JP4711405B2 - 漆塗装品製造方法、およびそれ用の研ぎ出し装置 - Google Patents
漆塗装品製造方法、およびそれ用の研ぎ出し装置 Download PDFInfo
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Description
この発明は、塗装製品の製造に関連するあらゆる分野をその技術分野とするものであり、特に漆塗り製品を製造する分野は勿論のこと、その製造に必要とする設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
津軽塗りに代表されるような変わり塗りの技法による漆工芸品は、絞漆を用いた様々な手法によって素地上に凹凸模様を形成し、さらにその上層に多彩な色漆を塗り重ねた後に文様を研ぎ出すという、非常に手数の掛かる一連の作業によって製造されることから、その製造には熟達した職人の技と、長時間を要する様々な工程とが不可欠とされ、これまでは所謂伝統的な高級漆器類にしか施されることがなく、工場において大型機械を用いて大量生産されるような一般的な日用雑貨とは一線を画し、手作りによる一品物として少量生産され、高付加価値商品に限定されたものとして市場に供給されていた。
津軽塗りに代表されるような変わり塗りの技法による漆工芸品は、絞漆を用いた様々な手法によって素地上に凹凸模様を形成し、さらにその上層に多彩な色漆を塗り重ねた後に文様を研ぎ出すという、非常に手数の掛かる一連の作業によって製造されることから、その製造には熟達した職人の技と、長時間を要する様々な工程とが不可欠とされ、これまでは所謂伝統的な高級漆器類にしか施されることがなく、工場において大型機械を用いて大量生産されるような一般的な日用雑貨とは一線を画し、手作りによる一品物として少量生産され、高付加価値商品に限定されたものとして市場に供給されていた。
しかしながら、世界市場が推移して人件費等生産コストの極端に低い近隣諸国で生産体制が整い、日用雑貨を中心にして極めて安価な商品が輸入、販売され始めると、それら関連商品の国内価格は軒並み下落することになって「価格破壊」の呼び水になり、伝統的な漆工芸品といえどもその影響を避けることができなくなり、それまでの高付加価値商品だけに頼ってきた商品展開に限界が見え始めて漆工芸品全体の需要は確実に落ち込み、それに連れて、特異な分業体制の下で漆工芸品を支えてきた腕のいい多くの漆職人は、その技術力を発揮する機会が少なくなって転職を余儀なくされ兼ねないといった事態まで想定されることから、少しでも幅広い年齢層の人々から受け入れられ易くなるよう可能な限り低廉な価格設定の可能な漆塗り商品とそれに必要な技術手段とを見い出して新たな市場を開拓し、本来その品質には定評のある漆塗り製品の良さを、より多くの人々が実際に手にして使用することによって需要の拡大を図ることこそが、現状、置かれた漆塗り業界の差し迫った課題といえる。
(従来の技術)
そうした停滞する漆塗り業界に代わり、例えば、特開2005−47171号公報、「塗装化粧板の製造方法」発明として提案されているものでは、貼着工程によって化学繊維を基板上に貼着し、続くベース着色工程により、該化学繊維上に塗装して研磨後に模様として表出するベース着色層を形成し、部分着色工程においてベース着色層上に抜き型を被せて部分的に塗装し、ベース着色層上に部分着色層を形成した後、部分着色層の表面を研磨する研磨工程と、研磨した部分着色層とベース着色層とに上塗りして、表面に上塗り層を形成する上塗り工程とを行い、前記部分着色層とベース着色層とによって所定の模様を施した塗装化粧板を製造し、職人の長年の経験や技術に依存することなく、伝統工芸的な漆器の意匠を模した塗装化粧板を同一の色調や質感および略同一模様で工業的に大量生産できるようにしたものがあり、また特開平11−309797号公報に開示された「繊維強化樹脂複合材成形体及びその製造方法」発明には、繊維強化樹脂複合材の成型に当たり、プリプレグまたはフィラメントワインドによってレイアップ後、マトリックス樹脂の硬化前に発色材を表面に配し、次いでテープラップまたは成形型に装着したマトリックス樹脂を硬化させることにより、繊維強化樹脂複合材料成形体の塗装工程を省き、着色耐久性の高い成形物を提供するもの等が散見される。
そうした停滞する漆塗り業界に代わり、例えば、特開2005−47171号公報、「塗装化粧板の製造方法」発明として提案されているものでは、貼着工程によって化学繊維を基板上に貼着し、続くベース着色工程により、該化学繊維上に塗装して研磨後に模様として表出するベース着色層を形成し、部分着色工程においてベース着色層上に抜き型を被せて部分的に塗装し、ベース着色層上に部分着色層を形成した後、部分着色層の表面を研磨する研磨工程と、研磨した部分着色層とベース着色層とに上塗りして、表面に上塗り層を形成する上塗り工程とを行い、前記部分着色層とベース着色層とによって所定の模様を施した塗装化粧板を製造し、職人の長年の経験や技術に依存することなく、伝統工芸的な漆器の意匠を模した塗装化粧板を同一の色調や質感および略同一模様で工業的に大量生産できるようにしたものがあり、また特開平11−309797号公報に開示された「繊維強化樹脂複合材成形体及びその製造方法」発明には、繊維強化樹脂複合材の成型に当たり、プリプレグまたはフィラメントワインドによってレイアップ後、マトリックス樹脂の硬化前に発色材を表面に配し、次いでテープラップまたは成形型に装着したマトリックス樹脂を硬化させることにより、繊維強化樹脂複合材料成形体の塗装工程を省き、着色耐久性の高い成形物を提供するもの等が散見される。
しかし、前者の「塗装化粧板の製造方法」発明は、基本的にシステムキッチン用の扉のように平板状であって、しかも比較的大型の素地を対象として塗り重ねしていくようにした技術は、ポリエステル塗料やウレタン塗料等を用いて伝統工芸的な漆器調柄を表出させることにあり、研ぎ出し変わり塗りの漆器類を大量生産可能とする技術とは異なる上、最も工数を要する研ぎ出し工程を効率化する技術に関して一切触れておらず、伝統的な漆器類の変わり塗り技法を実質的に発展させる技術とはなっていないと云わざるを得ず、また、後者の「繊維強化樹脂複合材成形体及びその製造方法」発明は、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維等を強化材とし、合成樹脂をマトリックスとした複合材料において、マトリックス樹脂の表面層に発色材を目視可能な状態に埋設したことにより、同表面に対する塗装、研磨の工程を不要とするものであり、合成樹脂材料製の素地表面に対する変わり塗りのような堅牢さと多彩な装飾仕上げとを実現可能とするものであるが、伝統的な漆塗りの技法を全く利用しておらず、漆塗り商品を大量生産可能とする技術に繋がるものとはなっていない。
(1)特開2005−47171号公報 (2)特開平11−309797号公報
(問題意識)
上記において見てきたとおり、従前までに提案のある漆器調の外観をもつ大量生産可能な製品は、何れも伝統的な漆を用いたものではなく、工業用に開発された合成樹脂製の塗料を用いて津軽塗りのような外観を得るものや、あるいは合成樹脂材料そのものの表面層に発色材を埋設して研ぎ出しされた漆器調の外観を得ようとするものであって、伝統的な津軽塗りによる漆器類を大量生産可能とする技術に結び付けることはできず、依然として漆塗り商品については、高級漆器に限らず日用雑貨のような多くの人々が日頃手軽に使用する類いの商品に関してまでも、旧態依然、分業体制下にある夫々の熟達した職人による幾つもの手作業を重ねていく伝統的な製作工程を踏襲し、あくまで少量生産の高級漆器として市場に出荷され続けていて、多種多様の商品選択が消費者主導でなし得る近時の市場経済に呼応するための商品展開と価格設定、そのための技術開発が等閑にされたままに推移しており、漆塗り商品の需要の停滞、それからくる漆塗り職人の失職という切実な問題は依然解消されないままとなっている。
上記において見てきたとおり、従前までに提案のある漆器調の外観をもつ大量生産可能な製品は、何れも伝統的な漆を用いたものではなく、工業用に開発された合成樹脂製の塗料を用いて津軽塗りのような外観を得るものや、あるいは合成樹脂材料そのものの表面層に発色材を埋設して研ぎ出しされた漆器調の外観を得ようとするものであって、伝統的な津軽塗りによる漆器類を大量生産可能とする技術に結び付けることはできず、依然として漆塗り商品については、高級漆器に限らず日用雑貨のような多くの人々が日頃手軽に使用する類いの商品に関してまでも、旧態依然、分業体制下にある夫々の熟達した職人による幾つもの手作業を重ねていく伝統的な製作工程を踏襲し、あくまで少量生産の高級漆器として市場に出荷され続けていて、多種多様の商品選択が消費者主導でなし得る近時の市場経済に呼応するための商品展開と価格設定、そのための技術開発が等閑にされたままに推移しており、漆塗り商品の需要の停滞、それからくる漆塗り職人の失職という切実な問題は依然解消されないままとなっている。
(発明の目的)
そこで、この発明は、上記問題意識に立脚し、漆塗り商品の普及を図る上で、津軽塗りに代表される変わり塗りにおいて、先ずはその技法に不可欠とされる研ぎ出しの工程を効率化して、これまで多大な時間と労力とを要していた漆塗りにおける研磨工程を極力省力化するようにし、伝統的漆器類の生産効率を格段に高めるようにした漆器製造技術を開発することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な漆塗装品製造方法、およびそれに用いる新規な構造の研ぎ出し装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
そこで、この発明は、上記問題意識に立脚し、漆塗り商品の普及を図る上で、津軽塗りに代表される変わり塗りにおいて、先ずはその技法に不可欠とされる研ぎ出しの工程を効率化して、これまで多大な時間と労力とを要していた漆塗りにおける研磨工程を極力省力化するようにし、伝統的漆器類の生産効率を格段に高めるようにした漆器製造技術を開発することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な漆塗装品製造方法、およびそれに用いる新規な構造の研ぎ出し装置を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の漆塗装品製造方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の表面適所に、変わり塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、所定箇所に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、必要に応じて他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにした構成を要旨とする漆塗装品製造方法である。
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の漆塗装品製造方法は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の表面適所に、変わり塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、所定箇所に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、必要に応じて他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにした構成を要旨とする漆塗装品製造方法である。
この基本的な構成を、より具体的に示すと、一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の表面適所に、変わり塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、所定箇所に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、必要に応じて他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、同じ電動回転工具によって素地本体を適度な回転数で回転させ、艶出し材を軽く押し当てるようにして艶出しを行うようにした構成からなる漆塗装品製造方法となる。
更に具体的には、一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状であって合成樹脂製の素地本体の表面適所に、仕掛け、塗掛け、彩色、呂塗、妻塗、上塗の夫々、または仕掛け、塗掛け、彩色、上塗の夫々を順次、塗装と乾燥とを繰り返して行う唐塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在であり、所定ベース上に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、さらに他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにした漆塗装品製造方法ということが可能である。
また同様に、一定の軸心周りに回転形状となる概略円筒状であって一端側に、ペン先側部品装着用のネジ部が一体形成された合成樹脂製の素地本体であるペン軸の表面に、仕掛け、塗掛け、彩色、呂塗、妻塗、上塗の夫々、または仕掛け、塗掛け、彩色、上塗の夫々を順次、塗装と乾燥とを繰り返して行う唐塗りの技法による多層状漆塗装面を、その周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該ペン軸の漆塗りの施されていないネジ部を、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在であり、所定ベース上に固定された電動回転工具のチャック部分に対して、ネジ部と螺合可能な被着用ネジ部を形成した専用治具を介してその回転形状軸心回りに回転駆動可能に装着し、さらに他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数でしかもペン軸ネジ部との螺合方向に回転、起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにした漆塗装品製造方法といえる。
(関連する発明)
上記した漆塗装品製造方法に関連し、この発明には、変わり塗り技法における研ぎ出し工程に有効に用いることができる研ぎ出し装置も包含しており、その構造は、基本的に次に示すとおりのものである。
即ち、所定ベース上に固定され、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在な電動回転工具と、その回転軸心を略水平状の姿勢に支持されたチャック部に対し、素地本体の回転形状軸心方向寸法よりも短い距離と、同回転形状軸心方向寸法よりも十分に長い距離との間で略水平状に進退移動可能であり、しかも任意の進退位置で該ベース上に仮固定可能な進退機構を有すると共に、素地本体の他端側との接合箇所に円滑な回転を可能とする軸受け機構を組み込んだ芯押し台とを設け、電動回転工具チャック部には、素地本体の少なくとも一端側を回転駆動可能に装着可能な専用治具を介在させてなるものとした、前記したこの発明の基本をなす漆塗装品製造方法に用いる研ぎ出し装置である。
上記した漆塗装品製造方法に関連し、この発明には、変わり塗り技法における研ぎ出し工程に有効に用いることができる研ぎ出し装置も包含しており、その構造は、基本的に次に示すとおりのものである。
即ち、所定ベース上に固定され、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在な電動回転工具と、その回転軸心を略水平状の姿勢に支持されたチャック部に対し、素地本体の回転形状軸心方向寸法よりも短い距離と、同回転形状軸心方向寸法よりも十分に長い距離との間で略水平状に進退移動可能であり、しかも任意の進退位置で該ベース上に仮固定可能な進退機構を有すると共に、素地本体の他端側との接合箇所に円滑な回転を可能とする軸受け機構を組み込んだ芯押し台とを設け、電動回転工具チャック部には、素地本体の少なくとも一端側を回転駆動可能に装着可能な専用治具を介在させてなるものとした、前記したこの発明の基本をなす漆塗装品製造方法に用いる研ぎ出し装置である。
より具体的には、所定ベース上に固定され、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在な電動回転工具であるハンドドリルと、その回転軸心を略水平状の姿勢に支持されたチャック部に対し、素地本体であって一端側にペン先側部品装着用のネジ部を一体形成したペン軸の回転形状軸心方向寸法よりも短い距離と、同回転形状軸心方向寸法よりも十分に長い距離との間で略水平状に進退移動可能であり、しかも任意の進退位置で該ベース上に仮固定可能な進退機構を有すると共に、該ペン軸の他端側との接合箇所に円滑な回転を可能とする軸受け機構を組み込んだ芯押し台とを設け、ハンドドリルのチャック部には、ペン軸の少なくとも一端側を螺合、装着可能な被着用ネジ部を有する専用治具を介在させたものとした上、当該ハンドドリルを、そのチャック部が専用治具諸共、ペン軸ネジ部との螺合方向に向けて回転駆動可能なものとしてなるこの発明の前記した漆塗装品製造方法に用いる研ぎ出し装置となる。
以上のとおり、この発明の漆塗装品製造方法によれば、概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の表面適所に施された変わり塗りの技法による多層状漆塗装面を研ぎ出す工程において、電動回転工具のチャック部分に当該素地本体の適所を装着して、適度な回転数で回転させながら、その漆塗装面に適宜面粗さの研磨剤を軽く押し当てるようにして紋様を研ぎ出すようにしたことから、従前までの全てを手作業に頼ってきた研ぎ出し工程を大幅に効率化することができ、この製造方法をペン軸に津軽塗りを施したボールペンの生産に適用することにより、従来までの手法であれば一ヶ月間に一人の職人が生産できるのは500〜600本に留まっていたが、この製造方法によると2500〜3000本/1ヶ月の制作が可能となり、その結果、従前までであればボールペン1本当たり1500〜1800円であった市場価格を1000円前後まで低廉化して拡販、普及することができ、その結果、巾広い消費者層には、日用品ではあっても津軽塗に代表される変わり塗り漆器の良さを気軽に味わえることとなって漆器に対する商品価値が見直され、漆塗り商品普及の切っ掛けとなり、ひいては高度な伝統技術を受け継ぐ多くの漆塗り職人の技能発揮の場を確保することにも繋がるという秀れた特徴が得られることになる。
加えて、研ぎ出しの工程を終えた後に行う艶出しの工程に際しても、同じ電動回転工具を利用して研磨することにより、さらに効率的な生産を実現化することができ、また、電動回転工具として広く一般市場に供給されている電動ドリルを採用することにより、専用の回転工具を開発、製造するのに比較して遙かに低価格にて購入、メンテナンスでき、研ぎ出し工程に要する経費を格段に削減することが可能となり、従前までとは違って経済性に秀れた生産体制を確実に再構築することができるという大きな効果も期待することができることとなる。
さらに、この発明に包含されている研ぎ出し装置によると、電動回転工具のチャック部に装着された専用治具に、素地本体であるペン軸のペン先側部品装着用のネジ部を螺着可能とする被着用ネジ部を形成していて、電動回転工具に対してペン軸を迅速且つ簡便に着脱することができるようにしてあり、しかも、電動回転工具をペン軸ネジ部との螺合方向に適度な回転数で回転駆動できるものとして、回転駆動力を受けた専用治具の被着用ネジ部とペン軸ネジ部とが互いに螺着し合うようにし、ペン軸の不用意な脱落を阻止し得るものとなることから、より効率的な生産を実現できるという利点が得られると共に、この電動回転工具に、大量生産された市販のハンドドリルを採用するようにしたものでは、研ぎ出し装置の製造およびメンテナンスに要する経費を大幅に軽減することができる上、その回転数を手元で自在に操作し、研ぎ出し工程に適した回転数を容易に選択、制御することができ、しかもペン軸ネジ部を専用治具の被着用ネジ部に螺着、または螺解操作してペン軸を着脱する際、ハンドドリルの正逆転機能を利用してペン軸を回転操作せずに螺合、螺解操作を迅速に行うことができるようにするという効果が発揮されることになる。
そして、概略円筒形状の素地本体を装着する際に、該素地本体の内部空洞中に充填状となる補強軸部を同心上、且つ一体的に延伸、形成してなる専用軸具を用いたものでは、回転駆動され研ぎ出し工程を受ける素地本体を、その内側から補強して不要な回転軸心のズレや変形、破損、脱落等のトラブルの発生をより確実に防止することができ、さらに、該補強軸部のペン軸内部壁面と接合する外周壁面に弾性素材製の固定用摩擦層を追加、形成することにより、専用治具に装着されたペン軸の不用意な滑りや空転等という研ぎ出し作業上好ましくない現象の発生を的確に阻止するという効果が得られる。
更に、ベースに対してハンドドリルのグリップ部を着脱可能に固定するグリップ用固定金具部と、同ハンドドリルのモータ内蔵本体部分後端寄りとなる適所を着脱可能に固定する工具本体用固定金具部とを設け、ならびに同ハンドドリルのチャック部寄りとなる適所下側に、チャック部軸心の少なくとも上下角度、望ましくは上下、左右角度を調整可能とする心出し支持機構を設けてなるものでは、研磨対象である素地本体の回転軸心を研ぎ出し作業に最適な角度、姿勢に調整可能となって良好な作業性を確保できる上、各固定金具部の着脱により、ハンドドリルの脱着を可能としてメンテナンス性を向上し、故障への対応や老朽後の交換作業を簡便且つ迅速に行えるようにして経済的に使用できるという秀れた特徴を得ることができる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
素地本体は、外周表面に変わり塗りの技法に基づく多層状漆塗装面を形成可能であって、その後に施される研ぎ出し工程に耐えて漆塗り製品として十分に利用可能なものになるという機能を果たすものであり、より具体的には木材、竹材、布、皮革、金属、ガラス、石膏、粘土、合成樹脂、木粉と合成樹脂の複合素材、あるいは紙を糊で貼り重ねた紙胎等、様々な素材製のものを用いることが可能であるが、下地調整や下地、下塗り、中塗りの工程を省略して生産性の向上を図り、比較的廉価にて提供可能となる合成樹脂成型品とするのが望ましく、必要に応じてガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等による強化プラスチック(FRP)成型品を用いることができ、また表現を変えてさらに具体的なものとして示すと、ボールペンや万年筆、筆等のペン軸(およびキャップ)または柄、釣り竿、日用品や装飾品、各種スポーツ用品やレジャー用品等のグリップや柄、脚、筒状ケース、箸等の様々な物品であって、しかも概略円柱状、概略円筒状あるいは概略円錐状等、一定の軸心回りに回転形状となるものであり、その回転形状の周回りに連続する表面適所に漆塗りによる装飾、補強等を施すのが望ましいか、あるいは好ましい物品の基材となるものであるということができる。
素地本体は、外周表面に変わり塗りの技法に基づく多層状漆塗装面を形成可能であって、その後に施される研ぎ出し工程に耐えて漆塗り製品として十分に利用可能なものになるという機能を果たすものであり、より具体的には木材、竹材、布、皮革、金属、ガラス、石膏、粘土、合成樹脂、木粉と合成樹脂の複合素材、あるいは紙を糊で貼り重ねた紙胎等、様々な素材製のものを用いることが可能であるが、下地調整や下地、下塗り、中塗りの工程を省略して生産性の向上を図り、比較的廉価にて提供可能となる合成樹脂成型品とするのが望ましく、必要に応じてガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維等による強化プラスチック(FRP)成型品を用いることができ、また表現を変えてさらに具体的なものとして示すと、ボールペンや万年筆、筆等のペン軸(およびキャップ)または柄、釣り竿、日用品や装飾品、各種スポーツ用品やレジャー用品等のグリップや柄、脚、筒状ケース、箸等の様々な物品であって、しかも概略円柱状、概略円筒状あるいは概略円錐状等、一定の軸心回りに回転形状となるものであり、その回転形状の周回りに連続する表面適所に漆塗りによる装飾、補強等を施すのが望ましいか、あるいは好ましい物品の基材となるものであるということができる。
変わり塗りの技法は、素地本体の表面に層毎に異なる色漆を幾重か塗り重ね、斑模様を研ぎ出すものや、菜種や籾殻、松葉等を用いて凹凸模様としたもの等様々な技法があり、所謂津軽塗りや若狭塗り等に代表されるものであるとすることが可能であって、より具体的には、素地本体の性質に応じて必要な場合には下地調整、下地、下塗り、中塗りを行い、不要な場合には素地本体に対して直接的に仕掛け、塗掛け、彩色、呂塗り、妻塗り、上塗りの夫々、または仕掛け、塗掛け、彩色、上塗りの夫々を順次、塗装と乾燥とを繰り返して行う唐塗りの技法であり、色漆による重ね塗りを施した後に、研ぎ出しを行い下層に隠されていた色を斑状に浮き上がらせる技法であるということが可能であるが、一般的な漆塗りの下地処理や塗り重ねの各段階、および仕上げの工程、あるいは蒔絵や塗り各工程段階、仕上げ工程等の何れかにおいて磨き工程を行う漆塗りの技法を含めたものであるということも可能である。
研ぎ出し装置は、概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の少なくとも一端側を保持して、その軸心回りに回転駆動させ、研ぎ出しもしくは研磨作業を半自動化可能とする装置であって、駆動用モータを有して外部電力の供給、バッテリーもしくは充電等により、起動可能な電動回転工具を有するものであり、必要に応じて素地本体の他端側を回転自在に支持可能とする芯押し台を設けたものとすることができ、より具体的には電動回転工具を固定的に支持可能とするベースの適所に、電動回転工具とこれに対峙するよう配置された芯押し台とを、適宜取付け構造を介して設けたものである。
ベースは、電動回転工具を所望の姿勢に固定的に支持可能とし、さらに必要に応じて設けられた芯押し台を適正な位置、姿勢とするよう固定可能とする機能を果たすものであり、それらを支持するに十分な強度を有するものとしなければならず、形状および寸法は、電動回転工具や芯押し台等の支持機能を果たすことができれば特に制限を受けることはなく、より具体的なものとして示すと、例えば電動回転工具をハンドドリルとした場合に、当該ハンドドリルのグリップ部を着脱可能に固定するグリップ用固定金具部と、同ハンドドリルのモータ内蔵本体部分におけるチャック部とは反対側の後端寄りとなる適所を着脱可能に固定する工具本体用固定金具部とを有すると共に、該ハンドドリルのモータ内蔵本体部分であってチャック部寄りとなる付近の下側に配されてチャック部軸心の少なくとも上下角度、望ましくは上下、左右角度を調整可能とする心出し支持機構を設けたものとする。
電動回転工具は、素地本体の適所を保持し、その回転形状の軸心回りに適度な回転数で回転させ、伝統的な変わり塗り技法における研ぎ出し工程を、半自動化可能とするものであり、効率的であると共に繊細な研ぎ出し作業を実現可能とする適正範囲の回転数に制御自在なものとしなければならず、さらに正・逆転切り替え制御が可能であって緊急停止スイッチを有したものとすることができ、駆動用モータの回転軸先端側に配されたチャック部には、素地本体の形状や構造に合わせて、良好な脱着性と高い装着位置決め精度とを確保可能な専用治具を装着したものとすることができ、例えば研ぎ出しに最適な出力、トルクが得られ、価格面でも比較的に低価格に抑えられた0ないし2500rpmの間で適宜制御自在なハンドドリルを採用するのが望ましいが、市販されている中でも比較的高性能な0ないし10000rpmの間で制御自在なハンドドリルとすることも可能であり、それ以のものとして市販のリューターやボール盤等とすることも不可能ではない。
専用治具は、電動回転工具のチャック部と素地本体の適所との間に介在して十分な精度ならびに強度を確保して両者間を着脱可能に連結、固定する機能を果たすものであり、素地本体を支持するに十分な強度をもち、チャック部に対して締め付け装着可能とする基端部分と、素地本体の適所に装着可能な先端側部分とを有するものとしなければならず、先端側に素地本体の適所に嵌合状または螺合状に連結可能とする突部や棒状部、孔部、鉤型部、被着用雄または雌ネジ部等を形成したものとすることができ、素地本体の内部空洞中に充填状となる補強軸部を同心上一体的に延伸、形成したものとすることが可能であり、さらに、該補強軸部の外周壁面であって概略円筒状素地本体の内部壁面と接合する範囲に渡り、弾性素材製の固定用摩擦層を形成したものとすることができる。
芯押し台は、電動回転工具のチャック部に対して一端側が装着された素地本体の他端側を、研ぎ出し加工に際して同心上配置を維持可能な状態であって、しかも同心回りに回転自在とするよう支持可能とする機能を果たすものであり、回転する素地本体の他端側に滑動回転自在とした状態に接合あるいは嵌合支持可能なものとするか、あるいは素地本体の他端側に接合、嵌合、あるいは連繋し、該素地本体と共に回転自在となる軸受け機構を有するものとしなければならず、素地本体の着脱に際し、回転軸心方向に進退可能となり、しかも素地本体を研ぎ出し装置に対して装着する際には、ベースまたはそれに変わる適所に対して十分な強度を持って固定され、電動回転工具との距離を一定に維持可能な構造とすべきであり、例えば、ベースまたはそれに変わる適所に対して固定ならびに固定の解除を行う際に、簡便な操作でその固定と固定解除とを行うことができるクランプ機構やネジ締め機構等を設けたものとするのが望ましい。
研磨材は、変わり塗りの多層状漆塗装面を、効率的に研ぎ出し可能とする機能を果たすものであり、多層状漆塗装面に不要な傷を与えずに、艶や光沢が得られるよう研磨可能であって、効率的に仕掛け層まで達することができる研磨素材を選択しなければならず、例えば各種研磨紙、研磨布、サンドペーパー、紙ペーパー、布ペーパー、耐水ペーパー、砥石、研ぎ炭(静岡炭、朴炭、呂色炭、椿炭等)、和紙、布等の研ぎ出し作業を効率的に行うことができるものを選択すべきであり、研磨用パッド、角粉、木賊等を用いることも可能であり、また、艶出し材は、研磨材のように漆塗装の表面を研磨することにより、所望の艶消し面や光沢面に仕上げることを可能とするか、あるいは漆塗装面の細かな凹凸を埋めて平滑面を形成可能な、漆やその他の塗料等を擦り込み可能とするかの何れかの機能を果たすものであり、前記研磨材と同様のものとすることができる外、布や綿、和紙等に艶漆を染みこませたものとすること等が可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図1の研ぎ出し装置の斜視図、図2の素地本体を装着した研ぎ出し装置の斜視図、および図3の研ぎ出し作業状態の斜視図に図示される事例は、一定の軸心C周りに回転形状となる概略円筒状であって一端側に、ペン先側部品装着用のネジ部62が一体形成された合成樹脂製の素地本体であるペン軸6の表面に、仕掛け、塗掛け、彩色、呂塗、妻塗、上塗の夫々を順次、塗装と乾燥とを繰り返して行う唐塗りの技法による多層状漆塗装面63を、その周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該ペン軸6の漆塗りの施されていないネジ部62を0ないし2500rpmの間で適宜制御自在であり、所定ベース11上に固定された電動回転工具2のチャック部分21に対し、ネジ部62と螺合可能な被着用ネジ部52を形成した専用治具5を介してその回転形状軸心C回りに回転駆動可能に装着し、さらに他端側適所を芯押し台4を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具2を適度な回転数で、しかもペン軸6ネジ部62との螺合方向に回転、起動させながら漆塗装面63に適宜面粗さの研磨材7を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするという構成からなる、この発明の漆塗装品製造方法における代表的な一実施例を示すものである。
当該漆塗装品製造方法の実施に際し、この発明に包含される研ぎ出し装置1を用いることとなるので、先ずその構造について図1を参照して示すと、木材製もしくは金属製であって十分な強度を確保した矩形平板状のベース11上の一側に、0ないし2500rpmの間で適宜制御自在な電動回転工具としてのハンドドリル2を、そのチャック部21が反対側に向かう横倒し状の姿勢とするよう載置し、そのモータ内蔵本体部分の先端側であってチャック部21基端を支える箇所付近の下側に、ベース11上面との間に介在し、チャック部21の回転中心を、ベース11上面に平行状(水平状)に設定可能とする、所定厚み寸法を有したスペーサー3を挟み込み状に装着し、心出し支持機構3を形成するものとする一方、該ハンドドリル2のグリップ部22末端側には、その上側周囲を枠状に囲むグリップ用固定金具部12を装着し、ベース11上面に達する程度に延伸、折曲形成された両端舌片状フランジ部分の夫々に、固定調節ネジ13,13を装着し、予めベース11の対応する上面適所の夫々に上下方向(ベース11肉厚方向)に向けて開口するよう埋設、固定された図示しないナットに対して螺着、締め付けして固定すると共に、ハンドドリル2のモータが内蔵された本体部分であってチャック部21とは反対側となる後端寄りの適所には、同モータ内蔵本体部分後端側の上側周囲を、その形状に沿って囲む工具本体用固定金具部14が装着され、該工具本体固定金具部14のベース11上面に達する程度に延伸、折曲形成された両端舌片状フランジ部分の夫々にも、同様に固定調節ネジ13,13が装着され、ベース11上面適所に予め埋設された図示しないナットに対して螺着、締め付けされたものとなっている。
このようにしてベース11上面の一方の側に固定されたハンドドリル2とは反対側となる同ベース11上の他側には、そのチャック部21から、図2および図3中に示す研ぎ出し対象となるペン軸6の長さ寸法よりも短い離反距離と、ペン軸6の長さ寸法を超える離反距離との間に跨るよう配置され、しかもチャック部21の回転中心Cに干渉しない高さに設定され、該回転中心Cを挟む両側に対峙する姿勢であって同回転中心Cに平行なガイドレール42,42を有する案内台部41が結合、固定され、そのガイドレール42,42間に回転中心C方向に進退、摺動移動自在とするよう嵌合、装着されたスライダ部43を設けてなる芯押し台4を設け、該スライダ部43のチャック部21に対峙する先端部からは、ペン軸6の末端側に当接し、ベアリングを有して回転自在に支持する芯押しヘッド44が露出し、同スライダ部43の末端部には、案内台部41と仮固定可能とするクランプレバー45を設けたものとなっている。
ハンドドリル2のチャック部21には、基端側に円柱状のチャック装着用軸部51を形成し、先端側にはそれと同心上の円筒状壁面に形成され、内周壁面に素地本体であるペン軸6の先端側に形成された雄ネジ部62を、螺着可能な被装着用雌ネジ部52を形成してなる専用治具5が、そのチャック装着用軸部51を締め付け、装着したものとなっており、当該専用治具5の被装着用雌ネジ部52の中心部付近から、ペン軸6を装着した際に同ペン軸6の柄61内に充填状となる概略円錐状の補強軸部53を同心上に延伸、形成されたものとすることができ、さらに、該補強軸部53の外周壁面には、装着されるペン軸6柄61の内周壁面に対して接触摩擦を発揮可能な天然ゴムやシリコンゴム、発泡ウレタン等の弾性素材製の固定用摩擦層54を被着、一体化したものとすることが可能である。
以上のとおりの構成からなる研ぎ出し装置1は、漆塗装品製造方法の実施に際して下地調整の段階から、最終的な仕上げ工程となる研磨作業に至る様々な段階に有効に活用することが可能であり、その利用については、当該漆塗装品製造方法の各作業内容に従い、順次、以下の実施例の作用の項に示して行くこととする。
(実施例の作用)
この発明に包含される漆塗装品製造方法により、津軽塗り(唐塗り)が施されたペン軸を製造するには先ず、素地本体である合成樹脂製ペン軸6の外周壁面に残されたバリ等を除去して下地調整するには、研ぎ出し装置1のハンドドリル2、チャック部21に装着された専用治具5に対し、その被装着用雌ネジ部52に雄ネジ部62を螺合、締め付けして互いに同心上となるよう装着すると共に、図2中の二点鎖線矢印に示す方向に、芯押し台4のスライダ部43を案内台部41ガイドレール42,42に沿って摺動操作し、ペン軸6の末端に芯押しヘッド44を当接させ、クランプレバー45を同図2中の実線矢印Aに示すように倒して芯押しヘッド44と案内台部41とを仮固定した上、ハンドドリル2を0〜2500rpmの間の適宜回転数で、同図2中の実線矢印Bに示すように、非装着用雌ネジ部52と雄ネジ部62とが互いに螺合する方向に回転駆動させ、図3中に示すように、研磨パッド71に巻き付けた耐水ペーパー7を水に浸しながら回転するペン軸6の柄61に軽く押し当て、ペン軸6の表面に合成樹脂成型に際して形成されたバリや引け等を平滑面に仕上げて下地調整を行い、この研削による下地調整を終えた後、クランプレバー45を先程とは逆向きに操作して該スライダ部43のロックを解除し、後退させてペン軸6の雄ネジ部62を、専用治具5の被装着用雌ネジ部52から螺解して取り外し、仕掛けの工程に移る。
この発明に包含される漆塗装品製造方法により、津軽塗り(唐塗り)が施されたペン軸を製造するには先ず、素地本体である合成樹脂製ペン軸6の外周壁面に残されたバリ等を除去して下地調整するには、研ぎ出し装置1のハンドドリル2、チャック部21に装着された専用治具5に対し、その被装着用雌ネジ部52に雄ネジ部62を螺合、締め付けして互いに同心上となるよう装着すると共に、図2中の二点鎖線矢印に示す方向に、芯押し台4のスライダ部43を案内台部41ガイドレール42,42に沿って摺動操作し、ペン軸6の末端に芯押しヘッド44を当接させ、クランプレバー45を同図2中の実線矢印Aに示すように倒して芯押しヘッド44と案内台部41とを仮固定した上、ハンドドリル2を0〜2500rpmの間の適宜回転数で、同図2中の実線矢印Bに示すように、非装着用雌ネジ部52と雄ネジ部62とが互いに螺合する方向に回転駆動させ、図3中に示すように、研磨パッド71に巻き付けた耐水ペーパー7を水に浸しながら回転するペン軸6の柄61に軽く押し当て、ペン軸6の表面に合成樹脂成型に際して形成されたバリや引け等を平滑面に仕上げて下地調整を行い、この研削による下地調整を終えた後、クランプレバー45を先程とは逆向きに操作して該スライダ部43のロックを解除し、後退させてペン軸6の雄ネジ部62を、専用治具5の被装着用雌ネジ部52から螺解して取り外し、仕掛けの工程に移る。
仕掛け工程にあっては、ペン軸6の柄61外周壁面に対して絞漆(仕掛漆)を仕掛けべらを用いて付着させ、所定期間にわたって漆風呂に入れて硬化させ、塗り掛け工程によって仕掛け漆が乾燥した上に、黄系の色漆を薄く刷毛塗りし、漆風呂に入れて硬化させる。さらに彩色の工程において赤や緑系の色漆を市松状に刷毛塗りし、再度漆風呂に移して硬化させ、続く呂塗り工程では、柄61の全面に渡り素黒目漆を刷毛塗りし、再び漆風呂にて硬化させ、妻塗り工程において適宜選択した色漆を刷毛塗りし、さらに錫粉や梨地粉等を蒔くことが可能であり、漆風呂に入れて硬化させ、上塗りの工程により、柄61の全面に緑漆を刷毛塗りし、再度漆風呂に移して硬化させて唐塗りの伝統技法による多層状漆塗装面63を形成したものとする。
前記上塗りの工程では緑漆を塗装したが、赤漆を塗装して赤上げの唐塗りとすることや、素黒目漆を塗装して、あめ色の呂上げの唐塗りに仕上げること等も可能であり、妻塗りの工程に用いる色漆は、上塗り工程に用いる色漆と対称的な色を選択して、唐塗り紋様を際立たせるようにするのが望ましい。また、各漆塗り工程の各段階におけるペン軸6を、研ぎ出し装置1に装着して、下地調整のときと同様の要領で、仕掛けによる凹凸面形状や多層状の各漆塗装面等を失わない程度に適度な研磨を行い、下地を調整して各色漆層間の密着性を高めるようにすることができる。
このようにして柄61の略全面に渡り、多層状漆塗装面63を形成したペン軸6は、研ぎ出し工程へと移されることとなり、その一端側の雄ネジ部62を研ぎ出し装置1の専用治具5被装着用雌ネジ部52に螺合装着し、他端側に芯押しヘッド44を同心上に押し付けるようにしてクランプレバー45を回動操作し、ハンドドリル2のチャック部21の回転中心Cに同心上の配置とするよう確りと固定した上、該ハンドドリル2を0〜2500rpmの回転数範囲内の適宜回転数とするよう回転起動させ、水で濡らした耐水ペーパー7に研磨パッド71を添えて軽く押し当てるようにして、柄61の全長に渡る多層状漆塗装面63に対して仕掛けの絞漆塗装面が露出するまで研ぎ出しを行い、続いて研ぎ出し装置1に装着されたまま柄61全体を磨き艶出し工程を経て完成となり、クランプレバー45を解除してスライダ部43を後退させ、ペン軸6の雄ネジ部62を専用治具5の被装着用雌ネジ部52から螺解、離脱させて唐塗りの伝統技法による漆塗りが施されたペン軸6を得ることとなる。当該ペン軸6の多層状漆塗装面63は、多様な変わり塗りを有する津軽塗りの中でも代表的な唐塗りによるものとしたが、その他のななこ塗りや紋紗塗りによるものとして製造することも可能である。
さらに、専用治具5に補強軸部53を設けると概略円筒状のペン軸6を、その略全長に渡る中空内部から補強、支持するものとなって研ぎ出し中に外周壁面に加わる押圧力により、ペン軸6周壁が弾性変形して研磨ムラを生じてしまうのを確実に防止することが可能となり、また、同補強軸部53の周壁面にペン軸6の内周壁面と高い摩擦をもって接合可能となる固定用摩擦層54を設けると、専用治具5を介して伝達されるハンドドリル2の回転駆動力を、ペン軸6雄ネジ部62に集中させることなく、固定用摩擦層54を介してペン軸6の略全体に分散、伝達することが可能となり、雄ネジ部62への過大な集中荷重の発生を阻止し、ペン軸6への捻れや撓り変形を防止することとなる。
(実施例の効果)
以上のような構成からなる実施例の漆塗装品製造方法、およびそれに用いる研ぎ出し装置1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1ないし図3中に示したように、津軽塗りの代表的な技法である唐塗りを合成樹脂成型品からなるペン軸6に施す場合に、そのバリ取りや僅かな凹凸の修正といった素地調整作業に際して当該研ぎ出し装置1を用いることにより、均質且つ迅速な研磨を実現可能として従前までであれば鑢やリューター等を用いてバリを除去した後、手作業によって水ペーパーを掛けるという熟練と根気のいる作業を余儀なくされていたが、こうした時間と手間の掛かる作業を簡便且つ高品質に達成可能とすることができ、比較的短時間の中に真円により近い精緻なペン軸6の外周断面形状と、漆と強く密着する緻密な素地表面とを得ることができる。
以上のような構成からなる実施例の漆塗装品製造方法、およびそれに用いる研ぎ出し装置1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1ないし図3中に示したように、津軽塗りの代表的な技法である唐塗りを合成樹脂成型品からなるペン軸6に施す場合に、そのバリ取りや僅かな凹凸の修正といった素地調整作業に際して当該研ぎ出し装置1を用いることにより、均質且つ迅速な研磨を実現可能として従前までであれば鑢やリューター等を用いてバリを除去した後、手作業によって水ペーパーを掛けるという熟練と根気のいる作業を余儀なくされていたが、こうした時間と手間の掛かる作業を簡便且つ高品質に達成可能とすることができ、比較的短時間の中に真円により近い精緻なペン軸6の外周断面形状と、漆と強く密着する緻密な素地表面とを得ることができる。
前記実施例中では、仕掛けの工程において絞漆を、ペン軸6の柄61に対して仕掛けべらを用いて付着させる唐塗りの伝統的な技法に基づいて行うようにしていたが、当該研ぎ出し装置1に略水平状且つ回転自在に支持された状態のペン軸6に対して、ハンドドリル2を停止させた状態のまま、チャック部21を手動送りにてゆっくりと回転させながら斑点模様の仕掛け作業を行うことが可能であり、前述のような素地調整を終えたペン軸6を取り外すこと無く、粉塵除去用の換気装置あるいは強制循環型の空気清浄機等を設置、併用して研磨粉を拭き取り除去する等して、速やかに仕掛け工程に移行するようにして大幅な効率化を図ることができる。
また、仕掛け工程の後に続く、塗掛け、彩色、呂塗り、妻塗りおよび上塗りに至る各漆塗装工程に際しても、漆風呂に移して塗装面の硬化を待つ間ペン軸6の脱着作業が不可欠とされるが、当該研ぎ出し装置1にペン軸6をその都度装着して回転中心C回りに回転自在な状態に支持させることにより、各塗装工程の作業の安定性と正確性とを確保して迅速に作業を行ったときでも塗装不良や品質ムラを格段に削減することとなり、従前までの製造方法に比較して高い品質を安定的に確保できるようにすることが可能となるという利点がある。
(結 び)
叙述の如く、この発明の漆塗装品製造方法、およびそれに用いる研ぎ出し装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも漆塗装品の製造に利用する研ぎ出し装置の製造も容易で、十分に小型、軽量化することができ、比較的低廉に製造可能である上、それを使用することによって従前からの手作業のみに頼る漆塗りの伝統技法に比較して格段の効率化と漆器品質の向上とを図ることができ、生産性を凡そ5倍にまで引き上げることが可能となって約3ないし4割強の製品価格の引き下げを達成可能とし、より低価格でしかも高品質な本格的漆器類を大量に市場供給することを可能にすることから、多くの消費者に漆塗り商品の良さを伝え、その拡販の切っ掛けづくりになり、その結果、漆塗り職人の技能発揮の場も確保されることにもなって、漆塗りを地場産業としてきた地域の漆器専門店やその関係者は固よりのこと、事務用品売店や日用品店等各種販売業の各方面からも高く評価されて広範に利用、普及していくものになると予想される。
叙述の如く、この発明の漆塗装品製造方法、およびそれに用いる研ぎ出し装置は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも漆塗装品の製造に利用する研ぎ出し装置の製造も容易で、十分に小型、軽量化することができ、比較的低廉に製造可能である上、それを使用することによって従前からの手作業のみに頼る漆塗りの伝統技法に比較して格段の効率化と漆器品質の向上とを図ることができ、生産性を凡そ5倍にまで引き上げることが可能となって約3ないし4割強の製品価格の引き下げを達成可能とし、より低価格でしかも高品質な本格的漆器類を大量に市場供給することを可能にすることから、多くの消費者に漆塗り商品の良さを伝え、その拡販の切っ掛けづくりになり、その結果、漆塗り職人の技能発揮の場も確保されることにもなって、漆塗りを地場産業としてきた地域の漆器専門店やその関係者は固よりのこと、事務用品売店や日用品店等各種販売業の各方面からも高く評価されて広範に利用、普及していくものになると予想される。
図面は、この発明の漆塗装品製造方法、およびそれに用いる研ぎ出し装置の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
この発明に包含される研ぎ出し装置を示す斜視図である。
ペン軸を装着した研ぎ出し装置を示す斜視図である。
ペン軸の研ぎ出し作業状態を示す斜視図である。
1 研ぎ出し装置
11 同 ベース
12 同 グリップ用固定金具部
13 同 固定調節ネジ
14 同 工具本体用固定金具部
2 ハンドドリル(電動回転工具)
21 同 チャック部
22 同 グリップ部
3 心出し機構(スペーサー)
4 芯押し台
41 同 案内台部
42 同 ガイドレール
43 同 スライダ部
44 同 芯押しヘッド
45 同 クランプレバー
5 専用治具
51 同 チャック装着用軸部
52 同 被装着用雌ネジ部
53 同 補強軸部
54 同 固定用摩擦層
6 ペン軸
61 同 柄
62 同 雄ネジ部
63 同 多層状漆塗装面
7 耐水ペーパー(研磨材)
71 同 研磨パッド
C 回転中心
11 同 ベース
12 同 グリップ用固定金具部
13 同 固定調節ネジ
14 同 工具本体用固定金具部
2 ハンドドリル(電動回転工具)
21 同 チャック部
22 同 グリップ部
3 心出し機構(スペーサー)
4 芯押し台
41 同 案内台部
42 同 ガイドレール
43 同 スライダ部
44 同 芯押しヘッド
45 同 クランプレバー
5 専用治具
51 同 チャック装着用軸部
52 同 被装着用雌ネジ部
53 同 補強軸部
54 同 固定用摩擦層
6 ペン軸
61 同 柄
62 同 雄ネジ部
63 同 多層状漆塗装面
7 耐水ペーパー(研磨材)
71 同 研磨パッド
C 回転中心
Claims (9)
- 一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の表面適所に、変わり塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、所定箇所に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、必要に応じて他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにしたことを特徴とする漆塗装品製造方法。
- 一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状の素地本体の表面適所に、変わり塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、所定箇所に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、必要に応じて他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、同じ電動回転工具によって素地本体を適度な回転数で回転させ、艶出し材を軽く押し当てるようにして艶出しを行うことを特徴とする漆塗装品製造方法。
- 一定の軸心周りに回転形状となる概略円柱状もしくは円筒状であって合成樹脂製の素地本体の表面適所に、仕掛け、塗掛け、彩色、呂塗、妻塗、上塗の夫々、または仕掛け、塗掛け、彩色、上塗の夫々を順次、塗装と乾燥とを繰り返して行う唐塗りの技法による多層状漆塗装面を、少なくともその周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該素地本体の漆塗りの施されていない、少なくとも一端側となる適所を、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在であり、所定ベース上に固定された電動回転工具のチャック部分に対して直接か、または専用治具を介してその回転形状軸心周りに回転駆動可能に装着し、さらに他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数で起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにしたことを特徴とする漆塗装品製造方法。
- 一定の軸心周りに回転形状となる概略円筒状であって一端側に、ペン先側部品装着用のネジ部が一体形成された合成樹脂製の素地本体であるペン軸の表面に、仕掛け、塗掛け、彩色、呂塗、妻塗、上塗の夫々、または仕掛け、塗掛け、彩色、上塗の夫々を順次、塗装と乾燥とを繰り返して行う唐塗りの技法による多層状漆塗装面を、その周回り方向に連続するよう形成し、十分に硬化させた後に、当該ペン軸の漆塗りの施されていないネジ部を、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在であり、所定ベース上に固定された電動回転工具のチャック部分に対して、ネジ部と螺合可能な被着用ネジ部を形成した専用治具を介してその回転形状軸心回りに回転駆動可能に装着し、さらに他端側適所を芯押し台を用いて同心上で回転自在に支持した上、当該電動回転工具を適度な回転数でしかもペン軸ネジ部との螺合方向に回転、起動させながら漆塗装面に適宜面粗さの研磨材を軽く押し当てて研ぎ出しを行ってから、磨きおよび/または漆塗りによって艶出しをするようにしたことを特徴とする漆塗装品製造方法。
- 所定ベース上に固定され、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在な電動回転工具と、その回転軸心を略水平状の姿勢に支持されたチャック部に対し、素地本体の回転形状軸心方向寸法よりも短い距離と、同回転形状軸心方向寸法よりも十分に長い距離との間で略水平状に進退移動可能であり、しかも任意の進退位置で該ベース上に仮固定可能な進退機構を有すると共に、素地本体の他端側との接合箇所に円滑な回転を可能とする軸受け機構を組み込んだ芯押し台とを設け、電動回転工具チャック部には、素地本体の少なくとも一端側を回転駆動可能に装着可能な専用治具を介在させたものとしてなる、前記請求項1ないし4何れか一項記載の漆塗装品製造方法に用いる研ぎ出し装置。
- 所定ベース上に固定され、0ないし10000rpm望ましくは0ないし2500rpmの間で適宜制御自在な電動回転工具であるハンドドリルと、その回転軸心を略水平状の姿勢に支持されたチャック部に対し、素地本体であって一端側にペン先側部品装着用のネジ部を一体形成したペン軸の回転形状軸心方向寸法よりも短い距離と、同回転形状軸心方向寸法よりも十分に長い距離との間で略水平状に進退移動可能であり、しかも任意の進退位置で該ベース上に仮固定可能な進退機構を有すると共に、該ペン軸の他端側との接合箇所に円滑な回転を可能とする軸受け機構を組み込んだ芯押し台とを設け、ハンドドリルのチャック部には、ペン軸の少なくとも一端側を螺合、装着可能な被着用ネジ部を有する専用治具を介在させたものとした上、当該ハンドドリルを、そのチャック部が専用治具諸共、ペン軸ネジ部との螺合方向に向けて回転駆動可能なものとしてなる、前記請求項1ないし4何れか一項記載の漆塗装品製造方法に用いる研ぎ出し装置。
- 専用治具が、概略円筒状の素地本体を装着する際に、該素地本体の内部空洞中に充填状となる補強軸部を同心上一体的に延伸、形成し、素地本体の軸方向に渡ってその内側から補強可能としてなる、前記請求項5または6何れか一項記載の研ぎ出し装置。
- 専用治具が、その被着用ネジ部よりも先端側となる中心部分から、装着の際にペン軸の内部空洞中に充填状となる補強軸部を同心上一体的に延伸、形成し、該補強軸部の外周壁面であってペン軸内部壁面と接合する範囲に渡り、弾性素材製の固定用摩擦層を形成したものとしてなる、前記請求項6記載の研ぎ出し装置。
- ベースが、ハンドドリルのグリップ部を着脱可能に固定するグリップ用固定金具部と、同ハンドドリルのモータ内蔵本体部分におけるチャック部とは反対側の後端寄りとなる適所を着脱可能に固定する工具本体用固定金具部とを有すると共に、該ハンドドリルのモータ内蔵本体部分であってチャック部寄りとなる付近の下側に配されてチャック部軸心の少なくとも上下角度、望ましくは上下、左右角度を調整可能とする心出し支持機構を設けたものとしてなる、前記請求項6記載の研ぎ出し装置。
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