、奥側から手前側方向)に移動するように、前記識別オブジェクトを設定する遊技機である。この構成によれば、識別オブジェクト設定手段は、視点から補助オブジェクトの間において、識別図柄が表示画面上を所定方向に移動するように、識別オブジェクトを設定する位置を順次更新する。その結果、識別図柄が表示画面上を横方向に移動するという臨場感のある表示態様を実現することができ、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0018】
構成13は、構成7ないし構成12のいずれかに記載の遊技機において、前記補助オブジェクト設定手段は、前記表示画面に表示される補助図柄が、表示画面上で移動するように、前記補助オブジェクトを設定する遊技機である。この構成によれば、補助オブジェクト設定手段は、表示画面上で補助図柄が移動するように、補助オブジェクトを設定する位置を順次更新する。その結果、補助図柄が表示画面上で移動するという臨場感のある表示態様を実現することができ、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0019】
構成14は、上記構成1ないし構成13のいずれかに記載の遊技機において、前記識別図柄は、順序を示す番号が描かれた図柄番号、または前記図柄番号が付された絵柄であり、前記識別オブジェクト設定手段は、前記図柄番号に対応する3次元情報である識別オブジェクト、または前記図柄番号に対応するオブジェクトと前記図柄番号が付される絵柄に対応するオブジェクトとで構成される識別オブジェクトを仮想3次元座標空間内に設定する遊技機。この構成によれば、識別図柄は、順序を示す番号が描かれた図柄番号、または図柄番号が付された絵柄として表示される。その結果、遊技者が複数種類の識別図柄を区別し易くなり、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0020】
構成15は、上記構成14に記載の遊技機において、前記識別オブジェクト設定手段は、前記表示画面に表示される図柄番号が常に正面を向くように、前記図柄番号に対応する識別オブジェクトを設定する遊技機。この構成によれば、常に識別番号が正面を向いて表示される。その結果、遊技者が識別番号を容易に識別することができるので、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0021】
構成16は、上記構成1ないし構成15のいずれかに記載の遊技機において、前記遊技機はパチンコ機である。このパチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備えておりそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として表示手段における識別図柄および補助図柄の変動が開始することが挙げられる。また、特定の遊技状態発生中には遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへの書き込む等も含む)が付与されることが挙げられる。その結果、パチンコ機を遊技する遊技者の面白味を永続させることができる。
【0022】
【作用】
本発明の作用は次のとおりである。
遊技状態発生手段は、入賞口が開放した遊技者に有利な特定の遊技状態と、入賞口が閉じられたままで特定の遊技状態より遊技者に不利な状態である通常の遊技状態のいずれかを発生させる。識別オブジェクト設定手段は、仮想3次元座標空間内に識別オブジェクトを遊技状態に応じて設定する。補助オブジェクト設定手段は、仮想3次元座標空間内に補助オブジェクトを遊技状態に応じて設定する。視点設定手段は、仮想3次元座標空間内の所定空間内の様子を表示するための視点を遊技状態に応じて設定する。投影平面設定手段は、視点に基づいて仮想3次元座標空間内を表示する表示画像を生成するために、仮想3次元空間内の所定空間内を投影する投影平面を設定する。平行投影画像生成手段は、識別オブジェクトが投影平面に平行投影された表示画像を生成する。透視投影画像生成手段は、補助オブジェクトが投影平面に透視投影された表示画像を生成する。ここで、平行投影とはオブジェクトをそのままの状態で投影する投影方法であり、透視投影とはオブジェクトを視点から見た状態で投影する投影方法である。表示画像生成手段は、平行投影画像生成手段によって識別オブジェクトが平行投影された表示画像を識別図柄とし、透視投影画像生成手段によって補助オブジェクトが透視投影された表示画像を補助図柄として表示手段の表示画面に表示する。つまり、識別オブジェクトおよび補助オブジェクトが投影された投影平面に基づいて、表示画面に表示するための表示画像を生成する。表示手段は、その表示画像を表示することによって、遊技状態に応じて識別オブジェクトに対応する識別図柄および補助オブジェクトに対応する補助図柄を表示する。ここで、例えば同種の2つの識別オブジェクトを間隔をあけて設定し、それら識別オブジェクトを透視投影した場合には、各識別オブジェクトの奥行き部分も視点から見た状態で投影されるので、表示画面には各識別オブジェクトの奥行き部分が内側に表示される。つまり、表示された2つの識別図柄が同じ種類のものか否かの識別が困難になるという問題があったが、この構成によれば、表示画面に表示される同種の識別図柄は、識別オブジェクトが設定された位置または視点の位置に関わらず、全て同様に表示されるので、識別図柄の識別が容易になる。その結果、遊技者の面白味を永続させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
本発明における画像表示装置を備える遊技機としてパチンコ機を例に採って説明する。図1は本実施例に係るパチンコ機の概略構成を示す正面図であり、図2はパチンコ機に備える制御基盤および画像表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0024】
本実施例に係るパチンコ機は、パチンコ機の全体を制御する制御基盤1(図2参照)を備える遊技盤7と、遊技盤7が取り付けられた枠体3と、遊技盤7の下側に設けられた上受け皿8と、上受け皿8に貯留したパチンコ球を遊技盤7の盤面に発射する図示しない発射装置が連結された回転式ハンドル5と、上受け皿8の下側に設けられた下受け皿6と、遊技者が遊技状態を識別する識別図柄、およびその遊技状態における演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄である補助図柄を表示する液晶モニタ4の表示画面4aが遊技盤7の盤面のほぼ中央に配置されるように搭載された画像表示装置2とを備えている。ここで、液晶モニタ4の表示画面4aには、1または複数個の識別図柄および補助図柄の変動(移動,回転,変形等)が、遊技機における遊技状態に応じて表示される。識別図柄とはパチンコ機における大当たりやリーチ等を遊技者に認識させるためのいわゆる図柄番号が付けられた図柄の画像をいい、補助図柄とは大当たりやリーチ等においてその演出効果を高めるために表示される識別図柄以外の図柄の画像をいう。なお、本発明における識別図柄には、上述した図柄番号自体が描かれた図柄や、その図柄番号が付された図柄や、大当たりのときのラウンドごとに表示されるラウンドの番号を示す図柄などを含む概念である。また、本発明における補助図柄には、通常変動またはリーチ時に識別図柄とは別個の図柄や、大当たり時にラウンドごとの演出効果を高めるために識別図柄とは別個の図柄を含む概念である。また、大当たりとは、多数個のパチンコ球を取得できる遊技者に有利な状態をいい、通常の遊技状態、とはパチンコ球を消費する遊技者に不利な状態をいう。通常の遊技状態時に表示される識別図柄の変動の表示態様を通常変動といい、大当たりの発生の有無に関係なく、大当たりが発生するかのような演出を行うための表示態様をリーチという。
【0025】
遊技盤7には、回転式ハンドル5によって発射されたパチンコ球を盤面に案内するレール7aと、パチンコ球を不特定箇所に誘導する複数本の図示しないクギと、クギによって誘導されてきたパチンコ球が入賞する複数個の入賞口7bと、遊技盤7のほぼ中央付近に誘導されてきたパチンコ球が入賞する始動口7cと、特定の遊技状態において比較的多数のパチンコ球を同時に入賞させることができる大入賞口7dとが設けられている。各入賞口7b、始動口7cおよび大入賞口7d内には、パチンコ球の入球を検出する入賞検出センサ11(図2参照)がそれぞれ設けられている。入賞検出センサ11がパチンコ球の入球を検出すると、遊技盤7に備える制御基盤1によって所定個数のパチンコ球が上受け皿8に供給される。また、始動口7c内には、始動開始センサ12(図2参照)が設けられている。さらに、大入賞口7dには、開閉式ソレノイド13(図2参照)が設けられており、この開閉式ソレノイド13の動作によって、大入賞口7dが開閉自在に構成されている。なお、上述したものの他に始動口7cに入球したパチンコ球の個数を記憶する例えば保留ランプ等を備えるが、この実施例ではその説明を省略する。
【0026】
上受け皿8は、受け皿形状になっており、パチンコ球が供給される球供給口8aから供給されたパチンコ球を貯留する。また、球供給口8aが配置された上受け皿8の反対側には、パチンコ球をレール7aに向けて発射する発射装置に連通する図示しない球送り口が設けられている。さらに、上受け皿8の上部には、貯留したパチンコ球を下受け皿6に移すための球抜きボタン8bが設けられており、この球抜きボタン8bを押すことで、上受け皿8に貯留したパチンコ球を下受け皿6に移すことができる。下受け皿6は、受け皿形状になっており、上受け皿8から移されてきたパチンコ球を受け止める。なお、下受け皿6には、その中に貯留したパチンコ球を抜く図示しない球抜きレバーが設けられている。
【0027】
回転式ハンドル5には、パチンコ球をレール7aに向けて発射する発射装置が連結されている。回転式ハンドル5を回転させることにより、発射装置はその回転量に応じた強さでパチンコ球を発射する。なお、遊技者が回転式ハンドル5を回転させた状態で保持することにより、発射装置はパチンコ球を所定の間隔ごとに一個ずつ発射する。
【0028】
図2に示すように、遊技盤7に備える制御基盤1は、メモリおよびCPU等で構成されるマイクロコンピュータである主制御部16と、遊技機における遊技状態を決定する値を出力するカウンタ14と、始動口7c(図1参照)でパチンコ球の入球を検出する始動開始センサ12と、入賞口7b等(図1参照)でパチンコ球の入球を検出する入賞検出センサ11と、大入賞口7d(図1参照)を開閉する開閉式ソレノイド13と、画像表示装置2のインターフェイス21に情報流通可能に接続されるインターフェイス15などを備えて構成されている。この制御基盤1は、上述した入賞口7bや始動口7cの球検出センサの検出に基づいて所定量のパチンコ玉を供給したり、図示しないランプやスピーカを作動させたりする各種のイベントを実行するものである。また、制御基盤1は、遊技状態に応じた表示態様を指示するための各種のコマンドをインターフェイス15を通じて画像表示装置2に送信する。
【0029】
具体的に、制御基盤1で行なわれる処理について図3に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
ステップS1(入球を検出)
遊技者は、回転式ハンドル5によってパチンコ球を遊技盤7内に打ち込み、パチンコ遊技を開始する。遊技盤7内に打ち込まれた一部のパチンコ球は盤面の中央付近まで導かれ、始動口7cに入球する。パチンコ球が始動口7cに入球すると、始動口7c内に入球した球を検出する始動開始センサ12は、始動開始信号を主制御部16に送るとともに、始動口7c内に設けられた入賞検出センサ11は、入賞信号を主制御部16に送る。なお、この実施例では、始動開始センサ12と入賞検出センサ11とは、同一のセンサによって併用される。また、入賞口7bにパチンコ球が入球した場合にも、各入賞口7bの入賞検出センサ11は、入賞信号を主制御部16に送る。
【0030】
ステップS2(パチンコ球を供給)
主制御部16は、入賞検出センサ11からの入賞信号を検出すると、図示しないパチンコ球供給機構を稼働させて、所定数量のパチンコ球を球供給口8aを通じて上受け皿8に供給する。
【0031】
ステップS3(大当たり抽選)
主制御部16は、始動開始センサ12からの始動開始信号を検出すると、カウンタ14の出力値を読取り、大当たり抽選を行う。大当たり抽選では、カウンタ14の出力値が所定値であれば、「大当たり」を発生させる。一方、カウンタ14の出力値が所定値以外であれば、「はずれ」である通常の遊技状態を継続する。
【0032】
ステップS4(コマンドを送信)
主制御部16は、通常の遊技状態または特定の遊技状態に応じた表示態様を決定し、その表示態様に応じたコマンドをインターフェイス15を介して画像表示装置2に送信する。コマンドは、画像表示装置2に所定の表示プログラムを実行させる命令であり、その表示プログラムの実行により遊技状態に応じた表示パターンが表示画面4aに表示される。例えば、大当たりが発生した場合には、主制御部16は、所定のリーチの開始を指示するコマンドを送信し、所定時間経過後に、そのリーチの最終段階で停止させる大当たりの識別図柄の種類を指示するコマンドを送信する。これにより、画像表示装置2の表示画面4aには、コマンドで指示された種類のリーチが表示された後に、さらにコマンドで指示された種類の大当たりの識別図柄で停止するように表示される。このとき、主制御部16は、表示画面4aにおいて大当たりの識別図柄の停止が表示された後に、開閉式ソレノイド13に開放信号を与えて大入賞口7dを開放して、遊技者が多数個のパチンコ球を取得できる状態にする。さらに、この遊技状態において、制御基盤1は例えば約10個の球が大入賞口7dに入賞したのを1ラウンドとして、そのラウンドが終了するたびにそのラウンドの終了または次のラウンドの開始を指示するコマンドを画像表示装置2に送信する。これにより、表示画面4aには、ラウンドごとに異なるパターンの表示態様が表示される。一方、ハズレの場合には、リーチの最終段階で停止させるハズレの識別図柄の種類を指示するコマンド、または通常の遊技状態時に変動されている識別図柄をハズレの識別図柄で停止させるためのコマンドを画像表示装置2に送信する。これにより、表示画面4aには、リーチを表示した後にハズレの識別図柄で停止するように、または通常変動後にハズレの識別図柄で停止するように表示される。
【0033】
ステップS5(新たな入球検出?)
主制御部16は、始動開始センサ12からの新たな始動開始信号の有無(新たな入球)を検出するまで待機する。新たな始動開始信号がなければ、この処理を終了して新たな始動開始信号が検出されるまで待機する。上述したステップS1〜S5を実行する制御基盤1は、本発明における遊技状態発生手段に相当する。なお、識別図柄の変動(リーチ、通常変動等)中にパチンコ球の入球を始動開始センサ12が検出し、その入球したパチンコ球の個数を記憶する上述で説明を省略した保留ランプが点灯している場合には、その保留ランプの点灯を新たな始動開始信号として検出する。新たな始動開始信号があれば、ステップT2〜T4を繰り返し行なう。
【0034】
画像表示装置2は、図2に示すように、制御基盤1から送られてきたコマンドを受信するインターフェイス21と、そのコマンドに基づいてワールド座標系に設定されるオブジェクトを記憶するオブジェクト記憶部22と、コマンドに応じたプログラムを記憶したプログラム記憶部23と、プログラム記憶部23に記憶されたプログラムを実行して、ワールド座標系にオブジェクトを設定する3次元情報処理部24と、オブジェクトの模様の画像情報であるテクスチャを記憶するテクスチャ記憶部25と、ワールド座標系に設定されたオブジェクトにテクスチャを貼付けた表示画像を生成する画像生成処理部26と、画像生成処理26で生成された表示画像を一時的に記憶する画像記憶部27と、その表示画像を表示する液晶モニタ4とを備えている。3次元情報処理部24および画像生成処理部26は、本発明における表示画像生成手段に相当する。なお、ワールド座標系とは、本発明における仮想3次元座標空間に相当する3次元の座標系である。オブジェクトとは、ワールド座標系に設定される3次元の仮想物体であり、複数のポリゴンによって構成された3次元情報である。ポリゴンとは、複数個の3次元の座標の頂点で定義される多角形平面である。テクスチャとは、オブジェクトの各ポリゴンに貼付けられる画像の情報であり、テクスチャがオブジェクトに貼付けられることにより、オブジェクトに対応する画像が生成される。
【0035】
インターフェイス21は、制御基盤1のインタフェイス15に情報流通可能に接続されており、制御基盤1から送られてくるコマンドを受信するものである。インターフェイス21は、受信したコマンドを3次元情報処理部23に順次渡す。
【0036】
オブジェクト記憶部22は、3次元情報処理部24から適宜読み出される3次元情報であるオブジェクトを記憶するメモリである。このオブジェクト記憶部22には、液晶モニタ4の表示画面4aに表示される複数種類の識別図柄にそれぞれ対応する3次元情報である識別オブジェクトと、複数種類の補助図柄にそれぞれ対応する3次元情報である補助オブジェクトとが記憶されている。
【0037】
プログラム記憶部23は、制御基盤1から送られてくる複数種類のコマンドにそれぞれ対応する表示態様を実現するためのプログラムを記憶するメモリである。制御基盤1から送られてきたコマンドに対応するプログラムは、3次元情報処理部24によって適宜実行される。
【0038】
3次元情報処理部24は、図示しない中央演算処理装置およびメモリなどで構成されるものである。3次元情報処理部24は、コマンドに応じた表示態様を実現するために、3次元の仮想空間であるワールド座標系内にオブジェクトおよび視点を設定し、そのオブジェクトを移動させたり、視点を変位させる。さらに、3次元情報処理部24は、いわゆるジオメトリ演算処理を行い、ワールド座標系内のオブジェクトを視点に基づく投影平面に投影した2次元座標情報である投影情報を生成する。さらに、その投影情報を画像生成処理部26に与えることで、その投影情報に基づいた表示画像の生成を画像生成処理部26に指示するものである。なお、3次元情報処理部24は、本発明における補助オブジェクト設定手段、視点設定手段および識別オブジェクト設定手段に相当する。
【0039】
テクスチャ記憶部25は、オブジェクトの模様の画像情報であるテクスチャを記憶するメモリである。このテクスチャ記憶部25には、投影平面に投影された識別オブジェクトに貼付ける画像である識別図柄と、補助オブジェクトに貼付ける画像である補助図柄とが記憶されている。この識別図柄および補助図柄は、画像生成処理部26によって適宜読み出される。
【0040】
画像生成処理部26は、液晶モニタ4に表示する表示画像を生成する画像データプロセッサである。この画像生成処理部26は、3次元情報処理部24から与えられた投影情報に基づいて、画像記憶部27に設けれたフレームバッファ内における各オブジェクトの各ポリゴンの頂点に相当するアドレスを求める。さらに、画像生成処理部26は、テクスチャ記憶部25から読み出したテクスチャを各オブジェクトの各ポリゴンの頂点に合うように変形させて、そのテクスチャをフレームバッファ内の各アドレスに基づいて描画する。全てのオブジェクトへのテクスチャの描画が終了すると、画像記憶部27のフレームバッファ内には、表示画像が生成される。なお、画像生成処理部26は、本発明における画像生成手段に相当する。
【0041】
画像記憶部27は、画像生成処理部26によって生成される一画面分の画像である表示画像を記憶する図示しないフレームバッファが設けられたビデオメモリである。例えば、画像記憶部27には、画像生成処理部26によって交互に表示画像が生成される、少なくとも2つのフレームバッファが設けられている。画像生成処理部26は、一方のフレームバッファ内に表示画像を生成し、他方のフレームバッファ内の表示画像を液晶モニタ4に出力することで、コマ落ちの少ない3次元の表示態様を実現する。
【0042】
液晶モニタ4は、画像生成処理部26から出力された表示画像を表示する表示画面4aを備えており、その表示画面4aが遊技盤7の盤面に露出するように取り付けられている。液晶モニタ4は、本発明における表示手段に相当する。
【0043】
上述した液晶モニタ4の表示画面には、制御基盤1から送られてきたコマンドに基づいて、例えば図4に示すような通常変動における表示態様が表示される。図4に示すように、表示画面4aには、遊技者が遊技状態を識別するための図柄番号が描かれた識別図柄B1〜B3が各々独立したスピードで横方向にスクロールするように表示されるとともに、それら識別図柄B1〜B3の背面側では補助図柄Cが識別図柄B1〜B3のスクロールとは無関係に変動するように表示される。ここで、識別図柄B1は表示画面4aの上部でスクロールする識別図柄を、識別図柄B2は表示画面4aの中部でスクロールする識別図柄を、識別図柄B3は表示画面4aの下部でスクロールする識別図柄をそれぞれ示す。具体的には、図4(a)に示すように、初期の状態では識別図柄S1〜S3が例えば斜め一直線状に並んで停止している。そして、図4(b),(c)に示すように、その停止していた各識別図柄B1〜B3が各々のスピードで横方向にスクロールし始める。各識別図柄B1〜B3がスクロールした状態で所定時間が経過すると、図4(d)に示すように、縦に一直線状に並んで再び停止する。これら識別図柄B1〜B3のスクロールとは無関係に、識別図柄B1〜B3の背面側の補助図柄Cは、その補助図柄Cを見る角度が徐々に変化するように表示画面4a上に表示される。なお、一直線状に並んだ識別図柄B1〜B3が同種(例えば同じ図柄番号)の図柄である場合には、大当たりが発生して、大当たり用の表示態様が表示される。一方、同種の図柄でない場合には、通常変動が継続され、図4(a)〜(d)と同様の表示態様が繰り返し表示される。遊技者は、並んで停止した識別図柄B1〜B3の種類を識別することによって、遊技機に発生している上述した遊技状態を把握する。
【0044】
上述した表示態様を実現するために、制御基盤1から送られてきたコマンドに基づいて、画像表示装置2で行なわれる処理を図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
ステップT1(コマンドの把握)
インターフェイス21は、制御基盤1から送られてくるコマンドを順次受信して、そのコマンドを3次元情報処理部24に順次渡す。3次元情報処理部24は、そのコマンドをコマンドバッファ内に記憶する。さらに、3次元情報処理部24は、液晶モニタ4からの割り込み処理があると、コマンドバッファ内に記憶したコマンドに対応するプログラムをプログラム記憶部23内から選択し、そのプログラムを実行する。そのプログラムの実行によって、3次元情報処理部24および画像生成処理部26では、以下のステップが実行され、図4に示した表示態様を実現する。
【0046】
ステップT2(補助オブジェクトを設定)
図6に示すように、まず、3次元情報処理部24は、3次元情報である複数個のオブジェクトを設定するための仮想3次元座標空間に相当するワールド座標系を設定する。次に、3次元情報処理部24は、表示画面4aに表示する補助図柄C(図4参照)に対応する補助オブジェクトOCをオブジェクト記憶部22から読み出し、その補助オブジェクトOCをワールド座標系に設定する。この補助オブジェクトOCの設定は、ワールド座標系に配置する際の補助オブジェクトOCの姿勢およびワールド座標系に配置する位置を決めることによって行われる。
【0047】
補助オブジェクトOCの姿勢は、割り込み処理ごとにプログラムによって導出される回転量に応じて、オブジェクト記憶部22に記憶されたオブジェクトの姿勢を回転させることにより決められる。例えばステップT2が実行されるごとに新たな回転量を導出することにより、補助オブジェクトOCの姿勢を回転させることができる。なお、本実施例では補助オブジェクトOCの姿勢を静止させた状態にするために、同じ値の回転量例えば「0°」を割り込み処理ごとに毎回導出する。
【0048】
また、補助オブジェクトOCを配置する位置は、割り込み処理ごとにプログラムによって導出されるワールド座標系の原点を基準とする座標値によって決められる。例えばステップT2が実行されるごとに新たな座標値を導出することにより、補助オブジェクトOCをワールド座標系内で任意に移動させることができる。なお、本実施例では補助オブジェクトOCを静止さた状態にさせるために、座標点P1 の座標値を割り込み処理ごとに毎回導出する。
【0049】
3次元情報処理部24は、読み出した補助オブジェクトOCの姿勢を回転量に基づいて回転させ、その回転後の補助オブジェクトOCを座標値に基づいてワールド座標系内の座標点P1 に配置することで、ワールド座標系内に補助オブジェクトOCを設定する。3次元情報処理部24は、補助オブジェクトOCをワールド座標系内に設定することにより、その補助オジェクトOCを構成する各ポリゴンの各頂点の座標値をワールド座標系の座標値に変換する。なお、ステップT2は、本発明における補助オブジェクト設定手段の機能に相当する。
【0050】
ステップT3(視点を設定)
3次元情報処理部24は、ワールド座標系内の所定空間内の様子を液晶モニタ4の表示画面4aに表示するための視点SPをワールド座標系内に設定する。図6に示すように、この視点SPは、ワールド座標系内の所定空間内を向くような視線をz軸とする座標系の基準点である。所定空間とは、視線の視界範囲に含まれる仮想空間をいう。
【0051】
具体的には、3次元情報処理部24は、プログラムによって導出されるワールド座標系内の座標値に基づいて視点SPを設定するとともに、この視点SPの視線を任意の方向、例えばオブジェクトが配置された方向に向けるために割り込み処理ごとに導出される視線の回転量に基づいてその視線を回転させる。本実施例では、3次元情報処理部24は、割り込み処理ごとに、視点SPをワールド座標系内の座標点P2 から座標点P3 へ弧を描く軌跡上(図中鎖線矢印で示す)の座標値を導出するとともに、その軌跡上での視点SPの視線が補助オブジェクトOCを向くような視線の回転量を導出する。これにより、3次元情報処理部24は、ステップT3が割り込み処理ごとに実行されるたびに視点SPの座標値および視線の回転量を順次更新して、その視線が補助オブジェクトOCを向き、かつ座標点P2 から座標点P3 まで弧を描くように変位する視点SPを設定する。さらに、3次元情報処理部24は、ステップT3を実行するたびに、図7に示すように、ワールド座標系内に設定された補助オブジェクトOCの各ポリゴンの各頂点の座標値を、ワールド座標系に設定した視点SPを基準とする視点座標系における座標値に変換する。なお、ステップT3は、本発明における視点設定手段および視点変位手段の機能に相当する。
【0052】
ステップT4(識別オブジェクトを設定)
3次元情報処理部24は、表示画面4aに表示する識別図柄B1〜B3(図4参照)に対応する3次元情報である識別オブジェクトOB1〜OB3(図7,図8参照)をオブジェクト記憶部22から読み出す。さらに、3次元情報処理部24は、各識別オブジェクトOB1〜OB3を視点座標系内の視点と補助オブジェクトOCとの間に設定するために、視点座標系に配置する際の識別オブジェクトOB1〜OB3の姿勢および視点座標系内に配置する位置を決める。
【0053】
識別オブジェクトOB1〜OB3の姿勢は、割り込み処理ごとにプログラムによって導出される回転量に応じて、オブジェクト記憶部22に記憶されたオブジェクトの姿勢を回転させることにより決められる。例えばステップT4が実行されるごとに新たな回転量を導出することにより、識別オブジェクトOB1〜OB3の姿勢をそれぞれ回転させることができる。なお、本実施例では識別オブジェクトOB1〜OB3の姿勢を回転させないので、同じ回転量例えば「0」を割り込み処理ごとに毎回導出する。また、各識別オブジェクトOB1〜OB3に貼付けられるテクスチャによって表示される識別図柄である例えば図柄番号が常に正面を向いて表示されるように、各識別オブジェクトOB1〜OB3を視点SPからの視線方向または投影平面TMに対して垂直に設定する。
【0054】
また、識別オブジェクトOB1〜OB3を配置する位置は、割り込み処理ごとにプログラムによって導出される視点座標系の原点である視点SPを基準とする座標値によって決められる。図8に示すように、3次元情報処理部24は、例えばステップT4が実行されるごとに、各識別オブジェクトOB1〜OB3が視線方向側でそれぞれ横方向へ移動するような座標点の座標値を割り込み処理ごとに順次導出する。その順次導出される座標値の座標点に識別オブジェクトOB1〜OB3を配置することで、割り込み処理ごとにその配置位置を順次更新して、視点座標系内で識別オブジェクトOB1〜OB3を横方向へそれぞれ移動させる。このとき、各識別オブジェクトOB1〜OB3ごとに異なる座標値を導出すれば、各識別オブジェクトOB1〜OB3が各々異なるスピードで横方向に移動するように表示させることができる。また、視点座標系のx軸に垂直に見た状態である図9に示すように、順次導出される各識別オブジェクトOB1〜OB3が配置される座標点の座標値におけるz値は、視点SPすなわち原点と、補助オブジェクトOCに含まれる座標点の中で最も視点SPに近い例えば座標点Px の座標値におけるz値との間の値である。これにより、識別オブジェクトOB1〜OB3は、視点SPと、補助オブジェクトOCとの間の仮想空間内に設定される。つまり、ステップT4では各識別オブジェクトOB1〜OB3を視点SPを基準としてそれぞれ設定することで、ステップT3で設定される視点SPの変位とは無関係に、各識別オブジェクトOB1〜OB3を視線側でそれぞれ変動させることができる。なお、ステップT4は、本発明における識別オブジェクト設定手段の機能に相当する。
【0055】
ステップT5(投影平面に投影)
3次元情報処理部24は、視点SPから視線方向の視界範囲内の様子を投影する投影平面を設定し、この投影平面に視界範囲内に含まれる識別オブジェクトOB1〜OB3および補助オブジェクトOCを割り込み処理ごとに投影する。
【0056】
具体的には、図7〜図9に示すように、3次元情報処理部24は、視点SPと識別オブジェクトOB1〜OB3との間に、視点座標系におけるz軸に垂直な投影平面TMを設定する。投影平面TMは、視点座標系のz軸に垂直であり、z値が固定されているので、投影平面TM上では2次元の座標系として取り扱うことができる。この投影平面TMは、画像記憶部27に設けられたフレームメモリに対応する領域を有している。
【0057】
さらに、3次元情報処理部24は、図10(a)に示すように、投影平面TMに各識別オブジェクトOB1〜OB3を平行投影する。これにより、各識別オブジェクトOB1〜OB3を構成する各ポリゴンの各頂点は、投影平面TMに平行移動するようにそのまま投影され、各頂点の3次元の座標値が投影平面TM上の2次元の座標値に変換される。また、3次元情報処理部24は、図10(b)に示すように、投影平面TMに識別オブジェクトOB1〜OB3の背面側に設定されている補助オブジェクトOCを透視投影する。これにより、補助オブジェクトOCを構成する各ポリゴンの頂点は、視点SP方向に移動するように投影され、各頂点の3次元の座標値が投影平面TM上の2次元の座標値に変換される。3次元情報処理部24は、視界範囲内の全てのオブジェクトの投影が終了すると、投影平面TM上の各頂点の2次元の座標値を投影情報として画像生成処理部26へ送る。なお、ステップT6は、投影平面設定手段および投影手段の機能に相当する。
【0058】
ここで、上述した識別オブジェクトOB1〜OB3を平行投影し、補助オブジェクトOCを透視投影することについての効果等の理解を容易にするため、具体例を挙げて説明する。例えば、図11に示すように、ワールド座標系内に立方体形状の識別オブジェクトOBa,OBbを間隔をあけて並べて設定し、それらの識別オブジェクトOBa,OBbの間のほぼ中央に視線が向くように視点SPを設定する。この場合に、その視点SPに基づく図示しない投影平面を設定し、この投影平面に各識別オブジェクトOBa,OBbを透視投影すると、図12(a)に示すように、識別オブジェクトOBa,OBbに相当する識別図柄Ba,Bbが表示画面4a内の左右に間隔をあけて表示される。図12(a)から明らかなように、識別図柄Baには、正面の数字「1」と上面の数字「2」と右面の数字「3」とが表示されている一方、識別図柄Bbには、正面の数字「1」と上面の数字「2」と右面の数字「4」とが表示される。その結果、遊技者が識別するための同一の識別図柄であるはずの識別図柄Ba,Bbとが異なった模様で表示されてしまうので、識別しにくいという問題が生じていた。そこで、本ステップで説明したように、識別オブジェクトOBa,OBbをそれぞれ平行投影することで、図12(b)に示すように、同一の識別図柄を同様の模様になるように表示させることで、遊技者が識別図柄を識別しやすくすることができるという効果が得られる。また、識別オブジェクト以外の補助オブジェクトは、透視投影するので、表示画面4aには視点に基づいて立体的に表示される。その結果、表示画面上では臨場感のある表示態様が表示される。
【0059】
ステップT6(表示画像を生成)
画像生成処理部26は、3次元情報処理部24から送られてきた投影情報に含まれる各頂点の座標値に相当する画像記憶部27のフレームバッファ内の位置、すなわちアドレスを求める。そして、画像生成処理部26は、テクスチャ記憶部25内からテクスチャを読み出す。このとき、視点SPから遠い位置に設定されたオブジェクトの順番に、そのオブジェクトの各ポリゴンに貼付けるためのテクスチャを読み出す。このテクスチャは、例えば図4に示したようにパチンコ機におけるいわゆる図柄番号を示す数字が描かれた画像である。その読み出されたテクスチャを、そのテクスチャの貼付け対象であるポリゴンの形状に合わせて変形し、そのテクスチャをフレームバファ内の対応するアドレスに描画する。フレームバッファ内の全てのポリゴンに対する描画が終了すると、画像記憶部27のフレームバッファ内には、表示画面4aに表示するための表示画像を生成される。画像生成処理部26は、画像記憶部27のフレームバッファ内に生成された表示画像を割り込み処理ごとに液晶モニタ4へ送る。なお、ステップT6は、本発明における画像生成手段の機能に相当する。
【0060】
ステップT7(表示)
液晶モニタ4は、割り込み処理ごとに画像生成処理部26から送られてくる表示画像を順次表示することで、図4に示したような表示態様を表示する。
【0061】
上述したパチンコ機によれば、3次元情報に基づく識別図柄の前面に、3次元情報に基づく補助図柄が表示されないので、識別図柄を常に識別しやすく表示することができる。また、視点を基準とする視点座標系に識別オブジェクトを設定しているので、識別オブジェクトに例えば常に同一の座標値を与えていても、表示画面4aに表示される識別図柄を視点の変位とともに移動させることができる。その結果、視点の変位を考慮して識別オブジェクトを設定する必要がないので、処理の軽減を図ることができる。さらに、識別図柄に対応する3次元情報であるオブジェクトを平行投影しているので、表示画面内の何処に表示されても同様の態様で表示され、遊技者にとって識別しやすくすることができる。
【0062】
なお、上述した実施例のステップT4では、識別オブジェクトを視点を基準とする座標値を有する座標点すなわち視点座標系に設定したが、例えば、ワールド座標系の原点を基準とした座標値を有する座標点に設定するように構成することもできる。
【0063】
また、上述した実施例のステップT4では、表示画面に表示される識別図柄が横方向へ移動するようにするために、視点座標系における識別オブジェクトを横方向に移動させたが、例えば、表示画面に表示される識別図柄が縦方向または斜め方向に移動するように、視点座標系における識別オブジェクトを縦方向または斜め方向に移動させるように設定することもできる。さらに、表示画面に表示される識別図柄が表示画面の奥側から手前側へまたは手前側から奥側へ移動するように、視点座標系における識別オブジェクトを補助オブジェクト側から視点側へ、または視点側から補助オブジェクト側へ移動させるように設定することもできる。
【0064】
また、上述した実施例では、識別図柄に対応する識別オブジェクトを立体的な球体状のオブジェクトとして説明したが、例えばいわゆる平面ポリゴンによって識別図柄を表示させることもできる。この場合には、その平面ポリゴンが視点SPからの視線方向または投影平面TMに対して正面を向くように設定する。
【0065】
上述した実施例では、識別図柄としていわゆる図柄番号が描かれた識別図柄について説明したが、本発明はこのような図柄番号に限定されるものではなく、遊技者が遊技状態を識別できるような絵柄であれば、識別図柄として適用することができる。また、この場合には、図柄番号が常に表示画面に正面を向くように、その図柄番号に対応するオブジェクトを設定する。
【0066】
また、上述した実施例では、液晶モニタについて説明したが、例えば、液晶モニタの代わりにCRTモニタや、LEDモニタなどにすることもできる。
【0067】
また、上述した実施例では、遊技機としてパチンコ機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスロットマシン、コインゲーム機、アケードゲーム機、家庭用ビデオゲーム機などの各種の遊技機に変形実施することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1によれば、平行投影画像生成手段は、識別オブジェクトが投影平面に平行投影された表示画像を生成する。透視投影画像生成手段は、補助オブジェクトが投影平面に透視投影された表示画像を生成する。ここで、平行投影とはオブジェクトをそのままの状態で投影する投影方法であり、透視投影とはオブジェクトを視点から見た状態で投影する投影方法である。表示画像生成手段は、平行投影画像生成手段によって識別オブジェクトが平行投影された表示画像を識別図柄とし、透視投影画像生成手段によって補助オブジェクトが透視投影された表示画像を補助図柄として表示手段の表示画面に表示する。つまり、識別オブジェクトおよび補助オブジェクトが投影された投影平面に基づいて、表示画面に表示するための表示画像を生成する。表示手段は、その表示画像を表示することによって、遊技状態に応じて識別オブジェクトに対応する識別図柄および補助オブジェクトに対応する補助図柄を表示する。ここで、例えば同種の2つの識別オブジェクトを間隔をあけて設定し、それら識別オブジェクトを透視投影した場合には、各識別オブジェクトの奥行き部分も視点から見た状態で投影されるので、表示画面には各識別オブジェクトの奥行き部分が内側に表示される。つまり、表示された2つの識別図柄が同じ種類のものか否かの識別が困難になるという問題があったが、この構成によれば、表示画面に表示される同種の識別図柄は、識別オブジェクトが設定された位置または視点の位置に関わらず、全て同様に表示されるので、識別図柄の識別が容易になる。その結果、遊技者の面白味を永続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るパチンコ機の概略構成を示す外観図である。
【図2】実施例に係るパチンコ機の機能ブロック図である。
【図3】パチンコ機の制御基盤での処理を示すフローチャートである。
【図4】実施例に係るパチンコ機における表示態様を示す図である。
【図5】パチンコ機の画像表示装置での処理を示すフローチャートである。
【図6】ワールド座標系内での視点の移動の様子を示す図である。
【図7】視点と各オブジェクトとの位置関係の様子を示す図である。
【図8】視点から見た識別オブジェクトの様子を示す図である。
【図9】視点のx軸方向から見た各オブジェクトの様子を示す図である。
【図10】投影平面に識別オブジェクトおよび補助オブジェクトを投影した様子を示す図である。
【図11】立体形状のオブジェクトをワールド座標系に設定した様子を示す図である。
【図12】透視投影および平行投影した立体形状のオブジェクトが表示された様子を示す図である。
【符号の説明】
1 … 制御基盤
2 … 画像表示装置
4 … 液晶モニタ
4a… 表示画面
22 … オブジェクト記憶部
23 … プログラム記憶部
24 … 3次元情報処理部
25 … テクスチャ記憶部
26 … 画像生成処理部
27 … 画像記憶部
Claims (1)
- 始動口へのパチンコ球の入賞に基づいて識別図柄の変動表示が開始され、その変動表示が所定の大当たりの識別図柄で変動停止表示される場合に所定の入賞口が開放される遊技機であって、
前記入賞口が開放した遊技者に有利な特定の遊技状態と、前記入賞口が閉じられたままで前記特定の遊技状態より遊技者に不利な状態である通常の遊技状態のいずれかを発生させる遊技状態発生手段と、前記識別図柄および前記識別図柄とは別個の補助図柄を表示画面に表示する表示手段と、前記表示画面に表示するための前記識別図柄および補助図柄を含む表示画像を前記遊技状態に応じて生成する表示画像生成手段とを備えた遊技機において、
前記表示画像生成手段は、
前記識別図柄に対応する3次元情報である識別オブジェクトを仮想3次元座標空間内に設定する識別オブジェクト設定手段と、
前記補助図柄に対応する3次元情報である補助オブジェクトを前記仮想3次元座標空間内に設定する補助オブジェクト設定手段と、
前記仮想3次元座標空間内の所定空間内の様子を前記表示画面に表示するための視点を設定する視点設定手段と、
前記識別オブジェクトおよび補助オブジェクトを投影するための投影平面を前記視点に基づいて設定する投影平面設定手段と、
前記識別オブジェクトが前記投影平面に平行投影された表示画像を生成する平行投影画像生成手段と、
前記補助オブジェクトが前記投影平面に透視投影された表示画像を生成する透視投影画像生成手段と、
を備え、
前記平行投影画像生成手段によって前記識別オブジェクトが平行投影された表示画像を前記識別図柄とし、前記透視投影画像生成手段によって前記補助オブジェクトが透視投影された表示画像を前記補助図柄として前記表示手段の表示画面に表示する
ことを特徴とする遊技機。
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