JP4712113B2 - ラジオ受信装置および同装置におけるノイズ除去方法 - Google Patents
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Description
この問題を解決するために、従来、入力データ波形の対称性について、ある閾値をもとに検出し、非対称な波形が検出された場合には、そのデータの出力を行わないように制御するノイズ除去方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
したがって、ラジオ受信装置に内蔵されるノイズ除去回路が、パルス性のラジオ入力音声信号波形に対して本来とは異なる信号波形を多少なりとも生成し、耳障りなバーストノイズとして付加する可能性は否定できない。
前記パルス性ノイズ成分の、前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に対する波形の対称性をフーリエスペクトル分布から判定し、対称波と判定された場合は前記ノイズ除去回路の働きを停止させる制御部、
を備えたものである。
前記ラジオ入力音声信号のパルス性ノイズ成分を前記パルス性ノイズ成分のパルス幅よりも数十倍以上長い検出フレーム周期分だけサンプリングするステップと、
前記検出フレーム周期分のパルス性ノイズ成分のフーリエ級数展開を行ない、高調波毎相対振幅値を計算するステップと、
前記フーリエ級数の数十次以下の高調波毎の相対振幅値から周波数軸に関する微分係数を算出するステップと、
前記算出された微分係数と、特定基準値とを比較し、前記微分係数が前記特定基準値より小さいと判定された場合、前記パルス性ノイズ成分は前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に関する非対称波形であると判定して前記ノイズ除去回路によるノイズ除去動作を有効とし、前記微分係数が前記特定基準値より大きいと判定された場合、前記パルス性ノイズは前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に関する対称波形であると判定し、前記ノイズ除去回路の働きを停止させるステップと、
を有するものである。
図1〜図4は、波形の対称性とフーリエスペクトルとの関係について説明するために示したグラフである。ここでは、ラジオ音声信号の受信に関し、聴感上、悪影響を与えるパルス性ノイズ(バーストトーン)の対称性とそのフーリエスペクトルについて考える。
ある検出フレーム周期を1とした場合に、この検出フレーム周期に対して1/50の周期を持つ正弦波半周期分の連続バースト波2波分(非対称波;Asymmetric wave(2bursts))と、正弦波1周期分のバースト波1波(対称波:Symmetric wave)の波形が、それぞれ図1、図2に示されている。図1、図2ともに、縦軸は相対振幅値(Relative Amplitude)、横軸は時間軸(Time)を示す。
図3から明らかなように、その高調波の係数分布は、非対称波の方が低い周波数にエネルギーが偏ることが分かる。なお、図3中、対称波は□で、非対称波は○で連続してプロットしてある。
そこで、各高調波の係数の大きさを周波数軸(横軸)に対して微分(dA/df)すれば、その波形は図4に示すグラフのようになり、低い周波数領域(この例では50次高調波以下)で正の微分係数を持てば対称波、またはそれに近いと判定できる。なお、図3、図4において、横軸はいずれもN高調波(Nth harmonic)を示し、縦軸は、図3が相対振幅値(Relative Amplitude for Nth harmonic)、図4がその微分値(dA/df)を示している。
上記した波形の対称性とフーリエスペクトルとの関係を想定しながら、図5以降を参照してこの発明の実施の形態1に係るラジオ受信装置の構成、および動作について詳細に説明する。
なお、検波回路4、AD変換器5、ハイパスフィルタ6、ノイズキラー回路7、制御部8、音声処理回路9、DA変換器10は、通常、デジタル信号処理回路(DSP:Digital Signal Processor)20により構成される。
検波回路4は、AD変換器5によりデジタル信号に変換され入力された中間周波数成分から音声信号を生成し、ノイズキラー回路7、およびハイパスフィルタ6へ供給する。ノイズキラー回路7は、前値ホールドや補間処理によりノイズを除去するノイズ除去回路であり、ここでノイズ除去された音声信号は音声処理回路9に供給される。また、ハイパスフィルタ6は、パルス性ノイズのみを通過させるハイパスフィルタであり、その出力は制御部8に供給される。
すなわち、サンプリング部811は、ハイパスフィルタ6により供給されるパルス性ノイズをタイマ部810により計時される一定の時間間隔(検出フレーム周期)にしたがいサンプリングしてフーリエ級数演算部812に供給する。フーリエ級数演算部812は、上記一定の時間間隔のパルス性ノイズ成分をフーリエ級数演算して得られる高調波の振幅分布(フーリエスペクトル)を求め、比較演算部82へ供給する。
微分演算部821は、関数演算部81により供給される各周波数の相対振幅値を微分することにより得られるフーリエスペクトル分布の周波数軸に関する微分係数を算出し、対称性判定部823の一方の比較対象入力として供給する。対称性判定部823の他方の比較対象入力として閾値DB822から基準値が供給されており、ここで、両入力が比較(閾値判定)され、例えば、微分演算部821により出力される値が基準値以上の場合はノイズキラー回路7の働きを制限する。
以下、図7のフローチャートを参照しながら、図5、図6に示すラジオ受信装置の動作について詳細に説明する。
関数演算部81により出力される各高調波の相対振幅値は、比較演算部82の微分演算部821へ供給され、微分演算部821では、フーリエスペクトル分布の周波数軸に関する微分係数(d)を算出し、対称性判定部823へ一方の演算入力データとして供給する(ステップST73)。
なお、ノイズキラー回路7が行なう処理は、元の信号波形を調整する処理であり、多少は本来とは異なる信号波形を付加して聴感上の違和感や新たなノイズを生じさせるため、耳障りな高調波成分が小さい対称波の場合には、ノイズキラー回路7の動作を停止させた方が聴感上好ましい。ノイズキラー回路7の動作を停止させるためには、例えば、前段にスイッチを設け、検波回路4出力を音声処理回路9にバイパスさせる等が考えられる。
Claims (3)
- ラジオ入力音声信号のパルス性ノイズ成分を除去するノイズ除去回路を備えたラジオ受信装置であって、
前記パルス性ノイズ成分の、前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に対する波形の正負振幅方向の対称性をフーリエスペクトル分布から判定し、対称波と判定された場合は前記ノイズ除去回路の働きを停止させる制御部、
を備えたことを特徴とするラジオ受信装置。 - 前記制御部は、
前記パルス性ノイズ成分を、前記パルス性ノイズ成分のパルス幅よりも数十倍以上長い時間間隔を基本周期としたフーリエ級数展開で高調波の係数分布を求める関数演算部と、
特定基準値と、前記関数演算部により求められた前記フーリエ級数の数十次以下の高調波の係数分布を周波数で微分して得られる微分係数とを比較し、当該比較結果により前記パルス性ノイズ成分の波形の前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に関する対称性の有無を判定して前記ノイズ除去回路を制御する比較演算部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のラジオ受信装置。 - ラジオ入力音声信号のパルス性ノイズ成分を除去するノイズ除去回路を備えたラジオ受信装置におけるノイズ除去方法であって、
前記ラジオ入力音声信号のパルス性ノイズ成分を前記パルス性ノイズ成分のパルス幅よりも数十倍以上長い検出フレーム周期分だけサンプリングするステップと、
前記検出フレーム周期分のパルス性ノイズ成分のフーリエ級数展開を行ない、高調波毎相対振幅値を計算するステップと、
前記フーリエ級数の数十次以下の高調波毎の相対振幅値から周波数軸に関する微分係数を算出するステップと、
前記算出された微分係数と、特定基準値とを比較し、前記微分係数が前記特定基準値より小さいと判定された場合、前記パルス性ノイズ成分は前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に関する非対称波形であると判定して前記ノイズ除去回路によるノイズ除去動作を有効とし、前記微分係数が前記特定基準値より大きいと判定された場合、前記パルス性ノイズは前記ノイズ除去回路の入力値の中央値に関する対称波形であると判定し、前記ノイズ除去回路の働きを停止させるステップと、
を有することを特徴とするラジオ受信装置におけるノイズ除去方法。
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