JP4710596B2 - 光学部材用放射線硬化性樹脂組成物及び光学部材 - Google Patents

光学部材用放射線硬化性樹脂組成物及び光学部材 Download PDF

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Description

本発明は、放射線硬化性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシートやレンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、又はこのようなシートを用いたバックライト等の光学部材形成に有用な放射線硬化性樹脂組成物、及びその硬化物を含む光学部材に関する。
従来、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等のレンズは、プレス法、キャスト法等の手法により製造されてきたが、両手法ともに、レンズの製作に長い時間を要し、生産性が悪かった。
このような問題点を解決するために、近年、紫外線硬化性樹脂を用いてレンズを製作する検討がなされている。具体的には、レンズ形状の付いた金型と透明樹脂基板との間に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、基板側より紫外線を照射し、該組成物を硬化させることで、短時間でレンズを製造することができる。
さらに、最近のプロジェクションテレビやビデオプロジェクターの薄型化、大型化に伴い、レンズを形成する樹脂に対して、高屈折率化や力学特性等の種々のレンズ特性に応じた様々な提案や検討がなされている。例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基含有モノマー及び光重合開始剤を含むことを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1〜3参照)。
特開平4−288314号公報 特開平5−255464号公報 特開2001−200022号公報
しかしながら、かかる従来の紫外線硬化性樹脂組成物では、屈折率や、各種プラスチック基材との密着性(特に、湿熱環境時の密着性)や、金型からの剥離性等のレンズに求められる要求特性を十分満足できる硬化物を得ることはできなかった。
また、従来の紫外線硬化性樹脂組成物では、粘度が種々の大きさであり、必ずしも良好な性能のレンズが得られるとは限らなかった。
このような従来の樹脂組成物における課題を解決するため、本発明者らは、鋭意研究した結果、(A)末端の一部がメタノール等のアルコールで封止されているウレタン(メタ)アクリレート、(B)式:CH2=C(R)COO-CnH2n+1[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]で表される(メタ)アクリレート化合物、及び、(C)前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物を各々所定量含有する放射線硬化性樹脂組成物を用いることによって、硬化前には適度な粘度を有し、硬化後には高屈折率で、かつ該組成物の硬化物と各種プラスチック基材との湿熱密着性等が良好である光学部材(例えば、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等の透過型スクリーン)が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の[1]〜[11]を提供するものである。
[1] (A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネート、(c)ポリオール、及び(d)重合性不飽和基を有しない炭素数1〜4のアルコールの反応物であって、該反応物における平均値として、分子末端の40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基である、ウレタン(メタ)アクリレート 5〜70質量%、
(B)下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物 1〜30質量%
CH2=C(R)COO-CnH2n+1 (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]
及び、
(C)前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物 10〜80質量%
を含有する光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[2] 前記(A)成分が、下記式(2)で示される構造を有する前記[1]に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
R1-O-[CONH-R2-NHCO-O-R3-O]n-CONH-R2-NHCO-O-R1 (2)
[式中、Rは、(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、芳香環を有する2価の有機基、Rは、炭素数2〜60の2価の有機基である。nは、2〜6の整数である。Rは、平均値として、40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基であり、15〜60モル%が炭素数1〜4のアルキル基である。分子内に複数存在するRは、各々独立しており、同一でも異なってもよい。分子内に複数存在するR及びRについても同様である。]
[3] 前記式(2)のRが、ビスフェノール構造を有する前記[1]又は[2]に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[4] 前記式(2)のRが、下記式(3)
-[CH2-C(CH3)H-O]m-Ph-C(CH3)2-Ph-[O-C(CH3)H-CH2]m- (3)
(式中、Phは、p−フェニレン構造を示す。mは、1〜3の整数である。)
で示される前記[1]〜[3]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[5] 前記(B)成分が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[6] 25℃における粘度が1,500〜2,500mPa・sである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[7]前記光学部材が光学用レンズである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の放射線硬化性樹脂組成物に放射線を照射して得られる硬化物を含む光学部材。
[9]光学用レンズである前記[8]に記載の光学部材。
[10]マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビのフレネルレンズである前記[9]に記載の光学部材。
[11]前記放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を、メチルメタクリレート・スチレン共重合体を主体とする透明性プラスチック基材上に密着して形成させてなる前記[8]〜[10]のいずれかに記載の光学部材。
本発明の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物によれば、高屈折率で、各種プラスチック基材(特にメチルメタクリレート・スチレン共重合体)との密着性に優れ、フレネルレンズ等の表面凹凸構造が歪みにくい適度な硬度(ヤング率)を有し、かつ、黄変が少ない硬化物を形成することができる。
本発明の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物からなる硬化物によれば、該硬化物と各種プラスチック基材との密着性に優れた、高屈折率の光学部材(例えば、マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビのフレネルレンズ等)を作製することができる。
本発明の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物は、適度な粘度を有し、良好な性能を有するレンズを形成することができる。
本発明の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物(以下、本発明の組成物ともいう。)で用いられる(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネート、(c)ポリオール、及び(d)重合性不飽和基を有しない炭素数1〜4のアルコールの反応物である。
本発明の組成物においては、(d)成分が原料に含まれているため、(A)成分の分子末端のすべてが(メタ)アクリロイル基とはならない。
(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートの平均値として、分子末端を構成する基の中の(メタ)アクリロイル基の割合は、40〜85モル%である。該割合が40モル%未満では、硬化膜のヤング率が低下して、フレネルレンズの表面の凹凸構造に歪みを生じる可能性があり、該割合が85モル%を超えると、基材に対する密着性が低下する。ここで、上記(a)、(b)、(c)及び(d)成分の反応物中には、両末端が(d)成分で封止された分子種も含まれる可能性があるが、上記平均値とは、(a)、(b)、(c)及び(d)成分の反応物全体を母数とする平均値である。
なお、本明細書中において、成分(A)は、分子末端の一部がアルコール((d)成分)で封止され、かつ、残部が(メタ)アクリロイル基であるため、「一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレート」とも称される。アルコールで封止された分子末端は、炭素数1〜4のアルキル基である。
(A)成分は、下記式(2)の構造を有することがさらに好ましい。
R1-O-[CONH-R2-NHCO-O-R3-O]n-CONH-R2-NHCO-O-R1 (2)
[式中、Rは、(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、芳香環を有する2価の有機基、Rは、炭素数2〜60の2価の有機基である。nは、2〜6の整数である。Rは、平均値として、40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基であり、15〜60モル%が炭素数1〜4のアルキル基である。分子内に複数存在するRは、各々独立しており、同一でも異なってもよい。分子内に複数存在するR及びRについても同様である。]
(A)成分の原料である(a)〜(d)成分について、詳しく説明する。
(a)水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(4)
Figure 0004710596
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、vは1〜15の整数を示す)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートは1種又は2種以上を併用してもよい。
また、(b)有機ポリイソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。特に、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。
さらに、(c)ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、シクロヘキサンジメチロール、トリシクロデカンジメチロール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−プロパンジオール、ビスフェノールAポリエトキシグリコール、ビスフェノールAポリプロポキシグリコール、ビスフェノールAポリエトキシプロポキシグリコール、ビスフェノールFポリエトキシグリコール、ビスフェノールFポリプロポキシグリコール、ビスフェノールFポリエトキシプロポキシグリコール、ビスフェノールSポリエトキシグリコール、ビスフェノールSポリプロポキシグリコール、ビスフェノールSポリエトキシプロポキシグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレンブチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール等を挙げることができる。
特に、屈折率の点でビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシグリコール、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)プロポキシグリコール、ビスフェノールAポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシプロポキシグリコール、ビスフェノールFポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシグリコール、ビスフェノールFポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)プロポキシグリコール、ビスフェノールFポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシプロポキシグリコール、ビスフェノールSポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシグリコール、ビスフェノールSポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)プロポキシグリコール及びビスフェノールSポリ(好ましくは重合度:平均値としてn=2〜40)エトキシプロポキシグリコールから選ばれる一種又は二種以上を使用することが好ましい。
特に好ましいポリオールとしては、下記式(5):
HO-[CH2-C(CH3)H-O]m-Ph-C(CH3)2-Ph-[O-C(CH3)H-CH2]m-OH (5)
(式中、Phは、p−フェニレン構造を示す。mは1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。)
で示されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールが挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールの市販品としては、例えば、DB400(日本油脂社製、m=3)等が挙げられる。
(d)炭素数1〜4のアルコールは、得られるウレタン(メタ)アクリレートの末端の一部を封止し、本発明の樹脂組成物を硬化させるための重合反応に関与しないようにするために添加される。(d)成分は、好ましくは、密着性の向上の観点から、メタノール、エタノール等の1価アルコールである。
(d)成分としては、密着性の向上の観点から、メタノールが特に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの一部末端を、炭素数1〜4のアルコールで封止することにより、そのメカニズムは不明であるが、各種プラスチック基材との密着性を向上させることができる。
一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートの原料のうち、イソシアネート基と反応しうる水酸基を有する(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、及び(d)炭素数1〜4のアルコールは、(a)水酸基含有(メタ)アクリレート:(d)炭素数1〜4のアルコールのモル比率が、85:15〜40:60の範囲内で反応させることが必要であり、85:15〜70:30の範囲内で反応させることが好ましく、76:24で反応させることが特に好ましい。上記範囲外では、基材との密着性が低下する。
成分(A)である一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法としては、(i)ポリオール及び有機ポリイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレート及び炭素数1〜4のアルコールを反応させる方法、(ii)有機ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び炭素数1〜4のアルコールを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法、(iii)ポリオール、有機ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び炭素数1〜4のアルコールを一括に仕込んで反応させる方法、等が挙げられる。
これらのうちで本発明で用いる一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートを得るためには、いずれの方法を用いてもよいが、好ましくは、上記(ii)の方法(有機ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び炭素数1〜4のアルコールを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法)がよい。
成分(A)である一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際、(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネート、(c)ポリオール、及び(d)炭素数1〜4のアルコールのそれぞれの使用割合は、(c)ポリオールに含まれる水酸基1当量に対して、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.1〜2当量で、かつ、(a)水酸基含有(メタ)アクリレート及び(d)炭素数1〜4のアルコールの水酸基の合計が0.1〜1当量となるようにするのが好ましい。
さらに、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対して、(b)芳香環構造を有する有機ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.3〜2当量で、かつ、(a)水酸基含有(メタ)アクリレート及び(d)炭素数1〜4のアルコールの水酸基の合計が0.3〜1当量となるようにするのが特に好ましい。
この好適範囲から外れると、粘度が高くなるなど、液状での樹脂組成物の取り扱いが困難になる。
成分(A)である一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際、通常、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン−2−メチルトリエチレンアミン等のウレタン化触媒が、反応原料の総量に対して0.01〜1質量%の量で用いられる。尚、反応温度は通常、10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
成分(A)である一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は、好ましくは500〜20,000、より好ましくは1,000〜15,000である。該数平均分子量が500未満であると、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の基材への密着性が低下し、逆に数平均分子量が20,000を超えると、樹脂組成物の粘度が高くなり、取り扱いにくくなり易い。
成分(A)である一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートは、樹脂組成物中に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%の量で配合される。該配合量が5質量%未満では、硬化物に適度な靱性等の力学特性を付与することが困難なことがある。該配合量が70質量%を超えると、樹脂組成物の粘度が上昇し、作業性や塗工性が悪化することがある。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物に使用される(B)成分は、下記式(1)で示される(メタ)アクリレート化合物である。
CH2=C(R)COO-CnH2n+1 (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]
(B)成分の具体例としては、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
このうち、式(1)中のnが8又は9のものは、作業性の点から好ましく用いられる。また、nが8である2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートは、粘度が適度であり、液状の樹脂組成物の安定性が良い点から、特に好ましく用いられる。
(B)成分の配合量は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物中、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%である。1質量%未満では、液状組成物の粘度が高くなり、良好な性能を有するレンズが得難くなる。30質量%を超えると、粘度が低くなり、硬化物の力学特性の向上の効果が小さくなる。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物に使用される(C)成分は、(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物である。(C)成分の例としては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基を含有する化合物であって、(A)成分及び(B)成分に該当しない化合物(以下、「不飽和モノマー」という。)等が挙げられる。
該不飽和モノマーとしては、単官能モノマー、及び多官能モノマーを使用することができる。
単官能モノマーとしては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等のビニルモノマー;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを複数モル変性させたフェノキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル及び下記式(6)、(7):
Figure 0004710596
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜8のアルキレン基を示し、wは1〜8の整数を示す。)
Figure 0004710596
(式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜8のアルキレン基を示し、xは1〜8の整数を示す。)
で表される化合物等が挙げられる。
これらの中で、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
これらの中で、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート等が好ましい。
単官能モノマーの市販品としては、例えばアロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成社製)、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業社製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A
(以上、共栄社化学社製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H (以上、日本化薬社製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業社製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成社製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬社製)、VP(BASF社製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人社製)等が挙げられる。
また、多官能モノマーの市販品としては、例えばユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学社製)、ビスコート #195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業社製)、ライトアクリレート 4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学社製)、KAYARAD PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬社製)、アロニックス M208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成社製)、リポキシVR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子社製)等が挙げられる。
成分(C)は、本発明の放射線硬化性樹脂組成物中に、好ましくは10〜80質量%、特に好ましくは20〜80質量%配合される。該配合量が10質量%未満では、液状樹脂組成物の粘度や硬化物の屈折率が劣ることがある。該配合量が80質量%を超えると、十分な力学特性の保持、及び塗工性の点で劣ることがある。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物は、放射線によって硬化される。ここで放射線とは、例えば赤外線、可視光線、紫外線及びX線、電子線、α線、β線、γ線のような電離放射線を意味し、通常は紫外線等の光が簡便に用いられる。光硬化反応には、必要に応じて、成分(D)である光重合開始剤を添加し、さらに必要に応じて、光増感剤を添加する。
光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればいずれでもよく、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
(D)光重合開始剤の市販品としては、例えばIrgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur l116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられ、市販品としては、例えばユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を硬化させるために最適な(D)光重合開始剤の配合量は、樹脂組成物中に、0.01〜10質量%、特に0.5〜7質量%が好ましい。該配合量が0.01質量%未満では、硬化速度が低下して反応効率が低くなることがあり、該配合量が10質量%を超えると、液状樹脂組成物の硬化特性及び取り扱い性や、硬化物の力学特性及び光学特性の点で劣ることがある。
本発明の樹脂組成物を硬化させる場合、必要に応じて熱重合開始剤も併用することができる。好ましい熱重合開始剤としては、例えば過酸化物、アゾ化合物を挙げることができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物には、前記の成分以外に、必要に応じて本発明の樹脂組成物の特性を損なわない範囲で、硬化性の他のオリゴマー又はポリマーを配合することができる。
硬化性の他のオリゴマー又はポリマーとしては、例えば成分(A)以外のポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジル(メタ)アクリレートとその他の重合性モノマーとの共重合体と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる反応性ポリマー等が挙げられる。
さらにまた、上記成分以外に必要に応じて各種添加剤として、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤等を必要に応じて配合することができる。
ここで、酸化防止剤としては、例えばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。
光安定剤としては、例えばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS770(三共社製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
塗面改良剤としては、例えばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤が挙げられ、市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウコーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業社製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー社製)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、前記各成分を常法により混合して製造することができる。このようにして調製される本発明の樹脂組成物の粘度は、通常1,500〜2,500mPa・s/25℃、好ましくは1,700〜2,300mPa・s/25℃、特に好ましくは1,800〜2,100mPa・s/25℃である。粘度が高すぎると、レンズを製造する際、塗布むらやうねり(硬化反応後の反り)が生じたり、目的とするレンズ厚を得るのが難しくなり、レンズとしての性能を十分に発揮できない。逆に低すぎるとレンズ厚のコントロールが難しく、一定厚の均一なレンズを形成できない場合がある。
また、本発明の樹脂組成物の硬化物の25℃での屈折率は、好ましくは1.53以上、より好ましくは1.54以上である。屈折率が1.53未満であると、樹脂組成物を用いて透過型スクリーンを形成した場合、十分な正面輝度を確保することができないことがある。
また、本発明の樹脂組成物の硬化物のヤング率(40℃)は、好ましくは300〜800MPa、より好ましくは400〜600MPaである。ヤング率が上記好ましい範囲内であると、硬化物が適度な硬さを有するために、フレネルレンズ等の表面凹凸構造が歪みにくい。
本発明の樹脂組成物に放射線を照射して得られる硬化物は、プリズムレンズシート、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズ部や、このようなシートを用いたバックライト等の光学部材として有用であり、特に光学用レンズとして有用である。
このような光学用レンズのうち、特に、レンズ形状の付いた金型と透明プラスチック基材との間に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、基材側より紫外線を照射して、該組成物を硬化させることにより製造される光学用レンズが好ましい。
従って、本発明により得られる好ましい光学用レンズは、本発明の樹脂組成物からなる硬化物(レンズ本体)を、透明プラスチック基材に密着させてなるレンズである。
また、透明プラスチック基材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を主体とする基材や、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)を主体とする基材等が挙げられる。これらの中でも、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)を主体とする基材が、特に好ましい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[合成例1:ウレタン(メタ)アクリレートの合成]
撹拌機を備えた反応容器に2,4−トリレンジイソシアネート32.94質量%(使用材料の全量中の割合を示す。以下、同様)、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.08質量%、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02質量%を仕込んだ。撹拌しながら温度が30℃以下に保たれるように2−ヒドロキシエチルアクリレート12.59質量%を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、ビスフェノールAポリプロポキシグリコール(日本油脂社製DB400)を54.37質量%加え、50〜70℃で2時間反応を続けた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。
この手法により得られたウレタンアクリレートを「オリゴマーA−1」とした。
「オリゴマーA−1」は、分子末端の基の中のアクリロイル基の割合が100モル%であり、本発明の成分(A)に該当しない。
[合成例2:24%末端メタノール封止ウレタン(メタ)アクリレートの合成]
2,4−トリレンジイソシアネートとともにメタノール0.85質量%を仕込むことと、2,4−トリレンジイソシアネートを33.73質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレートを9.77質量%、ビスフェノールAポリプロポキシグリコールを55.66質量%とした以外は合成例1と同様にして、24%末端メタノール封止ウレタン(メタ)アクリレートを合成した。
得られた一部末端メタノール封止ウレタンアクリレートを「オリゴマーA−2」とした。
なお、メタノールのモル数は、2−ヒドロキシエチルアクリレートとメタノールの合計モル数の24%である。
「オリゴマーA−2」は、分子末端の基の中のアクリロイル基の割合が、オリゴマー全量中の平均値として76モル%であり、本発明の成分(A)に該当する。
[合成例3:12%末端メタノール封止ウレタン(メタ)アクリレートの合成]
2,4−トリレンジイソシアネート等とともにメタノール0.42質量%を仕込むことと、2,4−トリレンジイソシアネートを33.36質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレートを11.18質量%、ビスフェノールAポリ(重合度:平均値としてm=3)プロポキシグリコールを55.04質量%とした以外は合成例1と同様にして、12%末端メタノール封止ウレタン(メタ)アクリレートを合成した。
得られた一部末端メタノール封止ウレタンアクリレートを「オリゴマーA−3」とした。
なお、メタノールのモル数は、2−ヒドロキシエチルアクリレートとメタノールの合計モル数の12%である。
「オリゴマーA−3」は、分子末端の基の中のアクリロイル基の割合が、オリゴマー全量中の平均値として88モル%であり、本発明の成分(A)に該当しない。
実施例1
攪拌機を備えた反応容器に、(A)成分として(A−2)を27質量%、(B)成分として2−エチルヘキシルアクリレートを9質量%、(C)成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを21質量%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アクリレートを13質量%、フェノキシエチルアクリレートを28質量%、(D)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2質量%の配合割合で仕込み、その他の成分として、表1に示す添加剤をそれぞれ添加し、液温を50〜60℃に制御しながら1時間攪拌し、均一な液状硬化性樹脂組成物を得た。
なお、実施例2及び比較例1〜4に関しても、表1に示す組成の各成分を反応容器に仕込み、各液状硬化性樹脂組成物を得た。表1の各成分量の単位は、質量部である。表1中の(E)成分は、(A)〜(D)成分以外の添加物を示す。
<評価方法>
実施例1、2及び比較例1〜4で得られた液状硬化性樹脂組成物を用いて、下記の手法で試験片を作成し、下記のように、粘度、基材密着性、ヤング率、及びΔYI(イエローインデックスの経時的変化)の測定を行った。
[粘度]
実施例及び比較例で得られた組成物の25℃における粘度を、粘度計B8H−BII(トキメック(株)製)で測定した。
[基材密着性]
フレネルレンズ形状を有する金型(以下、レンズ金型と略する)に液状硬化性樹脂組成物を塗布した後、厚さ1.8mmのメチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)基材(10cm×10cm)を用いて、気泡が入らないように前記樹脂組成物の側から前記金型を覆い、次いで、樹脂組成物層が一定の厚み(100μm)になるようにMS基板を加圧した。
その後、1.0J/cm2の紫外線を基板側から照射し、樹脂組成物層を硬化させた後、金型から、液状硬化性樹脂組成物の硬化物(レンズ)とMS基板とからなるレンズ基板を手で剥離した。金型から剥離したレンズ基板を、カッターナイフを用いてレンズとMS基材の界面から引き剥がす方法、及びJIS K5400に準拠して、剥離表面側からのMS基板との接着性を、碁盤目剥離試験にて評価した。
この際、カッターナイフにより引き剥がす方法によって全く剥離せず、かつ、碁盤目剥離試験において、碁盤目がMS基板から一つも剥離せず完全に接着されていた場合を、「◎」、カッターナイフにより引き剥がす方法では、一部剥離するものの、碁盤目剥離試験において、碁盤目がMS基板から一つも剥離せず完全に接着されていた場合を「○」、碁盤目剥離試験において、一部の碁盤目がMS基板から剥がれた場合を「△」、碁盤目剥離試験において、全ての碁盤目がMS基板から剥がれた場合を「×」とした。
[ヤング率]
液状硬化性樹脂組成物の硬化物のヤング率を、次のように測定した。
まず、381μm厚のアプリケーターバーを用いて、ガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布した後、この組成物層に、空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射し硬化させ、硬化フィルムを得た。この硬化フィルムから、延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作製した。
この短冊状サンプルに対して、温度40℃、湿度50%下で引張り試験機を用いて、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/分とし、2.5%歪みでの抗張力からヤング率(MPa)を求めた。
[ΔYI]
液状硬化性樹脂組成物の硬化物のΔYI(黄変の程度を示すイエローインデックスの経時的変化)を、次のように測定した。
まず、スライドガラス上に、253μm厚のアプリケーターを用いて液状硬化性樹脂組成物を塗布した後、この組成物層に、メタルハライドランプを用いて1.0J/cmの紫外線を照射して、厚さ約130μmの硬化フィルムを得た。
スライドガラス上の硬化フィルムを、温度100℃の環境下に7日間置いた。
色相変化を、色差計(日本電色工業社製のSZ−Σ80分光色差計)を用いて、YI(イエローインデックス)で評価した。7日間放置後のYI値と、硬化フィルム作製直後のYI値との差をΔYI値とした。ΔYI値が小さいほど、経時的な黄変の増大の程度が小さく、色相の経時的変化が小さいことを示す。
Figure 0004710596
表1中の各成分は、次のとおりである。
[B−1]
2−エチルヘキシルアクリレート
(日本触媒社製;商品名:2−AEH)
[B−2]
ラウリルアクリレート
(共栄社化学製;商品名:ライトアクリレートL−A)
[C−1]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製;商品名:KAYARAD DPHA)
[C−2]
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アクリレート
(大阪有機化学社製;商品名:ビスコート♯700)
[C−3]
フェノキシエチルアクリレート
(第一工業製薬社製;商品名:ニューフロンティアPHE)
[D−1]
Irgacure 184
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン;ラジカル光重合開始剤)
[E−1]
Irganox 1035
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;2,2’−チオジエチル−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
[E−2]
Tinuvin 292
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−セバケート)
[E−3]
DC−190
(東レ・ダウシリコン社製;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)
[E−4]
DC−57
(東レ・ダウシリコン社製;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)
[E−5]
ADDID700
(デグサ社製;シリコーン混和物)
表1の結果から、本発明で規定する(A)成分及び(B)成分を用いた実施例1、2の放射線硬化性樹脂組成物の硬化物は、粘度、基材密着性、ヤング率、及びΔYI値(色相の経時的変化が小さいこと)に優れている。一方、本発明で規定する(A)成分及び(B)成分を併用していない比較例1〜4では、基材密着性、ΔYI値等が劣ることがわかる。

Claims (11)

  1. (A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネート、(c)ポリオール、及び(d)重合性不飽和基を有しない炭素数1〜4のアルコールの反応物であって、該反応物における平均値として、分子末端の40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基である、ウレタン(メタ)アクリレート 5〜70質量%、
    (B)下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物 1〜30質量%、
    CH2=C(R)COO-CnH2n+1 (1)
    [式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]
    及び、
    (C)前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物 10〜80質量%
    を含有する光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分が、下記式(2)で示される構造を有する請求項1に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
    R1-O-[CONH-R2-NHCO-O-R3-O]n-CONH-R2-NHCO-O-R1 (2)
    [式中、Rは、(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基又は炭素数1〜4のアルキル基である。Rは、芳香環を有する2価の有機基、Rは、炭素数2〜60の2価の有機基である。nは、2〜6の整数である。Rは、平均値として、40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基であり、15〜60モル%が炭素数1〜4のアルキル基である。分子内に複数存在するRは、各々独立しており、同一でも異なってもよい。分子内に複数存在するR及びRについても同様である。]
  3. 前記式(2)のRが、ビスフェノール構造を有する請求項1又は2に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
  4. 前記式(2)のRが、下記式(3)
    -[CH2-C(CH3)H-O]m-Ph-C(CH3)2-Ph-[O-C(CH3)H-CH2]m- (3)
    (式中、Phは、p−フェニレン構造を示す。mは、1〜3の整数である。)
    で示される請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
  6. 25℃における粘度が1,500〜2,500mPa・sである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
  7. 前記光学部材が光学用レンズである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線硬化性樹脂組成物に放射線を照射して得られる硬化物を含む光学部材。
  9. 光学用レンズである請求項8に記載の光学部材。
  10. マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビのフレネルレンズである請求項9に記載の光学部材。
  11. 前記放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を、メチルメタクリレート・スチレン共重合体を主体とする透明性プラスチック基材上に密着して形成させてなる請求項8〜10のいずれか1項に記載の光学部材。
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