JP4710596B2 - 光学部材用放射線硬化性樹脂組成物及び光学部材 - Google Patents
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このような問題点を解決するために、近年、紫外線硬化性樹脂を用いてレンズを製作する検討がなされている。具体的には、レンズ形状の付いた金型と透明樹脂基板との間に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、基板側より紫外線を照射し、該組成物を硬化させることで、短時間でレンズを製造することができる。
さらに、最近のプロジェクションテレビやビデオプロジェクターの薄型化、大型化に伴い、レンズを形成する樹脂に対して、高屈折率化や力学特性等の種々のレンズ特性に応じた様々な提案や検討がなされている。例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基含有モノマー及び光重合開始剤を含むことを特徴とする紫外線硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1〜3参照)。
また、従来の紫外線硬化性樹脂組成物では、粘度が種々の大きさであり、必ずしも良好な性能のレンズが得られるとは限らなかった。
[1] (A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネート、(c)ポリオール、及び(d)重合性不飽和基を有しない炭素数1〜4のアルコールの反応物であって、該反応物における平均値として、分子末端の40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基である、ウレタン(メタ)アクリレート 5〜70質量%、
(B)下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物 1〜30質量%
CH2=C(R)COO-CnH2n+1 (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]
及び、
(C)前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物 10〜80質量%
を含有する光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[2] 前記(A)成分が、下記式(2)で示される構造を有する前記[1]に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
R1-O-[CONH-R2-NHCO-O-R3-O]n-CONH-R2-NHCO-O-R1 (2)
[式中、R1は、(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基又は炭素数1〜4のアルキル基である。R2は、芳香環を有する2価の有機基、R3は、炭素数2〜60の2価の有機基である。nは、2〜6の整数である。R1は、平均値として、40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基であり、15〜60モル%が炭素数1〜4のアルキル基である。分子内に複数存在するR1は、各々独立しており、同一でも異なってもよい。分子内に複数存在するR2及びR3についても同様である。]
[3] 前記式(2)のR3が、ビスフェノール構造を有する前記[1]又は[2]に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[4] 前記式(2)のR3が、下記式(3)
-[CH2-C(CH3)H-O]m-Ph-C(CH3)2-Ph-[O-C(CH3)H-CH2]m- (3)
(式中、Phは、p−フェニレン構造を示す。mは、1〜3の整数である。)
で示される前記[1]〜[3]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[5] 前記(B)成分が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[6] 25℃における粘度が1,500〜2,500mPa・sである前記[1]〜[5]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[7]前記光学部材が光学用レンズである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の放射線硬化性樹脂組成物に放射線を照射して得られる硬化物を含む光学部材。
[9]光学用レンズである前記[8]に記載の光学部材。
[10]マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビのフレネルレンズである前記[9]に記載の光学部材。
[11]前記放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を、メチルメタクリレート・スチレン共重合体を主体とする透明性プラスチック基材上に密着して形成させてなる前記[8]〜[10]のいずれかに記載の光学部材。
本発明の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物からなる硬化物によれば、該硬化物と各種プラスチック基材との密着性に優れた、高屈折率の光学部材(例えば、マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビのフレネルレンズ等)を作製することができる。
本発明の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物は、適度な粘度を有し、良好な性能を有するレンズを形成することができる。
本発明の組成物においては、(d)成分が原料に含まれているため、(A)成分の分子末端のすべてが(メタ)アクリロイル基とはならない。
(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートの平均値として、分子末端を構成する基の中の(メタ)アクリロイル基の割合は、40〜85モル%である。該割合が40モル%未満では、硬化膜のヤング率が低下して、フレネルレンズの表面の凹凸構造に歪みを生じる可能性があり、該割合が85モル%を超えると、基材に対する密着性が低下する。ここで、上記(a)、(b)、(c)及び(d)成分の反応物中には、両末端が(d)成分で封止された分子種も含まれる可能性があるが、上記平均値とは、(a)、(b)、(c)及び(d)成分の反応物全体を母数とする平均値である。
なお、本明細書中において、成分(A)は、分子末端の一部がアルコール((d)成分)で封止され、かつ、残部が(メタ)アクリロイル基であるため、「一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレート」とも称される。アルコールで封止された分子末端は、炭素数1〜4のアルキル基である。
R1-O-[CONH-R2-NHCO-O-R3-O]n-CONH-R2-NHCO-O-R1 (2)
[式中、R1は、(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基又は炭素数1〜4のアルキル基である。R2は、芳香環を有する2価の有機基、R3は、炭素数2〜60の2価の有機基である。nは、2〜6の整数である。R1は、平均値として、40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基であり、15〜60モル%が炭素数1〜4のアルキル基である。分子内に複数存在するR1は、各々独立しており、同一でも異なってもよい。分子内に複数存在するR2及びR3についても同様である。]
(a)水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(4)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も使用することができる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートは1種又は2種以上を併用してもよい。
HO-[CH2-C(CH3)H-O]m-Ph-C(CH3)2-Ph-[O-C(CH3)H-CH2]m-OH (5)
(式中、Phは、p−フェニレン構造を示す。mは1〜3の整数であり、好ましくは1または2である。)
で示されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールが挙げられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ジオールの市販品としては、例えば、DB400(日本油脂社製、m=3)等が挙げられる。
(d)成分としては、密着性の向上の観点から、メタノールが特に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの一部末端を、炭素数1〜4のアルコールで封止することにより、そのメカニズムは不明であるが、各種プラスチック基材との密着性を向上させることができる。
これらのうちで本発明で用いる一部末端アルコール封止ウレタン(メタ)アクリレートを得るためには、いずれの方法を用いてもよいが、好ましくは、上記(ii)の方法(有機ポリイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート及び炭素数1〜4のアルコールを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法)がよい。
さらに、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対して、(b)芳香環構造を有する有機ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.3〜2当量で、かつ、(a)水酸基含有(メタ)アクリレート及び(d)炭素数1〜4のアルコールの水酸基の合計が0.3〜1当量となるようにするのが特に好ましい。
この好適範囲から外れると、粘度が高くなるなど、液状での樹脂組成物の取り扱いが困難になる。
CH2=C(R)COO-CnH2n+1 (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]
このうち、式(1)中のnが8又は9のものは、作業性の点から好ましく用いられる。また、nが8である2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートは、粘度が適度であり、液状の樹脂組成物の安定性が良い点から、特に好ましく用いられる。
該不飽和モノマーとしては、単官能モノマー、及び多官能モノマーを使用することができる。
で表される化合物等が挙げられる。
これらの中で、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
これらの中で、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート等が好ましい。
(以上、共栄社化学社製)、KAYARAD TC110S、R−564、R−128H (以上、日本化薬社製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業社製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成社製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬社製)、VP(BASF社製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人社製)等が挙げられる。
光重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればいずれでもよく、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
硬化性の他のオリゴマー又はポリマーとしては、例えば成分(A)以外のポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジル(メタ)アクリレートとその他の重合性モノマーとの共重合体と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる反応性ポリマー等が挙げられる。
ここで、酸化防止剤としては、例えばIrganox1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Antigen P、3C、FR、GA−80(住友化学工業社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えばTinuvin P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、110、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。
光安定剤としては、例えばTinuvin 292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS770(三共社製)、Sumisorb TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品として、SH6062、6030(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
塗面改良剤としては、例えばジメチルシロキサンポリエーテル等のシリコーン添加剤が挙げられ、市販品としてはDC−57、DC−190(以上、ダウコーニング社製)、SH−28PA、SH−29PA、SH−30PA、SH−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KF351、KF352、KF353、KF354(以上、信越化学工業社製)、L−700、L−7002、L−7500、FK−024−90(以上、日本ユニカー社製)等が挙げられる。
このような光学用レンズのうち、特に、レンズ形状の付いた金型と透明プラスチック基材との間に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、基材側より紫外線を照射して、該組成物を硬化させることにより製造される光学用レンズが好ましい。
従って、本発明により得られる好ましい光学用レンズは、本発明の樹脂組成物からなる硬化物(レンズ本体)を、透明プラスチック基材に密着させてなるレンズである。
また、透明プラスチック基材としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を主体とする基材や、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)を主体とする基材等が挙げられる。これらの中でも、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)を主体とする基材が、特に好ましい。
撹拌機を備えた反応容器に2,4−トリレンジイソシアネート32.94質量%(使用材料の全量中の割合を示す。以下、同様)、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫0.08質量%、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02質量%を仕込んだ。撹拌しながら温度が30℃以下に保たれるように2−ヒドロキシエチルアクリレート12.59質量%を滴下した。滴下終了後、30℃で1時間反応させた。次に、ビスフェノールAポリプロポキシグリコール(日本油脂社製DB400)を54.37質量%加え、50〜70℃で2時間反応を続けた。残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。
この手法により得られたウレタンアクリレートを「オリゴマーA−1」とした。
「オリゴマーA−1」は、分子末端の基の中のアクリロイル基の割合が100モル%であり、本発明の成分(A)に該当しない。
2,4−トリレンジイソシアネートとともにメタノール0.85質量%を仕込むことと、2,4−トリレンジイソシアネートを33.73質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレートを9.77質量%、ビスフェノールAポリプロポキシグリコールを55.66質量%とした以外は合成例1と同様にして、24%末端メタノール封止ウレタン(メタ)アクリレートを合成した。
得られた一部末端メタノール封止ウレタンアクリレートを「オリゴマーA−2」とした。
なお、メタノールのモル数は、2−ヒドロキシエチルアクリレートとメタノールの合計モル数の24%である。
「オリゴマーA−2」は、分子末端の基の中のアクリロイル基の割合が、オリゴマー全量中の平均値として76モル%であり、本発明の成分(A)に該当する。
2,4−トリレンジイソシアネート等とともにメタノール0.42質量%を仕込むことと、2,4−トリレンジイソシアネートを33.36質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレートを11.18質量%、ビスフェノールAポリ(重合度:平均値としてm=3)プロポキシグリコールを55.04質量%とした以外は合成例1と同様にして、12%末端メタノール封止ウレタン(メタ)アクリレートを合成した。
得られた一部末端メタノール封止ウレタンアクリレートを「オリゴマーA−3」とした。
なお、メタノールのモル数は、2−ヒドロキシエチルアクリレートとメタノールの合計モル数の12%である。
「オリゴマーA−3」は、分子末端の基の中のアクリロイル基の割合が、オリゴマー全量中の平均値として88モル%であり、本発明の成分(A)に該当しない。
攪拌機を備えた反応容器に、(A)成分として(A−2)を27質量%、(B)成分として2−エチルヘキシルアクリレートを9質量%、(C)成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを21質量%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アクリレートを13質量%、フェノキシエチルアクリレートを28質量%、(D)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2質量%の配合割合で仕込み、その他の成分として、表1に示す添加剤をそれぞれ添加し、液温を50〜60℃に制御しながら1時間攪拌し、均一な液状硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1、2及び比較例1〜4で得られた液状硬化性樹脂組成物を用いて、下記の手法で試験片を作成し、下記のように、粘度、基材密着性、ヤング率、及びΔYI(イエローインデックスの経時的変化)の測定を行った。
実施例及び比較例で得られた組成物の25℃における粘度を、粘度計B8H−BII(トキメック(株)製)で測定した。
フレネルレンズ形状を有する金型(以下、レンズ金型と略する)に液状硬化性樹脂組成物を塗布した後、厚さ1.8mmのメチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS)基材(10cm×10cm)を用いて、気泡が入らないように前記樹脂組成物の側から前記金型を覆い、次いで、樹脂組成物層が一定の厚み(100μm)になるようにMS基板を加圧した。
その後、1.0J/cm2の紫外線を基板側から照射し、樹脂組成物層を硬化させた後、金型から、液状硬化性樹脂組成物の硬化物(レンズ)とMS基板とからなるレンズ基板を手で剥離した。金型から剥離したレンズ基板を、カッターナイフを用いてレンズとMS基材の界面から引き剥がす方法、及びJIS K5400に準拠して、剥離表面側からのMS基板との接着性を、碁盤目剥離試験にて評価した。
この際、カッターナイフにより引き剥がす方法によって全く剥離せず、かつ、碁盤目剥離試験において、碁盤目がMS基板から一つも剥離せず完全に接着されていた場合を、「◎」、カッターナイフにより引き剥がす方法では、一部剥離するものの、碁盤目剥離試験において、碁盤目がMS基板から一つも剥離せず完全に接着されていた場合を「○」、碁盤目剥離試験において、一部の碁盤目がMS基板から剥がれた場合を「△」、碁盤目剥離試験において、全ての碁盤目がMS基板から剥がれた場合を「×」とした。
液状硬化性樹脂組成物の硬化物のヤング率を、次のように測定した。
まず、381μm厚のアプリケーターバーを用いて、ガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布した後、この組成物層に、空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射し硬化させ、硬化フィルムを得た。この硬化フィルムから、延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作製した。
この短冊状サンプルに対して、温度40℃、湿度50%下で引張り試験機を用いて、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/分とし、2.5%歪みでの抗張力からヤング率(MPa)を求めた。
液状硬化性樹脂組成物の硬化物のΔYI(黄変の程度を示すイエローインデックスの経時的変化)を、次のように測定した。
まず、スライドガラス上に、253μm厚のアプリケーターを用いて液状硬化性樹脂組成物を塗布した後、この組成物層に、メタルハライドランプを用いて1.0J/cm2の紫外線を照射して、厚さ約130μmの硬化フィルムを得た。
スライドガラス上の硬化フィルムを、温度100℃の環境下に7日間置いた。
色相変化を、色差計(日本電色工業社製のSZ−Σ80分光色差計)を用いて、YI(イエローインデックス)で評価した。7日間放置後のYI値と、硬化フィルム作製直後のYI値との差をΔYI値とした。ΔYI値が小さいほど、経時的な黄変の増大の程度が小さく、色相の経時的変化が小さいことを示す。
[B−1]
2−エチルヘキシルアクリレート
(日本触媒社製;商品名:2−AEH)
[B−2]
ラウリルアクリレート
(共栄社化学製;商品名:ライトアクリレートL−A)
[C−1]
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(日本化薬社製;商品名:KAYARAD DPHA)
[C−2]
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アクリレート
(大阪有機化学社製;商品名:ビスコート♯700)
[C−3]
フェノキシエチルアクリレート
(第一工業製薬社製;商品名:ニューフロンティアPHE)
[D−1]
Irgacure 184
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン;ラジカル光重合開始剤)
[E−1]
Irganox 1035
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;2,2’−チオジエチル−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
[E−2]
Tinuvin 292
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製;1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−セバケート)
[E−3]
DC−190
(東レ・ダウシリコン社製;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)
[E−4]
DC−57
(東レ・ダウシリコン社製;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)
[E−5]
ADDID700
(デグサ社製;シリコーン混和物)
Claims (11)
- (A)(a)水酸基含有(メタ)アクリレート、(b)芳香環構造を有するポリイソシアネート、(c)ポリオール、及び(d)重合性不飽和基を有しない炭素数1〜4のアルコールの反応物であって、該反応物における平均値として、分子末端の40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基である、ウレタン(メタ)アクリレート 5〜70質量%、
(B)下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物 1〜30質量%、
CH2=C(R)COO-CnH2n+1 (1)
[式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは4〜12の整数である。]
及び、
(C)前記(A)成分及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物 10〜80質量%
を含有する光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。 - 前記(A)成分が、下記式(2)で示される構造を有する請求項1に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
R1-O-[CONH-R2-NHCO-O-R3-O]n-CONH-R2-NHCO-O-R1 (2)
[式中、R1は、(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基又は炭素数1〜4のアルキル基である。R2は、芳香環を有する2価の有機基、R3は、炭素数2〜60の2価の有機基である。nは、2〜6の整数である。R1は、平均値として、40〜85モル%が(メタ)アクリロイル基であり、15〜60モル%が炭素数1〜4のアルキル基である。分子内に複数存在するR1は、各々独立しており、同一でも異なってもよい。分子内に複数存在するR2及びR3についても同様である。] - 前記式(2)のR3が、ビスフェノール構造を有する請求項1又は2に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
- 前記式(2)のR3が、下記式(3)
-[CH2-C(CH3)H-O]m-Ph-C(CH3)2-Ph-[O-C(CH3)H-CH2]m- (3)
(式中、Phは、p−フェニレン構造を示す。mは、1〜3の整数である。)
で示される請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。 - 前記(B)成分が、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
- 25℃における粘度が1,500〜2,500mPa・sである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
- 前記光学部材が光学用レンズである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学部材用放射線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線硬化性樹脂組成物に放射線を照射して得られる硬化物を含む光学部材。
- 光学用レンズである請求項8に記載の光学部材。
- マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビのフレネルレンズである請求項9に記載の光学部材。
- 前記放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を、メチルメタクリレート・スチレン共重合体を主体とする透明性プラスチック基材上に密着して形成させてなる請求項8〜10のいずれか1項に記載の光学部材。
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