JP4713235B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法に関するものである。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速に微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザー(248nm)が量産の中心となり、さらにArFエキシマレーザー(193nm)が量産で導入され始めている。
KrFエキシマレ−ザーやArFエキシマレーザー等の光源用のレジストには、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性と、このような短波長の光源に対する感度の高さとが求められている。
このような条件を満たすレジストの1つとして、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤(以下、PAGという。)とを含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物が知られている。
化学増幅型ポジ型レジストの反応機構は、露光すると、レジスト中に配合されたPAGが酸を発生し、その酸によりベース樹脂の溶解性が変化するというものである。
例えば、化学増幅型ポジ型レジストのベース樹脂に対し、酸により脱離する溶解抑制基を導入しておくことにより、露光部のみ溶解抑制基が脱離し、現像液への溶解性が大きく増大する。
一般的には、露光後に加熱処理(ポストエクスポージャーベーク(post exposure baking)、以下、PEBと略記する。)を行うことにより、該溶解抑制基の脱離やレジスト内の酸の拡散が促進され、従来の非化学増幅型レジストと比較して、非常に高い感度を出すことができる。
そして、今日、半導体素子製造において必要とされるデザインルールはいっそう狭まり、レジスト材料には、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を用いて、130nm以下のレジストパターンを形成できる解像性が求められている。
この微細化に対応するため、ArFエキシマレーザーを用いた、微細なレジストパターンを形成できるレジスト材料の開発が精力的に進められている。
これまで、化学増幅型レジストのベース樹脂成分としては、KrFエキシマレーザー(248nm)に対する透明性が高いポリヒドロキシスチレンや、その水酸基を酸解離性の溶解抑制基で保護したもの(以下、ヒドロキシスチレン系樹脂ということがある。)が用いられてきた。
しかしながら、ヒドロキシスチレン系樹脂のようなベンゼン環を有する樹脂は、193nm付近における透明性が不充分である。そのため、該樹脂をベース樹脂成分とする化学増幅型レジストは、解像性が低いなどの欠点がある。
これに対し、ベンゼン環を有さず、193nm付近における透明性に優れ、かつ耐ドライエッチング性に優れるレジスト材料として、エステル部にアダマンタン骨格のような多環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂をベース樹脂に用いるレジスト組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜8参照。)。
このような化学増幅型のホトレジスト組成物の基材樹脂成分であるポリマーは、複数種の(メタ)アクリル酸エステルモノマーをラジカル重合によって得ている。
しかしながら、ラジカル重合で得られるポリマーの分子量分布は1.5を超えており、分子量制御ができない、また収率が低いという問題がある。
他方、ポリマーの分子量分布が1.5のポリマーを用いたレジストが提案されている(特許文献9参照。)。
特許第2881969号公報 特開平5−346668号公報 特開平7−234511号公報 特開平9−73173号公報 特開平9−90637号公報 特開平10−161313号公報 特開平10−319595号公報 特開平11−12326号公報 特開2003−84436号公報
しかしながら、従来のレジスト組成物の中には、要求される微細な寸法のレジストパターンを実現する上で重要となるレジスト溶剤への溶解性や、露光量の変化によるパターンサイズの変動抑制等が充分ではないものがある。
なお、「露光量の変化によるパターンサイズの変動」は、通常、「ELマージン(露光量マージン)」で表される。
そして、従来のレジスト組成物では、これらの問題の解決が不充分であり、その改善が望まれている。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、レジスト溶剤への溶解性が良好で、かつ露光量が変化した際のパターンサイズの変動を小さく抑えることができるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
第1の態様は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記(A)成分が、カルボキシ基および/または水酸基を含有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)、酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)、ラクトン環を有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(b1)、および下記一般式(1)で表されるポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(c1)を有する共重合体であることを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
Figure 0004713235
(式中、Rは低級アルキル基または水素原子であり、R11、R12はそれぞれ独立して低級アルキル基であり、nは1〜5の整数であり、Aは2〜6価の有機基である。)
また、第2の態様は、前記第1の発明のポジ型レジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法である。
なお、本明細書において、「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル」とは、メタクリル酸エステル等のα−低級アルキルアクリル酸エステルと、アクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
ここで、「α−低級アルキルアクリル酸エステル」とは、アクリル酸エステルのα炭素原子に結合した水素原子が低級アルキル基で置換されたものを意味する。
また、「構成単位」とは、重合体を構成するモノマー単位を意味する。
また、「(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
なお、本特許請求の範囲および明細書における「(α−低級アルキル)アクリル酸」、「(α−低級アルキル)アクリル酸エステル」中の「低級アルキル基」とは、特に断りがない限り、好ましくは炭素数1〜5の直鎖または分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、工業的にはメチル基が好ましい。
本発明により、レジスト溶剤への溶解性が良好で、かつ露光量が変化した際のパターンサイズの変動を小さく抑えることができるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポジ型レジスト組成物]
本発明のポジ型レジスト組成物は、(A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、前記第1の態様の様に、ある特定の(A)成分を用いるものである。
ここで、前記(A)成分は、酸解離性溶解抑制基を有し、(B)成分から発生した酸の作用により該酸解離性溶解抑制基が解離して、アルカリ可溶性が増大する樹脂成分である。
さらに詳しくは、露光により(B)成分から発生した酸が、(A)成分に作用すると、(A)成分中の酸解離性溶解抑制基が解離し、これによってポジ型レジスト全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、マスクパターンを介してポジ型レジストの露光を行うと、または露光に加えてPEBを行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
<(A)成分>
前記第1の態様において、(A)成分は、少なくとも下記4つの構成単位を含むことを特徴とする共重合体である。
構成単位(a0):カルボキシ基および/または水酸基を含有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位。
構成単位(a1):酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位。
構成単位(b1):ラクトン環を有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位。
構成単位(c1):前記一般式(1)で表されるポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位。
ここで、モノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルにおける「モノ」とは、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル残基を一つ有することを意味する。
ポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルにおける「ポリ」とは、前記一般式(1)から明らかな様に、(α−低級アルキル)アクリル酸エステル残基を二つ以上有することを意味する。
そして、(A)成分においては、モノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、ポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のいずれもが、エチレン性二重結合の開裂によって隣接する他の構成単位と結合して重合体を構成している。
以下、順次、上記各構成単位について詳述する。
構成単位(a0)
構成単位(a0)は、カルボキシ基および/または水酸基を含有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
中でも、水酸基を含有することが好ましく、アルコール性水酸基を含有することがより好ましい。
カルボキシ基および/または水酸基の数は、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。
また、構成単位(a0)は、−C(O)−O−の末端にカルボキシ基および/または水酸基を含有する有機基を有することが好ましい。
さらに、構成単位(a0)は、カルボキシ基および/または水酸基を含有する脂肪族炭化水素基を含むことが好ましい。
該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基、好ましくはアルキレン基、または多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)等が好ましく挙げられる。
なお、ここでいう「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を包含する。
該多環式基としては、例えば化学増幅型レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。その中でも、カルボキシ基、水酸基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含み、かつ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。
具体的には、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が、工業上好ましい。
構成単位(a0)は、脂肪族炭化水素基が、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基のときは、(α−低級アルキル)アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、脂肪族炭化水素基が、多環式基のときは、下記式(a3−1)、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0004713235
[式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、jは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数を表す。]
式(a3−1)中、jは、1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが1の場合、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。なお、jが2の場合、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。
これらは、(α−低級アルキル)アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。
フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5または6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a0)の割合は、前記(A)成分を構成する全構成単位中、1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましく、1〜20モル%が特に好ましく、3〜18モル%が最も好ましい。構成単位(a0)の割合を該範囲とすることによりレジスト溶剤への溶解性が向上するとともに、露光量の変化によるパターンサイズの変動抑制効果に優れる。
構成単位(a1)
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位であり、アーム部のポリマーを構成すると好ましい。
酸解離性溶解抑制基は、例えば従来公知のものを利用することができ、特に限定されるものではない。
構成単位(a1)としては、例えば単環または多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位、鎖状酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のいずれでもよい。
一般的には、(α−低級アルキル)アクリル酸の側鎖のカルボキシル基と、鎖状または環状の第3級アルキルエステルを形成するものが広く知られており、鎖状、単環または多環の脂環式炭化水素基、特に好ましくは多環の脂環式炭化水素基を含むものが好ましい。
該炭化水素基は、飽和であることが好ましい。
中でも、単環または多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
前記単環の脂環式炭化水素基としては、シクロアルカン等から1個の水素原子を除いた基等を例示できる。具体的には、シクロヘキサン、シクロペンタン等から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
前記多環の脂環式炭化水素基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等から1個の水素原子を除いた基等を例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。これらの中でも、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましい。
そして、本発明においては、構成単位(a1)が、構造の異なる2種以上の単位を有することが好ましい。これらを同時に含んでいると、分散度1.5以下に制御することが容易となり、また、特に後述するスターポリマー合成の上でより好ましいからである。
本発明においては、構成単位(a1)が、単環または多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−1)を含み、さらに、鎖状酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−2)を含むことが好ましい。
構成単位(a1)を誘導する酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル(モノマー)としては、例えば次のものが挙げられる。
すなわち、例えば構成単位(a1−2)を誘導するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル(モノマー)としては、tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−アミル(メタ)アクリレート、tert−ブチルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、tert−アミルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルオキシカルボニルエチル(メタ)アクリレート、tert−アミルオキシカルボニルエチル(メタ)アクリレートなどのような鎖状酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの中でも、tert−ブチル(α−低級アルキル)アクリレートが特に好ましい。
また、構成単位(a1−1)を誘導するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル(モノマー)としては、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレートや、次の[化3]、[化4]および[化5]のような単環または多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含む(α−低級アルキル)アクリル酸エステル(モノマー)が挙げられる。
Figure 0004713235
Figure 0004713235
Figure 0004713235
これらの中でも、構成単位(a1−1)としては、次の(I)〜(IV)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、Rは低級アルキル基である。)
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して低級アルキル基である。)
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、Rは第3級アルキル基である。)
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、R15は炭素数1〜4のアルキル基であり、gは1〜3の整数である。)
式中、Rにおいて、低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜5の直鎖または分岐状アルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。中でも、工業的にはメチル基が好ましい。
前記Rとしては、炭素数1〜5の低級の直鎖または分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。その中でも、メチル基、エチル基であることが、工業的に入手が容易であることから好ましい。
前記RおよびRは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1〜5の直鎖または分岐の低級アルキル基であると好ましい。中でも、R、Rが共にメチル基である場合が工業的に好ましく、具体的には、2−(1−アダマンチル)−2−プロピル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位を挙げることができる。
前記Rは、tert−ブチル基やtert−アミル基のような第3級アルキル基であり、tert−ブチル基である場合が工業的に好ましい。
また、基−COORは、式中に示したテトラシクロドデカニル基の3または4の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。また、(α−低級アルキル)アクリレート構成単位のカルボキシル基残基も同様に、式中に示した8または9の位置に結合していてよいが、結合位置は特定できない。
前記R15は、炭素数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基またはエチル基であり、最も好ましくはエチル基である。
gは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、最も好ましくは2である。
構成単位(a1)の割合は、前記(A)成分を構成する全構成単位中、20〜70モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%が特に好ましく、25〜50モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによって良好な微細パターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
また、構成単位(a1−1)のより好ましいものとしては、上記一般式(II)または(IV)で表される構成単位である。
構成単位(a1−2)のより好ましいものとしては、鎖状酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル、特に脂肪族第三級アルキル(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
また、前記一般式(II)で表される構成単位を用いると、特に窒素含有層を有する基板用として好適である。
窒素含有層を有する基板を使用すると、窒素含有層と接触したレジストパターンにおいて、特に裾引き現象が生じやすく、これにより解像性等のリソグラフィー特性が劣化しやすい。しかしながら、前記一般式(II)で表される構成単位を用いることにより、感度、解像性、倒れマージン、PEBマージン等を向上させつつ、裾引き現象等の窒素含有層を用いた基板特有の現象を低減できるからである。
窒素含有層とは、通常、使用目的に応じて基板の上に絶縁層、金属層等として設けられるものであって、窒素を含むものである。
絶縁層としては、窒化ケイ素(SiN)、四窒化三ケイ素(Si)、酸窒化ケイ素(SiON)等が挙げられる。金属層としては、窒化チタン(TiN)等が挙げられる。
窒素含有層は、例えばシリコン基板等の基板の上に蒸着等によって形成されたものである。この様な窒素含有層を有する基板は、例えば「含窒素基板」等と呼ばれている。
また、前記一般式(II)で表される構成単位を用いると、LWRの低減効果が良好である。特に窒素含有層を有する基板上でパターンを形成しても、LWRの低減効果が良好である。
なお、「LWR」とは、ラインパターンの線幅が不均一になるラインワイズラフネス(Line Width Roughness)のことである。
構成単位(a1)における前記構成単位(a1−1)と前記構成単位(a1−2)との割合について、該構成単位(a1)全体を100モル%としたとき、前記構成単位(a1−1)は、50〜99.9モル%が好ましく、60〜95モル%がより好ましく、70〜95モル%が特に好ましく、75〜90モル%が最も好ましい。
前記構成単位(a1−2)は、0.1〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、10〜25モル%が最も好ましい。
該範囲であると、倒れマージン、PEBマージンが向上するため好ましい。また、スターポリマーのレジスト溶媒に対する溶解性が向上するため、好ましい。
構成単位(b1)
構成単位(b1)は、ラクトン環を有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位であり、アーム部のポリマーを構成することが好ましい。
構成単位(b1)としては、(α−低級アルキル)アクリル酸エステルのエステル側鎖部にラクトン環からなる単環式基またはラクトン環を有する多環の脂環式基が結合した構成単位が挙げられる。
なお、このときラクトン環とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ここでは、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
そして、構成単位(b1)としては、具体的には、例えばγ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた単環式基や、ラクトン環含有ポリシクロアルカンから水素原子1つを除いた多環式基等が挙げられる。
このような構成単位(b1)を誘導するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル(モノマー)としては、次の[化10]、[化11]、[化12]および[化13]などで表されるものが挙げられる。
Figure 0004713235
Figure 0004713235
Figure 0004713235
Figure 0004713235
これらの中でも、例えば、以下の構造式(V)または(VI)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基、好ましくはメチル基である。)
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基、好ましくはメチル基である。)
構成単位(b1)の割合は、前記(A)成分を構成する全構成単位中、10〜60モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、20〜50モル%が特に好ましく、25〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより微細なパターンのパターン倒れ等のリソグラフィー特性の向上が得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(c1)
構成単位(c1)は、前記一般式(1)で表されるポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位であり、コア部のポリマーを構成することが好ましい。R11、R12が炭素原子に結合し、第三級アルキル基となるため、酸解離性基として作用する。
前記一般式(1)中、Rは、水素原子または低級アルキル基を表す。
11およびR12は、それぞれ独立に、低級アルキル基である。
Aは、2〜6価の有機基を表す。すなわち、Aが2価である場合は、nが1であり、Aには、2つの(α−低級アルキル)アクリレート残基が結合している構造をとる。Aが3価である場合は、nは2であり、Aには3つの(α−低級アルキル)アクリルレート残基が結合している構造をとる。この様にAの価数が大きくなるほど、Aに結合する基の数が多くなり、より密な放射状の構造をとる。
R、R11、R12において、それぞれ低級アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられ、好ましいものとしてはメチル基である。
また、Aにおいて、前記有機基としては、アルキレン基、アリーレン基などの飽和もしくは不飽和の芳香族または脂肪族炭化水素基(これらはエーテル基、ポリエーテル基、エステル基[−C(O)−O−]等のカルボニル基[−C(O)−]のような、酸素原子を含んでいてもよい。)、窒素などの異原子を有していてもよい飽和もしくは不飽和の芳香族または脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
具体的には、例えば下記式に示す構造を例示することができる。
なお、(A)成分が、2以上の式(1)で表される部分構造を有する場合、これらは相互に同一であっても、また、相異なっていてもよい。
Figure 0004713235
Figure 0004713235
Figure 0004713235
Aにおいて、これらの有機基の中では、炭素数2〜5のアルキレン基、フェニレン基、炭素数3〜6のポリエーテル基が好ましい。
構成単位(c1)を誘導する化合物(モノマー)としては、Aが2価または3価のものが好ましく、特に、以下に示す化合物を好ましいものとして具体的に例示することができる。
Figure 0004713235
構成単位(c1)の割合は、前記(A)成分を構成する全構成単位中、1〜30モル%が好ましく、3〜25モル%がより好ましく、5〜25モル%が特に好ましく、8〜20モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより微細なパターンのパターン倒れ、PEBマージン等のリソグラフィー特性の向上が得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
その他の構成単位
(A)成分は、前記構成単位(a0)、(a1)、(b1)および(c1)以外の構成単位を含んでいてもよいが、好適にはこれらの構成単位の合計が、全構成単位中50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましく、100モル%が最も好ましい。
構成単位(a0)、(a1)、(b1)および(c1)以外の他の構成単位(d1)(以下、構成単位(d1)という。)としては、次のような(メタ)アクリル酸エステルから誘導される単位が挙げられる。
すなわち、構成単位(d1)を誘導するモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−エトキシプロピルアクリレート、5−エトキシペンチルアクリレート、1−メトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−メトキシプロピルアクリレート、1−メチル−1−メトキシエチルアクリレート、1−(イソプロポキシ)エチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、4−メトキシブチルメタクリレート、5−メトキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−エトキシプロピルメタクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、1−メトキシプロピルメタクリレート、1−メチル−1−メトキシエチルメタクリレート、1−(イソプロポキシ)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、
クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸アミル、クロトン酸シクロヘキシル、クロトン酸エチルヘキシル、クロトン酸オクチル、クロトン酸−t−オクチル、クロルエチルクロトネート、2−エトキシエチルクロトネート、2,2−ジメチル−3−エトキシプロピルクロトネート、5−エトキシペンチルクロトネート、1−メトキシエチルクロトネート、1−エトキシエチルクロトネート、1−メトキシプロピルクロトネート、1−メチル−1−メトキシエチルクロトネート、1−(イソプロポキシ)エチルクロトネート、ベンジルクロトネート、メトキシベンジルクロトネート、フルフリルクロトネート、テトラヒドロフルフリルクロトネート等のクロトン酸エステル類、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジアミル、イタコン酸ジシクロヘキシル、イタコン酸ビス(エチルヘキシル)、イタコン酸ジオクチル、イタコン酸−ジ−t−オクチル、ビス(クロルエチル)イタコネート、ビス(2−エトキシエチル)イタコネート、ビス(2,2−ジメチル−3−エトキシプロピル)イタコネート、ビス(5−エトキシペンチル)イタコネート、ビス(1−メトキシエチル)イタコネート、ビス(1−エトキシエチル)イタコネート、ビス(1−メトキシプロピル)イタコネート、ビス(1−メチル−1−メトキシエチル)イタコネート、ビス(1−(イソプロポキシ)エチル)イタコネート、ジベンジルイタコネート、ビス(メトキシベンジル)イタコネート、ジフルフリルイタコネート、ジテトラヒドロフルフリルイタコネート等のイタコン酸エステル類等を挙げることができる。
本第1の態様における(A)成分の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレン標準で、好ましくは10,000〜50,000、より好ましくは15,000〜40,000、特に好ましくは20,000〜38,000、最も好ましくは20,000〜35,000である。
分散度、すなわち質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、1.01〜3.00が好ましく、1.01〜2.00がより好ましく、1.01〜1.50が特に好ましく、1.10〜1.35が最も好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ところで、本発明において、(A)成分は、構成単位(a0)、構成単位(a1)、構成単位(b1)および構成単位(c1)を含む共重合体であれば、その形態を特に限定するものではないが、中でも(A)成分はスターポリマーであることが好ましい。
広義のスターポリマーは、『L.Kilian,et.al.,J.Polymer Science,Part A,2003,3083.』において公知である。
スターポリマーは、コア部と、該コア部に結合するアーム部とからなる。
すなわち、スターポリマーは、コア部と、該コア部から放射状に伸びる複数のアーム部(ポリマー鎖)とを有するものである。
(A)成分をスターポリマーとする場合、コア部はポリマーであってもよく、ポリマーでなくてもよいが、ポリマーであることが好ましい。
ここで、「ポリマー」とは、好ましくは前記一般式(1)で表される構成単位(c1)を誘導するモノマーにおけるエチレン性二重結合の一つ以上が開裂してポリマーを形成しているものである。
そして、コア部に、酸解離性溶解抑制基を含む構成単位、好ましくは構成単位(c1)が含まれていることが好ましい。あるいは、構成単位(c1)からなるコア部であってもよい。好ましくは構成単位(c1)からなるコア部である。
かかるスターポリマーの好ましい態様としては、コア部に構成単位(c1)を含み、アーム部に構成単位(a0)と構成単位(a1)と構成単位(b1)と、必要に応じて構成単位(d1)を含むものである。
アーム部のポリマーは、構成単位(a0)、構成単位(a1)および構成単位(b1)、必要に応じて構成単位(d1)が、それぞれ異なるアーム部に含まれていてもよく、同一のアーム部に含まれていてもよい。好ましくは、構成単位(a0)と構成単位(a1)と構成単位(b1)とを全て含むランダムポリマーからなる複数のアーム部がコア部に結合したものがよい。中でも、特にコントラストの向上やディフェクトを低減できるので、構成単位(a1)が末端となるアームポリマーが好ましい。
本発明に係るスターポリマーの複数のアーム部を構成する全構成単位中、各繰り返し単位の比率は、反応に用いる単量体の比率で任意に選択することができる。
例えば、構成単位(a0)の含有量は、アーム部全繰り返し単位中、通常1〜30モル%が好ましく、1〜25モル%がより好ましく、3〜25モル%が特に好ましく、5〜20モル%が最も好ましい。
構成単位(a1)の含有量は、アーム部全繰り返し単位中、通常20〜70モル%が好ましく、20〜65モル%がより好ましく、30〜60モル%が特に好ましく、35〜60モル%が最も好ましい。
構成単位(b1)の含有量は、アーム部全繰り返し単位中、通常10〜60モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜60モル%が特に好ましく、30〜55モル%が最も好ましい。
(A)成分として好ましいスターポリマーの質量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、上記と同様の範囲であることが好ましい。
また、アーム部の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレン標準で、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは1,500〜50,000、特に好ましくは2,000〜20,000、最も好ましくは2,500〜10,000である。
分散度(Mw/Mn)は、1.01〜3.00が好ましく、1.01〜2.00がより好ましく、1.01〜1.50が特に好ましく、1.10〜1.35が最も好ましい。
(A)成分の製造方法としては、アニオン重合が好ましい。より好ましくは、リビングアニオン重合によるスターポリマーの合成法である。
具体的には、
(1)アニオン重合開始剤の存在下、構成単位(a0)、構成単位(a1)および構成単位(b1)に相当するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルをアニオン重合してアームポリマーを合成し、次に、構成単位(c1)を含むポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを反応させる方法、
(2)アニオン重合開始剤の存在下、構成単位(c1)を含むポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを反応させて、多官能性コアを形成した後、構成単位(a0)、構成単位(a1)および構成単位(b1)に相当するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルをアニオン重合させる方法、
(3)アニオン重合開始剤の存在下、構成単位(a0)、構成単位(a1)および構成単位(b1)に相当するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルをアニオン重合してアームポリマーを合成し、次に、多官能性カップリング剤を反応させ、さらに、構成単位(c1)を誘導するモノマーを含むアニオン重合可能なモノマーを反応させる方法
等を例示することができる。
アーム部は、構成単位(a0)、構成単位(a1)および構成単位(b1)と、必要に応じて用いられる構成単位(d1)を用いて構成されるが、これら構成単位を全て含むランダムポリマーが好ましく、中でも、特にコントラストの向上やディフェクトを低減できるので、構成単位(a1)が末端となるポリマーがより好ましい。
中でも上記(1)、(3)の方法が、反応の制御が容易であり、構造を制御したスターポリマーを製造する上で好ましい。
上記アニオン重合法に用いられるアニオン重合開始剤としては、アルカリ金属または有機アルカリ金属を例示することができる。
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を例示することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げることができる。
上記(1)または(3)の方法におけるアームポリマーを合成する重合反応としては、モノマー(混合)溶液中にアニオン重合開始剤を滴下する方法や、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー(混合)液を滴下する方法のいずれの方法でも行うことができるが、分子量および分子量分布を制御することができることから、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー(混合)液を滴下する方法が好ましい。
このアームポリマーの合成反応は、通常、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において−100〜50℃、好ましくは−100〜40℃の範囲の温度下で行われる。
上記アームポリマーの合成反応に用いられる有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等のアニオン重合において通常使用される有機溶媒を挙げることができる。
これらは、一種単独溶媒または二種以上の混合溶媒として使用することができる。
これらのうち、極性および溶解性の観点から、テトラヒドロフランとトルエン、テトラヒドロフランとヘキサン、テトラヒドロフランとメチルシクロヘキサンの混合溶媒を好ましく例示することができる。
アームポリマーの重合形態としては、各成分が共重合体鎖全体に統計的に分布しているランダム共重合体、部分ブロック共重合体、完全ブロック共重合体を挙げることができ、これらは、用いるモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル類の添加方法を選択することによりそれぞれ合成することができる。
このようにして得られたアームポリマーを分岐ポリマー鎖としてスターポリマーを生成せしめる反応は、アームポリマー合成反応終了後、反応液中に、さらに前述のポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを添加することにより行うことができる。
この反応は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、有機溶媒中において−100℃〜50℃、好ましくは−70℃〜40℃の温度で重合反応を行うことにより構造が制御され、かつ分子量分布の狭い重合体を得ることができる。
また、かかるスターポリマーの生成反応は、アームポリマーを形成させるのに用いた溶媒中で連続して行うこともできる他、溶媒を添加して組成を変更して、または溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。かかる溶媒としては、アームポリマーの合成反応に用いられる溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
かかるスターポリマーの製造方法において、ポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル(P)と、アニオン重合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、構成単位(a0)、構成単位(a1)および構成単位(b1)に相当するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを重合させたポリマー鎖の活性末端(D)のモル比[(P)/(D)]を0.1〜10とするのが好ましい。
アームポリマー鎖とポリアクリレートとの反応は、活性末端を有するアームポリマー鎖にポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを添加する方法、ポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルに活性末端を有するアームポリマー鎖を添加する方法のいずれの方法も採用することができる。
スターポリマーのアーム数は、ポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルの添加量と反応温度、反応時間により決定されるが、通常はリビングポリマー末端とポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステル等のビニル基との反応性差や立体障害等の影響を受けてアーム数の異なる複数の星型ブロックコポリマーが同時に生成する。
予め調整されたアームポリマー鎖とポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを反応させることにより形成される活性末端を有する中心核(多官能性コア)に対して、アニオン重合可能なモノマーを反応させて新たなアームポリマー鎖を形成させる(3)の方法では、異なる種類のアームポリマー鎖を有するスターポリマーを製造することができる。
中心核に存在する活性末端に対して、直接重合可能なモノマーを反応させることもできるが、ジフェニルエチレン、スチルベン等の化合物を反応させた後、また、塩化リチウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の鉱酸塩を添加した後、モノマーを反応させた方が、アクリル酸誘導体のように反応性の高いモノマーを反応させる場合、ゆっくりと重合反応を進行させることができ、生成するスターポリマーの全体の構造を制御する上で有利となる場合がある。
また、上記反応は、活性末端を有する中心核を形成させるのに用いた溶媒中で連続して行うこともできる他、溶媒を添加して組成を変更して、または溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。かかる溶媒としては、アームポリマーの合成に用いた溶媒と同様の溶媒を例示することができる。
また、上記(3)の方法における中心核に存在する活性末端に対して新たに導入されたアームポリマー鎖、または上記(2)の方法におけるアームポリマー鎖として、2種のモノマーを混合して反応させることにより、ランダム共重合したポリマー鎖とすることも、また、2種のモノマーを順次添加することでブロックポリマー鎖とすることも可能である。また、反応終了後、二酸化炭素、エポキシ等を添加することにより、末端に官能基を導入することも可能である。
また、上記のように、カルボキシ基および/または水酸基を有する有機基を含有する下記一般式(VII)
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、Rはカルボキシ基および/または水酸基を含有する有機基を表す。)
で表されるモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルをそのままの状態で共重合させることにより、カルボキシ基および/または水酸基を有する有機基を含有するアクリル酸系共重合体(スターポリマー)を製造することも可能であるが、アニオン重合をスムーズに進行させることができる点から、アニオン重合において、前記一般式(VII)で表されるモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルにおけるカルボキシ基および/または水酸基を保護基で保護して共重合を行った後、脱保護を行うことにより、アクリル酸系共重合体を製造することが好ましい。
具体的には、例えば、カルボキシ基および/または水酸基を有する有機基を含有する前記一般式(VII)で表されるモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルを溶媒に溶解後、アセタール等の保護基を形成可能な化合物を加えて、水酸基の保護を行い、下記一般式(VII−1)
Figure 0004713235
[式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、Rは−OR8aおよび/または−COOR8a(R8aは保護基を表す。)を含有する有機基を表す。]
で表されるモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を有する共重合体を製造した後、下記一般式(VIII)
Figure 0004713235
(式中、Rは水素原子または低級アルキル基を表し、Rはカルボキシ基および水酸基を含有しない有機基を表す。)
で表されるモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルと共重合を行う。
次いで、酸を加えることにより、脱保護を行い、カルボキシ基および/または水酸基を有する有機基を含有するアクリル酸系共重合体(スターポリマー)を製造する。
<(B)成分>
本発明において、(B)成分は、従来の化学増幅型レジスト組成物において使用されている公知のいわゆる酸発生剤から特に限定せずに用いることができる。
このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ジアゾメタンニトロベンジルスルホネート類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロンメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネートなどが挙げられる。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。これらの中で、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリルが好ましい。
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
Figure 0004713235
(B)成分としては、1種の酸発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部で用いられる。下限値以上とすることによりパターン形成が充分に行われ、上限値以下とすることにより均一な溶液が得られ、良好な保存安定性が得られる。
<その他の成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよいが、アミン、特に第2級低級脂肪族アミンや第3級低級脂肪族アミンが好ましい。
ここで、低級脂肪族アミンとは、炭素数5以下のアルキルまたはアルキルアルコールのアミンをいい、この第2級や第3級アミンの例としては、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられるが、特にトリエタノールアミンのような第3級アルカノールアミンが好ましい。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部で用いられる。
また、前記(D)成分との配合による感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸もしくはその誘導体(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。なお、(D)成分と(E)成分は併用することもできるし、いずれか1種を用いることもできる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸もしくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸またはそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ‐n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸およびそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸およびそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で、特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤に溶解させて製造することができる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上、適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒が好ましいが、その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよく、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEAおよびELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が、好ましくは70:30〜95:5である。
有機溶剤の使用量は、特に限定しないが、基板等の支持体に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的には、レジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内である。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを適宜、添加含有させることができる。
[レジストパターン形成方法]
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず、シリコンウェーハのような支持体上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光(放射線を照射)した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。
このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、支持体(基板)とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。
基板としては、例えばシリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウムなどの金属製の基板や、ガラス基板などが挙げられる。
配線パターンの材料としては、例えば銅、ハンダ、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが使用可能である。
露光(放射線の照射)に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。特に、本発明にかかるレジスト組成物は、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
すなわち、本発明のポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法は、半導体素子、液晶表示素子などの電子素子の製造用に適している。そして、特に200nm以下の波長、中でもArFエキシマレーザーを用いるプロセス用として好適である。
本発明においては、好ましくはアニオン重合法により得られる分子量分布が狭い樹脂、すなわちスターポリマーを用いる。
本発明においては、レジスト溶剤への溶解性が良好で、かつ露光量が変化した際のパターンサイズの変動を小さく抑えたレジストパターンが形成できる。
かかる効果が得られる理由として、定かではないが、(A)成分の構造内にカルボキシ基および/または水酸基を含有する構成単位(a0)を含むことにより、本発明の効果が得られるものと推測される。
レジスト組成物は、(B)成分や任意成分である(D)成分等の極性を有する成分を含有する。そのため、これら成分の溶解性を高めるために、レジスト溶剤としては乳酸セチル等のような極性溶剤を含むレジスト溶剤が用いられている。
本発明では、カルボキシ基および/または水酸基を含有する構成単位(a0)を導入することにより、(A)成分の極性が高まり、レジスト溶剤への溶解性が向上するものと推測される。
さらに本発明では、ELマージン(露光量マージン)が大きくなり、露光量の変動に伴うパターンサイズの変動を抑えたレジストパターンが形成できる。
また、本発明においては、高感度、高解像性であり、倒れマージン、PEBマージンに優れるレジストパターンが形成できる。
また、他の効果として、ディフェクト、特にブリッジモードのディフェクトの少ないレジストパターンが形成できる。
また、本発明においてはスターポリマーを用いることが好ましく、特に構成単位(c1)がコア部を構成することが好ましい。これにより、密に凝集したスターポリマー共重合体が得られ、これによりレジスト溶剤に対する溶解性が高まり、低粘度となりレジスト塗布性にも優れる。また、該コア部が酸解離性であることから、露光部と未露光部のコントラストが向上する。
また、前記スターポリマーは、分子量分布が狭く、高収率で得られることから、安価なレジスト組成物が提供可能である。
また、該スターポリマーにおいて、各モノマー単位の配置を制御可能であり、レジスト特性の向上が達成できる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。
合成例1(水酸基の保護)
窒素雰囲気下において、1−ヒドロキシ−3−メタクロイルオキシアダマンタン(HAMA)23.6g(0.1モル)をテトラヒドロフラン(THF)100mlに溶解後、ビニルエチルエーテル21.6g(0.3モル)と塩酸0.1ml(1ミリモル)を加え、室温で3日間撹拌した。
次いで、NaCO水溶液を加え、中和後分液し、上層をpH=7になるまで水洗した。その後、MgSO4を加えて脱水し、濾過した後、濃縮乾固することによって1−(1’−エトキシエトキシ)−3−メタクロイルオキシアダマンタン(EEAM)を得た。
収量は、30g(収率99%)だった。
合成例2(樹脂1の合成)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム8ミリモルを含むTHF360gを−40℃に保持し、撹拌下、sec−ブチルリチウム(SBL)14ミリモルを加えて、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン(IAMA)33ミリモルを含むTHF溶液25gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと略す。)にて、IAMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、IAMA45ミリモルと、(±)−オクタヒドロ−3−オキソ−4,7−メタノイソベンゾフラン−5−イルメタクリレートとその位置異性体である(±)−オクタヒドロ−1−オキソ−4,7−メタノイソベンゾフラン−5−イルメタクリレートの混合物(TLMA)89ミリモルと、合成例1で得たEEAM11ミリモルと、tert−ブチルメタクリレート(tBMA)20ミリモルとを含むTHF溶液78gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次いで、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール ジメタクリレート(MDMA)25ミリモルを含むTHF溶液14gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー54gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=28500、Mw/Mn=1.25、面積=55%であった。アームポリマー部分で、Mw=3700、Mw/Mn=1.22、面積=45%であった。
次に、得られたポリマー54gをTHFに溶解して30質量%溶液とし、3質量%塩酸水溶液2gを加えて、室温で1時間反応を行った後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー53gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=28300、Mw/Mn=1.25、面積=55%であった。アームポリマー部分で、Mw=3600、Mw/Mn=1.22、面積=45%であった。
13C−NMRにより、93ppm付近のエトキシエトキシ基に由来するシグナルが消失したことから、脱エトキシエトキシ化反応が完結していることを確認した。
また、13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。
求めたポリマー組成比から、反応およびその後の脱離反応は目標通り行われ、IAMA−HAMA−TLMA−tBMA−MDMAスターポリマー(樹脂1)が生成したことを確認した。このとき、得られた結果を表1に示す。
合成例3(樹脂2の合成)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム10ミリモルを含むTHF310gを−40℃に保持し、撹拌下、SBL19ミリモルを加えて、IAMA27ミリモルを含むTHF溶液20gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、IAMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、IAMA30ミリモルと、TLMA76ミリモルと、合成例1で得たEEAM19ミリモルと、tBMA7ミリモルとを含むTHF溶液65gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次いで、MDMA29ミリモルを含むTHF溶液16gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー47gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=29000、Mw/Mn=1.34、面積=57%であった。アームポリマー部分で、Mw=2900、Mw/Mn=1.22、面積=43%であった。
次に、得られたポリマー47gをTHFに溶解して30質量%溶液とし、3質量%塩酸水溶液2gを加えて、室温で1時間反応を行った後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー46gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=29300、Mw/Mn=1.33、面積=58%であったアームポリマー部分で、Mw=2800、Mw/Mn=1.21、面積=42%であった。
13C−NMRにより、93ppm付近のエトキシエトキシ基に由来するシグナルが消失したことから、脱エトキシエトキシ化反応が完結していることを確認した。
また、13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。
求めたポリマー組成比から、反応およびその後の脱離反応は目標通り行われ、IAMA−HAMA−TLMA−tBMA−MDMAスターポリマー(樹脂2)が生成したことを確認した。このとき、得られた結果を表1に示す。
合成例4(樹脂3の合成)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム10ミリモルを含むTHF320gを−40℃に保持し、撹拌下、SBL19ミリモルを加えて、IAMA27ミリモルを含むTHF溶液20gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、IAMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、IAMA30ミリモルと、TLMA67ミリモルと、合成例1で得たEEAM28ミリモルと、tBMA7ミリモルとを含むTHF溶液67gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次いで、MDMA29ミリモルを含むTHF溶液16gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー48gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=26000、Mw/Mn=1.30、面積=58%であった。アームポリマー部分で、Mw=2900、Mw/Mn=1.22、面積=42%であった。
次に、得られたポリマー48gをTHFに溶解して30質量%溶液とし、3質量%塩酸水溶液2gを加えて、室温で1時間反応を行った後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー46gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=25900、Mw/Mn=1.29、面積=58%であった。アームポリマー部分で、Mw=2800、Mw/Mn=1.22、面積=42%であった。
13C−NMRにより、93ppm付近のエトキシエトキシ基に由来するシグナルが消失したことから、脱エトキシエトキシ化反応が完結していることを確認した。
また、13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。
求めたポリマー組成比から、反応およびその後の脱離反応は目標通り行われ、IAMA−HAMA−TLMA−tBMA−MDMAスターポリマー(樹脂3)が生成したことを確認した。このとき、得られた結果を表1に示す。
合成例5(樹脂4の合成)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム7ミリモルを含むTHF310gを−40℃に保持し、撹拌下、SBL14ミリモルを加えて、1−エチル−1−シクロへキシルメタクリレート(ECHMA)31ミリモルを含むTHF溶液12gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、ECHMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、ECHMA42ミリモルと、TLMA84ミリモルと、合成例1で得たEEAM10ミリモルと、tBMA19ミリモルとを含むTHF溶液68gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次いで、MDMA23ミリモルを含むTHF溶液13gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー46gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=23000、Mw/Mn=1.24、面積=61%であった。アームポリマー部分で、Mw=3500、Mw/Mn=1.22、面積=39%であった。
次に、得られたポリマー46gをTHFに溶解して30質量%溶液とし、3質量%塩酸水溶液2gを加えて、室温で1時間反応を行った後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー45gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=22700、Mw/Mn=1.23、面積=61%であった。アームポリマー部分で、Mw=3400、Mw/Mn=1.22、面積=39%であった。
13C−NMRにより、93ppm付近のエトキシエトキシ基に由来するシグナルが消失したことから、脱エトキシエトキシ化反応が完結していることを確認した。
また、13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。
求めたポリマー組成比から、反応およびその後の脱離反応は目標通り行われ、ECHMA−HAMA−TLMA−tBMA−MDMAスターポリマー(樹脂4)が生成したことを確認した。このとき、得られた結果を表1に示す。
合成例6(樹脂5の合成)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム8ミリモルを含むTHF320gを−40℃に保持し、撹拌下、SBL15ミリモルを加えて、ECHMA33ミリモルを含むTHF溶液13gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、ECHMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、ECHMA44ミリモルと、TLMA88ミリモルと、合成例1で得たEEAM22ミリモルと、tBMA9ミリモルとを含むTHF溶液75gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次いで、MDMA24ミリモルを含むTHF溶液14gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー50gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=24700、Mw/Mn=1.24、面積=58%であった。アームポリマー部分で、Mw=3300、Mw/Mn=1.20、面積=42%であった。
次に、得られたポリマー50gをTHFに溶解して30質量%溶液とし、3質量%塩酸水溶液2gを加えて、室温で1時間反応を行った後、反応液を多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、減圧乾燥して白色粉末状スターポリマー48gを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=24200、Mw/Mn=1.24、面積=58%であった。アームポリマー部分で、Mw=3300、Mw/Mn=1.20、面積=42%であった。
13C−NMRにより、93ppm付近のエトキシエトキシ基に由来するシグナルが消失したことから、脱エトキシエトキシ化反応が完結していることを確認した。
また、13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。
求めたポリマー組成比から、反応およびその後の脱離反応は目標通り行われ、ECHMA−HAMA−TLMA−tBMA−MDMAスターポリマー(樹脂5)が生成したことを確認した。このとき、得られた結果を表1に示す。
合成例7(樹脂6の合成−比較例)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム7ミリモルを含むTHF315gを−40℃に保持し、撹拌下、SBL15ミリモルを加えて、1−(1−メタクリロイルオキシ−1−メチルエチル)アダマンタン(IAMA)32ミリモルを含むTHF溶液9gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応液を少量取り出し、GCにて、IAMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、IAMA53ミリモルと、TLMA85ミリモルと、tBMA19ミリモルを含むTHF74gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、MDMA24ミリモルを含むTHF溶液13gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量の水に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、乾燥して白色粉末状ポリマーを得た。
得られたポリマーをTHFに再溶解後、多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、10時間減圧乾燥して最外殻にIAMAユニットを配置した白色粉末状スターポリマーを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=30000、Mw/Mn=1.27、面積=52%であった。アーム部分で、Mw=3400、Mw/Mn=1.21、面積=48%であった。
13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。この結果を表1に示す。
合成例8(樹脂7の合成−比較例)
窒素雰囲気下において、塩化リチウム7ミリモルを含むTHF315gを−40℃に保持し、撹拌下、SBL14ミリモルを加えて、1−エチル−1−シクロヘキシルメタクリレート(ECHMA)22ミリモルを含むTHF溶液9gを滴下し、30分反応を継続した。
その後、反応系から反応液を少量取り出し、GCにて、ECHMA単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、ECHMA66ミリモルと、TLMA88ミリモルと、tBMA19ミリモルを含むTHF72gを滴下し、30分反応を継続した。その後、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、上記の単量体が完全に消費したことを確認した。
次に、MDMA22ミリモルを含むTHF溶液12gを滴下し、更に30分反応を継続して、反応系から反応溶液を少量取り出し、GCにて、MDMA単量体が完全に消費したことを確認した後、塩酸を含むTHF溶液により反応を停止させた。
その後、反応停止液を多量の水に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、乾燥して白色粉末状ポリマーを得た。
得られたポリマーをTHFに再溶解後、多量のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、ろ過、洗浄後、10時間減圧乾燥して最外殻にECHMAユニットを配置した白色粉末状スターポリマーを得た。
得られたポリマーのGPC分析を行ったところ、スターポリマー部分で、Mw=24100、Mw/Mn=1.22、面積=64%であった。アーム部分で、Mw=3600、Mw/Mn=1.19、面積=36%であった。
13C−NMR測定から、このポリマー組成比を求めた。この結果を表1に示す。
Figure 0004713235
表1中、a〜eは、それぞれ下記式中の( )の右下にa〜eが付された構成単位を示し、その下に記載された数値は、(A)成分を構成する全構成単位の合計量に対する当該構成単位の割合(モル比)を示す。なお、「−」は当該構成単位が含まれていないことを意味する。
Figure 0004713235
樹脂1〜5のスターポリマーにおいて、コア部はすべてe単位である。
また、アーム部は、樹脂1〜3においてはa、b、c、d単位であり、樹脂4〜5においてはa’、b、c、d単位である。
樹脂1〜3においては、アーム部の末端がa単位であり、樹脂4〜5においては、アーム部の末端がa’単位である。
実施例1〜5,比較例1〜2
次の表2に示す各成分を混合、溶解して、ポジ型レジスト組成物溶液を得た。
Figure 0004713235
表2中、[ ]内の数値は配合量(質量部)を示す。
(B)−1:トリ(tert−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
(B)−2:ジフェニルモノメチルフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
(D)−1:トリエタノールアミン
(S)−1:PGMEA/EL=8/2(質量比)の混合溶剤
得られたポジ型レジスト組成物溶液を用いて、レジスト溶剤への溶解性、ELマージンの評価を以下に示す方法により行った。このとき、得られた結果を表3に示す。
試験方法
(リソグラフィー条件)
有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
次に、該有機系反射防止膜が形成された基板と、SiON層が形成された基板において、表2に示したポジ型レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いてそれぞれの基板上に塗布し、ホットプレート上で、表3に示すPAB温度で90秒間プレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚250nmのレジスト層を形成した。
次いで、該レジスト層に対して、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリー)を介して選択的に照射した。
そして、表3に示すPEB温度で90秒間の露光後過熱(PEB)を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間パドル現像し、その後30秒間水洗して乾燥して、さらに100℃−60秒の条件でポストベークを行い、レジストパターンを形成した。その結果、120nmのラインアンドスペース(以下、L/Sという。)が形成された。
(レジスト溶剤への溶解性)
20質量%の樹脂溶液(PGMEA溶液)0.1gに対して、ELを1ml滴下した。その際のレジスト溶剤への溶解性を下記基準にて評価した。結果を表3に示した。
○:析出物がなかったことから、レジスト溶剤への溶解性が良好であった。
×:析出物が発生したことから、レジスト溶剤への溶解性は悪かった。
(ELマージン)
有機反射防止膜上およびSiON基板上にそれぞれ形成した120nmL/Sパターンについて、パターンサイズ120nm±10%の範囲で得られる露光量の範囲において、露光量1mJ当たりのパターンサイズの変化量(単位:nm/mJ)をそれぞれ測定し、このときのELマージン(露光量マージン)(単位:%)を算出した。
なお、ELマージンが大きいほど、露光量の変動に伴うパターンサイズの変化量が小さいことを示す。
Figure 0004713235
表3の結果より、本発明は、レジスト溶剤への溶解性が良好で、かつ露光量が変化した際のパターンサイズの変動を小さく抑えることができることが確認された。
尚、レジスト溶剤への溶解性評価において、比較例1と実施例1〜3との比較から、構成単位(a0)を用いることでレジスト溶剤への溶解性が向上することが確認された。
また、比較例2の溶解性評価は、析出物の発生がなかったことから○となっているが、比較例1及び実施例1〜3より構成単位(a0)を用いることでレジスト溶剤への溶解性が向上していることから、比較例2と実施例4〜5を比べてレジスト溶剤への溶解性が向上していることは明らかである。また、ELマージン評価において、比較例2は実施例4〜5に比べてELマージンが小さく、本発明の目的は達成されなかった。

Claims (10)

  1. (A)酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂成分、および(B)放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分を含有するポジ型レジスト組成物であって、
    前記(A)成分が、カルボキシ基および/または水酸基を含有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a0)、酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)、ラクトン環を有するモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(b1)、および下記一般式(1)で表されるポリ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(c1)を有する共重合体であることを特徴とするポジ型レジスト組成物。
    Figure 0004713235
    (式中、Rは低級アルキル基または水素原子であり、R11、R12はそれぞれ独立して低級アルキル基であり、nは1〜5の整数であり、Aは2〜6価の有機基である。)
  2. 前記構成単位(a0)は、水酸基を含有する請求項1に記載のポジ型レジスト組成物。
  3. 前記構成単位(a0)は、アルコール性水酸基を含有する請求項2に記載のポジ型レジスト組成物。
  4. 前記(A)成分を構成する全構成単位中、前記構成単位(a0)の割合が1〜30モル%である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  5. 前記構成単位(a1)は、単環または多環式基含有酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−1)を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  6. 前記構成単位(a1−1)は、下記一般式(II)または(IV)で表される構成単位を含む請求項5に記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 0004713235
    (式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して低級アルキル基である。)
    Figure 0004713235
    (式中、Rは水素原子または低級アルキル基であり、R15は炭素数1〜4のアルキル基であり、gは1〜3の整数である。)
  7. 前記構成単位(a1)は、さらに鎖状酸解離性溶解抑制基を含むモノ(α−低級アルキル)アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1−2)を含む請求項5または6に記載のポジ型レジスト組成物。
  8. 前記(A)成分を構成する全構成単位中、前記構成単位(a1)の割合は20〜70モル%、前記構成単位(b1)の割合は10〜60モル%、および前記構成単位(c1)の割合は1〜30モル%である請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
  9. 前記構成単位(a1)は、該構成単位(a1)全体を100モル%としたとき、前記構成単位(a1−1)を50〜99.9モル%、前記構成単位(a1−2)を0.1〜50モル%を含んでいる請求項7または8に記載のポジ型レジスト組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を支持体上に塗布し、プレべークし、選択的に露光した後、PEB(露光後加熱)を施し、アルカリ現像してレジストパターンを形成することを特徴とするレジストパターン形成方法。
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