JP4710853B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、噴射ノズルの燃料溜の燃料圧力を増加可能な燃料噴射装置に関する。
(既存の技術)
噴射ノズルの燃料溜の燃料圧力を増加可能な燃料噴射装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の燃料噴射装置の一例を、図1(a)を参照して説明する。
燃料噴射装置のインジェクタ2は、図示上部に切替弁背圧室11を備える差圧切替弁12、切替弁背圧室11の内圧を切り替える電磁弁13、図示上部にノズル背圧室14を備える噴射ノズル15、中間部に差圧室16を備える増圧器17を具備する。
差圧切替弁12は、3方切替弁であり、高圧燃料が供給される切替弁背圧室11が電磁弁13によって低圧側に連通されることで切替弁背圧室11が低圧側へ切り替わり、差圧室16およびノズル背圧室14の内圧を下げる「低圧切替」を行う。
逆に、電磁弁13が切替弁背圧室11と低圧側の連通を遮断することで切替弁背圧室11が高圧側へ切り替わり、差圧室16およびノズル背圧室14の内圧を上げる「高圧切替」を行う。
電磁弁13は、通電停止時(OFF)に切替弁背圧室11と低圧側の連通を遮断し、通電時(ON)に切替弁背圧室11と低圧側を連通させるものであり、ONで差圧切替弁12を「低圧切替」させ、OFFで差圧切替弁12を「高圧切替」させるものである。
噴射ノズル15のノズル背圧室14は、差圧室16を介して差圧切替弁12により内圧が切り替わるものであり、差圧切替弁12の「低圧切替(電磁弁13のON)」によりノズル背圧室14が低圧側へ切り替わることで燃料を噴射し、逆に、差圧切替弁12の「高圧切替(電磁弁13のOFF)」によりノズル背圧室14が高圧側へ切り替わることで噴射停止を行う。
増圧器17は、2段の増圧ピストン51を用いた燃料加圧装置であり、差圧切替弁12の「低圧切替(電磁弁13のON)」により差圧室16が低圧側へ切り替わることで増圧ピストン51が下降して、増圧ピストン51の下部に形成された増圧室53内の燃料が加圧され、増圧室53に連通する噴射ノズル15の燃料溜44の燃料圧力をレール圧より高める。逆に、差圧切替弁12の「高圧切替(電磁弁13のOFF)」により差圧室16が高圧側へ切り替わることでリターンスプリング52の復元力によって増圧ピストン51が上昇して初期位置へ戻る。
なお、増圧室53は、一方向弁54aを含む燃料通路54を介してコモンレール1と連通しており、増圧ピストン51の停止中は、増圧室53および燃料溜44の燃料圧力がレール圧に維持される。
(既存技術の問題点)
上記で示したインジェクタ2は、電磁弁13の作動により差圧切替弁12が「低圧切替」されると、噴射ノズル15と増圧器17が同時に作動する。
このため、短時間噴射でも増圧器17が作動して燃料溜44の燃料圧力が上がることになるため、短時間噴射でも多くの燃料が噴射することになる。この結果、多段噴射、プレ噴射等の微小噴射時において、微小噴射量の制御が困難となっている。即ち、噴射量が極めて小さい微小噴射から噴射量が多めの微小噴射までを、高い精度で制御することが困難であった。また、噴射期間中に噴射率を可変して噴射率パターンを制御することも困難であった。
上記の不具合を回避する技術として、噴射ノズル15におけるノズル背圧室14と、差圧切替弁12の切替弁背圧室11(または、差圧切替弁12を廃止して、直接的に増圧器17の差圧室16)とを、独立して切替制御することが考えられる。
即ち、噴射ノズル15の作動切替を行う第1電磁弁と、増圧器17の作動切替を行う第2電磁弁とを用いることが考えられる。
しかし、第1、第2電磁弁をインジェクタ2に搭載すると、コスト上昇およびインジェクタ2の大型化を招いてしまう。
そこで、1つの電磁駆動部の作動により、2つの油圧室の油合を差動を設けて切替可能な技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この技術を用いることにより、噴射ノズル15の作動を切り替えるノズル背圧室14と、増圧器17の作動を切り替える差圧室16とを、差動を設けて切り替えることが可能になる。
しかるに、特許文献2に開示される技術は、軸方向へスライドするスプールによって2つの油圧室の油圧を切り替える技術であり、このスプールを1つの電磁駆動部(リニアソレノイド)で駆動するものであるため、特許文献2に開示される技術を用いて「噴射停止」、「非増圧噴射」、「増圧噴射」の切り替えを行おうとする場合、スプールの軸方向へのスライドによって「噴射停止」、「非増圧噴射」、「増圧噴射」の切り替えを行うことになる。この結果、「噴射停止」から「増圧噴射」に切り替えるには、スプールを長くストロークさせる必要があり、応答性が悪くなってしまう。
また、特許文献2に開示される技術は、スプールの外周面が油圧切替ポートを閉塞する構造であったため、スプールが油圧切替ポートを閉塞している状態であっても、スプールの摺動クリアランスにより油圧切替ポートを完全に閉塞することができず、リーク燃料が多くなる問題がある。
特開2006−161568号公報 特開平10−110658号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、「噴射停止」、「非増圧噴射」および「増圧噴射」の切り替えが可能で、さらに切り替えの応答性に優れた燃料噴射装置の提供にある。
[請求項1の手段]
請求項1の手段を採用する燃料噴射装置は、第1可動弁が第2可動弁に対して独立して変位可能に設けられるとともに、第1、第2アーマチャが共通の電磁駆動部によって個別に磁気吸引されるものであり、電磁駆動部に与えられる通電量に応じて、第1、第2可動弁の切替状態が異なるものである。具体的には、電磁駆動部に与えられる通電量が所定値より小さい第1駆動電流のとき、第1可動弁の第1アーマチャのみを移動させ、増圧器の増圧を停止させたまま、噴射ノズルの噴射作動への切替を行い、通電量が所定値より大きい第2駆動電流のとき、第1可動弁の第1アーマチャおよび第2可動弁の第2アーマチャを移動させて、増圧器の増圧作動への切替を行うとともに噴射ノズルの噴射作動を継続する。
これによって、電磁駆動部の通電量を制御することで、(1)第1可動弁だけを切り替えることで噴射ノズルだけを作動させ、増圧器を作動させずに燃料を噴射する「非増圧噴射」と、(2)第1、第2可動弁を同時に両方切り替えることで噴射ノズルと増圧器の両方を作動させて燃料を噴射する「増圧噴射」との2パターンの噴射形態を実施することが可能になる。
また、第1、第2可動弁の第1、第2アーマチャが電磁駆動部により個別に磁気吸引される構造であるため、作動停止から「非増圧噴射」までの応答性と、作動停止から「増圧噴射」までの応答性の両方を高くできる。
即ち、請求項1の手段を採用することにより、「噴射停止」、「非増圧噴射」および「増圧噴射」の切り替えが可能で、さらに切り替えの応答性に優れた燃料噴射装置を提供できる。
[請求項2の手段]
請求項2の手段を採用する燃料噴射装置の各機能部は、次の構成を採用する。
噴射ノズルは、高圧燃料が供給されるノズル背圧室の油圧変化により噴射と噴射停止を行うものである。
第1可動弁は、ノズル背圧室の油圧を直接的または間接的に切り替えるものである。
増圧器は、高圧燃料が供給される差圧室の油圧変化により増圧と増圧停止を行うものである。
第2可動弁は、差圧室の油圧を直接的または間接的に切り替えるものである。
[請求項3の手段]
請求項3の手段を採用する燃料噴射装置は、高圧燃料が供給される切替弁背圧室の油圧変化により、差圧室の圧力を高圧燃料側または低圧燃料側に切り替える差圧切替弁を備え、第2可動弁は、切替弁背圧室の油圧切替を行うことで、差圧室の油圧を間接的に切り替えるものである。
[請求項4の手段]
請求項4の手段を採用する燃料噴射装置におけるノズル背圧室は、差圧室と連通している。
これにより、第1可動弁の切り替えによるノズル背圧室の圧力制御に、第2可動弁の切り替えによる差圧室の圧力制御を付与することができ、ノズル背圧室の圧力制御幅を広げることができる。
このことを、例えば後述する実施例1に合わせて、ノズル背圧室が低圧切替されると噴射ノズルが燃料噴射を実施する場合を例に説明する。
第2可動弁が差圧室を高圧切替している作動状態で、第1可動弁がノズル背圧室を低圧切替した場合、ノズル背圧室には差圧室から燃料が流入するため、ノズル背圧室の圧力低下が緩やかになる。これによって、噴射ノズルの急激な開弁を抑えることができる。即ち、噴射ノズルにおけるニードルのリフト速度を抑えることができ、微小噴射の制御性を向上させることができる。
また、第1可動弁がノズル背圧室を低圧切替するとともに、第2可動弁が作動して差圧室を低圧切替した場合、ノズル背圧室は第1可動弁による低圧切替に加え、差圧室へも燃料が流出するため、ノズル背圧室の圧力を素早く低圧に切り替えることができる。これによって、噴射ノズルを素早く開弁させることができる。即ち、噴射ノズルにおけるニードルのリフト速度を高めることができ、短時間に大噴射(噴射率の大きな噴射)を実施することが可能になる。
[請求項5の手段]
請求項5の手段を採用する燃料噴射装置における第2可動弁は、差圧室の油圧を直接的に切り替えるものである。
これにより、上記請求項3で示した差圧切替弁を廃止できるため、コスト低下および燃料噴射装置の小型化が可能になる。
[請求項6の手段]
請求項6の手段を採用する燃料噴射装置の第1弁体は、ノズル背圧室を低圧側に連通する第1低圧燃料通路の開閉を行うことで、噴射ノズルの噴射と噴射停止の作動切替を行うものであり、第2弁体は、切替弁背圧室を低圧側に連通する第2低圧燃料通路の開閉を行うことで、増圧器の増圧と増圧停止の作動切替を行うものである。
そして、第1弁体は、第1低圧燃料通路の途中に設けられた第1弁口の周囲に押付けられて着座することで第1弁口を閉塞するように設けられるものであり、第2弁体は、第2低圧燃料通路の途中に設けられた第2弁口の周囲に押付けられて着座することで第2弁口を閉塞するように設けられるものである。
このように、第1、第2弁体が、第1、第2低圧燃料通路を開閉する第1、第2弁口の周囲に着座して、第1、第2弁口を閉塞するものであるため、スプールを用いる従来技術に比較して第1、第2弁口の閉塞率が高まる。これによって、第1、第2弁口の閉塞時におけるリーク燃料を少なくすることができる。
[請求項7の手段]
請求項7の手段を採用する燃料噴射装置における第1、第2可動弁は、電磁駆動部の両側に配置され、電磁駆動部の作動により、相対する方向に作動するものである。
[請求項8の手段]
請求項8の手段を採用する燃料噴射装置における第1、第2可動弁は、電磁駆動部の一方に配置され、電磁駆動部の作動により、同方向に作動するものである。
最良の形態における燃料噴射装置は、高圧燃料が供給される燃料溜を備え、この燃料溜の燃料の噴射と噴射停止の作動を行う噴射ノズルと、燃料溜の高圧燃料の増圧と増圧停止の作動を行う増圧器と、噴射ノズルの噴射と噴射停止の作動切替を行う第1弁体、およびこの第1弁体と一体に移動する第1アーマチャを備える第1可動弁と、増圧器の増圧と増圧停止の作動切替を行う第2弁体、およびこの第2弁体と一体に移動する第2アーマチャを備える第2可動弁とを具備する。
第1可動弁は、第2可動弁に対して独立して変位可能に設けられるとともに、第1、第2アーマチャは、共通の電磁駆動部によって個別に磁気吸引されるものであり、電磁駆動部に与えられる通電量に応じて、第1、第2可動弁の切替状態が異なるものである。
実施例1では、先ず図1(a)を参照して本発明が適用されていない既存の燃料噴射装置の概略構成を「参考例」として説明し、その後で図1(b)、図2を参照して本発明が適用された燃料噴射装置を「実施例1の特徴」として説明する。
〔参考例の説明〕
燃料噴射装置は、エンジン(例えばディーゼルエンジン:図示しない)の各気筒に燃料噴射を行うコモンレール式燃料噴射装置であり、コモンレール1、インジェクタ2、サプライポンプ(図示しない)、制御装置(図示しない)等によって構成される。
コモンレール1は、インジェクタ2に供給する高圧燃料を蓄圧する周知な蓄圧容器であり、コモンレール1に蓄圧された燃料は、インジェクタ配管を介してインジェクタ2へ供給される。コモンレール1内に蓄圧する燃料圧力(レール圧)は、サプライポンプからコモンレール1に供給されるポンプ吐出量、およびコモンレール1から燃料を溢流させる減圧弁によって調圧される。また、コモンレール1には、プレッシャリミッタが取り付けられており、コモンレール1内のレール圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール1内のレール圧が限界設定圧以下に抑えられる。減圧弁またはプレッシャリミッタから溢流した燃料は、リリーフ配管を経て燃料タンク3に戻される。なお、減圧弁は、設けられない場合もある。
インジェクタ2は、エンジンの各気筒毎に搭載されるものであり、コモンレール1より分岐する複数のインジェクタ配管の下流端に接続されて、コモンレール1に蓄圧された高圧燃料を各気筒内に噴射供給するもので、その具体的な構成は後述する。
なお、インジェクタ2からのリーク燃料も、リリーフ配管を経て燃料タンク3に戻される。
サプライポンプは、コモンレール1へ高圧燃料を圧送する高圧燃料ポンプであり、燃料タンク3内の燃料をサプライポンプ内へ吸引するフィードポンプと、フィードポンプが吸い上げた燃料を加圧してコモンレール1へ圧送する高圧ポンプとを備える。フィードポンプおよび高圧ポンプは共通のカムシャフトによって駆動されるものであり、このカムシャフトは、エンジンによって回転駆動される。
サプライポンプには、フィードポンプから高圧ポンプの加圧室内に燃料を導く燃料流路に、その燃料流路の開度度合を調整するためのSCV(吸入調量弁)が搭載されている。SCVは、制御装置からのポンプ駆動信号によって制御されることにより、加圧室内に吸入される燃料の吸入量を調整し、コモンレール1へ圧送する燃料の吐出量を変更する調量バルブであり、コモンレール1へ圧送する燃料の吐出量を調整することによりレール圧を調整する。即ち、制御装置はSCVを制御することにより、レール圧を車両走行状態に応じた圧力に制御する。
(インジェクタ2の説明)
次に、本発明が適用されていない参考例のインジェクタ2の構成を、図1の上側を上、図1の下側を下として説明する。なお、この上下は説明のためのものであり、実際の搭載方向にに関わるものではない。
インジェクタ2は、上部に形成された切替弁背圧室11の内圧変化により切り替えられる差圧切替弁12と、切替弁背圧室11の内圧を変化させる電磁弁13と、上部に形成されたノズル背圧室14の内圧変化により噴射と噴射停止が切り替えられる噴射ノズル15と、中間部に形成された差圧室16の内圧変化により増圧と増圧停止(初期位置へ戻るを含む)が切り替えられる増圧器17とを備える。
(差圧切替弁12の説明)
差圧切替弁12は、3方切替弁であり、インジェクタボディ21の上下方向に摺動自在に支持される切替可動弁22を備える。この切替可動弁22の上部には、インジェクタボディ21の上下方向に摺動自在に支持される摺動ピストンが設けられ、切替可動弁22の下部には、上方から下方に向かって上部弁体、小径部、下部弁体が形成されている。
切替可動弁22の上側には、燃料の圧力によって切替可動弁22に下向き(高圧切替方向)の力を発生させるための切替弁背圧室11が形成されている。この切替弁背圧室11は、摺動ピストンの上面とインジェクタボディ21とで囲まれる空間によって形成される。
切替弁背圧室11は、コモンレール1から高圧燃料が供給される等圧室23に通じる高圧燃料通路24と接続されており、等圧室23に供給される高圧燃料が高圧燃料通路24、およびこの高圧燃料通路24に設けられた入口オリフィス24aを介して供給されるようになっている。
また、切替弁背圧室11は、低圧側(リリーフ配管を介して燃料タンク3に連通する側)に通じる低圧燃料通路25と接続されており、低圧燃料通路25に設けられた出口オリフィス25aを介して切替弁背圧室11内の燃料が排出可能に設けられている。
この低圧燃料通路25は、電磁弁13によって開閉されるものであり、電磁弁13が低圧燃料通路25(出口オリフィス25a)を開くことで切替弁背圧室11の内圧が下がり、切替可動弁22が差圧で上昇する。逆に、電磁弁13が低圧燃料通路25(出口オリフィス25a)を閉じることで切替弁背圧室11の内圧が上がり、切替可動弁22が差圧で下降する。
差圧切替弁12は、上部弁体と下部弁体で挟まれる空間(小径部の周囲の空間)によって弁室を形成している。この弁室は、常に燃料通路26を介して差圧室16内と連通する。
上部弁体は、差圧室16に通じる燃料通路26と、低圧側に通じる低圧燃料通路27の連通と遮断の切替を行うものであり、切替可動弁22が下降すると上部弁体がインジェクタボディ21に着座して燃料通路26と低圧燃料通路27の連通を遮断し、逆に切替可動弁22が上昇すると燃料通路26と低圧燃料通路27を連通させる。
下部弁体は、差圧室16に通じる燃料通路26と、等圧室23に通じる高圧燃料通路28の連通と遮断の切り替えを行うものであり、切替可動弁22が下降すると差圧室16と高圧燃料通路28を連通し、逆に切替可動弁22が上昇するとインジェクタボディ21に着座して差圧室16と高圧燃料通路28の連通を遮断する。
差圧切替弁12は、上記の構成を採用することで、電磁弁13が低圧燃料通路25を開くことで、切替弁背圧室11の内圧が低下して切替可動弁22が上昇し、差圧室16の連通先が低圧燃料通路27に切り替わることで、増圧器17の差圧室16、およびこの差圧室16に連通する噴射ノズル15のノズル背圧室14の内圧を下げる「低圧切替」を実行する。
逆に、電磁弁13が低圧燃料通路25を閉じることで、切替弁背圧室11の内圧が上昇して切替可動弁22が下降し、差圧室16の連通先が高圧燃料通路28に切り替わることで、増圧器17の差圧室16、およびこの差圧室16に連通する噴射ノズル15のノズル背圧室14の内圧を上げる「高圧切替」を実行する。
なお、切替可動弁22に一方向(例えば、上方)へ向かうバネ力を作用させるものであっても良い。
(電磁弁13の説明)
電磁弁13は、例えば、インジェクタボディ21の上部に締結固定されるものであり、低圧燃料通路25における出口オリフィス25aの開閉を行う可動弁31、低圧燃料通路25を閉じる方向へ可動弁31を付勢するリターンスプリング32、および可動弁31を磁気吸引して低圧燃料通路25を開かせる電磁駆動部33から構成される。
可動弁31は、上下方向(軸方向)へ摺動自在に支持され、下端面において低圧燃料通路25の出口オリフィス25aを閉塞可能な弁体31aと、この弁体31aの上部に固定された略円板形状を呈する磁性体製のアーマチャ31bとからなる。
電磁駆動部33は、絶縁被覆が形成された導電線を多数巻回してなるコイル34と、このコイル34を収容する磁性体製のステータ35とからなる。
そして、電磁駆動部33は、コイル34が通電(ON)されることでアーマチャ31bを上方へ磁気吸引して低圧燃料通路25の出口オリフィス25aを開き、切替弁背圧室11を低圧側へ連通させ、コイル34の通電が停止(OFF)されることでアーマチャ31bがリターンスプリング32の作用で低圧燃料通路25の出口オリフィス25aを閉塞し、切替弁背圧室11と低圧側の連通を遮断する。
この作動により、電磁弁13のONで差圧切替弁12を「低圧切替」させ、OFFで差圧切替弁12を「高圧切替」させることができる。
(噴射ノズル15の説明)
噴射ノズル15は、燃料の噴射と停止を切り替えるものであり、インジェクタボディ21の下部に締結されるノズルホルダ41の内部において上下方向(軸方向)へ摺動自在に支持されるニードル42を備え、このニードル42は、スプリング42aの付勢力により下方へ付勢されている。
ニードル42は、上部に設けられたニードル摺動部がノズルホルダ41内において摺動自在に支持されるものであり、ニードル42の下端円錐部がノズルホルダ41の下端内面に形成された環状シートに着座または離座する。なお、ノズルホルダ41の下端には、環状シートの内側と外部とを連通する噴孔43が複数形成されている。
ニードル42の中間部には、ニードル42とノズルホルダ41に囲まれる空間によって燃料溜44が形成されている。この燃料溜44は、後述する増圧室53と燃料通路45を介して連通しており、増圧室53の燃料圧力が燃料溜44に供給される。また、燃料溜44は、ニードル42の下側とノズルホルダ41の隙間に形成される下側空間と連通しており、ニードル42の離座時に燃料溜44に供給された燃料が下側空間を通って噴孔43から噴射される。なお、燃料溜44および下側空間に供給される高圧燃料は、ニードル42の径差に作用して、ニードル42に対して上向き(離座方向)の力を発生させる。
ニードル摺動部の上部には、燃料の圧力によってニードル42に下向き(着座方向)の力を発生させるためのノズル背圧室14が形成されている。このノズル背圧室14は、ニードル摺動部の上面、インジェクタボディ21およびノズルホルダ41で囲まれる空間で形成される。ノズル背圧室14は、増圧器17の差圧室16と燃料通路46を介して接続されている。この燃料通路46には、流路面積を絞るオリフィス46aが設けられるとともに、このオリフィス46aと並列に一方向弁46bが設けられている。
この一方向弁46bは、差圧室16からノズル背圧室14へ燃料を流し、逆にノズル背圧室14から差圧室16へ燃料を流すのを停止するものであり、ニードル42の上昇速度(ニードル背圧室14の降圧速度)を遅くし、ニードル42の下降速度(ニードル背圧室14の昇圧速度)を速める手段である。なお、図1(b)では一方向弁46bを用いていない例を示しているが、一方向弁46bを設けるものであっても良い。
ノズル背圧室14が連通する差圧室16の内圧は、上述したように、差圧切替弁12によって高圧または低圧に切り替えられる。即ち、噴射ノズル15のノズル背圧室14は、差圧室16を介して差圧切替弁12により内圧が切り替わる。
このため、差圧切替弁12の「低圧切替(電磁弁13のON)」により差圧室16の内圧が低下すると、差圧室16を介してノズル背圧室14の内圧も低下する。ニードル42の下向き(着座方向)の力より、ニードル42の上向き(離座方向)の力が上回ると、ニードル42がリフトして燃料溜44に供給された高圧燃料が噴孔43から噴射される。
逆に、差圧切替弁12の「高圧切替(電磁弁13のOFF)」により差圧室16の内圧が上昇すると、差圧室16を介してノズル背圧室14の内圧も上昇する。ニードル42の下向き(着座方向)の力が、ニードル42の上向き(離座方向)の力より上回ると、ニードル42が下降する。そして、ニードル42がノズルホルダ41に着座することで噴孔43からの燃料噴射が停止される。
(増圧器17の説明)
増圧器17は、等圧室23に対する差圧室16の圧力低下により下方へ変位する増圧ピストン51と、この増圧ピストン51を初期位置(上方)へ戻すリターンスプリング52とを備える。
増圧ピストン51は、インジェクタボディ21の内部で上下方向に摺動自在に支持される。この増圧ピストン51には、上方より下方へ向けて、バネ座、バネ収容軸、大径部および小径部が設けられている。
バネ座およびバネ収容軸は、コモンレール1より高圧燃料を受ける等圧室23内に配置されるものであり、この等圧室23は常にレール圧に保たれる。等圧室23の高圧燃料は、増圧ピストン51の上側の径差に作用して、増圧ピストン51に下向き(増圧方向)の力を発生させる。
バネ座は、増圧ピストン51を上方(初期位置復帰方向)へ付勢するリターンスプリング52の着座部である。リターンスプリング52は、復元力によりバネ座を上方へ付勢する圧縮コイルスプリングである。
大径部および小径部は、ともにインジェクタボディ21に摺動自在に支持されるものであり、大径部と小径部の段差と、インジェクタボディ21との間に差圧室16が形成される。
また、小径部の下面と、インジェクタボディ21との間には、増圧ピストン51の上下変位によって容積が変化し、増圧ピストン51の下降によって燃料の加圧が行われる増圧室53が形成されている。
この増圧室53は、等圧室23から増圧室53のみに燃料を流す一方向弁54aを備えた燃料通路54を介して等圧室23に連通している。このため、増圧ピストン51が停止状態および初期位置へ戻る上昇中は増圧室53および噴射ノズル15の燃料溜44の燃料圧力がレール圧に維持され、増圧ピストン51が下降すると増圧室53の内圧が高まり、増圧室53および燃料溜44の燃料圧力がレール圧より高まる。
差圧室16の内圧は、上述したように、差圧切替弁12によって高圧または低圧に切り替えられる。
このため、差圧切替弁12の「低圧切替(電磁弁13のON)」により差圧室16が低圧側へ切り替わると、増圧ピストン51の上向き(初期位置復帰方向)の力より、増圧ピストン51の下向き(増圧方向)の力が上回り、増圧ピストン51が下降して増圧室53の容積が減少し、増圧室53および噴射ノズル15の燃料溜44の燃料圧力がレール圧より高まる。
逆に、差圧切替弁12の「高圧切替(電磁弁13のOFF)」により差圧室16が高圧側へ切り替わると、増圧ピストン51の上向き(初期位置復帰方向)の力が、増圧ピストン51の下向き(増圧方向)の力より上回り、増圧ピストン51が上昇して増圧ピストン51が初期位置(上側)に復帰する。
〔実施例1の特徴〕
上記参考例で示した燃料噴射装置は、電磁弁13がONされて差圧切替弁12が「低圧切替」に切り替わると、噴射ノズル15が燃料噴射を行うとともに、増圧器17が噴射ノズル15の燃料圧力を増圧させる。
このため、短時間噴射でも増圧器17が作動して燃料溜44の燃料圧力が上がることになり、短時間噴射でも多くの燃料が噴射することになる。この結果、多段噴射、プレ噴射等の微小噴射時において、微小噴射量の制御が困難となる。即ち、噴射量が極めて小さい微小噴射から噴射量が多めの微小噴射までを、高い精度で制御することが困難である。
また、噴射期間中に噴射率を可変して噴射率パターンを制御することも困難である。
そこでこの実施例1では、上記の問題点を解決すべく本発明を採用している。
この実施例1のインジェクタ2は、本発明を採用するため、高圧燃料が供給される燃料溜44を備え、この燃料溜44の燃料の噴射と噴射停止の作動を行う噴射ノズル15と、燃料溜44の高圧燃料の増圧と増圧停止の作動を行う増圧器17と、噴射ノズル15の噴射と噴射停止の作動切替を行う第1弁体61a、およびこの第1弁体61aと一体に移動する第1アーマチャ61bを備える第1可動弁61と、増圧器17の増圧と増圧停止の作動切替を行う第2弁体31a、およびこの第2弁体31aと一体に移動する第2アーマチャ31bを備える第2可動弁31とを具備する。
そして、第1可動弁61は、第2可動弁31に対して独立して変位可能に設けられるとともに、第1アーマチャ61bおよび第2アーマチャ31bは、共通の電磁駆動部33によって個別に磁気吸引されるものであり、電磁駆動部33に与えられる通電量に応じて、第1可動弁61および第2可動弁31の切替状態が異なるものである。
なお、第2可動弁31(第2弁体31a、第2アーマチャ31b)および第2低圧燃料通路25は、上記参考例で示した可動弁31(弁体31a、アーマチャ31b)および低圧燃料通路25と同一の機能を果たすものであり、同一符号を付して説明する。
実施例1のインジェクタ2は、上記参考例に対し、電磁弁13の構造が異なるとともに、ノズル背圧室14の背圧制御を電磁弁13で独立制御可能とするために、新たにノズル背圧室14と低圧側とを連通する第1低圧燃料通路62を設けることで本発明を採用している。
実施例1の電磁弁13は、上述した第1可動弁61、第2可動弁31、電磁駆動部33およびリターンスプリング32を備える。
この実施例1の電磁弁13は、第1可動弁61および第2可動弁31が電磁駆動部33の上下両側に別れて配置され、電磁駆動部33の作動により、相対する方向に作動するものである。
第1可動弁61は、電磁駆動部33の下側に配置されるものであり、軸方向へ摺動自在に支持されて下端面において第1低圧燃料通路62を閉塞可能な第1弁体61aと、この第1弁体61aの上部に固定された略円板形状を呈する磁性体製の第1アーマチャ61bとからなる。
第1弁体61aは、ノズル背圧室14を低圧側に連通する第1低圧燃料通路62(具体的には、第1低圧燃料通路62に設けられた出口オリフィス62a)の開閉を行うことで、噴射ノズル15の噴射と噴射停止の作動切替を行うものであり、第1低圧燃料通路62の途中に設けられた第1弁口(この実施例では、出口オリフィス62a)の周囲に押付けられて着座することで第1弁口を閉塞するものである。
第2可動弁31は、電磁駆動部33の上側に配置されるものであり、軸方向へ摺動自在に支持され、上端面において第2低圧燃料通路25を閉塞可能な第2弁体31aと、この第2弁体31aの下部に固定された略円板形状を呈する磁性体製の第2アーマチャ31bとからなる。
第2弁体31aは、切替弁背圧室11を低圧側に連通する第2低圧燃料通路25(具体的には、第2低圧燃料通路25に設けられた出口オリフィス25a)の開閉を行うことで、差圧切替弁12の切り替えを行い、増圧器17の増圧と増圧停止の作動切替を行うものであり、第2低圧燃料通路25の途中に設けられた第2弁口(この実施例では、出口オリフィス25a)の周囲に押付けられて着座することで第2弁口を閉塞するものである。
電磁駆動部33は、制御装置から与えられる通電量(駆動電流値)に応じて、第1可動弁61および第2可動弁31の切替状態が異なるものであり、制御装置から電磁駆動部33に図2(b)に示す所定の駆動電流値(以下、第1駆動電流)が与えられた場合に第1可動弁61だけを開弁させ、制御装置から電磁駆動部33に図2(a)に示す所定の駆動電流値(第1駆動電流より電流値が高いもので、以下、第2駆動電流)が与えられた場合に第1可動弁61と第2可動弁31の両方を開弁させるものである。
電磁駆動部33は、参考例と同様、コイル34、ステータ35で構成されるものであり、制御装置から与えられる第1、第2駆動電流に応じて第1可動弁61および第2可動弁31を作動させるための手段として、第1可動弁61の磁気吸引力を、第2可動弁31の磁気吸引力より大きくしている。
具体的に、電磁駆動部33は、参考例と同様、コイル34とステータ35で構成されるものであるが、第1可動弁61の磁気吸引力を、第2可動弁31の磁気吸引力より大きくするために、コイル34を上下に分けて配置し、第1可動弁61を駆動する下側のコイル34aの発生磁力を大きく、上側のコイル34bの発生磁力を小さくするべく、下側のコイル34aの巻数を、上側のコイル34bの巻数より多くしている。ここで、下側、上側のコイル34a、34bは、2つのコイルをシリーズ結線したものであっても良いし、並列結線したものであっても良い。あるいは、1本の導電線を2部位に分けて巻回したものであっても良い。
また、この実施例とは異なり、コイル34を分けずに1つで設け、第1アーマチャ61bとステータ35の対向面積を、第2アーマチャ31bとステータ35の対向面積より大きくしても良い。あるいは、コイル34を分けずに1つで設け、後述する実施例2で示すように、第1可動弁61を閉弁方向へ付勢するリターンスプリングと、第2可動弁31を閉弁方向へ付勢するリターンスプリングとを別々に設け、第1可動弁61を付勢するリターンスプリングの付勢力を、第2可動弁31を付勢するリターンスプリングの付勢力より小さく設けても良い。
以上のように設けることにより、電磁駆動部33に第1駆動電流を与えることで第1可動弁61だけを開弁させることができ、電磁駆動部33に第2駆動電流を与えることで第1可動弁61と第2可動弁31の両方を開弁させることができる。
(実施例1の効果)
この実施例1のインジェクタ2は、上述したように、第1可動弁61が第2可動弁31に対して独立して変位可能に設けられるとともに、第1アーマチャ61bおよび第2アーマチャ31bが共通の電磁駆動部33によって個別に磁気吸引される。
そして、図2(c)に示すように、電磁駆動部33に第1駆動電流(図中矢印a参照)を与えることで、第1可動弁61だけを開弁させ、噴射ノズル15だけを作動させて増圧器17を作動させずに燃料を噴射する「非増圧噴射(図中矢印a’参照)」を実施できるとともに、電磁駆動部33に第2駆動電流(図中矢印b参照)を与えることで、第1可動弁61および第2可動弁31を同時に開弁させ、噴射ノズル15と増圧器17の両方を作動させて燃料を噴射する「増圧噴射(図中矢印b’参照)」を実施できる。即ち、電磁駆動部33に与える通電量に応じて「非増圧噴射」と「増圧噴射」の2パターンの噴射形態を得ることができる。
「非増圧噴射」では上述したように増圧器17が作動しないため、燃料溜44の燃料圧力がレール圧に保たれ、短時間噴射中であっても増圧器17が作動して噴射量が多くなることがない。これにより、「非増圧噴射」では、微小噴射量の制御が容易になる。即ち、図2(c)の矢印a’に示す多段噴射、プレ噴射等の微小噴射時において、微小噴射量の制御が容易になる。
また、「増圧噴射」では、噴射ノズル15と増圧器17の両方が作動して、レール圧より増圧した燃料をインジェクタ2から噴射することができる。これにより、図2(c)の矢印b’に示すメイン噴射時に噴射燃料の高圧化を図ることができ、環境改善のためのCO2 排出量の削減など、排気ガス浄化が可能になる。
さらに、第1駆動電流と第2駆動電流の間隔を可変制御することで、図2(c)に示すように微小噴射とメイン噴射とを独立して噴射させることができるとともに、図2(d)に示すように微小噴射中にメイン噴射を開始する噴射率パターンを得ることができる。
実施例1のインジェクタ2は、上述したように、第1可動弁61の第1アーマチャ61bおよび第2可動弁31の第2アーマチャ31bが電磁駆動部33により個別に磁気吸引される構造である。このため、電磁駆動部33に駆動電流を与えない「噴射停止(電磁弁13のOFF)」から「非増圧噴射」までの応答性と、「噴射停止」から「増圧噴射」までの応答性の両方を高くできる。
即ち、実施例1のインジェクタ2は、「噴射停止」、「非増圧噴射」および「増圧噴射」の切り替えが可能で、さらに切り替えの応答性に優れる。
実施例1のインジェクタ2は、上述したように、第1、第2弁体61a、31aが、第1、第2低圧燃料通路62、25を開閉する第1、第2弁口(出口オリフィス62a、25a)の周囲に着座して、第1、第2弁口を閉塞するものであるため、スプールを用いる従来技術に比較して第1、第2弁口の閉塞率が高まる。これによって、第1、第2弁口の閉塞時におけるリーク燃料を少なくすることができる。即ち、インジェクタ2の静リーク量(インジェクタ2の非作動時のリーク量)を抑えることができる。
この実施例1のインジェクタ2は、上述したように、電磁弁13の変更と、第1低圧燃料通路62の追加のみで、本発明を実施することができる。このため、本発明が適用されたインジェクタ2のコスト上昇を抑えることができる。
この実施例1のインジェクタ2は、ノズル背圧室14が差圧室16とオリフィス46aを備えた燃料通路46を介して連通している。
このため、第2可動弁31が差圧室16を高圧切替している切替状態で、第1可動弁61がノズル背圧室14を低圧切替した場合、ノズル背圧室14には差圧室16から燃料通路46を介して燃料が流入するため、ノズル背圧室14の圧力低下が緩やかになる。これによって、ニードル42のリフト速度を抑えることができ、微小噴射の制御性を向上させることができる。
また、第1可動弁61がノズル背圧室14を低圧切替するとともに、第2可動弁31が差圧室16を低圧切替した場合、ノズル背圧室14は第1可動弁61による低圧切替に加え、差圧室16へも燃料通路46を介して燃料が流出するため、ノズル背圧室14の圧力を素早く低圧に切り替えることができる。これによって、ニードル42のリフト速度を速めることができ、短時間に大噴射(噴射率の大きな噴射)を実施できる。
実施例2のインジェクタ2を図3を参照して説明する。なお、実施例2において、実施例1と同一符号は、同一機能物を示すものである。
この実施例2の第1可動弁61および第2可動弁31は、電磁駆動部33の一方に配置され、電磁駆動部33の作動により、同方向に作動するものである。
第1可動弁61および第2可動弁31は、共に電磁駆動部33の下方に配置されたものであり、第2可動弁31の周囲に第1可動弁61が同軸上に配置され、第1可動弁61および第2可動弁31が独立して第1低圧燃料通路62および第2低圧燃料通路25の開閉を行うものである。
また、この実施例2は、電磁駆動部33のコイル34を1つに設けるとともに、第1可動弁61を閉弁方向へ付勢する第1リターンスプリング32aと、第2可動弁31を閉弁方向へ付勢する第2リターンスプリング32bとを別々に設けたものであり、第1リターンスプリング32aの付勢力を第2リターンスプリング32bの付勢力より小さく設けることにより、電磁駆動部33に第1駆動電流を与えることで第1可動弁61だけを開弁させ、電磁駆動部33に第2駆動電流を与えることで第1可動弁61と第2可動弁31の両方を開弁させるように設けられている。
この実施例2を採用しても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
〔変形例〕
上記の実施例では、第2可動弁31が切替弁背圧室11の油圧切替を行う例を示したが、差圧切替弁12を廃止して、第2可動弁31が直接的に差圧室16の油圧切替を行うように設けても良い。このように、差圧切替弁12を廃止することで、コスト低下およびインジェクタ2の小型化が可能になる。
上記の実施例では、差圧室16とノズル背圧室14とを燃料通路46を介して連通して設ける例を示したが、差圧室16とノズル背圧室14とを連通することで得られる1つの効果である微小噴射の制御性の向上は、第1可動弁61だけが油圧切替されている際に、ノズル背圧室14に燃料を供給すれば得られるものであるため、差圧室16とノズル背圧室14の直接連通を廃止し、代わりにノズル背圧室14を等圧室23等の高圧燃料供給部とオリフィスを介して連通させても良い。
燃料噴射装置の概略図である(参考例と実施例1)。 第1駆動電流および第2駆動電流の波形図、電磁駆動部に与える駆動電流と噴射率の関係を示すタイムチャートである(実施例1)。 燃料噴射装置の概略図である(実施例2)。
符号の説明
11 切替弁背圧室
12 差圧切替弁
14 ノズル背圧室
15 噴射ノズル
16 差圧室
17 増圧器
25 第2低圧燃料通路
25a 出口オリフィス(第2低圧燃料通路の途中に設けられた第2弁口)
31 第2可動弁
31a 第2弁体
31b 第2アーマチャ
33 電磁駆動部
44 燃料溜
61 第1可動弁
61a 第1弁体
61b 第1アーマチャ
62 第1低圧燃料通路
62a 出口オリフィス(第1低圧燃料通路の途中に設けられた第1弁口)

Claims (8)

  1. 高圧燃料が供給される燃料溜を備え、この燃料溜の燃料の噴射と噴射停止の作動を行う噴射ノズルと、
    前記燃料溜の高圧燃料の増圧と増圧停止の作動を行う増圧器と、
    前記噴射ノズルの噴射と噴射停止の作動切替を行う第1弁体、およびこの第1弁体と一体に移動する第1アーマチャを備える第1可動弁と、
    前記増圧器の増圧と増圧停止の作動切替を行う第2弁体、およびこの第2弁体と一体に移動する第2アーマチャを備える第2可動弁とを具備し、
    前記第1可動弁は、前記第2可動弁に対して独立して変位可能に設けられるとともに、前記第1、第2アーマチャは、共通の電磁駆動部によって個別に磁気吸引されるものであり、
    前記電磁駆動部に与えられる通電量が所定値より小さい第1駆動電流のとき、前記第1可動弁の第1アーマチャのみを移動させ、前記増圧器の増圧を停止させたまま、前記噴射ノズルの噴射作動への切替を行い、前記通電量が前記所定値より大きい第2駆動電流のとき、前記第1可動弁の第1アーマチャおよび前記第2可動弁の第2アーマチャを移動させて、前記増圧器の増圧作動への切替を行うとともに前記噴射ノズルの噴射作動を継続することを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記噴射ノズルは、高圧燃料が供給されるノズル背圧室の油圧変化により噴射と噴射停止を行うものであり、
    前記第1可動弁は、前記ノズル背圧室の油圧を直接的または間接的に切り替えるものであり、
    前記増圧器は、高圧燃料が供給される差圧室の油圧変化により増圧と増圧停止を行うものであり、
    前記第2可動弁は、前記差圧室の油圧を直接的または間接的に切り替えることを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
    この燃料噴射装置は、高圧燃料が供給される切替弁背圧室の油圧変化により、前記差圧室の圧力を高圧燃料側または低圧燃料側に切り替える差圧切替弁を備え、
    前記第2可動弁は、前記切替弁背圧室の油圧切替を行うことで、前記差圧室の油圧を間接的に切り替えることを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 請求項3に記載の燃料噴射装置において、
    前記ノズル背圧室は、前記差圧室と連通していることを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2可動弁は、前記差圧室の油圧を直接的に切り替えることを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 請求項3または請求項4に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1弁体は、前記ノズル背圧室を低圧側に連通する第1低圧燃料通路の開閉を行うことで、前記噴射ノズルの噴射と噴射停止の作動切替を行うものであり、
    前記第2弁体は、前記切替弁背圧室を低圧側に連通する第2低圧燃料通路の開閉を行うことで、前記増圧器の増圧と増圧停止の作動切替を行うものであり、
    前記第1弁体は、前記第1低圧燃料通路の途中に設けられた第1弁口の周囲に押付けられて着座することで前記第1弁口を閉塞するように設けられるものであり、
    前記第2弁体は、前記第2低圧燃料通路の途中に設けられた第2弁口の周囲に押付けられて着座することで前記第2弁口を閉塞するように設けられることを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記第1、第2可動弁は、前記電磁駆動部の両側に配置され、前記電磁駆動部の作動により、相対する方向に作動することを特徴とする燃料噴射装置。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の燃料噴射装置において、
    前記第1、第2可動弁は、前記電磁駆動部の一方に配置され、前記電磁駆動部の作動により、同方向に作動することを特徴とする燃料噴射装置。
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