JP2010250278A - ポジ型レジスト組成物、レジストパターン形成方法 - Google Patents

ポジ型レジスト組成物、レジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポジ型レジスト組成物、及び該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、ベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf)が100℃以上であり、且つ、前記ポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、全面露光を行い、次いでベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf’)が、前記Tfよりも18℃以上低い。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、水銀輝線のg線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)の電子線、EUV(極紫外線)やX線などについて検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えばポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかる、レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている(たとえば特許文献1参照)。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
また、現在、化学増幅型レジスト用のベース樹脂としては、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を含有するものが用いられている。たとえばポジ型の場合には、通常、酸発生剤から発生した酸の作用により解離する酸解離性溶解抑制基を有する構成単位を含み、さらに、水酸基等の極性基を有する構成単位、ラクトン構造を有する構成単位等を含むものが用いられている。これらのうち、ラクトン構造を有する構成単位は、一般的に、レジスト膜の基板に対する密着性向上、アルカリ現像液との親和性等を向上させ、リソグラフィー特性の向上に寄与すると考えられている。
また、近年、酸の作用により解裂するベース樹脂を用い、露光前後において分子量変化を引き起こすことにより、レジストパターンの微細化を図る検討がなされているが、分子量変化を十分に大きくすることはできていない(たとえば特許文献2〜4参照)。
また、酸の作用により解裂した際の分子量変化が大きいポリマーであっても、レジスト材料に必要な耐熱性を有しているとはかぎらない(たとえば特許文献5〜6参照)。
特開2003−241385号公報 特開2006−349939号公報 特開2008−009269号公報 特開2008−250157号公報 特開平5−86334号公報 特開2005−290214号公報
今後、リソグラフィー技術のさらなる進歩、応用分野の拡大等が予想されるなか、リソグラフィー用途に使用できる新規な材料に対する要求がある。たとえばパターンの微細化が進むにつれ、レジスト材料にも解像性、LER(ラインエッジラフネス)等の種々のリソグラフィー特性の向上が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、リソグラフィー特性に優れたポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記ポジ型レジスト組成物は、前記ポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、ベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf)が100℃以上であり、且つ、前記ポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、全面露光を行い、次いでベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf’)が、前記Tfよりも18℃以上低いことを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である
本明細書および本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。該α位の炭素原子に結合する置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレン、およびヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の置換基に置換されたもの、並びに、それらの誘導体を含む概念とする。なお、ヒドロキシスチレンのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことである。
「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。スチレンは、フェニル基の水素原子が炭素数1〜5のアルキル基等の置換基で置換されていてもよい。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明によれば、リソグラフィー特性に優れたポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供できる。
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明のポジ型レジスト組成物(以下、単にレジスト組成物ということがある。)は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下、(A)成分という。)、および放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の、露光部のアルカリ現像液に対する可溶性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
ここで、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
上記(A)、(B)成分について、詳しくは後述する。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、支持体上にレジスト膜を形成し、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、ベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf)が100℃以上であり、且つ、前記ポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、全面露光を行い、次いでベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf’)が、前記Tfよりも18℃以上低くなる必要がある。
以下、前記Tfについて、「露光前レジスト軟化点」ということがある。
前記Tf’について、「露光後レジスト軟化点」ということがある。
Tf−Tf’の差について、「レジスト軟化点ギャップ」ということがある。
[TfとTf’の測定および、レジスト軟化点ギャップについて]
TfとTf’は具体的には以下のようにして測定し、レジスト軟化点ギャップを求める。
(1)孤立ホールパターンの形成
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物を塗布し、160〜250℃、60〜90秒間の範囲で適宜ベークして乾燥させることにより、膜厚65nmの有機系反射防止膜を形成する。そして、該反射防止膜上に、ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、80〜120℃の温度で、60〜90秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成する。
次いで、前記レジスト膜に対し、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射する。なお、露光光源については、各レジスト組成物に対し同一であれば、基材成分に応じて適宜変更することは可能である。
そして、80〜120℃の温度で60〜90秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液(例えばNMD−3(商品名、東京応化工業株式会社製)等)で60秒間の条件でアルカリ現像することにより、前記レジスト膜に、直径170nm、ピッチ1200nmの孤立ホールパターンを形成する。
(2)露光前レジスト軟化点Tfの測定
各孤立ホールパターンに対し、ポストベーク処理なし(23℃)、80℃、90℃、95℃〜160℃(5℃間隔、計14点)で各温度に対し60秒間ずつ、ポストベークをおこない、処理なし(23℃)の寸法に対する、各温度におけるホール直径の寸法変化を記録し、処理なし(23℃)の寸法に対して10%減少し始めた温度がTfである。なお、ポストベーク処理温度範囲は材料に応じて適宜調整し得る。
(3)露光後レジスト軟化点Tf’の測定
上記(2)のポストベーク処理なしの各孤立ホールパターンに対し、再度、KrFエキシマレーザー(248nm)を照射(全面露光)する。なお、露光量は各レジスト組成物において上記(1)における170nm孤立ホールパターンを得られる最適露光量と同一とする。そして、80〜120℃の温度で60〜90秒間のPEB処理を行い、その後、上記(2)と同様にして、ポストベーク処理なし(23℃)、80℃、90℃、95℃〜160℃(5℃間隔、計14点)で各温度に対し60秒間ずつ、ポストベークをおこない、処理なし(23℃)の寸法に対する、各温度におけるホール直径の寸法変化を記録し、処理なし(23℃)の寸法に対して10%減少し始めた温度がTf’となる。
(4)レジスト軟化点ギャップの計算
得られたTfおよびTf’の差(Tf−Tf’)が、レジスト軟化点ギャップである。
露光前レジスト軟化点(Tf)は、100℃以上であり、好ましくは100〜180℃、より好ましくは105〜160℃であり、さらに好ましくは115〜160℃である。上記範囲とすることで、良好なリソグラフィー特性を得ることができる。
レジスト軟化点ギャップは、18℃以上低くなることが必要であり、20℃以上低いことが好ましい。このマイナス分の差が大きいほど、特にEUVや電子線(EB)のプロセスにおいて、解像性やレジストパターン形状が良好になると考えられる。上限値を定めるとすれば、たとえば、20〜100℃の範囲で低くなることが好ましい。
露光後レジスト軟化点(Tf’)は、たとえば30〜130℃の範囲であることが好ましく、70〜120℃の範囲であるとより好ましい。
露光前レジスト軟化点(Tf)およびレジスト軟化点ギャップは、ポジ型レジスト組成物に使用する各成分の種類や配合量により調整することが可能である。中でも、基材成分((A)成分)により、調整することが好ましい。
<(A)成分>
(A)成分としては、通常、ポジ型レジスト用の基材成分として用いられている有機化合物を1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
かかる(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する高分子化合物成分(A1)(以下、「(A1)成分」ということがある。)であってもよく、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する低分子化合物成分(A2)(以下、「(A2)成分」ということがある。)であってもよく、または、これらの混合物であってもよい。
[(A1)成分]
(A1)成分としては、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられている高分子化合物成分(ベース樹脂)を1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
本発明において、(A1)成分としては、特に、2価以上の炭化水素基または複素環からなるコア部と、該コア部に結合し、且つ、下記一般式(1)で表される少なくとも1つのアーム部とを有する高分子化合物成分(A11)(以下、「(A11)成分」ということがある。)、又は、分子量500以上、20000以下のポリマーからなるコア部と、該コア部に結合し、且つ、下記一般式(1)で表される少なくとも1つのアーム部とを有する高分子化合物(A12)(以下、「(A12)成分」ということがある。)であることが好ましい。
また、(A1)成分が(A11)成分である場合、(A11)成分は、前記コア部を2つ以上有し、且つ、該コア部が、互いに、原子、または2価の連結基からなる連結部を介して結合していることが好ましい。
Figure 2010250278
[Xは酸解離性基を有する2価の連結基であり、Yはポリマー鎖である]
[(A11)成分]
《コア部》
本発明の(A11)成分において、コア部は、2価以上の炭化水素基または複素環からなるものである。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、炭素原子のみの場合であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
該脂肪族炭化水素基としては、鎖状であってもよく、環状であってもよく、これらの組合せであってもよい。また、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。
芳香族炭化水素基としては、芳香族炭化水素環を有する炭化水素基が挙げられ、たとえば芳香族炭化水素環からなるものであってもよく、芳香族炭化水素環と前記脂肪族炭化水素基との組合せであってもよい。
該炭化水素基における炭素原子数は1〜20が好ましい。
前記炭化水素基としては、たとえば、下記式で表される構造の基が挙げられる。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
前記複素環は、環骨格中にヘテロ原子を含む脂肪族複素環であってもよく、環骨格中にヘテロ原子を含む芳香族複素環であってもよく、環骨格中にヘテロ原子を含む芳香族複素環であることが好ましい。
該複素環は、単環であっても、多環であってもよい。
該へテロ原子とは、炭素原子以外の原子であり、たとえば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子等が挙げられる。
該複素環における炭素原子数は1〜20が好ましい。
前記複素環としては、たとえば、下記式で表される構造の基が挙げられる。式中、結合部位は任意の炭素原子とする。
Figure 2010250278
(A11)成分は、コア部を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよく、2つ以上有していることが好ましい。
(A11)成分が複数のコア部を有する場合、該複数のコア部は互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、本発明の効果が特に良好なことから、互いに同一であることが好ましい。
(A11)成分が複数のコア部を有する場合、該複数のコア部は、互いに連結部を介して結合していることが好ましい。
《連結部》
前記連結部としては、原子、または2価の連結基であることが好ましい。
前記連結部の原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子等が挙げられ、炭素原子または酸素原子が好ましい。
前記連結部の2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
前記連結部の2価の連結基が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基となる場合、少なくとも一方のコア部が複素環からなるものであることが好ましく、両方とも複素環からなるコア部であることがより好ましい。
該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]、ヘプタメチレン基[−(CH−]、オクタメチレン基[−(CH−]、ノナメチレン基[−(CH−]、デカメチレン基[−(CH10−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04(R04はアルキル基)−、−NH−C(=O)−、=N−等が挙げられる。また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
該2価の連結基は、その構造中に酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。「酸解離性部位」とは、当該有機基内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。該2価の連結基が酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
本発明において、該2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基が特に好ましい。
該2価の連結基がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
該2価の連結基が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
該2価の連結基がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−A−O−B−で表される基、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基等が挙げられる。ここで、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、mは0〜3の整数である。
該2価の連結基が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]−B−において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
AおよびBにおける置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記でRにおける「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基において、mは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
また、本発明における該2価の連結基は、2価の重合体であってもよい。2つのコア間の該重合体の平均重合度は50以下が望ましく、さらに20以下が望ましい。
《アーム部》
本発明の(A11)成分において、アーム部は、前記コア部に結合し、且つ、上記一般式(1)で表されるものである。
〔Y:ポリマー鎖〕
式(1)中、Yはポリマー鎖(以下、「ポリマー鎖Y」という。)である。
ポリマー鎖Yとしては、該(A11)成分中の複数のアーム部において互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、本発明の効果が特に良好なことから、互いに同一であることが好ましい。
ポリマー鎖Yは、ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位(以下、構成単位(a5)という。)を含むことが好ましい。
また、ポリマー鎖Yは、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部、またはビニル安息香酸から誘導される構成単位の−C(=O)OHの水素原子が置換基により保護された構成単位(以下、構成単位(a7)という。)を含むことが好ましい。
ポリマー鎖Yは、さらに、スチレンから誘導される構成単位(以下、構成単位(a6)という。)を含んでいてもよく、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位等のその他の構成単位(後述する構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a4)等)を含んでいてもよい。
(構成単位(a5))
構成単位(a5)は、ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位である。
ポリマー鎖Yが当該構成単位(a5)を有することにより、ドライエッチング耐性が向上する。さらに、構成単位(a5)は、原料であるヒドロキシスチレンが容易に入手可能で低価格である等の利点も有する。
構成単位(a5)の好適なものとしては、下記一般式(a5−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2010250278
[式(a5−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;pは1〜3の整数であり、qは0〜4の整数である。ただし、p+qは1以上5以下である。]
前記一般式(a5−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。
の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)で置換された基であり、なかでも炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、特に、水素原子の全部がフッ素原子で置換された基が好ましい。炭素数1〜5のフッ素化アルキル基として具体的には、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
としては、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、1であることが好ましい。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜4の整数であり、0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
の炭素数1〜5のアルキル基としては、Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
qが2の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
ただし、1≦p+q≦5である。
構成単位(a5)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a5)の割合は、ポリマー鎖Yを構成する全構成単位の合計に対し、50〜90モル%であることが好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜90モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上とすることによって、適度なアルカリ溶解性が得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(構成単位(a6))
構成単位(a6)は、スチレンから誘導される構成単位である。
本発明において構成単位(a6)は必須ではないが、これを含有させると、アルカリ現像液に対する溶解性を調整することができる。また、ドライエッチング耐性が向上するため、好ましい。
構成単位(a6)のなかで好適なものとしては、下記一般式(a6−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 2010250278
[式(a6−1)中、Rは前記と同じであり;Rはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;rは0〜3の整数である。]
前記一般式(a6−1)中、Rは、上記式(a5−1)におけるRと同じである。
は、上記式(a5−1)におけるRと同様のものが挙げられる。
rは0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
rが1である場合、Rの置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。
rが2又は3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a6)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー鎖Yが構成単位(a6)を有する場合、ポリマー鎖Yにおける構成単位(a6)の割合は、ポリマー鎖Yを構成する全構成単位の合計に対し、1〜20モル%が好ましく、3〜15モル%がより好ましく、5〜15モル%がさらに好ましい。前記範囲の下限値以上であると、構成単位(a6)を有することによる効果が高く、前記範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
(構成単位(a7))
構成単位(a7)は、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部、またはビニル安息香酸から誘導される構成単位の−C(=O)OHの水素原子が置換基により保護された構成単位である。
構成単位(a7)において、前記置換基としては、たとえば、第3級アルキル基含有基、アルコキシアルキル基、酸解離性溶解抑制基、酸解離性溶解抑制基を含む有機基が挙げられる。
・第3級アルキル基含有基について
本明細書において「第3級アルキル基」は、第3級炭素原子を有するアルキル基を示す。「アルキル基」は、上述のように、1価の飽和炭化水素基を示し、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)のアルキル基および環状構造を有するアルキル基を包含する。
「第3級アルキル基含有基」は、その構造中に第3級アルキル基を含む基を示す。第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基のみから構成されていてもよく、第3級アルキル基と、第3級アルキル基以外の他の原子または基とから構成されていてもよい。
第3級アルキル基とともに第3級アルキル基含有基を構成する前記「第3級アルキル基以外の他の原子または基」としては、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレン基、酸素原子等が挙げられる。
構成単位(a7)において、第3級アルキル基含有基としては、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基、環状構造を有する第3級アルキル基含有基等が挙げられる。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基として分岐鎖状の第3級アルキル基を含有し、かつ、その構造内に環状構造を有さない基である。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば下記一般式(I)で表される基が挙げられる。
Figure 2010250278
式(I)中、R21〜R23は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。該アルキル基の炭素数は1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、一般式(I)で表される基の全炭素数は、4〜7であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、4〜5であることが最も好ましい。
一般式(I)で表される基としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等が好ましく挙げられ、tert−ブチル基がより好ましい。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、上述した分岐鎖状の第3級アルキル基;上述した分岐鎖状の第3級アルキル基が直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基に結合してなる第3級アルキル基含有鎖状アルキル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニル基;第3級アルキル基として上述した分岐鎖状の第3級アルキル基を有する第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
第3級アルキル基含有鎖状アルキル基におけるアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、たとえば下記一般式(II)で表される基が挙げられる。式(II)中のR21〜R23は、前記式(I)中のR21〜R23と同様である。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)、tert−ペンチルオキシカルボニル基が好ましい。
Figure 2010250278
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、たとえば下記一般式(III)で表される基が挙げられる。式(III)中のR21〜R23は、前記式(I)中のR21〜R23と同様である。fは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基が好ましい。
これらの中で、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、第3級アルキルオキシカルボニル基または第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基が好ましく、第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)が最も好ましい。
Figure 2010250278
環状構造を有する第3級アルキル基含有基は、その構造内に、第3級炭素原子と環状構造とを有する基である。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基において、環状構造は、環を構成する炭素数が4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜10であることが最も好ましい。環状構造としては、例えばモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。好ましくは、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基としては、例えば、第3級アルキル基として下記(1)または(2)の基を有する基等が挙げられる。
(1)環状のアルキル基(シクロアルキル基)の環を構成する炭素原子に、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合し、該炭素原子が第3級炭素原子となっている基。
(2)シクロアルキル基の環を構成する炭素原子に、第3級炭素原子を有するアルキレン基(分岐鎖状のアルキレン基)が結合している基。
前記(1)の基における直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることが最も好ましい。
(1)の基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロアルキル基、1−エチル−1−シクロアルキル基等が挙げられる。
すなわち、一般式で表すと、前記(1)に係る環状構造を有する第3級アルキル基含有基としては、下記式(p0)で表されるものが好ましく、下記式(p0−1)で表されるものがより好ましく、下記式(p0−1−1)で表されるものがさらに好ましい。
Figure 2010250278
[式中、Yは単結合、または前述した複数のコア部を連結する連結部の2価の連結基と同様の2価の連結基であり、R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは当該Rが結合している炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基である。]
としては、上記脂肪族環式基と同様のものが挙げられ、好ましくは多環式の脂肪族環式基である。
Figure 2010250278
[式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは当該Rが結合している炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基である。]
Figure 2010250278
[式中、R13は水素原子またはメチル基であり、R14は炭素数1〜5のアルキル基である。]
前記(2)において、分岐鎖状のアルキレン基が結合しているシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
(2)の基としては、たとえば下記化学式(IV)で表される基が挙げられる。
Figure 2010250278
式(IV)中、R24は、置換基を有していてもよく有していなくてもよいシクロアルキル基である。該シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
25、R26は、それぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。
該アルキル基としては、前記式(I)中のR21〜R23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
・アルコキシアルキル基について
構成単位(a7)において、アルコキシアルキル基としては、たとえば下記一般式(V)で表される基が挙げられる。
Figure 2010250278
式(V)中、R51は、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。
51が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
51が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。たとえば、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
52は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。該アルキレン基は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、炭素数1〜2であることがさらに好ましい。
上記のなかでも、アルコキシアルキル基としては、特に、下記一般式(VI)で表される基が好ましい。
Figure 2010250278
式(VI)中、R51は前記と同じであり、R53、R54はそれぞれ独立して直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、または水素原子である。
53、R54において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特に、R53、R54の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
・酸解離性溶解抑制基について
構成単位(a7)において、酸解離性溶解抑制基としては、特に限定されず、たとえばKrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。具体的には、下記酸解離性溶解抑制基(VII)に例示するもの等が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基(VII)としては、下記一般式(VII−a)で表される基、下記一般式(VII−b)で表される基が挙げられる。
Figure 2010250278
[式(VII−a)中、R27は直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表し;Xは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5のアルキル基を表し;nは0〜3の整数を表す。式(VII−b)中、Xは前記式(VII−a)におけるXと同じであり;Rは水素原子若しくは炭素数1〜5のアルキル基を表し、又は、XおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよく;Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し;nは0〜3の整数を表す。]
前記一般式(VII−a)中、R27は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。
該アルキレン基は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、炭素数1〜2であることがさらに好ましい。
前記式(VII−a)および(VII−b)中、nは0〜3の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
前記式(VII−a)および(VII−b)中、Xは、それぞれ独立して、脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。
における脂肪族環式基は1価の脂肪族環式基である。脂肪族環式基は、たとえば、従来のArFレジストにおいて多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。脂肪族環式基の具体例としては、たとえば、炭素数5〜7の脂肪族単環式基、炭素数10〜16の脂肪族多環式基が挙げられる。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされず、該環構造中に酸素原子等を有していても良い。
炭素数5〜7の脂肪族単環式基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が例示でき、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
炭素数10〜16の脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデシル基が工業上好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
の芳香族環式炭化水素基としては、炭素数10〜16の芳香族多環式基が挙げられる。具体的には、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、1−ピレニル基等が挙げられ、2−ナフチル基が工業上特に好ましい。
の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記ヒドロキシスチレンのα位に結合していてよい炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基が最も好ましい。
前記式(VII−b)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Xの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。工業的にはメチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
は、炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を表す。Rの炭素数1〜5のアルキル基としては、Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。Rは、工業的には水素原子であることが好ましい。
特に、RおよびRのいずれか一方が水素原子であって、他方がメチル基であることが好ましい。
また、前記一般式(VII−b)においては、XおよびRが、それぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよい。
この場合、前記一般式(VII−b)においては、Rと、Xと、Xが結合した酸素原子と、該酸素原子およびRが結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。
該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基(VII)としては、レジストパターン形状等に優れることから、Rが水素原子であり、かつ、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
酸解離性溶解抑制基(VII)の具体例としては、たとえばXが炭素数1〜5のアルキル基である基、すなわち1−アルコキシアルキル基としては、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−iso−プロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、iso−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基等が挙げられる。
また、Xが脂肪族環式基である基としては、たとえば、下記式(11)〜(24)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010250278
・酸解離性溶解抑制基を含む有機基について
本明細書において、「酸解離性溶解抑制基を含む有機基」とは、酸解離性溶解抑制基と、酸で解離しない基又は原子(すなわち酸により解離せず、酸解離性溶解抑制基が解離した後も(A)成分に結合したままの基又は原子)とから構成される基を意味する。
酸解離性溶解抑制基を含む有機基としては、特に限定されず、たとえばKrFエキシマレーザー用、ArFエキシマレーザー用等のレジスト組成物用樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。具体的には、上記で挙げた酸解離性溶解抑制基を有する有機基が挙げられ、たとえば、酸解離性溶解抑制基(VII)を有する有機基として下記酸解離性溶解抑制基を有する有機基(VIII)が挙げられる。
酸解離性溶解抑制基を有する有機基(VIII)としては、下記一般式(VIII)で表される基が挙げられる。
かかる構造を有する有機基(VIII)においては、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸により、Qに結合した酸素原子と、RおよびRが結合した炭素原子との間の結合が切れて、−C(R)(R)−OXが解離する。
Figure 2010250278
[式(VIII)中、Xは脂肪族環式基、芳香族環式炭化水素基または炭素数1〜5のアルキル基を表し;Rは水素原子若しくは炭素数1〜5のアルキル基を表し、又は、XおよびRがそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であって、Xの末端とRの末端とが結合していてもよく;Rは炭素数1〜5のアルキル基または水素原子を表し;Qは2価の脂肪族環式基を表す。]
前記一般式(VIII)中、X、R、Rとしては、上記一般式(VII−b)中のX、R、Rとそれぞれ同じである。
Qにおける2価の脂肪族環式基としては、上記Xにおける脂肪族環式基からさらに水素原子1つを除いた基が挙げられる。
上記のなかでも、構成単位(a7)の水酸基における水素原子は、第3級アルキル基含有基で置換されることによって保護されていることが好ましく、前記一般式(II)または(p0)で表される基で置換されることによって保護されていることがより好ましい。
構成単位(a7)のなかで好適なものとしては、下記の一般式(a7−1)で表される構成単位、一般式(a7−2)で表される構成単位、一般式(a7−3)で表される構成単位、一般式(a7−4)で表される構成単位等が例示できる。
Figure 2010250278
[式(a7−1)〜(a7−5)中、Rは(a5−1)におけるRと同様であり、R11は(a5−1)におけるRと同様であり、qは(a5−1)におけるqと同様であり、R’は上記Rと同様であり、nは上記と同様であり、Wは上記Xと同様であり、mは1〜3である。R21、R22、R23はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である。Xは酸解離性溶解抑制基である。]
前記式(a7−1)〜(a7−5)中、「−O−CHR’−O−(CH−W」、「−O−C(O)−O−C(R21)(R22)(R23)」、「−O−C(O)−O−X」、「−O−(CH−C(O)−O−X」、および「−C(O)−O−X」のフェニル基との結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよく、本発明の効果が良好であることから、p−位が最も好ましい。
21〜R23は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、具体例としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基で例示したものと同様である。
は、上述の第3級アルキルエステル基含有基またはアルコキシアルキル基についての説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
mは、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。
上記のなかでも、構成単位(a7)としては、前記一般式(a7−1)、(a7−4)で表される構成単位が特に好ましい。
構成単位(a7)の好適な具体例を以下に挙げる。
Figure 2010250278
構成単位(a7)としては、上記のなかでも、本発明の効果が良好なことから、化学式(a7−1−1)〜(a7−1−8)から選択される少なくとも1種が好ましく、化学式(a7−1−1)〜(a7−1−2)、(a7−1−5)〜(a7−1−8)が最も好ましい。
構成単位(a7)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー鎖Yが構成単位(a7)を有する場合、ポリマー鎖Yにおける構成単位(a7)の割合は、ポリマー鎖Yを構成する全構成単位の合計に対し、1〜40モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることがより好ましく、10〜40モル%であることがさらに好ましい。前記範囲の下限値以上とすることにより、有機溶剤への溶解性が向上し、前記範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前はポリマー鎖Y全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこのポリマー鎖Y全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。また、これらのモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基、等が挙げられる。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
Figure 2010250278
[式中、R15、R16はそれぞれ独立してアルキル基(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、好ましくは炭素数1〜5である)を示す。]
上記R14のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
15〜R16のアルキル基としては、R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
上記式中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 2010250278
[式中、R’、n、Yは上記と同様である。]
の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記R’の炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
の脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり、R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特に、R17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。なかでもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19が、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基の具体例としては、たとえば、下記式(p3−1)〜(p3−12)で表される基等が挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、R13は水素原子またはメチル基であり、gは前記と同じである。]
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
Figure 2010250278
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、Xは酸解離性溶解抑制基を示す。]
Figure 2010250278
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、Xは酸解離性溶解抑制基を示し、Yは2価の連結基を示す。]
一般式(a1−0−1)において、Rは、前記式(a5−1)中のRと同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、前記複数のコア部の連結部の2価の連結基と同様のものが挙げられる。
としては、前記アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、特に、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエステル結合を含む基が特に好ましい。
中でも、前記−A−O−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基が好ましく、特に、−(CH−C(=O)−O−(CH−で表される基が好ましい。
xは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
yは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも、一般式(a1−1)、又は(a1−3)で表される構成単位が好ましく、具体的には(a1−1−1)〜(a1−1−4)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、(a1−1−26)および(a1−3−25)〜(a1−3−28)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−3)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるもの、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)および式(a1−1−20)〜(a1−1−23)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)で表されるもの、式(a1−3−25)〜(a1−3−26)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−01)で表されるもの、または式(a1−3−27)〜(a1−3−28)の構成単位を包括する下記一般式(a1−3−02)で表されるものも好ましい。
Figure 2010250278
[式中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し、R11は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R12は炭素数1〜5のアルキル基を示す。hは1〜6の整数を表す。]
一般式(a1−1−01)において、Rについては上記と同様である。R11の炭素数1〜5のアルキル基はRにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基が好ましい。
一般式(a1−1−02)において、Rについては上記と同様である。R12の炭素数1〜5のアルキル基はRにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基が最も好ましい。hは、特に好ましくは1又は2である。
Figure 2010250278
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数である。]
Figure 2010250278
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を示し;R14は炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数であり、n’は1〜6の整数である。]
前記一般式(a1−3−01)および(a1−3−02)において、Rについては上記と同様である。
13は、水素原子が好ましい。
14の炭素数1〜5のアルキル基は、Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
aは、1〜8の整数が好ましく、2〜5の整数が特に好ましく、2が最も好ましい。
かかる構成単位(a1)をポリマー鎖Yに含有させる場合、ポリマー鎖Yにおいて、構成単位(a1)の割合は、ポリマー鎖Yを構成する全構成単位に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜60モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(構成単位(a2))
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、ポリマー鎖Yをレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基盤への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりする上で有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり、R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり、A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
R’の炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
R”が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のYで説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記YのうちAにおける脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
ポリマー鎖Yにおいて、構成単位(a2)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
構成単位(a2)として、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
かかる構成単位(a2)をポリマー鎖Yに含有させる場合、ポリマー鎖Yにおける構成単位(a2)の割合は、当該ポリマー鎖Yを含有するポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板等の支持体への密着性、現像液との親和性等に優れることから、ポリマー鎖Yを構成する全構成単位に対し、1〜65モル%であることが好ましく、5〜60モル%がより好ましく、10〜55モル%がさらに好ましい。
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ポリマー鎖Yが構成単位(a3)を有することにより、ポリマー鎖Yの親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)や上述の芳香族炭化水素基が挙げられる。該環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位、フェノール基またはナフトール基を含有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、(a3−2)で表される構成単位、(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、Rは前記に同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
かかる構成単位(a3)をポリマー鎖Yに含有させる場合、ポリマー鎖Yにおける構成単位(a3)の割合は、当該ポリマー鎖Yを構成する全構成単位に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
(その他の構成単位)
ポリマー鎖Yは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a5)、(a6)、および(a7)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
当該他の構成単位としてはは、上述の構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a5)、(a6)、および(a7)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
例えば、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、構成単位(a4)という。)、ビニルナフタレン単量体から誘導される構成単位(より好ましくはビニルナフトール系の構成単位)などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
Figure 2010250278
[式中、Rは前記と同じである。]
かかる構成単位(a4)をポリマー鎖Yに含有させる場合、構成単位(a4)の割合は、ポリマー鎖Yを構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
本発明において、ポリマー鎖Yは、構成単位(a5)、および(a7)を有することが好ましく、さらに(a1)、(a2)、(a3)、(a6)を有していてもよい。
かかる共重合体としては、たとえば、
構成単位(a5)および(a7)からなる共重合体;
構成単位(a5)、(a6)、および(a7)からなる共重合体等が例示できる。
かかるポリマー鎖Yとしては、特に下記一般式(a−11)に示される2種の構成単位を含むものが好ましい。
Figure 2010250278
[式中、Rは前記と同じであり、式中の複数のRは同じであっても異なっていてもよい。]
式(a−11)中、Rは、上記と同様である。
(A11)成分のアーム部におけるポリマー鎖Yの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではないが、300〜50000が好ましく、500〜3000がより好ましく、500〜1500が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいと、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
〔X:2価の連結基〕
式(1)中、Xは酸解離性基を有する2価の連結基である。
Xの酸解離性基としては、第3級アルキル基含有基から1個以上の水素原子を除いた基、アルコキシアルキル基から1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
第3級アルキル基含有基から1個以上の水素原子を除いた基としては、上述した(a7)の第3級アルキル基含有基から、1個以上の水素原子を除いた基;上述した(a1)の第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基から、1個以上の水素原子を除いた基;が挙げられる。
より具体的には、
前記式(III)のR21〜R23のアルキル基から1個以上の水素原子を除いた基;
前記式(p0)または(p0−1)のRの脂肪族環式基から1個以上の水素原子を除いた基;
前記式(p0−1−1)のアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基
前記式(11)〜(24)の脂肪族環式基から1個以上の水素原子を除いた基;等が挙げられる。
アルコキシアルキル基から1個以上の水素原子を除いた基としては、上述した(a7)のアルコキシアルキル基から、1個以上の水素原子を除いた基;上述した(a1)のアセタール型酸解離性溶解抑制基から、1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。
より具体的には、
前記式(VII−a)のXから1個以上の水素原子を除いた基;
前記式(VII−b)のXから1個以上の水素原子を除いた基;
前記式(p3−3)〜(p3−12)の脂肪族環式基から1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
また、(A11)成分のアーム部におけるXの酸解離性基を有する2価の連結基としては、上述したような酸解離性基と、前記複数のコア部を連結する連結部の2価の連結基と同様の連結基とを組み合わせて用いることができる。
(A1)成分のMw/Mnは、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜2.00がさらに好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性がある。
(A1)成分のMnは、1000〜1000000が好ましく、1500〜500000がより好ましく、1500〜50000がさらに好ましく、2000〜20000が特に好ましい。該範囲であると、本発明の効果が向上する。
(A11)成分のMw/Mnは、1.01〜5.00が好ましく、1.01〜2.00がさらに好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性がある。
(A11)成分のMnは、1000〜1000000が好ましく、1500〜500000がより好ましく、1500〜50000がさらに好ましく、2000〜20000が特に好ましい。該範囲であると、本発明の効果が向上する。
(A1)成分において、(A11)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(A1)成分が(A11)成分を有する場合、該(A1)成分中の(A11)成分の割合は、(A1)成分の総質量に対し、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が10質量%以上であると、リソグラフィー特性等の本発明の効果が向上する。
[(A12)成分]
《コア部》
本発明の(A12)成分において、コア部は、分子量500以上、20000以下のポリマー(以下、「コアポリマーP」という。)からなる。
コアポリマーPに、少なくとも1つの上記一般式(1)で表される−(X)−Yが導入されたものが(A12)である。つまり、コアポリマーPは、(A12)成分から、上記一般式(1)で表される−(X)−Yを除いたものをいう。
コアポリマーPとしては特に限定されず、通常、化学増幅型レジスト用の基材成分として用いられているポリマーを挙げることができる。
コアポリマーPとしては、下記一般式(ap1)で表される構成単位(ap1)を有することが好ましい。
Figure 2010250278
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは2価の連結基であり、Zは、−OH、−COOH、又は上記式(1)の結合手である。]
(構成単位(ap1))
式(ap1)中、Rは前記同様であり、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(ap1)中、Rは2価の連結基であり、前記複数のコア部の連結部の2価の連結基と同様のものが挙げられる。
本発明において、Rの2価の連結基としては、2価の芳香族基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基であることが好ましく、2価の芳香族基、または2価の芳香族基と−C(=O)−O−との組合せ、−C(=O)−がより好ましく、2価の芳香族基(例えば、フェニル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基、ナフチル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基)が最も好ましい。
式(ap1)中、Zは−OH、−COOH、又は上記式(1)の結合手であり、−OH、又は上記式(1)の結合手であることが好ましい。
構成単位(ap1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
コアポリマーP中の構成単位(ap1)の割合は、コアポリマーPを構成する全構成単位に対し、5モル%以上100モル%以下であることが好ましい。
コアポリマーP中の構成単位(ap1)におけるZが上記式(1)の結合手である場合の割合については、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく25モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であってもよい。
コアポリマーPは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(ap1)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
他の構成単位としては、後述する(a1)〜(a4)、(a6)、(a7)等が挙げられる。(ただし(ap1)に該当するものを除く)
本発明の(A12)成分において、コアポリマーPとしては、構成単位(ap1)を有する重合体であることが好ましく、下記一般式(P1)または下記一般式(P2)であることがより好ましく、下記一般式(P11)または下記一般式(P21)であることが特に好ましい。
Figure 2010250278
[式中、R、Zは前記同様であり、R01は2価の芳香族基である。Xa1は前述の構成単位(a1)に記載する酸解離性溶解抑制基である。]
式(P1)および(P2)において、R01の2価の芳香族基としては、前記Rの芳香族基と同様であり、フェニル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基、ナフチル基から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基が特に好ましい。
式(P2)および(P21)において、Xa1として好ましくは、後述の式(p0)、(p0−1)、(p1)、(p1−1)、(p2)が挙げられる。
コアポリマーPの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、500〜20000であり、500〜10000が好ましく、500〜4000がより好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、コアポリマーPの分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.5がより好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
《アーム部》
本発明の(A12)成分において、アーム部は、前記コア部に結合し、且つ、上記一般式(1)で表されるものである。
(A12)成分のアーム部におけるXの、酸解離性基を有する2価の連結基としては、上述した(A11)成分のアーム部におけるXと同様のものが挙げられる。なかでも、アルコキシアルキル基から1個以上の水素原子を除いた基を有することが好ましい。
(A12)成分のアーム部におけるポリマー鎖Yとしては、上述した(A11)成分のアーム部におけるポリマー鎖Yと同様のものが挙げられる。ポリマー鎖Yは、(A12)成分中の複数のアーム部において互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、本発明の効果が特に良好なことから、互いに同一であることが好ましい。
(A12)成分のアーム部におけるポリマー鎖Yの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、100〜5000が好ましく、300〜3000がより好ましく、500〜2000がさらに好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、ポリマー鎖Yの分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.5がより好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
本発明において、高分子化合物(A12)としては、下記一般式(A12−1)で示される高分子化合物が好ましい。
Figure 2010250278
[式中、R、R01は前記同様であり、Zは−OH、−COOH、前記式(1)で表される基、又は、−OH若しくは−COOHにおける水素原子が酸解離性溶解抑制基で置換された基(但し、前記式(1)で表される基を除く)である。なお、高分子化合物(A12)中の複数のアーム部において、R、Zは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、1つ以上のZは、前記式(1)で表される基である。]
高分子化合物(A12)中の複数のアーム部において、Zが−OHと−COOHとの両方を有する場合、その一方のみの水素原子の一部又は全部が酸解離性溶解抑制基で置換されていてもよく、その両方の水素原子の一部又は全部が酸解離性溶解抑制基で置換されていてもよい。
上記式(A12−1)で示される高分子化合物として、より具体的には、下記一般式(A12−11)〜(A12−12)で示される構成単位を有する高分子化合物が好ましい。
Figure 2010250278
[式中、R、R53、R54、m、R14は前記と同じであり、uは0〜10の整数であり、Vは式中に示すとおりである。式中の複数のRは同じであっても異なっていてもよい。]
Figure 2010250278
[式中、R、R53、R54、m、R14は前記と同じであり、uは0〜10の整数であり、Vは式中に示すとおりである。式中の複数のRは同じであっても異なっていてもよい。]
式(A12−11)〜(A12−12)中、uは0〜10の整数であり、0〜5の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましい。
(A12)成分は、コア部に酸解離性溶解抑制基を有していてもよいし、アーム部におけるポリマー鎖Yに酸解離性溶解抑制基を有していても良い。好ましくは、アーム部におけるポリマー鎖Yに酸解離性溶解抑制基を有すること、またはコア部とアーム部におけるポリマー鎖Yとの両方に酸解離性溶解抑制基を有することである。(A12)成分における、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位の割合は、(A12)成分の全構成単位に対して5〜50モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましく、12〜40モル%がさらに好ましく、14〜35モル%が特に好ましい。該範囲の下限値以上とすることによって、ポジ型レジスト組成物とした際にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A12)成分は、コア部にOH含有基を有していてもよいし、アーム部におけるポリマー鎖YにOH含有基を有していても良い。好ましくは、アーム部におけるポリマー鎖YにOH含有基を有すること、またはコア部とアーム部におけるポリマー鎖Yとの両方にOH含有基を有することである。(A12)成分における、OH含有基を有する構成単位(上記(ap1)におけるZが−OH又は−COOHの場合;(a3)における極性基が−OHの場合;(a5))の割合は、(A12)成分の全構成単位に対して50〜90モル%であることが好ましく、55〜90モル%がより好ましく、60〜88モル%がさらに好ましい。該範囲の下限値以上とすることによって、適度なアルカリ溶解性が得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A12)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2500〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、(A12)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されるものではなく、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分において、(A12)成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
(A1)成分が(A12)成分を有する場合、該(A1)成分中の(A12)成分の割合は、(A1)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性等の効果が向上する。
上記(A11)成分及び(A12)成分以外の(A1)成分としては、上記コア部を有さないリニア型の高分子化合物成分(A13)(以下、「(A13)成分」ということがある。)が挙げられる。
(A13)成分は、酸解離性溶解抑制基を含む樹脂成分であって、たとえば上記ポリマー鎖Yで説明した、構成単位(a5)、(a7)、(a6)、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の群から選択される構成単位のいずれかを有する樹脂成分が挙げられ、構成単位(a5)及び(a7)からなる共重合体が好ましい。
(A1)成分が(A13)成分を有する場合、該(A1)成分中の(A13)成分の割合は、(A1)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性等の本発明の効果が向上する。
本発明において、(A1)成分は、(A11)成分又は(A12)成分を有することが好ましく、さらに(A13)成分を有していてもよい。
かかる(A1)成分としては、たとえば、
(A11)成分のみからなるもの;
(A12)成分のみからなるもの;
(A11)成分及び(A13)成分からなるもの;
(A12)成分及び(A13)成分からなるもの等が好ましいものとして例示できる。
(A)成分中、高分子化合物(A1)としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中における高分子化合物(A1)の割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
[(A2)成分]
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性溶解抑制基と、親水性基とを有する低分子化合物が好ましい。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部が上記酸解離性溶解抑制基で置換されたものが挙げられる。
(A2)成分は、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性溶解抑制基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
かかる低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、LWRに優れることから好ましい。
酸解離性溶解抑制基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(A)成分としては、(A1)成分を含有することが好ましく、(A11)成分又は(A12)成分を含有することがより好ましい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
((A12)成分の製造方法)
(A12)成分の製造方法としては、特に限定されるものではなく、たとえば、上記コアポリマーを提供する原料に、アニオン重合用カップリング剤として機能するようなポリマー(以下、ポリマー(P0)という。)を使用し、該ポリマー(P0)と、アーム部を提供するポリマー(以下、ポリマー(Y0)という。)とを反応させてポリマー(A12’)を合成し、該ポリマー(A12’)におけるフェノール性ヒドロキシ基等を保護する保護基の全部または一部を脱離させ、好ましくは酸解離性溶解抑制基などを導入して、(A12)成分を製造する方法が挙げられる。
かかる方法であれば、各反応の制御が容易であり、(A12)成分の構造がコントロールしやすいため、好ましい。
まず、ポリマー(P0)として具体的には、ポリマー(Y0)との反応が良好であり、(A12)成分を容易に製造できることから、下記一般式(P00)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2010250278
[式(P00)中、R、R01、Xはそれぞれ上記と同じであり;Xhはハロゲン原子又は下記一般式(6)で表されるエポキシ基を表す。]
Figure 2010250278
[式(6)中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
Xhは、ハロゲン原子又は前記一般式(6)で表されるエポキシ基を表す。該ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましく、臭素原子が最も好ましい。
前記一般式(6)中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(P00)で表される構成単位を有するポリマーの製造方法としては、特に限定されるものではなく、たとえば、ポリヒドロキシスチレンとクロロメチルハロゲン置換アルキルエーテルとの反応によって製造することができ、その後必要に応じてCl原子をBr化させたり、未置換のヒドロキシスチレンに対してエトキシエチル基を導入してもよい。
式(P00)で表される構成単位を有するものの中で、好ましくは(P0−1)〜(P0−3)で表されるポリマーが挙げられる。
Figure 2010250278
次に、ポリマー(Y0)としては、特に限定されないが、たとえば、アニオン重合開始剤の存在下、前記構成単位(a5)を提供するモノマー(ヒドロキシスチレン誘導体化合物)と、所望によりさらにアニオン重合可能なその他の構成単位を提供するモノマーとをアニオン重合反応して得られたポリマーが好ましい。
アニオン重合開始剤としては、アルカリ金属原子又は有機アルカリ金属化合物を例示することができる。
アルカリ金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができる。
有機アルカリ金属化合物としては、上記アルカリ金属原子のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を例示することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等を例示することができる。
アーム部を提供するポリマー(Y0)を合成するアニオン重合法としては、モノマー溶液またはモノマー混合溶液中にアニオン重合開始剤を滴下する方法、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー溶液またはモノマー混合溶液を滴下する方法のいずれの方法でも行うことができ、分子量及び分子量分布を制御することが容易なことから、アニオン重合開始剤を含む溶液にモノマー溶液またはモノマー混合溶液を滴下する方法が好ましい。
ポリマー(Y0)を合成するアニオン重合法は、通常、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜50℃の温度下で行うことが好ましく、−100〜40℃の温度下で行うことがより好ましい。
ポリマー(Y0)を合成するアニオン重合法に用いられる有機溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等のアニオン重合法において通常使用される有機溶媒が挙げられ、トルエン、n−ヘキサン、THFが好ましい。
有機溶媒は、一種単独で、又は二種以上の混合溶媒として使用することができる。
アーム部を提供するポリマー(Y0)が共重合体である場合、ランダム共重合体、部分ブロック共重合体、完全ブロック共重合体のいずれの重合形態であっても可能である。これらは、重合に用いるモノマーの添加方法を選択することにより、適宜合成することができる。
ポリマー(Y0)を、ポリマー(P0)に連結させてポリマー(A12’)を合成する反応は、ポリマー(Y0)を合成するアニオン重合反応終了後、該重合反応液中に、ポリマー(P0)を添加することにより行うことができる。
かかる反応は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、有機溶媒中において−100〜50℃の温度下で行うことが好ましく、−80〜40℃の温度下で行うことがより好ましい。これにより、ポリマー(A12’)の構造が制御され、かつ、分子量分布の狭い重合体を得ることができる。
また、かかるポリマー(A12’)の合成反応は、アーム部を提供するポリマー(Y0)を合成するアニオン重合反応に用いた有機溶媒中で連続して行うこともできる他、新たに溶媒を添加して組成を変更して、又は溶媒を別の溶媒に置換して行うこともできる。ここで使用可能な溶媒としては、アーム部を提供するポリマー(Y0)を合成するアニオン重合反応に用いられる有機溶媒と同様のものを用いることができる。
このようにして得られたポリマー(A12’)からフェノール性ヒドロキシ基等を保護する保護基を除去する反応は、前記重合反応で例示した溶媒の他、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の多価アルコール誘導体類;もしくは水などの一種単独又は二種以上の混合溶媒の存在下、塩酸、硫酸、シュウ酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、p−トルエンスルホン酸、1,1,1−トリフルオロ酢酸、LiHSO、NaHSO又はKHSOで示される重硫酸塩などの酸性試剤を触媒として、室温以上150℃以下の温度下で行われることが好ましい。この反応において、溶媒の種類と濃度、触媒の種類と添加量、および反応温度と反応時間を適当に組み合わせることにより、フェノール性ヒドロキシ基等を保護する保護基の全部または一部を除去することができる。
なお、ポリマー(A12’)のアーム部に、アクリル酸エステルから誘導される構成単位が含まれる場合、当該構成単位のエステル基を加水分解することによりカルボキシ基に誘導することができる。
この加水分解は、当該技術分野において知られた方法で行うことができ、たとえば、上述の保護基を除去するための条件と同様の条件による酸加水分解により行うことができる。好ましくは、当該エステル基の加水分解は、フェノール性水酸基の除去と同時に行われる。このようにして得られるアクリル酸エステルから誘導される構成単位をアーム部に含むポリマー(A12’)は、高いアルカリ溶解性を有するため、レジスト材料として特に好ましい。
また、ポリマー(A12’)からフェノール性ヒドロキシ基等を保護する保護基を除去した後、上記構成単位(a1)の説明において例示した酸解離性溶解抑制基などの保護基を新たに導入してもよい。
かかる保護基は、公知の方法(たとえば、塩基性触媒下において、ハロゲン原子を有する保護基前駆体化合物を反応させる方法等)により導入することができる。
以上の製造方法により得られるポリマー(A12’)は、特に精製することなく利用することができ、必要であれば精製して利用してもよい。
この精製は、当該技術分野において通常用いられる方法により行うことができ、たとえば、分別再沈法により行うことができる。分別再沈法においては、ポリマー溶解性の高い溶媒と低い溶媒との混合溶媒を用いて再沈を行うことが好ましく、たとえば、混合溶媒中でポリマー(A12’)を加熱溶解し冷却する方法や、ポリマー溶解性の高い溶媒にポリマー(A12’)を溶解した後にポリマー溶解性の低い溶媒を添加して該ポリマー(A12’)を析出させることにより精製を行うことができる。
<(B)成分>
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
オニウム塩系酸発生剤として、例えば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2010250278
[式中、R”〜R”,R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表し;式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよく;R”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
式(b−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。なお、式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
式(b−1)におけるR”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
式(b−1)で表される化合物のカチオン部として、好ましいものとしては、下記式(I−1−1)〜(I−1−10)で表されるカチオン部が挙げられる。これらの中でも、式(I−1−1)〜(I−1−8)で表されるカチオン部等の、トリフェニルメタン骨格を有するものが好ましい。
下記式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R、R10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
Figure 2010250278
”は、置換基を有していても良いアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。
”におけるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっても良い。
前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるので好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していても良い」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていても良いことを意味する。
”における置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたもの同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
X−Q−で表される基において、Qは酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
X−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
Figure 2010250278
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
本発明において、Xは、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
本発明において、R”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
式(b−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては上記式(b−1)のR”と同様のものが挙げられる。
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部をメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート等のアルキルスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
また、これらのオニウム塩のアニオン部を下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩も用いることができる。
Figure 2010250278
[式中、pは1〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、n1〜n5はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、オニウム塩系酸発生剤としては、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
Figure 2010250278
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
また、下記一般式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩をオニウム塩系酸発生剤として用いることもできる。
Figure 2010250278
[式中、R41〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、水酸基またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、nは0〜2の整数である。]
41〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
式(b−5)または(b−6)で表されるカチオン部を有するスルホニウム塩のアニオン部は、特に限定されず、これまで提案されているオニウム塩系酸発生剤のアニオン部と同様のものであってよい。かかるアニオン部としては、たとえば上記一般式(b−1)または(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤のアニオン部(R4”SO )等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン;上記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオン部等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 2010250278
[式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。]
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010250278
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 2010250278
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 2010250278
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分としては、これらの酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(B)成分として、フッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
<任意成分>
本発明のポジ型レジスト組成物は、任意の成分として、さらに、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有してもよい。
(D)成分としては、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜20であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、たとえば、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数20以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアミンおよび/またはアルキルアルコールアミンが好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミンなどが挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチルアミン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、リソグラフィー特性に優れ、特にLWR(ラインワイズラフネス)等、形状が良好なレジストパターンを形成することができる。LWRは、レジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した際に、ラインパターンの線幅が不均一になる現象で、パターンが微細化するほどその改善が重要となるため、その向上が求められている。
本発明のポジ型レジスト組成物は、「Tf」が100℃以上であり、且つ、「Tf’」が、「Tf」よりも18℃以上低いことを特徴とする。これは、露光後においてレジスト膜の耐熱性が低下することを意味する。膜の耐熱性が低下すると、露光によって発生した酸がより拡散しやすい状態となり、(A)成分における酸解離反応を促進させることができるため、特にEUVやEBによるリソグラフィープロセスにおいて有用であり、高解像化とともに優れた形状のレジストパターンを得ることができると考えられる。
また、本発明の(A1)成分が、アーム部の連結基において解裂するポリマー(A11)又は(A12)を有する場合、未露光部の分子量に比べて露光部の分子量がとても小さくなり、露光部における露光後レジスト軟化点低下の効果が大きくなり、(マイナス分の)レジスト軟化点ギャップが大きくなると考えられる。露光部の分子量と未露光部の分子量との差を大きくするという観点では、(A11)成分又は(A12)成分において分岐するアーム部の数は多い方が好ましい。
以上の理由から、本発明のポジ型レジスト組成物は、高解像性で形状が良好なレジストパターンを形成することができるという効果を有すると推測される。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、前記本発明のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記本発明のポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。これに例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
実施例、または比較例において用いたポリマーは、下記合成方法により合成した。
《合成例1:ポリマー(A)−1の合成》
[合成例1−1:コア部を提供するアニオン重合用カップリング剤の合成]
(i)ペンタエリスリトール−テトラ(2−クロロエトキシメチル)エーテルの合成
窒素雰囲気下にて、ペンタエリスリトール13.0gに、アセトン247.0gとジイソプロピルエチルアミン80.2gと2−クロロエチルクロロメチルエーテル80.1gを加え、撹拌しながら30℃にて4時間保持した。その後、反応混合物に酢酸エチルを加え、有機層を、シュウ酸水溶液とイオン交換水で4回洗浄を行った。その後、得られた有機層を減圧下、濃縮を行うことでペンタエリスリトール−テトラ(2−クロロエトキシメチル)エーテル47.4g(収率98%)を得た。
(ii)ペンタエリスリトール−テトラ(2−ブロモエトキシメチル)エーテルの合成
窒素雰囲気下にて、上記(i)で得たペンタエリスリトール−テトラ(2−クロロエトキシメチル)エーテル11.2gに、ヘキサメチルリン酸トリアミド560.0gとブロモエタン144.7gと臭化ナトリウム1.8gを加え、撹拌しながら80℃にて24時間保持した。その後、反応混合物を室温に冷却し、反応混合物を減圧下にて濃縮した。得られた濃縮混合物にメチル−t−ブチルエーテルを加え、有機層をイオン交換水で4回洗浄した。その後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。ろ過を行った後、減圧下にて濃縮を行うことでペンタエリスリトール−テトラ(2−ブロモエトキシメチル)エーテル12.3g(収率81%)を得た。
[合成例1−2:アーム部(ポリマー鎖)を提供する単分散ポリマー(a)の合成]
窒素雰囲気下にて、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略す。)119.5gを−60℃に冷却した。その後、撹拌を継続し、−60℃を保持しながらs−ブチルリチウム15ミリモルを加えた。さらに撹拌を継続し、−60℃を保持しながらp−エトキシエトキシスチレン(以下「PEES」と略す。)24.5gを50分かけて滴下し、さらに反応を1時間継続した。この段階で反応液を少量採取し、メタノールにより反応を停止させた後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略す。)により分析したところ、得られたPEESポリマーは、ポリスチレン換算でMn=1450、Mw/Mn=1.20の単分散ポリマー(a)であった。
[合成例1−3:アニオン重合用カップリング剤と単分散ポリマー(a)との反応]
次いで、合成例1−2の反応系を−60℃に保ちながら、合成例1−1にて得たペンタエリスリトール−テトラ(2−ブロモエトキシメチル)エーテル3.2gを10分かけて滴下し、さらに反応を1時間継続した。次いで、反応系にメタノールを加え、反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られた酸分解性ポリマーは、ポリスチレン換算でMn=3670、Mw/Mn=1.24の単分散ポリマー(A1’)であった。
ペンタエリスリトール−テトラ(2−ブロモエトキシメチル)エーテルの反応前後にてポリマーが単分散を保持したまま分子量の増加が観測されたことから、設計通りに星型形状を持つ単分散ポリマー(A1’)が得られたことを確認した。
[合成例1−4:単分散ポリマー(A1’)の加水分解(アーム部の保護基の除去)]
合成例1−3により得られた重合液にメチルイソブチルケトン(以下「MIBK」と略す。)を加え、有機層をイオン交換水で2回洗浄した。その後、有機層を、減圧下で濃縮操作によりポリマー分40質量%のMIBK溶液に調製し、さらにイソプロピルアルコール(以下「IPA」と略す。)によりポリマー分20質量%の溶液に調製した。
この溶液の100質量部に対して、1質量部のシュウ酸2水和物と2質量部のイオン交換水を加え、50℃に加熱した。その後、撹拌を継続し、50℃を保ちながら、さらに反応を6時間継続した。
この反応において、反応前後のポリマーの13C−NMRを比較した。117ppm付近に観測されるPEESポリマー由来の吸収が反応後において消失し、新たに115ppm付近にp−ヒドロキシスチレンポリマー由来の吸収が観測された。さらに96ppm付近に観測されるO−CH−Oに由来するピークが加水分解前後にて保持されていることを確認した。
また、反応後のポリマーについてGPCを測定したところ、ポリスチレン換算でMn=2560であり、反応前後においてピーク形状に大きな変化が見られなかった。
以上のことから、加水分解反応は設定通りに行われ、p−ヒドロキシスチレン(以下「PHS」と略す。)セグメントを主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られた。また、主鎖骨格中に導入された O−CH−O 結合は保持されており、星型形状を保持していることを確認した。
[合成例1−5:メトキシアダマンチル基の導入]
合成例1−4のポリマー溶液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。その後、有機層を減圧下で濃縮操作によりポリマー分50質量%の溶液に調製した後、THFによりポリマー分10質量%の溶液に調製した。
得られたポリマー溶液130.5gに60%水素化ナトリウム2.2gを加え、撹拌を継続しながら、室温で30分間保持した。その後、2−クロロメトキシアダマンタン4.8gを5分かけて滴下し、さらに室温で反応を12時間継続した。
反応系にシュウ酸水溶液を加え、反応を停止させた後、MIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と略す。)溶液に置換した。
得られたポリマーを13C−NMRにて確認したところ、新たに82ppm付近と93ppm付近と116ppm付近に、PHSにメトキシアダマンチル基が導入されたユニット(以下「PHS−MOAd」と略す。)に由来する吸収が観測された。また、PHSユニットとPHS−MOAdの割合が75/25であった。さらに、主鎖骨格中に導入されたO−CH−Oに由来する96ppm付近のピークは保持されていることを確認した。
また、反応後のポリマーについてGPCを測定したところ、ポリスチレン換算でMn=2790、Mw/Mn=1.3の単分散ポリマーであり、反応前後においてピーク形状に変化が見られなかった。
以上のことから、メトキシアダマンチル基の導入は設定通りに行われ、PHS/PHS−MOAdセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られ、主鎖骨格中に導入されたO−CH−O結合は保持されており、星型形状を保持していることを確認した。
以上の合成方法により合成されたポリマー(A)−1の構造を以下に示す。
下記化学式中、( )の右下に付した符号は、当該ポリマー(A)−1のアーム部であるポリマー鎖を構成する全構成単位の合計に対する各構成単位の割合(モル%;組成比)を示し、カーボンNMRによりそれぞれ算出した。
Figure 2010250278
[(a11+a12+a13+a14)/(a21+a22+a23+a24)=75/25(モル比);Mn=2790,Mw/Mn=1.3]
《合成例2:ポリマー(A)−2の合成》
10gのポリ−4−ヒドロキシスチレン(Mw=4000,Mw/Mn=1.1)を100mlのTHFに溶解させ、0.92gの水素化ナトリウムを添加した。その溶液に4.37gのアダマントキシメチルクロリドを添加し、室温にて20時間、撹拌した。撹拌後、水を添加して反応を止め、濃縮した。その後、400mlの水で希釈し、100mlの酢酸エチルで3回抽出し、塩酸、飽和NaHCO水溶液、飽和NaCl水溶液で洗浄した。得られた溶液を濃縮し、酢酸エチル−n−ヘプタン系にて再沈殿精製を行い、乾燥させ、白色固体を得た。
GPCにより分析を行ったところ、得られたポリマー(A)−2は、ポリスチレン換算でMw=4200、Mw/Mn=1.1であることを確認した。また、カーボンNMR、プロトンNMRにより組成比(モル比)を算出した。
以上の合成例2により合成されたポリマー(A)−2の構造を以下に示す。
Figure 2010250278
[a15/a25=75/25(モル比);Mw=4200、Mw/Mn=1.1]
《合成例3:星型ポリマー(ポリマー(A)−3〜(A)−11)の合成》
[合成例3−1〜3−2:アーム部(ポリマー鎖)の合成及び酸分解性ポリマーの合成]
PEESの滴下量を表1に示したとおりに変更した以外は合成例1−2と同様にして、表1に示すポリマー鎖の分子量を変化させた酸分解性ポリマーを得た。
Figure 2010250278
[合成例3−3〜3−4:PEESの加水分解(保護基の除去)]
合成例1−2で得られた重合液に替えて、合成例3−1または合成例3−2で得られた重合液を用いたこと以外は合成例1−3と同じ手法により表2に示すPHSセグメントをアーム部の主骨格とする星型ポリマーを得た。
Figure 2010250278
[合成例3−5〜3−13:酢酸メチルアダマンチル基の導入]
合成例1−3、合成例3−3および合成例3−4で得られたポリマー溶液にそれぞれMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。その後、有機層を減圧下で濃縮し、ポリマー分50質量%の溶液にした後、アセトンによりポリマー分10質量%の溶液にした。
得られたポリマー溶液50.0gに炭酸カリウム3.5gを加え、撹拌下、室温で30分保持した。その後、表3に示す部数のヨード酢酸メチルアダマンチルを加え、さらに35℃で反応を8時間継続した。
反応系にMIBKを加え、有機層をシュウ酸水溶液で1回洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄を行った。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりPGMEA溶液で置換した。
Figure 2010250278
得られたポリマーを13C−NMRによる測定を行ったところ、PHSに酢酸メチルアダマンチル基が導入されたユニット(以下、PHS−OAdEと称する)に由来する吸収が新たに89ppm付近、114ppm付近、並びに169ppm付近に観測された。
またPHSユニットとPHS−OAdEの割合は表4の通りであった。
Figure 2010250278
さらにポリマーのコア部に導入された−O−CH−O−結合に由来する96ppm付近のピークは保持されていることを確認した。
また反応後のポリマーについてGPC測定を行ったところ、表5に示すMnとMw/Mnの単分散ポリマーであるとする結果が得られ、酢酸メチルアダマンチル基導入前後においてGPCのピーク形状に変化は見られなかった。
Figure 2010250278
以上の結果より、PHS/PHS−OAdEセグメントをアーム部の主骨格とするアルケニルフェノール系ポリマーが得られ、ポリマーのコア部に導入されているアセタール結合は保持されており、本ポリマーが星型形状を保持していることを確認した。
上記合成例3−5〜3−13で得られたポリマーを以降、表6に示す通りに称する。
Figure 2010250278
ポリマー(A)−3〜ポリマー(A)−11の構造を以下に示す。下記化学式中、( )の右下に付した符号は、当該ポリマー(A)−3〜ポリマー(A)−11のアーム部であるポリマー鎖を構成する全構成単位の合計に対する各構成単位の割合(モル%;組成比)を示し、13C−NMRによりそれぞれ表4に示す通りに算出した。
Figure 2010250278
[(b11+b12+b13+b14)/(b21+b22+b23+b24)=各構成単位の割合(モル比)]
《合成例4:ポリマー(A)−12の合成》
5gのポリ−4−ヒドロキシスチレン(Mn=2900,Mw/Mn=1.06)を45gのアセトンに溶解し、炭酸カリウム3.5gを加え、攪拌下、室温で30分保持した。その後、ヨード酢酸メチルアダマンチル3.5gを加え、さらに35℃で反応を8時間継続した。
反応系にMIBKを加え、有機層をシュウ酸水溶液で1回洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄を行った。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりPGMEA溶液で置換した。
GPC測定を行ったところ、得られたポリマー(A)−12は、ポリスチレン換算でMn=4300、Mw/Mn=1.05であるとする結果が得られた。また、13C−NMRにより組成比(モル比)を算出した。
以上の合成例4により合成されたポリマー(A)−12の構造を以下に示す。下記化学式中、( )の右下に付した数値は各構成単位の組成比(モル比)を示す。
Figure 2010250278
《合成例5:星型ポリマー(ポリマー(A)−13)の合成》
[合成例5−1:アニオン重合用カップリング剤の合成]
窒素雰囲気下にて、ジペンタエリスリトール12.3gにアセトン234.1gとジイソプロピルエチルアミン50.1gと2−クロロエチルクロロメチルエーテル50.0gを加え、攪拌下50℃にて4時間保持した。その後、反応混合物に酢酸エチルを加え、有機層をシュウ酸水溶液とイオン交換水で4回洗浄を行った。得られた有機層を減圧下、濃縮を行うことでジペンタエリスリトール−ヘキサ(2−クロロエトキシメチル)エーテルを39.0g(収率99%)を得た。
窒素雰囲気下にて、前述のジペンタエリスリトール−ヘキサ(2−クロロエトキシメチル)エーテル20.0gにヘキサメチルリン酸トリアミド480.0gとブロモエタン161.6gと臭化ナトリウム3.1g加え、攪拌下80℃にて3時間保持した。その後、反応混合物を減圧下にて濃縮した。得られた濃縮混合物に新たにブロモエタン107.7gを加え、攪拌下80℃にて3時間保持した。その後、反応混合物を減圧下にて濃縮し、得られた濃縮混合物にメチル−t−ブチルエーテルを加え、有機層をイオン交換水で4回洗浄した。その後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過を行った後、減圧下にて濃縮を行い、アニオン重合用カップリング剤であるジペンタエリスリトール−ヘキサ(2−ブロモエトキシメチル)エーテルを10.5g(収率39%)を得た。
[合成例5−2:アーム部(ポリマー鎖)の合成及び酸分解性ポリマーの合成]
窒素雰囲気下にてTHF263.5gを−60℃に冷却した。攪拌下、−60℃を保持しながらs−ブチルリチウムを30ミリモル加え、続いてPEES42.4gを50分かけて滴下し、さらに反応を1時間継続した。
この段階で反応液を少量採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPC測定を行ったところ、得られたPEESポリマーはポリスチレン換算でMn=1430、Mw/Mn=1.13の単分散ポリマーであるとする結果が得られた。
次いで、反応系を−60℃に保持したまま、合成例3−1にて得たジペンタエリスリトール−ヘキサ(2−ブロモエトキシメチル)エーテル6.6gを10分かけて滴下し、さらに反応を1時間継続した。
次いで反応系にメタノールを加えて反応を停止させた後、GPC測定を行ったところ、得られた酸分解性ポリマーはポリスチレン換算でMn=3620、Mw/Mn=1.42の単分散ポリマーであるとする結果が得られた。
すなわち、ポリマーは、反応前の単分散ポリマーの状態を保持したまま、ジペンタエリスリトール−ヘキサ(2−ブロモエトキシメチル)エーテルの反応後には分子量の増加が観測されており、該ポリマーは星型形状を有するポリマーとなったことを確認した。
[合成例5−3:PEESの加水分解(保護基の除去)]
合成例5−2より得られた重合液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で2回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮操作によりポリマー分40質量%のMIBK溶液にし、さらにIPAを加えてポリマー分20質量%の溶液にした。
この溶液の100質量部に対して、1質量部のシュウ酸2水和物と2質量部のイオン交換水を加え50℃に加熱した。攪拌下、50℃を保ちながら、さらに反応を8時間継続した。
この反応において、反応前後のポリマーの13C−NMRを測定し、結果を比較した。反応後、117ppm付近に観測されたPEESポリマー由来の吸収は消失し、新たに115ppm付近にp−ヒドロキシスチレンポリマー由来の吸収が観測された。そしてアセタール結合(−O−CH−O−)に由来する96ppm付近に観測されるピークは加水分解前後のいずれにおいても保持されていることを確認した。
また反応後のポリマーについてGPCを測定したところ、ポリスチレン換算でMn=2000であり、反応前後においてGPCのピーク形状に大きな変化は見られなかった。
以上の結果より、加水分解反応がPEESのエトキシエトキシ基において進行し、p−ヒドロキシスチレン(以下PHSと称する)セグメントをアーム部の主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られ、またポリマーのコア部に導入された−O−CH−O−結合は保持され、反応後のポリマーが星型形状を保持していることを確認した。
[合成例5−4:酢酸メチルアダマンチル基の導入]
合成例5−3で得られたポリマー溶液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。その後、有機層を減圧下で濃縮し、ポリマー分50質量%の溶液にした後、アセトンによりポリマー分10質量%の溶液にした。
得られたポリマー溶液50.0gに炭酸カリウム3.5gを加え、撹拌下、室温で30分保持した。その後、ヨード酢酸メチルアダマンチル11.7gを加え、さらに35℃で反応を8時間継続した。
反応系にMIBKを加え、有機層をシュウ酸水溶液で1回洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄を行った。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりPGMEA溶液で置換した。
得られたポリマーを13C−NMRによる測定を行ったところ、PHSに酢酸メチルアダマンチル基が導入されたユニット(以下、PHS−OAdEと称する)に由来する吸収が新たに89ppm付近、114ppm付近、並びに169ppm付近に観測された。
またPHSユニットとPHS−OAdEの割合は80/20であった。
さらにポリマーのコア部に導入された−O−CH−O−結合に由来する96ppm付近のピークは保持されていることを確認した。
また反応後のポリマーについてGPC測定を行ったところ、Mn=4200とMw/Mn=1.34の単分散ポリマーであるとする結果が得られ、酢酸メチルアダマンチル基導入前後においてGPCのピーク形状に変化は見られなかった。
以上の結果より、PHS/PHS−OAdEセグメントをアーム部の主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られ、ポリマーのコア部に導入されているアセタール結合は保持されており、本ポリマーが星型形状を保持していることを確認した。
上記合成例5−4で得られたポリマー(以降、ポリマー(A)−13と称する)の構造を以下に示す。下記化学式中、( )の右下に付した符号は、当該ポリマー(A)−13のアーム部であるポリマー鎖を構成する全構成単位の合計に対する各構成単位の割合(モル%;組成比)を示し、13C−NMRによりそれぞれ算出した。
Figure 2010250278
[(c11+c12+c13+c14+c15+c16)/(c21+c22+c23+c24+c25+c26)=80/20(モル比);Mw=4200、Mw/Mn=1.34]
《合成例6:星型ポリマー(ポリマー(A)−14の合成)
[合成例6−1:アダマンチルオキシエチル基の導入]
合成例1−3で得られたポリマー溶液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。その後、有機層を減圧下で濃縮し、ポリマー分30質量%のPGMEA溶液とした。
得られたポリマー溶液50.0gにトリフルオロ酢酸0.7gを加え、撹拌下、30℃にした。その後、アダマンチルビニルエーテル9.4gを加え、さらに30℃で反応を3時間継続した。
トリエチルアミンを加え反応を停止した後、反応系にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄を行った。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりPGMEA溶液で置換した。
得られたポリマーを13C−NMRによる測定を行ったところ、PHSにアダマンチルオキシエチル基が導入されたユニット(以下、PHS−AdVEと称する)に由来する吸収が新たに94ppm付近、118ppm付近、並びに156ppm付近に観測された。
またPHSユニットとPHS−AdVEの割合は80/20であった。
さらにポリマーのコア部に導入された−O−CH−O−結合に由来する96ppm付近のピークは保持されていることを確認した。
また反応後のポリマーについてGPC測定を行ったところ、Mn=3400とMw/Mn=1.22の単分散ポリマーであるとする結果が得られ、酢酸メチルアダマンチル基導入前後においてGPCのピーク形状に大きな変化は見られなかった。
以上の結果より、PHS/PHS−AdVEセグメントをアーム部の主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られ、ポリマーのコア部に導入されているアセタール結合は保持されており、本ポリマーが星型形状を保持していることを確認した。
上記合成例6−1で得られたポリマー(以降、ポリマー(A)−14と称する)の構造を以下に示す。下記化学式中、( )の右下に付した符号は、当該ポリマー(A)−14のアーム部であるポリマー鎖を構成する全構成単位の合計に対する各構成単位の割合(モル%;組成比)を示し、13C−NMRによりそれぞれ算出した。
Figure 2010250278
[(d11+d12+d13+d14)/(d21+d22+d23+d24)=80/20(モル比);Mw=3400、Mw/Mn=1.22]
《合成例7:くし型ポリマー(ポリマー(A)−15の合成)》
[製造例7−1:幹ポリマー(ポリマー(A0)−1の製造)]
[製造例7−1−1:クロロエチルアセタール基の導入]
窒素雰囲気にて、Mn=2700、Mw/Mn=1.06の単分散のp−ヒドロキシスチレンポリマー(以下PHSと略す)30.0gにテトラヒドロフラン(以下THFと略す)270.0gと水素化ナトリウム9.0gを加えた。攪拌下、氷冷しながら2−クロロエチルクロロメチルエーテル35.4gを20分かけて滴下し、さらに攪拌下30℃にて4時間保持した。その後、反応混合物に酢酸エチルを加え、有機層をシュウ酸水溶液とイオン交換水で5回洗浄を行った。得られた有機層を減圧下、濃縮操作により50wt%のメチルイソブチルケトン(以下MIBKと略す)溶液として以下の式(01)で表されるポリマーを得た。
Figure 2010250278
[Mn=5600、Mw/Mn=1.04]
[製造例7−1−2:臭素への変換]
窒素雰囲気下にて製造例7−1−1で得られたポリマー溶液48.0gにヘキサメチルリン酸トリアミド(以下HMPAと略す)552.0gとブロモエタン123.0gと臭化ナトリウム2.3gを加え、攪拌下80℃にて4時間保持した。その後、反応混合物を減圧下にて濃縮した。得られた濃縮混合物に新たにブロモエタン123.0gを加え、攪拌下80℃にて4時間保持した。その後、反応混合物を減圧下にて濃縮し、得られた濃縮混合物にトルエンを加え、有機層をイオン交換水で4回洗浄した。その後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過を行った後、減圧下にて濃縮を行い、以下の式(A0)−1で表され、櫛型ポリマーの幹部となるポリマー(A0)−1を40wt%トルエン溶液として得た。
Figure 2010250278
[Mn=5600、Mw/Mn=1.04]
[製造例7−2:櫛型ポリマー(ポリマー(A)−15の製造)]
[製造例7−2−1:枝ポリマーの合成及び酸分解性ポリマーの合成]
窒素雰囲気下にてTHF384.2gを−60℃に冷却した。攪拌下、−60℃を保持しながらs−ブチルリチウムを74ミリモル加えた。さらに攪拌下、−60℃を保持しながらp−(1−エトキシエトキシ)スチレン(以下PEESと略す)73.3gを50分かけて滴下し、さらに反応を1時間継続した。この段階で反応液を少量採取し、メタノールにより反応を停止させた後、ゲルパーミェイションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)により分析したところ、得られたPEESポリマーはポリスチレン換算でMn=990、Mw/Mn=1.24の単分散ポリマーであった。
次いで、反応系を−60℃に保ちながら、製造例7−1−2より得られたポリマー(A0)−1の溶液56.9gを40分かけて滴下した。
さらに反応を1時間継続し、ついで反応系にメタノールを加え、反応を停止させた後GPCにより分析したところ、得られた酸分解性ポリマーはポリスチレン換算でMn=14500、Mw/Mn=1.03の単分散ポリマーであった。
式(A0)−1で示されるポリマーとの反応前後において、ポリマーが単分散を保持したまま分子量の増加が観測されたことから設計どおりに櫛型形状を持つポリマーが得られたことを確認した。
[製造例7−2−2:PEESの加水分解(保護基の除去)]
製造例7−2−1により得られた重合液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で2回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮操作によりポリマー分40重量%のMIBK溶液にし、さらにイソプロピルアルコール(以下、IPAと略す)によりポリマー分20重量%の溶液にした。
この溶液の100重量部に対して、0.1重量部のシュウ酸2水和物と9重量部のイオン交換水を加え50℃に加熱した。攪拌下、50℃を保ちながら、さらに反応を7時間継続した。この反応において、反応前後のポリマーの13C−NMRを比較した。117ppmおよび100ppm付近に観測されるPEESポリマー由来の吸収が反応後においては消失し、新たに115ppm付近にPHS由来の吸収が観測された。さらに94ppm付近に観測されるO−CH−Oに由来するピークが加水分解前後にて保持されていることを確認した。また反応後のポリマーについてGPCを測定したところポリスチレン換算でMn=10900であり、反応前後においてピーク形状に大きな変化が見られなかった。以上のことから、加水分解反応は設定どおりに行われ、PHSセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られた。また主鎖骨格中に導入されたO−CH−O結合は保持されており、櫛型形状を保持していることを確認した。
[製造例7−2−3:酢酸メチルアダマンチル基の導入]
製造例7−2−2により得られたポリマー溶液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。しかる後、有機層を減圧下で濃縮しポリマー分40重量%の溶液にした後、アセトンによりポリマー分10重量%の溶液にした。
得られたポリマー溶液160.0gに炭酸カリウム5.1gを加え、撹拌下、50℃で30分保持した。その後、ヨード酢酸メチルアダマンチル7.97gを加え、さらに50℃で反応を5時間継続した。
反応系にMIBKを加え、有機層をシュウ酸水溶液で1回洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄を行なった。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりPGMEA溶液で置換した。
得られたポリマーを13C−NMRによる測定を行ったところ、PHSに酢酸メチルアダマンチル基が導入されたユニット(以下、PHS−OAdEと称する)に由来する吸収が新たに89ppm付近、114ppm付近、並びに169ppm付近に観測された。
またPHSユニットとPHS−OAdEの割合が75/25であった。さらに主鎖骨格中に導入されたO−CH−Oに由来する94ppm付近のピークは保持されていることを確認した。また反応後のポリマーについてGPCを測定したところ、ポリスチレン換算でMn=12800、Mw/Mn=1.03の単分散ポリマーであり、反応前後においてピーク形状に変化が見られなかった。以上のことから、酢酸メチルアダマンチル基の導入は設定どおりに行われ、PHS/PHS−OAdEセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られ、主鎖骨格中に導入されたO−CH−O結合は保持されており、櫛型形状を保持していることを確認した。
上記製造例7−2−3で得られたポリマー(以降ポリマー(A)−15と略す)の構造を以下に示す。下記化学式中、( )の右下に付した符号は当該ポリマーの枝部であるポリマー鎖を構成する全構成単位の合計に対する各構成単位の割合(モル%;組成比)を示し、13C−NMRにより算出した。下記式(A)−15は、幹ポリマーのエチレン基の炭素原子と、枝ポリマーの(a1)、(a2)単位における主鎖の末端とが結合していることを示している。
Figure 2010250278
[(a1)/(a2)=75/25(モル比);Mn=12800、Mw/Mn=1.08]
[製造例7−3:幹ポリマー(ポリマー(A0)−2〜(A0)−3の製造)]
[製造例7−3−1〜7−3−2:クロロエチルアセタール基の導入]
窒素雰囲気にて、Mn=2700、Mw/Mn=1.06の単分散のPHS40.0gにTHF360.0gと以下の表1で示したとおりの水素化ナトリウムを加えた。攪拌下、氷冷しながら以下の表7で示したとおりの2−クロロエチルクロロメチルエーテルを20分かけて滴下し、さらに攪拌下30℃にて4時間保持した。
Figure 2010250278
その後、反応混合物にMIBKを加え、有機層をシュウ酸水溶液とイオン交換水で5回洗浄を行った。得られた有機層を減圧下、濃縮操作により50wt%のMIBK溶液として以下の式(03)及び表8で表されるポリマーを得た。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
[製造例7−3−3〜7−3−4:臭素への変換]
窒素雰囲気下にて製造例7−3−1または製造例7−3−2で得られたポリマー溶液50.0gに以下の表9で示したとおりのHMPAとブロモエタンと臭化ナトリウムを加え、攪拌下80℃にて6時間保持した。
Figure 2010250278
その後、反応混合物を減圧下にて濃縮した。得られた濃縮混合物に新たに以下の表10で示したとおりのブロモエタン123.0gを加え、攪拌下80℃にて6時間保持した。
Figure 2010250278
その後、反応混合物を減圧下にて濃縮し、得られた濃縮混合物にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で4回洗浄した。その後、減圧下にて濃縮を行い、得られたポリマー溶液をn−ヘキサンで再沈殿した。得られたポリマー粉体を減圧乾燥することで以下の式(04)及び表11で表されるポリマーを得た。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
[製造例7−3−5〜7−3−6:エトキシエチル基の導入]
窒素雰囲気下にて製造例7−3−3または製造例7−3−4で得られたポリマー20.0gに以下の表12に示したとおりのTHFとトリフルオロ酢酸とエチルビニルエーテルを加え、攪拌下30℃にて5時間保持した。
Figure 2010250278
その後、反応液にトリエチルアミンを加えて反応を停止させた後、トルエンを加え、有機層をイオン交換水で4回洗浄した。その後、有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥した。ろ過を行った後、減圧下にて濃縮を行い、以下の式(A0)−2〜(A0)−3及び表13で表され、櫛型ポリマーの幹部となるポリマー(A0)−2〜(A0)−3を40wt%トルエン溶液として得た。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
[製造例7−4:櫛型ポリマー(ポリマー(A)−19〜(A)−20の製造)]
[製造例7−4−1〜7−4−2:枝ポリマーの合成及び酸分解性ポリマーの合成]
窒素雰囲気下にてTHF179.8gを−60℃に冷却した。攪拌下、−60℃を保持しながらs−ブチルリチウムを42ミリモル加えた。さらに攪拌下、−60℃を保持しながらPEES40.5gを30分かけて滴下し、さらに反応を1時間継続した。この段階で反応液を少量採取し、メタノールにより反応を停止させた後、GPCにより分析したところ、得られたPEESポリマーはポリスチレン換算でMn=970、Mw/Mn=1.22の単分散ポリマーであった。
次いで、反応系を−60℃に保ちながら、製造例3−5または製造例7−3−6で得られたポリマー(A0)−2または(A0)−3の溶液を40分かけて以下の表14で示される量滴下した。
Figure 2010250278
さらに反応を1時間継続し、ついで反応系にメタノールを加え、反応を停止させた後GPCにより分析したところ、以下の表15に示す単分散の酸分解性ポリマーを得た。
Figure 2010250278
幹ポリマーとの反応前後において、ポリマーが単分散を保持したまま分子量の増加が観測されたことから設計どおりに櫛型形状を持つポリマーが得られたことを確認した。
[製造例7−4−3〜7−4−4:PEESの加水分解(保護基の除去)]
実施例7−4−1または製造例7−4−2により得られた重合液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で2回洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮操作によりポリマー分40重量%のMIBK溶液にし、さらにIPAによりポリマー分20重量%の溶液にした。
これら溶液100.0に0.5gのシュウ酸2水和物と10.0gのイオン交換水を加え50℃に加熱した。攪拌下、50℃を保ちながら、さらに反応を1時間継続した。反応後のポリマーをGPC分析したところ、以下の表16に示すポリマーが得られたことを確認した。
Figure 2010250278
またこれらの反応において、反応前後のポリマーの13C−NMRを比較した。117ppmおよび100ppm付近に観測されるPEESポリマー由来の吸収が反応後においては消失し、新たに115ppm付近にp−ヒドロキシスチレンポリマー由来の吸収が観測された。さらに94ppm付近に観測されるO−CH−Oに由来するピークが加水分解前後にて保持されていることを確認した。また反応後のポリマーについてGPCピーク形状に大きな変化が見られなかった。以上のことから、加水分解反応は設定どおりに行われ、PHSセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られた。また主鎖骨格中に導入されたO−CH−O結合は保持されており、櫛型形状を保持していることを確認した。
[製造例7−4−5〜7−4−6:酢酸メチルアダマンチル基の導入]
実施例7−4−3または製造例7−4−4により得られたポリマー溶液にMIBKを加え、有機層をイオン交換水で3回洗浄した。その後、有機層を減圧下で濃縮しポリマー分40wt%の溶液にした後、アセトンによりポリマー分10wt%の溶液にした。
得られたポリマー溶液200.0gに以下の表17に示したとおりの炭酸カリウムを加え、攪拌下55℃で30分保持した。その後、表17に示したとおりのヨード酢酸メチルアダマンチルを加え、さらに55℃で反応を5時間継続した。
Figure 2010250278
反応系にMIBKを加え、有機層をシュウ酸水溶液で1回洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄を行なった。その後、有機層を減圧下、濃縮操作によりPGMEA溶液で置換した。
得られたポリマーを13C−NMRによる測定を行ったところ、PHS−OAdEユニットに由来する吸収が新たに89ppm付近、114ppm付近、並びに169ppm付近に観測された。
さらに主鎖骨格中に導入されたO−CH−Oに由来する94ppm付近のピークは保持されていることを確認した。またPHSユニットとPHS−OAdEの割合は以下の表18に示すとおりであった。また反応後のポリマーについてGPCを測定したところ、表18に示すとおりの単分散ポリマーであり、反応前後においてピーク形状に変化が見られなかった。
Figure 2010250278
以上のことから、酢酸メチルアダマンチル基の導入は設定どおりに行われ、PHS/PHS−OAdEセグメントを主骨格とするアルケニルフェノール形ポリマーが得られ、主鎖骨格中に導入されたO−CH−O結合は保持されており、櫛型形状を保持していることを確認した。
得られた櫛型ポリマーの構造を以下に示す。下記化学式中、( )の右下に付した符号は当該ポリマーの各構成単位の割合(モル%;組成比)を示し、13C−NMRにより算出した。下記式は、幹ポリマーの(b3)単位のエチレン基の炭素原子と、枝ポリマーの(a1)、(a2)単位における主鎖の末端とが結合していることを示している。
Figure 2010250278
[(a1+b1)/(a2+b2)=(モル比;表13参照)]
[(b1+b2)/b3=(モル比;表13参照)]
Figure 2010250278
<レジスト組成物の調製−1>
(実施例1、比較例1〜13)
表20に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
Figure 2010250278
表7中の各略号はそれぞれ以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:前記ポリマー(A)−1。
(A)−2:前記ポリマー(A)−2。
(A)−3:前記ポリマー(A)−3。
(A)−4:前記ポリマー(A)−4。
(A)−5:前記ポリマー(A)−5。
(A)−6:前記ポリマー(A)−6。
(A)−7:前記ポリマー(A)−7。
(A)−8:前記ポリマー(A)−8。
(A)−9:前記ポリマー(A)−9。
(A)−10:前記ポリマー(A)−10。
(A)−11:前記ポリマー(A)−11。
(A)−12:前記ポリマー(A)−12。
(A)−13:前記ポリマー(A)−13。
(A)−14:前記ポリマー(A)−14。
(B)−1:下記化学式(B)−1で表される化合物。
(D)−1:トリ−n−オクチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
Figure 2010250278
下記のとおり各レジスト組成物のTfおよびTf’を測定し、その結果(Tfおよび、Tf−Tf’)について表21に示す。
[TfとTf’の測定]
TfとTf’の測定においては、各(A)成分100質量部に対し、(B)成分としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート15質量部、(D)成分としてトリ−n−オクチルアミン1.0質量部とを、PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤3900質量部に溶解させたものを使用した。
[(1)孤立ホールパターンの形成]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「DUV−42P」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で180℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚65nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、各ポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で表8記載の温度で、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、前記レジスト膜に対し、KrF露光装置NSR−S203(ニコン社製;NA(開口数)=0.68,σ=0.75)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。
そして、表21記載の温度で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液NMD−3(商品名、東京応化工業株式会社製)で60秒間の条件でアルカリ現像した。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、直径170nm、ピッチ1200nmの孤立ホールパターンが形成された。このときの最適露光量(Eop;mJ/cm)を表21に示す。
[(2)露光前レジスト軟化点Tfの測定]
各孤立ホールパターンに対し、ポストベーク処理なし(23℃)、80℃、90℃、95℃〜160℃(5℃間隔、計14点)で各温度に対し60秒間ずつ、ポストベークをおこなった。
処理なし(23℃)の寸法に対する、各温度におけるホール直径の寸法変化を記録し、処理なし(23℃)の寸法に対して10%減少し始めた温度をTfとした。
[(3)露光後レジスト軟化点Tf’の測定]
(2)のポストベーク処理なしの各孤立ホールパターンに対し、再度、KrF露光装置NSR−S203(ニコン社製;NA(開口数)=0.68,σ=0.75)により、KrFエキシマレーザー(248nm)を照射(全面露光)した。なお、露光量は各レジスト組成物において上記(1)における170nm孤立ホールパターンを得られる最適露光量と同一である。そして、表21記載のPEB(2回目)温度で60秒間のPEB処理を行った後、上記(2)と同様にして、ポストベーク処理なし(23℃)、80℃、90℃、95℃〜160℃(5℃間隔、計14点)で各温度に対し60秒間ずつ、ポストベークをおこない、処理なし(23℃)の寸法に対する、各温度におけるホール直径の寸法変化を記録し、処理なし(23℃)の寸法に対して10%減少し始めた温度をTf’とした。
Figure 2010250278
<レジストパターンの形成−1>
[感度]
得られたポジ型レジスト組成物を用いて解像性の評価を行った。
各例のポジ型レジスト組成物を、90℃にて36秒間のヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、表22に示す温度にて60秒間のベーク処理(PAB)を行ってレジスト膜(膜厚80nm)を成膜した。
該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70kVにて描画(露光)を行い、表22に示す温度にて60秒間のベーク処理(PEB)を行い、さらに23℃にてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)を用いて30秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。
このとき、100nmのL/Sパターンが1:1に形成される露光量(Eop;μC/cm)を求めた。結果を表22に示す。
[LWR(ラインワイズラフネス)評価]
前記Eopで形成された100nmの1:1L/Sパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9220、日立製作所社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に5箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を、LWRを示す尺度として算出した。その結果を表2に示す。この3sの値が小さいほど線幅のラフネスが小さく、より均一幅のL/Sパターンが得られたことを意味する。結果を表22に示す。
Figure 2010250278
表22の結果から、本発明に係る実施例1のポジ型レジスト組成物は、比較例1〜13のポジ型レジスト組成物に比べて、LWRに優れることが確認できた。
<レジスト組成物の調製−2>
(実施例2、比較例14)
表23に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
また、上記と同様にして測定した各レジスト組成物のTf、Tf’、ベーク温度、および露光量等は、表24に示す。
Figure 2010250278
表23中の各略号のうち、(A)−7、(A)−13、(D)−1、および(S)−1はそれぞれ前記の通りであり、(B)−2は下記化学式で表される化合物を示す。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
<レジストパターンの形成−2>
[感度・LWR]
得られたポジ型レジスト組成物を用いて、PAB温度およびPEB温度を表25に示したとおりに変更した以外は上記<レジストパターンの形成―1>と同様にして、レジストパターンの形成をおこなった。いずれの場合も、100nmの1:1L/Sパターンが形成されていた。このときの露光量(Eop;μC/cm)を表25に示す。
また、LWRについても上記と同様の方法で評価した。結果を表25に示す。
Figure 2010250278
表25の結果から、本発明に係る実施例2のポジ型レジスト組成物は、比較例14と比べて、LWRに優れることが確認できた。
<レジスト組成物の調製−3>
(実施例3〜6、比較例15)
表26に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
また、上記と同様にして測定した各レジスト組成物のTf、Tf’ベーク温度、および露光量等は、表27に示す。
Figure 2010250278
表26中、[ ]内の数値は配合量(質量部)を示す。また、表26中の略号のうち、(D)−1、及び(S)−1はそれぞれ前記の通りであり、その他はそれぞれ以下のものを示す。
(A)−15:前記ポリマー(A)−15。
(A)−16:ヨード酢酸メチルアダマンチルの仕込み量を2.8gとした以外は前記合成例5(ポリマー(A)−13)と同様にして合成したポリマー(A)−16(Mn=3950、Mw/Mn=1.09、PHS/PHS−OAdE=75/25 (モル比))
(A)−17:特開2008−250157の記載に準じて合成した、下記式(A)−17で表されるポリマー(Mw;13000、分散度;1.13、m/n=75/25(モル比))。なお、酢酸メチルアダマンチル基の導入に用いたモノマーは、ヨード酢酸メチルアダマンチルである。
(A)−19:前記ポリマー(A)−19。
(A)−20:前記ポリマー(A)−20。
(B)−3:下記化学式(B)−3で表される化合物。
Figure 2010250278
Figure 2010250278
Figure 2010250278
<レジストパターンの形成−3>
[感度・LWR]
各例のポジ型レジスト組成物を、90℃にて36秒間のヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、スピンナーを用いて均一にそれぞれ塗布し、90℃、60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
次に、該レジスト膜に対し、電子線描画機HL−800D(VSB)(Hitachi社製)を用い、加速電圧70keVにて描画(露光)を行い、80℃、60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の2.38質量%水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)を用いて60秒間の現像を行った後、純水にて15秒間リンスして、ラインアンドスペース(L/S)パターンを形成した。
このとき、100nmのL/Sパターンが1:1に形成される露光量(Eop;μC/cm)を求めた。結果を表28に示す。
また、LWRを上記と同様の方法で評価した。結果を表28に示す。
Figure 2010250278
表28の結果から、本発明に係る実施例3〜6のポジ型レジスト組成物は、比較例15のポジ型レジスト組成物と比べて、LWRに優れることが確認できた。
<レジスト組成物の調製−4>
(実施例7、比較例16〜18)
表29に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
また、上記と同様にして測定した各レジスト組成物のTf、Tf’ベーク温度、および露光量等は、表30に示す。
Figure 2010250278
表29中、[ ]内の数値は配合量(質量部)を示す。また、表29中の略号のうち、(D)−1、(E)−1、及び(S)−1はそれぞれ前記の通りであり、その他はそれぞれ以下のものを示す。なお、(B)−4で表される化合物は、特開2009−209128号を参照して合成した。
(A)−21:下記式(A)−21で表されるポリマー(Mn=4300、Mw/Mn=1.05)。
Figure 2010250278
[式中、( )の右下の数値は各構成単位の割合(モル比)を示す。]
Figure 2010250278
<レジストパターンの形成−4>
[感度・LWR]
得られたポジ型レジスト組成物を用いて、上記<レジストパターンの形成―3>と同様にして、レジストパターンの形成をおこなった。いずれの場合も、100nmの1:1L/Sパターンが形成されていた。このときの露光量(Eop;μC/cm)を表18に示す。
また、LWRについても下記評価の解像性が良好だったものにつき上記と同様の方法で評価した。結果を表31に示す。
[解像性]
上記Eopにおける限界解像度(nm)を、走査型電子顕微鏡S−9220(Hitachi社製)を用いて求め、以下の基準で評価した。結果を表31に示す
○:ライン幅50nmの1:1L/Sパターンが解像できた。
×:ライン幅50nmの1:1L/Sパターンが解像できなかった。
[形状]
上記Eopにて形成された1:1L/Sパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(商品名:S−4700、日立製作所製)を用いて観察し、その形状を以下の基準で評価した。結果を表31に示す。
○:矩形性が高い。
×:矩形性を維持していない。
Figure 2010250278
表31の結果から、本発明に係る実施例7のポジ型レジスト組成物は、比較例18と比べて解像性に優れることがわかった。また、本発明に係る実施例7のポジ型レジスト組成物は、比較例16〜17と同等または優れたLWRを有し、形成されるパターン形状も優れていることが確認できた。

Claims (6)

  1. 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)と、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
    前記ポジ型レジスト組成物は、
    前記ポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、ベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf)が100℃以上であり、且つ、
    前記ポジ型レジスト組成物を用いて、支持体上に形成したレジスト膜を、選択的に露光し、現像してホールパターンを形成した後に、全面露光を行い、次いでベーク処理を行った場合に、該ホールの寸法値が、該ベーク処理前の該寸法値と比較して、10%減少し始めるベーク処理温度(Tf’)が、前記Tfよりも18℃以上低いことを特徴とするポジ型レジスト組成物。
  2. 前記基材成分(A)が、
    2価以上の炭化水素基または複素環からなるコア部と、
    該コア部に結合し、且つ、下記一般式(1)で表される少なくとも1つのアーム部とを有する高分子化合物(A11)を含有する請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010250278
    [Xは酸解離性基を有する2価の連結基であり、Yはポリマー鎖である。]
  3. 前記高分子化合物(A11)が、前記コア部を2つ以上有し、且つ、
    該コア部が、互いに、原子、または2価の連結基からなる連結部を介して結合している、請求項2記載のポジ型レジスト組成物。
  4. 前記基材成分(A)が、
    分子量500以上、20000以下のポリマーからなるコア部と、
    該コア部に結合し、且つ、下記一般式(1)で表される少なくとも1つのアーム部とを有する高分子化合物(A12)を含有する請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010250278
    [Xは酸解離性基を有する2価の連結基であり、Yはポリマー鎖である。]
  5. 前記高分子化合物(A12)が、下記一般式(A12−1)で表される高分子化合物である請求項4記載のポジ型レジスト組成物。
    Figure 2010250278
    [式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R01は2価の芳香族基であり、Zは−OH、−COOH、前記式(1)で表される基、又は、−OH若しくは−COOHにおける水素原子が酸解離性溶解抑制基で置換された基(但し、前記式(1)で表される基を除く)である。なお、高分子化合物(A12)中の複数のアーム部において、R、Zは、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、1つ以上のZは、前記式(1)で表される基である。]
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載のポジ型レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、及び前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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