JP4713810B2 - グリコペプチドに対する還元的アルキル化プロセス - Google Patents

グリコペプチドに対する還元的アルキル化プロセス Download PDF

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Description

【0001】
(発明の優先権)
本願は、2000年5月2日に出願された米国仮出願番号60/201,178;および2000年6月22日に出願された米国仮出願番号60/213,148に対する優先権を主張し、これらの出願は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、グリコペプチド抗生物質のサッカライドアミンの還元的アルキル化のための改善された方法に関する。具体的には、本発明の方法は、グリコペプチドの他のアミン部位(例えば、ロイシニル(leucinyl)窒素)よりも選択的にサッカライドアミンでアルキル化することを可能にする。
【0003】
(背景)
グリコペプチドは、種々の微生物によって産生される抗生物質の周知のクラスである(Glycopeptide Antibiotics、R.Nagarajan編、Marcel Dekker,Inc.New York(1994)を参照のこと)。これらの複雑な多環式ペプチド化合物は、グラム陽性細菌の大多数に対する有効な抗菌剤である。強力な抗菌剤ではあるが、グリコペプチド抗生物質は、その毒性に関する考慮に起因して、他のクラスの抗生物質(たとえば、半合成ペニシリン、セファロスポリンおよびリンコマイシン)ほどには頻繁に細菌性疾患の処置において使用されない。
【0004】
しかし、近年、一般に使用される抗生物質の多くに対する細菌の耐性が発生している(J.E.Geraciら、Mayo Clin.Proc.1983、58、88−91;およびM.Foldes、J.Antimicrob.Chemother.1983、11、21−26を参照のこと)。グリコペプチド抗生物質は、しばしば細菌のこれらの耐性株に対して有効であることから、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン)は、これらの生物によって引き起こされる感染を処置するための最終手段の薬物になった。しかし、最近、バンコマイシンに対する耐性が、種々の微生物(例えば、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE))において現れ、将来細菌感染を効果的に処置する能力についての関心が高まっている(Hospital Infection Control Practices Advisory Committee、Infection Control Hospital Epidemiology、1995、17、364−369;A.P.Johnsonら、Clinical Microbiology Rev.、1990、3、280−291;G.M.Eliopoulos、European J.Clinical Microbiol.、Infection Disease、1993、12、409−412;ならびにP.Courvalin、Antimicrob.Agents Chemother、1990、34、2291−2296を参照のこと)。
【0005】
改善された抗細菌特性を有する因子を同定するための試み、または耐性細菌株に対して有効な因子を同定するための試みにおいて、バンコマイシンおよび他のグリコペプチドの多くの誘導体が調製されている。例えば、米国特許第4,639,433号;同第4,643,987号;同第4,497,802号;同第5,840,684号;および同第5,843,889号を参照のこと。他の誘導体は、EP 0 802 199;EP 0 801 075;WO97/28812;WO97/38702;WO98/52589;WO98/52592;ならびにJ.Amer.Chem.Soc.、1996、118、13107−13108;J.Amer.Chem.Soc.、1997、119、12041−12047;およびJ.Amer.Chem.Soc.、1994、116、4573−4590に開示される。
【0006】
有用な抗生特性を有することが報告されているグリコペプチド誘導体の1つのグループは、グリコペプチドのサッカライド上の窒素でアルキル化されたグリコペプチド化合物を含む。例えば、米国特許第5,919,756号;同第5,843,889号;同第5,916,873号;同第4,698,327号;および同第5,591,714号;ならびに欧州特許出願公開番号EP 435 503A1;およびEP 667 353A1を参照のこと。このようなアルキル化誘導体の調製において直面する1つの困難は、グリコペプチド化合物内の複数のアミン照準での非選択的なアルキル化である。例えば、バンコマイシンは、バンコサミン(vancosamine)アミノ基およびロイシニルアミノ基を有する。従って、標準的な条件下でのアルキル化は、代表的にはモノアルキル化化合物とジアルキル化化合物との混合物を提供する。
【0007】
米国特許第5,952,466号および同第5,998,581号は、グリコペプチド抗生物質(例えば、バンコマイシンすなわちA82846B、これは、サッカライドアミノ基でのアルキル化を好む)の銅錯体の還元的アルキル化のための方法を開示する。この開示にもかかわらず、現在、サッカライドアミノ基でのグリコペプチド抗生物質の選択的アルキル化のために有用なさらなる方法の必要性が存在する。特に、実行するために単純かつ効果的な、非常に選択的な方法の必要性が存在する。
【0008】
(発明の要旨)
以前には、グリコペプチド抗生物質の還元的アルキル化を、イミンおよび/またはヘミアミナル(hemiaminal)を形成するために、アルデヒド、グリコペプチド抗生物質および適切な塩基を化合し;連続して、適切な還元剤(例えば、シアノホウ化水素ナトリウム)を添加し;次いで適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を添加することによって実行した。
【0009】
出願人は、適切な塩基の存在下でグリコペプチド抗生物質とアルデヒドとを接触させてイミンおよび/またはヘミアミナルを形成し、次いで還元剤に接触させる前にこの混合物を酸性化することによって、サッカライドアミンでの還元的アルキル化についての選択性が有意に改善されること、すなわち、バンコマイシン中のサッカライドアミノ基(例えば、バンコサミンアミノ基)での還元的アルキル化が、バンコマイシン中の他のアミノ基(例えば、ロイシニルアミノ基)での還元的アルキル化よりも好まれることを、予期せず発見した。
【0010】
従って、本発明は、サッカライドアミンを含むグリコペプチドのアルキル化のための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:
アルデヒドまたはケトン、適切な塩基、およびグリコペプチド抗生物質またはその塩を化合して、反応混合物を提供する工程;
この反応混合物を酸性化する工程;ならびに
この反応混合物を適切な還元剤と化合して、サッカライドアミンでアルキル化されたグリコペプチドを提供する工程。
【0011】
好ましくは、このグリコペプチドは、サッカライドアミン以外に少なくとも1つのアミノ基を含む。より好ましくは、このグリコペプチドは、バンコマイシンすなわちA82846Bである。
【0012】
好ましくは、サッカライドアミンでの還元的アルキル化は、このグリコペプチドの別のアミノ基での還元的アルキル化よりも、少なくとも約10:1;そしてより好ましくは少なくとも約15:1または約20:1で好まれる。
【0013】
還元的アルキル化は、代表的には、適切な溶媒または溶媒の組み合わせ(例えば、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン)、直鎖または分枝エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンまたはトルエン)、アルコール(メタノール、エタノール、またはイソプロパノール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミドン(pyrimidone)、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリジノン、テトラメチレンスルホキシド、グリセロール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、またはジオキサン)の存在下で実行される。好ましくは、このアルキル化は、アセトニトリル/水、またはDMF/メタノール中で実行される。
【0014】
好ましくは、還元(すなわち、還元剤による処理)は、プロトン性溶媒(例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノール)、水など)の存在下で実行される。
【0015】
還元的アルキル化は、反応混合物の凝固点から還流温度までの任意の適切な温度で実行され得る。好ましくは、この反応は、約0℃〜約100℃の範囲の温度で実行される。より好ましくは、約0℃〜約50℃の範囲、または約20℃〜約30度の範囲の温度で実行される。
【0016】
任意の適切な塩基を、還元的アルキル化において使用し得る。好ましい塩基としては、第三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンまたはトリエチルアミン)などが挙げられる。
【0017】
任意の適切な酸が、この反応混合物を酸性化するために使用され得る。適切な酸としては、カルボン酸(例えば、酢酸、トリクロロ酢酸、クエン酸、蟻酸またはトリフルオロ酢酸)、無機酸(例えば、塩酸、硫酸またはリン酸)などが挙げられる。好ましい酸は、トリフルオロ酢酸である。
【0018】
還元的アルキル化を実行するための適切な還元剤は、当該分野で公知である。任意の適切な還元剤は、それがグリコペプチド中に存在する官能基と適合性である場合、本発明の方法において使用され得る。例えば、適切な還元剤としては、シアノホウ化水素ナトリウム、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム、ピリジン/ボラン、ホウ化水素ナトリウムおよびホウ化水素亜鉛が挙げられる。還元はまた、遷移金属触媒(例えば、パラジウムまたは白金)の存在下、水素供給源(例えば、水素ガスまたはシクロヘキサジエン)の存在下で実行され得る。例えば、Advanced Organic Chemistry、第4版、John Wiley&Sons、New York(1992)、899−900を参照のこと。
【0019】
還元的アルキル化の完了の際に、アルキル化されたグリコペプチドは、標準的な技術を使用して反応混合物から単離され得る。例えば、アルキル化されたグリコペプチドは、アセトニトリルを用いて反応混合物から沈殿され得るか、またはアルキル化されたグリコペプチドを沈殿として提供するために、反応混合物を水中に注ぎ得、そして炭酸水素ナトリウムを約5のpHまで添加し得る。
【0020】
アミノサッカライドを含む任意のグリコペプチドが、本発明の方法において使用され得る。このようなグリコペプチドは、当該分野で周知であり、そして市販されるかまたは慣用的な手順を使用して単離され得るかのいずれかである。例えば、適切なグリコペプチドは、以下に開示され、そして以下に開示のグリコペプチドから調製され得る:米国特許第3,067,099号;同第3,338,786号;同第3,803,306号;同第3,928,571号;同第3,952,095号;同第4,029,769号;同第4,051,237号;同第4,064,233号;同第4,122,168号;同第4,239,751号;同第4,303,646号;同第4,322,343号;同第4,378,348号;同第4,497,802号;同第4,504,467号;同第4,542,018号;同第4,547,488号;同第4,548,925号;同第4,548,974号;同第4,552,701号;同第4,558,008号;同第4,639,433号;同第4,643,987号;同第4,661,470号;同第4,694,069号;同第4,698,327号;同第4,782,042号;同第4,914,187号;同第4,935,238号;同第4,946,941号;同第4,994,555号;同第4,996,148号;同第5,187,082号;同第5,192,742号;同第5,312,738号;同第5,451,570号;同第5,591,714号;同第5,721,208号;同第5,750,509号;同第5,840,684号;および同第5,843,889号。好ましくは、このグリコペプチドは、バンコマイシンすなわちA82846Bである。
【0021】
好ましくは、本発明は、アルキル化されたグリコペプチドを調製するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:
アルデヒドまたはケトン、適切な塩基および式Iの化合物:
【0022】
【化7】
Figure 0004713810
、またはその立体異性体を化合して反応混合物を提供する工程であって、ここで、
は、アミノサッカライド基であり;
は、水素またはサッカライド基であり;
は、−OR、−NR、−O−R−Y−R−(Z)、−NR−R−Y−R−(Z)、−NRまたは−O−Rであり;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、−C(O)Rおよびサッカライド基からなる群より選択され;
は、水素、ハロ、−CH(R)−NR、−CH(R)−NR、−CH(R)−NR−R−Y−R−(Z)、−CH(R)−Rおよび−CH(R)−NR−R−C(=O)−Rからなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、−C(O)Rおよびサッカライド基からなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニルおよび−C(O)Rからなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択され;
は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択され;
10は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択されるか、またはRおよびR10は、連結されて−Ar−O−Ar−を形成し、ここで、ArおよびArは、独立してアリーレンまたはヘテロアリーレンであり;
11は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より選択されるか、またはR10およびR11は連結され、これらが結合する炭素原子および窒素原子と共に複素環式環を形成し;
12は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式、−C(O)R、−C(NH)R、−C(O)NR、−C(O)ORおよび−C(NH)NRからなる群より選択されるか、またはR11およびR12は連結され、これらが結合する窒素原子と共にヘテロ環式環を形成し;
13は、水素または−OR14からなる群より選択され;
14は、水素、−C(O)Rおよびサッカライド基から選択され;
各Rは、アルキレン、置換されたアルキレン、アルケニレン、置換されたアルケニレン、アルキニレンおよび置換されたアルキニレンからなる群から独立して選択され;
各Rは、共有結合、アルキレン、置換されたアルキレン、アルケニレン、置換されたアルケニレン、アルキニレンおよび置換されたアルキニレンからなる群より独立して選択され(1つの好ましい実施形態において、Rは、Zが水素である場合には共有結合ではない);
各Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環式および−C(O)Rからなる群より独立して選択され;
各Rは、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環式からなる群より独立して選択され;
は、サッカライド基であり;
は、窒素結合アミノサッカライドまたは窒素結合複素環であり、
、XおよびXは、水素または塩素から独立して選択され;
各Yは、酸素、硫黄、
【0023】
【化8】
Figure 0004713810
からなる群より独立して選択され;
各Zは、水素、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリールおよび複素環式から独立して選択され;
nは、0、1または2であり;そして
xは、1または2である、工程;
この反応混合物を酸性化する工程;ならびに
この反応混合物を適切な還元剤と化合して、アミノサッカライドのアミノ基でアルキル化された対応するグリコペプチドを提供する工程。
【0024】
好ましくは、Rは、式(III):
【0025】
【化9】
Figure 0004713810
のアミノサッカライドである。
【0026】
ここで、Rl5は、Hであり;そしてRl6は、水素またはメチルである。
【0027】
好ましくは、Rは、水素である。
【0028】
好ましくは、Rは、−ORまたは−NRであり;さらに好ましくはRは、−OHである。
【0029】
好ましくは、Rは、以下である:−OH;−NH−(CH−N(CH;N−(D−グルコサミン);−NHCH(COCH)CHCOCH;−NH(CH−(モルホリン−4−イル);−NH(CHNH(CHCH;−NH(CH−ピペリジン−1−イル;−NH(CHNHC(N)NH;−NH(CH−N(CH;−NHCH(COOH)(CHNHC(N)NH;−NH−[(CH−NH−]−H;−N[(CHN(CH;−NH(CH−イミダゾール−1−イル;−NHCH−4−ピリジル;−NH(CHCH;−NH(CHOH;−NH(CHOH;−NH(CHOCH;−NHCH−テトラヒドロフラン−2−イル;−N[(CHOH];−NH(CHN[(CHOH];−NHCHCOOH;−NHCH(COOH)CHOH;−NH(CHCOOH;N−(グルカミン);−NH(CHCOOH;−NH(CHSOH;−NHCH(COOH)(CHNH;−NHCH(COOH)(CHNH;−NHCH(COOH)CHCO(CH−N(CH;−NHCH(COOH)CHCO(CHC(O)−N(CH;−NHCH(COOH)CHCO(CH−モルホリン−4−イル;−NHCH(COOH)CHCO(CHOC(O)C(CH;−NHCH(CHCOOH)CO(CH−N(CH;−NHCH(CHCOOH)CO(CHC(O)N(CH;−NHCH(CHCOOH)CO(CH−モルホリン−4−イル;−NHCH(CHCOOH)CO(CHOC(O)C(CH;−NHCH(COOH)CHCOCH;−NHCH(CHCOOH)CO(CHN(CH;−NHCH(COOH)CHCOCHC(O)N(CH;−NHCH(CHCOOH)COCHC(O)N(CH;−NHCH(CHCOOH)COCH;−NH(CHN(CH;−NHCHCHCOCH;−NHCH[CHCOCHC(O)N(CH]−COCH−C(O)−N(CH;−NHCHCOCH;−N−(メチル3−アミノ−3−デオキシアミノピラノシド);−N−(メチル3−アミノ−2,3,6−トリデオキシヘキソピラノシド);−N−(2−アミノ−2−デオキシ−6−(ジハイドロジェンホスフェート)−グルコピラノース;−N−(2−アミノ−2−デオキシグルコン酸);−NH(CHCOOH;−N−(N−CH−D−グルカミン;−NH(CHCOOH;−O(D−グルコース);−NH(CHOC(O)CH(NH)CH;−NH(CHCH(C(O)−2−HOOC−ピロリジン−1−イル)NHCH(COOH)−CHCHPh(S,S異性体);−NH−CHCH−NH−(CHCH;または−NH(CH)C(O)CHC(O)N(CH
【0030】
好ましくは、R、RおよびRは、水素または−C(O)Rからそれぞれ独立して、選択される。さらに好ましくは、R、RおよびRは、それぞれ水素である。
【0031】
好ましくは、Rは、以下である:水素、−CH−NHR、−CH−NRまたは−CH−NH−R−Y−R−(Z)である。好ましくは、Rはまた、以下であり得る:水素;−CH−N−(N−CH−D−グルカミン);−CH−NH−CHCH−NH−(CHCH;−CH−NH−CHCH−NHC(O)−(CHCOOH;−CH−NH−(CHCH;−CH−NH−CHCH−COOH;−CH−NH−(CHCOOH;−CH−(モルホリン−4−イル);−CH−NH−CHCH−O−CHCHOH;−CH−NH−CHCH(OH)−CHOH;−CHN[CHCHOH];−CH−NH−(CH−N(CH;−CH−N[(CH−N(CH;−CH−NH(CH−(イミダゾール−1−イル);−CH−NH−(CH−(モルホリン−4−イル);−CH−NH−(CHNHC(NH)NH;−CH−N−(2−アミノ−2−デオキシグルコン酸);−CH−NH−CHCH−NH−(CH11CH;−CH−NH−CH(COOH)CHCOOH;−CH−NH−CHCH−NHSO−(CHCH;−CH−NH−CHCH−NHSO−(CHCH;−CH−NH−CHCH−NHSO−(CHCH;−CH−NH−CHCH−NHSO−(CH11CH;−CH−NH−CHCH−NH(CHCH;−CH−NH−CHCH−O−CHCHOH;−CH−NH−CHCHC(O)−N−(D−グルコサミン);−CH−NH−(6−オキソ−[1,3]オキサジナン(oxazinan)−3−イル);−CH−NH−CHCH−S−(CHCH;−CH−NH−CHCH−S−(CHCH;−CH−NH−CHCH−S−(CHCH;−CH−NH−CHCH−S−(CH11CH;−CH−NH−CHCH−S−(CHPh;−CH−NH−CHCH−S−(CHPh;−CH−NH−CHCH−S−(CH10Ph;−CH−NH−CHCH−S−CH−(4−(4−CF−Ph)Ph);−CH−NH−CHCH−NH−(CH11CH;または−CH−NH−(CH−COOH。
【0032】
好ましくは、Rは、−CHC(O)NH、−CHCOOH、ベンジル、4−ヒドロキシフェニルまたは3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルである。
【0033】
好ましくは、Rは、水素またはアルキルである。
【0034】
好ましくは、R10は、アルキルまたは置換されたアルキルである。さらに好ましくは、R10は、天然に存在するアミノ酸の側鎖(例えば、イソブチル)である。
【0035】
好ましくは、R11は、水素またはアルキルである。
【0036】
好ましくは、R12は、水素、アルキル、置換されたアルキルまたは−C(O)Rである。好ましくは、R12はまた、水素、;−CHCOOH;−CH−[CH(OH)]CHOH;−CHCH(OH)CHOH;−CHCHNH;−CHC(O)OCHCH;−CH−(2−ピリジル);−CH−[CH(OH)]COOH;−CH−(3−カルボキシフェニル);(R)−C(O)CH(NH)(CHNH;−C(O)Ph;−C(O)CHNHC(O)CH;E−CHCH−S−(CHCH=CH(CHCH;またはC(O)CHである。
【0037】
好ましくは、XおよびXは、それぞれクロロである。
【0038】
好ましくは、Xは、水素である。
【0039】
好ましくは、各Yは、独立して、以下からなる群から選択される:酸素、硫黄、−S−S−、−NR−、−S(O)−、−SO−、−NRC(O)−、−OSO−、−OC(O)−、−NRSO−、−C(O)NR−、−C(O)O−、−SONR−、−SOO−、−P(O)(OR)O−、−P(O)(OR)NR−、−OP(O)(OR)O−、−OP(O)(OR)NR−、−OC(O)O−、−NRC(O)O−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−および−NRSONR−。
【0040】
好ましくは、nは、0または1であり、そしてさらに好ましくは、nは、1である。
【0041】
好ましくは、サッカライド−アミンは、式W−CHOのアルデヒドを用いてアルキル化され、ここで、Wは、以下から選択される:−R−Y−R−(Z)、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニルおよび置換されたシクロアルケニル。
【0042】
好ましくは、アルキル化されたグリコペプチド生成物は、式Iの化合物であり、ここでRは、アミノサッカライドであり、ここで、サッカライド−アミンは、以下で置換される:−R−Y−R−(Z)、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換されたシクロアルケニル。
【0043】
さらに好ましくは、アルキル化されたグリコペプチド生成物は、式Iの化合物であり、ここで、Rは、アミノサッカライドであり、ここで、サッカライド−アミンは、以下で置換される:
【0044】
【化10】
Figure 0004713810
。さらに好ましくは、アルキル化されたグリコペプチド生成物はまた、式Iの化合物であり、ここでRは、アミノサッカライドであり、ここで、サッカライド−アミンは、4−(4−クロロフェニル)ベンジルまたは4−(4−クロロベンジルオキシ)ベンジルで置換される。
【0045】
好ましくは、アルキル化されたグリコペプチド生成物は、式Iの化合物であり、ここでRは、式IIIのサッカライド基であり、ここで、R15は、R−Y−R−(Z)、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニルおよび置換されたシクロアルケニルである。さらに好ましくは、R15は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換されたシクロアルケニルである。
【0046】
さらに好ましくは、アルキル化されたグリコペプチド生成物は、式Iの化合物であり、ここで、Rは、式IIIのアミノサッカライドであり、ここで、R15は、以下である:
【0047】
【化11】
Figure 0004713810
。さらに好ましくは、R15はまた、4−(4−クロロフェニル)ベンジルまたは4−(4−クロロベンジルオキシ)ベンジルであり得る。
【0048】
さらに好ましくは、本発明は、以下を含むアルキル化されたグリコペプチドを調製するための方法を提供する;アルデヒドまたはケトン、適切な塩基および式II:
【0049】
【化12】
Figure 0004713810
の化合物またはそれらの立体異性体を合わせて、反応混合物を提供する工程であり、ここで、
19およびR20は、それぞれ水素であり;そしてRおよびRは、本明細書中に記載される値または好ましい値のいずれかを有する、工程;
反応混合物を酸性化する工程;および
反応混合物と適切な還元剤を合わせて、対応するアルキル化されたグリコペプチドを提供する工程であって、ここで、R20は、R−Y−R−(Z)、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニルおよび置換されたシクロアルケニルである。好ましくは、R20は、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換されたシクロアルケニルである。
【0050】
さらに好ましくは、アルキル化されたグリコペプチド生成物は、式IIの化合物であり、ここで、R20は、以下である:
【0051】
【化13】
Figure 0004713810
。さらに好ましくは、R20は、4−(4−クロロフェニル)ベンジルまたは4−(4−クロロベンジルオキシ)ベンジルであり得る。
【0052】
還元的なアルキル化における使用のための好ましいアルデヒドは、以下の式のアルデヒドである:
【0053】
【化14】
Figure 0004713810

【0054】
本発明の方法は、またグリコペプチド抗生物質A82846B(クロロオリエンチシン(chloroorienticin)AまたはLY264826としても公知である)のアルキル化誘導体を調製するのに特に有用である。例えば、Nagarajanら、J.Org.Chem.、1988、54、983−986;およびN.Tsujiら、J.Antibiot.、1988、41、819−822を参照のこと。このグリコペプチドの構造は、A82846Bが、さらなるアミノ糖(すなわち、式I中のR位に結合する4−エピ−バンコサミン)を含み、そして式I中のR位に結合するジサッカライド部分においてバンコマイシンの代わりに4−エピ−バンコサミンをさらに含むことを除けば、バンコマイシンに類似する。本発明の方法はまた、、4−エピ−バンコサミンの窒素において4−(4−クロロフェニル)ベンジル基または4−(4−クロロベンジルオキシ)ベンジル基で置換されたグリコペプチド抗生物質A82846Bのアルキル化誘導体を調製するのに特に有用である。
【0055】
本発明の方法はまたは、アルキル化グリコペプチドから保護基を除去する工程をさらに包含し得る。
【0056】
本発明の方法はまた、アルキル化グリコペプチドの薬学的に受容可能な塩を調製する工程をさらに包含し得る。本発明の方法はまた、このような塩と薬学的に受容可能なキャリアを合わせて、薬学的組成物を提供する工程をさらに包含し得る。
【0057】
本発明の方法はまた、アルキル化グリコペプチドと薬学的に受容可能なキャリアとを合わせて、薬学的組成物を提供する工程をさらに包含し得る。
【0058】
(発明の詳細な説明)
本明細書中において使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有する。
【0059】
(定義)
用語「アルキル」は、好ましくは、1〜40個の炭素原子、さらに好ましくは、1〜10個の炭素原子そしてなおさらに好ましくは、1〜6個の炭素原子を有するモノラジカルの分枝した飽和炭化水素鎖または分枝していない飽和炭化水素鎖をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどのような基によって例示される。
【0060】
用語「置換されたアルキル」は、以下からなる群から選択される、1〜8個の置換基、好ましくは、1〜5個の置換基、そしてさらに好ましくは、1〜3の置換基を有する、上で定義されるようなアルキル基をいう:アルコキシ、置換されたアルコキシ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されたシクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換されたアミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、グアニド、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリルオキシ、チオへテロアリールオキシ、チオへテロシクロオキシ、チオール、チオールアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヘテロオキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換されたアルキル、−SO−アリール−SOHおよび−SO−ヘテロアリール。
【0061】
用語「アルキレン」は、好ましくは1〜40個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する、分枝型または非分枝型の飽和炭化水素鎖のジラジカルを言う。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などの基によって例示される。
【0062】
用語「置換アルキレン」は、上に定義したように、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルキレン基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールから選択される。さらに、このような置換アルキレン基としては、アルキレン基の2つの置換基が縮合して、このアルキレン基に縮合された、1個以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環式、またはヘテロアリール基を形成するものが挙げられる。好ましくは、このような縮合された基は、1〜3個の縮合環構造を含む。さらに、用語置換アルキレンとしては、アルキレン炭素原子の1〜5個が酸素、硫黄、または−NR−(ここでRは水素またはアルキルである)で置換されるアルキレン基が挙げられる。置換アルキレンの例は、クロロメチレン(−CH(Cl)−)、アミノエチレン(−CH(NH)CH−)、2−カルボキシプロピレン異性体(−CHCH(COH)CH−)、エトキシエチル(−CHCHO−CHCH−)などである。
【0063】
用語「アルカリール」は、−アルキレン−アリール基、および−置換アルキレン−アリール基(ここでのアルキレン、置換アルキレン、およびアリールは、本明細書中に定義されるとおりである)を言う。このようなアルカリール基は、ベンジルおよびフィネチルなどによって例示される。
【0064】
用語「アルコキシ」はアルキル−O−基、アルケニル−O−基、シクロアルキル−O−基、シクロアルケニル−O−基、およびアルキニル−O−基を言い、ここでアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアルキニルは本明細書中で定義されるとおりである。好ましいアルコキシ基としては、アルキシ−O−基であり、例としてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0065】
用語「置換アルコキシ」は置換アルキル−O−基、置換アルケニル−O−基、置換シクロアルキル−O−基、置換シクロアルケニル−O−基、および置換アルキニル−O−基を言い、ここで置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、および置換アルキニルは本明細書中に定義されるとおりである。
【0066】
用語「アルキルアルコキシ」は、−アルキレン−O−アルキル基、アルキレン−O−置換アルキル基、置換アルキレン−O−アルキル基、および置換アルキレン−O−置換アルキル基を言い、ここでアルキル、置換アルキル、アルキレン、および置換アルキレンは本明細書中に定義されるとおりである。好ましいアルキルアルコキシ基としては、アルキレン−O−アルキルであり、例として、メチレンメトキシ(−CHO−CH)、エチレンメトキシ(−CHCHO−CH)、n-プロピレン−iso−プロポキシ(−CHCHCHOCH(CH)、メチレン−t−ブトキシ(−CH−O−C(CH)などが挙げられる。
【0067】
用語「アルキルチオアルコキシ」は、−アルキレン−S−アルキル基、アルキレン−S−置換アルキル基、置換アルキレン−S−アルキル基、および置換アルキレン−S−置換アルキル基を言い、ここでアルキル、置換アルキル、アルキレン、および置換アルキレンは本明細書中に定義されるとおりである。好ましいアルキルチオアルコキシ基としては、アルキレン−S−アルキルであり、例としてメチレンチオメトキシ(−CHSCH)、エチレンチオエトキシ(−CHCHSCH)、n−プロピレン−iso−チオプロポキシ(−CHCHCHSCH(CH)、メチレン−t−チオブトキシ(−CHSC(CH)などが挙げられる。
【0068】
用語「アルケニル」は、好ましくは2〜40個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、そしてさらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、そして好ましくは1〜6個の不飽和ビニルを有する、分枝型または非分枝型の不飽和炭化水素基のモノラジカルを言う。好ましいアルケニル基としては、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、iso−プロペニル(−C(CH)=CH)などが挙げられる。
【0069】
用語「置換アルケニル」は、上に定義されたように、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルケニル基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0070】
用語「アルケニレン」は、好ましくは2〜40個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、そしてさらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、そして好ましくは1〜6個の不飽和ビニルを有する、分枝型または非分枝型の不飽和炭化水素基のジラジカルを言う。この用語は、エテニレン(−CH=CH−)、プロペニレン異性体(例えば、−CHCH=CH−および−C(CH)=CH−)などの基によって例示される。
【0071】
用語「置換アルケニレン」は、上に定義されたように、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルケニル基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。さらに、このような置換アルケニレン基としては、アルケニレン基の2個の置換基が縮合して、このアルケニレン基に縮合された、1個以上のシクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、複素環式、またはヘテロアリール基を形成するものが挙げられる。
【0072】
用語「アルキニル」は、好ましくは、2〜40個の炭素原子、より好ましくは2〜20個の炭素原子、そしてさらにより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、そして好ましくは1〜6個の不飽和アセチレン(三重結合)を有する、不飽和炭化水素のモノラジカルを言う。好ましいアルキニル基としては、エテニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CHC≡CH)などが挙げられる。
【0073】
用語「置換アルキニル」は、上に定義されたように、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルキニル基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0074】
用語「アルキニレン」は、好ましくは、2〜40個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、そしてさらにより好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、そして好ましくは1〜6個の不飽和アセチレン(三重結合)を有する、不飽和炭化水素のジラジカルを言う。好ましいアルキニレン基としては、エチニレン(−C≡C−)、プロパルギレン(−CHC≡C−)などが挙げられる。
【0075】
用語「置換アルキニレン」は、上に定義されたように、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルキニレン基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0076】
用語「アシル」は、HC(O)−基、アルキル−C(O)−基、置換アルキル−C(O)−基、シクロアルキル−C(O)−基、置換シクロアルキル−C(O)−基、シクロアルケニル−C(O)−基、置換シクロアルケニル−C(O)−基、アリール−C(O)−基、ヘテロアリール−C(O)−基、および複素環式−C(O)−基を言い、ここでアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は、本明細書中に定義されるとおりである。
【0077】
用語「アシルアミノ」または「アミノカルボニル」は、−C(O)NRR基を言い、ここで各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式であり、または、ここで両方のR基は結合されて、複素環式基(例えば、モルホリノ)を形成する。ここでのアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は本明細書中に定義されるとおりである。
【0078】
用語「アミノアシル」は、−NRC(O)R基を言い、ここで各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環式であり、ここでのアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は本明細書中に定義されるとおりである。
【0079】
用語「アミノアシルオキシ」または「アルコキシカルボニルアミノ」は、−NRC(O)OR基を言い、ここで各Rは、独立して、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式であり、ここでのアルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は本明細書中に定義されるとおりである。
【0080】
用語「アシルオキシ」は、アルキル−C(O)O−基、置換アルキル−C(O)O−基、シクロアルキル−C(O)O−基、置換シクロアルキル−C(O)O−基、アリール−C(O)O−基、ヘテロアリール−C(O)O−基、および複素環式−C(O)O−基を言い、ここでのアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式は、本明細書中に定義されるとおりである。
【0081】
用語「アリール」は、単環(例えば、フェニル)または複数の縮合(fused)環(ここで、少なくとも1個の環は芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、またはアントリル)である)を有する、6〜20個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基を言う。好ましいアリールとしてはフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
【0082】
アリール置換基の定義によって他に束縛されていない場合は、このようなアリール基は、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基が必要に応じて置換され得る。これらの置換基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、スルホンアミド、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメチルからなる群から選択される。好ましいアリール置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびチオアルコキシが挙げられる。
【0083】
用語「アリールオキシ」は、アリール−O−基を言い、ここでアリール基は、上に定義されたように、必要に応じて、置換アリール基(これもまた、上で定義された)を含む。
【0084】
用語「アリーレン」は、上で定義されたように、アリール(置換アリールを含む)から誘導されたジラジカルを言い、そして1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレンなどによって例示される。
【0085】
用語「アミノ」は、−NH基を言う。
【0086】
用語「置換アミノ」は、−NRR基を言い、ここで各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、および複素環式(両方のRが水素ではない場合)からなる群から選択される。
【0087】
「アミノ酸」は、天然に存在するD型、L型、またはDL型のアミノ酸(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびVal)のいずれかを言う。天然に存在するアミノ酸の側鎖としては当業者において周知であり、例として、水素(例えば、グリシン)、アルキル(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン)、置換アルキル(例えば、スレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリジン)、アルカリール(例えば、フェニルアラニンおよびトリプトファン)、置換アリールアルキル(例えば、チロシン)、ならびにヘテロアリールアルキル(例えば、ヒスチジン)が挙げられる。
【0088】
用語「カルボキシ」は、−COOHを言う。
【0089】
用語「C末端」は、当該分野において周知であるグリコペプチドに関する。例えば、化学式Iのグリコペプチドにおいて、C末端はR基によって置換される位置である。
【0090】
用語「ジカルボキシ−置換アルキル」は、2個のカルボキシ基で置換されたアルキル基を言う。この用語としては、例として、−CH(COOH)CHCOOHおよび−CH(COOH)CHCHCOOHが挙げられる。
【0091】
用語「カルボキシアルキル」または「アルコキシカルボニル」は、「−C(O)O−アルキル基」、「−C(O)O−置換アルキル基」、「−C(O)O−シクロアルキル基」、「−C(O)O−置換シクロアルキル基」、「−C(O)O−アルケニル基」、「−C(O)O−置換アルケニル基」、「−C(O)O−アルキニル基」、および「−C(O)O−置換アルキニル基」を言い、ここでアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、および置換アルキニルは、本明細書中に定義されるとおりである。
【0092】
用語「シクロアルキル」は、単環式環または複数の縮合環を有する、3〜20個の炭素原子の環状アルキル基を言う。このようなシクロアルキル基としては、例として、単環構造(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチルなど)、または複数の環構造(例えば、アダマンタニルなど)が挙げられる。
【0093】
用語「置換シクロアルキル」は、1〜5個の置換基、および好ましくは1〜3個の置換基を有するシクロアルキル基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0094】
用語「シクロアルケニル」は、単環式環および少なくとも内部の一ヶ所に不飽和を有する、4〜20個の環状アルケニル基を言う。適切なシクロアルケニル基の例としては、例えば、シクロブト−2−エニル、シクロペント−3−エニル、シクロオクト−3−エニルなどが挙げられる。
【0095】
用語「置換シクロアルケニル」は、1〜5個の置換基、および好ましくは1〜3個の置換基を有するシクロアルケニル基を言う。これらの置換基は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、および−SO−ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0096】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを言う。
【0097】
「ハロアルキル」は、本明細書中に定義されるように1〜4個のハロ基(同様または異なり得る)(本明細書中で定義されるとおりである)によって置換されるアルキルを言う。代表的なハロアルキル基としては、例として、トリフルオロメチル、3−フルオロドデシル、12,12,12−トリフルオロドデシル、2−ブロモオクチル、3−ブロモ−6−クロロヘプチルなどが挙げられる。
【0098】
用語「ヘテロアリール」は、1〜15個の炭素原子であり、かつ少なくとも単環(1個以上の場合もある)中に、酸素、窒素、および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する芳香族基を言う。
【0099】
ヘテロアリール置換基の定義によって他に束縛されていない場合は、このようなヘテロアリール基は、1〜5個の置換基、好ましくは1〜3個の置換基で必要に応じて置換され得る。これらの置換基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリール、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、複素環式、ヘテロシクロオキシ、アミノアシルオキシ、オキシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、およびトリハロメリルからなる群から選択される。好ましいアリール置換基としては、アルキル、アルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびチオアルコキシが挙げられる。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジルまたはフリル)、または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有し得る。好ましいヘテロアリールとしては、ピリジル、ピロリル、またはフリルが挙げられる。
【0100】
「ヘテロアリールアルキル」は、(ヘテロアルキル)アルキル−を言い、ここでヘテロアルキルおよびアルキルは、本明細書中に定義されるとおりである。代表的な例としては、2−ピリジルメチルなどが挙げられる。
【0101】
用語「ヘテロアリールオキシ」とは、ヘテロアリール−O−基をいう。
【0102】
用語「ヘテロアリーレン」とは、上記のような、ヘテロアリール(置換ヘテロアリールを含む)から誘導されるジラジカル(diradical)基をいい、そして2,6−ピリジレン(2,6−pyridylene)基、2,4−ピリジイレン(2,4−pyridiylene)基、1,2−キノリニレン基、1,8−キノリニレン基、1,4−ベンゾフラニレン基、2,5−ピリドニレン(2,5−pyridnylene)基、2,5−インドレニル基などによって例示される。
【0103】
用語「ヘテロ環」または「ヘテロ環式」とは、環の内の単環または複数の縮合環、1〜40の炭素原子ならびに1〜10のヘテロ原子、好ましくは、窒素、硫黄、リン、および/または酸素から選択される1〜4のヘテロ原子を有するモノラジカル(monoradical)の飽和基または不飽和基をいう。
【0104】
ヘテロ環式置換基に対する定義による別段の拘束が無ければ、このようなヘテロ環式基は、以下からなる群より選択された1〜5個、および好ましくは1〜3個の置換基で必要に応じて置換され得る:アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、チオケト、カルボキシ、カルボキシアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロ環式、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、オキソ(=O)、および−SO−ヘテロアリール。このようなヘテロ環式基は、単環または複数の縮合環を有し得る。好ましいヘテロ環式としては、モルホリノ,ピペリジニル、などが挙げられ得る。
【0105】
窒素ヘテロ環および窒素ヘテロアリールの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン,ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾ−ル、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、モルホリノ、ピペリジニル,テトラヒドロフラニルなど、ならびにN−アルコキシ−窒素含有ヘテロ環。
【0106】
ヘテロ環式の別のクラスは、「クラウン化合物」として知られており、これは、式[−(CH−)A−]の1つ以上の繰り返し単位、を有する、ヘテロ環式化合物の特定のクラスをいう。ここで、aは2以上であり、そして各別個の存在におけるAはO、N、SまたはPであり得る。クラウン化合物の例としては、単に例として、[−(CH−NH−]、[−((CH−O)−((CH−NH)]などが挙げられる。代表的には、このようなクラウン化合物は、4〜10個のヘテロ原子および8〜40個の炭素原子を有し得る。
【0107】
用語「ヘテロシクロオキシ」とはヘテロ環式−O−基をいう。
【0108】
用語「チオヘテロシクロオキシ」とは、ヘテロ環式−S−基をいう。
【0109】
用語「オキシアシルアミノ」または「アミノカルボニルオキシ」とは、−OC(O)NRR基をいい、ここで各Rは、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環式であり、ここで、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環式は、本明細書中で定義された通りである。
【0110】
用語「プロドラッグ」とは、当該分野でよく理解されており、哺乳類動物系で本発明の薬学的に活性な化合物へと変換される化合物を含む。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、1980、第16巻、Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,61および424を参照のこと。
【0111】
用語「サッカライド基」とは、サッカライドの部分の原子のいずれかを介して、好ましくはアグリコン炭素を介して、グリコペプチドまたは他の化合物に共有結合している、酸化されたか、還元されたかまたは置換されたサッカライドモノラジカルをいう。この用語は、アミノ含有サッカライド基を含む。代表的サッカライドとしては、例示として、以下が挙げられる:ヘキソース(例えば、D−グルコース、D−マンノース、D−キシロース、D−ガラクトース、バンコサミン(vancosamine)、3−デスメチル−バンコサミン、3−エピ−バンコサミン、4−エピ−バンコサミン、アコサミン(acosamine)、アクチノサミン(actinosamine)、ダウノサミン(daunosamine)、3−エピ−ダウノサミン、リストサミン(ristosamine)、D−グルコサミン、N−メチル−D−グルコサミン,D−グルクロン酸、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミン、シアル酸(sialyic acid)、イズロン酸、L−フコースなど);ペントース(例えば、D−リボースまたはD−アラビノース);ケト−ス(例えば、D−リブロースまたはD−フルクトース);ジサッカライド(例えば、2−O−(α−L−バンコサミニル)−β−D−グルコピラノース、2−O−(3−デスメチル−α−L−バンコサミニル)−β−D−グルコピラノ−ス、スクロース、ラクトース、またはマルトース);誘導体(例えば、アセタール、アミン、アシル化した糖、硫酸化した糖およびリン酸化した糖);2〜10のサッカライド単位を有するオリゴサッカライド。これの定義の目的のために、これらのサッカライドは、従来の3つ文字命名法を使用して参照され、そしてこのサッカライドは、開環形態または好ましくはそれらのピラノ−ス形態のいずれかであり得る。
【0112】
用語「アミノ含有サッカライド基」または「アミノサッカライド」とは、アミノ置換基を有するサッカライド基をいう。代表的なアミノ含有サッカライドとしては、L−バンコサミン、3−デスメチル−バンコサミン、3−エピ−バンコサミン、4−エピ−バンコサミン、アコサミン、アクチノサミン、ダウノサミン、3−エピ−ダウノサミン、リストサミン、N−メチル−D−グルコサミンなどが挙げられる。
【0113】
用語「サッカライドアミン」とは、アミノサッカライドのアミン基をいう。
【0114】
用語「スピロ結合シクロアルキル基」とは、両方の環に共通の炭素原子を介して別の環に結合したシクロアルキル基をいう。
【0115】
所定の化合物に関連する場合、用語「立体異性体」は、当該分野でよく理解されており、そしてこれは、同じ分子式を有する別の化合物をいう。ここで、この他の化合物を作り上げる原子は、これらが空間の中で配向される様式において違うが、ここで、この他の化合物中の原子は、どの原子がどの他の原子に結合するかに関して、所定の化合物中の原子と同じである(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、または幾何異性体)。例えば、MorrisonおよびBoyde Organic Chemistry,1983、第4版、Allyn and Bacon,Inc.,Boston,Mass.,123頁を参照のこと。
【0116】
用語「スルホンアミド」とは、式−SONRRの基をいい、ここで各Rは、独立して水素、アルキル、置換アルキル、アリール、ヘテロアリール,またはヘテロ環式であり、ここで、アルキル,置換アルキル、アリール、ヘテロアリールそして、ヘテロ環式は本明細書中で定義されたものである。
【0117】
用語「チオール」とは、−SH基をいう。
【0118】
用語「チオアルコキシ」とは、−S−アルキル基をいう。
【0119】
用語「置換チオアルコキシ」とは、−S−置換アルキル基をいう。
【0120】
用語「チオアリールオキシ」とは、アリール−S−基をいい、ここでこのアリール基は上記で定義された通りであり、上記のように定義された必要に応じて置換されたアリール基もまた含む。
【0121】
用語「チオヘテロアリールオキシ」とは、ヘテロアリール−S−基をいい、ここでこのヘテロアリール基は上記で定義された通りであり、上記のように定義された必要に応じて置換されたアリール基もまた含む。
【0122】
用語「チオエーテル誘導体」は、本発明のグリコペプチド化合物をいうために使用される場合、チオエーテル(−S−)、スルホキシド(−SO−)およびスルホン(−SO−)を含む。
【0123】
1つ以上の置換基を含む上記の基のいずれかに関して、このような基は、立体的に非現実的であり、そして/また合成的に実現不可能ないずれの置換または置換パターンを含まないと当然理解される。さらに、本発明の化合物は、これらの化合物の置換から生じた全ての立体化学的な異性体を含む。
【0124】
「シクロデキストリン」とは、アミロースおけるようなα結合よって1、4位で連結した6つ以上のα−D−グリコピラノ−ス単位を含む環状分子をいう。β−シクロデキストリンまたはシクロヘプタアミロースは、7つのα−D−グリコピラノ−ス単位を含む。本明細書中で使用される場合、用語「シクロデキストリン」はまた、シクロデキストリン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルおよびスルホブチルエーテルシクロデキストリン)を含む。このような誘導体は、例えば米国特許第4,727,064号および同5,376,645号に記載される。1つの好ましいシクロデキストリンは、FTIRにより測定されるような約4.1〜5.1の置換度を有すヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。このようなシクロデキストリンは、CavitronTM 82003という名前でCerestar(Hammond,Indiana,USA)から入手可能である。
【0125】
「グリコペプチド」とは、オリゴペプチド抗生物質(例えば、ヘプタペプチド抗生物質)をいい、これらは、サッカライド基で必要に応じて置換された複数の環のペプチドコアによって特徴付けられる(例えば、バンコマイシン)。この定義に含まれる、グリコペプチドの例は、以下の中に見出される:Raymond C.RaoおよびLouise W.Crandallによる「Glycopeptides Classification,Occurrence,and Discovery」、(「Drugs and the Pharmaceutical Sciences」63巻、Ramakrishnan Nagarajan編、Marcal Dekker,Inc.により発行)。グリコペプチドのさらなる例は、以下の中に開示される:米国特許第4,639,433号;同第4,643,987号;同第4,497,802号;同第4,698,327号;同第5,591,714号;同第5,840,684号;および同第5,843,889号;EP 0 802 199;EP 0 801 075;EP 0 667 353;WO 97/28812;WO 97/38702;WO 98/52589;WO98/52592;およびJ.Amer.Chem.Soc.,1996,118,13107〜13108;J.Amer.Chem.Soc.,1997,119,12041〜12047;およびJ.Amer.Chem.Soc.,1994,116,4573〜4590。代表的なグリコペプチドとしては、以下のように同定されるグリコペプチドが挙げられる:A477、A35512、A40926、A41030、A42867、A47934、A80407、A82846、A83850 、A84575、AB−65、Actaplanin、Actinoidin、Ardacin、Avoparcin、Azureomycin、Balhimycin、Chloroorientiein、Chloropolysporin、Decaplanin、N−デメチルバンコマイシン、Eremomycin、Galacardin、Helvecardin、Izupeptin、Kibdelin、LL−AM374、Mannopeptin、MM45289、MM47756、MM47761、MM49721、MM47766、MM55260、MM55266、MM55270、MM56597、MM56598、oC−7653、Orenticin、Parvodicin、Ristocetin、Ristomycin、Synmonicin、Teicoplanin、UK−68597、UK−69542、UK−72051、バンコマイシン、など。本明細書中で使用される場合、用語「グリコペプチド」はまた、上で開示した一般的なクラスのペプチドを含むことが意図され、ここで、1つ以上の糖部分が存在せず、但し、グリコペプチドは少なくとも1つのアミノサッカライドを含む。さらに、さらなるサッカライド残基、特にアミノグリコシドに、バンコサミンと同様の様式で付加しグリコペプチドもまた、本発明の範囲にある。
【0126】
「バンコマイシン」とは、以下の式:
【0127】
【化15】
Figure 0004713810
を有するグリコペプチド抗生物質をいう。
【0128】
バンコマイシン誘導体を記載する場合、用語「Nvan−」は置換基が、バコマイシン(vacomycin)のバコサミン(vacosamine)部分のアミノ基に共有結合していることを示す。同様に、用語「Nleu−」は、置換基が共有結合によって、バンコマイシンのロイシン部分のアミノ基に共有結合していることを示す。本発明の方法は、Nleu−アルキル化誘導体に比べNvan−アルキル化誘導体を選択的に調製するために特に有用である。
【0129】
「任意に」また「必要に応じて」とは、続いて記載される事象または状況が起こり得るか、または起こり得ないことを意味し、そしてこの記載は、その事象または状況が生じる例およびそれが生じない例を含むことを意味する。例えば、「必要に応じて置換された」とは、基が、記載された置換基で置換され得るか、または置換され得ないことを意味する。
【0130】
用語「窒素連結」とは、基または置換基が、この基または置換基の窒素への結合を介して、化合物(例えば、式I)の化合物)の残りの部分と結合していることを意味する
「薬学的に受容可能な塩」とは、親化合物の生物学的な有効性および生物学的な性質を保持する塩であって、そしてこの投薬量が投与された際に生物学的またはその他において有害ではない塩を意味する。本発明の化合物は、アミノ基およびカルボキシ基の存在によってそれぞれ、酸性塩および塩基性塩の両方を形成し得る。
【0131】
薬学的に受容可能な塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製し得る。無機塩基から誘導される塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩。有機塩基から誘導される塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:第1級、第2級および第3級アミンの塩、置換アミン(天然に存在する置換アミンを含む)、および環状アミン(以下を含む:イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルコサミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、およびN−エチルピペリジン)の塩。他のカルボン酸誘導体(例えば、カルボン酸アミド(カルボキサミドを含む)、低級アルキルカルボキサミド、ジ(低級アルキル)カルボキサミドなど)が、本発明の実施で有用であることが理解されるべきである。
【0132】
薬学的に受容可能酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製し得る。無機酸から誘導される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、酢酸,プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0133】
本発明の化合物は、代表的に、1つ以上のキラル中心を含む。従って、本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー、エナンチオマーおよび1つ以上の立体異性体を多く含む混合物を含むことが意図される。記載し、そして請求した本発明の範囲は、ラセミ形態の化合物ならびに個々のエナンチオマーおよびこれらの非ラセミ混合物を包含する。
【0134】
用語「治療有効量」とは、本明細書中で定義したような処置を必要とする哺乳動物に投与した場合に、このような治療を行うのに十分な量をいう。この治療有効量は、被験体および処置される疾患状態、苦痛の重篤度、投与の様式に依存して変化し、そして当業者によって慣用的に決定され得る。
【0135】
用語「保護基」または「ブロック基」とは、化合物の、1つ以上のヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、カルボキシ基または他の基に結合された場合、この基において望まない反応が生じることを防ぐ任意の基をいい、そしてこの保護基は、従来の化学的または酵素学的工程によって除去されて、そしてヒドロキシル、チオ、アミノ、カルボキシまたは他の基を再び確立し得る。使用される、特定の除去可能なブロック基は、重要ではなく、好ましい除去可能なヒドロキシルブロック基としては、従来の置換基(例えば、アリル、ベンジル、アセチル、クロロアセチル、チオベンジル、ベンジリジン、フェナシル、t−ブチル−ジフェニルシリルおよびヒドロキシル官能基上に化学的に導入され得、その後生成物の性質と適合する穏やかな条件下で化学的方法または酵素的方法いずれかによって選択的に除去され得る任意の他の基が挙げられる。保護基は、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、1999、John Wiley and Sons,N.Yでより詳細に開示されている。
【0136】
好ましい除去可能なアミノブロック基としては、従来の置換基(例えば、t−ブチオキシカルボニル(butyoxycarbonyl)(t−BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、アリルオキシカルボニル(ALOC))などが挙げられ、これらは、生成物の性質に適合した従来の方法により除去され得る。
【0137】
好ましいカルボキシ保護基としては、エステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチルなど)が挙げられ、これらは、生成物の性質に適合した穏やかな条件によって除去され得る。
【0138】
(一般的な合成手順)
当業者に明らかであるように、従来の保護基を、特定の官能基を望まない反応を受けることから阻止し、一方で本発明の方法を実施するために使用し得る。特定の官能基に対する適切な保護基の選択ならびに保護および脱保護のための適切な条件の選択は、当該分野で周知である。例えば、多くの保護基ならびにこれらの導入および除去は、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley,New York,1999およびこの中で引用された参考文献に記載されている。
【0139】
以下の反応スキームにおいて、グリコペプチド化合物は、ボックス「G」として単純化された形態で示される。このボックス「G]は、以下:
【0140】
【化16】
Figure 0004713810
のような、[C]と標識されるカルボキシ末端、バンコサミン(vancosamine)[V]と標識されるアミノ末端、[N]と標識される「非サッカライド」アミノ末端(すなわち、ロイシンアミン部分)、および必要に応じて、[R]と標識されるレゾルシノール部分を示す。
【0141】
例示によって、バンコマイシンのようなグリコペプチド化合物を、以下の反応:
【0142】
【化17】
Figure 0004713810
で示されるような本発明の方法に従って、還元的アルキル化し得る。
【0143】
この反応を、代表的に、1当量のグリコペプチド(例えば、バンコマイシン)を過剰な(好ましくは、約1.1〜3当量)アルデヒド(または、ケトン)と、過剰な(好ましくは、約1.1〜約3.5当量)第三級アミン(例えば、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)など)の存在下で初めに接触させて、イミンおよび/またはヘミアミナール中間体またはそのような中間体の混合物を形成することによって行う。この反応を、代表的に、不活性希釈剤(例えば、DMFまたはアセトニトリル/水)中で、約0℃〜約50℃の範囲の温度、好ましくは室温で、約0.25〜2時間の間か、またはイミンおよび/もしくはヘミアミナール中間体の形成が実質的に完了するまで行う。イミンおよび/またはヘミアミナール中間体は、代表的に単離されず、インサイチュで酸(例えば、トリフルオロ酢酸)と、グリコペプチドのN末端において(例えば、バンコマイシンのロイシニルアミノ基において)形成される任意のイミンおよび/またはヘミアミナールを部分的または完全に、加水分解するのに十分な時間接触させる。代表的に、イミンおよび/またはヘミアミナール中間体を含有する反応混合物を、過剰な酸と、好ましくは、約1.2〜8当量で、約0℃〜約50℃の範囲の温度、好ましくは、室温で、約0.25〜約6時間;好ましくは、約0.5〜約3時間;より好ましくは、約1〜約2時間接触させる。次いで、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウム)をこの反応混合物に添加して、アルキル化反応生成物を形成する。必要に応じて、プロトン性の溶媒(例えば、メタノール)もまた、還元剤と共に添加される。代表的に、この還元反応を、この反応混合物を少なくとも1当量、好ましくは、約1.0〜約3当量の還元剤と、約0℃〜約50℃の範囲の温度、好ましくは、室温で、この還元反応が実質的に完了するまで;好ましくは、0.1〜6時間;より好ましくは、約2〜4時間接触させることによって行う。得られるアルキル化生成物を従来の手順(例えば、析出および/または逆相HPLC)によって容易に精製する。驚くべきことに、イミンおよび/またはヘミアミナールをトリアルキルアミンの存在下で形成し、次いで還元剤と接触させる前にトリフルオロ酢酸で酸性化することによって、還元的アルキル化反応物についての選択性を高度に改良する。
【0144】
さらに、ケトンを還元的アルキル化反応においてアルデヒドの代わりに使用して、α−置換アミンを生成し得る。
【0145】
レゾルシノール部分[R]において置換される、本発明の方法に適切な出発物質を、以下のスキーム(このスキームにおいて、レゾルシノール部分が明白さの目的で示される)において例示されるように調製し得る。例えば、グリコペプチド(例えば、バンコマイシン)のレゾルシノール部分におけるアミノアルキル側鎖を、Mannich反応を介して導入し得る。この反応において、アミン(NHR)およびアルデヒド(CHO)(例えば、ホルマリン(ホルムアルデヒドの供給源))を塩基性条件下でグルコペプチドと反応させて、グリコペプチド誘導体を得る:
【0146】
【化18】
Figure 0004713810
従って、本発明の方法は、必要に応じて、レゾルシノール部分において置換される出発物質を(例えば、上記と同様の手順を使用して)初めに調製する工程を包含し得る。
【0147】
置換基もまた、本発明の還元的アルキル化が起こった後にグリコペプチドのレゾルシノール部分に導入し得る。従って、本発明の方法はまた、必要に応じて、レゾルシノール部分[R]のサッカライドアミンにおいてアルキル化されるグリコペプチド抗生物質を、(例えば、上記と同様の手順を使用して)アルキル化して、サッカライドアミン位置でアルキル化され、かつレゾルシノール環上で置換されるグリコペプチド抗生物質を提供する工程をさらに包含し得る。
【0148】
グリコペプチド化合物をまた、還元性アルキル化の前、または還元性アルキル化の後のいずれかでカルボキシ末端において改変して、グリコペプチド抗生物質を提供し得る。
【0149】
スルホキシドまたはスルホンを含有する本発明の化合物を、対応するチオ化合物から、従来の試薬および手順を使用して調製し得る。チオ化合物のスルホキシドへの酸化に適切な試薬としては、例えば、過酸化水素、過酸(例えば、3−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA))、過ヨウ素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸tert−ブチルなどが挙げられる。キラル酸化剤(光学的に活性な試薬)もまた使用して、キラルスルホキシドを提供し得る。このような光学的に活性な試薬は、当該分野で周知であり、これらとしては、例えば、Kagenら、Synlett.,1990,643〜650に記載される試薬が挙げられる。
【0150】
上記の反応性アルキル化反応において用いられるアルデヒドおよびケトンはまた、当該分野で周知であり、そして市販されているか、または市販の出発物質および従来の試薬を使用する従来の手順によって調製され得る(例えば、March,Advanced Organic Chemistry,第4版,John Wiley & Sons,New York(1992)、およびそこで列挙される参考文献を参照のこと)。
【0151】
(薬学的組成物)
好ましくは、薬学的に受容可能な塩の形態のグリコペプチド化合物を、細菌感染を治療的にまたは予防的に処置するための、経口または非経口投与のために処方し得る。
【0152】
例示によって、グリコペプチド化合物を、従来の薬学的キャリアおよび賦形剤とともに混合し、そして錠剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップ、カシェ剤などの形態で使用し得る。このような薬学的組成物は、約0.1〜約90重量%の活性化合物、そしてより一般には、約10〜約30重量%の活性化合物を含有する。この薬学的組成物は、通常のキャリアおよび賦形剤(例えば、コーンデンプンまたはゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸)を含有し得る。本発明の処方物において通常使用される崩壊薬としては、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、コーンデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプンおよびアルギン酸が挙げられる。
【0153】
液体組成物は、一般に、適切な液体キャリアにおける化合物または薬学的に受容可能な塩の懸濁液または溶液からなり、この液体キャリアは、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)、オイルまたは水であり、必要に応じて、懸濁剤、可溶化剤(例えば、シクロデキストリン)、保存薬、界面活性剤、湿潤剤、香味剤または着色剤を伴う。あるいは、この液体処方物を、強壮剤粉末から調製し得る。
【0154】
例えば、活性化合物、懸濁剤、スクロースおよび甘味料を含む粉末を、水で再構築して懸濁液を形成し得;そして、シロップを、活性成分、スクロースおよび甘味料を含む粉末から調製し得る。
【0155】
錠剤の形態の化合物を、固形組成物を調製するために通常使用される任意の適切な薬学的キャリアを用いて調製し得る。このようなキャリアの例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロースおよび結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。錠剤もまた、カラーフィルムコーティング、またはキャリアの一部として含まれる色を提供され得る。さらに、活性組成物を、制御放出用量形態で、疎水性マトリクスまたは親水性マトリクスを含む錠剤として処方し得る。
【0156】
カプセルの形態の組成物を、通常のカプセル化手順によって(例えば、活性化合物および賦形剤を硬ゼラチンカプセルに組み込むことによって)、調製し得る。あるいは、活性化合物および高分子重量ポリエチレングリコールの半固体マトリクスを調製して硬ゼラチンカプセルに充填し得るか;あるいは、活性化合物のポリエチレングリコール溶液または食用油(例えば、液体パラフィンまたは分留したココナッツ油)懸濁液を、調製して軟ゼラチンカプセルに充填し得る。
【0157】
含まれ得る錠剤結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプンおよびエチルセルロースである。使用され得る潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属、ステアリン酸、シリコーン流体、タルク、ワックス、油およびコロイダルシリカが挙げられる。
【0158】
ペパーミント、ウインターグリーン油、サクランボ香味料などのような香料剤もまた、使用され得る。さらに、着色剤を添加して、投薬形態をより外見的に見栄え良くさせるか、または製品の同定を手助けすることが望ましくあり得る。
【0159】
アルキル化グリコペプチド誘導体を、シクロデキストリンを含む水溶液中に処方し得る。別の好ましい実施形態において、本発明のグリコペプチド誘導体を、シクロデキストリンを含む凍結乾燥された粉末としてか、またはシクロデキストリンを含む滅菌粉末として処方し得る。好ましくは、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルβ―シクロデキストリンであり;より好ましくは、シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。代表的に、注入可能な溶液中で、シクロデキストリンは、処方物の約1〜25重量%;好ましくは、約2〜10重量%;より好ましくは、約4〜6重量%を構成する。さらに、アルキル化グリコペプチド誘導体に対するシクロデキストリンの重量比は、好ましくは、約1:1〜約10:1である。
【0160】
直腸投与において活性であるアルキル化グリコペプチド誘導体を、坐剤として処方し得る。代表的な坐剤処方物は、一般的に、結合剤および/または潤滑剤(例えば、ゼラチンまたはココアバターまたは他の低融点の植物もしくは合成のワックスもしくは脂肪)を有する活性成分からなる。
【0161】
局所投与において活性であるアルキル化グリコペプチド誘導体を、経皮組成物または経皮送達デバイス(「パッチ」)として処方し得る。このような組成物としては、例えば、バッキング、活性化合物レサバ、制御膜、ライナーおよび接触部接着剤が挙げられる。このような経皮パッチを使用して、制御された量において、本発明の化合物の連続的または断続的な注入を提供し得る。薬学的因子の送達のためのこの構築および経皮パッチの使用は、当業者に周知である。例えば、1991年6月11日に発行された米国特許第5,023,252号を参照のこと。このようなパッチを、薬学的因子の連続的、拍動的、または要求に応じた送達のために構築し得る。
【0162】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を限定するようないずれの様式においても解決されない。
【0163】
(実施例)
以下の例において、定義されていないどんな略語も、一般的にそれらの認容されている意味を有する。他に記述がなければ、全ての温度は、摂氏温度である。
【0164】
バンコマイシン塩酸塩水和物を、Alpharma,Inc.Fort Lee,NJ 07024(Alpharma AS,Oslo Norway)から購入した。他の試薬および反応物は、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI 53201から入手可能である。
【0165】
(実施例1)
(本発明の方法によるバンコマイシンの還元的アルキル化(式IIの化合物の合成(ここで、Rは、−OHであり;Rは、Hであり;R19は、Hであり;そしてR20は、CH(CHSCHCH−である)))
ACN/HO(1:1、30mL)中のバンコマイシン塩酸塩(3.0g、2.1mmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン(0.54g、0.72mL、4.2mmol)、続いてデシルチオアセトアルデヒド(0.91g、4.2mmol)で、25℃で処理した。30分後、この反応溶液を、トリフルオロ酢酸(1.92g、1.29mL、16.8mmol)、続いてシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH、0.132g、2.1mmol)で処理した。5〜10分後、アセトニトリル(300mL)を添加して、白色沈殿物として表題化合物を提供した。
【0166】
(実施例2)
(本発明の方法によるバンコマイシンの還元的アルキル化(式IIの化合物の合成(ここで、Rは、−OHであり;Rは、Hであり;R19は、Hであり;そしてR20は、CH(CHSCHCH−である)))
窒素下で、N,N−ジメチルホルムアミド(1.4L)中のS−デシルメルカプトアセトアルデヒド(粗製、48g、220mmol)の溶液に固形バンコマイシン塩酸塩水和物(173g、100mmol)、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(58mL、330mmol)を加えた。この懸濁液を、室温で2時間激しく攪拌し、そして全バンコマイシンを溶解させた。次いで、トリフルオロ酢酸(53mL、690mmol)を加えた。この溶液を、さらに90分間攪拌し、次いで固形シアノ水素化ホウ素ナトリウム(10.5g、170mmol)、続いてメタノール(800mL)を加えた。3時間後、この反応物を、逆相HPLCによって分析した。280nmでのuv吸収に基づくこの生成物の分布は、以下のようであった。
【0167】
Figure 0004713810
この反応混合物を水中(7L)に注ぎ、わずかに濁った溶液を得た。飽和重炭酸ナトリウムを用いて、この溶液のpHを、5に調節し、白色沈殿形成物を得た。この沈澱物を濾過によって収集し、水、次いで酢酸エチルで洗浄し、そして減圧下で乾燥して表題化合物を提供した。
【0168】
(実施例3)
(比較例)
(式IIの化合物の合成(ここで、Rは、−OHであり;Rは、Hであり;R19は、Hであり;そしてR20は、CH(CHSCHCH−である))
窒素下で、バンコマイシン塩酸塩水和物(1g、0.64mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)中のS−デシルメルカプトアセトアルデヒド(139mg、0.64mmol)に加えた。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(336μL、1.9mmol)を加え、そしてこの懸濁液を、2.5時間激しく攪拌し、この期間にわたって、全バンコマイシンは溶解した。固形シアノ水素化ホウ素ナトリウム(60mg、0.96mmol)を加え、続いてメタノール(5mL)およびトリフルオロ酢酸(250μL、2.3mmol)を加えた。この反応物を、室温で55分間攪拌し、そして逆相HPLCによって分析した。280nmでのuv吸収に基づくこの生成物の分布は、以下のようであった。
【0169】
Figure 0004713810
実施例2および実施例3からのHPLCのデータの比較は、本発明の合成方法(実施例2)が、アミノサッカライド基でのアルキル化から生じる有意に高い割合の化合物とN−メチルロイシンでのアルキル化、またはビスアルキル化(アミノサッカライド基およびN−メチルロイシンの両方でのアルキル化)から生じる低い割合の化合物との生成混合物を提供することを実証する。
【0170】
本発明は、その特定の実施形態に関して記載されているが、種々の変化がなされ得、そして等価物が本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく置換され得ることが、当業者によって理解されるべきである。さらに、多くの改変が、特定の状況、物質、組成物、プロセス、プロセス工程を本発明の目的、精神および範囲に適応するためになされ得る。すべてのこのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。さらに、本明細書中上記に列挙される全ての刊行物、特許および特許文書は、個々に参考として援用されるように、本明細書中でその全体が参考として援用される。

Claims (13)

  1. バンコマイシンまたはクロロオリエンチシンAから選択されるグリコペプチドをアルキル化するための方法であって、以下:
    (a)アルデヒドまたはケトン、第三級アミン、および該グリコペプチドまたはその塩を合わせて、反応混合物を提供する工程;
    (b)工程(a)から得られた該反応混合物を酸を用いて酸性化する工程;ならびに
    (c)工程(b)から得られた該反応混合物と還元剤を合わせる工程、
    を包含する方法。
  2. 前記還元的アルキル化が溶媒の存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶媒が、ハロゲン化炭化水素、直鎖または分岐鎖のエーテル、芳香族炭化水素、アルコール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミドン、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン、テトラメチレンスルホキシド、グリセロール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、N,N−ジメチルプロピレン尿素、またはジオキサン、あるいはそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記溶媒が、アセトニトリル、水、DMF、またはメタノール、あるいはそれらの混合物である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記還元剤と合わせられる前記反応混合物が、プロトン性溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記還元的アルキル化が、℃〜0℃の範囲の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記酸がカルボン酸または鉱酸である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記酸が、トリフルオロ酢酸である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記還元剤が、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、ピリジン−ボラン錯体、水素化ホウ素ナトリウム、または水素化ホウ素亜鉛である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記還元剤が、水素源および遷移金属触媒である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記グリコペプチドがバンコマイシンである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記グリコペプチドがバンコマイシン塩酸塩である、請求項1に記載の方法。
  13. 工程(b)が0.25時間〜6時間行われる、請求項1に記載の方法。
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