JP4712136B2 - 主軸台移動形cnc自動旋盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主軸で保持されたワークに対して旋削作業に加えてホブ切り作業(ホブによる歯車の歯切り作業)を行うことができる主軸台移動型CNC自動旋盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホブ加工を必要とするワークを主軸台移動形CNC自動旋盤(主軸台移動形コンピュータライズド・ニューメリカル・コントロール自動旋盤)により棒材から生産する場合、まずワーク(棒材)に対して主軸台移動形CNC自動旋盤で、歯車加工を除いた他の加工(旋削、ミリング、ドリリング等)を行った後、このワークを突っ切って切り離し、次いで、ホブ盤等の歯車加工機械にセットし直し、歯車加工を行っていた。
【0003】
したがって、以下のような欠点がある。
1.主軸台移動形CNC自動旋盤による加工と歯車加工機械による加工の少なくとも2種類の工程を必要とするために、加工に手間と時間がかかっていた。特に、ワークの歯車部分と他の加工部分の位相関係が決まっている場合は、このワークを歯車加工機械にセットする際、これらの位相合わせを正確に行わなければならず、更に大きな手間と時間がかかっていた。
2.自動旋盤の他に歯車加工機械を必要とするため、設備費とその分の工場設置面積を必要とする。
3.ワークをCNC自動旋盤から歯車加工機械にチャッキングし直さなければならないため、加工精度が悪くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、主軸で保持されたワークの旋削作業に加えてホブ切り作業を行うことができる主軸台移動形CNC自動旋盤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る主軸台移動形CNC自動旋盤は、
ワークを保持する回転可能な主軸を有し該主軸の軸方向へ移動可能な主軸台と、
前記主軸の前方に、該主軸に対して左右方向及び上下方向へ移動可能に設けられた刃物台と、
モータと、前記刃物台に固定されたベースと、先端にホブ工具を装着したホブカッタ軸を前記モータにより軸線と同軸に回転可能に支持するホブホルダと、該ホブホルダを該軸線上の一点を中心にして前記ベースに対して旋回させる旋回手段と、該ホブホルダの旋回角を設定する旋回角設定手段と、該ホブホルダを所定の旋回位置に固定する固定手段とを含み、前記ホブ工具を前記ワークの歯車形成部に対して所定の進み角に設定し、該ホブ工具で該歯車形成部に歯切りを行う第1の装置と、
回転可能な工具と前記回転可能な工具を回転させるモータとを備え、前記回転可能な工具をモータによって回転させて、前記ワークを加工するための第2の装置と、
前記ワークを加工するための複数の外径ツールと、
を備え、
前記複数の外径ツールは、前記刃物台の前記左右方向の一端側に、前記上下方向に並んで取り付けられ、
前記第1の装置の前記モータは、前記ホブ工具の後方に配置され、
前記第2の装置の前記モータは、前記回転可能な工具の後方に配置され、
前記第1の装置と前記第2の装置とは、前記ホブ工具の前後方向と前記回転可能な工具の前後方向とが前記左右方向に沿うように、かつ、前記刃物台の前記左右方向の他端側に前記上下方向に並んで前記刃物台に取り付けられた、
ことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明のCNC自動旋盤のホブ加工装置を示す概略図、図2はホブ加工装置を取り付けた刃物台の正面図、図3はホブ加工を行う状態を示す加工部の概略平面図、図4及び図5はホブ加工を行うワーク、及び図6はエンドミル加工と歯切りの位相合わせのフローチャートである。
【0007】
図1乃至3を参照して、1は主軸台で、ベッド(図示せず)の上に矢印Z軸方向に移動可能に載せられている。主軸台1は、主軸3を回転自在に支持し、主軸3のチャック4によってワーク(棒材)Wを保持するようになっている。主軸台1にはビルトインモータ2が内蔵されており、ビルトインモータ2によって主軸3は回転駆動される。主軸台1にはナット5が取り付けられ、このナット5は主軸3の回転軸に平行に延びるボールネジ6と螺合し、Z軸サーボモータ7によりボールネジ6を回転駆動することによって主軸台1はZ軸方向へ移動する。支持台8が主軸台1の前方でベッドに取り付けられている。支持台8には主軸1と共軸にガイドブッシュ9が備えられ、ワークWが外径ツール等で加工されるとき、切削力によってたわむことがないようにワークWを案内している。
【0008】
10は長方形の刃物台で、中央に縦方向に長い大略長方形の大きな長穴11が開けられ、ここに後記するようにホブ工具や外径ツール等の刃物を受けるようになっている。刃物台10は、主軸台1の前方に設置され、主軸3の回転軸に直交する垂直面上を左右方向(図2のX軸方向)及び上下方向(図2のY軸方向)に移動することができるようになっている。また、これらの移動は、主軸台1の駆動手段と同様にサーボモータとボールネジから成る駆動手段(図示せず)によって行われる。
【0009】
図2は主軸台1の前方から刃物台10を見た図(図1の矢印A方向から見た図)で、刃物台10の右側にバイト等の外径ツール12が複数本(図では5本)上下に所定の間隔をもって取り付けられ、左側の長穴11の下方に本発明によるホブ加工装置15が取り付けられている。またホブ加工装置15の上方にエンドミル20、ドリル21、タップ22等の工具を主軸3の回転軸に直交して回転自在に取り付けた3軸クロスドリル装置19が設けられている。これら工具は、装置19に取りつけられた3軸クロスドリル駆動モータ26によって回転される。なお、刃物台10に対するこれら工具の配置はこれに限定されることはなく、自由である。
【0010】
次に、ホブ加工装置15について説明する。図3に示すように、このホブ加工装置は、ホブホルダ18、ホブカッタ軸17、フランジ部24及びホブ駆動モータ25を有する。図2に示すように、刃物台10の左側下方にベース23が固定されており、その水平上面の大略中央部に旋回ピン32が立設されている。ホブホルダ18が、その下面の大略中央部で、且つ、後記するホブカッタ軸17の軸線E−E上の一点において旋回ピン32に枢支され、ベース23上で水平に旋回可能になっている。ホブホルダ18は、先端にホブ工具16を取りつけたホブカッタ軸17を回転可能に装着している。フランジ部24が、ホブホルダ18の、ホブ工具16の反対側に設けられている。ホブ駆動モータ25はこのフランジ部24に固定され、ホブカッタ軸17を回転駆動するようになっている。
【0011】
図3に示すように、ホブホルダ18に、ホブカッタ軸17の軸線E−Eの支持台8と反対側に、2つの長穴31,31が、ほぼこの軸線E−Eに沿って間隔を置いて形成されている。これらの長穴31,31に挿通される取付ボルト30,30がベース23の上面にねじ込まれている。これらの取付ボルト30,30は、例えば頭部30a,30aを有する六角穴付きボルトから成り、それらの緊締・弛緩によりホブホルダ18をベース23に固定・弛緩する。ホブホルダ18は、旋回ピン32を中心にして旋回でき、図3ではホブカッタ軸17の軸線E−Eが水平な直線X−Xに対して反時計方向(矢印B)へθ回転し、ホブ工具16の歯筋がワークWの軸線Z−Zと平行になるようにしてワークWに平歯車を加工する状態を示している。長穴31,31は、ホブホルダ18の旋回を可能にするために軸線E−Eに対してほぼ横方向に扇形に延びている。ここで、取付ボルト30,30及び長穴31,31は固定手段を構成し、旋回ピン32は旋回手段を構成する。
【0012】
ベース23の取付ボルト30,30間の部分にストッパピン34が立設され、ホブホルダ18にこのストッパピン34が挿入される穴35が形成されている。この穴35の大きさは、ホブホルダ18が旋回運動を行った際にストッパピン34に干渉しないように設定されている。ホブホルダ18の、支持台8と反対側の側壁に、三角形の切欠部40が形成されており、この切欠部40から穴35へ向けて旋回調整ねじ33がその先端でストッパピン34に当接するようにねじ込まれている。
【0013】
取付ボルト30,30をゆるめ、旋回調整ねじ33をストッパピン34に向けて進ませると、ストッパピン34は固定のため旋回調整ねじ33は進んだ分だけ戻ることになり、この結果、ホブホルダ18は旋回ピン32を中心にして矢印Bの反時計方向に旋回することになる。ここで旋回調整ねじ33、ストッパピン34及び穴35は旋回角設定手段を構成する。旋回調整ねじ33の回転量に応じて、ホブホルダ18の傾角θを調整することができ、ホブ工具16を所望の進み角に設定できる。この進み角の設定が終わったら、取付ボルト30,30を締め付けてホブホルダ18をベース23、即ち、刃物台10に固定する。この傾角θ、即ちホブ工具19の進み角は、フランジ部24の外表面に形成した突起部36上に形成されたポインタ(矢印)37とベース23に取り付けられたプレート39に形成された角度目盛り38によって表示されるようになっている。
【0014】
42は、ビルトインモータ2の回転とホブ駆動モータ25との回転を同期させる回転同期制御装置である。即ち、この装置は、主軸3とホブカッタ軸17との回転をホブ工具16による歯切りのために同期制御させるものである。
【0015】
次に、ホブ工具16による平歯車の歯切りを説明する。まず、ホブカッタ軸17に所定のホブ工具16を取りつける。次いで、図3に示すようにワークWの軸線Z−Zに対してホブ工具16の歯筋が平行となるようにホブカッタ軸17の軸線E−Eの角度を調整する。この調整を行うには、前記したごとく取付ボルト30,30をゆるめてホブホルダ18をベース23からフリーの状態とし、旋回調整ねじ33を廻すことによってホブホルダ18を旋回ピン32を中心にして矢印Bのごとく反時計方向に旋回させる。ここで取付ボルト30,30を再度締めつける。これによりホブホルダ18が位置決めされ、かつ旋回しないように固定される。次いで、刃物台10をX軸及びY軸方向に移動させ、ホブ工具16をワークWの歯車形成部に整合した図3の状態にする。この状態で、ホブカッタ軸17及びホブ工具16を回転させ、それに同期して主軸3及びワークWを回転させ、ホブ工具16をワークWに切り込み(図3では紙面の表から裏に向けてホブ工具16を移動する)、主軸台1をZ軸方向へ移動させることにより、ワークWに対し平歯車の歯切りを行うことができる。ここで、ホブホルダ18の旋回角θは各種変化させることができ、ホブ工具16もホブカッタ軸17を制御することによって各種制御できるので、これを用いて加工されるワークの歯車も平歯車に限らずハス歯、マガリ歯など各種の歯車が加工できる。更にモジュール、歯数もいろいろに変化させることもできるので、あらゆる歯車の加工ができる。
【0016】
なお、ホブホルダ18を矢印Bと反対方向に旋回させるには取付ボルト30,30をゆるめ、旋回調整ねじ33を前記と逆に回す。これによって旋回調整ねじ33とストッパピン34との間に隙間ができるので、手でホブホルダ18を時計方向に廻すことによって簡単に上記の反対方向の旋回を行うことができる。なお、旋回調整ねじ33の先端が常にストッパピン34に自動的に圧接するように矢印Bと反対方向に、例えば、ばねによって弾性的に付勢させるようにしてもよい。
【0017】
次に図4及び図5に示すワークWを参照し、図6に示すフローチャートに基づき、エンドミル加工と歯切りの位相合せについて説明する。図4はワークWに加工される歯車部分W1とエンドミル加工部分W2を示した正面図で、図5は図4のD−D断面図である。ワークWには歯車部分W1とエンドミル加工部分(切り落とし部分)W2があり、図5から分かるようにエンドミル加工部分W2は平行な2面となっており、この面の延長線Fと歯底W3から垂直に立ち上がる線Gとが平行となるような位相となっている。なお、図4,5では歯切りされる歯も示されている。
【0018】
図6のフローチャートを参照して、ステップS1で、まず、刃物台10をY軸移動させて所定の外径ツール12を選択し、次いで刃物台10をX軸移動させて外径ツール12を切り込ませてワークWの外径を削る旋削加工を行う。旋削加工が終了すると、主軸3を定位置に停止させる(ステップS2)。主軸3を定位置に停止させる手段は、例えば主軸オリエンテーション等で主軸3を定位置に停止させ、ロックピン等で固定する公知の手段を用いることができる。ステップS3で、刃物台10をY軸移動させてエンドミル20をワークWの近くへ移動させ、3軸クロスドリル駆動モーター26でエンドミル20を回転させながらワークWの一面に対しエンドミル加工を行う。エンドミル加工により一面が切り落とされたら、ステップS4で主軸3を180°だけ回転させて(主軸の180゜割り出し)ステップS2と同様に停止させる。ステップS5で、ステップS3と同様にエンドミル20でエンドミル加工を行うことにより反対面の切り落としが行われ、平行する一対の切り落とし部W2が加工される。ステップS6では、再び外径ツール12により歯車を加工する箇所の外径部分を旋削する。
【0019】
旋削加工が終了すると、ステップS7で主軸3を原点に復帰させ(主軸原点復帰)、ホブカッタ軸17を原点に復帰させる(ホブカッタ軸原点復帰)。次いで、ステップS8では、図5に示すようにエンドミル20で加工した切り落とし部分W2の面(線F)がこれからホブ加工する歯底W3(線G)と位相が一致しているかどうかを判断し、位相が一致している場合はステップS9のごとく、回転同期制御装置42により主軸3とホブカッタ軸17を同期させて回転させる。位相が一致していない場合は、ステップS10のごとく、位相が一致するまで主軸3の回転角を制御する(主軸位置シフト)。位相が一致したら前記したステップS9に移行し、回転同期制御装置42により主軸3とホブカッタ軸17を同期して回転させる。主軸3とホブカッタ軸17が同期回転し、ホブ工具16がワークWに切り込むことによりステップS11のホブ加工が行われ、ENDになる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明の主軸台移動形CNC自動旋盤によれば、次のような効果がある。
1.主軸台移動形CNC自動旋盤で、平歯車からハス歯、マガリ歯など各種の歯車が加工できるので、ホブ盤等の歯車加工機械が不要となり、設備費とその分の工場設置面積を必要としない。
2.主軸台移動形CNC自動旋盤で、ホブ加工を同時に加工することにより、工程間のワークの搬送とホブ盤へのローディング時間・アンローディング時間が不要となり、加工時間が短縮されるとともに再チャッキングすることがないため、ワークの加工精度が向上する。
3.ホブ加工とエンドミル加工を同一機械で行うことにより、エンドミル加工面と歯車の谷との位相を容易にかつ正確に合わせることができ、複雑な形状のワークを加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の主軸台移動形CNC自動旋盤のホブ加工装置を示す概要図である。
【図2】ホブ加工装置を取りつけた刃物台の正面図である。
【図3】ホブ加工を行う状態を示す加工部の平面図である。
【図4】ワークWから製造される歯車部分W1とエンドミル加工部分W2の正面図である。
【図5】図4のD−D断面図である。
【図6】本発明に基づくワークの旋削、エンドミル加工、ホブ加工のフローチャートである。
【符号の説明】
1 主軸台
3 主軸
10 刃物台
11 長穴
15 ホブ加工装置
16 ホブ工具
17 ホブカッタ軸
18 ホブホルダ
23 ベース
24 フランジ部
25 ホブ駆動モータ
30 取付ボルト
31 長穴
32 旋回ピン
33 旋回調整ねじ
34 ストッパピン
35 穴
36 突起部
37 ポインタ(矢印)
38 目盛り
39 プレート
40 切欠部
42 回転同期制御装置
W ワーク
W1 歯車部分
W2 切り落とし部分
W3 歯底
Claims (1)
- ワークを保持する回転可能な主軸を有し該主軸の軸方向へ移動可能な主軸台と、
前記主軸の前方に、該主軸に対して左右方向及び上下方向へ移動可能に設けられた刃物台と、
モータと、前記刃物台に固定されたベースと、先端にホブ工具を装着したホブカッタ軸を前記モータにより軸線と同軸に回転可能に支持するホブホルダと、該ホブホルダを該軸線上の一点を中心にして前記ベースに対して旋回させる旋回手段と、該ホブホルダの旋回角を設定する旋回角設定手段と、該ホブホルダを所定の旋回位置に固定する固定手段とを含み、前記ホブ工具を前記ワークの歯車形成部に対して所定の進み角に設定し、該ホブ工具で該歯車形成部に歯切りを行う第1の装置と、
回転可能な工具と前記回転可能な工具を回転させるモータとを備え、前記回転可能な工具をモータによって回転させて、前記ワークを加工するための第2の装置と、
前記ワークを加工するための複数の外径ツールと、
を備え、
前記複数の外径ツールは、前記刃物台の前記左右方向の一端側に、前記上下方向に並んで取り付けられ、
前記第1の装置の前記モータは、前記ホブ工具の後方に配置され、
前記第2の装置の前記モータは、前記回転可能な工具の後方に配置され、
前記第1の装置と前記第2の装置とは、前記ホブ工具の前後方向と前記回転可能な工具の前後方向とが前記左右方向に沿うように、かつ、前記刃物台の前記左右方向の他端側に前記上下方向に並んで前記刃物台に取り付けられた、
ことを特徴とする主軸台移動形CNC自動旋盤。
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