JP4711181B2 - 円筒形リニアモータ電機子コイルの巻線方法、および円筒形リニアモータ固定子、並びにそれを用いた円筒形リニアモータ - Google Patents
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Description
図10は第1従来技術による円筒形リニアモータの構成を示すものであって、(a)はその概略斜視図、(b)は(a)のB−B線に沿う正断面図である。
図10において、91は固定子、92は磁極、93は可動子、94はコイルボビン、95はリング状コイル、96は円筒状ヨークである。この円筒リニアモータは可動コイル形であり、軸方向に多極の磁極92を並べた固定子91と、固定子91と磁気的空隙を介して対向配置されたコイルボビン94に巻装されたリング状コイル95と、該リング状コイル95を包含するような円筒状ヨーク96とから成る可動子93により構成されている。円筒リニアモータのリング状コイル95に可動子の位置に応じた3相の電流を流すと、固定子91の軸方向に向かって可動子93が推力を発生し移動するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
図11において、101は固定子、102は可動子、103は永久磁石、104は界磁ヨーク、105は電機子巻線、106は電機子コアである。この円筒形リニアモータは第1従来技術に対して可動磁石形を構成する点で異なっており、円筒状の電機子コア106と、円筒状の電機子巻線105と、界磁ヨーク104からなる固定子101と、円筒状の永久磁石103の界磁からなる可動子102で構成される。
また、図12は、第2従来技術による電機子巻線の製作工程および製作方法を示した概念図である。
図12において、107は各相の要素コイルを表している。固定子101は、各相(U、V、W)用の要素コイル(107a、107b、107c)が極ピッチPとなるように、電機子コア106に螺旋状に巻いた円筒状の電機子巻線105で構成されている。この場合、要素コイル(107a、107b、107c)を組み合わせて平滑電機子コイル108とした後、螺旋状に巻回して電機子巻線を作製するようになっている(例えば、特許文献2を参照)。
図13のように、電機子コイルが6相帯(U、V、W、U’、V’、W’)から成り、各コイルを円筒状に巻回したあと各相(U−U’、V−V’、W−W’)間で結線するものもある(例えば、特許文献3を参照)。
また、円筒状ヨークの製作については、円柱から削り出すかあるいは鋳造により製作しているので、外径が異なる毎に専用の治具が必要となり多くの時間を費やす必要がある。
また、第3従来技術の円筒形リニアモータにおいては、リング状コイルを作製して、各相(U−U’、V−V’、W−W’)間で結線処理を行い作製する場合は、各相間での結線処理を行うスペースを確保するために巻線の占積率が低下し、損失が増加するといった問題があった。
それから、1コイル毎に巻き方向を反転させて巻回する場合は、巻き方向を反転する際にコイル全体が治具上で回転してコイルが解け、渡り線が長くなる問題があった。また、3相帯(U−W−V−U−W−V)の連結コイルを作製後に逆相にあたる部分のコイルの向きを反転させる場合は、コイルを反転させる時に断線させたり、誤った箇所のコイルの向きを反転させてしまうといった問題もあった。
また、請求項1に記載の発明により、空芯のリング状連結コイルを作成することができると共に、コイル巻き始め部分に必要な銅線の立ち上がり線のスペースを省略することができる。
その結果、立ち上がり線のスペースを省いた連続コイルを用いることにより、円筒形リニアモータの電機子コイルの占積率を高めることができ、結果として損失を下げることができる。
図1、2において、1は可動子、2は固定子、3はパイプ、4は円柱状磁石、4a、4bはパイプ3内の両端に設けた円柱状磁石、5は円柱状磁性体、6は電機子コイル、7はヨーク、9はスペース、10は段差である。
すなわち、円筒形リニアモータは、軸方向に伸びる円筒状のパイプ3と、該パイプ3の内側に挿設された多極に着磁してなる複数の円柱状磁石4と、該円筒状磁石4の間に挿入された円柱状磁性体5を有する可動子1と、可動子1の外周に磁気的空隙を介して同心配置された円筒状のヨーク7と、該ヨーク7の内周にリング状に巻回してなる複数個のコイル群を軸方向に等ピッチで配置した電機子コイル6を有する固定子2とより構成されている。
ここで、パイプ3内に挿設された複数の円柱状磁石4の軸方向長さの合計が、電機子コイル6の軸方向長さLCと可動子1の駆動ストロークSの和に等しく、かつ、電機子コイル6の軸方向長さLCと可動子1の駆動ストロークSの和が、ヨーク7の軸方向長さ以下に設定されている。
また、固定子のヨーク7を形成する際に、電機子コイル6とヨーク7の段差10との内面にできたスペース9を利用して、電機子コイルを構成するコイル群の結線処理を行うようになっている。
図3において、11は図2の電機子コイル6を構成する各相のリング状コイル、12は結線処理を行う渡り線部である。この渡り線部12が、図2に示した電機子コイル6とヨーク7の段差10との内面にできたスペース9に収納される。
図4において、13は巻き取り治具、14は巻き取り方向、15が移動方向を表しており、図4(a)〜(e)を用いて3相コイルを同時に巻く方法について説明する。
まず、(a)において、電機子コイルの各相のコイル群(U相、V相、W相)を構成する銅線を、軸方向に伸びる円柱状の巻き取り治具13に取付けた後、巻き取り治具13を所定の巻き取り方向14に回転させ、次に(b)で該巻き取り治具13を軸方向に移動させ、続いて(c)で、(a)工程での巻き取り治具13に取付けた前段の各相のコイル群に隣り合わせになるように、次段の各相のコイル群を構成する銅線を再び該治具に対して巻き取り方向14に巻き取る。これにより3相分のリング状コイルが2個連続した状態で製作される。このように前記(a)〜(c)の工程を(d)に示す如く繰り返し、ストロークが長くなる場合であっても、(e)に示すとおり3相の連続したリング状コイルを容易に製作することが可能となる。
図5は本発明の第2実施例を示す円筒形リニアモータを複数本並べて配置した場合であって、(a)はその正断面図、(b)は(a)の破線部の拡大図である。なお、図中の16は複数本の円筒形リニアモータの断面、17は位置決め部、LMは円筒形リニアモータを表す。
すなわち、本円筒形リニアモータLMを、例えば、図示のごとくH形状の治具上に複数本並べて用いる場合は、円筒形リニアモータの断面16において、段差部を有する位置決め部17を利用して位置決めを行うのである。
第2実施例は上記構成にしたので、電機子コイルを構成するリング状コイルの結線処理および渡り線を通すためのスペースをヨークの製作段階で確保でき、リニアモータを複数本同時に並べて用いる場合に個々のリニアモータの位置決めを容易に行うことができる。
図6は本発明の第3実施例を示す円筒形リニアモータの2相帯(U−U’)コイルの巻線方法を説明するための図であって、(a)は銅線を巻き取り治具に予め折り返して配置した状態、(b)は銅線を巻き取り治具にリング状連結コイルとして5回巻いた状態、(c)は銅線を巻き取り治具にリング状連結コイルとして10回巻いた状態、(d)は(c)のa−a線に沿う正断面図である。なお、(d)図は巻き取り治具の断面を省略して図示したものとなっている。
図6において、20はリング状連結コイルの巻き取り治具、21はリング状コイル作製用銅線、22はリング状コイル作製用銅線21の左側巻き取り対象部、23はリング状コイル作製用銅線21の右側巻き取り対象部、24はリング状コイル25とリング状コイル26を連結する渡り線、25は銅線巻き取り対象部22により作製されるリング状コイル、26は銅線巻き取り対象部23により作製されるリング状コイル、27は渡り線24とリング状コイル25、26から構成される2相帯(U−U’)のリング状連結コイルである。
図7において、28は渡り線保持部、29は渡り線保持部を径方向に伸縮させる伸縮機構、30は2相帯(U−U’)のリング状連結コイル作製用銅線の配置である。
具体的には、上記に述べた渡り線24となる銅線の折り返し部分は、図7に示すごとく巻き取り治具20に取付けた渡り線を保持するための渡り線保持部28に引っ掛けるようにし、図8に示す渡り線保持部28に装着してなる銅線の配置30の状態において、図中の矢印方向に回転させる。そして、巻き取り治具20に銅線22、23を巻き付けて各相のコイル群25、26を作製完了した後、コイル群の渡り線24が装着された渡り線保持部28を、巻き取り治具20の内部に設けた伸縮機構29により巻き取り治具20の径方向内側に向かって収納し、巻き取り治具21を連結コイルから引き抜くようにしている。
なお、図6(c)では、軸方向に1段あたり10回しか巻いていないが、渡り線24の長さを調整することで1段あたりの巻数を自由に調整することができる。当然、コイルの段数を増やしていけば、コイル1個あたりの巻数を自由に変えることもできる。
したがって、本発明の第3実施例は、銅線を予め銅線を折り返して巻き取り治具に配置後、巻き取り治具を単一方向にのみ回転させるだけで前記リング状連結コイルを作製するようにしたので、特にストロークが長い円筒形リニアモータの隣り合うコイルにおいて、逆向きに巻回してなる連結コイルの作製を容易に行うことが可能となる。
また、渡り線をコイル群の内径側に配置するようにしてあるので、連結コイル作製完了後、作成中に拘わらず、コイルが巻き取り治具上を滑って解けることがないので、コイル間の渡り線を短くすることができる。また、コイルの立ち上がり線のスペースを省略することができるので、コイルの占積率を高めることができる。
さらに、このような電機子コイルを円筒形リニアモータに適用すると、コイル間の結線処理がなく、各コイルの巻き始め部分に必要な銅線の立ち上がり線のスペースを省いた連続コイルを用いることで、円筒形リニアモータの電機子コイルの占積率を高めることができ、結果として損失を下げることができる。
図9は本発明の第4実施例を示す円筒形リニアモータの6相帯(U−W’−V−U’−W−V’)コイルの巻線方法を説明するための図であって、(a)はリング状連結コイルを作製する際の銅線の配置であり、(b)はリング状連結コイルとして5回巻いた状態、(c)はリング状連結コイルとして10回巻いた状態、(d)は(c)のa−a線に沿う正断面図、(e)は(c)のb−b線に沿う正断面図である。
図9において、31は6相帯のリング状連結コイルのうちU相コイル作製用の銅線、32はリング状コイル作製用銅線31の左側巻き取り対象部、33はリング状コイル作製用銅線31の右側巻き取り対象部、34はリング状コイル35とリング状コイル36を連結する渡り線、35は銅線巻き取り対象部32により作製されるリング状コイル、36は銅線巻き取り対象部33により作製されるリング状コイル、41は6相帯のリング状連結コイルのうちV相コイル作製用の銅線、42はリング状コイル作製用銅線41の左側巻き取り対象部、43はリング状コイル作製用銅線41の左側巻き取り対象部、44はリング状コイル45とリング状コイル46を連結する渡り線、45は銅線巻き取り対象部42により作製されるリング状コイル、46は銅線巻き取り対象部43により作製されるリング状コイル、51は6相帯のリング状連結コイルのうちW相コイル作製用の銅線である。
第4実施例が第3実施例と異なる点は、6相帯(U−W’−V−U’−W−V’)の連結コイルを作製する点である。すなわち、6相帯の連結コイルを作成する場合は、第3実施例に示した2相帯(U−U’)の連結コイルを要素コイルとし、3個分配置したものとなっている(U−U’、V−V’、W−W’)。
まず、図9(a)で、U、V、W各相コイル作製用銅線31、41、51を、予め略U字状に折り返して配置し、U相、V相の銅線の折り返し部分であるコイル群の渡り線34、44、同様にW相の銅線の折り返し部分となる渡り線(矢視せず)を巻き取り治具20に取り付けた後、図9(b)および(c)において、U相については巻き取り対象部32および33、V相については巻き取り対象部42および43、同様にW相の巻き取り対象部(矢視せず)を単一方向に回転させることにより、U相の各リング状コイル35および36、V相の各リング状コイル45および46、同様にW相の各リング状コイル(矢視せず)を作製する。なお、W相については銅線の折り返し部分の配置がU相、V相に対して上下方向反対になる点で異なるが、その他は同じである。
したがって、本発明の第4実施例は、6相帯(U−W’−V−U’−W−V’)の連結コイルを作製する場合は、従来技術であれば、予め2相帯(U−U’、V−V’、W−W’)の連結コイルを作製し、必要個数分組み合わせて6相帯の連結コイルを作製していたものを、図9(a)に示す通り、2相帯(U−U’)の連結コイルを作製するための銅線を並べて配置し、巻き取り治具を単一方向に回転させるだけで、6相帯の連結コイルを容易に作製することができる。
当然、6相帯に限らずN相帯の連結コイルは、同様な方法で容易に作製することができる。なお、巻き取り手順は第3実施例と同じである。
2 固定子、
3 パイプ、
4 円柱状磁石、
5 円柱状磁性体、
6 電機子コイル、
7 円筒状ヨーク、
8a、8b 円柱状磁石、
9 スペース、
10 接合部(段差)、
11 リング状コイル、
12 リング状コイル群の結線処理および渡り線部、
13 巻き取り治具、
14 リング状コイルの巻き取り方向、
15 リング状コイルの巻き取り後の移動方向、
16 複数本の円筒形リニアモータの断面、
17 位置決め部、
20 リング状連結コイルの巻き取り治具、
21 リング状コイル作製用銅線、
22 リング状コイル作製用銅線の左側巻き取り対象部、
23 リング状コイル作製用銅線の右側巻き取り対象部、
24 リング状コイル25とリング状コイル26を連結する渡り線、
25 銅線巻き取り対象部22により作製されるリング状コイル、
26 銅線巻き取り対象部23により作製されるリング状コイル、
27 渡り線24とリング状コイル25、26から構成される2相帯(U−U’)のリング状連結コイル、
28 渡り線保持部、
29 渡り線保持部の伸縮機構、
30 2相帯(U−U’)のリング状連結コイル作製用銅線の配置、
31 6相帯(U−W’−V−U’−W−V’)のリング状連結コイルを構成するU相コイル作製用の銅線、
32 リング状コイル作製用銅線31の左側巻き取り対象部、
33 リング状コイル作製用銅線31の右側巻き取り対象部、
34 リング状コイル35とリング状コイル36を連結する渡り線、
35 銅線巻き取り対象部32により作製されるリング状コイル、
36 銅線巻き取り対象部33により作製されるリング状コイル、
41 6相帯(U−W’−V−U’−W−V’)のリング状連結コイルを構成するV相コイル作製用の銅線、
42 リング状コイル作製用銅線41の左側巻き取り対象部、
43 リング状コイル作製用銅線41の左側巻き取り対象部、
44 リング状コイル45とリング状コイル46を連結する渡り線、
45 銅線巻き取り対象部42により作製されるリング状コイル、
46 銅線巻き取り対象部43により作製されるリング状コイル、
51 6相帯(U−W’−V−U’−W−V’)のリング状連結コイルを構成するW相コイル作製用の銅線、
LM 円筒形リニアモータ
Claims (9)
- 円筒形リニアモータの電機子コイルの巻線方法であって、
前記電機子コイルの各相のコイル群を構成する銅線を、予め略U字状に折り返して配置し、
該銅線の折り返し部分を前記コイル群の渡り線とすると共に、前記渡り線を構成する銅線の折り返し部分を軸方向に伸びる円筒状の巻き取り治具に取付けた渡り線を保持するための渡り線保持部に引っ掛けた後、該巻き取り治具を単一方向にのみ回転させ、
続いて、前記巻き取り治具に取付けた前段の各相のコイル群に隣り合わせになるように次段の各相コイル群を構成する銅線を同様の工程により連続してリング状コイルを製作し、
前記巻き取り治具に前記銅線を巻き付けて各相のコイル群を作製した後、前記コイル群の渡り線が装着された前記渡り線保持部を前記巻き取り治具の内径側に収納するようにしたことを特徴とする円筒形リニアモータ電機子コイルの巻線方法。 - 請求項1記載の巻線方法により製造された電機子コイルと、
前記電機子コイルを構成する複数個のコイル群を軸方向に等ピッチに配置した円筒状のヨークと、
を備えたことを特徴とする円筒形リニアモータ固定子。 - 前記ヨークは、略長方形に打ち抜いた薄板状鉄心を前記電機子コイルの外周に沿うように略円筒状に成形したものであり、前記略円筒状に成形された薄板状鉄心を巻回した際にできる接合部に段差を設けたことを特徴とする請求項2に記載の円筒形リニアモータ固定子。
- 前記固定子のヨークを形成する際に、前記電機子コイルと前記ヨークの段差との内面にできたスペースを利用して、前記電機子コイルを構成する多相のコイル群の結線処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の円筒形リニアモータ固定子。
- 前記固定子のヨークを形成する際に、前記ヨークの接合部にできた段差を利用して位置決めを行うことを特徴とする請求項3または4に記載の円筒形リニアモータ固定子。
- 請求項2に記載の円筒形リニアモータ固定子と、
前記固定子の内周に磁気的空隙を介して対向配置されると共に軸方向に伸びる円筒状のパイプと、該パイプの内側に挿設された多極に着磁してなる複数の円柱状磁石を有する可動子と、
を備えたことを特徴とする円筒形リニアモータ。 - 前記パイプ内に挿設された複数の円柱状磁石の軸方向長さの合計が、請求項2記載の電機子コイルの軸方向長さと前記可動子の駆動ストロークの和に等しく、かつ、前記電機子コイルの軸方向長さと前記可動子の駆動ストロークの和が、前記ヨークの軸方向長さ以下であることを特徴とする請求項6に記載の円筒形リニアモータ。
- 前記パイプ内に挿設された複数の円柱状磁石のうち、前記パイプ内の両端に位置する磁石の軸方向長さを他の磁石の軸方向長さより短くしたことを特徴とする請求項6または7に記載の円筒形リニアモータ。
- 前記パイプ内に挿設された複数の円柱状磁石の間に、該磁石の軸方向長さより短い円柱状磁性体を設けたことを特徴とする請求項6または7に記載の円筒形リニアモータ。
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