以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態における電子部品実装装置の制御系のブロック図、図4は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの部分側面図、図5は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの拡大部分側面図、図6は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの部分拡大図、図7は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの軸部材の一部断面分解図、図8は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの軸部材の部分斜視図、図9は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの部分拡大図、図10は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの軸部材の部分拡大斜視図、図11は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドのノズルの動作を示す図、図12は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドにおけるタイムチャートの一例、図13及び図14は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの動作を説明する図、図15及び図16は本発明の一実施の形態におけるノズルの交換手順を説明する図、図17は本発明の一実施の形態におけるノズルの回転角度に応じた位置ずれ量を求める具体的な手順の一例を示すフローチャート、図18は本発明の一実施の形態における打ち抜き型ヘッドの正面図、図19は本発明の一実施の形態におけるノズルの回転角度に応じた位置ずれ量の捉え方を示す図である。
図1及び図2において、電子部品実装装置(以下、単に実装装置と称する)1の基台2の中央部には、2本のベルトから成る基板搬送路3が基台2の一の方向(X軸方向)に延びて設けられており、基板搬送路3の上方には基板搬送路3と直交する水平方向(Y軸方向)に延びた平行な2本のY軸テーブル4が基台2に固定されて設けられている。また、2本のY軸テーブル4の上方にはX軸方向に延びた平行な2本のX軸テーブル5が、両端部をY軸テーブル4に支持されてY軸方向に移動自在に設けられている。
各X軸テーブル5の下面にはそのX軸テーブル5に沿ってX軸方向に移動自在な移動ステージ6が設けられている。一方の移動ステージ6には複数の移載ヘッド7が並設されており、他方の移動ステージ6には複数の打ち抜き型ヘッド20が並設されている。基板搬送路3は、電子部品の実装時に基板18を基台2の中央部に移送する。各X軸テーブル5と各移動ステージ6は、本電子部品実装装置1に設けられた制御装置13から動作制御が
なされる(図3)。
基台2の側方領域のうち移載ヘッド7が設けられている側には複数のテープフィーダ8が基台2の外側に張り出して設けられている。各移載ヘッド7には下方に延びたノズル9が着脱自在に設けられており、基台搬送路3の側方領域のうち移載ヘッド7が設けられている側には付け替え用のノズル9を載置するノズルラック10と撮像面を上方に向けた固定カメラ11が設けられている。
テープフィーダ8は電子部品を連続的に所定のピックアップ位置に供給し、移載ヘッド7はそのピックアップ位置の直上に移動して電子部品を吸着してピックアップする。そして、X軸テーブル5のY軸方向への移動及び移動ステージ6のX軸方向への移動により水平方向へ移動して、ピックアップした電子部品を、基台2の中央部に移送されて予め位置決めされた基板18に実装する。
移載ヘッド7はピックアップした電子部品を基板18に実装する際、固定カメラ11の上方を電子部品が通過するように移動し、固定カメラ11によって電子部品の撮像が行われるようにする。この撮像によって得られた電子部品の画像は図示しない位置ずれ検出部によって電子部品のノズル9に対する位置ずれが検出され、電子部品の基板18への実装時には、その位置ずれが修正されるようにノズル9の位置が調節される。
次に、図3〜図10を参照して打ち抜き型ヘッド20の構成について説明する。ここでは説明の便宜上、移載ヘッド7に向く側を打ち抜き型ヘッド20の前方とし、その反対側を打ち抜き型ヘッド20の後方とする。
図4及び図5において、上下方向に延びた打ち抜き型ヘッド20のフレーム21は移動ステージ6に取り付けられている。フレーム21の後方下部には板カムガイド22が上下方向に延びて設けられており、この板カムガイド22には板カム23が上下方向に移動自在に取り付けられている。板カムガイド22の直上にはエアシリンダ24がロッド24aを下方にして上下方向に延びて設けられており、ロッド24aは下端部には板カム23が結合されている。従ってエアシリンダ24がロッド24aを突没させると、板カム23は板カムガイド23に沿って昇降する。エアシリンダ24は図示しないエア圧送源とエア管路25を介して繋がっており、エア管路25に介装されたエアシリンダ制御弁26を制御装置13と繋がる打ち抜き型ヘッド20内(フレーム21内)に備えられたヘッド内制御基板13a(図3)から作動させることによって、ロッド24aを突没させることができる。
板カム23の前方のフレーム21上には昇降部材ガイド27が上下方向に延びて設けられており、この昇降部材ガイド27には昇降部材28が上下方向に移動自在に設けられている。
板カムガイド23のやや前方のフレーム21上には第1枢支軸29が設けられており、この第1枢支軸29にはL字状の上部レバー部材30が枢支されている。上部レバー部材30の一方側の腕部は第1枢支軸29の下方に延びており、上部レバー部材30の他方側の腕部は第1枢支軸29の前方に延びている。上部レバー部材30の一方側の腕部の端部に設けられた第1ローラ31は板カム23に形成された第1カム溝23a内を移動自在になっており、上部レバー部材30の他方側の腕部の端部に設けられた長穴32内には昇降部材28の上部に設けられた第2ローラ33が移動自在になっている。
図5において、昇降部材28には後方に張り出した張り出し部28aが設けられている。また、張り出し部28aの上方のフレーム21上にはモータ取り付け用のブラケット3
4が設けられており、張り出し部28aの下方のフレーム21上にはガイドプレート35が設けられている。更に、昇降部材28の張り出し部28aとブラケット34との間のフレーム21上には軸受けブロック36が設けられている。
ブラケット34は断面L字状を成しており、フレーム21に対して垂直に延びた一片であるモータ支持片34aの上面にはノズル回転モータ37がその回転軸38を下方に向けて取り付けられており、回転軸38はブラケット34のモータ支持片34aを上から下に貫通して延びている。ノズル回転モータ37はサーボモータであり、例えばステッピングモータから成る。
図4及び図7において、ノズル回転モータ37の回転軸38には円筒状のカップリング部材39を介して上下方向に延びた軸部材40の上端部が取り付けられている。これらノズル回転モータ37、軸部材40及びこれら両者を連結するカップリング部材39はノズル48の上方に設けられてノズル48をその軸心を中心に回転させるノズル回転手段を構成する。
軸部材40は軸受けブロック36に設けられた上下のベアリング45a,45b、昇降部材28の張り出し部28aに設けられた上下のベアリング46a,46b及びガイドプレート35の内部に上下方向に延びて設けられたガイド穴47(図6)を上下に貫通して延びており、軸部材40の下端部には上下方向に延びたノズル48の上端部が着脱自在に取り付けられている。後述するようにノズル48は軸部材40の下端部に対して上下方向に移動することができるが、軸部材40とノズル48の間にはノズル付勢ばね50が介装されており(図6)、ノズル48は常時軸部材40に対して下方に付勢された状態となっている。
図7において、軸部材40は上側部材41、下側部材42、連結ピン43及び連結リング44から成る。上側部材41には下方に開口して上下方向に延びた移動孔41a及びこの移動孔41aと繋がり上側部材41の側面を上下方向に延びた左右の長溝41bが設けられており(図8参照)、連結ピン43は下側部材42の上端部42aが上側部材41の移動孔41a内に下方から挿入された状態で、両長溝41b及び下側部材42を水平方向に貫通するように取り付けられている。このため下側部材42は上側部材41に対する上下方向への相対移動は許容されるが、上側部材41に対する軸心まわりの相対回転は拘束された状態となっている。
図7において、下側部材42の上端部42aはそれよりも下方の部分よりも外径が小さくなっており、その境界部分には段差面42bが形成されている。この段差面42bは昇降部材28の張り出し部28aに下方から当接しており、連結リング44は張り出し部28aの上方に突出した下側部材42の上端部42aに上方から捻じ込まれてねじ込まれて昇降部材28の張り出し部28aに上方から当接している。このため下側部材42は上下のベアリング46a,46bによって軸心まわりの回転が許容される一方、昇降部材28が昇降したときにはこれと一体となって昇降する。
軸部材40をブラケット34に取り付けられたノズル回転モータ37に組み付けるには、上側部材41と下側部材42が分離している状態で、先ず上側部材41を軸受けブロック36の上下のベアリング45a,45bを下から上へ貫通させ、上側部材41の上端の連結部(外径が小さくなった部分)41cを軸受けブロック36の上方に突き出させる。そして、上側部材41の連結部41cとノズル回転モータ37の回転軸38をカップリング部材39によって同軸に連結する。次いで、下側部材42の上端部42aを昇降部材28の張り出し部28aに設けられた上下のベアリング46a,46bを下から上へ貫通させ、段差面42bを下側のベアリング46bの内輪に下方から当接させる。このとき張り
出し部28aの上方に突き出た下側部材42の上端部42aに連結リング44を上方からねじ込んで段差面42bと連結リング44とによってベアリング46a,46bを介して張り出し部28aを挟持する。この過程において、下側部材42の上端部42aは上側部材41の移動孔41a内に下方から挿入されるので、最後に連結ピン43を上側部材41の両長溝41b及び下側部材42の上端部42aを水平方向に貫通するように取り付ければ、軸部材40のノズル回転モータ37への組み付けは完了する。
図4において、フレーム21の前方にはカートリッジ装着部51が設けられており、ここには部品カートリッジ52が着脱自在に取り付けられる。部品カートリッジ52の内部には基板18へ実装される電子部品Pが多数個ばらばらに収容されている。
図4において、カートリッジ装着部51の下方のフレーム21上にはバルクフィーダを構成する回転ドラム53とこの回転ドラム53を回転駆動するドラム駆動モータ54が設けられている。ドラム駆動モータ54の回転軸に設けられたピニオン55は回転ドラム53の外周部に設けられたウォームホイール56と噛合しており、ヘッド内制御基板13aからドラム駆動モータ54を作動させると(図3)、その回転力がピニオン55からウォームホイール56に伝達されて、回転ドラム53が回転する。
図5において、フレーム21の内部のカートリッジ装着部51の直下にはカートリッジ装着部51と回転ドラム53を連通する部品通路58が上下方向に延びて設けられており、回転ドラム53とノズル48の下端部直下のピックアップ位置Sとの間のフレーム21の内部には、回転ドラム53からピックアップ位置Sへ延びた電子部品Pの移動路であるトンネル59が形成されている。
図6及び図9において、トンネル59の終端部には位置決め部材60が設けられている。この位置決め部材60はフレーム21の底部に設けられた位置決め部材移動スペース61内を前後方向にスライド移動自在であり、位置決め部材60の前端面60aが位置決め部材移動スペース61の前方に設けられたトンネル形成部材62の後端面62aと接触した状態では、位置決め部材61の上面に形成された電子部品Pの移動面60bはトンネル形成部材62の上面に形成された電子部品Pの移動面62bと接続するようになっている(図9(a)参照)。
図5において、位置決め部材60の上方であってガイドプレート35の後方位置のフレーム21上には第2枢支軸63が設けられており、この第2枢支軸63には上下方向に延びた下部レバー部材64が枢支されている。下部レバー部材64の上端部に設けられた第3ローラ65は板カム23に形成された第2カム溝23b内を移動自在であり、下部レバー部材64の下端部は位置決め部材60に設けられた枢結ピン66によって枢支されている。
下部レバー部材64が下端部側を前方に進めるように揺動すると、位置決め部材60はトンネル形成部材62側に近付く方向に移動し、下部レバー部材64が下端部側を後方に進めるように揺動すると、位置決め部材60はトンネル形成部材62から離れる方向に移動する。位置決め部材60がその前端面60aをトンネル形成部材62の後端面62aに当接させた状態では、前述のように、位置決め部材60の上面に形成された移動面60bとトンネル形成部材62の上面に形成された移動面62bは接続するが(図9(a))、この状態から下部レバー部材64がその下端部側を後方に進めるように揺動すると、位置決め部材60は位置決め部材移動スペース61内を後方にスライド移動して位置決め部材60の前端面60aとトンネル形成部材62の後端面62aは離間し、位置決め部材60の上面に形成された移動面60bとトンネル形成部材62の上面に形成された移動面62bは分離して位置決め部材60とトンネル59との間にはノズル通路67が形成される(図9(b))。
なお、このノズル通路67は後述するように、ノズル48により電子部品Pがピックアップされた後に形成させる。すなわち、エアシリンダ24、板カム23、下部レバー部材64等は、ノズル48により電子部品Pがピックアップされた後、位置決め部材60を移動させて位置決め部材60とトンネル59の間にノズル通路67を形成させるノズル通路形成手段を構成する。
以下、位置決め部材60の前端面60aがトンネル形成部材62の後端面62aに当接して位置決め部材60とトンネル59との間にノズル通路67が形成されてない状態を位置決め部材60の「閉状態」と称し、位置決め部材60が閉状態から後方に移動してトンネル59との間にノズル通路67が形成され、そのノズル通路67が位置決め部材60及びトンネル形成部材62の下方のフレーム部材21に形成された貫通孔68と同等の大きさにまで広がった状態を位置決め部材60の「開状態」と称する。なお、位置決め部材60は位置決め部材移動スペース61内に縮設された位置決め部材付勢ばね69(図6)によって、常時トンネル形成部材62側、すなわち位置決め部材60が閉状態となる側に付勢されている。
図9において、位置決め部材60の上面に形成された移動面60bの後部には、移動面60bに対する垂直面である当接面60cが設けられている。トンネル59内を移動してきた電子部品Pはトンネル形成部材62の移動面62bから位置決め部材60の移動面60bに乗り移った後、この当接面60cに当接して停止する。そして、位置決め部材60がトンネル形成部材62と接触している状態では、当接面60cに当接している電子部品Pはノズル48の直下、すなわちピックアップ位置Sに位置する。
図6において、位置決め部材60の上面とフレーム21との間には当接面60cに開口する部品引き寄せ吸着ノズル71が形成されており、フレーム21にはこの部品引き寄せ吸着ノズル71と連通する第1内部通路72が形成されている。第1内部通路72は本実装装置1の外部に設けられた真空源16と第1真空管路73によって繋がっており、第1真空管路73に介装された部品引き寄せ吸着用エア制御弁74をヘッド内制御基板13aから開弁させて(図3)、第1内部通路72及び部品引き寄せ吸着ノズル71内に吸着力を発生させることにより、位置決め部材60に形成された移動面60b上の電子部品Pを後方に引き寄せて当接面60cに当接させることができるようになっている。これら真空源16、第1真空管路73、第1内部通路72、部品引き寄せ吸着ノズル71、部品引き寄せ吸着用エア制御弁74及びヘッド内制御基板13aはトンネル59内を移動してきた電子部品Pを当接面60c側に引き寄せて当接面60cに当接させる部品引き寄せ吸着機構を構成しており、電子部品Pはトンネル59内を次々と移動してくる他の電子部品Pによって押されて当接面60cに当接するばかりでなく、この部品引き寄せ吸着機構によって、強制的かつ確実に、当接面60cに当接させられる。一方、ヘッド内制御基板13aから部品引き寄せ吸着用エア制御弁74を閉弁させると、位置決め部材60の移動面60b上の電子部品Pを当接面60c側に引き寄せる力を消滅させることができる。
図6及び図10において、軸部材40の下側部材42の下部には外径の小さい絞り部42cが形成されており、この絞り部42cよりも下方の部分の内部には上下方向に延びたノズル収容孔42dが下方に開口して設けられている。絞り部42cには下側部材42を横方向に貫通する貫通溝42eが設けられており、この貫通溝42eとノズル収容孔42dとは上下方向に延びた連通溝42fによって連通している。
図6及び図10において、下側部材42の外周面にはノズル収容孔42dと繋がる上下方向に延びた一対の長穴42gと、同じくノズル収容孔42dと繋がる上下方向に延びた
一対の長溝42hがそれぞれ下方に開口して設けられている。一対の長穴42gは下側部材42の上下中心軸に対して対称の位置に設けられており、一対の長溝42hはこれら長穴42gと90度ずれた位置に、同じく下側部材42の上下中心軸に対して対称の位置に設けられている。下側部材42のノズル収容孔42dの内周面には円環状の円環溝42kが設けられており、2つの長穴42gと2つの長溝42hはこの円環溝42kによって互いに繋がっている。
図6において、ノズル48は上下方向に貫通して延びた内部管路49を有しており、軸部材40の下側部材42に上端部が保持される主円筒部48a、主円筒部48aの下端部から下方に延び、主円筒部48aよりも外径及び内径の小さい先端部48b及び主円筒部48aの中間部に外方に突出して設けられた一対の突起48cを備える。一対の突起48cはノズル48の上下中心軸に対して対称の位置に設けられている。
ノズル48を軸部材40の下側部材42に取り付けるには、先ずノズル付勢ばね50を下側部材42のノズル収容孔42d内に下方から挿入し、そのうえでノズル48の上端部をノズル収容孔42d内に下方から挿入して上方へ押し上げていく。このときノズル48の一対の突起48cが下側部材42に形成された一対の長溝42h内を上方に移動するようにする。押し上げの途中でノズル付勢ばね50は下側部材42とノズル48によって押し縮められてノズル48を下方へ付勢する力を発揮するようになる。このノズル付勢ばね50の付勢力に抗してノズル48を押し上げていき、ノズル48の一対の突起48cが下側部材42の円環溝42kに達したところでノズル48を下側部材42に対して90度回転させれば、ノズル48の各突起48cはそれぞれ長穴42g内に位置する。この状態でノズル48から手を放せばノズル48の各突起48cは長穴42gの下縁に上方から当接し、またノズル48全体はノズル付勢ばね50によって下方に付勢されるので、ノズル48と下側部材42はノズル付勢ばね50の付勢力を介して一体に結合される。
このようにノズル48が軸部材42の下側部材42と結合された状態では、突起48cが下側部材42の長穴42g内に位置しているために、下側部材42に対するノズル48の軸心まわりの相対回転が拘束される。従って、軸部材40がノズル回転モータ37に組み付けられており、かつノズル48が軸部材40(下側部材42)に結合されている状態でヘッド内制御基板13aからノズル回転モータ37を回転作動させると(図3)、ノズル回転モータ37の回転力はカップリング部材39を介して軸部材40の上側部材41及び連結ピン43を介して下部部材42に伝達され、更に突起48cを介してノズル48に伝達される。このためノズル回転モータ37を回転させることによってノズル48を軸心まわりに回転させることができる。なお、ノズル回転モータ37の回転軸38、軸部材40及びノズル48は同軸に設けられているので、ノズル回転モータ37の回転軸38の回転角度とノズル48の回転角度とは一致する。
図6に示すように、軸部材40の下側部材42がガイドプレート35のガイド穴47に挿入されており、かつ下側部材42にノズル48が取り付けられている状態では、ノズル48の内部管路49はノズル収容孔42d、連通溝42f、貫通溝42eを介して絞り部42cとガイド穴47の内壁面との間に形成された円筒状の空間47aに繋がっており、更にこの円筒状の空間47aはガイドプレート35の内部に設けられた真空管路35aに繋がっている。この真空管路35aは第2真空管路75によって真空源16と繋がっており、第2真空管路75に介装されたピックアップ用エア制御弁76をヘッド内制御基板13aから開弁させることによって(図3)、ノズル48の内部管路49内に電子部品Pをピックアップするための吸着力を発生させることができる。
ここで、前述のように下側部材42は上側部材41に対して上下方向に相対移動することができ、軸部材40がノズル回転モータ37の回転軸38に連結された状態で下側部材
42が上側部材41に対して上下移動すると、下側部材42に設けられた貫通溝42eは上下方向に移動するのであるが、下側部材42に形成された絞り部42cは上下方向に延びており、絞り部42cとガイド穴47の内壁面との間に形成された空間47aは下側部材42が上下方向に移動し得るどの位置にあったとしてもガイドプレート35の真空管路35aと連通するので、ノズル48に吸着力を発揮させた状態を維持しつつ、下側部材42を上側部材41に対して上下移動させることができる。
図9において、位置決め部材60の内部には第2内部通路77が設けられており、この第2内部通路77は位置決め部材60の移動面60bに開口する第1部品固定吸着ノズル78に連通している。また、フレーム21のトンネル形成部材62の内部には第3内部通路79が設けられており、この第3内部通路79はトンネル形成部材62の移動面62bに開口する第2部品固定吸着ノズル80に連通している。
第2内部通路77及び第3内部通路79は図6に示すように第3真空管路81によって真空源16と繋がっており、第3真空管路81に介装された部品固定吸着用エア制御弁82をヘッド内制御基板13aから開弁させることによって(図3)、第2内部通路77に繋がる第1部品固定吸着ノズル78と第3内部通路79内に繋がる第2部品固定吸着ノズル80に吸着力を発生させることができる。このためヘッド内制御基板13aから部品固定吸着用エア制御弁82を制御することにより、位置決め部材60上の電子部品Pを位置決め部材60上に吸着保持させるとともに、トンネル形成部材62上の電子部品Pをトンネル形成部材62上に吸着保持することができる。すなわち、第1部品固定吸着ノズル78及び第2部品固定吸着ノズル80は、ノズル通路形成手段によりノズル通路67が開閉される際、ノズル通路67を挟んで対向する位置決め部材60上の電子部品Pとトンネル59内の電子部品Pをそれぞれ位置決め部材60上及びトンネル59内に保持する部品保持部を構成する。
次に、図11〜図14を追加して、打ち抜き型ヘッド20により電子部品Pを基板18に実装する手順について説明する。電子部品Pを収容した部品カートリッジ52をフレーム21のカートリッジ装着部51に装着した状態で入力装置15(図3)から実装の開始操作を行うと、制御装置13がX軸テーブル5及び移動ステージ6を作動させて打ち抜き型ヘッド20を基板18の上方に位置させた後、ヘッド内制御基板13aがドラム駆動モータ54を駆動して回転ドラム53を回転させる。そして、この状態からヘッド内制御基板13aがエアシリンダ制御弁26を作動させてエアシリンダ24のロッド24aを下方に突没させ、板カム23を上下に繰り返し昇降させる。
部品カートリッジ52から部品通路58を経て回転ドラム53内に入った電子部品Pは、回転ドラム53の内部に形成された溝や爪、或いは回転ドラム53の内部に設けられた磁石の磁力などによって整列させられてトンネル59内に送られる。これによりトンネル59内には多数の電子部品Pが一列に連なった電子部品P群が形成され、この電子部品P群は後からトンネル59内に送られた電子部品Pによって後方に押圧されてピックアップ位置Sの方向へ進行する。但し、列の先頭の電子部品Pが位置決め部材60の当接面60cに当接したり、トンネル形成部材62に設けられた第2部品固定吸着ノズル80により吸着されたりして進行できない状態となったときには、電子部品P群の全体がその場に停滞することになる。
板カム23が下降するとき、本実装装置1は図11(a)→(b)→(c)→(d)の順に作動し、板カム23が上昇するとき、本実装装置1は図11(d)→(c)→(b)→(a)の順に作動する。板カム23が昇降すると、板カム23の第1カム溝23a内の第1ローラ31は第1カム溝23aの形状に従って移動するので、上部レバー部材30は第1枢支軸29を中心に揺動運動し、板カム23の第2カム溝23b内の第3ローラ65
は第2枢支軸63を中心に揺動する。
板カム23が最上位置から最下位置まで下降するとき、第1ローラ31は第1カム溝23aの下端部から上端部まで相対移動するが、図4及び図5に示すように、第1カム溝23aは下端部側から上端部側へ延びる間に一旦少し前方へ屈曲して延び、その後大きく(長く)後方に屈曲して延びる形状になっているので、第1ローラ31は第1カム溝23aの下端部から上端部へ相対移動する間に一旦少し前方へ移動した後(図11(a)→(b)→(c))、続いて大きく(長く)後方へ移動する(図11(c)→(d))。
ここで、第1ローラ31が前方へ移動するとき、上部レバー部材30は前方へ延びた側(長穴32が設けられた側)の腕部を上げるように揺動するので、これにより第2ローラ33を介して昇降部材28が引き上げられ、昇降部材28の張り出し部28aに連結された軸部材40の下側部材42はノズル48とともに上昇する(図11(a)→(b)→(c))。また、第1ローラ31が後方へ移動するときには上部レバー部材30は前方へ延びた側の腕部を下げるように揺動するので、これにより第2ローラ33を介して昇降部材28が押し下げられ、昇降部材28の張り出し部28aに連結された軸部材40の下側部材42はノズル48とともに下降する(図11(c)→(d))。なお、このように下側部材42が昇降しても、下側部材42に固定された連結ピン43は上側部材41に形成された長溝41b内を昇降させるだけであり、下側部材42とともに上側部材42が昇降することはない。
このように板カム23が最上位置から最下位置まで下降すると、これに伴ってノズル48は先ず小さなストロークで上昇し、その後大きなストロークで下降する。一方、板カム23が最下位置から最上位置まで上昇すると、第1ローラ31は板カム23の第1カム溝23a内を逆方向に辿ることになるので、ノズル48は先ず大きなストロークで上昇し、その後小さなストロークで下降してもとの位置に戻ることになる(図11(d)→(c)→(b)→(a))。すなわち、板カム23が最上位置→最下位置→最上位置と移動する1周期の昇降を行ったとき、ノズル48は小さなストロークでの上昇、大きなストロークでの下降、大きなストロークでの上昇、小さなストロークでの下降を行うことになる。
図12は板カム23が最上位置→最下位置→最上位置と1周期分の昇降を行ったときのノズル48の昇降、ノズル48による電子部品Pの吸着、位置決め部材60の開閉、部品保持部による電子部品Pの位置決め部材60上及びトンネル59内への固定吸着、部品引き寄せ吸着機構による電子部品Pの当接面50側への引き寄せ吸着、ノズル回転モータ37によるノズル48の軸心を中心とした回転がそれぞれどのようなタイミングで行われるかを示したタイムチャートであり、時間は符号T1→T2→,・・・,T10→T1の順で進行するものとする。
図12において、カム部材23はT1〜T6間において最上位置から最下位置まで下降し、T6〜T1間において最下位置から最上位置まで上昇する。
ノズル48はT10〜T2間において基準位置に停止し、T2〜T3間において基準位置から上昇した上昇位置まで上昇し(実装上昇過程)、T3〜T4間において上昇位置に停止し、T4〜T5間において上昇位置から実装位置まで下降し(実装下降過程)、T5〜T7間において実装位置に停止し、T7〜T8間において実装位置から上昇位置まで上昇し(戻り上昇過程)、T8〜T9間において上昇位置に停止し、T9〜T10間において上昇位置から基準位置まで下降する(戻り下降過程)。ここで、「基準位置」とはノズル48の下端部がピックアップ位置Sに位置した電子部品Pに上方から接触し得る位置(図13(a))をいい、「実装位置」とは位置決め部材60を後方にスライド移動させることによって位置決め部材60とトンネル59との間に形成されたノズル通路67及びそ
の下方の貫通孔68を通してノズル48を下方に移動させ、ノズル48の先端部48bをノズル通路67の下方に突出させてその端部にピックアップした電子部品Pを基板18上に実装し得る位置(図14(b))をいう。
ノズル48による電子部品Pの吸着は、戻り下降過程(T9〜T10)の途中で開始させ、実装下降過程(T4〜T5)が終わる前に終了させる。
位置決め部材60は、ノズル48の実装上昇過程(T2〜T3)の途中で開き始め、実装下降過程(T4〜T5)でノズル48が基準位置に達する前に開状態となる。また、ノズル48が戻り上昇過程(T7〜T8)で基準位置を上方に超えたときから閉じ始め、ノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)が終わる前に閉状態となる。
電子部品Pの位置決め部材60上及びトンネル59内への固定吸着は、ノズル48の実装上昇過程(T2〜T3)で位置決め部材60が開き始める前に開始させ、ノズル48の実装下降過程(T4〜T5)で位置決め部材60が開状態となるまで継続させる。また、ノズル48の戻り上昇過程(T7〜T8)で位置決め部材60が閉じ始める前に開始させ、ノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)で位置決め部材60が閉状態となるまで継続させる。
電子部品Pの当接面60c側への引き寄せ吸着は、ノズル48の実装下降過程(T4〜T5)で位置決め部材60が開状態となった後、電子部品Pのトンネル59内への固定吸着を終了させる前に開始させ、ノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)で位置決め部材60が閉状態となってノズル48による電子部品Pの吸着を開始させるまで継続させる。
ノズル48の軸心を中心とした回転は、ノズル48の実装上昇過程(T2〜T3)の途中に開始させ、遅くともノズル48の実装下降過程(T4〜T5)でノズル48が実装位置に達するまでに終了させる。
このノズル48の軸心を中心とした回転は、電子部品Pの基板18に対する実装方向を調節するために行われる。従って、電子部品Pをピックアップした状態からそのまま下降させて基板18上に実装する場合には、このノズル48の軸心を中心とした回転は不要である。電子部品Pに対応したノズル48の回転角度のデータはヘッド内制御基板13aに繋がる打ち抜き型ヘッド20内のメモリ14(図3)に予め記憶されており、ヘッド内制御基板13aはこのメモリ14から必要な回転角度データを読み出してノズル48を回転させる。
電子部品Pの基板18に対する実装方向を調節するためにノズル48をその軸心を中心として回転させたときには、その電子部品Pを基板18に実装した後、次の電子部品Pをピックアップするまでの間にノズル48を同角度だけ逆方向に回転させて初期位置に戻す戻し回転を行っておく必要がある。この戻し回転は、ノズル48の戻り上昇過程(T7〜T8)の途中に開始させ、遅くともノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)でノズル48が基準位置に達するまでには終了させる。
このように本実装装置1は、電子部品Pの移動路であるトンネル59と、トンネル59の終端部に設けられ、トンネル59内を移動してきた電子部品Pを当接面60cに当接させてピックアップ位置Sに位置決めする位置決め部材60と、位置決め部材60によりピックアップ位置Sに位置決めされた電子部品Pを上方から吸着してピックアップするノズル48と、電子部品Pをピックアップしたノズル48を下降させて電子部品Pを基板18に実装させるノズル駆動手段とを備え、このノズル駆動手段が、電子部品Pをピックアッ
プしたノズル48を下降させる前に一旦上昇させて電子部品Pを当接面60cから離間させた後、ノズル48をその軸心を中心に回転させて電子部品Pの基板18に対する実装方向の調節を行うようになっている。ここで「ノズル駆動手段」とは、ノズル48を昇降及び軸心を中心に回転させる機構をいい、エアシリンダ24、板カム23、上部レバー部材30、昇降部材28、軸部材40、ノズル回転モータ37等から成る。
次に、本実装装置1の具体的な動作を説明する。本実装装置1の動作は、「位置決め工程」、「ピックアップ工程」、「上昇工程」、「ノズル通路形成工程」、「実装工程」、そして「ピックアップ工程」と「実装工程」の間に行う「実装方向調節工程」を含むものである。
「位置決め工程」は、トンネル59内を移動してきた電子部品Pを位置決め部材60の当接面60cに当接させたうえ、位置決め部材60を閉状態にしてその電子部品Pをピックアップ位置Sに位置決めする工程である。電子部品Pを位置決め部材60の当接面60cに当接させるのは主として部品引き寄せ吸着機構によって行う。部品引き寄せ吸着機構による電子部品Pの当接面60c側への引き寄せ吸着はノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)の途中で(位置決め部材60が閉状態となる前に)既に終了しているが(図14(b))、電子部品Pのピックアップ位置Sへの位置決めは、ノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)において位置決め部材60が閉状態となったときにはじめてなされることになる。
「ピックアップ工程」は、ピックアップ位置Sに位置決めされた電子部品Pをノズル48により上方から吸着してピックアップする工程である。位置決め部材60が閉状態となってピックアップ位置Sに位置した電子部品Pは、ノズル48が基準位置に停止している間(T10〜T2)にノズル48によって吸着され、ピックアップされる(図13(a))。
「上昇工程」は、電子部品Pをピックアップしたノズル48を一旦上昇させて電子部品Pを当接面60cから離間させる工程である。ノズル48の実装上昇過程(T2〜T3)の間、ノズル48は電子部品Pの吸着動作を継続しているので、ノズル48によってピックアップされた電子部品Pはノズル48とともに上昇する(図13(b))。この電子部品Pの上昇により、電子部品Pと位置決め部材60の当接面60cは上下に離間する。
「ノズル通路形成工程」は位置決め部材60とトンネル59との間にノズル通路67を形成させる工程である。ノズル48の実装上昇過程(T2〜T3)の途中で位置決め部材60は開き始めるが、位置決め部材60が開き始める前に電子部品Pのトンネル59内への固定吸着が開始されるので、位置決め部材60とトンネル59との間に形成されたノズル通路67を挟んで対向する位置決め部材60上の電子部品Pとトンネル59内(トンネル形成部材62上)電子部品Pはそれぞれ位置決め部材60上及びトンネル59内に吸着保持される。このため位置決め部材60の開動作によってこれら両電子部品Pがノズル通路67から転落することはない。そして、ノズル48の実装下降過程(T4〜T5)の途中で位置決め部材60は開状態となり、ノズル48によりピックアップされた電子部品Pの下方にノズル通路67が形成される(図14(a))。
「実装方向調整工程」は、「上昇工程」において電子部品Pが当接面60cから離間した後、ノズル48をその軸心を中心に回転させて電子部品Pの基板18に対する実装方向の調節を行う工程である。「上昇工程」における電子部品Pの上昇により、電子部品Pと位置決め部材60の当接面60cは上下に離間しているので、ノズル48をその軸心を中心に回転させることができる。
「実装工程」は、電子部品Pをピックアップしたノズル48を位置決め部材60とトンネル59との間に形成されたノズル通路67を通して下降させてノズル通路67の下方に予め位置決めされた基板18に電子部品Pを実装する工程である。この工程は、実装上昇過程(T2〜T3)で上昇したノズル48が上昇位置に停止した後(T3〜T4)、行われる。すなわち、実装下降過程(T4〜T5)においてノズル48をノズル通路67及びその下方の貫通孔68を通して下方に移動させ、実装位置に達したところで電子部品Pを基板18上に搭載する(図14(b))。そして、ノズル48が実装位置にある間(T5〜T7)、電子部品Pを基板18に熱圧着して実装する。ここで、ノズル48の実装上昇過程(T2〜T3)の間に開始されたノズル48の回転動作、すなわち「実装方向調整工程」はノズル48が実装位置に達するまでには終了しているので、電子部品Pは予め設定した(メモリ14に記憶させておいた)所望の実装方向で基板18に実装される。
このノズル48の実装下降過程(T4〜T5)の途中で電子部品Pの位置決め部材60上及びトンネル59内への固定吸着は終了するが、この電子部品Pの固定吸着が終了する前にノズル48の主円筒部48aがノズル通路67を通過するようになっているので、電子部品Pの基板18への実装中に、ノズル通路67を挟んで対向する位置決め部材60上の電子部品Pとトンネル59内の電子部品Pがノズル通路67から転落することはない。
また、電子部品Pの固定吸着が終了する前に、電子部品Pの当接面60c側への引き寄せ吸着が開始されるので、位置決め部材60上の電子部品Pは位置決め部材60上への固定吸着の終了とともに、当接面60c側に引き寄せられて当接面60cに当接される(図14(b)参照)。
ノズル48の戻り上昇過程(T7〜T8)の途中でノズル48が基準位置を上方に超えると位置決め部材60は閉じ始めるが、その前に電子部品Pのトンネル59内への固定吸着が開始されるので、トンネル形成部材62上の電子部品Pはそのままトンネル形成部材62上に吸着保持される。このため位置決め部材60の閉動作時にトンネル形成部材62上の電子部品Pがノズル通路67から転落することはない。なお、位置決め部材60上の電子部品Pは上述のように当接面60c側に引き寄せられているので、同じく位置決め部材60の動作時にノズル通路67から転落することはない。
また、このノズル48の戻り上昇過程(T7〜T8)の途中でノズル48の戻し回転が開始されるが、この戻し回転はノズル48の戻り下降過程(T9〜T10)でノズル48が基準位置に達するまでの間に終了するので、次の電子部品Pをピックアップする際には、ノズル48は初期位置に復帰した状態となっている。
このような「位置決め工程」、「ピックアップ工程」、「上昇工程」、「ノズル通路形成工程」、「実装工程」及び「実装方向調節工程」を含む電子部品Pの実装方法は、本実装装置1を動作させることによって自動的に実行される。
このように本実施の形態における電子部品Pの実装装置1及び実装方法では、位置決め部材60の当接面60cに当接してピックアップ位置Sに位置決めされた電子部品Pをノズル48により吸着してピックアップした後、ノズル48を一旦上昇させて電子部品Pを当接面60cから離間させるようにし、そのうえでノズル48をその軸心を中心に回転させ、電子部品Pの基板18に対する実装方向を調節してからノズル48を下降させて電子部品Pを基板18に実装するようにしている。このため本実施の形態における実装装置1及び実装方法によれば、電子部品Pのピックアップ位置への位置決めが容易であるという打ち抜き型実装の利点を生かしつつ、装置全体を大型化させる基板回転機構を必要とせずに、基板18に対する電子部品Pの実装方向を簡単に変えることができる。またこのため、本実施の形態のように、基板18は水平回転させずにノズル9側を回転させて基板18
に対する電子部品Pの実装方向を変化させる移載ヘッド7と基板搬送路3を共有した構成とすることができる。
ところで、本実装装置1におけるノズル48は消耗品であり、定期的に交換する必要がある。このノズル48の交換の際には、ノズル48を軸部材40(下側部材42)から下方に取り外し、また新しいノズル48を下方から軸部材40に取り付ける必要がある。次に、図15及び図16を用いてノズル48の交換手順を説明する。
ノズル48を軸部材40から取り外すには、先ずヘッド内制御基板13aからドラム駆動モータ54を(回転ドラム53を)停止させてからエアシリンダ制御弁26の動作制御を行い、エアシリンダ24を伸張作動させて板カム23を最下位置に位置させる。これにより位置決め部材60は開状態となって位置決め部材60とトンネル59との間にはノズル通路67が形成される。また、ノズル48は実装位置に位置し、その先端部48bは図15(a)に示すように、ノズル通路67から下方に突出する。
この状態からノズル48の先端部48bを指で摘んで上方へ押し上げると(図15(b)中に示す矢印A)、ノズル付勢ばね50は押し縮められ、ノズル48の突起48cは軸部材40を構成する下側部材42の長穴42g内を上方へ移動する。そして、ノズル48の突起48cが下側部材42の円環溝42kに達したところで(図15(b))、ノズル48を上方へ押し上げたまま、ノズル48を90度回転させる(図16(a)中に示す矢印A及びB)。そうすると、ノズル48の突起48cは円環溝42k内を水平回転して下側部材42の長溝42h内に至るので(図16(a))、そのままノズル48を引き下げれば(図16(b)中に示す矢印C)、ノズル48の突起48cは長溝42h内を下方へ移動し、ノズル48を下側部材42から取り外すことができる(図16(b))。このノズル48の取り外しにより、ノズル付勢ばね50も下側部材42から脱落する。なお、新しいノズル48を下側部材42に取り付けるには、これとは逆の手順によればよい。
このように、ノズル48の交換時などにおいて行うノズル48の軸部材40(すなわちノズル回転手段)に対する着脱は、位置決め部材60をスライド移動させて位置決め部材60とトンネル59との間にノズル通路67を形成させた状態で、ノズル通路67の下方から、ノズル通路67及びその下方の貫通孔68を通して行うのであるが、この際、ノズル通路67を挟んで対向する位置決め部材60上の電子部品P及びトンネル59内(トンネル形成部材62上)の電子部品Pをそれぞれ部品保持部によって位置決め部材60上及びトンネル59内に吸着保持するようにする。これによりノズル48の交換作業時にノズル通路67を挟んで対向する位置決め部材60上及びトンネル59内の電子部品Pがノズル通路67から転落することが防止される。
このように本実装装置1では、ノズル回転手段(軸部材40)に対するノズル48の着脱は、位置決め部材60を移動させて位置決め部材60とトンネル59との間にノズル通路67を形成させ、かつ部品保持部によりノズル通路67を挟んで対向する位置決め部材60上の電子部品Pとトンネル59内(トンネル形成部材62上)の電子部品Pをそれぞれ位置決め部材60上及びトンネル59内に保持した状態で、ノズル通路67の下方からノズル通路67を通して行うようになっているので、ノズル48の着脱のためにノズル回転手段、すなわちノズル回転モータや軸部材40を取り外す必要がなく、またノズル48の着脱作業中にノズル通路67から電子部品Pが転落するおそれもないので、極めて迅速にノズル48の交換作業を行うことができる。
また、本実装装置1では、ノズル48を回転させたときの回転中心軸が基板18に対する垂直軸と一致しているときには、実際に基板に実装された電子部品の位置と目標実装位置とは一致して正確な実装を行うことができるが、ノズル回転モータ37の取り付け精度
が不十分であった場合のように、ノズル48の回転中心軸(すなわちノズル回転モータ37の回転中心軸)が基板18に対する垂直軸(すなわち本実装装置1の上下軸)からずれているときには、正確な実装を行うことができない。
このため本実装装置1により電子部品Pを基板18に実装するときには、ノズル48の軸心を中心とした回転角度と電子部品Pの基板18に対する実装方向の目標実装位置からの位置ずれ量の関係を予め求めておいてそのデータを打ち抜き型ヘッド20のヘッド内制御基板13aと繋がるメモリ(記憶手段)14に記憶させておき、基板に対する「実装工程」を実行する際、「実装方向調節工程」において回転させたノズル48の軸心を中心とした回転角度に応じた位置ずれ量をメモリ14から読み出し、その位置ずれ量がキャンセルされるようにノズル48の基板18に対する相対位置の補正を行うようにする。このためには、実際の電子部品Pの基板18への実装を行う前には、電子部品Pをダミーの基板18′に実装する予備実装をノズル48の回転角度を変えながら複数回行って、ノズル48の回転角度とダミーの基板18′に実装された電子部品Pの目標実装位置からの位置ずれ量との関係を算出しておく必要がある。
以下、図17、図18及び図19を参照してノズル48の回転角度とダミーの基板18′に実装された電子部品Pの目標実装位置からの位置ずれ量を求める具体的な手順の一例を示す。ここでは、ノズル48の軸心を中心とした回転角度を0°、90°、180°、270°とした4パターンの位置ずれ量を求める。
先ず、基板搬送路3上の基板18の代わりにダミーの基板18′(図18参照)を設置し、そのうえで、ノズル48の軸心を中心とした回転角度(θとする)をθ=0°に設定し(図17のステップS1)、前述の要領で1つの電子部品Pをダミーの基板18′に実装する(ステップS2)。電子部品Pをダミーの基板18′に実装したら、図1及び図18に示すように、撮像面12aを下方に向けて移動ステージ6に固定されたヘッドカメラ12をダミーの基板18′に実装した電子部品Pの上方に移動させて(ステップS3)、ダミーの基板18′に実装した電子部品Pの撮像を行う(ステップS4)。
電子部品Pの撮像を行ったら、得られた画像から、ダミーの基板18′に実装された電子部品Pの実際の位置と、予め想定した目標実装位置とから、電子部品Pのダミーの基板18′上での目標実装位置からの位置ずれ量を算出する(ステップS5)。この位置ずれ量は、例えば、図19におけるX軸方向のずれ量x1とY軸方向のずれ量y1の組み合わせ(x1,y1)として捉えることができる。電子部品Pの位置ずれ量(x1,y1)を求めたら、その位置ずれ量(x1,y1)をノズル48の軸心を中心とした回転角度θ(ここでは0°)と関連付けて、メモリ14に記憶させる(ステップS6)。なお、図19では予め想定した電子部品Pの目標実装位置を二点鎖線で示している。
ここまでの工程が終了したら、全パターンについての位置ずれ量の算出が終了したか否かの判断を行う(ステップS7)。そして、全パターンについての位置ずれ量の算出がまだ終了していないと判断したときには、ステップS8に進んで新たな回転角度θを設定した上で、ステップS2に戻り、ステップS7までの工程を繰り返す。一方、ステップS7において、全パターンについての位置ずれ量の算出が終了していると判断したときには、エンドとなる。ここではまだθ=0°の1パターンについての位置ずれ量の算出を行ったのみであり、残りの3パターンについての位置ずれ量の算出が終了していないので、ステップS7からステップS8に進んでノズル48を90°回転させ、θ=90°に設定する。そして、ステップS2からステップS7を実行してθ=90°についての位置ずれ量の算出を行う。続いてθ=180°、270°の両パターンについての位置ずれ量の算出が終了したらエンドとなり、メモリ14には、θ=0°、90°、180°、270°に対応するそれぞれの位置ずれ量(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3),(x4
,y4)のデータがノズル48の回転角度と関連付けられて記憶される。
ヘッド内制御基板13aは、電子部品Pを基板18に実装する際、ノズル48をその軸心を中心として回転させたときには、メモリ14に記憶させておいたノズル48の回転角度と目標実装位置からの位置ずれ量との関係のデータに基づいて、ノズル48の回転角度に応じた位置ずれ量がキャンセルされるようにノズル48の基板18に対する相対位置(水平方向の相対位置も含めて)を補正するようにする。なお、ノズル48の回転角度が位置ずれ計測を行っていない回転角度であった場合には、実際に計測して取得したデータをもとに、一般に知られた補間手法に従って算出して用いるようにする。
このような実装装置1及びこれを用いた電子部品Pの実装方法によれば、ノズル48の回転中心軸が基板18に対する垂直軸、すなわち本実装装置1の上下軸からずれてしまっているような場合であっても、位置ずれのない正確な実装を行うことができる。また、本実装装置1のように、打ち抜き型ヘッド20に備えられたメモリ14に上記の補正用のデータを記憶させておくことにより、打ち抜き型ヘッド20だけを別の実装装置に移し変えた場合でも、その補正用のデータを用いて位置ずれ量がキャンセルされるようにノズル48の基板18に対する相対位置の補正を行うことができる。
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、軸部材40の昇降と下部レバー64の揺動が板カム23を介してエアシリンダ24の昇降と連動して行われるようになっていたが、軸部材40と下部レバー64をエアシリンダやモータ等(或いはこれらとギヤやボール螺子、カム等の組み合わせ)によって直接駆動するようにして、軸部材40の昇降と下部レバー64の揺動を独立して行うことができるようにしてもよい。